2016/09/11 のログ
ご案内:「>落第街、海底地下施設最奥」に”マネキン”さんが現れました。
■”マネキン” > 【大型小型モニターと配線で壁面を埋め尽くされた部屋の中心に、実験水槽と何かが融合したモノがある。
モニターの光だけで照らされる薄暗い部屋に、地の底から響くような風の音が聞こえる。】
【落第街から複数の海底施設群をつなぐ通路の最奥にこの場所はあった。
伊都波悠薇はその中央にある何かとともにある。】
……君の姉はそろそろこちらに向かっているようだ。
どういう一言で迎えてあげるか、ちゃんと考えたかい?
【”マネキン”の声と、それに重なる複数の声が室内に響く。】
ご案内:「>落第街、海底地下施設最奥」に伊都波 悠薇さんが現れました。
■伊都波 悠薇 > 地下。
地下だというのに、うるさく聞こえる。
反響、反芻――
ごごご、と揺れているかのような、風の音――
「――……それって、必要なこと?」
無機質な声。
それが、ただ。ただただ――複数に向かって返される
■”マネキン” >
【中央にあるものから周囲に伸びた、紐状の這いずる何かが伊都波悠薇の手足を這い上がるように、ゆっくりとまとわりつく。】
無くてもいい、けどね。
魔王とかだったらほら、「よく来た、勇者よ」とかあるじゃねえか。
決して相いれないことを宣言する何かがあるともりあがるのよね。
必ずしも必要じゃない。
でも、相対することを覚悟していた、ということは証明できる。
それがたとえ獣でも、化け物であったとしても、だ。
【声は彼女が背にする者たちから聞こえてくる。
そして”マネキン”からも聞こえてくる。】
【水槽から水音が響く。】
■伊都波 悠薇 >
「そう? あなたたちと違って、そこまで現実にロマンを抱いているわけじゃないから」
くすっと、嗤ったように頬をゆがめたふり。
もう、笑うという行為も忘れた。
本来の彼女を知っているならば、この発言を、本当に彼女が言ったのかと思うだろう。
なにせ、妄想が得意で。憧れという、夢に生きていた少女だ。
だが――今は……
「――現実は、そんなものよりも遥かに……」
前髪を整えて――後ろのものに。
這いずるなにかに身を任せる。
「――覚悟? そんなもの、あると思う?」
ない。間違いなく。
これはそんな崇高なものなんかではない。
これはただの――
「”始めて”」
つぶやいた言葉、その先少女は言葉を発さず。
ただ、時を待つ
ご案内:「>落第街、海底地下施設最奥」に伊都波 凛霞さんが現れました。
■伊都波 凛霞 > 床を叩くけたたましい足音と共に、少女はやってきた
どれくらい走ったかもわからないぐらい、全力で、景色を後ろへとすっ飛ばして
やがてそこへ到達すれば、疲労の色濃いその瞳にその顔を移して、張り裂けそうな声をあげる
「悠薇ッッ」
振り絞るようなその声は、瞳に移ったその少女に果たして届くのか
■”マネキン” > (従来のデータとはずいぶんと印象が違う。
…これが本来の、もしくは、あえて天秤にあらがった…?――いや。)
【”マネキン”が顎を引く。】
……そっちのほうが、らしい。
そのうえで君の天秤は、現実をねじ伏せた。
それは望んでではなかったから、祝福ではなく呪いだろうが。
あると思う…いや、あってもらったほうがよかっただけだな。
さて、そろそろ
きたか。
【”マネキン”が入口の、開け放たれたままの重厚な扉に向けて振り返る。】
■伊都波 悠薇 >
「――どっちでもいいじゃない、そんなこと」
思考を読んだような、そんな言葉。
そして――
「あぁ、来たんだね。来ちゃったんだ」
その言葉は、自分の呼ぶ声と重なって――誰に聞こえることなく。
「―― 一人?」
呼び声には答えず、ただそう返した
■伊都波 凛霞 > 滝のように流れる汗を顎先から垂らす
相当の距離を全速力で走って来たのだろう
それでも、その視線は強く真っ直ぐに
「……来ないわけ、ないよ。
一人だよ、お姉ちゃん一人じゃ、不満だった?」
かがんでいた姿勢を起こして、背筋を伸ばす
こちらへ振り返るマネキンを一瞥し、敵意ある視線を向けた
「……司ちゃんと私を待ってる、みたいな言い方した癖に、これはどういうつもりなの…?」
■”マネキン” > 【”マネキン”が右手を上げる。】
気づく、とは思ってはいたけどね。
一人で、すぐにここまで来るとは思っていなかったよ。
どちらかというと、なぜ彼女を連れてこなかったかのほうが不思議なんだが。
妹には会わせられないとでも、思ったのかい。
どうやら随分とへこんだようじゃないか。
まあ、今回の舞台の主役は俺じゃない。
【フード姿の男が台座を降り、右手を降ろす。
室内の光量が上がる。】
【中央のの背後に、異形の姿がはっきりと映る。
マネキンには必要ない部分、
神経、血管、内臓、脈動する心臓、そして数多の顔と白衣と水槽の残骸で出来たモノ。
それらの生体の管が伊都波悠薇に絡みついていた。】
【それから発せられる複数の声が響く。口が動く。】
『天秤はわれらが引き受けよう。だが、舞台の役を忘れるな。』