2015/06/24 のログ
■白崎玲刃 > ………!?…これはまずったか…?
【玲刃は、部屋に充満してゆくガスを見て危険なものだと判断し即座に息を止める、
彼の再生の異能は遅いが、回復魔術と併用すれば、酸素不足による細胞の死亡と釣り合わせる事位は可能であった。】
(蟲か…ならば…
いや、これは声を使わねばならないか…
ああ、なるようになるだな)
【巨人の内部に見える蟲の群れを見ながら、
顔を顰めながら、息を吸い込まない様に声を出さずに思考する。
そして、収納の魔術を発動し、
投げナイフと両手に3本ずつ、計6本取り出す】
混成補助魔術 エンチャント ファイア
【それらに、エンチャントによって火の概念を付加し、
巨人の腕の断面から見える、蟲の群れへと投げ放つ。
しかし、エンチャントをかける時に、声を出す必要があった為、有毒なガスを吸い込んでしまう。】
■麻美子 > 学生の所に駆け寄ると、生きている事を手早く確認して、
『異能』を発動して部屋の外へ運び出す準備を整える。
「っと、これは毒ッスか。」
溶けていく床を一瞥すると、舌を打つ。
鞄から鉄球を取り出すと、先に巨人があけた天井を見る。
僅かに光が差し込んでいる、つまり、外に繋がっているのだろう。
「……久しぶりッスけど、いけるッスかねー?」
天井に向けて鉄球をいくつか放り投げる。
捻じ曲げられた『物理法則《ルール》』によって加重された『ソレ』は、
空気抵抗すら受けずに音速を越えて飛翔し、
天井に穴を空け、部屋の中の空気を外に出そうとするだろう。
■害来腫 > 【崩れた天上から日の光が差し込む…麻美子には、丁度巨人の出てきた穴に差し込んだ日光から】
【巨人がいたであろう空間に何か呪文のようなものが書かれていたのが見えたかもしれない】
【崩れた天上の岩が巨人の頭を直撃し、よろけさせる…だが、緑色の液体を口から吐きながらも立ち上がり】
【とうとう天井を完全に突き破りその姿を外へと見せる】
【しかし洞窟の中の者達は、完全に開いた天井から吹く風が、毒を押し出し】
【更に攻撃の際も液体にさえ気をつければ、流れる風でガスで反撃を受ける心配も無くなった】
【即ち、今こそが好機!】
■麻美子 > 天井を見て満足気に笑みを零してガッツポーズを取る。
「よし、上手く行ったッス!!」
そこで、ふと、呪文のようなものに気がつくが、
魔術の知識の無い自分には理解できないものと諦めて首を振ると、
彼女はそのまま入ってきた時の穴を抜け、学生を外に連れ出す。
「学生は助けたッス!2人とも、あとは任せたッスよ!!
ダメそうならさっさと逃げるッス!!!」
毒でふらつく玲刃のほうをちらりと見て、『無理はするなッスよ。』と呟き、
彼女はその学生達を一刻も早く専門の病院に連れて行こうと
大急ぎでその部屋から出て行った。
■霜月 零 > 「崩れた……!」
巨人が崩れ、毒の制約も消えた。これならば、攻撃に手を回すことが出来る。
が、問題は射程。頭部を狙って頭を完全に潰すにしても、零の太刀では射程が圧倒的に足りない。
故に。
「行くぜ……金行、刀剣強化!」
金行の力を集め、持っていた小太刀の柄の部分を大きく延長し……所謂「菊池千本槍」と同じ形状にする。
そして、それを巨人の頭部目掛けて……
「霜月流巫刀術射刀式……車軸之雨!」
ブン投げた。
まさしく槍投げの様に、しかし巫術で最大限強化したため弾丸をも上回る威力を以て。
一本の車軸の如く、槍と化した小太刀は巨人の頭部に襲い掛かる……!
■白崎玲刃 > ………っぅぅ…
【一度吸い込んだ毒ガスによって内臓を損傷し口の端から血を流しながらも何とか立ち続ける玲刃、
どうにか再生と回復によって毒ガスの効果をある程度押さえられてはいるようだ。
そして、麻美子が天井を壊した事によって、これ以上毒ガスを吸い込む心配の無くなった玲刃は、一度大きく深呼吸した】
………すぅ………はぁ……
【毒によって動きにくさのある身体を無理やり動かしながら、
収納の魔術で大剣を取り出し、
弓につがえる、
大剣という大質量を片手に持ちながら重い弦を引く、そして、毒により動きにくい身体、
明らかに、無茶な行為である。】
………っ!……
【毒によってふらつく体により、
なかなか照準が定まらない…
しかし、何とか一瞬、巨人の胴体へ大剣の先が向いたその瞬間、
弦から手を離し大剣を放つ
先程の、長剣よりは遅い速度、しかし、音速はゆうに超えている速度で、
大剣という大質量が巨人の胴体へと迫ってゆく。】
■カエラム > 足音はついに大穴をくぐり、天井の破壊された大部屋に侵入した。
巨人の四分の一ほどの巨体、その頭は暗みがかった白。
空の眼窩と肉のない顔は、まさしく骸骨そのものだった。
「―――」
もう一匹の怪物は周囲の状況を確認する。
腕から毒を流す、屍の巨人。
ハンカチで口を覆う、見知らぬ男。
毒を吸いながらも巨人に立ち向かう、見た事のある男。
正気を失った学生らを救助する、自身の恩人。
そして呼吸の必要がない、自分自身。
「―――LnX.」
『―――刈る。』
右の眼窩から棒を取り出し、その先端に果実を実らせる。
熟れた果実を引き裂いて、自分の体長ほどある鎌のような刃が顔を出す。
人並外れた……それこそ化け物じみた瞬発力で駆け出す。
ある程度勢いがついたところで地面を蹴り、開かれた天井から外へと飛び出す。
流れ出る毒の真っ只中ではあるが、自分なら平気だ。
死神は空中で大鎌を構え、数度回転した後に巨人の首に向けて振りかざす。
せめて、魂に安寧を齎すために。
■害来腫 > 【カエラムの一撃が、鈍重な巨人の首を刎ね、続く霜月の投擲した小太刀が貫き、その衝撃の余波で頭が爆散する】
【だが、巨人は止まらない…千切れた首からはやはり大量の蟲が姿を覗かせている】
【謂わばこれは、入れ物であって、生き物ではないのだ、内包した毒を】
【指定の場所まで全自動で運び、その道中、迎撃に来た者、最終的な目標地…その全てを汚染する…】
【故に、人体で急所に当たる部分を貫いても動きは止まらない、やるなら】
【動けなくなるまで破壊するしかない】
【白崎の大剣が胴体を貫くと、大量の液体と蟲を溢しながら】
【巨人が大きくよろめく…】
【だがそれでもなお、巨人は動きを止めない、そして頭が無い今、胴体の向きから予測されるに】
【巨人が向かおうとしているのは目の前の落第街…そして】
【その先にある歓楽街、及び学園そのもの】
【理由はわからないが、これを作ったものはどうやら無差別テロを画策していたようだ、これが待ちにいけば当然惨劇は免れない】
ご案内:「落第街下水道」から麻美子さんが去りました。
■霜月 零 > 「ちっ、根本から断たないと駄目か……!」
自分の手札の中から、このサイズに打撃を与えられる技をチョイス。
それは、炎の巨人事件の時、その炎の巨人の腕を切り裂いた秘剣。
太刀を抜き放ち、構えは大上段。そのまま、太刀に金行の力を流し込む。
「金行、国断……!」
国を断つ、とあだ名されるほどの巨大な大太刀……それを、太刀を術で補強することで無理矢理再現する。
そして、まるで目の前の巨人を圧するが如く剣気を発し……
「……ここだっ!」
刹那、体ごと沈み込むように振り下ろす。
――巨人の腕を裂いた雷帝の一撃……秘剣「因陀羅」。
流石に零の技量では10mサイズの巨人を脳天から唐竹に、とはいかないが……胸部辺りから、股下までを裂く様に、全重量を乗せた最速、最重の一撃が巨人を襲う……!
■白崎玲刃 > ……くぅ…これでも威力が足りないか……
ならば…
【大剣が巨人の胴体を貫いたのを見ながら、しかし、予想以上の巨人の強度に驚きつつ、
毒でよろめきながらも思考を巡らせて策を得る】
………貴重品だが仕方ない…
【玲刃は収納の魔術を発動すると、弓を仕舞い、
電気の魔剣(プラズマの機工剣)を取り出し、
それを起動する、
そして、魔術を身体強化へと集中させる、
毒による身体の崩壊の進みは速くなるだろうが、
身体強化によって動きやすくはなる。】
…………っ!
【そのまま、電気の魔剣を持ち、巨人へと駆け、
両手で掴んだ電気の魔剣を素早く動かし、
巨人の身体へと向けて、巨人の身体を消し去るように
身体強化に得た速度による高速の斬撃で何度も斬りつけようとする
起動したプラズマによる刃は、触れたものを分解し切り裂くであろう。】
■カエラム > 予想はしていたが、この群には魂の集合体と呼べるものが存在していないようだ。
ならば、この"イレモノ"を破壊するほか蟲たちを解放する術は無いということだろう。
「―――LuX.」
『―――育む』
短い詠唱と共に左手を左眼窩に添えると、真っ赤な薔薇が咲いた。
茨が死神の四肢を包み込み、強化の能力を齎す。
「……能力暴走《オーバーロード》。」
その一言と共に、眼窩から更に大量の茨が飛び出してくる。
何重にも巻きついた茨はやがて巨人と同等の大きさとなり、『茨の巨人』を形作る。
その巨体に見合わぬ速度で巨大な両手の拳を何度も振り下ろす。
■害来腫 > 【燃え立つ巨大な炎の一撃が、巨人を切り裂くだけでなくその体を燃え上がらせる】
【死体をベースにしたためか、その体はあっという間に火に包まれ】
【毒液も流れ出るそばから非により蒸発し、風に流されていく】
【そして白崎の連続攻撃が、最大の武器である毒液を封じられた巨人を切り裂き】
【トドメとばかりにカエラムの異能により作り上げられた茨の両拳が】
【巨人を叩き潰す】
【残った体のパーツも、限界を超えて崩壊の進んだ体を維持できなくなり】
【その場に倒れる】
【潰れた巨人の死体と、燃える巨人の死体の残骸、人の焼ける匂いと蟲のおぞましい悲鳴だけが響く中】
【ようやく貴方達は、この巨人が完全に破壊されたのだと理解した】
■霜月 零 > 「ったく……どこのどいつだ、こんなテロかまそうとしやがったのは……」
打ち切った体制で膝をついたまま、溜息交じりにボヤく。
国断での因陀羅は、流石に消耗が激しすぎた……立つのも困難と言った状態だ。
■白崎玲刃 > …………何とか…なったか……?
【巨人を斬り巨人が破壊されるのを確認しながら、疲れた様な表情で呟く。その顔は毒によって青ざめている。
そして、電気の魔剣の電源を切り収納しながらも、
玲刃は、そのまま身体中に回った毒によってふらつき、膝をついた
即座に、回復の魔術に魔術を集中させ、毒の進行を抑え、
そのまま、身体を回復させてゆく
どうにか、集中した回復の魔術と再生の異能により、毒による崩壊と、釣り合い、そして、毒による崩壊を押し返し、少しづつ回復してゆく。】
俺の、推測だと……今はもう死んでると思われる奴だが…
害来腫という奴だ…
今の毒も、以前受けたのと、少し似てるしな…
【受けた毒の感覚と、蟲の様子を思い出しながら、
犯人について推測し、零に苦々しい表情で話した。】
■カエラム > 巨人が破壊されたのを確認すると、死神は茨を解く。
休んでいる二人をよそに、茨の中で手にしていた大鎌を地面に立てる。
すると、七つの水晶が小刻みに光り始めた。
「――からからこんこん からこんこん」
喉から発せられるのは、木琴にも似た音。
何か古い音楽であるようだが、神話に詳しいものならばわかるだろうか。
「――こんこんからこん からこんこん」
それは、鎮魂の唄。
命の苦しむ声を聞き届けた死神が魂に送る唄。
そのまましばらく唄を続けることだろう。
「――からからかん からからかん」
■霜月 零 > 「あー……こんな感じの蟲野郎が、前カフェにいたのを思い出したぜ。アイツかよ」
溜息ひとつ。あの時から気に食わないと思ってはいたが、こういうオチが待っているとは思いもしなかった。
「あー……なあ、誰か小太刀拾ってくれねぇか……ちと、動けん」
困ったようにボヤく。体力を全て注ぎ込むレベルで術を使い技を使ったため、少しの間その場から動けないのだ。
■白崎玲刃 > すまない……俺も動けそうも無い………
【苦笑いを浮かべながら零に自分も動けそうに無いと言った。
玲刃も、毒を受けている中で、身体強化を高純度で発動し、
素早く斬り続けるという事をした為、流石に、体力を使い果たし、動けない様子であった。】
ご案内:「落第街下水道」に害来腫さんが現れました。
■霜月 零 > 「だーよなぁ……ブン屋はちゃっちゃと撤収しやがったし……そこのおっさんよ、頼めるかい?」
いっぱいいっぱい、と言った表情と口調で、カエラムに声をかける。
出来れば、知りもしない相手に自分の武器を触らせたくはないのだが……状況が状況だ、やむを得ないだろう。
■カエラム > 一通り唄い終えた死神は、鎌の刃を引っ込めた後右眼窩に仕舞いこむ。
小太刀を拾ってくれと声をかけられれば、ドクロ頭が振り返る。
「これでも心はヤングでいるつもりなのだがね、まあそれはいいさ。ほら」
声を掛けてきた男のものを思われる小太刀を拾い上げると、彼の元に歩み寄って手渡しする。
■害来腫 > 【放っておいても暫くすれば騒ぎを聞きつけた者達や】
【風紀の者達が集まってくるだろう。】
【面倒を避けるため直ぐに立ち去るか、その後の捜査協力の為残るか】
【どちらをとるかは貴方達の自由だ】
■霜月 零 > 「どーせなら顔立ちもヤングにしといて欲しかったな……サンキュ」
憎まれ口を叩きつつも、礼を言いながら小太刀を受け取り、鞘に納める。
「にしても……」
溜息を吐く。盛大に、これ以上なく大きく。
「……面倒くせぇ」
零れた声は、実に情けないものだった。
……その場を動く体力がないため、その場に残り保険委員によって運ばれるだろう。
ご案内:「落第街下水道」から霜月 零さんが去りました。
■白崎玲刃 > …………そういえば、お前話せるのか…?
【カエラムが話している様子をみて、
以前、教室棟のロビーで会った時は、
言葉を発さなかったのを思い出しながら問うた。】
ふむ……そろそろ、俺は離れるとするかね…
割と派手にやった訳だし、ここに居ると公安委員とか風紀委員とかも来そうだ…
正直、あまり公安委員とは関わりたくないしな…
【そう苦々しい顔で呟くと
毒で覚束ない身体を無理やり動かして立ち上がり、帰ろうとする、】
■カエラム > 「あの時はまだ人間の言葉がわからなかったけれど、あの後必死で覚えたんだ」
そう言いつつゴーグルを身に着け、マフラーを巻きなおし、フードを深く被る。
上が騒がしくなってきたので、脅威度認定の成された怪異である自分は早々に立ち去った方がいいだろう。
「わたしはカエラム。見ての通り、死体さ。
君も見つかりたくないクチなら、わたしが送っていくのも吝かではないよ。どうだい?」
■白崎玲刃 > なるほどな。
あの状態から、必死で覚えたわけか。凄いな
【あの時から、現在までのこの短期間で言葉を覚えたというカエラムを
玲刃は素直に参照した。】
カエラムか。
俺は白崎玲刃、なんでも屋だ。
まあ、死体だってこの学園では珍しいものでは無いさ。
【自身も名を告げた後、
苦笑いで答える玲刃。
しかし、死体が珍しく無いというのも、治安的な意味で問題な気もするが。】
ああ、すまない……頼めるか…
どうにも、動くのはきつくてな…
【申し訳なさそうな表情をしながらも、玲刃は素直にカエラムに頼る事にした。】
■カエラム > 「ははは、ありがとう。
わたしも、わたしの恩人や友達と早く話せるようになりたかったからね」
骨だけの頬をぞりぞりと掻く。
その仕草はかなり、人間の者に近いと言えるだろう。
「白崎 玲刃……玲刃か、覚えたよ。よろしく。
確かに生物なんて、そこら中で死んでるものだしね」
けたけたと笑う死神。
「それじゃあ失礼……と」
肩を貸そうにも身長差があり過ぎるので、横抱きにして運ぼうとする。
■白崎玲刃 > 【カエラム言葉を聞き、の仕草を見ながら、
前に会った時も思ったが随分人間に近く、
そして、見た目によらず、凄く温厚なのだなと玲刃は、カエラムを見ながら考えた。】
………っ…
【そのまま、カエラムに横抱きに抱かれる玲刃、
今回は、身体の損傷は内臓のみであった為、それほど痛みは無い様だ。
そして、そのままカエラムに運ばれてゆくであろう。】
■カエラム > 痩せ型であるとはいえ、一人の男を軽々と持ち上げる巨躯。
「あぁごめん、痛かったかい?
……とりあえず、君の行きたい場所を教えて欲しいな」
そのまま下水道の中を通って、玲刃が示した場所へと彼を運んでいくのであった。
■白崎玲刃 > ああ、大丈夫だ。
じゃあ、とりあえず、落第街の出口の方まで頼む、
そこからなら自力で帰れるだろしな。
【地上までと言おうとしたものの、
この状態で落第街を歩くのは危険だと考え、落第街の出口まで頼んだ。】
ご案内:「落第街下水道」から白崎玲刃さんが去りました。
ご案内:「落第街下水道」からカエラムさんが去りました。
ご案内:「落第街下水道」から害来腫さんが去りました。
ご案内:「カフェ橘 2階」に佐伯貴子さんが現れました。
■佐伯貴子 > (勉強と仕事の合間にとレイチェルをお茶に誘った)
(しかし昨日風紀委員に殉職者が出た)
(複雑な気持ちで席に座り待つ)
ご案内:「カフェ橘 2階」にレイチェルさんが現れました。
■レイチェル > 「……よ」
カフェの階段を上がって、レイチェルがやって来た。
片手を手すりの上で滑らせながら、歩いてやって来た彼女は、
小さく手を挙げて貴子の方へ挨拶をする。
■佐伯貴子 > やあ。
(こちらも片手を上げて挨拶する)
ずいぶんと久しぶりのような気がするな。
まあ座って話そう。
(話すことが多いといえば多いし、何も話さずケーキでも食べるのもいいだろう)
(そんなことを思いながら席を指し示す)
■レイチェル > 「そうだったかな」
何処となく素っ気ない返事だ。
目の前に居て、心此処にあらずといったような、そんな返答だ。
ぱっと見、仕事や勉学に疲れているようにも見えるだろうか。
「……おう」
誘われれば、示された席へと、ゆっくりと歩き出し、
普段通り、どかっと無遠慮に座った。
■佐伯貴子 > …?
いつもの元気が無いぞ。
お疲れ様だな。
(怪訝に思いながらも苦笑してみせる)
とりあえず注文…の前に。
式状猛先輩に黙祷しておかないか?
(こういうことはやらなければならないが、やるタイミングは大事だ)
(どうせなら先にしたほうがケーキの味もゆっくり味わえるというものだろう)
(という理由で提案する)
■レイチェル > 「あ、ああ……そうかな。いつも通りだぜ?」
そう言って、ハッと気がついたような顔をして、
にこっと穏やかに笑って見せた。
「黙祷、ね……黙って祈っときゃいいんだろ?」
普段通り、胸の下で腕組みをして、そのまま目を閉じる。
殉職した風紀委員の話は聞いた。
詳しい話までは知らないが、命を落とした風紀委員が居る、ということは
風紀委員全体に既に連絡が回っている。
いずれ誰かがそうなることは分かっていた。
風紀委員は死と隣合わせだ。
命を賭けても、風紀の仕事を全うしようとしたのだろうか。
悲劇の事故だろうか。
先輩のことを想い、レイチェルも黙祷を捧げ続ける。
■佐伯貴子 > そうか。それならいいんだが。
(ちょっと心配したが。笑顔を見るとこちらも笑顔を返す)
そうだな。宗教上の決まりとかは無視しよう。
(そう言って目を閉じる)
(なぜ死んだのかはよくわかっていない)
(しかし同じ志を持つものとしてせめてもの手向けだ)
(1分ほど何も言わず黙祷を捧げる)
(自分もいつかそうなるのだろうか)
(相手もいつかそうなるのだろうか)
…さて、何を頼む。私はショートケーキと紅茶のセットだ。
(息を吐き出し、言葉を紡ぐ)
(メニューを見ずとも決めていた)
■レイチェル > 式状という男と、あまり面識は無かった。
精々数回顔を合わせた程度だ。
しかしながら、彼の残した爪痕は、同じ立場の風紀委員にとっては、小さなものではない。
「……貴子と同じやつでいい」
レイチェルは黙祷を終え、ぱちりと左目を開けて、メニューにも目を通さずにそう言った。
■佐伯貴子 > ほう?君ならもう少し冒険すると思ったんだが…
基本が大事ということに気づいたか?
(相手の様子はどこかおかしい)
(気づきながらも極力笑顔で応じた)
(店員を呼び止め、注文する)
式状先輩のことがそんなにショックか。
それともやはり疲れているのか?
(聞いてしまった。聞かれたくないだろう)
(しかし友人を大切に想う心が勝った)
■レイチェル > 「さてな」
店員を呼び止めて注文してくれれば、さんきゅ、と小さく手を振るだろう。
「……別に、そういう訳じゃない」
実際、式状の死に関しては、レイチェルはあっさりと受け止めていた。
勿論、悲しみや追悼の意はある。惜しい、という気持ちもある。
しかし、レイチェルは幼い頃から続けてきた魔狩人稼業の中で、
多くの死に触れてきた。
知り合ったばかりの者、数度顔を会わせただけの者、長い間一緒に居た者。
肉親ですら。
死を受け止めることには、慣れている。
「ちょっと疲れてるだけだ、わりーな」
そう言って、片手で頭を抑えた。
■佐伯貴子 > ふぅん…
(いつもどおり姿勢よく。口だけを動かした)
そうか…
(自分も人の死には慣れている方だ)
(しかし聞かされた時は多少のショックはあったものだ)
(もし親しい人間がそうなったらと思うと)
(もし目の前のレイチェルがそうなったらと思うと)
無理もない。ロストサインだの虞渊だの、魔術師喰いだの。細々とした問題はまだまだあるからな。
(思ったより深刻な様子だ)
(きっとケーキが来れば少しは回復するだろう)
(そして品物が運ばれてきた)
■レイチェル > 「……ま、何だ」
沈黙の後、運ばれてきたケーキにフォークを軽くあてがい、語を継いだ。
「今のこの学園に居る以上は、ある日突然一人の生徒が――」
ケーキにあてがったフォークを、すっと引いてケーキを切り分ける。
「――消えちまっても、何の不思議もねぇ。要因が多すぎる」
そう言って、切り分けたケーキを口に運ぶ。
「そいつは一般生徒だろうが、風紀だろうが、関係ねぇ。その事は今回のことで改めて分かったろ、オレだっていつかここで死ぬかもしれねーし」
そう言って、二口目を口に運ぶ。
■佐伯貴子 > (相手の様子を観察する)
(事務的な作業といった印象だ)
(こちらも不自然ではない程度にケーキにフォークを入れる)
……ああ。
だがそれを言葉にするな。
私はそれを許さない。
(最後の言葉に、強く、静かに反論した)
(死んでもらいたくない、だけではない)
(死んではいけない人間はいる)
(だれだってそうだが、特に)
(死んではいけない人間というものはいるのだ)
■レイチェル > 「……そうかよ、そいつは貴子の勝手だが」
三口目。スムーズに、口へと運んでいく。あまり味わっていないのか、
普段と違って特に反応も無い。
「言葉にするな、って言われても伝えなきゃいけねぇ。こいつだけは肝に銘じておいてくれ。今後もしオレの身に何か起きたら、オレのことは綺麗さっぱり忘れてくれ」
そこで、ここに来て初めて、レイチェルは貴子の目をしっかりと見据えた。
「綺麗さっぱり、な」
■佐伯貴子 > (こちらの食は進んでいない。手を付けてないも同じだ)
……私だって同じだ。
レイチェルのことはたとえ魔術でも決して忘れない。
どんな能力を使われても決して忘れない。
だから……死ぬな。
(相手の目を見据えて言う)
(睨んでいるわけではない)
(どちらかと言えば悲しみに近い)
(突然そんなことを言い出した相手の心情を思うと涙が出そうになった)
■レイチェル > 「言ってくれるぜ、これだから友人ってのは面倒――」
そこまで言いかけて。
レイチェルの身体がかくり、と傾いた。
そのまま椅子ごと、鈍い音をたてて横に倒れこむ。
■佐伯貴子 > (当然だ。そう言いかけて)
おい、レイチェル!
(テーブルを跳ね飛ばす勢いで相手に近づく)
(倒れたカップから紅茶が流れている)
大丈夫か、おい!
(相手の顔が見えるように片手で顔を支えながら、もう片方の手で携帯デバイスを操作する)
くっ、保健委員で手に負える種類なのか…?
(ただの過労であれば問題ないだろう)
(しかしレイチェルは異世界のサイボーグ、しかも話によれば吸血鬼などとの混血なのだ)
(誰ならば頼れるだろう?)
■レイチェル > 「……すまねぇ」
疲労、というにはレイチェルの様子はおかしかった。
全身は汗ばみ、頬は紅潮して、息が荒くなっている。
そんな状態で、レイチェルはゆっくりと自分の手足を使って起き上がろうとする。が、力が抜けてしまって、立ち上がれない。
「こんなになっちまったら……誤魔化せねー、か……貴子には知られたくなかったんだけどな……」
肩を上下させながら、レイチェルは舌打ちをする。
その瞳は紅に染まっている。他者を魅了する。魔性の瞳だ。
■佐伯貴子 > 何を謝る!
(相手の体を支えてやろうとする)
(単純な腕力なら男子にも劣らないつもりだ)
私に…なぜ隠そうとする!
炎の巨人の時も!何かあったんだろ!
いつも自分で抱えて!そんなに私が信用出来ないか!?
戦場で背中は預かれない、それはそうさ!
だが普段はどんなことだってしてやる!なんだって聞いてやる!
そのつもりでいるんだぞ!
(涙を流しながら訴える)
(相手があまりにも悲しすぎて)
(相手の目は魔性の瞳。いつか大時計塔で出会った教師と同じ種類の輝き)
(吸血鬼のものだ)
■レイチェル > 「……血が、足りねぇのさ。オレみたいなダンピールは、血を吸わなきゃ生きていけねぇ。化け物、だからな……」
荒い息でとぎれとぎれではあるが、何とか言葉を紡ぐ。
「この世界に来る前、オレの世界に居た時は、薬でどうにかしてた……血を吸わなくても、よかったんだ……けど、その薬の手持ちが切れちまって、な……ほんとは、ずっと前に血を入れとくべきだったんだが……オレみたいに吸血衝動の制御できねぇダンピールは……血を入れると……本当に運が悪けりゃ理性が吹っ飛ぶ……確率は低いとはいえ……本当に最悪の場合、血をくれた相手を殺すことになっちまう……」
目を伏せる。心情だけではない。あまり長い間、目を合わせているべきではないのだ。
吸血鬼の瞳は魔性の瞳。対策が無ければ最悪、相手の理性すら奪いかねない。
「だから、特に貴子には言い辛かったんだ……こんなこと知ったら、絶対私の血を吸え、なんて言い出すだろ……?」
■佐伯貴子 > (周囲の客は驚いた様子だが、風紀委員の制服を見れば目をそらす)
(そういうものだ)
そんな種類のやつはこの島のどこにでもいる。
(肩で涙を拭い、相手の目を見ようとする)
(それが危険なことぐらい幼稚園児でも知っている)
(それでもあえて、だ)
…じゃあ聞くがな、私以外の誰の血を吸うつもりだったんだ!?
そのまま死ぬつもりだったとでも言うのか!?
(そして呼吸を整えて)
…知られないようにしてきたが、私は回復魔法が使える。
失血死を防げるかどうかわからないが、確率は下がるだろう。
(片手でレイチェルの体を支え、片手で襟を引っ張り首筋を露わにした)
■レイチェル > 「吸うなら、貴子の血だろうなとは思ってたさ……吸血ってのは、絆の深い奴から血を貰うのが……一番効率いいからな……そうすりゃ必要な血も少なくなって……失血死の確率は下がる……だがな……」
そこまで言って、紅潮していた頬が更に赤くなる。
「言い辛かった理由はそれだけじゃなくて……だな、その……吸血ってのは、抱擁って呼びもするんだ……つまり……その……何だ、人間で言えば……互いに、気持ちよくなることっつーか……何つーか……その、せっ……」
そこまで言って、あとはごにょごにょと何かしら呟くように口をぱくぱくと
させる。
■佐伯貴子 > (相手の言葉が嬉しくて、思わず再び泣きそうになったが)
(そんな場合じゃない)
…なんだ。そんなことか。
(襟を正しながら冷静に応える)
そういう経験なら後輩ともうすでにした。流れだがな。
大丈夫だ。私は快楽で友情や恋愛に影響するような人間ではない。
(あっさりと言い放ち。レイチェルを姫抱きにする)
(そのまま階段を駆け下り、店の外へ出て行く)
(一階もレジも駆け抜け外にでる)
(予約は本名で入れてある。請求はいずれくるだろう)
■レイチェル > 「……悪ぃな」
すっかり顔を真っ赤にしたレイチェルは、貴子の腕に抱かれて共に店を出て行った――。
ご案内:「カフェ橘 2階」からレイチェルさんが去りました。
ご案内:「カフェ橘 2階」から佐伯貴子さんが去りました。