2016/06/11 のログ
ご案内:「終わった夢」にベッドマンさんが現れました。
ご案内:「終わった夢」にヘルヴォルさんが現れました。
■ベッドマン > なにもない荒野にスルリと溶け込むように、染み出すように一人の少女が現れる
帽子を目深に被った少女は所々くすぶる大地を見て
一瞬【うっ】っとした顔をするがすぐ何事もなかったかのような顔に戻る
『あー、あー。
ヘルヴォル―――いるか?』
それはきっと聞き覚えのある少女の声。
■ヘルヴォル > 何もない荒野に、うぞりと蠢いたものがある。
――耳。
耳だけが蠢いた。聡い耳、始まりを告げる者の耳。
それが切欠。
何もなかった荒野が覚醒する。首と両脚の無い甲冑、桶を抱えた右腕、輝く車輪、黒と白に分たれた胴体、跳ね回る舌。
どれもが原型をとどめず、それでいて『生きている』――。
と。
「――はいはい、今運転中なのですけど、」
比較的、まともな人型。
背の翼は両方とも根元から無く、心臓の部分には大穴の空いた紅い甲冑。
顔は兜に隠れて表情は読みづらい――。
■ベッドマン > その光景に露骨に嫌そうな顔をする
黄昏の世界。死に続ける魂に堕ちた戦乙女。
問いかけに否定は無しとすれば
『ビンゴか
君のような意識の特異点というのはそう多くない
全部まわるのは流石に嫌だったのだけど早めの当たりで良かった
しかし君みたいな存在が本当にいるというのはにわかには信じたくはなかったが
ヘルヴォル―――盾持つ乙女 軍勢の守り手の名を冠する君
この終わり続けている世界
君 ホンモノ だね?』
それは見知った少女とは明らかに違う話し方で早口にまくし立てる
『まぁ それはいいや
君なかなかに器用だね?
覚醒しながら意識の一部を眠らせるだなんて。
それが出来る人には未だに会ったことは無いよ
と、これも本題じゃない
この姿を見れば―――わかるだろう?』
少女がしそうにない笑い方をする
■ヘルヴォル > 「ごめんなさいね。来客なんて珍しいものだから。
いやもう活動なんてしないで寝ててくださいね?まだ治りきってもないのにはしゃぐと毒なんですから、もう。」
後半は周囲で蠢くモノに対して。言葉に応じて周囲は再び静寂を取り戻す――。
まぁ、確かに嫌な顔にもなるだろう。終わった世界を見るというのはそれだけで不快なものだ。
「はいはい、他に、魂の選定者とも呼ばれますね?
その呼び名にもはやどれだけの意味があるかは分りかねますが。
今の私はどれも当てはまらぬ呼び名でございますが故に。
後、ホンモノかどうかも私には最早分りかねる話でもあります。
さて、ホンモノとは何ぞや?」
かくり、と小首をかしげて見せれば、広がった髪が翼の様に空を打つ。
動けば、大穴から、どろりと何かが――
「正確には私の夢――ではございませんし。
昔取った杵柄、その程度のものでしょう。さて。
話に関しては想像がつきますが、要件までは把握しかねる、といった所でしょうか。
わざわざ夢を渡ってまで探り当てた、というのはよほどの事かと思いますけれど?」
その容姿の本来の持ち主にこういう技能はない。
であれば、その容姿の持ち主に関する話だ、くらいの推測は立つが――
■ベッドマン >
『おどろかれないというのはつまらないな
まぁ想像通りであったのなら年の功と言ったところか
しかしかなかなかに哲学だね
何を持って本物とするか
それは実在の連続性や自己認識にも関わる問題だ、果たして誰もいなくなった世界で私はわたしたり得るのか―――
とまた脱線するところだった
―――きみのせるのがうまいね』
勝手にまくし立てておきながらそんなことを言う
『そうだね
用件は【俺】に関することだ
とはいってもこのままじゃ信用もなにもないだろう
偽装はとくよ
君には真実を知る術はないだろうけれど私の気分の問題でもある
ああ、ついでにこの景色大変に気分が悪いんだ少し変えてもいいかい?
ダメと言っても変えるけどね?』
指をパチンと鳴らすと大地に緑が茂り蒼い空とまだまばゆい太陽が輝く
世界が少し縮んだとうに感じたかも知れない
そして目の前にたっていたのは腰まである黒髪に眠たげで少しきつめの眼をした少女だった
『彼女がさらわれたのはもう知っているね?』
確認のように訪ねた
■ヘルヴォル > 「一度途切れた存在は果たして同一足りえるのか。
欠けたモノを継ぎ足し続けた存在は果たして同一足りえるのか。
まぁ、どちらも哲学の話ですね?」
こういうお話でしたらいつでもどうぞ?とくすりと笑う。
とはいえ本題ではないのは同じこと。
「この島の存在はえてして面白いので――まぁ、信用は致しましょう。
ああ、景色に関してはお好きにどうぞ。
――――此処で太陽を見るなんて懐かしいですね……」
蕎麦を食いに来た客だけでも、魂に癖がある。
世が世なら纏めて連れ帰りたいくらいの逸材ばかりなのだ。
空を仰ぎ見れば、まばゆいばかりの太陽に目を細めて――
「ああ、存じております。今その話で取り込み中でして。」
頷く。言っている間にも、切り替わった景色の端からじりじりと終焉が侵食していく。
維持するならば問題のない程度であろうが。
■ベッドマン >
『やはり七対一じゃ分が悪いね
まぁ喜んでくれたのならこちらとしてもうれしいよ』
やれやれと言った風に肩をすくめる
見た目は少女であるのに言葉や所作はあっていない
何ともちぐはぐだった
『当然知っているか。
これで確証も取れた。
どうやら君は間違いなく【彼女の言うヘルヴォル】のようだ
そして知っているなら急いだ方がいい
ことは急を要する
彼女は―――魂の侵蝕を受けている』
今までとは打って変わって端的に告げる
『これは君たちだけに告げる
本当に信用できる者以外に他言無用だ』
■ヘルヴォル > 「すみませんね?――こればかりは、どうにもなりません。」
肩を竦める。
一時的とはいえかつての片鱗でも見せられるのは。
届かぬ不幸に嘆くべきか、一時の幸福に懐かしむべきか。
「あら、どうやって聞いたかは分りかねますけど。
存在バレてるとめんどうな――……」
言いかけた、言葉が――止まる。
「魂の、侵食。
――詳しく、御聞かせ願っても、よろしい?」
兜から覗く、口の端が吊り上がる。――嗤っている。
掛ける言葉に穏やかさは消え、代わりに垣間見えるのは。
■ベッドマン >
『言葉の通りであるが
そうだね私はやつらではないので推測が混じるが良いかね?』
すっと指を上げるとなにもない空間から白い大きな板きれが現れる。
それにかつかつかつとなにやら図やら数式やらを書いていく
さながら授業のように
『投薬と思われるが彼の意識の深い部分―――おそらく3層よりも下の部分だろう
そこに意識をバイパスする門があけられている
この門は現在進行形で拡大中だ
この門を介して彼女はヤツらの意識下それにもっと深い部分
集合的無意識―――阿頼耶識はわかるか?君たち風に言うと魂だ
そいつと強く結びつけられている
強制的に
これは私が今も行っているこの術式に近いものだが本質はもっとえげつないものだ
私が川の合流地点まで進み遡上して別の川へと行くと考えれば
こいつは川を隔てる土手を削り二つをつなげてしまうような行為だ
二つの川は混ざり合い土手は削れ
最後にはどちらとも呼べない物になるだろう』
図にジェスチャーも交えわかりやすく説明する
■ヘルヴォル > 「――嗚呼、成程。」
板切れが出てきた程度のことは今更どうでもいい。
夢を扱う異能、とやらの持ち主なのだろう。相手の話は要点を得ている。
要領を得ない、というよりも手法の問題に疑問点は残るが、そこは当の本人に聞くしかないのだろう。
だからこそ――
「急げ、成程。ええ、急ぎましょうとも。
しかし――」
思考は冷静に。
事の異常さを理解できてしまう。
「急ごうが急ぐまいが、手の打ちようない気がしますね?
――魂を弄る、など本来神でも許されざる行為。一度起きてしまったものを止める手立てはありませんね。
それを伝えてどうしろと?」
乗り込む手段があればブチ壊せば済む話。――物理的な話であれば。
機能として死んではいても、かつては魂を運ぶ者だっただけに、余計にわかる。
いや、無理。
■ベッドマン > 『君が全てをなす必要は無い』
パチンと指を鳴らせば板は白い蝶となって空に消えていく
『そうだな解決策を考えるとすれば
・混ざる前に相手の川を枯らす
・土手を再建する
・彼女の川をヤツらの川を軽く飲み込むほどに大きくする―――これはちょっと無理そうかな
といったところか
まだ情報が出きっていない可能性もある
たしか とはいえないがね』
顎に手をあて思案する
『まぁそうだな。
たとえばの話、君が彼女を連れ出してくるのならば私はその進行を一時的だが止めることが出来る
専売特許という奴だ、魂をもてあそぶ者としてね』
軽くウインク。
■ヘルヴォル > 「――ああ。」
鳩が豆鉄砲でも食ったかのような。
当たり前のことに思考が至っていなかった様子。
「それもそうですね?
なるほど、なるほど――」
提案としてはどれもまっとうか。
魂を弄ぶもの、という言葉は、あえて聞き流そう。今は。
「一つの疑問と、一つの質問があります。
まず一つ。貴女、目的はなんです?何か対価の一つでも用意しましょうか。
そして、一つ。その、貴方の例える川――遡って辿れます?」
■ベッドマン > 『ははは。物騒な顔をしているね
迷わず1を選ぶ当たりなかなかの脳筋だ』
クスクスと笑う
『そうだな
してやられたことに対する意趣返し
相手が気にくわない
同業者としての矜持
くすぶっている正義感
なんでもいいよ
ひとつあげるとするならば―――』
「寝覚めが悪い」
その眼光は確実に今までのものとは違うとわかるだろう
だがそれもすぐになりを潜める
『対価かい?私はもらえるものは何でももらう主義だからね
君が感謝に何か送りたいというのなら私もやぶさかじゃない
だが今回はかしにしておくよ
その方がおもしろそうだ』
ずいぶんと身長差があるので見上げる形だが
んーと顔をのぞき込むようにしながらくるくるとヘルヴォルのまわりを回る
『今は無理 と言っておこうかな
さっき三層よりしただと言ったろう?
これは夢の階層でもあるが意識の階層でもある
私が覗いたときはね、たぶん魔術的な防護だ、それが張り巡らされていてまともに捜すことも出来なかったんだ』
■ヘルヴォル > 「生まれて死んで、その先まで。
戦争を司ったものの宿命だと思っていただければ。――いやはや。」
これでも丸くなったのですけどねぇ。
「さて、なるほど。
それならば信用しましょうか。
――貸し、というなら借りておきましょう?
ただまぁ、まったく借りっぱなしも気持ちが悪い。」
眼光はさらりと――その程度の眼光であれば、怯える必要すら感じない。
その程度に摩耗はしている。
くるくると回る様子に、ふむ、と顎に手を当てて――
「貸しは借りておくとして。居心地に関しては最悪でしょうが。
此処に関しては好きに使うといいでしょう。私は『使う必要がない』ですし、見ての通り、場所だけは有り余っていますので。
――ついでに暇を持て余している連中の話し相手にでもなってもらえたらなお良いですが。」
余らせておくくらいなら、有効活用してくれ、ということ。
どういう有効活用ができるかは知りもしないが。
「で、魔術的な防護――ああ、ならば、あとは事態が進んでからの話になりますか。
……そろそろ、着きますし。あとは後程話した方がよさそうですね。」
その一言で納得した。
動き回る相手を追いかけていた視線が、外へと向いた。
■ベッドマン >
『君は思い切りが良いね
たいていの人はなかなか信じないものだけど
まぁこちらとしては好都合だ』
そして夢を使えという申し出にぴたりと止まる。
『なるほどなるほど君はなかなか
思い切りが良い上に太っ腹だ
そうだね
じゃあ最後に私からこれを贈っておくよ』
そういうと病衣のポケットからカエルのキーホルダーをとりだす
みればそのマスコットはいまだに燃え小さくだが火を上げている
鍵は途中で焼き切れその断面は赤々と光っていた
それをつかんでいても熱そうにしている様子もない
『大丈夫あつくないからさ』
そう言って差し出す
受け取ろうとすれば『ジュッ』などと擬音を口からだし可笑しそうにするだろうが
その辺は愛嬌である
■ヘルヴォル > 「万が一何かあれば、その上から踏みつぶす。それだけの事ですので。
余らせていても仕方がないのは事実ですし。持ち込み物も好きに積んでいいと思いますが。ただ、まぁ――
誰か招く場合は、姉や叔父には会わないように。発狂しても知りません。」
話せば気さくなんですけど、まだ見た目がねぇ――活気も戻れば多少なりとも快方に向かうでしょうか。
と――
「ほう、なんです、これ。
燃えてますけれど――ふむ。言ってみればブックマークのようなものですか。」
大丈夫、実際に焼けたところで、何んともありませんし。
反応が薄いのは、渡す側としては面白くないかもしれない。
受け取って、ながめつすがめつ。いい例えは思いつかなかったが、それほど間違いでもない気はする。
■ベッドマン > 『きみはつまらないなー』
ぶーぶーとブーイングをならす
『でも察しが良いのは嫌いじゃない
その通りこれはポインターさ
これがある限り私は君を見失わないし
私が招待すれば君は私が管理する夢に入ることが出来る』
キーホルダーはちゃりっと音を立てる
見た目があれなことをのぞけばその辺のキーホルダーと全くかわりがない
『普段ならこっそり置いて帰るところだけど
【信用】はだいじだからね?』
そういって後ろ歩きに離れる
『なんだい。私の心配はしてくれないのかい?
それとも もうまともじゃないとわかちゃってたか
叔父と言うとこれかな』
そう言えば
ヘルヴォルが思い描いた姿になるだろう
『ははは
それじゃあね
ここでの時間は非情に緩やかになるけれど
ずいぶんと話した
頃合いだろう』
そういって変わった姿のまま霞のように消えていく
それに伴い世界がもとの赤い世界へとかえっていく
『じゃあ またね』
■ヘルヴォル > 「もう少し気の効いたジョークなら笑いもしましょう?
異常の中に異常を紛れ込ませたところで驚きも何もありませんよ?」
くすり、と。
「頂かずとも信用は致しましょうが。
はい、ではありがたく頂いておきましょう――」
眼前で姿が変わる。
或いは、角笛を吹き鳴らす美男子か。
或いは、長い顎鬚を蓄えた弁舌の雄か。
どちらにせよ――
「懐かしい、姿ですね?昔を思い出します。
……ええ、ではまた。とはいっても、そう遠くない時期にお伺いするか、されるかするでしょうけれど。」
見送っている間に、姿はかき消えた。
後には、草の一本も生えぬ、荒涼とした荒野が広がる――
ご案内:「終わった夢」からベッドマンさんが去りました。
■ヘルヴォル > 「……」
いや、面白い珍客だった。
手元のキーホルダーをくるりと手の中で回して――
「さて、とりあえずは――表を片付けましょうか。」
言葉とともに、その姿も消えれば。
荒涼とした荒野が、終わった時を刻み続ける――
ご案内:「終わった夢」からヘルヴォルさんが去りました。
ご案内:「落第街 中華料理屋」に五代 基一郎さんが現れました。
ご案内:「落第街 中華料理屋」に綾瀬音音さんが現れました。
■五代 基一郎 > 落第街のメインストリート。
歓楽街が不夜城であるならば、ここは常闇の城か。
歓楽街が集う欲の光が輝く世界ならば
落第街は集う欲の闇が沈む世界だろう。
そんな悪徳の街の大通りの外れにある中華料理屋……
出入り口から直線的に並べられたテーブル席。
何がしかの漢字が並ぶ色紙、メニュー表すらそのない店に
この夜の時間に一人の女子を伴って入店した。
加えて言えば猫が一匹ついてきているが。
「二名で」
一応日本語での対応がどうのというのはさておいて
指で二名であることも示しつつ店員に伝え奥のテーブル席に案内されていく。
■綾瀬音音 > (場所が場所だけに、流石にいつもの通りスカート……という気分にはなれず、珍しくパンツルック。
足を踏み入れるのは初めてとまでは言わないものの、歓楽街すらこの時間には行くことが少ない自分にとっては全く未知の世界である。
おっかなびっくり、と言うには少しばかり落ち着いた――信頼できる先輩と黒猫のお陰であるが――様子で男の少し後を着いて来た。
案内された店の様子にきょろりと様子を見れば異国情緒溢れる雰囲気に、少しばかり気圧されたのは紛れも無く場所のせいだろう。
奥のテーブル席に付けば、所在なさ気に座り、改めて店内の様子を見渡した。
中華料理の店なのか、料理店を偽装した何か売っているような店なのか、そもそもここは気軽に会話していいような店なのか、それすら判断付かず、不安そうに男を見やった)
■五代 基一郎 > 「ここ、揚げパンがうまいんだけど腹に溜まるものだからさ……」
食べ放題と飲み放題の、と頼めば向い座った綾瀬にここは
ただの食事処だからそんな警戒はしなくていいとも呟いた。
「本当はこの時間帯の歓楽街とも迷ったんだけど、まぁ……出来るだけ近い方がいいかなと思ってさ。
歓楽街はさておいてここは初めてでしょ。いきなりはやめておいたほうがよかった?」
ある程度綾瀬音音がこの島に来てからの、行動範囲というものは
知る所であったのだがそれはあまり良い話ではないので伏せて。
綾瀬の隣でテーブルに手をついて顔を出して伸びている黒猫を見る。
■エイジャックス>「こういった場所では女というだけで目立つからな。あまり目立たない服装が好ましいぞ。」
「見てて悪いものじゃないから余計ね、逆に目立つんだけど。」
見ている分には構わないのだけれど、と適当に出された水のグラスを手にして
喉を潤す。若干夜も温度が上がり始めてきた気がする。
■綾瀬音音 > お腹に溜まる分にはいいんですけど……。
ううん……。
(警戒しなくてもいい、と言われればそうなのか、と素直に肩の力は少し抜ける。
が、まだ幾らか硬いだろう。
それからもう一度店内を見渡して、小さく唸った)
や、大丈夫です。
全く初めてって訳でもないですし……。
結局やっていかないと慣れないですしね
(それこそ丁度一年ほど前、指名手配されている時に何度か足を運んだ程度、ではあったが。
当然ながら行動範囲を知られているなどという事実は知らない。
視線に釣られるように黒猫に視線をやれば、助言には頷いて)
う、もうちょっと地味なの買ったほうがいいのかな……。
逆に制服着てたほうがいいんですかね、こう言う場所。
流石にそれ以外のスカートは―って思いますけど。
(自分にしては地味めな服装ではある、のだが。
自分の体を見下ろしてから服の裾を引っ張りつつ。
自分もお冷に口をつけると、取り敢えず烏龍茶、と注文しようか。
緊張で冷たいものが欲しい気分だ)
■五代 基一郎 > 「ただ後で説明するけど、ここは絶対一人で来てはだめだよ。エイジャックスがいる場合は別だけど。」
今そうした黒猫と、自分がいるから警戒はしなくていいのだということと
ある程度そういった警戒するものに関しては我々がともまた言外に伝える。
実際常日頃の学生生活はさておいて、このアンダーグラウンドな街で
警戒などしないでいたらすぐに食われてしまうのが……であろう。
「烏龍茶二つ……そう、まぁそれは良かったのか良くなかったのやら。
しかし良く来たなこんな所に……」
いくつかの要素が集まり、複雑な顔をせざる負えない。
なぜ一人で来るようなことに巻き込まれなけれならなかったのか、とか
それでも特に何かあったわけではなかったのは元々なのだろうか……とか
■エイジャックス>「学生服では逆に目立つ。どこの者であるかと周囲いに知らせる機能がある服を来てここには来ない方が賢い。」
「風紀の制服とかもね。まぁ女の子だし色々服は試していいと思うよ。
必要なら俺が金出してもいいし」
と言った辺りで烏龍茶が二つに青菜の炒め物が出されてくる。
取り皿がいくつかと箸らも備えられて。
取り皿を綾瀬にも渡し、まぁ適当に食いつつとしたうえで
話を始めた。烏龍茶のさわやかなのど越しが有り難い。
「というわけで特別課外活動……の第一回。
まぁ前に来ていたなら話が速いけどここらがあちら側……アザーサイドの典型だ。
この島の学生社会が日の当たる世界の象徴なら、こちらは世界の影の部分。
常闇の世界と言ってもいい。人々を守る法はなく、己を守るのは己のみ。
それらを産んだのは力でありそれらを敷くのもまた力。
特に大変容以降の……魔術、異能、異邦人といったものだな。
異能が支える社会が表とも言うのなら、異能が生んだ社会がこういったものと言える。
まずはその世界を自身で感じ知って、それがどういう世界か受け入れることを第一歩としたいかな……と思ったんだけど
そうだね、今日は初めて過ぎて思う所は色々あるだろうから質問とか色々どうぞ。」
俺は青菜食います、と箸で取ろうとするとエイジャックスは無言で尻尾でその手を叩く。
叩かれたので手を引っ込めて烏龍茶を飲んだ。
■綾瀬音音 > や、それは解ってます。
普段なら絶対に近寄らない場所ですしね。
この島に来て3年目です、ここがどう言う場所かは何となくですけど解っています。
(男の言葉に一つ頷いて。
落第街が公には存在していない、とされている上に二級学生やら不法滞在者の巣窟で有ることくらいは知識として知っている。
警戒しないでぼんやりしてたら、それこそ自分は女性なのだ、どうなってしまうか位想像できる)
う、今となっては大胆な事したなーって思います。
それこそ1年くらい前、玲刃君を探しに来たり、
その後直ぐ指名手配されちゃって行動できる範囲がここと未開拓地区くらいしか無かったり、って感じですね……。
(そうやって語る様子は、苦笑混じりの懐かしさを含んだもの。
もう1年経つんだ、と思うと同時たった1年なのに随分と遠くに来た気もする。
戦闘に巻き込まれはしたが、所謂“被害者”にならなかったのは偏に幸運だったのだろう)
要するに無個性で余り派手ではない格好、ってことだね。
ううん……難しいなぁ……。
コレばかりは試してみるしか無いですね……。
あ、お金は多分大丈夫なので。
(雑誌を見てどうにかなるようなものなのだろうか、と思いつつ、帰りにでも道行く人の服装を眺めてみます、と付け足して。
金銭に関しては仕送り多いんですよ、とかなんとかも付けたそう。
烏龍茶と取り皿を受け取ると、自分も烏龍茶を口にする。
思ったよりも美味しくて安堵する)
うーん……何となくは解る、つもりです。
表向きここが無いことになっているのもそれが理由ですよね。
でも、表、と言うか風紀公安委員会の目が届きにくいのであれば、それそこ言ってしまえば“なんでもあり”です。
常世島の法の存在からいろんな理由であぶれてしまった人たちはここに来るしか無いし、そもそも従う気もない人にも絶好の場所、だとは思います。
……常世島に限ったことではないんでしょうけれど、ここは多分今の世界の縮図なんですね
(異能、魔術、異邦人が当たり前に存在している世界でも、ここまであからさまに存在しているのはここくらいなものだろうとは思う。
アンダーグラウンドの知識はテレビや本、と言ったものとそれこそ同じ指輪の持ち主の事くらいしか知らないが、察することは出来る……が、この程度だ。
黒猫に制されてるのを見るとちょっとだけ笑ってから、男の皿へと青菜を入れようとしながら)
うーん、そうですね……。
落第街って場所で都合がいいことってなんですか?
私にとってはメリットなんて殆ど無いような場所なんですけど。
風紀公安の目が全く届かない、って言うわけでもないですし。
なんでもあり、とは言いましたけど、それは言ってしまえばそういう人たちにしたらお互い様、ですよね。
それこそ力が全て、なんですからメリットよりもデメリットの方が大きい気がするんですけど
■五代 基一郎 > 「こらこら、知っているわかっているというのと理解しているとは違うぞ」
主に三年前から、ではあるが。
理由あって異邦人街から落第街にかけてが大体の行動半径と化しているのだが。
それでもやはり思うのは……どこでも言えるのだろうが”そういうもの”とはわかっていても
生きている者らがそこにいる限り、その場所というものは生き物である。
あるが故に、知識だけではどうしても足らなくなる。
この先綾瀬音音がどう生きるかはさておいて、異能という力を受け入れて……
というよりもアザーサイドに足を踏み入れるならその生きている世界を
知る、わかるというより理解する必要がある。
即ち生き物を扱うのと同じようなものなのだが。
「雑な言い方かもしれないけど、あれは嫌な事件だったね
だけどまぁ……そうだなぁ……」
余り口に出したくはないのだが過ぎ去った事件として様々な意味で処理するしかなかったそれら。
それらもまた、綾瀬の言うように世界の縮図であれば
それはこの島以外でも起こりえる話ではある。つくづくと人は愚かだと思わせるようなことではあるが。
「女の子が色々服を変えているのを見ている分には、華やかでいいから
そういう時の飯代ぐらいは出そうじゃないか。」
しかしまぁ、とも思う。仕送りが多いのは家族中が良好なのかそれともと。
綾瀬から見た綾瀬の家族とその家族らからみた綾瀬はまた違うのか。
ただ裕福なだけかとも思えるが。
こと綾瀬音音に対して気に掛けすぎなのは自制すべき所だろうか。
「そうだね。こういう落第街のようなところがあるのも社会実験的な面があるのだと思う。
こうした場所は島の外の世界にもあるし、法の目が届かない場所がある。
そこで何が生まれるか、そこに対して何が出来るか……という試験のデータも
モデルケースとしての世界には重要なものになる。」
だからこそこの場所は消えることはないし、消されることもないだろう。
だからこそこの場所とこの島が嫌いなのではあるが。
これはどうも、と綾瀬に青菜を取り分けてもらいながら話を続ける。
「それはそうだね。その力がこう……力こそ正義、悪魔がほほ笑む時代なのだ!というような
単純な暴力的なものだったらそうだろうけど、実態としてその力というのは
非常に多様化している。人間が目覚めた異能、かつてからある魔術、異邦人のそもそも地球人類からのルーツでない技術だったり。
そういった多様化した能力による、力という能力主義が極端化した世界が
所謂このご時世での裏社会とかそう呼ばれるものといえるかな。
危険やデメリットについては能力で自衛するか、また力を持つ者同士で徒党を組んでというのがある。
ある程度自己防衛が出来る者達であればそう気にすることではないだろうさ。
メリットというのは金銭や後ろ暗いことが堂々と出来る……というのはさておいて。
”場所”じゃないかと俺は思っている。この落第街は消えることはないからね。
風紀や公安が手入れじゃないが、見に来ることはあっても
この場所は消えることはない。余所……島の外だったら軍隊出して
それこそ掃除したり排除するなりで区画整備をするのが普通だろう。
だがここはなくならない。場所が無くならないということは、ここで腰を据えられるんだよ。
何十年以上も前からこの世界にある難民問題等の事例もあるし、場所があるということが
如何に拠り所になるか、何物にも代えがたいものかは察するに難くないんじゃないかな。」
アンダーグラウンドの世界にもアンダーグラウンドの世界なりの社会と
法はあるだろうがそういった世界にいる者達からすれば
日の当たる世界からの絶対的な介入で追い出される心配がないというのは
日の当たる人間が思っている以上のメリットがある。
綾瀬音音からして理解が速いだろう例えであるならば。
居場所を奪われる心配が、より少ないのだ。
力さえあれば奪われることのない場所にもなる。
それは大きなメリットではないだろうか。
ご案内:「落第街 中華料理屋」に古志野 緋色さんが現れました。
■古志野 緋色 > ハーフパンツにスニーカー、アニメキャラクタのTシャツに派手な色のシャツ
ワークキャップに黒縁眼鏡、だいぶ怪しげな恰好で変装している風紀委員が店に入る
店を見渡して知り合いがいないか確認……と思ったら同僚がいた
「げ……」
どうしよう、出て行っても怪しまれるよなぁ
■綾瀬音音 > ぅ、はい……気を付けます……。
(注意されれば素直に頷いて。
知識はあっても肌で感じ取っているわけではないのは承知しなければ、と気を引き締める……とは言え今は男と黒猫がいることだし少し気の抜けたものになるのは仕方がなしか。
自分が知っているのはあくまでこの島で生きている上での一般知識。
それでしか無い)
……中々出来ない経験だった……で、個人的には済ますことが出来る程度にはなりましたけどね。
“事件そのもの”を考えるとやはり余り愉快な気分にはなりません。
(自身はあの事件において、端っこのほうで右往左往していただけ、と言う主観であるが。
事の顛末を考えても楽しいものではなかった。
詳しい経緯は、結局は知り得ないことでは会ったのだけれど)
そうですか?
って言うか洋服くらいしか趣味ないんですよね……。
う、じゃあお言葉に甘えます……。
(家族の話は訊かれればするのだろうが、訊かれれば口にすることもなく。
ただ特に仕送りが多い、と言った口調には家族に対するマイナスイメージは無い。
どちらかと言えば過保護なんですよ、と言いたげな口ぶり)
ん……確かこの島そのものがモデルケース、なんでしたっけ。
だったら世界にあって当然なものが無いのも不自然になってしまうから、あえて残ってる、って言うのもあるんですかね……。
(この島が完全にクリーンなものではないのは解っている。
モデルケース、と言えばいいが大規模な実験場とも言えるのだろうかとも思うと、少しばかり眉が寄ったが、それは烏龍茶で押し流した)
……異能魔術って言っても一口で分類出来るものではないですしね。
力による能力主義……ですか、ってことは結局は力が無いと何も出来ない、ということにもなりますよね。
力がある人はそうでしょうけれど、そういう人たちは、それこそここだと搾取されるしか無い、面白い話ではないですが。
(それは今正に自分にも跳ね返ってくる話ではあるのだけれど。
じっと手を見つめてから)
区画整理する力がない、ってことじゃないですよね。
さっきの話と繋がりますけれど、モデルケースだから残している。
そうしたら拠点としては都合がいいってことですね。
それがわかっていれば、変にここが無くなることに怯えなくてもすむ。
入れ替わりはあるでしょうけれど、本質的に住民の質……って言うとアレですけど変わらないでしょうし。
ん……それは解ります。
居場所があると無いでは全く違いますものね。
………………居場所ってだけじゃなくて都合のいい場所、居心地のいい場所って言うのは重要ですから。
(何をするにしても、何処に行くにしても、居場所がある、と言うのは大切なことだとは思う。
寝起きをする場所、以上の意味を持つことも多いし、そこが便利であったり居心地が良ければ尚更だろう。
そこを守ることができれば、また外からの介入が少ないのであれば、コレほどいいことは無いだろう。
納得して頷いたが、)
――――――――。
(めっちゃ目立つ人が入ってきた。
先ほど目立たない方がいい言う話をした矢先である。
何やら五代の方を見て声を上げたようなので、知り合いですか、と首を傾げ)