2016/06/16 のログ
ご案内:「司の夢」にベッドマンさんが現れました。
ご案内:「司の夢」に高峰 司さんが現れました。
高峰 司 > 「…………おい、何の真似だ」

むすーーーーーーっ。
あからさまに不機嫌そうな顔で、自分を二度寝ならぬ二重寝させた犯人を睨み付ける。

ベッドマン >  
『内緒話をするといっただろう?』

そう言っておどけてみせる 

『君の夢の中の身体は寝てるだけだよ
 じきに起きる

 夢の中で起きるというのもあまりない体験だよ?』

高峰 司 > 「そりゃあ、二重寝なんて二度とない体験だろーがよ……じゃあ、アタシにそんなレア体験までさせて、何が話したいんだ?」

つまりは、あの二人から引き離したかったと言うことだ。
余人を交えぬ話がしたいのか、護衛無しの自分をどうかしたいのか。
判断がつかず、睨み付けるしかできない。

ご案内:「司の夢」に”????”さんが現れました。
ベッドマン >  
『ふーむ
 かなり意識がはっきりしているね
 君は才能があるかも知れない

 これならちゃんと話も出来るね』

うんうんとうなずきながら手を取り脈を取ってみたり眼を覗いたりしている

本来深い夢に堕ちるほど体感時間は延び意識は散乱し朦朧とするものなのだ
初めての夢堕ちでここまで意識を保つのは希有である

『それじゃあ本題だ
 だけどこの話を聞いても君が取引に応じないのならば私は君をただで帰すことが出来ない

 少なくともここでの記憶は奪わせてもらう

 それほどリスクがある話なのだと承知して欲しいところだが
 それでも話をきくかね?』

その目はいつになく妖しい光を湛えている

高峰 司 > 「聞こう」

あっさりと肯定する。
理由は簡単、どっちでも結果に大差がないので聞いておいた方が損が無いからだ。
この場で「聞かない」という選択肢は、あまり意味がない。

ベッドマン >  
『即断だね
 そういうのも悪くない』

気に入った
そういう顔をしている

『私はこの姿―――本来の姿で人と会うことは無い
 なぜならこの姿をさらすことはそれだけでリスクを高めることになるからだ

 君は今常世女子寮で寝ている

 では私は今 どうしているとおもうね?』

彼女は生まれてこの方髪を切ったことがないと言うような長さの髪を揺らし
病衣を着て訪ねる

私は 今 どこで なにをしている と

高峰 司 > 「……その姿を素直に信じりゃあ、入院か?」

病衣を着ている時点で、かなり場所は限定される。
それで尚且つ寝ていると言うことは……睡眠中の入院患者、という可能性が一番無難だろう。
……勿論、その裏をかいて何かしらのフェイクが混ぜられている可能性も無いわけではないのだが、それをする意味はあまりない、はずだ。

ベッドマン >  
『それは正しくはあるが正解まではまだ遠い

 私はね

 ―――今も昏睡中なのだよ』

そう、全ては事故だ
いつもならば本来の姿をさらしても記憶の封じ込めやごまかし、刷り込みでどうとでもなる
してきた

だが前回の侵入時、強烈な夢により自分の存在を出来事ごと彼女に鮮明に植え付けてしまった
今回出会い頭に自分のことをすぐに思い出したことからもそれがわかる

もう彼女に自分を忘れさせることは出来ない
これは苦肉の策でもあった

”????” > 【二人しかいないはずの深層の夢に、朧気な違和感が蠢いていた。
深層に潜ったことで逆にその存在感がはっきりとしている。】

【二人の会話にはなんら反応を見せない。
違和感の位置は高峰司のそばにある。”????”にはいま誰の焦点も合ってはいない。】

【二人が気付くべきときに気づく。】

高峰 司 > 「……浮遊。もしくは幽体離脱。もしくは、昏睡しながら異能だけを使ってる状態。
どれかは知らねーが、要するにオマエの本体は今もどこぞの病院で昏睡状態にあり、意識のようなものだけがこっちに飛んできてる、っつーわけか?」

成程、確かに高リスクだ。
何故なら、この容姿を詳細に司が記憶し、それこそムニン辺りに記憶を共有させ、そこから学園もしくは財団のネットワークにアクセスすれば、本体の所に辿り着ける可能性があるのだから。
昏睡中の本体……最悪の弱点だ。殺すのは赤子の手をひねるより楽な作業だろう。
だからこそ。

「だとして……解せねぇな。そんなクリティカルな情報を何故アタシに投げた?
アタシ以外を追っ払ったのは分かる、情報の拡散を抑えるためだ。だが、そもそもアタシに教える意味が分からん」

警戒を残しつつそう告げる。
そう、これを明かすメリットを聞かない事には、話が進まないのだ。

ベッドマン >  
『だから取引だ

 これらの情報を口外しないこと
 そしていざというときに君に私の体を守って欲しい

 それらを守ってくれる限り私は君を助ける手助けをしよう

 取引はあくまでフェアに
 そうだろう?』

そう。情報を明かすのは対等な取り引きのため
彼女はそういう人間なのだと記憶や感情の動きから看破していた

さらに言えばこの取引は情報を明かさなければ成立しない
そしてここにいる限り断られたとしても取り返しが聞く
逆にポイントとしてはここしかないのだ

高峰 司 > 「…………」

考える。
ここまでのリスクを吐いた以上、相手には二択しかない。
契約を履行するか、高峰司を確実に始末してしまうか、だ。
それを天秤にかけ……そして、内容も含めて、一つの提案をする。

「ならオマエ……アタシと契約するか?」

ベッドマン >  
『契約?
 そういえば君はルーンの魔術師だったね
 とするとゲッシュをかけるのかい?
 
 いやアレは禁忌、誓約の類いだったか
 これを用いて契約を履行するとなると……』

などとブツブツとつぶやいている

『まぁいい
 それは取引に同意すると言うことだね?

 それならば受けよう』

あまり悩んだ風もなく答える
もともと契約を持ちかけたのはこちらで条件を決めたのもこちらだ
断る理由がない

高峰 司 > 「ああいや、そうじゃねぇ。ゲッシュでもいいが、もっと相互利益に繋がる奴だ」

実際に出来るかどうかはちょっとわかんねーけどな。と前置きして。

「アタシはルーン魔術師で、召喚術師だ。
ルーンを使って対象と召喚契約を結び、それで召喚獣を使役する」

まずは説明。自分の手札も、必要な材料なので切って行く。
ここで変に絞るのは下策、これが成れば信用は確定するのだから、強気に大胆に。

「で、だ……アタシがオマエに持ちかけてるのは、その召喚契約だ。
契約内容に『相互を害さない』を含めば、アタシらはお互いにお互いを出し抜けねぇ。そして、召喚契約のパスから救援を呼べば、アタシや召喚獣がそっちに向かう事も出来る。
代わりに……必要な時、オマエの力をアタシが借りる」

夢に干渉する能力の遣いどころも難しいが……ともすれば、フギンとムニン以上の斥候となるだろう。
そう言う意味では便利な異能である。
故に。

「アタシの召喚獣(テゴマ)になれ、ベッドマン。そうすれば、アタシはオマエを信用し、オマエの契約に応えよう」

高らかに宣告する。
さあ……どう出る。

ベッドマン > やれやれといった風に肩をすくめる
相互を害さないと言う条項は予想できることだった

だが相手を害さずに出し抜くことだってやりようはあるのだと彼女は気付いていないのだろう
そんなことは口が裂けても言わないが

とはいえそれらを抜きにしても悪い内容ではない
 
『受けると言ったじゃないか
 何度も言わせないでくれ』

そうして互いを手駒とする相互契約がここに完了するのだった

高峰 司 > 「そうか……なら、オマエの名前、教えろ」

告げる。
契約には相手の真名が必要だからだ。それを教えられれば、即座に契約を済ませる事が出来るだろう。

「それでいいなら、後は次だ。話を進めろ」

それでも警戒だけは怠らず。これで良かったのか、と迷いながらも話を先に進めようとする。

ベッドマン >  
『ベッドマンじゃダメかね?
 おそらく本名より長く名乗っているのだが……』

そう言いかけて司の突き刺さるような視線をに気付く

『……本名はかわいらしすぎてあまり好きじゃないんだ
 一度しか言わないよ
 ―――夢乃 亜莉朱(ユノ アリス)だ』

うつむき恥ずかしそうにしている

おそらくコレは演技では無い

高峰 司 > 「わかった、夢乃亜莉朱だな。
なら……『我、夢乃亜莉朱は、高峰司を真なる友と認め、彼女が窮地に陥りし時、あらゆる障害を越えて助けに向かう事を此処に誓う。此処に契約は成れり、我らは断金にして永久の友なり』と宣誓の呪文を唱えろ。それで契約は成る」

言いながら、エオローのルーンをベッドマンに刻む。
その時に恥ずかしそうな顔を見て、なんだ、こんな顔も出来んのか、などと感想を抱きつつ。

「済めば、次だ。なんならさっさと戻るぞ、二人を待たせてる」

ベッドマン >  
「我、夢乃亜莉朱は、高峰司を真なる友と認め、彼女が窮地に陥りし時
 あらゆる障害を越えて助けに向かう事を此処に誓う。此処に契約は成れり、我らは断金にして永久の友なり」

『これでいいかね
 そんなに慌てなくともここの時間の流れる早さは先ほどの夢の1/16だよ
 
 それにもう少し待てば麻酔の効果も切れ―――』

あのときと同じ気配
またしても突如として現れたように感じる

否、最初からそこにいたのだろう

”????” > 【違和感の気配は気付かれた。
ベッドマンに意識を向けられてその気配がより濃くなる。】

【それまでの会話にまったく反応を示さなかったそれが、
気付かれたことではじめてさざめく。】

高峰 司 > 「ああ、それでいい。これで契約成立、だ」

頷き、いくつかの手を考える。
最悪、出し抜く手も無いわけではないが……契約には誠実であるべきだ。少なくとも契約者は、そうでないと今後に障る。
なので、備えだけに留めようかと考えて……気付く。

「テメェ……!」

ディアボロス、だったか。
自分にウイルスについての情報を寄越したあんちくしょうが、そこにいた。

ベッドマン >  
『早速また会うとはね
 
 さてさて取引も成立したことだし前回と違って私も万全だ
 やれることから試していくかな』

うーんと伸びをしつつつぶやく

まずは司の意識をコピーした依り代を作り意識の深くに埋め込む

見た目としては突如として現れた楔石が地面へと打ち込まれたように見えるだろう
かたく揺るがないそれは意識の道標だ

自分を見失いそうなときそれを心の中心に置くことで自分を保つことが出来るだろう

そしてあらわれたディアボロスを取り囲むように分厚い鉛の板が現れる
それが一分の隙も無くディアボロスを包み込む

こちらは門と司の意識に壁を作る―――互いの境界をはっきりさせるように働くだろう

魂の強化
そして門に対する関

果たしてこのウイルスとやらはどううって出るのか

”????” > 「あっれ。
もう会うことは無いと思ったけどね。なんだい、仲がいいんだねぇ。」

【白衣の女性が振り返る。
口元に草臥れた紙巻煙草をくゆらせていた。】

「おおー。
夢の中らしいマジックだ。何が起こるんだい。」

【鉛の板壁をノックする。気にした様子は無い。】

高峰 司 > 「アタシも、会うとは思ってなかったよ」

言いながら、ベッドマンの仕掛けに関心。成程、自分を守るための一手は、取り敢えず打ってくれたようだ。
そして、パスが繋がったが故の念話で確認を取る。

『おい、ここにアタシの召喚獣を呼ぶことは出来るか?』

必要なら、戦力として呼ぶ可能性もある。
それが出来るかどうかでは大違いなのだ。

ベッドマン > 『ふむ 効果無しか』

楔はまだわからない―――おそらくこちらはこれからゆっくりと効果のほどがわかることだろう
だが関はあまり効果が期待できないようだ
少なくとも今の段階では

『出来る出来ないで言えば可能だがやめておきたまえ
 おそらくやるだけ無駄だ

 そうなのだろう?』

板は幾重にも重なりもはや鉛壁となている
それを楽しそうにたたく女性に問いかける

声はくぐもっているだろうが届くだろう

”????” > 【壁の向こうから声が聞こえる。】

「そうだねぇ。
これは仮定だけど、仮に意味があったとして…中途半端に傷つけるような真似をすれば。
まー普通は反撃されるんじゃないかな。現実側で。」

【他人事に聞こえる。姿は見えない。】

高峰 司 > 「……ち、やりづれぇ」

舌打ちをしながら状況を観察する。
どうにも、状況が特殊過ぎて最適解を導き出せない。いっそ、ここから目覚めて、凛霞達のいる階層へ戻った方がいいのではとも考え始める。

「取り敢えず、テメェは何がしてぇ」

状況不明に戸惑いながら、ディアボロスに問い掛ける。

ベッドマン >  
『なるほどなるほど』

そう、これらの行動はあくまで情報収集
意識の深層に食い込んでくる相手をそう易々と消し去れるとは思っていない

二人の会話を興味深げに聞いている

”????” > 「引きずり出しておいてそれはないよー。
私はそこの彼女がいなければでてくることはないんだから。
視覚化したのは君たちさ。タバコが吸えるのは感謝してるけどね。」

【高峰司の右足で黒い蔦が一度だけ明滅した。】

「なにがしたいか、かー。
深い問いだね。なんだろうな…だらだらしたい?」

高峰 司 > 「…………は?」

少し困惑。
いや、ウイルスでの侵蝕で同化したいだとか、そう言うのじゃないのか。
もしかして……

「このウイルスの単なる特性ってだけで、それに意図はない。単にそう言うモノ、ってだけか……?」

だとしたら、しかしマネキンは何の意図で自分にこんなものを使ったのだ。
もしくは、このディアボロス本人とはまた別の意図があるのか。
些か混乱してきている。

ベッドマン >  
『君、意外に忘れっぽいね
 彼女は門の視覚化された姿……だったかな?
 私の力のせいで感覚器として彼女を認識できてしまっている―――という所だろうね』

そしてどうやら彼女は魂側よりも肉体よりの現象らしい
万全の自分でも封じ込めることが出来ないことからおそらくこの予測は間違っていないだろう

自分以上の使い手がそうそういてたまるかと言う思いもある

肉体に起こった現象は夢へと直接的な影響を及ぼす

意外と言えば意外な盲点だった

”????” > 「というか人をウィルス扱いとはひどくないかーい。
いまの私が人かどうか怪しいけどね。あっはっは。前のは門と言ったんだったっけか。
いやあ、詩的な表現過ぎたかなぁ。

なんだい、ウィルスの意図が知りたかったのか。なんだったら直接覗いてみたらどうかな。」

【壁の向こうから誘う言葉が聞こえる。】


「ところでさ。
夢の中だけどキミ悪戯されてないかい。」

高峰 司 > 「直接……は、流石に不安だがな」

最悪呑まれかねない。
そんな事を考えていると、意識がぼんやりしてくる。

「あー……?は、悪戯?んなアホな……」

流石にそれはないだろう、などと思っていたら、段々と意識が一段階覚醒していく。
なんだか、自分を起こす声も聞こえてきた。

「待たせすぎたか……先起きるぞ、ベッドマン」

それだけ告げて、意識の定着を放棄。
上の階層まで、意識を覚醒させた。

ご案内:「司の夢」から高峰 司さんが去りました。
ベッドマン >  
『しかたないな
 それじゃあ私が覗いておくよ

 思ったよりも出来ることが少なそうだしこのぐらいはしないと―――かな?』

今やベッドマンと司はパスで繋がっている
そしてこのディアボロスもそうなのだろう
その細い細いパスをたどる

鉛の壁をまるで水の中を歩くかのようにぬるりとぬけディアボロスと額を合わせる

『君、結局何がしたいんだい?』

”????” > 「キミ自身のことなんだから、私に指摘されてどうするんだい。
おっと、ちゃんと起きたみたいだね。」

【姿がやや薄れている。
高峰司の目覚めを見送った。】

「…キミは怒りや恐怖を感じてはいないようだ。
それを聞くのは私にじゃないだろう?」

【”ディアボロス”は壁を幽気のようにすり抜けて、ベッドマンの顔に触れる。
慈しむような表情を浮かべていた。】

「門は開かれなければ意味がない。
…おっと、時間かなぁ。次はウィスキーでも頼むよ。」

【白衣の女性が自身の顔を粘土のように引き裂いて抉る。
奥に黒く細かなものの銀河が詰め込まれていた。そしてすぐ女性ごと姿が消える。】

ベッドマン >  
『フラれてしまったか
 一人やもめというのは悲しいね』

やれやれと肩をすくめ白衣の女性を見送る。

門は開かれなければ意味が無い
つまりあれは開いていない門なのだろう
まだ繋がっていないのだ

おそらくこの門を開くのは時間とそして彼女……

誰もいなくなった深層心理の中でぼんやりとたたずむ

とりあえず4階層と5階層にも楔を打っておくとしよう

女性に続きベッドマンの姿も霧のように霧散するのだった

ご案内:「司の夢」から”????”さんが去りました。
ご案内:「司の夢」からベッドマンさんが去りました。
ご案内:「落第街沿岸部 廃倉庫群」に黒星さんが現れました。
黒星 > 島に学園ができる時に作られた、船で持ち込まれた資材を置く倉庫。
これらの大半は役目を終えた後に取り壊され、地図からもデータからも消えた。
しかし、幾つかは廃棄と判子を押され、そのまま地図とデータから消えた。

何故か。
使い道を見出したものが、そうした。
存在しない場所を欲したものらがそうした。

ここは、そんな場所の一つ。

黒星が、黒星が属する組織が確保した"資材"置き場。

黒星 > 外見は正しく朽ちた倉庫であろう。
しかし、中は違う。

清掃され補修され、確りと役目を果たし続けるべく維持された空間がある。
山積みされた様々な箱には汚れなど殆ど無い、管理された姿でそこにあった。

まぁ、それよりもこの倉庫で目立つのは、倉庫内の天井と壁に張り巡らされた五色の紐と、吊り下げられた符の数々だが。

黒星 > 人間用の出入り口を入って少し、光の漏れぬように工夫されたスペースには複数のデスクと、椅子と。

その椅子の一つに座った黒星の姿。

ご案内:「落第街沿岸部 廃倉庫群」にルギウスさんが現れました。
ルギウス > 倉庫の一角に男が現れる。
舞台の袖から、悠々とした足取りで。
ちらと視線を周囲に走らせる。
なるほど、用心深い と独り言ちた。
そして足は舞台中央に備えられた取引の場所へと。

「やぁ、お待たせしましたかねぇ……黒星さん?」

黒星 > 「いらっしゃい   今来たところだから、大丈夫だネ。」

予約してた客の姿に、咥えていた煙草を既に吸殻で山になった灰皿の隅にねじ込んで消した。

そのままの手でテーブルの向かいに どーぞ と示す。

お互い 長い間 学園に居るが、こうやって喋るのも面と向かうのも初めてのこと。
なんだが、白い服にサングラス。

「被ってるから、避けてたんだよネ、っと失礼。
 まぁ、座るといいヨ、茶は切れてるけどネ。

 一杯買うってっ話だから、椅子くらいは磨いておいたヨ。」

椅子は古いパイプ椅子だったけど。

ルギウス > 「ああ、それなら良かった。
 時間は大切に使いたいですからねぇ……何せ時価なんですし」

しゃあしゃあと答えながら、示された椅子に素直に腰掛ける。
古いパイプ椅子からは嫌な音が聞こえた。

「妖怪キャラ被りってやつの仕業らしいですよ、それ。
 現れると似たような外見の……たとえば銀髪ロングで黒レザーとかが頻発するとか」

与太話をしながら、細葉巻を取り出して咥えた。

「ええ、沢山欲しいですからねぇ。
 品質がよければ、リピーターにだってなりますよ?」

黒星 > 「教師はこれで忙しいからネ。
 試験問題作ったり、休講の張り紙したりとかネ。」

ぎいっとパイプ椅子に悲鳴のような音を立てさせて、背もたれから体を起こす。

手に取るのは、傍らにあった分厚いファイルだ。
それを客の、ルギウスの前に丁寧に置く。

何のラベルも貼られてない、事務用品のファイルだ。

開けばまるで履歴書のように人間の顔写真が貼られた紙が何十枚も挟まっているのが分かるだろう。

名前、出身、身長体重、持病の有無、経歴、所持異能、魔術、趣味、etc...

異世界人も混ざっているのか、獣の相や角を備えた顔写真まである。

「今すぐ渡せるのがその辺だヨ。
 それ以上とか他がいいなら、お取り寄せだネ。

 ウチ、零細企業なんでネ、クカカッ。」

笑いながら指を弾くと、ルギウスの咥えた細葉巻の前に小さい火種が生まれて揺らぐ。

ルギウス > 「貴方、試験問題は使いまわしで休講する時は事務員に電話一本でしょうに」

一体、ナニに忙しいのやら と笑いながら非難をしつつファイルに目を通していく。
ざっくりと目を通しながらも口は動いていく。

「零細企業でも、仕事が確かなら私は贔屓しますよ。
 表よりもよほど信用商売ですからねぇ、こればかりは」

目ぼしい人物に付箋を付けていくのも忘れない。

「とりあえず、この方たちを頂けますか。
 値段はこれで足りるはずですが」

スーツケースをテーブルの上に乗せた。
重そうな音がする。

黒星 > 「最近、事務員が変わったみたいでネ。
 休講するのに20分も説教されるんだヨ、健康的な生活しろってネ?
 あの子は頭がおかしいのかもしれんネ。」

ルギウスが品定めする間、頬杖をついて、欠伸を噛み殺しながら待つ。
煙草を吸おうとして引き寄せた箱が空だったコトにも気付いて、潰して丸めて背後に捨てた。

「そう言って貰えるとありがたいヨ。
 ウチはやり方が古いせいか、あんまり客がつかなくてネ、と。

 はいはい、毎度アリだヨ。」

付箋をつけられた商品の紙をファイルから抜き出して確認。
並べて整えて、と。

選んだ商品に規則性や同じ点がないかザっと見る。
その間に、商売の話は続けてしまう。

「お客さん、ホントに纏め買いするんだネ。
 お会計は商品渡す時に確認させてもらうヨ。

 で、持ち帰りどーするヨ?
 ココで持っていくか、宅配か……宅配は配送量かかるヨ。」

ルギウス > 「その事務の方は普通の事を仰っていると思いますけれどねぇ?
 貴方、睡眠なんてとらないクチでしょう?
 太陽の気と相性がよろしくないだけで。」

よろしければどうぞ、と細葉巻を一本渡す。
なお品質はとてもよろしい。

「ここで持ち帰ります。
 宅配を頼むと……行方不明になる方が増えてしまいますからねぇ?」

いやぁ、不思議ですね と白々しい言葉を続けた。
選択基準の共通項としては、生きる気力を失っていないもの だろうか。
魂が輝いているものと言い換えてもよさそうだ。

「そうそう……ネームドキャラクターであるなら、相場の三倍を出しましょう。
 魂の価値が高ければ、もっと出しても構いません。
 その方の出自は一切不問です」

黒星 > 「良く寝て、良く食べて、が健康の秘訣じゃないかヨ。
 お陰で日光浴だってできるんだからネ。

 まぁ、私はお客さんみたいに便利じゃないんだヨ、体は1個しかないんでネ。」

渋い顔で言いながら、差し出された細葉巻を受け取って咥える。
先に、今度は何の呼び動作も無く火がついた。

「ぉっと、じゃあ持ってこさせるヨ。
 あぁ、原因不明の行方不明とか公安や風紀の子らの胃痛が増えるから避けてあげないとネ、これも教師の気遣いってモンだネ、クカカっ」

笑いながら、傍らにあった古い東洋風の意匠が彫られた鈴を鳴らす。

 ―――リィーン―――

と澄んだ音が倉庫内に響くと、奥の方で物音が生じる。
複数の足音、衣擦れの音、何か重たい物を動かす音、だ。

選ばれたファイルから、外見、肉体面よりも内面、特にメンタルの強いもの、必然的に魔力霊力が強い系が多かった、ようだ。

「島の中で攫うのってすっごい手間なんだよネ。
 それも名前の通った子は目立つから、証拠の始末が面倒で……

 そーいうの、お客さんのが得意なんじゃないのかネ?」

近くに居る希少品なら、自分でやればいいじゃないか、と笑った。

ルギウス > 「ああ、それは健康ですねぇ……やっぱりサボリじゃないですか。
 これはこれで割りと不便でもあるんですけれどね」

はははと笑って体は一個しかないを華麗にスルー。

「まったくです。
 生徒達にはノビノビと育っていただかないと」

僵尸が死霊術を……いや、この男は尸解仙と言うべきかもしれない。
確かな意思を感じる。
どこかの人形よりも魅力的だ。

「私が全てやってしまったらツマラナイじゃないですか。
 それに私は、証拠の始末だなんてあまり行いませんからねぇ。
 たまには、他のヴィランにも見せ場を譲りませんと」

くく、と笑って。ファイルを返す。

黒星 > 「夜間授業の切り替えでも申請してみようかネ、また叱られるかネ。
 お客さんが不便とか笑っちゃいそうだけど、お客さんだから笑わないことにするヨ。」

ふー っと、煙を頭上に吐いた。
煙は複雑な模様を描いて薄くなり、消えていく。

与太話の間に棺桶のような、実際、木の棺桶だがを二人一組で担いだ黒尽くめの人間がゾロゾロと出てくる。

無表情なそれらは、ルギウスの横に丁寧に担いだ棺桶を並べて詰んで、戻っていく。
滑らかな動きは青白い肌と死の気配を纏っていなければ、とても、死んでいるとは思えないだろう。

まぁ、神官には一目瞭然だろうが。

「あぁ……お客さんは遊び好きな人なんだネ。
 私らは人目を忍んで生きてる日陰者だから、そんな派手な真似はトテモトテモだヨ。

 商品の中身は、適当に蓋を開けるといいヨ。」

返却されたファイルを受け取る。

どれでもいいが、棺桶の蓋を開ければさっきピックアップされた人間のドレかが入っているだろう。

目を閉じて眠り続けるソレは、全く動かない。
深く長い呼吸を繰り返し、微かに上下する胸に気付かなければ死体とも見間違えそうなくらいだ。

ルギウス > 「叱られますね、まず間違いなく。
 あの事務員の方の叱る様を見せたいくらいです。
 汚物を見るかのような目をしてらっしゃいますよ」

人によってはご褒美でしょう と紫煙を重ねる。

「常に頭の中で自分が自分と喋り続けてますからね、とても煩いですよ?」

言いながら、蓋を取る。
よし、と呟いて蓋を戻す。
それを何回か繰り返しながら。

「人生なんて、遊びの合間に行うくらいが丁度いいんです。
 何かの歯車だけだなんてゾッとしますよ。
 世の中、適材適所で回るものです。
 私は楽して、貴方はお金を得る。WIN-WINで皆ハッピー。素晴らしい」

軽く指を鳴らせば、ルギウスの影から骸骨の兵士が姿を見せる。
それらは死の臭いを発しない畑で採れた兵士である。
兵士達は桶を担いで行軍を開始した。

「ああ、今宵はよい商いができました。
 今後ともよろしくお願いしますよ、黒星さん。
 組織の大哥にもよろしく伝えておいてください」