2016/06/07 のログ
ご案内:「廃神社」に蕎麦屋さんが現れました。
蕎麦屋 > 寂れた廃神社に、場違いな担ぎ屋台が一つ。
屋根には烏が一匹。そして屋台の主である女が一人。

所謂、人待ちである。
治安のよい中心部は自分には都合が悪く、相手をわざわざ敵の本拠地たる場所に呼ぶ必要もない。
となれば自然、こういう場所を指定せざるを得ず。

「――さて、来ますかしら。ね?」

烏に持たせた伝言で、相手の気が向けば――ほどなくここに来るだろう。
来ないかもしれないが。それもまた一つの話。

ご案内:「廃神社」に伊都波 凛霞さんが現れました。
伊都波 凛霞 > ばさばさと、烏が羽ばたく
風を切るようにして飛んできた、一羽の烏の後ろ
少女が駆け足で追いかけて、その場へと現れた

屋台を見つけた少女は、少しの驚きと、困惑の表情を見せる

…この烏が自分の元を訪れた時、少しだけ期待感があった
自分についてこいと空を舞うこの烏の行く先に、友人の無事な姿を想起したからだ
現実は、そこまで優しくない

「……こんにちわ」

乱れた息を整えながら、とりあえず待っていたであろう人物に挨拶を投げかけた

蕎麦屋 > 「あら――こんにちは。」

なるほど、主人の友人は義理堅いらしい。
場違いな蕎麦屋に困惑と――隠しきれない落胆の色。
二羽目の烏が屋台に留まる。記憶と思考、彼女の友人が使役していた神話の烏。

「ごめんなさいね、本人じゃなくて。
 他に連絡の取りようもなくて。―――えーと。司君の案じてたりんかさん、で合ってる?」

フギンが連れてきたのだから間違いはないはずだけれど、一応、確認はしておこうか。

伊都波 凛霞 > 「伊都波凛霞、です……貴方は…?」

司から届いた、精一杯の念話ではもう一名の名前が挙がっていた

だから、もしかしたらという思いはあったのだけれど
…屋台に止まる、もう一羽の烏
それを見て、半ば確信へと変わる

蕎麦屋 > 「私ですか?はい、落第街、とやらの方で蕎麦屋を営んでおります。
 と説明するよりも、今は司君――主の召喚獣、ヘルヴォルと名乗ったほうがよろしいかしら。」

契約自体は履行されてないので、仮みたいなものですけど、と付け加えながら、名乗る。
名乗りの通り、見た目は大柄で、異国風の容貌であることを覗けば、蕎麦屋に見えないこともない。

「主のオーダーで貴方と接触することにしたのですけど。
 貴方を手助けしろ、などという漠然とした命ですので、まずは意志を確認したく思いまして。」

前置きは要らないだろう。本題を切り出す。
多分お互いが聞いている、あの念話の内容について。

伊都波 凛霞 > ヘルヴォル、その名前は司の言葉に出てきたものを一致する
…あんまり、外見からピンと来る名前じゃないけど、巧妙な偽装なのかもしれない

すぅ、はぁ、と深呼吸をして───

「…お蕎麦、一杯いただけますか?お腹すいちゃって」

本来なら食べている場合か、というところなのだけど
まず現状把握にも困る状態、慌ててもそれはそれで仕方がないというものがあった

蕎麦屋 > 「はい、蕎麦一丁。少々お待ち下さいね?」

まずは注文には普通に答える。
屋台に寄れば。器を手に取り、蕎麦を茹で。手慣れた様子で、瞬く間に――

「はい、お待ち。ああ、天かすと薬味はそちらからどうぞ?」

差し出されたのは、湯気の立つ、かけ蕎麦が一杯。
屋台の机の隅に置いた天かすと薬味の器も示す。

伊都波 凛霞 > 「どうも」
笑顔で器を受け取り、薬味をくわえて、すする
美味しい、癖のない一品だ

「ごめんなさい、少しでも何かで気を紛らわしながらじゃないと、
 落ち着いて話ができそうになくって」

苦笑して、言葉を続ける

「あの念話はきっとヘルヴォルさんにも同じ内容が飛んでるんですよね?
 司ちゃんがどうしてそういうことになったのか、とかの経緯は……」

もし自分と同じ立場なのだとすれば、それは知るよしもないのだが…

蕎麦屋 > 「ええ、まぁ蕎麦屋ですので。蕎麦を食べてもらえるなら文句は言いませんよ。
 どうです、お味の方は。」

なにせ急な話であることだし、動揺するのも仕方ない――と思う。
自分にしろ、叩き起こされてそのまま作戦会議を開いたほどであることだし。 

「念話に関してはおそらく同じものかと思いますけれど。さぁ、その辺りの話はさっぱり。
 私など契約してまだ数日なものでして――経緯というなら、まだ凛霞さんの方がお詳しいかと思いますよ?」

首を左右に振る。実際のところ、どういう状況か、と言われてもさっぱりなのである。

「スラムの地下――とは言っておりましたけど。
 おおよそ誰かに引っ掛けられて、自慢のルーン魔法封印された挙句、どういう意図かで生かされている。
 推察できるのはそのくらいでしょうか。」

伊都波 凛霞 > 「美味しいです。おだしがしっかり効いてて」
感想を聞かれれば、ふわっとした笑みでそう答えて

しかしその顔も、すぐに曇ってしまう

「念話で言ってましたよね…私と妹が狙いだ、って…。
 だからきっと……」

そう、高峰司は"餌"として利用されているのだ

コトリと空になった器を屋台において、俯く

「なんで、私だけじゃなくて妹まで…。
 あの子が狙われる理由なんて何もない筈なのに。
 ……公安や風紀には、通報しないほうが良いんでしょうか…」

蕎麦屋 > 「はい、毎度。
 気にいられたのなら、今後ともご贔屓に。出前も受け付けておりますよ――」

くすり、と。営業はしておこう、客は増えるに越したことはない。
だがそれは本題からは逸れること。それ以上は脇に置いて――

「らしいですね?
 どういう意図で狙われているのかは存じ上げませんけれど。」

『視た』ところは、普通の人間である。――見た目がよい、というだけでここまで手の込んだことはしないだろう。
特に何やら変わった様子があるわけでもない。

「風紀、公安、そういうものがどれほど役に立つのか、は私には分りかねますけれど。
 連絡するにしても、信用できる方を選んだほうが良いかとは思いますよ?
 なにせ、私と契約できる程の魔術師を封殺できる相手ですから。ただの個人、とは思えませんので。」

相手が個人か組織か、と言われれば後者の方が公算が高い。
そうなると、表の組織に内通者――そういう類のものが居る可能性は大いにある。

伊都波 凛霞 > 「……幸い、というか…。
 司ちゃんが即座に念話を飛ばしてくれたおかげで、
 犯人から私へのコンタクトは直接はまだないです。
 …考えを練る時間はあります…あります、けど」

ぎゅ、と拳を握る

その間に囚われている司がどんな目に遭っているかも、わからない
そう思うとどうしても気が早ってしまう
公安や風紀に手が及んでいた場合は逆効果、という事実も確かにあって

「…司ちゃんとのリンクが途切れた位置、
 その周辺を洗えば…スラムの地下市施設も限定エリア内ならそこまで数は多くないはず…」

冷静と焦りの狭間で揺れる
考えれば考える程にその色は強くなって、今にも落第街へと飛び出して行きそうだ

蕎麦屋 > 「幸いにして時間はまだ、多少。ですが急ぐに越したことはないでしょうね。
 主に何かあると私も困りますので。」

動揺し、焦燥している割に、冷静に分析はできている。
主の友人というだけあって、中々の人物かもしれない。評価を若干改める。

「そちらの方は幸いに、と言いましょうか。
 私、こうみえてスラムにお邪魔してまして――大体の位置は、見当は付けてありますよ。」

カァ、と案内をしなかった方の烏――ムニンが一声、高らかに鳴く。

「ただ、今すぐ一人で突っ込む、とおっしゃられるなら、私は貴方を止めようと思っています。
 態々主が念話を飛ばすほどです。むざむざと術中に突っ込むのを放ってはおけません。」

雰囲気に、釘を刺す。一人で行ってどうなるものか。
行かせてしまえば、それは契約に対する裏切りにもなる。

伊都波 凛霞 > …一人で救出に向かえば、最悪の場合は自身が捕まり司を助けることもできない
それどころか、妹を入手させる絶好の手札になることは自分でもはっきりと理解る
風紀や公安に信頼の足るツテを作ることは今すぐには難しい
状況を考えて、整理すれば───

「どちらにしても、先手を打つにこしたことはないですよね…。
 アバウトにしろ位置が特定できているなら…今なら打って出れば奇襲になります。
 ……もちろん、正面から堂々と…というわけにはいかないかもしないけど…」

隠密術も仕込まれてはいる、が、
普段から使うものでもなく…突然実践できるかと言えば疑わしい

「…ヘルヴォルさんは、何か手は…?」

考え詰まったか、そちらに問いてみる

蕎麦屋 > 「先手は打ちたい――ですね。
 念話を飛ばしたことは、相手も含めて遅かれ早かればれるでしょう。
 そうなるまえに、というところですが。」

肯定するように頷く。
こちらのアドバンテージと言えば。まだ相手が気付いてない、その一点のみ。
最大限に生かして殴り込むのが上策なのだが。

「あ、すみませんが蕎麦屋でお願いします。一応隠れ住んでる身でして。
 手に関しては――」

ヘルヴォルと呼ばれれば、訂正を入れる。今は蕎麦屋。――今は。
考え詰まっている。という意味では同じ。

「正直、私が真正面から突っ込んで陽動掛けてる間に助けてください、くらいしか。」

ザ・脳筋。

ご案内:「廃神社」に”マネキン”さんが現れました。
伊都波 凛霞 > 「わかりましたお蕎麦屋さん」
そう呼び方を訂正して……

「危険じゃないです…? もし何、か……」

そこで、言葉を詰まらせる
携帯が、鳴っている───

”マネキン” > _
【高峰司のスマホから伊都波 凛霞へのコールが鳴る。
音声だけでなく画像通話だ。】

【画像を表示して出れば、カメラの向こうには薄暗い部屋のなかにモニターがいくつか映っている様子が表示される。
通話者の姿は映っていない。】

伊都波 凛霞 > 通知された発信元は───高峰司
凛霞の顔色が変わる

「司ちゃ……」

慌てて通話に応答する、耳元に当てようとして画像通話であることに気付いた

蕎麦屋 > 「あら――」

電話のコール音、続けての凛霞さんの反応。
――とりあえず、画面に映らない位置に移動しておこうか。

代わりに、烏の一匹がそれとなく画面を覗ける位置に移動する。

”マネキン” > ベタな手段で恐縮だが、寝ている彼女の携帯電話を借りている。
久しぶりだな、伊都波 凛霞。

【画像は部屋だけを映しており、声だけが聞こえる。】

”マネキン”だよ。
司ちゃんでなくて悪いね。

伊都波 凛霞 > 「───!」

記憶力の良い凛霞はこの声を覚えている
確か、この声は………
それに、久しぶりだという表現も

「……貴方、学園の生徒…?」

そう、あの時教室で、薬学の講義の真似事をしていた、あの生徒
それを思い出す

「司ちゃんのこと、どうするつもりなの…」

蕎麦屋 > 「――?」

おや、この声は聞いた覚えがありますね。
海苔も要らぬと仰ったお客さんでしたか。案外世界は狭いですね。

とはいえ、口は挟まない方が今は良いでしょう。

”マネキン” > 今のところは、何も。
身の安全は保障しよう。

【モニターのひとつが表示される。
高峰司がアクリルの床に眠っており、その腕には点滴が付けられている。
彼女の右足には手当てした跡があった。】

多少の怪我はしているが、眠っているだけだ。
さて、要求をしたいところなんだが。

伊都波 凛霞 > わからない
なぜこの声の主がこんなことをするのか
自分が、自分と妹が目的なのだとしたら
あの時あの教室は、絶好の機会だったじゃないか

…考えを巡らせても、わからないものは、わからない

「…続けてください」

動揺を悟られないよう声のトーンを戻して、言葉を待つ

”マネキン” > 続けよう。
こちらの希望としては姉妹揃って指定する地点へ来て欲しい。
その場所に彼女もいる。

手順は…

【スラム廃墟下の地下室へ侵入する手順を伝えた。
高峰司にも伝えたのと同じものだ。】

疑問点や気になる点はあるかい?

【聞く人の主観にも寄るだろうが、口調は気軽そうだった。】

伊都波 凛霞 > 単純明快な指定、
高峰司が、文字通りの人質以外の目的で捕らえられたわけではない、
そのことがよくわかる───

だから

「私と妹に一体なんのようがあるの…?
 私達が、そっちの希望通りに動かなかったら…?
 …風紀委員や公安に、通報したらどうするの?」

当然叩きつけるべきものであろう疑問は、全てぶつける

”マネキン” > 希望通りに動かなければそれもまた一つの結果だ。
風紀に連絡すれば犯人は消え、彼女は無事救出されるだろう。

そしてその身と事情を余すことなく調べられ
場合によっては親元へ帰されることになる可能性もある。

公安であれば…さらに言うまでも無いと思うが。

【画面の端に高峰司について調査したと思しき資料が映る。】

忠告しておこう。
そう言う相手に助けを求めるのであれば、口が固く信用できる相手だけを慎重に選ぶことだ。

伊都波 凛霞 > 「………」

人質を殺す、という言葉は出てこなかった
でも、きっと高峰司にとってそれは……

「……期限は」

相手の目的は、これで明確に
しかし自分達にどういった用事なのか、そこだけは答えてもらえず

妹を絶対に巻き込むわけにはいかない、という想いが胸に灯る

”マネキン” > 危害を加える気はない。
放っておきたければ一年でも面倒は見よう。

ただ、…忠告しておくならばなるべく早いほうがいいと思う。

【もう一度彼女の姿が映る。
彼女に打たれている点滴の雫が落ちていく。】

…なるほど、烏がいるな。

(たしか、友人のいない彼女は公園で烏を友人にしている様を頻繁に目撃されている。
最後の様子はそういうわけか。)

伊都波 凛霞 > ぞく、と怖気が走る
危害を加える気がない、という言葉を信用するにもしないにしても
今、高峰司は何かをされている

「…何、を…司ちゃんに、何を打ってるの…?」

嫌な予感
どうしても思い出される、あの薬学の講義の真似事
鼓動が早くなる

「…ここは青垣山、鳥くらいいくらでもいるよ」

蕎麦屋 > 「――」

姉妹そろって初めて意味がある?よくわからない話になってきた。
それよりも。正確な位置が分ったのは大きい。
二羽の烏の調べた結果と組み合わせれば、あるいは――

なんにせよ、凛霞さん一人と思わせた方が今は、正しい。

”マネキン” > …答えてあげたいところだが、そろそろ特殊回線の使用が時間切れだ。
また今度連絡しよう。

【画面が動いて床を向く。】

妹への連絡も、君の希望通りにするといい。
何も知らないままというのも、いいだろう。

【通話は切れた。
向こう側で財団所有の異界化回線への割り込みをカットする。】

伊都波 凛霞 > 「待って!まだ話は───」

通話が途切れる

……力なく、携帯を持ったその手を垂れる

冷静なつもりだったのに、
実際にその映像を見てしまうとこんなにも心を乱される
それだけで、正確な判断・思考力を奪われてしまった

「…連絡なんて待ってられない…助けにいかなきゃ…!」

ご案内:「廃神社」から”マネキン”さんが去りました。
蕎麦屋 > 「――まぁ言ってる間に連絡ありましたね。いやはや。
 さて。」

激昂している――動揺している。
うむ、人間らしい。人間は、そうでなければ。そう思う。
だからこそ――

「――はい、落ち着きなさい。
 助けには参りましょう。ですが冷静さを欠けば何も成さぬまま終わります。」

宥めなければならぬ。
此処で終わらせるのは惜しい。続いてもらわなければ困るのだ。

伊都波 凛霞 > 「そ、そうですよね、そう───」

落ち着いて、落ち着いて…
落ち着いていられるわけがない

「すぐに作戦考えましょう。
 あ、お蕎麦屋さんが私の妹に変装するとかどうですかね!?」

おもいっきり見上げながらそんなことを言うくらいにはまともな思考ができていない

蕎麦屋 > 「うわぁ――確認しますけれど、貴方の妹と私、背丈は似てますか?」

いきなり斜め上の提案から入ったよこの子。
192cmの妹が居るなら私が見てみたいよ。

「まぁ、話を聞いたところ――殺す気はないようですし。
 ちゃっちゃか突入しちゃいましょうか。」

駄目だこの脳筋。

伊都波 凛霞 > 「妹は私よりちょっとだけ低いくらいかな…なんとかなりません?気合とかで…」

なりません
姉も長身のほうとはいえ170cmちょっと、常識の範疇である

「冗談は置いといて、司ちゃんに投与されてた点滴も気になるし…
 行動を起こすなら早くないといけなさそうですよね…」

蕎麦屋 > 「なりません。」

きっぱり。

「まぁ、救出自体は――私が付いて乗り込めば何とかはなると思います。人手が居るならうちのお客さんにでも声をかけても宜しいですし。
 ただ、先ほど――主の情報がどうとか、親元に還されるとか言っておりましたけれど。
 そこはさっぱり諦めるのが手っ取り早いかと。――というよりも、止める手段がありません。」

さて、重要なのは。
主人の身柄そのもの――よりも、主人の情報に重点が置かれている点。
情報を止める手段、というのが此処にはない。
情報をとめなければならない、というのならまずはその手段を用意する必要がある。

「――そうですね、情報戦、出来れば交流関係が広く、影響力のある人間。
 心当たりはありません?」

伊都波 凛霞 > 「うーん…私だってただの一般生徒だし、そんなこと言われても…」

そんなに顔が広くて情報戦に長けていそうな人物なんて…

…ふと、烏丸秀の顔が浮かんだ、が

今あの人にお願いをするなんて、なんだかダメな気がしてしまう

「じょ、情報に関しては風紀や公安が感づく前に片を付けるぐらいしか…」

結局、脳筋作戦が一番という結論に辿り着きそうな二人であった

蕎麦屋 > 「ありませんか。でしたら――」

勘づく前に片づけたところで、漏れた情報は恐らく――主人に悪い方向に影響するだろう。
私が出るのも、酷く言えば、相手に手の内を晒すだけの愚策ではあるのだが。
仕方ない。主人には割り切ってもらおう。

「ええ、気付かれる前に片付けることとして、参りましょうか。」

言うが早いか、手早く、屋台を片付け始める――。

伊都波 凛霞 > 「えっ!? 今から…!?」

いそいそと支度をはじめる蕎麦屋にさすがに驚いて、
でも奇襲なんていうのは、そういうものなのかもしれない

こうなればお姉ちゃんも腹をくくる

「じゃあ…手筈通りお蕎麦屋さんは陽動で、私は身を隠しながら司ちゃんが掴まってる場所を特定して、救出します。
 出会って間もないのに即席タッグですけど…よろしくお願いしますね」

蕎麦屋 > 「急ぐと言ったのは貴方ですよ。――準備、何か致しますか?」

一応、再度聞いておく。
拙速を貴しとすれど、急がば回れとも言う。
どちらが正しいかは結果が出なければわからないこと。

「まぁ、場所に関しては、先ほど親切にも教えていただきましたから、問題ないでしょう。
 陽動も必要ない気がしますが――」

引っかかるところが色々と多い。というかあらゆる点でわけがわからぬ。
陽動が必要かどうかも――

「ああ――、一応。主人の友であれば私の友でもあります。
 これを、何処かに身に着けておいてください。私の方が位置把握しやすくなりますので。」

言いながら、手渡す。
細く、しなやかな、端は千切れたように縮れた20cmほどの紐。

伊都波 凛霞 > 「落第街に行く以上は最低限の準備はしないと……」

目的地に辿り着くまでにだって何があるかはわからない

「じゃあ、真正面から…?
 ……これは?」

手渡された紐をじっと眺めて

蕎麦屋 > 「歩き慣れれば平和なものですけれどね。」

伊達に落第街で商いはしていない。

「私の昔馴染みの遺品ですよ。同胞の気配は多少なら辿れますので――主にも渡したのですけど、物が悪すぎました。
 ああ、もし物品の来歴や思考を読む魔術をご存じなら、試さないでいただきたい。脳味噌焼け付きますので。」

引こうが切ろうが、千切れないだけのただの紐である。今は。

伊都波 凛霞 > 「あ…そうですか、気をつけます…」

うっかりサイコメトリーを発動シないように気をつけなければ
忠告があって助かった

「…ここからだと…1時間後に歓楽街…。
 落第街の入り口で如何ですか?私も、可能な限りの準備はしていきます」

蕎麦屋 > 「はい、理解が早くて助かります。」

主人の友人にこんなもの渡したとか言ったら私どやされますし。

「一時間後に――落第街の入り口ですね。
 申し訳ないですけれど、私、連絡手段がありませんので――何かあれば。フギン?凛霞さんに付いて行って。」

屋台の屋根に留まったままの烏の片割れ、案内をした方。
何か変更か急用があれば、飛ばせ、ということだろう。

伊都波 凛霞 > ばさばさと一匹の烏が、肩へと止まる

「…わかりました。それでは───」

すぅ、と大きく息を吸って、吐いて

「必ず助けましょう、司ちゃん」

そう言って足早にその場を去っていった


───が、すぐに戻ってきて、慌てたようにお蕎麦のお代を支払っていくのでした

ご案内:「廃神社」から伊都波 凛霞さんが去りました。
蕎麦屋 > 「はい、毎度――」

お代を律儀においていくあたり、出来た子である。
ならば、なおさらなんとかせねばなるまい。――とはいえ。

「コミュニティの規模はあの子の方が私より絶対上ですからねぇ……」

去っていった先を見据える。
言いよどんだということは当てはあるのだろうが――期待しすぎるのも酷か。

蕎麦屋 > 「さて、ムニン。行きましょうか。」

屋台を担げば、烏が一声。
さて、私の方もある程度は、何か。

うーん、無理。
それより屋台担いで下山は中々骨が折れそうだ――。

ご案内:「廃神社」から蕎麦屋さんが去りました。