2016/05/28 のログ
ご案内:「訓練施設」に東雲七生さんが現れました。
東雲七生 > 「さてと……色々あって忘れるとこだったけど、異能の方も色々やっとかねえとな。」

学校の授業が明けての放課後、七生はジャージの上下姿で訓練施設を訪れていた。
目的は以前約束した“異能を見せること”の下準備である。

「今まで何人かに見せたけど、こう、あんまり良い反応じゃなかったからな。」

ましてや今度は純粋すぎるきらいのある相手である。
目の前で自傷なんてしたらどんな反応をするか分からない。

ご案内:「訓練施設」に陽実 凛さんが現れました。
陽実 凛 > 模擬短刀を二本携えて、ジャージとジーパンのアンバランスな姿で訓練施設に入る。
下がジーパンなのは、いつも履いているからジャージよりジーパンの方が足捌きの訓練にもなるからです。

「先客がいなければ、アレをターゲットにして、居たら模擬戦の申し込みですね。」

独り言を言いながら見てみれば、先客が居ました。
透明で気配のない相手や死角に誰かがいなければ一人の様なので、

「こんにちは、です。」

小さく頭を下げまして、木の模擬短刀を二刀掲げて、お誘いのジェスチャーをしてみました。

東雲七生 > 「えっ、あ……こんにちは、です。」

急に話しかけられて慌てて声のした方を振り返る。
見れば少女が短刀を手にこちらに頭を下げている。
思わず同じように挨拶を返してから、はた、と我に返って。

「あー……もしかして、何か訓練でもする気で来た?」

だったら譲るけど、と誘われている事にはとんと気付かず。

陽実 凛 > あ、戦闘マニア系ジェスチャーは通じませんでした。
通じなかったので模擬戦をやるとしてもギアを下げておきます。

「え、えーと。それはそうなのです。
が、……先客がおられて訓練開始前か合間かみたいでしたですので、模擬戦のお誘いのジェスチャーを……。
武器を示せば、格闘や物理でやる人には通じるかなと思いましたです。」

少しすまなさそうな表情を作って浮かべて、もう一度頭を下げます。

東雲七生 > 言われ、ああ、なるほど。と納得したように頷いて。

「模擬戦の誘いだったのか。
 あはは、ごめんね。授業以外であんまりそういう事しないから。」

獣相手であればそれなりに経験はあるのだが。
それこそ誘いも何もあったものではなく、ほとんどいきなり殺意をぶつけられるのでその辺りの機微に疎くなっていたようだ。

「ああいや、ごめんごめん、俺が鈍感だったみたいだし。」

頭を上げて、と少し慌てたように促した。

陽実 凛 > 小さくふるふると首を振りまして。

「武術を修めていたりする人以外は確かにそういう事はしなさそう、ですね。
と言う事は一人で何かされる予定だったのでしょうか?」

言われて気付く、一人で訓練施設を使う目的に、戦闘経験以外のもの。
自分の異能が対象となる相手がなければ作用しない事から、その事がすっかり抜け落ちてしまっていました。

「いえいえ、私こそ先入観がありました。」

このままだと謝りあいになりそうなので、更に続いて。

「えーと、どうしましょう?先客は、そちらですので、相手が居ない方がいいものをされるのでしたら見学するか出ますです。」

話をこれからに持って行こうとしました。

東雲七生 > 「いや、それにほら。
 いきなり女の子に模擬戦を挑まれるとか、普通考えないから……。」

自分より年下に見える少女に対して戸惑う様に笑みを浮かべる。
理由としてはそちらの方が大きい。武術の心得があれば尚更じゃないだろうか、と七生は思った。

「んまあ、一人で……そのつもりだったけど、後ででも出来るし。
 というか、此処じゃなくてもあんまり問題は無いんだけどさ。」

どうしたものか、と指先で頬を掻く。
予定を変更して模擬戦を受けるのも悪くは無いとは思うのだが、

「ええと……じゃあ、模擬戦する? 怪我しない程度に、だけど。」

陽実 凛 > 「この島だと、男女や外見の差は当てにならないものだと思っていましたけれど……言われて見れば。」

場所が場所とは言え、言われてみれば、とぽんと革手袋越しに手を打ちました。
素で気付いていなかった様子を見せまして。

「んー、と。それでは、武器はどうしましょう。
格闘が宜しければ、模擬短刀は置いておきます。」

多分一人でこの場所でなくてもできそうな何かの制御だったのでしょう、と当たりをつけまして、尚且つ触れず。
小さく頷いて、武器の類を持っておられない様子でしたので、何もなしと武器ありの2択をお伺いしてみました。
怪我しない程度に、なら異能や魔術の有無は省略してもいいでしょう、きっと。

東雲七生 > 「いやまあ、それは確かにそうなんだけど。」

実際に見た目の年齢がアテに出来ないのは七生もよーく知っている。
しかし、疑ってかかったらキリが無いじゃないか、と肩を竦めて。

「武器は……俺はまあ、このまま手ぶらで行くけど。
 そっちの方は任せるよ。剣でも銃でも、それなりに相手は出来るし。」

特に自慢する風でもなく。
実際にそうだからそう言っただけ、と言わんばかりの自然さで告げる。
ただ、対人戦の実戦経験は授業以外ではほぼ無いに等しいのだけれども。

陽実 凛 > 「外見の先入観、大きいですか?」

肩をすくめる様子と言葉を聴きまして、常識と先入観ってやっぱり大きいのかなぁ、と感想を抱いて。

「じゃあ、私も無手、と言っても素手だと打撃が直接伝わるので手袋込みで行かせて頂きます。
武器持ちの経験はそれなりにあるのですね?」

最近無手での鍛錬をしていなかった事もあって、丁度いい機会にと模擬短刀を端に置きに行きまして。
手加減を理由にしてうっかり異能が発動しないように手袋を嵌めたままにしました。
それと、戦闘経験の確認です。どれ位の経験があるかを聞いて、どの程度のギアで行けばいいかを探っています。

東雲七生 > 「先入観っていうか、万が一外見通りだった時の面倒臭さを考慮してるだけだよ。」

まあ、容姿で年齢を判断される事の悔しさは七生自身も人一倍理解してはいるのだが。
だからと言って年下の、それも異性から模擬戦の誘いに対応できるとも思えず。
ただただ小さく溜息を吐いた。

「別に合わせてくれなくても大丈夫だけど……。
 うん、まあ、少しは。大体一通りの事は授業でやったし、見たし、頭にも入ってる。」

戦闘経験と言えばもっぱら最近は魔獣が相手なのでこちらも人間相手にどこまでやれれば良いのか皆目見当もつかない。
まずは数手流してから決めようという腹積もりである。

陽実 凛 > 「それは、そうですね……」
外見どおりだったばあい、模擬戦をやってみる。
女の子を男の子が殴る。
事案。
大変面倒な事態になりそうでした。

「ん、いえ。武器を落とした時の立ち回りもやりたかったので、合わせるだけの理由ではないのです。
……わかりました。それなら、先手、どうぞ。」

授業で一通り。ぴかぴかの1年生にとっては授業だけでどれ位の経験になるかが読めず、先手を譲って、自分の感覚で確かめる事にして、向きを合わせた後、膝を軽く曲げて腰を落として、形は構えを取って見ました。

東雲七生 > 「でしょ?」

とても怒られる案件である。
そんな面倒な事は是が非でも回避したい。
もし怒られないとしても、そこまで好戦的な性格でもないのだ。

「そっか、まあ……そういうことなら。
 
 ああ、はーい。了解。じゃあ行くよー……って
 聞いてた!?ねえ、俺の話、今さっき言った事聞いてた!?」

だから自分から殴りに行くのは絵的にも凄く危ないって言ってるでしょ、と思わず声を荒げてしまう。
お互いに相手の力量を測りあぐねている状況は察したが、かと言ってどう動けば良いのか分からない。
この点、獣相手なら有無を言わさず襲って来るので楽な事この上ないのだが

陽実 凛 > 「うんうん、でも私はさっきから話している通りなので問題はないですよね?」

私も枠外の存在だと話してて伝わった、と思いこんでいるから、先手も譲った訳なのです。

「えっ。
あー、うー。じゃ、じゃあ。……やりやすいように、行きますよ?」

困った、と言ってもお互い困ってるような状態なら私から行った方がいいのでしょうか。
突っ込まれたので、えーと。
ここで行きますよといって殺気だけ放つとかやって動かなかった場合、伝わらないと行きますよと言って行かないコントになってしまうのでして。
怪我したり倒れないで下さいねー、と祈りながら丹田に気を練り、踏み込みに震脚を踏んで、大振りのボディを右腕で放つ。タイミングをずらしてあるので、大げさな動きに比べれば、当たっても威力は小さい、筈。

東雲七生 > 全然伝わっていなかった。
婉曲された言い方だと中々要領を得ないのが東雲七生という少年である。
まあ有体に言ってしまうと察しが悪い。かなり。

「んっ──」

さてどうしたものか、と内心冷や汗をかく。
名前も知らない少女が相手だが、口ぶりからすればそれなりにやり手の様だし、そもそも自分は対人経験は殆ど無い。
だからと言って手を抜くのであればどの程度抜けばいいのかもわからない──
が、その思案も少女が動くまでだった。

「わわ、と。」

思いの外真っ当な一撃が放たれるのを見て慌てて頭を切り替える。
しっかりとした踏込と共に大振りの一撃。
とっ、と半歩後退してから身を逸らし、ギリギリのところを躱して、

「な、なるほどなぁ……っ」

油断してた、と息を吐く。不真面目という訳ではなかったのだが、真剣みが足りなかったようだ、と自省する。

陽実 凛 > 「ふぅ。言葉よりやっぱり一撃の方が伝わるのは早いです。」

タイミングをずらして重心移動等の威力が伝わらないように、それに大振りにして避けやすいように気をつけた一撃。
多分言葉よりも伝えやすいのだろうなぁ、と納得しました。

「うん、ちゃんと避けられるみたいですから、もう少しやってみましょう。」

避けられる動きを見て大体の速度を決める。
その速度より少しだけ速い程度に収めて、軽くステップを踏み始め、戦闘スタイルを変えました。
太極拳でタイミングずらしばかりしていても威力が落ちた動きを身につけてしまうし、ずらさないでいると大怪我をさせかねないからです。
少しだけ間合いを離して、攻撃を誘います。

東雲七生 > 「なるほど、それなりに誘いをかけるだけの地力はあるってか。」

しかし、そうあればあるほど動きにくい。
先の少女の言葉を省みれば、素手格闘の訓練のつもりなのだろう。
武器を持って来ていたところを素手に変えたことからも窺える。素手が強いからと得物を持って強さを抑えるなど、そうそうない。

(それなりに慣れてるってことか……)

演習のつもりで、と自分に言い聞かせて構えを取る。
顔の前に緩く握った拳を並べ、ボクサーのように足幅を取って。
どこか不格好な構えだが、実のところ七生には真っ当な武道や格闘技の経験自体は殆ど無い。
今とった構えも、以前授業中に見た他人の物の、思い出しながらの模倣である。

「んじゃ、こっちからも……っ!」

地を蹴る力を加減しつつ、一足飛びに少女との間合いを詰めで右の拳を振りかぶり──

(……ってどこ狙えば良いんだよっ!)

──そのまま狙う先を定め切れず、拳を放てなかった。

陽実 凛 > よし、ちゃーんと伝わってる。
攻め方を考えてる所と顔の前に拳を構える構え方。脚幅を見て。
あれ?と疑問が浮かびましたが、今は置いておきます。

そろそろ来るでしょうから疑問の答えは解るでしょう。

「……っ!」

来た!と間合いの詰め方を見て、右の拳に少し視線を強く向けて、手を広げて鎖骨の前まで上げてそのまま打つ瞬間を見極め――

打たない?体当たりか右はフェイント!と反射的に判断して右膝で腹部を狙い蹴り上げ、左腕でジャージの襟を狙って手を伸ばして引きこもうとし、変則的な巴投げを仕掛けました。

東雲七生 > (やり難……っ!!)

これが年上か同年代相当の見た目であれば打ち込めたものの、と思っても仕方が無く。
ひとまず瞬間的に腹部へと力を込めて腹筋で少女の膝蹴りを受け止めつつ勢いのままに投げられる。

(流石に殴打するのには躊躇しちまうよなー、うーんやり辛い。)

殴るだけの理由があれば老若男女とわず拳を振るえる気はするのだが。
模擬戦を了承したものの、今一歩少女に攻撃を与えることは気乗りしないのも事実だった。
腹の痛みに眉を寄せつつ、体勢を立て直しながらどうしたものかと思案する。

陽実 凛 > 引きこんだ時に左腕の攻撃だったら打点ずらし位はできたかなーと思ったけれど、打撃が来なかった。
腹部への防御を優先したとすれば感触から納得できるけれど、投げ飛ばした後も違和感があまり消えない。

言動からも実力がある程度は認められてはいると思います。
なので怪我をしない範囲で攻撃をしない理由が本当に解りませんでした。
実力的に殴っても大丈夫な相手だと間違いなく伝わった、と思ってしまっていたからなのですが。

投げ終えた後、一旦右に転がって右手を付いて立ち上がり。

「スタイル変えすぎでした?」

顎の下の拳を構えてみたり、拳を握らず手刀を作って腕を伸ばしてみたり体勢を立て直しつつスタイル次どれにしようか思案しながら原因を確かめようと聞いてみました。

東雲七生 > (先ず──)

どこから覚悟を決めれば良いのか考える。
身の丈が何倍も何十倍もある熊や猪が相手であればやり様はあるのだが。
ぽんぽん、とダメージはそれ程でも無かった腹を軽く叩いてから改めて構える。

「悪い、ちょっとどうやれば良いのか模索してるとこ。」

隠しても仕方ないので正直に答えて、手をグーパーと握ったり開いたり、膝を落したり上げたり、今この状況に適したスタイルを本格的に探し始める。

(こんなに人間相手が難しいなんてな……)

もう少し対人戦も慣れないとならないだろうか、なんて考えて苦笑が漏れる。
だが笑ってる場合ではない。これでは向こうの為にもならない。ので、

「とりあえず、全部捌いてみるから続けざまに打ってきて良いよ。」

遠慮なく、と手でくいくいっと促してみた。

陽実 凛 > 「模索……解りました。」

攻めるよりもカウンタースタイル?だと打撃から返し辛い連撃の練習をして見る事にしてみましょう。
と考えてしまうと模擬戦になるかが不安なのです。

(でも、手探りっぽそうな動きですし、それでも良さそうです。)

色々とスタイル考えて、手から力を抜いて脱力。

「解りましたっ。じゃあちょっとだけ、ギア、上げますね。」

さっきより少しだけ速度を上げてステップを踏み、手の動きに誘われるように接近、無造作に腕を伸ばす動きで腕だけの力で胸元を左手で掌底、同時に前にでている側の足の脛を狙っての右足でのトーキック。
捌かれ方にもよるけれど、その後左足を軸にして右足を伸ばして捌かれた高さのままでの回し蹴り、までいければと言う所。

どちらにしても、ちょっとやり取りが掴めない為、この後は軽く流す形にきっと、なる、筈。

ご案内:「訓練施設」から陽実 凛さんが去りました。
東雲七生 > 七生が掛けた言葉に従って攻勢に出た少女の動きに目を眇める。
こちらから攻撃をするのはどうしても手が停まるが、来たものを流すのであれば相手なんて関係ない。
矛盾する様に思えるが、七生にとってはそうなのだ。

「さんきゅっ!……よし。」

ふぅっ、と短く鋭く息を吐いて少女全体を視ることから伸ばされた手と、僅かに動きのあった右足に意識を集中させる。
掌底を左手の甲で払うように流し、左脛へと放たれた蹴りは左足を右へ払うように捌く。
そしてそのまま流れてきた回し蹴りに合わせて左側、少女から見て右へと跳んで躱す。

「サンキューその調子!ばんばん来ちゃって!」

やはりこっちの方が調子が良いというか、“慣れている”。
少しだけ高揚してきた気分に笑みを浮かべながら、名も知らない少女の連撃を捌いて行き、
程よい所で切り上げて、少女に礼を言って模擬戦を終わらせたのだった。

ご案内:「訓練施設」から東雲七生さんが去りました。
ご案内:「演習施設」に寄月 秋輝さんが現れました。
寄月 秋輝 >  
いつも通りの恰好、いつも通りの装備。
鞘に納めた刀を直立させ、その上につま先で乗る。
いつものやり方でいつもの精神集中。
目を閉じたまま、周囲の音に耳を澄ませる。

魔力の流れを受けて、胸の首飾りが青く光り出した。

寄月 秋輝 >  
今度は目を開く。
ほぼ無意識に明鏡止水に至っていたためか、周囲の世界が違って見える。

刀の上でくるりとつま先を支点に回る。ゆっくり、ゆっくり。

何かさらに別のものが見えるかな、と小さな期待を込めて。

ご案内:「演習施設」に水月エニィさんが現れました。
水月エニィ > 「……んん。」

 先客が居た。
 珍しいなと思えば、小さく声を漏らす。

(刀使い、かしらね。)

 

寄月 秋輝 >  
その剣士は刀の上に立っているわけだが。

究極まで張りつめた神経は、少女の入場にたやすく気付いた。
刀の上でぴたりと止まり、少女に目を向ける。

「こんにちは」

静かに声をかけた。

水月エニィ >  
「はい。こんにちは。」

 手を止めて此方を向いた。
 鍛錬を止めた彼と軽い愛想を浮かべて示す。
 
「邪魔しちゃったかしら。
 続けて構わないけれど。」

寄月 秋輝 >  
「いえ、大丈夫ですよ。
 今はどちらかというと精神修養がメインですから」

ふ、と笑顔を浮かべる。
中性的な顔立ちも加えて、その表情はまるで女性のように見えるかもしれない。
雑談中も深い精神集中は途絶えない。

「それより、僕がここに居ると邪魔ですか?」

水月エニィ >  
「いえ、邪魔ではないけれど――まぁ平気よ。」

 ともすると女の子にもみえるような女性の色も伺える顔立ち。
 柔らかそうな振る舞いを伺いながら、思考と言葉を繰る。

(落ち着いた物腰ね。こんな感じに落ち着いた男の子はここではあんまり見なかったわね。そう言えば。)
 

寄月 秋輝 >  
「ならよかった」

極限の精神集中であまりにフラットになりすぎた感情が、青年を女性のようにすら見せている。
本人はまるで気付いていないが。

「しばらく見ていると思いますが、あまり気になさらないでください。
 技術を吹聴したりもしませんから」

そう囁く。
言葉に偽りなど、欠片も含まれていないだろう。

水月エニィ > (少し異常……と言うより、集中かしら。)

 似たようなものは持っているし、立ち居振る舞いを見れる程度の目は持っている。
 故にある程度の性質や状態を推察することはできなくもなく、そう推察した。

「見られてこまるようなものなんてパンツぐらいよ。
 ちゃんとスパッツ穿いてきたけれど。」

 ――とは言えわざわざ五月蠅くすることもない。
 あまり声を出さずに訓練するとしよう。

 少し離れた所に仮想ターゲットを用意して、位置取る。
 

寄月 秋輝 >  
「ええ、それでしたら安し」

すてーんと落ちた。
なんとか受け身は取ったが。
ゆっくり起き上がり、先ほどとは違う無表情。

「……年頃の女の子が、下着を例に出すものじゃありません」

パンツの一言で集中が乱されたらしい。
立てた刀を脇に戻し、小さくため息をついた。

どう見ても修行が足りなかった。

水月エニィ > (……あら。)

 大分集中が乱されていたというか、ズッコケていた。
 色事に弱いのか、意外だったのか、むっつりスケベなのか。

「はいはい。――」

 長い布を取り出し、布の末尾を右手で掴む。左手は布の先に添える。
 槍や長刀でも持つような構えを取り――軽く踏み込んでから腕と手首で横薙ぐ。

「――」

 ――布は重さと速度を乗せた長物の如く奔り、撓りを見せずに設置された仮想ターゲットへと中る。
 鈍く重い音が響くか。

 合成繊維か何かなのか、普通の布にしては作りが良い。粗雑さが無い。

寄月 秋輝 >  
布だ。布を振るっている。
多種多様な戦い方をする人間を見て、多くの戦いを駆け抜けてきた秋輝も、布で戦う人は見たことが無い。

(……すごいな)

無言で、しかし集中して見ている。
槍、のような扱い。
だが本体が強固でない分、支点が定まらないとあの速度で振るうのは苦労するだろう。
見ただけで真似出来る技術ではないと感じている。

水月エニィ >    
「――ッ!」

 中華武術の布棍とも似こそすれど非なる技術。
 観察していれば、逸脱めいた何かを伺う事は出来る。
 とは言え、何かの超常が作用している素振りもない。

「Sh――!」

 布は翻り、竜尾の如く。
 払い抜かれた布は撓りを見せ、返しの一撃を叩き込む。

 次いで踏み込み、太刀が如く布を構えれば斬り抜け一閃。
 ――からの、長物に見立てた構えを以って放たれる背面付き。

(菊咲、一華ッ――)

 標的に向かって真っ直ぐに伸び、ターゲットを重く穿つ。
  
 

寄月 秋輝 >  
(単純に布の強度と重みで振るっているのかな?
 あの布の返しを食らったら、ムチを受けたみたいに痛そうだ)

ぼーっとした様子に見えるが、しっかりと状況を見ている。

(木刀は棒術と剣術を兼ねる武器だとも言うが……
 彼女の布はそれより汎用性が高そうだ)

興味が尽きない。
この柔軟性は、おそらく自分の居合術で太刀打ちできるシロモノではないだろう。

最後の突き。
あれにどれほど威力があるのかわからない。
何せ布の突きだ。が、彼女の真剣な眼差しから、それが適当な技とは到底思えない。

恐ろしいな、と素直に感じた。

水月エニィ >  
 推察するなら、音か。
 少なくとも最後の一突きには、空気を劈くような破裂音が伴っていた。

 布を下して、大きく息を吐く。

「――ふぅ。」

 布を下して、全身の緊張を解く。
 大きな吐息が漏れた。
 

寄月 秋輝 >  
「すごい技術ですね」

そう素直に呟く。
通して見ても、それがどういう技か理解し得なかった。

「布による戦闘術は見たことがありませんでした。
 いい経験をしました」

無表情のまま語った。

水月エニィ > 「ありがと。ナンパかしら。」

 肩を竦めて苦笑を浮かべ、軽口と共に礼を返す。

「ま、ここまでしても負け犬だけれど――
 ――と、貴方の方は良いのかしら。
 それとも、観察を通して十分に修養出来た?」

寄月 秋輝 >  
「……ご冗談を」

ナンパと聞いて若干げんなりした表情になった。

「ああはい、僕はそれなりに。
 観察しながら、魔力の回転の訓練もしていましたから」

負け犬。
その言葉に触れるべきかどうか。
多分同類なのだろうが、さて。

そこまで考えるが、答えたのは後半の問いに対する当たり障りのない言葉。

水月エニィ >  触れぬのならば当たり前のように話は続く。
 路傍の小石を蹴っ飛ばすような自然さだ。

「ならいいのだけど。
 お互い、休日の昼間から熱心ね。」

 色恋を交ぜたジョークにはげんなりした反応が見えた。
 色事が苦手なのだろうか。"言葉だけ"でも特別反応を見せるように伺える。 

寄月 秋輝 >  
「ええ、本当に。
 僕もそうですが、どこまで鍛えても勝てない時は勝てませんからね。
 熱心どころか、僕の場合は必死です」

ほんの少し自嘲を交えた苦笑を浮かべながら呟く。
少女の『負け犬』に触れて、少しだけそんな話題を。
それは少女のことではなく、自身の『負け犬』らしさを嗤った語りだ。

水月エニィ > 「あら、嘘じゃないなら似た者同士。
 私も必死と言い直しておくわ。」

 言葉と自嘲通りに受け取って、軽い共感の意を返す。

「全く以ってその通り。
 諦めるつもりなんて毛頭ないし、鍛えておけばマシな負け方や逃げ方も出来るもの。
 だから鍛錬だって欠かさない。……折角だから、名前を聞いておきたいわね。」

寄月 秋輝 >  
その共感は、あまりよい物ではないのだろう。
けれど、それでも。少しだけ、少女が身近に感じられた。

次は自分が勝たせてあげたいと思えるほどに。

「失礼しました。
 僕は寄月 秋輝と申します」

ぺこり、礼をする。

水月エニィ > 「寄月 秋輝君ね。
 ……私は水月エニィと名乗っているわ。ま、宜しく。」
 
 礼こそしないが、確かな視線で寄月を見据える。
 少なくとも、蔑ろにしていないことは読み取れるだろう。

「と、後ろ向きな話はここで切り上げ。
 したくないものではないけれど、ずっとしていると疲れちゃうもの。」

寄月 秋輝 >  
「はい。よろしくお願いします、エニィさん」

悪い感情は見えない。のだろう。
少しだけ安心している。

「同感です。
 それに、僕はいい加減勝ちに行ってもいいと思っていますから。
 過去にいつまでも縛られても面白くない」

ほんの一歩だけ前に進んだ男のセリフ。
いつになれば呪縛から解かれるのだろうか、と考える。

「……そういえば、あなたのあの布による戦闘術についで、少しお伺いしても?」

話を大きく変えにいく。

水月エニィ >  
「ん――ただの操布術よ。鏡花水月流・操布術。お父さんに教えて貰ったの。
 身近にあるものを武器として使いこなす側面と、
 ジュースやパンを血や肉に見立てるように布を"それ"だと見做す儀式的な側面を持っている武術、と言うべきかしら。
 それ以上の何ものでもないわ。使えるのはもう、私一人ね。」

 端的に解説する。
 ……水月流と鏡月流の歴史が"統合"された事で今の形を成している事などを省き、
 今在る形としての鏡花水月流を彼に伝える。そこまで話すのも、ヤヤコシイ話だろう。

寄月 秋輝 >  
「ふむ、なるほど。
 布を体の延長のように見なして扱う、と。
 ……それ以上ではないというのは恐ろしい話ですね。
 布による突き技に、あれほどの威力が出せるというのがいまだに信じられません」

素直な感想だ。
説明だけ聞いても、それ『だけ』の技とは信じられないほど、エニィの技術は優れていたように見えた。

「……一子相伝というわけでもなく、技術が途絶えた、というところですか。
 これからはエニィさんが伝えていかねばならないのでしょうね」

おそらくは、自分と同じような境遇か。
身内も同門も居ないのだろう。

水月エニィ > 「そうね。ここまで磨き上がっても勝てないもの。」

 ――言った傍から後ろ向きな発言だと気付けば、小さく首を振る。

「……伝えるつもりはあんまりないわ。
 あんまり気乗りしないから。で、貴方は魔法……と、刀?
 さっき言ってた事からして魔法は扱うと睨んでいるけど。」

寄月 秋輝 >  
「残念です。
 その技術は理念も含め、素晴らしいものだと思ったのですが」

小さく肩を落とした。

「えぇ、刀と魔法……もとい、魔術ですね。
 元々は遠距離戦を主体とする魔法使いに対する決定打としての剣術でしたが……
 こちらの世界ではもう扱いが逆ですね」

鞘に収まった刀を胸のあたりまで掲げる。
一般的な刀と同じ長さ、少しだけ装飾が為された物。

水月エニィ >  
 ……統合された歴史と技術だ。
 教えるには少々難易度が高い。

 特にもう一つの自分の歴史ともいえる鏡花ハルナに触れる事になる。
 精神的なものとして、それは中々に厳しい。

 ……自分の中の事を飲み込んで、彼の話に耳を傾ける。

「へぇ、近接戦では押し切れない相手への魔法って所?
 そうね。飛び道具は大事よね。今日は持ってきていないけれど、
 私も銃ぐらいなら使うわよ。逃げやすいし、ノーゲームに持ち込みやすいもの。」

寄月 秋輝 >  
「そんなところです。
 瞬間的な大火力、多角的攻撃においては、剣術より魔術のほうが数段上ですから」

刀の鯉口を切り、ほんの少しだけ刀身をのぞかせる。
曇りのない銀色の刀身が、きらりと光を反射した。

「銃ですか。あれも扱いが難しいですが、よく使えますね。
 引き金を引くのは簡単ですが、どうしても狙った位置に当てられない」

使ったことがあるらしい。
とはいえ得意ではなかったようだ。

水月エニィ > 「そうね、本当に魔法は強いわ。
 でもそればかりに頼って、決定打の剣撃を貰っちゃダメよ。
 お友達が泣いちゃうわ。」
 
 くす、と、小悪魔めいた笑みを浮かべてみせる。
 案じるような皮肉でもある言葉には、悪意のようなものはない。

「当てるつもりだし中ればいいけど、別に中んなくてもいいわよ。
 音も出るし、気を付けなければ当たるかもしれない。
 それだけで十分ハッタリが効く。掠っても痛い。この銃って武器を考えた人間は悪魔か何かかしら。」

 そう、おどけた冗句のように言ってみせる。
 

寄月 秋輝 >  
「大丈夫ですよ。
 そうそう簡単にぶった斬られるほどに抜けているつもりはありませんから」

戦闘時においては、だが。

「……何発かくらったことがありますが、とんでもなく痛いんですよね、銃弾。
 ねじれるから傷口が驚くほど広がるし」

二度と食らいたくない、と呟いた。
先日、その銃弾を見て避けていたことは語らない。

「……あぁ、しまった。
 夕飯の買い出しをしなければ……うっかり話し込んでしまいました」

思い出したように手をぽんと打った。

水月エニィ >  
「あら、随分と強い。
 本当、羨ましいわ。」

 自信の程を察して取れば、
 からかうように笑ってみせた。

「そう、痛いわ。とても痛い。
 何処も折れていなくても、もげていなくても痛い。
 
 だから、相手がそれでビビってくれれば幸い。
 自分がビビっていちゃ話にならないけれど……と、買い出し。
 それはこれ以上引き留めちゃ悪いわね。また会いましょう。」

寄月 秋輝 >  
「それなりに強いつもりですよ。
 勝ったことはまるでありませんが」

くす、と小さく笑って見せた。
同類に向ける、少しだけ彼の根っこの見える笑顔だ。

「はい、それではまた。
 エニィさんも、怪我などしないよう」

ひたひたとそこから歩み去った。
少しだけ気分がよさそうに見えたかもしれない。

水月エニィ >  
 
「ええ、また――」
 
 彼女もまた、自然に口元を緩めたまま立ち去ったとか、何とか。

ご案内:「演習施設」から水月エニィさんが去りました。
ご案内:「演習施設」から寄月 秋輝さんが去りました。
ご案内:「演習施設」に阿曇留以さんが現れました。
阿曇留以 > 場の雰囲気が変容する。
先ほどまで無機質な演習施設だったのが、薄気味悪い、暗い森へと。
そして、その場に一人佇む、大太刀を持った女性。
神経を研ぎ澄ませ、動くもの全てを敵とみなそうとする目は、普段の留以を想像させないだろう。

しかし、フィールドの外からは、フィールドに佇んでいる留以が見える。
これは留以が教師の一人に頼み、魔術でフィールドを作ってもらったせいだ。
外からは特になにも起きてないが、中に入ってしまうと、空間が変わったような雰囲気を受け、暗い森へと閉じ込められる。
留以が、ことをなすまで。

阿曇留以 > 肝心の留以は、暗い森の中、一歩も動かず居合いの構えを取っている。
月の光は届かず。さりとて火の光すらなく。
ほぼ暗黒といっていい空間に、じっと、何かが来るのを待っている。

時折、カラスが鳴き、ギャア、ギャアという声も聞こえてくる。

阿曇留以 > 留以を嘲笑うかのような声。
それでも、心を落ち着かせ、ただひたすら構えを取り続け――。

不意に、風が流れた。

「やぁっ!」

大太刀を抜く瞬間、腰をひねってほぼ真後ろに振り返る。
遠心力をつけながら振りぬかれた大太刀は、風をとともに、何かを斬り裂いた。

阿曇留以 > ギャア、と断末魔が響く。
その声が引き金となったか、あちこちから風が流れ、阿曇へと襲い掛かる。

しかし留以は慣れたように、大太刀を振り、周りの木ごと、襲い掛かる風を斬り伏せる。
舞うように回りながら袈裟斬りをおこなったり、すり足でその場から数歩下がり下段から上空へ斬り上げをおこなったり。
とにかく止まらず、動き続け、刀には常に遠心力を持たせながら風を斬り裂いていく。

阿曇留以 > 時に斬り伏せ、時に回し蹴り、時に掌底で風を殴り、怯ませて斬る。
幾度も幾度も風を切り伏せ、やがて――。

フィールドの結界が消える。
演習場には、巫女装束を乱し、倒れている留以だけがいた。

阿曇留以 > 「はっ……!は、ぁっ……!はぁっ……!」

滝のように流れる汗。
乱れた服も気にせず、ただ地面を見つめながら、なんとか立ち上がろうと肘を突いている。

阿曇留以 > 「やっぱり、だめ……!」

ごろん、と大の字になり、仰向け。
愛用の大太刀は手から離れている。

あの後、風を斬り続けた留以は更に大きな風が現れ、何もできずやられてしまう。
圧倒的な力の前に地面に叩き伏せられ、敗北を認めた時点で結界はとけた。

ご案内:「演習施設」に雨宮 雫さんが現れました。
雨宮 雫 > 医務室で仕事をしていたのだが。
システムでフィールドの解除を検知したので様子を見に来た、真面目な保険課の生徒を装った

"怪我人出てないかな"

を期待する不埒者であった。

ドアを開けて入ってくると

「ぉ、要救助者かなー、かな?」

倒れている巫女さんを発見。
いそいそ、わくわく、と足取りも軽く近づいていくのであった。

「もしもーし、こちら保険課だけども。
 近寄って大丈夫かな、もし、まだ訓練中だったら右手を上げるか、声に出してくださいだね、だね。」

阿曇留以 > 呼吸を乱しながらも、かかってきた声にそちらを向く。
なんだか、わくわくされてる、ような気がするのは気のせいだろうか。

「あ~……大丈夫ですよ~。
訓練は終わりました~」

左手で女性…いや、男性……?
とにかく、話しかけてきた彼のほうへ、手を振る。

ご案内:「演習施設」に悠樹臨助さんが現れました。
雨宮 雫 > 「はいはーい、じゃあ、お邪魔しますだね、だね。」

きりっと真面目くさった顔をしつつ、しつつも楽しそうな雰囲気が僅かに漏れるのが隠しきれていなかった。

倒れている巫女の頭の方に近づくと、そこにしゃがんで顔を見る。
右手の袋からタオルを出して。

「タオル要る?すごい汗だけど、大丈夫かな、かな。
 動けないなら救護するけど。

 あ、ボクは保険課の雨宮 雫ですよ、そっちは落ち着くまで名乗らなくていいからね。」

ご案内:「演習施設」から悠樹臨助さんが去りました。
阿曇留以 > 呼吸の乱れはまだ直らず、大きく息をつきながら質問にコクコクと頷く。

珠のような汗は徐々に引いているが、まだ流れ出ている。

(救護が、好きな子なのかしら……)
なんて、わくわくしてる雰囲気を読み取ってそんなことをおもっている。

雨宮 雫 > 「はい、じゃあ……  まぁなんか辛そうだね。
 顔拭いてあげるよ、時々、そのまま気絶してる生徒が居るから、そうじゃないだけ、全然元気な方だと思うけど。」

何か、ダラダラ汗を掻いてるのを気にしたのか、渡すよりもコチラで拭いてやろうとタオルを顔に近づけていく。

怪我人病人大好き大好き、だが、それを嬲って遊ぶ趣味はないので、仕事については100%の善意でできているのだ。

特に異論なければ、そのまま顔や首をワシワシと拭くだろう。
まあそれなりに丁寧に。

「ところで生徒、でいいんだよね、多分だけど、だね、だね。」

阿曇留以 > 特に抵抗はせず、ワシワシ拭かれていく。
汗がなくなるだけで、なんとなくさっぱりした気になる。

「あ、ありがとう、ございます雫さん。
えっと、その通りで、生徒です。一年の、阿曇留以、です」

雨宮 雫 > 汗を拭うと、今度は何時の間にか左手にストローの刺さったスポーツ選手が時々使ってるような飲み物を啜るボトルを持っている。

顔の前に はい と差し出す。
そうしながら、雫の顔は転がった大太刀に向いている。

「そんなになるまで、素振りでもしてたのかな、かな。
 気力体力、赤ゲージって感じかな、かな。

 あ、これ自販機で売ってる清涼飲料だから。
 保険課で買ってるヤツを冷蔵庫で冷やして詰めただけだから。

 脱水症状とか起こしそうな生徒向けだね、だね。」

安心感をアピール。
他意はない、他意はない、決して、何も。

阿曇留以 > 顔の前に差し出された清涼飲料を受け取り、一旦横にむいてから上体を起こす。
「ありがとうございます。
えっと、ちょっと訓練をしてまして。
魔術が得意な教師の方にフィールドを構築していただいて、その中で模擬戦をしてたんです。
結果は惨敗で、情け無い姿を晒してただけなんですけれどね」
疑うこともせず、受け取った飲料水を飲む。
ちゅうちゅうのんでは、呼吸をして、再度のんでいくという。

雨宮 雫 > 飲み物の中身は、自販機で飲んだことがあれば分かるだろう、よく売ってる清涼飲料の味がする。

ちょっと体に染み入ってくる感が大きく感じたとしても、それは体が水分を求めているだけのことであろう。
アレンジはしてないよ、今回は。今回はね?

飲んでる様子を見ながら、説明してくれているのに ふーん と頷いてー……

「このフィールド便利だものね、ボクも時々使うけど。
 ああ何か相手が居たのだね。

 見た感じ、怪我とかはして無さそうだけども、打撲とか頭を打ったとかは無いかな。
 大丈夫かな、かな?」

これを聞いたのは入ってきた時に倒れていたから、だ。
他に理由はない。

阿曇留以 > ちゅうちゅうと吸っている清涼飲料に違和感は覚えない。
と、いうのも、実はあまり買わないからだ。
嫌いではないが、大概はお茶という事が多かった。

「ん、そう、ですね。
そんなに大したことはないのだけれど。
背中と腕かしら。
ちょっと受身を取り損なって、背中を地面にたたきつけてしまったり、腕で攻撃を防いだりしちゃったせいで……」

背中は見せることが出来ないが、腕のほうをめくる。
軽い青あざ程度がみれるだろう。

雨宮 雫 > 「毎回、毎度、綺麗に受けられる人は居ないからね。
 そーいうこともあるし、そーいう時の保険課だからね。

 ぁあ、ちょっと打った感じだね、だね。
 触らないでおくけど、じゃあ湿布貼っておこうかな、かな。」

腕にできた青あざに顔を寄せて、じーっと観察。
見た感じ、ただの打ち身だろうと思われる。

模擬でそんな変な傷は貰わないだろうし、問題ないだろう。
実戦の怪我ならもっと診るが。

袖の中からよく見かける湿布が出てくると、シールを剥がしてー……と

「貼る前に聞いておくけど、いいかな、かな?
 良ければ保険課での実績作りに協力して欲しいしね、うん。」

阿曇留以 > 「……?え、ええ。
貼ってくださるなら、すごくありがたいのですけれど……」

逆になぜ尋ねられるのだろうと首を傾げる。
もしかして、治療を拒む人間がいるのだろうか。
どちらもWINWINの関係になるしいいじゃないか。
と、いうことで素直に腕を差し出している。

雨宮 雫 > OK、が出ると、そのままペターと湿布を貼る。
ひんやりするだろう。

「ぁー。
 何で聞くの?って顔だね、だね。

 時々ね、再生能力を鍛えるとか、宗教上の理由とか、色んな理由で 手当てはノーっていう人が居るのだね、だね。

 だから、訓練とか演習してる子にこっちから声かけた時はボクは確認する場合が多いのだね、だね。

 意識がない時は勝手にやっちゃうし、保健室に来る子はそーいうのないだろうから聞かないけど……」

難しいね?と、苦笑のような顔になった。

阿曇留以 > 説明を受ければなるほど、といった顔。

「確かに、そういう人達もいますか……。
雫さんは優しい方なんですね。
ちゃんと尋ねて治療するだなんて」

ひんやりする腕、シップが貼られた所を上からさする。
ひんやりする感覚、独特の匂いには苦笑してしまいつつ。
背中はどうしてもらおうかと考える。
女性ならやってもらっても構わないが、男性なら、お互いに気まずいため、やってもらわないほうがいいだろうか。

雨宮 雫 > 「いやぁ、後で 何で治したんだ ってクレームはちょっとほら、困るじゃないかな、かな。
 じゃあ、同じ怪我させてやんよお!ってレンガで殴るわけにもいかないし、殴ってもいいけど、怒られるしだね、だね。

 だから優しいというか、割と自分を守ってる感じかな、かな。」

ははは、と湿布を貼った手を横に振って、優しさを否定する。
優しい人間にはあんまり医者とか向いてないよ、とも付け足す。

「背中も貼る?
 一枚使ってくれたので今ならもう一枚。
 貼るならやるけど、あんまり痛くないならどうしてもって感じじゃあないけど……早く治るよ、お客さん。」

もう一枚湿布を出して、にっこり笑った、セールストークつき。
性別は全く気にしていない。被験者もとい患者にはそういう興味が無い。