2016/05/29 のログ
五代 基一郎 > 「そ……そう」

今までの若干浮ついた会話や、曖昧な相槌にいきなりハッキリとした物言いが挟まり若干気圧されてしまった。

それでもってお会計を、という意味もあって伝票を手にして
店員を呼びとめたものが打って変わり、甘味の注文へと姿を変える。
店員も追加ですね、という風に手にして伺ってくる。

「くずきりを一つ。君は?」

くずきり、蕎麦のアイス、あんみつ……品数は少ないが
らしいものが甘味のお品書きに名を連ねていた。

遠条寺菖蒲 > 尋ねられ、メニューを覗き込み最終的に蕎麦のアイスかあんみつで悩み、蕎麦のアイスが彼女の脳内で勝利を収める。

「アイスを一つ」

と恥ずかしげもなく指を一本立てて答える。
蕎麦のアイスという未知への好奇心に少女は勝てないのであった。

五代 基一郎 > そうして注文を聞いた店員は下がり
また再び、となるが

「女の子ってそういう……こう……いや、なんでもない。」

そういえば会って食事した女の子、大体なにがしかの甘いものも頼んでいたなと
女の子特有の性質……生態なのだろうか、と思いつつもそれについては口を噤み

「えぇと家政婦さんには何か買って行こうか、道すがらにさ」

おそらく同居しているのなら同性の方だろう。
突然邪魔をするわけだし、そういう意味でも手土産はやはり必要だと
これらをみて思い直すのであった。

家政婦さん好きな食べ物とかある?とか
そういえば君は何が好きだっけとか聞いていれば

店員も頃合いを見計らって甘味を届けに来た。
くずきりと、そばのアイス。蕎麦がきがコーンのように添えられた、蕎麦味のアイス。
蕎麦の香りが上品に冷気と共に香ってくる。

「ついでにお会計をお願いします」

遠条寺菖蒲 > 「そうですね、何か買っていくだけできっとヘラさん大喜びですよ」

と手を合わせて微笑み、そのニコニコ顔は甘味が来て食し終えるまで続く。
好きなものについては洋菓子でタルト系が割りと好みだと答えた。

五代 基一郎 > なら、洋菓子だけでもとさてどこで買って行こう。
やっている店はあるだろうかと……

菖蒲が食べ終わり、自分もお冷で口を注げば
会計をテーブルで済ませたために、席を立てばそのまま店を出る。

店の外の空気は、春が過ぎようとしているというのに季節が戻ったような
冷たい風が噴いていた。

「さて……それじゃご自宅までの案内、よろしくお願いします。」

ご案内:「お高めの蕎麦屋」から五代 基一郎さんが去りました。
ご案内:「お高めの蕎麦屋」に遠条寺菖蒲さんが現れました。
ご案内:「漢方薬剤店「紅棍」」に黒星さんが現れました。
黒星 > 古い年季の入った、良く言えば趣のある、ぶっちゃければボロい日本家屋。
落第街と歓楽街の路地、日の当たらない場所にある薬剤店 紅棍の2階。

黒星 > ほぼほぼ、閉めた雨戸のせいで暗い部屋。

古い畳部屋の真ん中に敷いた薄い布団に寝かせた女の子は、路地裏で戦った腕無しの子。

面白そうというだけで、そのまま攫ったイカレた子。

黒星 > へし折った足に薬と添え木を、腹にも薬草やら軟膏やら塗ってグルグル巻きにした包帯を。
きっちりと手当てした後は、窓際に座って煙草に火をつけ、煙は薄く開いた窓と雨戸から吐いている。

「このまま死んだらそりゃそれで笑っちゃうネ……」

診た感じ、ほっといても死にそうにない位には頑丈そうだったが。

ご案内:「漢方薬剤店「紅棍」」に道鉄さんが現れました。
道鉄 > 「んあ……」

荒っぽい言動からは想像できないくらい。静かに
ヤスカらに眠っていた女は。大きくあくびをして
さっきまでとはギャップを感じすぎる男くさいしぐさで起き上がる――

「……くさっ」

クスリのにおいに顔をしかめて、目に涙を浮かべながら。

「――なんだ、ここ」

ぽつりつぶやいた後、男を見れば。

「げはは、なんだ、お持ち帰りですか? おにーさん、あんなにいやがってたのに?」

黒星 > 起きた。
起きたらコレだよ。

はー っと溜息をついて、煙草を灰皿に押し付けてグリグリー と、消した。

「ほっといたら、あそこでくたばりそうだったんでネ?
 ちょっと何でできてるのか気になったから、テイクアウトしてみたヨ、お嬢チャンなんだかよー分からんけどネ。」

相手が起きたので、よっこいせー、と立ち上がって、電気をつけた。

電球が古いのか、余り明るくならないが、部屋はまあ何もない和室だった。

道鉄 >  
「なにがおきてるっていわれてもー? 僕には何を説明すればいいのかわかりませんよー?」

あ、折れてる。やっぱり? なんていまさら気付いたようなしぐさを見せて。

「てか、くらー……こんなとこにいたら不能になっちゃうんじゃねぇの?」

じーっとまたぐらをみたりして

黒星 > 「通り魔みたいなオマエに事情は期待しとらんヨ。
 オマエ自体が何なんだヨ?ってハナシだネ、人間じゃぁ無さそうだしネ。

 担いできたけど、クソ重たかったヨ。」

足は添え木と包帯でグルグル巻き。漢方の、まぁ草の匂いが強いだろう。

「失敬な、ちゃんと使いものになるヨ。
 私は暗くても見えるし、普段、使わん部屋なんだヨ。

 客なんか来ないからネ。」

サングラスをしていない、赤い目が嫌そうに細まった。

道鉄 >  
「いや、失礼な。こんな可憐な少女を捕まえて、人間じゃないとか、ふしあなですかー?」

嗤いながら、八重歯をのぞかせて。翡翠の瞳をゆっくり
同じように、細めるが――すぐに眉間にしわを寄せる。
くっさと、またつぶやいて。

「じゃあ使わないだけか。使わないんだったら、意味同じじゃね? 客が来ないのに店ができるとかカネモチダナー。きゃーおごってー」

げはははっと、笑いながら。とんとんっと、足を地面に。
痛みはない。

「あー……マナーが中途半端だった? ”ごちそうさまでした”」

告げれば。ぎしぎしと悲鳴を上げていた床が急に静かになった

黒星 > 「可憐って言葉を辞書で引いて来くるといいヨ。
 オマエみたいのは見た目詐欺って言うんだヨ、人間、ねぇ……」

疑わしげに相手をじろじろ、遠慮なく眺める。
見た目はいいのだが、中身が……何なんだろうコレ、本当。

「オマエに使う用事がないだけだヨ、アホな子だネ。
 奢る、ねぇ……  まぁ、攫った手前だし飯くらいはやるけどネ。

 ぁー?」

痛覚が無いのか、足は普通なら痛いはず。
戦った時も動かしていたので気になっていたけど。

「まだ何も食わせとりゃせんが………… 軽くなった?のか、ネ?」

床の軋みと加重の具合が、変わった?

道鉄 >  
「はぁ? こんなに軽い病弱みたいなやつが、可憐じゃなくてなんていうんですかー? 見た目詐欺? あぁ、まぁあるいみあってるかもね。男色とか、考えたくもないし」

おえっとはきそうな顔。

「まぁ冗談ですよ。冗談、男と掘りあうとか勘弁願いてぇし」

うん、平気だななんてつぶやいて。

「まぁ、じゃないと座れないんし。マナーは守るもんでしょ、普通」

黒星 > 「オマエ、あれかネ。
 外見と中身が一致しとらんのかネ。

 体だけ入れ替わったとか、生まれつきとか、弄られたとか、色々聞いたことあるヨ。」

そいえば、男色とか前も言ってたな。
顎に手をやって、やっと、ちょっと納得したように頷いた。

見た目詐欺なのは完全にその通りだったわ。

「掘るもんないだろう、オマエはネ。

 ぁー。
 成る程、元々 重い 、何かの異能か魔術で普段は軽くなってるのかネ。

 条件発動、解除で、今までソレがかかって無かった。だから重かった、とかだネ。」

ふーん と何度か頷くと、襖の向こうで音がした。
カチャカチャと何ぞ置く音と、廊下を踏む足音が遠ざかっていった。

道鉄 >  
「そーそー、大変なんだぜ。こっちは。変によってくるやつがいて、いやぁこまるよね。すごく困る。なにせそんな趣味はないし――遊んでやるのは、別にわるくないけど……あとで食べるし」

理解が早いね、変な奴なんてこぼしながら。

「いやいや、人間の知能を甘く見ちゃいけない。ペニバンってものがあるじゃんさ。便利だよあれ」

くつくつと喉を鳴らして。やっぱ理解が早すぎるなと、思う。
ふつう、ずれは把握されない。いやできないといっていい。
普通であればあるほど、受け入れられないはずだ。
なのに、目の前のやつは飲み込んだ。
気持ち悪い。

「……?」

音には首をかしげて

黒星 > 「オマエだってソレで騙して襲ってそうだけどネ。
 ていうか私にしそうになってなかったかヨ。

 長生きなもんでネ、色んなのを見てきたから まぁそういうのも居るか っていうか、居たからネ。」

変なヤツとは失礼な、と、襖の方へ向かう。
開けた廊下には木でできたお盆が置かれている。

皿やお椀が乗ってるソレを片手で持ち上げて、襖を足で閉める。

「オマエの頭ん中はそんなんしか入ってないのかヨ。
 女の中に入った男の色キチとか救えないから、どうにかした方がいんじゃないかネ。

 なんだネその顔、飯くらい食うだろう、オマエもネ。」

うわーないわーって顔で布団に近寄るとお盆を置いた。
ナニカの焼いた肉、野菜、スープ  レンゲもあるが、一応。

道鉄 >  
「食事したいって思ったときに我慢したいとはおもわないだろ
我慢したらばっかじゃねぇのっておもうじゃん? そんな感じだよ」

くああっと、あくびをして。へぇ長生きなんだとか、眠そうにつぶやいて。
匂いに、顔をしかめた。

「……ぁー。まずいからいらない」

うまいもんを食った後、苦い薬を飲むのは嫌いなタイプ。
それに、普通の食事は口に合わない

黒星 > 「私も大概、我慢しないほうだけど……まぁ、分からんでもないヨ。」

がしがし、と頭を掻いて。
レンゲに肉を救って相手の顔の前に突き出した。

「食べる前からマズイとか、ほんと口の悪い子供だネ。
 とりあえずちょっと口に入れてから感想言うもんだヨ。

 見ただけで分かるのは料理マンガの中だけだヨ。」

確認のためにも作らせた料理なので。
多分、当たってればコレなら食える気がする、から。

道鉄 >  
「話が分かるね、イケメンのおニーさん。ニッチなプレイになるけど、あそんであげてもいいよ?」

げははと、下品にもう一度笑ってから――

「……うげ……」

突き出せば、顔をそむけたのに。
無理やり突っ込んできた、なんてやつだ、抗議してやろうとしたら――

「……あ?」

おいしかった。
ってことは、これは――

「――……人肉?」

黒星 > 「ヤッてる間、その口を閉じれてるってんなら考えてやってもいいヨ。
 何でオマエが選ぶ側に立ってんだネ。」

面倒くせーなと、口を閉じさせるためにレンゲを突っ込んだ。
味付けはマトモでも、普通なら吐き出す可能性もある肉だった、けど。

「…………あぁ、やっぱり。
 オマエはソレが美味しいんだネ。

 ソウだヨ。
 そういうのが、ソレが好きなんだろう、オマエはネ。」

食べたら、レンゲにまた肉を救って、顔の前に。

道鉄 >  
「いつだって、選ぶ側だよ。食べる側なんだから」

何をいまさらと告げれば、ぱくりとまた食いついた。
うん、うまい。

「大好物ですね、っていうか。これしか食えません。味付けしてあるから、だいぶまずさもあるけど。まぁ食える」

たまに顔をしかめたりするが、そのまま差し出されれば。
肉だけは全部食べ切った

黒星 > 「オマエはドコの王様だヨ。
    ぁー……そういうモノってこと、か、ネ。」

さっきから、最初も、食べるって発言、行為に拘っていた気がする。
何かしら、そういうものに根差したものがあるのかもしれない。
だとすると、あんまり突っ込むのも微妙か。

「コレだけ。
 そりゃあ、難儀だネ。その辺の店じゃあ出してくれやしないだろうヨ。

 落第街でも、限られてるネ。
 あぁ、それで通り魔   かぁ、ふぅん。」

残った野菜は、まぁ食わないだろうからいいか。
レンゲを皿に置くと、脇へよけた。

「ガワが人間なら他も食べる方が治りが早いとは思うけど、食ったら寝ればいいヨ。」

道鉄 >  
「……? そこは理解できないんだ。わりと、変だね、あんた
常識あったりすんのも大変そうだ」

くあああっとまたあくび。
遠慮のない大あくびは、口のにおいを近くのやつにかける。
どこか甘い香り。やはり体は、雌なようで。

「――勝手にわかったきにならないでくんない?
 女心は、そう簡単じゃないんですぅ」

さっきまでは男とか言ってたくせに、都合のいい時はそんな言葉を使う。
勝手なものだが――

「――……すぅ」

ねつきは相変わらず早く。
言われる頃には、眠っていた

黒星 > 「オマエに変とか言われるのは、もの凄い心外だヨ。
 私は慎ましく静かに生きてきてんだヨ、一応ネ。

 ってコラ……」

吐きかけられる吐息に 顔を顰める。
体だけは本当に女で、中身がコレじゃなかったらその気にもなるものを。

「オマエみたいな女が居るかヨ。
 もう面倒だからとっとと……   っ早いヨ。」

食うだけ食って、言いたいことを言って、即寝るという……

はぁ、と短いため息をつくと立ち上がる。
部屋の電気を消して、そのまま出て行くのだろう。

「まぁとっとと治っておくれ。
 じゃないと私も遊び辛いからネ……道鉄。」

ご案内:「漢方薬剤店「紅棍」」から道鉄さんが去りました。
ご案内:「漢方薬剤店「紅棍」」から黒星さんが去りました。
ご案内:「演習場」に高峰 司さんが現れました。
高峰 司 > 「ケン!」

的に向かってルーンガンドの練習をしている司。
なんとなく、なんとなくであるが、最近少し活動的になった気がしなくもない。
『友達』が出来た影響だろうか。

「……ちっ、まだ精度が悪いな」

とは言え、それで能力にアッパーがかかるわけでもなく。
こういう練習の中で研究を重ねるのは、必須なのであった。

ご案内:「演習場」に水月エニィさんが現れました。
水月エニィ > 「……今日は随分と盛況ね。日曜日なのに皆熱心。」

 これではあの子もサボりに来ないか。
 そんな考えを浮かべながら意識を切り替えて演習場を再度見渡す。
 都合の良さそうな所はあるだろうか。

(なさそうね……)

 イマイチ見当たらない。
 見渡しながら歩いた後、一度足を止めて息を吐いた。

高峰 司 > 「もう少し精度あげねーと使えねーなこりゃ……ああクソ、もう少しガンドも練習しとくんだった」

実家では、ガンドなどただのオマケ扱いで、ルーンの扱いばかり練習してきた。
故にガンドの方の呪詛精度に問題が発生していた。命中精度とか。
速度ももう少し欲しいところなので、練習あるのみである。
が。

「……」

近くにいるエニィを見て、練習をストップ。
ルーンガンドの術式漏洩を警戒して、である。
先日は例外的に売る羽目になったが、本来魔術師は自らの術式を秘匿するモノ。
ルーンガンドは司のオリジナル。故に、あまり他者に見せたくないのである。

水月エニィ >  
「悪いわね。眼つきの悪いのは生まれつきなの。
 空きを探していたのだけれど、それで目に力が入っちゃったかもしれないわ。」

 肩を竦め、練習を止めた司にそう返す。
 しゃべり終えれば、ため息一つ。

「ほんと、皆熱心よね。
 ……邪魔になりそうだから、先に行くわ。」

高峰 司 > 「……アレなら、アタシはもうあがるけど?」

帽子を目深にしてそう告げる。
別に用事があるわけでもないし、気を使ってやる義理もないのだが……単に、ちょっと疲れて休憩を入れるにはちょうどいいか、と思ったのである。
ついでに。

「……で、オマエは何練習するわけ?」

聞いてみた。
これは自己利益の為である。こういった情報から、新たな魔術を開拓する手掛かりがつかめるかもしれないからだ。

水月エニィ >  
「気遣ってくれるのは嬉しいけれど、気持ちだけ貰っておくわ。
 そうね、アレ以外の何か かしら。だから平気よ。手を煩わせるのも悪いもの。」

 "アレ"。『アレ』が何かは分からないものの、
 基本、定義の共有が住んでいない『アレ』は"口にしたくないもの"を言外に扱う事の出来る指示語だ。
 故に、それまでしてどけさせる気にはならなかった。

「布を使った武術と銃器よ。
 勝てなくたって鍛錬は積まなきゃならない。
 練達なくし希望なし。ただでさえ勝ち目がないのだから、励まなければならないわ。」

高峰 司 > 「ならいーけどよ」

別にまあ、深い意味のない言葉であったのだが、どうにもこの相手は深く思考する癖がついているようである。
それに対しての司の対応は簡潔。じゃあ続けるか、と思った所で。

「……オマエ、言ってる事おかしくねーか?」

ふと。
純粋なる疑問と興味で、つい口を出してしまう。
勝てなくたって鍛錬は積まなくてはならない、というのは、おかしいのだ。
何故?当然だ。
『勝つために』鍛錬は積むものであり、『勝てない』と言う結果が先にあるのであれば、意味がないのである。
言葉尻の問題かもしれないが、そこが気にかかった。

水月エニィ >  
「おかしいわよ。でも、諦めたらそこで終了だもの。
 ……いつか勝てると云う事にしておいて、ついでに負けても上手く立ち回れるようにしなきゃならないわ。
 敗戦慣れしているとしていないじゃ、割と違う。……ええと、アレよアレ、受け身の取り方みたいなものよ。」

 肩を竦め、当たり前のような調子で応える。
 聞かれて隠さなければならなような事ではないのだから、
 聞かれて答える位の事はする。
 

高峰 司 > 「あ”ー……」

『もうそれは、戦うっつー選択肢を切ってかかった方がいいんじゃねーか?』と言う言葉が喉の所まで出かかっている。
が、そこまで口にする義理はないし、何より絶対後が面倒くさい。
ただ、どうにも……そう、何というか。

「(勝つ確率を少しでも上げるんじゃなく、0の中でどう悪足掻きするか、っつー論法だな、コイツ)」

本当に『勝てない』と言う結果を大前提に置いているようだ。
普通はそうじゃない。少しでも勝てる可能性があるなら、それを手繰り寄せようと考えるのが普通だろう。
だというのに、なんでここまでかたくなに『負け前提』なのか。
よくわからない、と内心首を傾げざるを得なかった。

水月エニィ >  
「ちなみに戦う前に事を済ませるのと、
 ハッタリ効かせた合意形成でノーゲームに持ち込む事は得意よ。
 何もしなくても、逃げてもやってくる戦いはどうしようもないけれど……」

 聞かれてもいないことを答える。
 声で何かを察したのかもしれない。

「……性格が悪いのは自覚しているわ。
 気に障ったなら謝るし、ジュース位なら奢れるけれど。
 ぶどうジュースが美味しそうだったわね。」

高峰 司 > 「……負け慣れしてんだな、オマエ」

そう言う感想しか出てこない。
やはり、目の前の女性は『あらゆる勝負で、放っておけば必敗である』事を前提に話を進めているのだ。
だから、負けの傷口を広げない様にノーゲームにしたり、そもそも勝負を回避したりする。
あくまで延命、もしくは誤魔化しのための鍛錬、と言うことだ。何とも後ろ向きな話である。

「……ま、貰えるモンは貰うか」

少し口を交わしただけでドリンク1本、と思えばお得である。
流石にそこらで買うものに変なものが入っている事はないだろうし、何なら動きを注視していればそれでいい。
貰えるものは、貰っておくことにした。

水月エニィ > 「と言う訳でこちらがそのぶどうジュースよ。
 飲みさしでないから安心しなさい。それとも、飲みさしの方が良い?」

 冗談めかした愛想笑いを浮かべてみせてから、
 特筆するほどでもないかばんからぶどうジュース(500mlPET)を一つ取り出す。
 買ったばかりのものらしい。差し出してみせた。

「どうぞ。
 ……まぁ、負けたり失敗したままグズグズしてる訳には行かないもの。
 何時かは勝ちたいわね。何も指さずに勝ちたいって言うのも変な話だけど。」

高峰 司 > 「こりゃどーも」

取り出している間に右手の甲に『ハガル』のルーンを刻み、その右手でドリンクを受け取る。
ハガルは「H」に似た形のルーンで、魔除けの効果がある。
握った時点でハガルの効果を適応させ……

「(毒、呪詛の類は……ねーな)」

こくん、と頷いて口にする。
割と普通に美味しかった。

「…………」

本来は。
一切そんな義理はないし、する意味もないのだが。
したところで何の利益にもならないし、それをやってどうするんだという話になるのだが。

「なら、勝てる舞台を設定すりゃいいだろ。勝てる盤面整えてからやりゃあ、ちったーマシになるんじゃねーの?」

『助言』のようなものを送る。
……本人には恥ずかしくて絶対に言えないし、他の誰にだって言えたものではないが。
誰にだって笑顔で接し、手を差し伸べるような『友達』の真似なんぞを、してみたのであった。

水月エニィ > 「ええ、とてもマシになるからそうしている。
 戦う前に事を済ませるようなものかしら。そこまで行っても、読み切れない事が多いわね。
 大っ体読めないなんかが起こるか、無効試合よ。希望が見えたと思ったらノーゲームになった事もあるわ。」

 ――何もノーゲームにできるのは自分だけではない。
 色々を思い返し、あまり表情には出さずに平然としてみせる。

「でも、言ってくれることは嬉しいものね。
 分かっていても推敲するきっかけにはなる――んー、そうね。」

 少し、思案し。

「折角だから貴方が鍛錬する理由でも聞いていい?
 いやなら別に構わない。今見た感じは『魔術師』みたいだし、知られたくないものはあるでしょう。」

高峰 司 > 「ああ、成程な……」

大体を察する。
余程運が悪いか……そう言う異能でも持っているのか。
とかく『勝利』から致命的に縁遠い人間なのだろう。
工夫とか、努力とか。そう言うのを無限に重ねても、なんでか負ける。どっかで負ける。何かしらで負ける。そう言う『決定づけられた敗北者』ともいうべき存在。
こりゃあ召喚獣候補にはならないな、と思いつつ、受けた問いについて考える。
……言う必要はない。が。

「……アタシにも分からん。前はしっかりした目的があったんだが、それが最優先に思えなくなってきた」

ぽつり、と言葉を返す。
自分が問い、そして相手が返した。
なら、自分も一つは返すべきだろう。等価交換だ。

水月エニィ >   
 
「……聞いても?」

 良い、か、どうか。
 一つを聞いた上で、踏み込んで問う。

高峰 司 > 「ぁー……」

迂闊だった。
こんなぼかし方をしたら、まあ踏み込まれるに決まっている。
元々の目的は、それこそ軽々に話すものではない。
もう一つの目的は……

「……断る」

恥ずかしくて、言えたものではない。
よって、拒否である。

水月エニィ >  
「残念。ま、話す義理もないものね。」

 司の声が漏れればを、迂闊さを自省するようなもの察する。 
 そうして、拒否されるだろうとは思っていた。

 当たり前のように、くす、と、笑ってみせる。

「ううん、話して時間を奪っても仕様がない、か。
 ……何もなければ、そろそろ行くけれど。」

高峰 司 > 「……じゃあな」

行く、と言われれば素直に見送ろうとする。
これ以上グダグダと話していても、確かに時間の無駄だろう。

ご案内:「演習場」から水月エニィさんが去りました。
ご案内:「演習場」から高峰 司さんが去りました。