2016/06/12 のログ
■真乃 真 > 「しませんよ!全く!」
…さっき自分で張った頬が痛い。
でも、セクハラはしない。しないとも!そう、少なくとも自覚的には!
全裸タオルの方がまだする可能性はあるぐらいである。
「…幽霊も普通にいるこの島で心霊写真とか冗談にもなりませんよ。」
特にホラーが駄目なわけではない。理不尽系は駄目だが
「失敗したら死ぬ特訓!?」
目をキラキラさせながら聞く。
イメージはクレーンの先に吊るしたハンマーを受けたりする特訓である。
「そんな!成功率はたったの5%だなんて!ぜひお願いします!」
別に死にたがりではないのだけども、そんな特訓には憧れがあった。
特訓は男のロマンである。
■ルギウス > 「まぁ、きちんと段階は踏みますけれどねぇ。
迅鯨さんは精神に関与する魔術でしょうから肉体的にはしごきませんよ。
体を動かしたほうが飲み込みが早いかもしれませんけれどねぇ」
一応、素養と覚えたい傾向は見抜いているようだ。
「真さんは……普通に考えれば肉体強化系なんですが。
もう魔術関係なく特訓した方がいいですねぇ。
生存率5%がお望みなら、私と戦いますか?」
なおルギウスが一番得意な戦い方は 相手の心を折る戦い である。
■蘆 迅鯨 > 「ンー?本当かァ?本当にしない自身あんのかァ?」
少年のほうを向くと豊満なバストを両手で持ち上げ、わざと誘惑するような姿勢をとってみる。
主に異性に対して行う、誘惑の姿勢。
ところが、その少年が『失敗したら死ぬ特訓』に目を輝かせている様子を見ると。
「(……何なんだこいつァ?どうも読めねェな……)」
迅鯨のテレパシーは送信することしかできない一方的なものゆえ、
他人の考えは普通の人間のように言動からある程度察することしかできないのだ。
「アー、俺が使える魔術はアレだ。所謂エナジードレインってやつだな。ちょっとここじゃ細けェこた言えねェケド?」
ルギウスにそう言ってすぐ、少年のほうに流し目。何かを連想させようとしている。
壇上のほうからは閉会のスピーチが聞こえてきた。
■ルギウス > 「ああ、房中術ですか。
その胸を触れるなら、生気の一つや二つは安いものですねぇ」
はははと笑う。
「おや、どうやら閉会のスピーチがあったようですねぇ」
■真乃 真 > 「しない!しな…。」
ここまでしてくださいって言ってるのにしないのは逆に失礼だよな…
とか変な思考が働いて身体が動きそうになったのを異能で抑えてもう片方の頬を打つ。
「しない!」
目に涙を浮かべながら言い切った。
これは頬が痛いのだ。痛いから泣いているのだ!
「肉体強化ですか!普段から体は鍛えてますけど自己流では限界を感じてましたから…。
いや、それはもう少し強くなってからでお願いします!それまでは死なない範囲で!」
この教師はどのように戦うのか分からないがきっと相当の自信があるのだろう。
死にたくはない!特訓についてはきっと成功すると思っているがこの教師との戦闘は何となく嫌だった。。
「たしか…本当だ!早かったなあ!」
その胸を触れるなら… に同意しようとして口を出かけた言葉を殺して
意識をスピーチに向ける。
ご案内:「常世大ホール(分割)」に松渓つばめさんが現れました。
■松渓つばめ > 大型パフェアイス(とりわけ式)を配って、自分の担当はここが最後。
ぴょん、とウサギさんカムバック
■蘆 迅鯨 > やがて、閉会のスピーチが終わると。
「ん、そだな。意外と早ェもんだ」
思っていたよりも時間が経つのは早い。
短い時間の中でもこうして新たな出会いが見つかったからには、
有意義な時間であったといえるだろう。
そして再びバニー姿の少女が視界に入れば、
「……お、つばめちゃん」
彼女の名を呼んでみる。
■ルギウス > 「迅鯨さん、押し付けてあげてください。
こうむぎゅっと押し付ける感じで」
とてもとてもいい笑顔だったと後に見た人は語った。
「ああ、つばめさんおかえりなさい」
帰ってきたウサギちゃんに返事をして。
「ああ、残念……私、搦め手や詰め手が大好きなんですがねぇ。
とりあえず勝てるけど死にそうになる敵と戦闘を繰り返しましょうか。
数回ほど死線を潜れば変わるでしょう色々と」
スパルタとかそういう次元ではなかった。
■松渓つばめ > 「ふふ、たっだいま」ちょっとメンツも変わっているようで――「あれ、真?」
と以前一緒に特訓した先輩を見つけ……おぱいに詰め寄られている。なんだあれ。
「特訓の話してんの?相変わらずマジメだわね。でも、それ特訓?」3人のすぐ近くに陣取って、ちょっと半眼で半笑い
■真乃 真 > 「ルギウス先生!なんてことを!しないでよ!絶対にしないでよ!」
それはもたない、もたない。
心が持たない。
「あっ松渓さん!ここで働いてるのかい?」
バニーな知り合いに声をかける。
「精神面は凄い鍛えられてそうな気がする…。」
…心が大分消耗してきた。
■蘆 迅鯨 > 「ふふん」
ルギウスの言葉を聞くや否や、
にやけた表情でゆっくり、ゆっくりと少年のほうに近づいてみる。
当然、少年の制止する声は耳に入るが。
「(するなって言われりゃ……なァ?)」
むしろノっている雰囲気もある。
半笑いを浮かべているつばめのほうをちらりと向けば、
「そそ。オトナの特訓ってやつだな。だろ、センセ」
と、共犯者に目配せなどしてみたり。
■ルギウス > 「ええ、心を鍛える特訓です。
反対側からつばめさんもどうですか?」
ビッグとスモールによるサンドイッチ。
羨ましい。真ちょっとそこ変われ。
「ああ、私にもアイスをいただけますか。
バニラで」
■松渓つばめ > 「ん?働いてないわー、スタッフが随分忙しそうにしてたから、勝手に手伝ってるの」
後でお金とか取るかもしれませんが。
「かてるけど死にそうになるオパーイか……真、ムチャシヤガッテ……」
一息ついて。結構我関せずといった具合に、既に他のスタッフが運んでいたチーズ盛り合わせをもぐり。合うという緑茶ハイをくぴり。
「――あたしも?」えっなにそれ挟まれたいのアンタって目で少年を見る。切れ味鈍く刺し貫きそうだ…
■真乃 真 > 「これ、逆にセクハラじゃない!?だれか風紀委員とか先生呼んできて!」
元風紀委員は自分だし、教師は目の前の男である。
だれも助けはいないのだろうか。
「…大変なのを手伝うのは良いことだよね!うん!えっ松渓さんは大丈夫です。」
迅鯨から目をそらすようにバニーの少女に目を向ける。
大分、反応が薄い。やっぱり大きいほうが…
いや、違う。こんな嫌がる相手にそんな事をさせるなんて許されないよね!!
自分で挟んでって言ったんじゃあないけど目つきが怖いもん!刺さるもん!
■松渓つばめ > 「なるほど。じゃっ、センセとシュンジンで挟むってことか」
ずぐずぐと笑顔と視線で肉を割っていく。
嫌と言った覚えは無いが、是非ともと言われるとそれはそれで張っ倒したくなるのが微妙なウサギ心。
■蘆 迅鯨 > 徐々に距離を詰めてゆく迅鯨は、まだギリギリ少年に胸が当たらない位置にいた。――が。
つばめは大丈夫――二人の関係をよく知らぬ迅鯨からすれば危うくも感じられるその言葉を聞くとすかさず、
「そっかァ……やっぱお前、こっちのほうがいいワケ?」
――と、その胸を押し当てんとする。
「で、センセはどうよ?」
再びルギウスを見つめ、問いかけつつ。
■ルギウス > 「仕方ないですねぇ」
一瞬だけルギウスを照らすライトが消える。
暗転後、そこにいたのは……迅鯨に負けないほどのバストをもった黒髪の少女が居た。
「これでサンドイッチすればいいのでしょう?」
声まで変わっている。
■松渓つばめ > 「ブゴッ」本日2度めであった。
何なんだこの不良先生は。
「なんなんだこの不良センセーは」
だがコレで流石に真乃君も成仏するであろう。ナムアミダブツ。
■真乃 真 > 「挟むこと前提なのかい!?それに何その意味わからないサンドイッチ…。」
前世でどんな業を犯したらそんな状況になるのか分からない。
「確かにどちらかと言えばって…触らないんだけどね!」
どちらかといば大きい方が好みである。
触らない。触らないけれども!
押し当てられるなら仕方ないよね!!
「先生、もう僕疲れました…。」
なんなんだろうこの先生。
もうどうにでもなればいい!
「――挟んでくださいお願いしま…ふんッ!」
迅鯨とルギウスに頭をさげそうになっりかけるが、しかし!
全力で自分の顔を張る。今度は両方同時である。
「――お願いします!」
理性を乗り越えた。男の顔がそこにはあった。
ご案内:「常世大ホール(分割)」にヨキさんが現れました。
■ヨキ > 宴もたけなわ、ホールを後にしかけたヨキが集団の前を通り掛かる。
「ま……真乃君……?」
足が止まる。止まってからの、絵に描いたようなポカーンである。
何の騒ぎやら、思わず見入ってしまった。
■ルギウス > 「ふふふ、覚悟を決めた男のいや、漢の顔ですねぇ。
先生そういう顔は大好きですよぉ?」
ただし、その覚悟と乗り越えた理性は駄目な方向だと思う。
「それでは、迅鯨さん……挟んでしまいましょうか」
少なくともルギウスはのしかかるように押し当てた
■蘆 迅鯨 > 「ふふん」
少女の姿となったルギウスと共に少年を左右から挟む構図となった迅鯨は、
若干頬を赤らめつつも自信たっぷりに笑う。
こうして異性を、ときに同性も気まぐれに誘惑することは迅鯨のいわば十八番である。
そのために一部の生徒からは『オトコ殺し』等と呼ばれているとかいないとか――。
「……だな、センセ」
迅鯨はルギウスの言葉に応え、自らの胸が少年の体で大きく潰れるように、むにゅ、と押し当てんとする。
■松渓つばめ > 「いや、顔!顔!ひーっ」
自分の顔を叩いて『お願いします!』と叫んで
ナイスなクアドラプルオパーイに挟まれながら劇画調の若い男。
それがつばめの網膜を通して脳に与えられた電気信号であった。
無☆理。
テーブルを叩かん勢いで大笑いしております。たとえヨキ先生に気づいても、すぐには反応できない……!
■真乃 真 > 左右から押し当てられる重く柔らかな感覚。
今まで、経験した事のない異次元の柔らかさである。
「――。」
――何か一つ大人の階段を上ったような気がする。
その多幸感から覚めた真の目に映ったのは
ぽかんと口を開けた尊敬する教師の姿と大爆笑するバニーの姿だった。
「これは、違うんだ!!」
何が違うのか挟まれたまま動こうとはせずにそう叫んだ!
ご案内:「常世大ホール(分割)」に言乃葉夕陽さんが現れました。
■言乃葉夕陽 > 会場に今更ながら一人現れる
同居人の帰りが遅いことに心配したためわざわざ会場にまで出向いたのだ
「こんばんは……つばめちゃん……は……?」
そこでみたのは、何この光景、胸に挟まれてる男子生徒が一人?
大爆笑しているつばめちゃん……?
■ルギウス > 「動けないですよねぇ? 男の子ですものねぇ?」
耳元に息を吹きかける。
手馴れている。
「ああ、ヨキ先生。ビデオはどうでしたか?」
何事もないように会話を始めた。
とうぜん、吐息は耳元に追加される。
■ヨキ > おっぱいに挟まれた真が叫ぶ。
爆笑するつばめと、この世の終わりのような驚愕のツラで立ち竦むヨキの絵面は大層ハイコントラストであったろう。
なぜ動かない!何かの罰ゲームなのか!それとも新手の苛めか!どこかで配信している者が居るのか!
脳裏でぐるぐると言葉にならない思考が駆け巡った末、ヨキは失神しかけてへなへなとテーブルに手を突いた。
これは何だ。神聖な学び舎で斯様な乱痴気騒ぎが許されていいのか。
「あの……真乃君、違うというのは一体……ではなくて」
真を挟み合ったおっぱいの持ち主を交互に見る。
よりによってたちばな学級の教え子。もう一人は見知らぬ少女……ではなく、
「ル……」
ビデオの話題に、ああ、と力ない呻きが漏れる。
「……ルギウス!貴様は生徒に何をしとるか!
それから蘆君!君は蓋盛のような真似をしてはいかんッ!」
たちばな学級の担任の名を挙げたのは完全にとばっちりだが、当たらずとも遠からずといったところか。
「ビデオは観た!昔観た演目が入っていて内容には満足した!以上!」
少なくとも会話は成り立つようだ。
■松渓つばめ > 違うんだ!違うんだて!!「違うんだて!」
かつての大芸人明石家様を髣髴とさせるファーヴォイス。もうダメのようです。
しばらく肩で息をついて……
「はは…… 、あぁ、夕陽ちゃん」
もう涙をふくのが限界です。「あいてっ」と腕につけた謎の飾りで軽く顔ひっかいて、ようやく少し落ち着いた感。
そしてヨキ先生そのセリフも強いです。
■蘆 迅鯨 > 「ど・こ・が?違うって?ん?ホレホレ……」
左脚のペグ状義足を何かに躓いてしまわないよう注意を払いながらも、
つばめの笑い声も意に介さず、ぐりぐり、むにゅむにゅと少年の体に自らの胸を押し当ててゆく。
そのたびに、迅鯨の胸は柔らかに形を変えていった。
少しばかり息が荒くなっている様子が、周囲にも窺えるだろうか――?
と、そんな迅鯨を制止する声の主はたちばな学級の非常勤講師、ヨキのものであった。
「ンだよーイイ所だったのに。ッたく、ヨキせんせーはお堅てェぜ」
彼のほうに視線を向けやや不満げにぼやくが、不快には感じていない。
むしろ状況を楽しんでいる節もある。
■言乃葉夕陽 > 「あ、えーと……おそくなったから心配できちゃった…‥?」
なにやらあちらの流れもまだ興奮冷めやらぬようでワイワイしています?
まぁ大胆、ふくよかな胸で殿方を……???
というか完全に少年さんを玩具にして……え、えっちなのはいけないとおもいます????
まだまだ、お子様精神には刺激が強かったようです。
そのうち真っ赤になってぴしゅーって頭から煙を出して、よろよろ座り込むでしょう、
ミイラ取りはあっけなく散りました。
■ルギウス > 「教え子と言っても、私の担当科目は履修していないですしぃ……。
生徒の望みを叶えるのも教師の仕事かな と」
ウィンク。
恐ろしいほど様になっている。
「ちょっとした悪ふざけですよ、悪ふざけ。
真さんは、この程度では思い切れないでしょうし……ね?」
仕方なしに離れる。
離れ際に真にそっと耳打ち『今度は最期までしましょうねぇ?』
スポットが切れ、再び注がれるといつもの男性の姿に戻っている。
「迅鯨さん、協力ありがとうございました」
大袈裟に一礼して感謝を伝える。
■真乃 真 > 「ち、違!ふぁう!」
反論出来ない。いや、耳元に息さえ吹きかけられなければ!
「ち、違うんだ!動かなければ負けだし!動いても何か負けな気がするんだ!」
何に負けるのかは知らない。
「…ヨキ先生!こういう時ってどうすればいいんですか!?」
これはもう、自分の力だけではどうしようもない。
ヨキ先生ならヨキ先生ならこんな時、正しい答えを教えてくれる!
「あと松渓さん!笑いすぎだよ!傷つくから!」
視界の隅ではバニーを迎えに来たらしい少女が頭から煙を出している。
自分からも出てないか少し心配になる。
■松渓つばめ > 芸人笑いをしながらも、押さえる行動は素早いのがこの娘なので、
「そんなこと言っても面白すぎ ――わわっ、夕陽ちゃん!?」
力なく危ない彼女が座り込んでも倒れ込まないように。背と肩を支え……
「あーもー真があんまり笑わせるから夕陽ちゃんダウンしちゃったじゃない」酷かった!
「んー……大丈夫?」と
■言乃葉夕陽 > 支えられて、とりあえず倒れて気を失うところまでは行かなかった
けど相変わらず顔は真っ赤で目をそらしていた。
あの女の人は実はいつぞやのうさんくさい先生だったということも相まってなんか更に……こう、
混沌としてるなっておもった
「ん、だいじょうぶ」
■ヨキ > 「教師がカタいのは当たり前だ、蘆君……そういうのは卒業してからにしなさい。
学園に籍を置いているうちは、自分の身体を大切にしたまえ」
くらくらとする額に手を当てて、呆れ顔で溜め息を吐く。
ルギウスを苦い顔で睨んだ。
「あのなあルギウス……ここで叶えていい望みといけない望みくらいあるだろうが。
全く、男子生徒の純な心を弄んでよいものではないぞ」
そしてこの期に及んで飛んでくる真からの質問には、眉間に皺を寄せて答える。
「真乃君……そういう望みはもっと後になってから、学校の外で叶えてきなさい……。
そしたらヨキも怒らないから」
真からの視線に、明らかに“ヨキなら正しい答えを教えてくれる”という期待が籠もっている。
人の機微に疎いヨキですら判る。
「とりあえず……本当に叶えてもらったのなら、蘆君に“だけ”お礼を言っておきなさい。
ルギウスの方は放っておきたまえ……彼に誑かされてはならん。
全く、教師の風上にも置けん奴だ」
愕然として肩を落とした。
■蘆 迅鯨 > ルギウスが少年から離れれば、迅鯨もまた、物足りなさげな表情を見せつつその身を離してゆく。
そして彼の感謝の言葉には、
「いいってことよ。そのうちまたやるか?なーんてな」
にひひ、と白い歯を剥き出して笑いながら答え。
「へいへーい」
ヨキの言葉にも軽く流すように返事をする。
――もっとも、迅鯨は常世島を訪れてからの年月だけでも、
すでに複数の人々と肉体関係を持っていたのだが、それもまた別の話。
■ルギウス > 珍しい事に、一礼をした後に肩を震わせている。
面白くて仕方ないらしい。
「ええ、迅鯨さん またやりましょう」
実に力強い返答であったそうな。
「いえいえ、我が神は全ての望みを肯定し、それに優劣は無いと説いておられますので。
それに……こういう悪戯で動揺するのも今だけです。
ある意味では、かけがえの無い楽しい思い出というやつですよ。
私が誑かすだなんて、誤解ですよ。
普段はもっと酷いことしてるんですから」
本当に面白そうに笑いを堪えている。
■真乃 真 > 「うう…。」
…ようやく解放された。
あるいは解放されてしまった。
「…はい。すいません僕の心が弱かったばかりに…。」
ヨキ先生に謝る。
もっと、自制できてさえいればこんなことには…。
もっとおっぱいには強くならなくては!
「迅鯨さん、ごめん!そして…ありがとう。」
ありがとうは小さめに言う。
うん、そんな望みなかったけれども。無かったけれども!
「ルギウス先生…お断りします!」
最期までとか絶対碌な事にならない!絶対だ!
■松渓つばめ > 傍らの少女が落ち着くまでそうしているだろう。
「ゴメンだよね、終わってすぐ帰んないから心配させちゃった」
年上の少女に対してセリフが甘ったるい。
何とか眼前のコントも収束を見たようだ……。
「劇画調も治ったみたいね、安心したわ」いつまた笑わされるのかと心配せずにすみます。
■言乃葉夕陽 > 「メールの一つでもあればよかったのだけど……二回ぐらい電話しても出なかったから……」
目の前の光景も収束したようで、なんとかのぼせていた頭も落ち着きを取り戻したようだ。
「うちのつばめと大層遊んでいただいたようで、どうもありがとうございました」
まるで親かって突っ込みたくなるようなセリフとともに深々と全員にたいして頭を下げた
「今後ともどもよろしくお願いしますね」
■ヨキ > 二人揃って到底懲りそうもないことに、ヨキは頭を抱えていた。
「誰も彼も、神聖な学園を何だと思っておるのだ……」
半ばめそめそしていた。
覚束ない足取りで真の前に歩み寄り、その肩を叩く。
「真乃君……偉いぞ」
ルギウスの誘惑に負けない強い子だ。
うんうんと尤もらしく頷いて、真の顔を覗き込む。
「だから、」
にっこりと笑って、両の手のひらで真の頬を挟み込まんとする。
「今はちょっと『上書き』しておこうな」
丁度おっぱいが当たっていたくらいの位置だ。
逃げ損ねれば、薄くて硬いヨキの手のひらに顔をプレスされてしまうだろう。
口がぶにゅっとするくらいの圧を掛けられる羽目になる。
ヨキはとても笑っている。初夏のように晴れやかな笑顔だ。
「学生の身にはまだ早いぞ真乃君」
■蘆 迅鯨 > 「なァに、いいっていいって」
申し訳なさそうな真乃の言葉に、右手を小さく縦に振りながらそう返す。
つばめを迎えに来たという白髪の少女の言葉には、
「おう、どっちもよろしく頼むぜ」
と返しつつ、彼女に対しては名乗っていなかったなと思い出し。
「……あ、名前。お前には教えてなかったな。俺は蘆迅鯨。ルー・シュンジンだ」
念のために自分の名前を二回、発音する。
■ルギウス > 「ああ、もしかして 羨ましかったんですかね?
私でよければいつでも胸を貸しますよ? 文字通りの意味合いで」
うっふん とシナをつくる。
ただし男のままで。
「さて、私もそろそろお暇しませんとねぇ。
スペシャルな特訓も考えないといけませんし……何より舞台に動きがありそうで。
私も色々と仕込が必要ですからねぇ」
くくくと嗤う。
この会場で始めて見せた、暗い昏い笑顔だった。
「では、皆様……またいずれ、どこかの舞台でお会いしましょう」
舞台役者のような一礼を行うと、スポットライトが消えたかのように姿を消した。
■真乃 真 > 「ヨキ先生!」
肩を叩かれてその顔を見上げる。
真の瞳には涙さえ浮かんでいる。
「上書きって…待ってください!先生!手ぇ堅い!堅い!怖い!
痛い!痛い!でも、これぐらいであの感触を上書き…強い!先生凄い痛い!」
余計な事を言ってさらに力が強くなった気がする。
だけども、心にあの柔らかさが…堅い!痛い!冷たい!
「ぼぅもあおっておおうおうのなあえはあのまこと!よおいく!(僕も名乗っておこう僕の名前は真乃真!)」
口をぶにゅっと潰されながら言う。
「――――!(僕も松渓さんにはお世話になっているよ!)」
口をぶにゅっと潰されながら言えない。
■ヨキ > 顔を真っ赤にしていた夕陽を見遣り、心配そうに頭を掻く。
「つばめ君のルームメイトかね?大層なところを見てしまったようだな」
初心らしい様子で倒れずに済んだことに、安堵の息を吐いた。
「歳若い男(と一部の女)に交じると大変な目に遭うぞ。気を付けたまえ」
男、のあとにカッコが挟まれているように聞こえた。
「つばめ君も、あまりはしたないことで笑わないようにな……」
ご案内:「常世大ホール(分割)」からルギウスさんが去りました。
■松渓つばめ > 「大げさだなあ、もう」立ち上がらせる時に取った手は、しかし離さない。
ヨキ先生はちょっとご立腹のようだけれど、少ししたら落ち着くだろう。
なおウサギさんについては事前に知らせておらず、少しバツが悪いのだが……
「じゃあ、大体入り口あたりも人まばらになってきたし帰ろっか?」
帰る前に彼らと再開できたことは、運が良かった。
……やってたのはドタバタだったが。「いいもん見たわ。ありがとね」と、美麗字句に変換しておく。
「はいはーい、だけどヨキせんせーもあたし笑わせてくれた一人なんだから、
ちゃんと覚えといてくださいよー?」
と、言い残して。
■ヨキ > 「羨ましい?はッ、生憎と間に合っておるわ」
ルギウスの言葉に、毅然として答える。
「ふ……甘く見ないでもらおう!このヨキほどの男ともなれば、選り取り見取りよ!」
しかも斜め上、遥か上空への豪速球だった。
姿を消したルギウスの跡を、神妙な顔で睨み付ける。
「おのれルギウス、あの男め……何を仕出かすか、判ったものではないな」
何を言い出すか判ったものではない男が、憎々しげに吐き捨てた。
■蘆 迅鯨 > 「凄ェ、一瞬で消えた。やっぱあのセンセ、只モンじゃねェな」
見送る――と言っていいのか、それらしいことをする間もなく姿を消してしまったルギウス。
そんな彼の様子に素直に感心し、けらけらと笑ってみせる。
今日が初対面で未だ彼の人となりをよく知らぬ迅鯨にとっては彼も『凄い人物』だ。
「お、帰るの?ンじゃ、またな」
帰ろうとするつばめに対しては、別れの言葉を。
■言乃葉夕陽 > 「あはは……本当にちょうど、といったところでした……」
頬をかきながらヨキさんにそう言って
「申し遅れました、私つばめさんのルームメイトで言乃葉夕陽と申します」
蘆さんと真乃さんにそれぞれ一礼
「肝に銘じておきますね……男女のあれそれは危険だって、
でも、つばめちゃんがいれば平気かな?」
そうこう言っている間に手を引かれる、そろそろ彼女も帰る時間のようだ。
「では私も、お迎えに来ただけですのでこの辺りで……またどこかでお会いしたらよろしくお願い致します。」
つばめちゃんに手を引かれるまま歩き出すだろう、帰りにちょっと寄って行きたいところがあるけど、いい?とか小さな声で聞いた。
■ヨキ > 真からなんか聞こえた。
「この顔を、あの乳房のように柔らかく潰してやってもよいのだぞンン?」
ぎゅっ。まるで啖呵を切っているような言い草だ。
存分に潰してから手を離す。
「心を奪われたか……やはり男子には刺激が強すぎたらしいな」
負けた。
■松渓つばめ > 「そーね。お迎えもきたことだし。んじゃまたね、多分今度はヨキせんせーの講義で会うと思うけど」と、迅鯨には返すのです。
――ん、寄って行きたいところ?あたしも行っていい?、と夕陽ちゃんにはしっかりと答えながら、会場を後に。
ご案内:「常世大ホール(分割)」から松渓つばめさんが去りました。
ご案内:「常世大ホール(分割)」から言乃葉夕陽さんが去りました。
■真乃 真 > 「スペシャルな特訓は楽しみにしてます!でも、今日みたいなのは勘弁で…!」
そういう間にあの教師は消えていた。
うーん掴めない!
「ヨキ先生!なんかズルくないですか!?あああ!」
もみくちゃに潰されながら世界の不公平さを感じる
より取り見取りって…。
ルギウスもヨキも教師ってズルい。
「お、そうだね!もう遅いからねまたどこかで会えたらよろしくね!」
少しヨキから距離をとってつぶされないようにしつつ2人を送った。
■蘆 迅鯨 > 「あァ……そうだな。また会おうぜ」
実際には、迅鯨がつばめと同じ教室で講義を受けられることはない。
それは理解しているが、初対面の彼女に心配をかけるまいと、
曇りかけた表情をなんとか元の笑顔に戻し、手を振りながら二人を見送った。
■ヨキ > 「このヨキのどこに笑いどころがあったのだ……!」
開いた口が塞がらない。不可解そうな顔でつばめを見る。
夕陽へは、困ったように笑ってみせた。
「おそらく、騒動には事欠かんだろうよ。
君もそのうち、こんなあれそれには動じなくなる年頃が来るのであろうがな」
笑いながら手を上げて、二人を見送る。
■ヨキ > 「狡くないぞ。ヨキは公正な手段でステップアップを踏んで獲得したのだからな。
君が味わった心地が、少々ワイルドカードであっただけのことよ。
このヨキが羨ましければ、真面目に学業に取り組むことだ少年。ぬはは」
ちなみにヨキは一日たりとも学生をやったことがない。
ヨキはぜんぜんズルくなんかないのだ、とばかりに胸を張った。
■真乃 真 > 「うぐぐ。」
何も言い返せない。確かにこの教師は常世祭のときに美術展で何度も違う女性と話していた。
そういった努力の積み重ねなのだろう。石膏像の中で見ていた。
だが、この感触を思い出せば!この薄くて、冷たくて、堅い…真逆!。
…見事に上書きされている。
「さ、さてと僕もそろそろ行こうかな?」
あたりを見れば片づけ始めた生徒の姿がちらほら。
忙しそうに行き来している。
「それじゃあ、ヨキ先生と迅鯨さん!僕もそろそろ行くよ!また!」
そういって真も片づけをする生徒の一人に混ざっていくのだった。
■ヨキ > 迅鯨を一瞥する。
乱痴気騒ぎの最中とて、たちばな学級の生徒の様子を見定める教師の目だ。
何食わぬ顔で視線を外して、その曇りに対しては言及しない。
「――で?えらく心地よさそうにしておったではないか。
いずれ垂れる胸を、今から安売りしては勿体ないぞ」
歩み寄って、迅鯨の背を叩く。
ご案内:「常世大ホール(分割)」から真乃 真さんが去りました。
■蘆 迅鯨 > 「じゃァな、真乃クン」
そう言って彼を見送り、
「痛って」
直後、ヨキに背を叩かれれば思わずそんな声が漏れ。
「……そのうち垂れンだから今のうちに楽しんどくンだろ?」
振り向いて彼の顔を見上げつつ、相変わらずの軽い調子で言葉を返す。
■ヨキ > 彼が石膏像をやっていたことは知っていたが、よもや自分がほぼ毎日違う女性と
歩いていたことを見られていたとは思ってもいない。
恐らく、知ったところで平然としているのであろうが。
真が片付けの中へ向かうのを見ながら、ヨキもまた腕や首を回して一息つく。
「ヨキも撤収に交ざるとするかな。ふふ、またな真乃君」
いつの日か、手のひらの硬い感触をさらに上書きするときが来ればよい。
■ヨキ > 蘆に向けて、意地の悪い笑顔を作ってにやりとする。
「楽しみすぎて病気を移されてもヨキは知らんぞ。
せいぜい、大事なところに妙なブツブツが出来て泣く羽目にならんように」
人を硬い語調で叱るのも、軽薄に嘯いて窘めるのも、どちらも紛れもないヨキだ。
「一緒に片付けして行くか?」
親指で撤収作業に勤しむ人びとを示す。
つばめや真のような、一般のクラスの生徒と対しているときと何一つ変わらぬ人当たり。
「近ごろ、君から日頃の話を聞けていなかったしな」
■蘆 迅鯨 > 「ダイジョーブだって。ホント、せんせは心配性だな」
先程よりも調子づいた雰囲気はない柔らかな表情で、そう返す。
今は刹那的な思想のもとに生きる迅鯨にも、
そのうち彼の真意が理解できる時が来るのだろうか。
いずれにせよ、それは今の彼女には想像のつかないことであり。
「……あァ、そうする。俺もさ、話してェことがあんだよ」
ヨキの示した方向をちらりと見た後、再び彼のほうを向き直り、笑顔で答える。
■ヨキ > 「我が子を心配しない親がどこに居るね?将来を憂えぬ親は、親ではないさ」
ふっと笑って、目を伏せる。
誘いに乗る迅鯨へ、そう来なくてはな、と拳を相手と打ち合わせるために軽く突き出す。
「ヨキは力仕事が得意だが、君もそうそう根を上げるタイプではないだろう?
今日は、この懇親会のために時間を取ってある。
余った分は、ゆっくり君の話を聞くことにしよう」
笑って、迅鯨を促して歩き出す。
「まずは何の話からだね?」
人前で話せることも、話せぬことも。
まるで二次会にでも出向くような気楽さで、片付けの作業に交ざりながら会話を続ける。
ご案内:「常世大ホール(分割)」からヨキさんが去りました。
ご案内:「常世大ホール(分割)」から蘆 迅鯨さんが去りました。
ご案内:「青垣山近くの病院」に伊都波 悠薇さんが現れました。
■伊都波 悠薇 > 手術中のマークが、赤く点灯する。
ランプ、妙に不安をあおる色で――
時間が妙に長く感じる。
そして。
びーっと、ブザー音。ばちんっとランプが消えて。
がららっと運ばれてくるベッド――
そこには顔色悪く機器につながれた少女がいて。
ひゅーひゅーっと、機械から酸素を受けて呼吸していた。
まだ、生きている。が――医師の顔は険しかった
ご案内:「青垣山近くの病院」に阿曇留以さんが現れました。
■阿曇留以 > 病院用服の留以が、手術室前で座っている。
あれから病院に運び込み――それからのことは覚えていない。
ただ、なんやかんやの騒動があり、医者になにか聞かれたような記憶があり、多分無意識に答えていた。
赤色の手術ランプが点灯している間、ただずっと姿勢を整え、座っていた。
神に祈るなどもせず、ずっと。
ランプが消え、少女が運ばれてくれば、すっと立ち上がり、
「あの、先生。彼女の様子は……」
医師に尋ねながら、彼女の様子を見る。
その、かろうじて生かされているという状態を、自分で確認しながら。
■伊都波 悠薇 >
病院に彼女のデータがあり。
また、連絡先も分かっていたのが不幸中幸いか。
しかし、つながったのはつい先ほどのことで、まだ両親は来ていないようだった。
医師は、静かに口を開く。
『手術は成功しました。何とかというところです
ですが出血が激しかった――あとは、本人の生きる意志にゆだねるくらいしか』
最善は尽くしたのだ。だが、それでも死ぬときは死ぬ。
あとは本当に、神のみぞ知るといったところだ。
『もうすぐ、ご家族がいらっしゃいます。そのときに、しっかりと事情を説明してあげてください。きれいな、切り口だったのが、せめてもの救いでしょうか』
跡は薄いだろう。だがそれも、生きていればの話だ。
『……そういう建前もありますので普通なら家族以外は追い返すところですが。もしよければ親御さんが来るまで付き添ってあげてはいかがですか』
そういっていったん頭を下げ、医師はどこかへ。
がらがらと看護師はベッドをおして。集中治療室に運んでいき――
■阿曇留以 > 何が綺麗な切口だ。そんなことを言われて、誰が喜ぶんだ。
違う。医師はただ客観的に事実を伝えただけで、誰も褒められていない。何を勘違いした。
くるくる回る思考のなか、彼女に付き添ってはどうか、と医師に言われ、従うことにした。
看護師がベッドを押し、留以はその後ろを歩き。
(……ご両親がきたら、ちゃんと話さないと。
実家に電話いくかしら。
父さんと母さんに、迷惑かけちゃうな……。
あの子も、きっと怒るかしら)
くるくる回る思考のなか、まとまらない考えをまとめようと、ずっとずっと考えていた。
■伊都波 悠薇 > 設置されていたベッドに移し、看護師はてきぱきと動いて。
すべきことが終われば気を遣うように頭を下げて退室した。
ぴっぴっと、規則的な音が鳴る。
表情が、今は前髪に隠れてない。
きれいな、安らかな表情だった。
それが、鬼ような。あんな殺気をもってかかってくるなんて
信じられないくらいに。そう、あれだけ動きは稚拙だったのに――
■阿曇留以 > 椅子にこしかけ、彼女をじっと見る。
規則正しい脈。生きてる証。
留以を安心させるはずの音が、今はなぜか疎ましい。
もういっそ、全てをぶち壊してすっきりしたほうが自分の精神も安定するかもしれない。
椅子から立ち上がり、大太刀を抜き――。
「あっ……」
大太刀がないことに、ようやく気付く。
それと同時に、何をしようとしていたか気付き、深く落ち込む。
彼女は妖怪でも、それにかかわるものでもない。
なのに、”ただ自分が楽になりたいから”という理由で、今、殺そうと考えた。
「……もう、いや……」
償いきれない罪を犯したと自覚しており、それゆえに罪への意識が留以の首を絞めてくる。
殺そうとではなく、じわりじわりと、死にそうな姿を楽しむかのように。
(……はやく、起きて……)
そして、仕返ししてくれ、と。
腹でもいい、腕でもいい、首でもいい。
死ぬまで掻っ捌いてくれ、と。
早く起きて、自分を助けてくれ(殺してくれ)と、罪から逃れようと考えていた。
■伊都波 悠薇 > 起きはしない。
ちゃらりと、スカートの中に入っていた携帯から。
ストラップが零れ落ちる。
付喪神――そう自称していたそれ。
それが何も言うことなく、垂れさがっていた。
ぴっ、ぴっ……
また、音がなる。そして少女は、何かを感じたのか。
顔を、歪ませる。痛そうに。
そして――
「………………」
なにかつぶやいた。ただそれだけ。
その言葉を、つなげれば――
ごめんなさい、わたしのせいで
そう、言ったような気がした
■阿曇留以 > 「……あっ……」
呟かれた、ような気がした。
ごめんなさい、と。
「……ふふっ」
いや、そんなわけはない。
自分が都合よく解釈しただけだろう。
悠薇の手を優しく触れる。
柔らかい肌、小さな手。
まだ、少女というべき子に、刃をいれた。
「……掛巻も恐き我が遠津御祖の――」
小さく呟く。
別に何の効力ももたない言葉の羅列。
ただ自分の神社の祭神に願う。
どうか、この子を生かしてあげてください、と。
■伊都波 悠薇 >
暖かかった。
少し。低いかもしれないが”イノチ”は感じ取れた。
触れられれば、反射なのかぴくりと、動いて。
握り返してきた気さえする。
触れたとたん、歪んだ顔が穏やかになり。
そして、その羅列を聞けば。呼吸もまた落ち着いてきた。
寄り添う巫女はそれに安心し。また先ほどの、稽古の不自然を考えるのか。
それとも、もっと安心するようになにかできることはと思案するのか――
それは……
■阿曇留以 > 握り返された手。
まだ彼女は、生きたがっている。
そういう風に、思えた。
(……だめね。
私が落ち込んでても、意味がないじゃない)
神道において、穢れの語源は気枯れという言葉が語源と考えられている。
気が枯れる、つまり落ち込んだり悲しんだりといった精神はよくないものであるとされて、穢れとして扱い、祓おうとする。
今の留以はどうだ。
ケの日であるといわんばかりに、落ち込んだ精神。
それでは彼女に良い影響を与えるわけがない。
元気でいろ、というわけではない。
ただ、しっかりと自分を持っていることが、今は必要だと思った。
「……悠薇ちゃん、髪をあげていればもっと可愛いわね。
うちの妹に、勝らずとも劣らずってかんじね」
悠薇の前髪をしっかりとあげて、その顔を見る。
どことなく、自分の妹と似ているその姿を見ながら、頭を撫でてやる。
彼女が、安心できるように。
■伊都波 悠薇 >
嬉しそうに、頬がゆるんだ気がした。
あくまで気がした程度で、本当に笑ったわけではないのだけど――
暖かくなった掌。それは、語り掛ける言葉に反応したからかもしれない。
そう、死んでいない。ちゃんと伝わる。感じ取れる。
それが実感できるような時間を巫女に返し。
まるで――
負けないで
誰かにそう言ってるような――
■阿曇留以 > 「――ありがとう」
勘違いでもいい。
それでも、留以は、彼女から言葉を受け取った。
受け取った言葉に対し、返事をした。
それだけで、心が晴れやかになった。
だから留以は、これから起こることにはまっすぐ見据えて、全てを受け入れようと決意した。
彼女が起きて、私を怒るなら気が済むまで何でもしよう、何でもされよう。
彼女が起きて、私を許してくれるなら彼女を助けよう、支えよう。
何が正しいかは分からないが、自分が正しいと思った道をいき、全力を尽くそう。
だから、まずはご両親、ご家族にありのままを話そう。
「――起きてくれるの、待ってるわね悠薇ちゃん」
■伊都波 悠薇 >
そして、時間は、動く。
そう――
扉が開いて……
ご案内:「青垣山近くの病院」から伊都波 悠薇さんが去りました。
ご案内:「青垣山近くの病院」から阿曇留以さんが去りました。
ご案内:「青垣山近くの病院」に伊都波 凛霞さんが現れました。
■伊都波 凛霞 > 「………」
とぼとぼと、足取りは重く
司の入院した病院からの帰り、早く家に帰ろうと思っていた矢先
突然携帯へと父親から連絡が入り、こちらの病院に直行することとなった
理由は───
「…どうして」
待合室の椅子に、力なく座り込む
■伊都波 凛霞 > "うん、そのうち紹介するね"
"妹とも、良いお友達になれそう"
良いお話を持ち帰りたかった
それで綻ぶ妹の顔が見たかった
現実に待っていたのは、緊急手術の果てに命をなんとか繋ぎ止め、
自立呼吸もままならない状態の、痛ましい妹の姿だった
「………なん、で───」
顔を覆う
声に鳴らない嗚咽が夜の、人気の少ない病院の待合室に響く
通りかかった看護師が『大丈夫ですか』と声をかけてくれた
ハンカチも貸してくれた
だから余計に、抑えられなくなった
■伊都波 凛霞 > 事の顛末は父から聞くことが出来た
事故、のようなものであったということも
加害者本人が、血相を変えて病院へと担ぎ込んだことも
それら全ては加害者本人の弁である
……事実は、妹の意識が回復しないとわからないが
「………」
すん、と鼻を啜る
少しだけ、落ち着いた
間違ったのかな
いや、そんなことはない
高峰司のことも、急がなければいけない案件だった
大事な友人と大事な妹、秤にかけられるようなものでもない
だから後悔はしてはいけない
いけないけど───
■伊都波 凛霞 > 娘を溺愛するあの父が激昂を抑えたのだ
自分も…淀む感情は堪えなければ
ここ迄やる必要はあった?
わからない
殺す気じゃなければ、こんな怪我にはならないよね?
どうだろう
妹に、殺す気で刃を向けたの?
そうだとしたら
「………」
ご案内:「青垣山近くの病院」に蕎麦屋さんが現れました。
■蕎麦屋 > ピ、ガー……
入り口の自動ドアが開く。
入ってきたのは蕎麦屋の女。病院ではかなり不自然極まりない。
というかかなり目立つ。
ぐるり、と待合室を見渡すまでもなく――
「……おや。」
物騒な気配漂わせて座り込んでいる姿は見つけられた。
■伊都波 凛霞 > 「……んっ」
パチン!と大きな音を立てて、両頬を手で張る
ハッとして迷惑だったかな、という表情になったが、幸い周りには
「…あれ」
丁度、入り口から入ってきた蕎麦屋と目があった
■蕎麦屋 > 「はぁい。」
視線が合えば、ひらひらと手を振る。非常に軽い。
「頼まれついでに、顔見せ――などと思ったのですけれど。
あれ、お取込み中です?」
そのまま遠慮なしに、隣に座る。
■伊都波 凛霞 > 「頼まれ…?」
首を傾げて
「あ…うん、ちょっと……。
妹が、大怪我をして…まだ意識が戻らないんだ…」
ご案内:「青垣山近くの病院」に烏丸秀さんが現れました。
■蕎麦屋 > 「いや、頼んだじゃないですか。青垣山の方も対処してくれ、と。」
頼んだのは正確には主人の方だが。
意外と律儀ではある。手は回りきらないが。
「……あら。命の方に別状は?
ん、事故です?事件です?――というか、別件ですか。」
どちらかといえば気になるのは、どうしても。
■烏丸秀 > 無言で病院内へと進む。
その表情はいつもと同じく――だが、何処か緊張感を漂わせていただろうか。
凛霞を見ると、近づく。
誰かと話しているようだが、構わない。
■伊都波 凛霞 > 「あっ…ごめん。忘れてた……」
気まずそうな表情を浮かべる
…妹のこととなると、何から何まで後回しになってしまうのは悪い癖だ
「…別件だと思う。事件か事故かは…まだ、あの子の意識が回復してから……」
と、見慣れた顔がこちらへ近づいてくる
まだ泣き跡の残る顔をあげて、そちらを向く
■蕎麦屋 > 「ああ、そこは気にせず――あら?」
上がった視線に合わせて、視線を向ける。
家族か友人かはわからないが。
「さて、顔は見せましたし。私はお暇致しましょうか。」
真剣な面持ちは、部外者が居ていい話ではなさそうである。
すぃ、と立ち上がり。
■烏丸秀 > 「やぁ、凛霞」
烏丸は至極落ち着いた声で言う。
内心はどうかは知らないが、それでも声を荒げたりはしない。
「はるかちゃんの容態、どう?」
と、ここで傍の人影に気付き。
「あ、どうも、こんにちは。
関係者の方? お母さん……じゃなさそうだよねぇ、そんな年じゃないし、二人とは別のタイプの美人だし」
軽く話しかける。
どんな時でも、リップサービスは忘れない。
■伊都波 凛霞 > 「烏丸くん…」
どこから知ったのだろう、そんな疑問も浮かんだけれど
今は、いい
「手術をして…今は、まだ意識が戻ってなくて…」
ただ現状を説明するだけ、
なのに、言葉の後半は涙声に飲まれてしまう
あの姿を思い出すだけでぽろぽろと大粒の涙が溢れて、
慌ててハンカチでそれを拭った
■蕎麦屋 > 「あら、あら。美人だなんてそんな。
――それはともかく、しがない蕎麦屋でございますよ。」
てれてれ。おべっかだと気付け。
さて、立ち上がったはいいモノの――
「えー……」
先の一件から、この落差、
どう対処していいものか、立ち去るのもつらい雰囲気。
■烏丸秀 > 「ふぅん、そう」
慰めの言葉も無い。普段ならたっぷりと甘やかしてあげる所だが……今は、ダメだ。
彼女の言葉を、果たさなくては。
「あ、はるかちゃんとね、こないだメールしたんだよ。
結構色々喋ってさ」
嬉しそうにスマホを取り出す。
そう、あの時にかけられた――呪い。
それが、烏丸を縛り付けている。
「でね、最後にね、はるかちゃんが言ったんだよ。
『お姉ちゃんを助けてあげて』ってさ」
烏丸にかけられた呪い。
それを解くにはただひとつしかない。
「――で、落第街に勇んで出かけたキミはさ、はるかちゃんを誰に託して行ったわけ?」
■伊都波 凛霞 > 「………」
ふるふると首を横に振る
父親と母親がいるから、安心だと思っていた
それに悠薇自身も、武術の心得はある
…過信といえば過信
まさか、自主練習の場があって、そこに単独で出かけているなどとは露も知らずに
■烏丸秀 > 「なるほどね。
まぁ、覚えておくといいよ。落第街の連中は手段を選ばない。
学園に近いならともかく、青垣山の方だと、夜中にこっそり集団で、なんて事もあり得るから」
ふぅ、と溜息をつきつつ、凛霞を見つめる。
「運が良かったね、『これくらい』ですんで」
残酷に言い切った。
お前が勝ち得たのは、運がよかったからだ、と。
「ま、ボクは役に立たないと思われてたみたいだし、何も言う権利も無いけどさ」
ちょっと拗ねている。
頼られたいというわけでもないが、頼られないのは癪に障る。
面倒な男である。
「あ、美人のお姉さん御蕎麦屋さん?
へー……で、何で御蕎麦屋さんが?」
■伊都波 凛霞 > 「……」
言い返す言葉もない
ただ、その顔を伏せ込ませるだけだった
が、役に立たないと思われていた、などと言われれば、顔をあげて
「それは──違う、けど…」
そう、違う
……単なる意地だった、つまらない意地だ
それを捨てていれば、違う結果もあったのだろうか…
■蕎麦屋 > 「――――結構、痛い処抉りますねぇ。」
ぼそり、とつぶやいた。
結果だけ見ればその通り、ではあるだろう。
「はい、蕎麦屋でございますよ。病院でなければ蕎麦の一つでも――とは思いますけれど。」
なんでここに居るのか、と言われると少しばかり、困る。
説明するかどうかは――
まぁ、まずはこの二人の話の決着がついてからの方がよさそうだ。
仕方なく、一つ間を開けて座る。待ちの姿勢。
■烏丸秀 > 「違う? じゃ、ボクは信用できなかった?」
まぁ、それは仕方がないかなぁ、と思う。
正直、友達にしておいてくれるだけ御の字である。
昔の男、しかも弱った時に頼った男なんざ、普通は顔も見たくないだろう。
「――ま、いいや。
で、凛霞。キミなら分かるよね?」
ふぅっと溜息をひとつ。
あんまりこういう事は向いていないのだ。
『人を立ち直らせる』などという事は――
「キミは失敗した。
何よりも大切な妹を守りきれなかった。
――まぁ、それはいいよ。キミが完璧超人なんかじゃない事は、ボクが一番よく知ってるから」
そして椅子に座る彼女の顔を上げさせる。
視線を交差させ、その瞳を見つめようと。
「――泣く暇があったら考えろ。
次の一手を。
あの連中の先手を取る為の手段を」
■伊都波 凛霞 > 「…それはそうだけど」
否定しませんでした、普通に
「……わかってるよ、そんなこと。言われなくても…。
でも、少しくらいならいいじゃない…?」
妹の前では絶対にこんな姿は見せない
妹が眠っている、今だから、存分に 弱さ を面に出せているのだ
「……やるべきことも、わかってるつもり」
■烏丸秀 > 「そうはいかない。
何せボクは、はるかちゃんに頼まれてるんだから。
キミ、はるかちゃんの事になると時々ぽんこつだからね」
からかうように軽く呟く。
よし、折れていない。ならばいい。
彼女が折れない限りは、まぁ大丈夫だろう。
あとは……
「で、次はどんな手を打つの?
あ、あの司ちゃんって子は無事だった?」
結構あれで司の事も気に入っている。
なんというか、突っかかってくる子は好きなのだ。
馴れ馴れしく凛霞の隣にちゃっかり座り。
■伊都波 凛霞 > 「ん…一応無事だった。
ただ、あんまり公に情報は流せない理由があるんだ。
烏丸くんが信用ならないっていうよりは…多分司ちゃんが嫌がるから、だけど」
苦笑してそう返す
「あのフードの男の人に関しては……
お蕎麦屋さん、青垣山のほうはどうでした…?」
おずおずと尋ねてみる
■蕎麦屋 > 「――あ?終わりました?」
他人の恋路の話は馬も食わないのです。
よってあんまり関わるつもりもない、のだけれど。
「はい、今のところは何もなさそうですけれど。
そこな殿方の言う通り、この辺りも何があってもおかしくないですからね。なんとも。」
そもそも蕎麦屋一人では網羅しきれませんし、と肩を竦める。
索敵・偵察は門外漢だ。
■烏丸秀 > 「ふぅん……」
なるほど、と頷く。
さて、何か言い辛い事……あ。
「凛霞とおんなじような目にあっちゃった?」
それはまぁ、言い辛いだろう。
かわいそうに。
でも、マネキンは「そういう事」には興味なさそうだが……
「まぁ、あいつの行動は確かに把握しきれないからね……」
そう、烏丸も、所詮は落第街の一部しか知らない。
深部なんて知らないし、知りたくもないのだ。
■伊都波 凛霞 > 「違う」
むっとした様子でデコピンを繰り出す、ぺちん
「彼の行動を注視する…ぐらいしか、
今、表立ってお願いできることはないと思う…それに…」
言いかけて、口を紡ぐ
それ以外にも、色々と動かなければならなかった
泣いてる場合じゃない、まったくその通りなのだ
青垣山に現状異常なし、そう聞けば、表情を結び直して、いつもどおりの顔で立ち上がる
「少し別件で行かなきゃいけないところができたので、失礼します。
ありがとうお蕎麦屋さん、烏丸くんも。 …また!」
ぺこりっと二人に丁寧なお辞儀をして、怒られない程度の早足で、病院を後にした
ご案内:「青垣山近くの病院」から伊都波 凛霞さんが去りました。
■蕎麦屋 > 「あー……」
口出ししようか。どうしようか。
と思っている間に。
「あ、はい、行ってらっしゃい。……え。」
立ち直った様子を見送る――と。
何、さっきまで仲睦まじく口論してた男おいて一人帰るとか。
ちょっとお姉さん予想外の事態なのですけど。
■烏丸秀 > 「あたっ」
と、デコを抑えて。
あれよという間に行ってしまった。
「……あー」
まったく、立ち直りがはや過ぎるのも困りものだ。
残された人間にどうしろと。
「……また振られちゃった」
肩を竦めるしかなく。
■蕎麦屋 > 「案外、悪くはないんじゃないです。
いや、何があったかは知りませんけれどね?」
くすりと笑む。
中々に面白いモノを見せてもらったようには思う。
「まぁ、残された者同士ですが。
――私の口から大まかにでも語りましょうか?」
あの姉が語らなかった内容について。
本人から聞かなければ意味がない、というなら野暮な話だし、一応確認は取ろう。
■烏丸秀 > 「ん、お願い。
――まぁボク、それなりに情報収集とか操作とかは得意だからさ」
腕っぷしはからっきしなんだけどねー、とあっけらかんと笑い。
まぁ、その方面では役に立たない事この上ない。
能力どころか、武術、護身術の心得すらないのだから。
「いざとなれば、凛霞に関係なく動くしかないかなぁ。
なんというか、手段を選んじゃう子だし」
やれやれと溜息を吐く。
人を助ける事になるなんて、思いもよらなかった。
専門は壊す事なのに。
■蕎麦屋 > 「――あら。
なら、ありがたいことで。そういう方向が得意な人間が居なくて困ってましてね――?」
私もあの子も、うちの主人もそういうのは全くダメダメですからねぇ。と。
物理的にどうこう出来るなら即断するのですけれど。
「では、私の語れる範囲で少しだけ。
あの姉妹の話に関しては分りかねますけれど、先日落第街の方での一悶着はご存知のようですから。
結果としてはご存知の様に無事でした。けれど、えー…」
くるり。待合室を見回す。
幸いにして他に人もいない――ある程度は開けた場所だ、聞かれる心配もないのを確認してから。
「ディアブロ・ウィルス、でしたか。罹患しておりました。
なんでも対象の自我と肉体を捏ね合わせて別物にするモノのようでして、はい。」
お手上げです、と両手をあげて見せる。
■烏丸秀 > 「ウィルス罹患?」
あぁ、そういえば。
あのマネキンは、何か薬関係の人間だったか。
……しかしまぁ。
「悪趣味な事この上ないねぇ。
んー……」
考える。
あれの作っていたウィルス。
そして……
「――あ」
懐をごそごそと探る。
あの『栄養ドリンク』。
もしかしたら……
「……もしかしたら、ねぇ」
確証は得られないが、覚えておいた方がいいだろう。
「まぁ、それじゃボクはそっちのウィルスの方を探ってみようかな。
凛霞も、お蕎麦屋さんにも手に余るでしょ」
念の為、何か資料ある?
と聞いておき。
■蕎麦屋 > 「手に余る、なんてものではないですよ。
一介の蕎麦屋になんてもの押し付けてくれるのか。――いや、自分から首を突っ込んだようなものですが。」
この期に及んで一介の蕎麦屋で通すつもりではあるらしい。
溜息一つ。
「資料ですか。手元にはありませんが。
件のウィルスの進行に関してのレポートと、進行の抑制剤らしきなにかはございますよ。
なんでしたら後でお届けしましょうか。後は――」
そういえば回収してたな、と。
ごそりと取り出したのは塵の入った袋。
「役には立たないでしょうけれど。
罹患者のなれの果ての死骸くらいでしょうか。」
いります?
■烏丸秀 > 「……もらっとくよ。
まぁ、そういう伝も、無いわけじゃないから」
細いし、こちらの手にも余るかもしれないが。
まぁ、お蕎麦屋さんが持っているかは有効活用できるだろうか。
嫌な顔をしながらも屍骸を受け取り。
レポートに関しては、マンションに届けてもらうようにお願いする。
■蕎麦屋 > 「すみませんね?
――ああ、うん、やっぱりこういうのは嫌ですよねぇ。」
死骸を受け取る、なんてのは気分のいい行為ではないでしょうけれど。
とはいえ、あの言動から察すればこれには価値がない。
ただ、使えるモノはなんであれ使う必要がある状況なのも確か。
「マンション――住所は、ふむ。
では、後程蕎麦と一緒にお届けしましょう。」
住所を記憶すれば。まぁ、届けるのはどの道私の役目になるでしょうし、と。
蕎麦屋なのだから出前が付くのは当然です。
と、思い出したように。
「あ。――司君に嫌われてるのなら、私から聞いたとは言わないでくださいね?
後でこっぴどく怒られちゃいますので。」
■烏丸秀 > 「あ、いいねぇ、ボク御蕎麦好きなんだ。
お姉さんのような美人さんの打った蕎麦ならなおさら」
嬉しそうにうきうきと言う。
ついでに連絡先も教えてくれると嬉しいなぁ、と言いつつ。
「あ、そうだね。司ちゃんには言わない方がいいね、きっと。
あの子、ボクの事今度会ったら殺すって言ってたし」
しかも、たぶん本気。
触らぬ神に祟り無しである。
■蕎麦屋 > 「冷蔵の市販品ではございませんので、味の方はそれなり以上を保証させていただきますよ?
ただ生憎と、教えられる連絡先はございませんので――
一応、落第街の辺りかこの辺りに暫くは店を出しているつもりですけれど、御用の際はそちらへどうぞ?」
なんせ扱い的には不法入島者。まっとうな連絡先どころか携帯すら持っていない。
のだが。それはを教えてしまうのはちょっと危ない気がする人種だ。
「あら、そこまで嫌われておりますか。――ああ、まぁなんとなく、は。」
あの子、お姉ちゃん慕っておりますからねぇ。とのほほん。
そのお姉ちゃんとどのような経緯があったかは知らないけれど。
■烏丸秀 > 「それは残念。
あ、もしねぐらが無いなら、ボクの部屋ならいつでもどうぞ♪」
うきうきと、語尾に音符でもついてそうな口調で言う。
美人のお姉さんはお蕎麦以上の好物なのだ。
「ま、そうなんだよねぇ……仕方ないね。ボクは司ちゃんの事、嫌いじゃないしむしろ好きなんだけど」
それだけ言うと立ち上がる。
そろそろ行かなければ。
■蕎麦屋 > 「あら、それなら困ったときに歯お願いいたしましょうか。」
どこまで本気かわからない様子で答えを返す。
「もうちょっと清濁併せ呑むくらいの気概は欲しいのですけどね。
お姉ちゃんにしろ司君にしろ、まだちょっと早いようです――」
立ち上がるのに合わせてこちらも。
親族でもないのに豪く長居してしまった。面倒なことになる前に退散しておこう。
■烏丸秀 > 「それでこそ彼女たちだからね。
仕方ない事だよ」
じゃ、縁があったらまた。
お蕎麦楽しみにしてるね、と声をかけ。
烏丸は再び戻って行く。
ご案内:「青垣山近くの病院」から烏丸秀さんが去りました。
■蕎麦屋 > 「ええ、では。さて――」
少しばかり長居してしまった。
会釈して見送れば――病院を後にする。
自動ドアの開閉音が、静かに響いた。
ご案内:「青垣山近くの病院」から蕎麦屋さんが去りました。