2015/07/12 のログ
ウィリー > 「城を守る石垣も兵もない、ふんぞり返っていていいのか女王?」
運のいい事に、自分はまだ生きている。みっともない姿ではあるが戦える。
そして見た限り、主戦力といっていい連中も踏みとどまったようだ。
「それ以外は……厳しそうだな」

落ちていた矢を数本拾い鉄魔法で剣に変えると、生き残りの蟻人を次々と切り捨てていく。桜井への邪魔が入らぬように。

「うまくやれよ、桜井」
蓄えたエネルギーをストレージに移動する。今回はもう、使う必要もない。後は落ち穂拾いのようなものだ

桜井 雄二 > ウィリーとシン・アルバートと安室冥路が桜井の周囲の敵を討滅していく。
全ては最後の一撃のために。
極めし一撃で、戦争を終わらせるために。

左手の氷、右手の炎。双方のエネルギーを結集させ、全てを消滅させる力を放つ。
これは精緻なコントロールがあるからこそ成立する最後の攻撃。
今まで実戦で成功させたことは、一度しかなかった。
それに。

「ぐ、ううう!!」

異能を真・魔人化で強化した今、そのコントロールの難度は通常時の比ではない。
全身が凍りつく、あるいは全身が燃え尽きてしまいそうだ。

それでも。
あの笑顔に。
三千歳泪の元に帰るんだ。

「兄さん、力を貸してくれー!!」

亡き兄を想う。この炎熱の力を完全に制御していた、兄を。
この力を死してなお、自分に託した兄を。
兄の復讐ではなく、全てを守るためにこの力を使いたい。
そう、思った。

「うおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

右の背から炎の翼が、左の背から氷の羽根が生える。
余剰エネルギーを後方に逃がした結果だ。
今、両手の中に完全に制御された消滅エネルギーが満ちている。
湖城惣一の祝詞により、力の方向性も定まる。
桜井に力が集中するのを見て、こちらへ向けて突撃しようとしていた女王蟻。
白崎玲刃が弓から放った大剣に刺し貫かれ、大量に亜人を産むための下半身を吹き飛ばされて身悶える。
放たれたその速度は音を超えていた。破壊力も並外れており、それだけで女王蟻は瀕死。
それでも下半身を切り離し、上半身だけで巨体を器用に動かしながら女王蟻は迫ってくる。
そこに加速された大量の『散弾』が迫る。
黒い風を使う男の放つそれは、蟻人の屍を大量に巻き込み、暴風となって女王蟻を襲う。
それでも前に出る。それでも女王蟻は一人でも多く道連れにしようと妄執のままに迫る。

みんな、ありがとう。
もう大丈夫だ。撃てる――――今なら。

「消え失せろ、この世界からー!!」

両手から白い光の奔流が放たれる。
それは異世界と繋がるゲートから半分以上体を乗り出していた、蟻人の女王蟻を消し飛ばし。
ゲート全てを飲み込み、削り取って吹き飛ばした。

「はぁ………はぁ………はぁ……」

もう火の粉一つ、氷片一片たりとも作る余力はない。
桜井が両手を組んだままの姿勢で、荒い吐息を漏らした。

「勝った………のか……?」

世界の修復力により、極大消滅波により消し飛んだ世界の一部が通常空間に戻っていく。
後には蟻人の死体と、残された人類が残るばかり。

怪異対策室のメンバーたちから歓声が上がった。

湖城惣一 > 「――――終わったか」
 桜井雄二の一撃は全てを吹き飛ばした。
 その一撃は見惚れるほどに完璧であった。
それは奇跡の一撃。およそ湖城の境地とは両極の関係にある技。
 己には一生真似できまいと心中思いながら賞賛した。
 神力を過剰に奉納する切腹奉納からの奏上は、ともすればただ戦闘するよりも消耗が激しい。
 相手の送還、周囲の無事を確認するなり膝をつく。
「は」
 崩れ落ちながら、もう一度笑みを浮かべた。
 今までに遭遇し得なかった戦場。それは彼にいかほどの影響を与えたのかは分からない。
 しかしながら。
「これで……ゆっくり飯が食えるというものだな」
 怪異対策室の面々を含めた全員を見回して、大きく息を吐いた。

安室 冥路 > 例えて言うのであれば天使、だろうか。
炎と氷、相反する二つの翼を持ったそれは熾天使
冒涜者を審判するもの、神の光を持って断罪を成すもの
大天使ウリエルを彷彿とさせる、光の奔流が
女王蟻を、ゲートを、飲み込み消し飛ばしてゆく様を半ば呆然とした顔で見届けた
『…とんでもないものを見た。』
無数の蟻人達と戦い続けた戦士達からの歓声、それを聞いて、我に返る
異能を解除し、座り込んでポシェットの栄養ドリンクを取り出し、飲み干して一息つく

「…あっはは、すっげぇ。なんとかなっちゃったよ。あっはっはっ…♪」

何が面白いのか、喜ばしい事には違いないが何故か笑いがこみ上げて
手を叩きながら暫し笑い声をあげる。
目元に溜まる涙は、限界の駆動を繰り返した体が悲鳴を上げたからか、笑いすぎたからか
一頻り笑い転げた後。改めてこの難局を乗り切った"仲間"を見回して

「お疲れ様。」

疲れきった、だが充足感に満ちた笑みを浮かべて一言、絞り出した

白崎玲刃 > っぅぅ……
【限界まで振り絞り大剣を弓で放った玲刃の手も無事では済まなかった
放たれた大剣の伴う衝撃と放った反動により腕や手の骨にひびが入ったり折れたりし、衝撃波で皮膚が裂け
負ったダメージの苦痛に呻く。】

………流石だな…桜井。
【しかし、次の瞬間見えた桜井の攻撃の凄まじさを見て痛みを忘れ唖然とする。
そして、女王蟻とゲートが消滅したのを見やり、
極大消滅波の壮絶な威力に感心したように桜井へと呟いた。】

ああ、勝ったんだ。
【怪異対策室のメンバーやこの場に集まった者たちを見回し、
そして、蟻人が居なくなった事を確認しながら玲も警戒を緩めると
玲刃も安堵したように、一つ溜め息を吐きながらその場に座り込む。】

シン・アルバート > 上だけになってもなお、妄執で駆け抜けた、貪欲なるモノが、
……氷炎と、爆炎とが生み出す消滅波により、『なくなった』。
断末魔も上げる暇があったのだろうか? 流石にそれは知らないが。


「道連れは、十分過ぎただろうに。」
「………贅沢な母親だな、最後まで」

風が、黒い風が、霧散し、行使が終了する。
流石に最初から最後まで長時間制御しっぱなしだったこともあってか、
『奪いとった』分では割に合わなかったのかふらふらと体勢を崩しかけ………
ぺたんと座り込んだ。多少その姿勢は崩れている。

「ゆっくり休めるだろうな、少なくとも。」
乱れかかっていた手首の包帯を戻す。
夏場の彼にとっては誤魔化すために必要なものなので手放せないのだが、
流石に他人に痛々しい手首の痕を見せるわけにもいかないので、見つかる前にこうして、隠そうとするのはいつものことらしい。

「……これで、『この件』は終わってくれると、助かるんだが、なぁ」
「流石に侵略者戦争はあんまり、好きじゃない」

ウィリー > 一撃の後の静寂。
ついに、それは打倒された。

「……疲れたが、まあ前途あるカップルを守れたと言うことで」
座り込んで、にっと笑う。

桜井 雄二 > 「ああ……そうだな、湖城惣一」
あちこちが焦げていて、そのくせ氷で固着していた両手を引き剥がし。
「腹が減ったよ、味噌バターコーンラーメンって気分だ……替え玉ありのな」
「……ありがとう、湖城惣一。今回も助けられたな」
「何か、すっきりした。自分の目の前にかかっていた霞が晴れたような気分だ」
そう言って無表情に自分の両手を振った。

安室冥路に手を振って近づく。
「ああ、何とかなるものだ。結果としてみれば大勝だな」
「これもお前のおかげだ、安室冥路。なんだあの姿は」
「蟻人上位種が一撃だったじゃないか、たいしたやつだよお前は」
無表情ながら、相手の目を見て。
「お疲れ様」
そう言って、自分の口の端を両手で持ち上げた。

白崎玲刃に向かって軽く手を上げる。

「さすがなのはお前のほうだ、白崎玲刃」
「奥の手を使ったからか? その手、痛そうだな…」
「俺もしばらく箸を持つのに苦労しそうだ」
あちこちが焦げ、あちこちが凍った両手を見せた。
「全く、勝つというのも大変だな……」


シン・アルバートに頭を下げて。
「すまない、また助けられた」
「そうだな……やっぱり、あの蟻人たちは領土が欲しかったのだろうか」
「……こんな被害を蒙ってまで、求めるものかは知らないけれど」
青空を見上げた。どこまでも広がる空を。
「こんなのは、もうたくさんだ」


ウィリー・トムスンに首を傾げる。
「そういえばそうだな、三千歳泪に……」
「正式に告白してみる」
両手を広げて、あれこれと言い訳を始めた。
「今までこう、友達以上恋人未満のままあれこれあちこち遊びに行っていたが」
「俺は変わるぞ、ウィリー・トムスン。泪に彼女になってもらう」
「上手くいかなかったら……その時はその時だ」
無表情に、よく喋るものである。

安室 冥路 > ポシェットを弄れば、先程自分が飲み干したものと同じ栄養ドリンクがあと6本。
丁度最前線に出ていた面々と同じ数。
見知った顔はそれこそ桜井しかいない、が。
共に死線を潜ったもの同士、仲間と言っても差し支えないだろう
湖城、ウィリー、シン、白崎、桜井
五人に向けてそれぞれ、栄養ドリンクの瓶を放り投げる

「乾杯するには色気の欠片も無いけど、良かった飲んで。みんな疲れてるっしょ。」
「ぬるいけど、疲れた体にはけっこー効くよこれ」
「みんな、凄かった。みんなと戦えて、良かったよ。頼もしかった。」

へらり、緩い笑みを浮かべてそれぞれの顔を見比べるように視線を移していき…親指を立てた

湖城惣一 >  ひとまず。
「どうしようもない負傷のものがいればこれを使え」
 そう言いながら、いくつかの符を取り出した。数はそれほど多くないが、
効果は覿面。湖城という男が切腹をしたあと、その治療に使うものである。
失った血までは取り返せないが、おおよその傷であれば復元する。
 自分にもそれを使った後、怪異対策室の面々にも配っていくだろう。
 そして、桜井にかけられた言葉には、
「何、全ては君が導いた成果だ。俺も、彼らも。恐らくは」
 あらゆる価値を置き去りにする湖城の剣は、まさに今回の結果とすら真逆と言える。
桜井雄二の力とは、ただ己の裡にとどまらないものなのだと認識した。
 それを羨ましく思うことはないが、同時に、桜井雄二という男の立ち位置を認めるのであった。
「ラーメンか。君の勧める店で無心にかきこみたい気分だが」
 桜井にも護符を投げ渡しながら、
「その傷ではラーメンをすすることも難しいだろう。使え。……む」
 そして、放り投げられてきた栄養ドリンク。
「なるほど」
 それを軽く掲げてみせる。
 こうした音頭をとるべきは、この場に一人しか居るまい。

白崎玲刃 > ははは、俺のはあくまで武器に頼ったに過ぎないさ。
奥の手というよりは力を限界まで振り絞ったって奴だな。
【玲刃は褒められ慣れて無いのか照れた様に呟く。】

ふむ……もし良かったら治癒するか?
【桜井の両手の負傷を見ると。
骨折していない、骨にひびの入った方の手を身体強化で無理やり動かし、
呪符Cを2枚ほど取り出しながら問う。】

ああ、大変さ。相手だって必死なんだからな。


ああ、ありがとうな。
【冥路からドリンクの瓶を受け取ると、
礼を言いながら玲刃も、身体強化で無理やり動かし、親指を立てた。】

シン・アルバート > 「……就職に関してはご自由に?というところか。」
「就職という表現は可笑しいが、現状は何処にも籍を入れていない『普通の』学生だからな?」
ここまでやったんだから、流石に何もアクションが無いのは怖いなぁ、と思っているから故の発言なのだが……
聞く限りだと「スカウトしてもいいんじゃよ?」と聞こえなくはない。
本人にそういう意図は全くない、つもりである。



「それでも。」
「………呼ばれたら、己れで良ければ、力になろう。立場が今と変わろうが変わらまいがそれだけは、言えることだ。…サクライ」
「だから、頭を下げなくてもいい。己れは、己れの意志で、手伝ったのだから」

頭を下げる桜井に、少々困惑しながら、そう答える。
投げられる栄養ドリンクを受け取り、つつも、彼への視線は外さず。
それを、待っている。

安室 冥路 > ほんと、気持ちのいい奴等だ。どうも全員が全員、桜井とは繋がりのある人物のようだが…
皆、満身創痍であるにも関わらず。自分よりも他人の心配をしている
まぁ、命懸けの現場に駆けつけてくるような連中だ
度を越したお人好しばかりなのは、想像に難くない
あちこちの筋肉が痛むというのに、くっくっと笑って
彼の、合図を待つ

桜井 雄二 > 安室冥路から投げられた栄養ドリンクを受け取り。
「おっと……いいな、みんなで飲もう」
「乾杯? 俺が言うのか?」
うむむむ、と栄養ドリンクを片手に固まっている。
「そ、それじゃ僭越ながら……」


「ああ、ありがとう湖城惣一」
一枚だけ符を受け取って右手に貼った。
「お、おお……便利だなこれ、痛みが引いたぞ」
「……湖城惣一、お前もたいした男だ」
「お前の友人でいられることを、そして共に戦えたことを誇りに思う」


白崎玲刃からも呪符を一枚だけ受け取り。
「ありがとう、こっちは左手に使わせてもらおう」
「おお……これでラーメンが食えるな…」
「……白崎玲刃、その手より俺の手を優先させてよかったのか…?」
両手を振る。もう痛くない。助かったけれど、少し申し訳ない。
そして、桜井もみんなに親指を立ててみた。
お互いを労うように。


「そうか、そういうことかシン・アルバート」
「それなら生活委員会に入るか? みんなで掃除、楽しく掃除、死ぬまで掃除だ」
たまには桜井も冗談を言うことがある。
「……ありがとう、シン・アルバート」
「お前も俺の大切な友人だ、何かあったら呼んでくれ、力になる」


そして周囲を見渡しながら、咳払いを一つ。
「今日という勝利を祝って……乾杯!」
栄養ドリンクの蓋を開け、そして――――それを飲み干すと、自然な笑顔を見せた。


これは男が本当の笑顔を取り戻すまでの物語。
友情と恋と、戦いと涙と。
それは有限の時間の中で、不器用な彼が掴み取った全て。

第二部 氷炎の支配者 桜井雄二編 完
第三部 星空の観測者 三枝あかり編へと続く

ご案内:「転移荒野外縁部」から桜井 雄二さんが去りました。
ご案内:「転移荒野外縁部」から安室 冥路さんが去りました。
ご案内:「転移荒野外縁部」から湖城惣一さんが去りました。
ご案内:「転移荒野外縁部」からシン・アルバートさんが去りました。
ご案内:「転移荒野外縁部」から白崎玲刃さんが去りました。
ご案内:「電脳世界『TOKOYO』」に『シュージン』さんが現れました。
『シュージン』 > 世界は情報でできている。
今この世界で、踊るネットワークは
別世界として確固として存在する。
セキュリティのある場所は、壁として。
パスワードは鍵。足跡はアドレス
また、この世界を無視して、動くことなどあり得ない

だから、この世界をも彩らなければ。
そう、よりリアリティある舞台へとするために……

囚人は踊る。奏でられる音楽を背に、小さな絵―ウィルス―を描いて。
掲示板―キャンバス―にそっと色―もじ―を彩る。

『あの劇団の再来を』

裏サイト。表ではないその場所に
より熱狂的なファンがいるその場所に

より分かりやすく、鮮明な”絵”を綴る。
その手錠された手を使い
全身を躍動させて
ついに牢獄から解放された脱獄犯のように

『シュージン』 > 描く、描く……
より鮮明に、プログラムを走らせる。
島全体を震わせるように。
彩り、豊かに。
なにせ、観客がきてこそ、美術は完成される。
舞台の背景だけではない。
期待や不安、感情をひっくるめて、すべては美術なのだ。
それが表現できなければ、自分の価値はない。
あぁ、だからどうか……
歓喜して悲哀して怒声を上げて
この演劇を彩ってほしい。
あの時の感動、絶頂のように――

もう、聴くだけの舞台は終わった。
観るだけの舞台は終わった……
さらに、その先へ。

届いてほしいのだ。かの団長に

だから、すべてを彩れ美術家よ

その一言で、魔法をかけて……

―――
This wide and universal theatre
Presents more woeful pageants than the scene
Wherein we play in.

この世界という広大な劇場は、我々が演じている場面よりもっと悲惨な見世物を見せてくれる……

――――

『シュージン』 > 囚人は踊る。

その鎖を楽しむように。

解放の日は――近い……

ご案内:「電脳世界『TOKOYO』」から『シュージン』さんが去りました。