2016/09/12 のログ
■伊都波 悠薇 >
「ははっ」
忘れるな? 忘れるなだって?
一度たりとも忘れたことがない。
私は、妹――そう、妹だ。
姉に、嫉妬の華を咲かせ、散らし――
無残に枯れていく、黄色い薔薇――……
私は――……
「誰に言ってるの、”人形―マネキン―”」
髪をかき上げる。
前髪は、なくなり――そこにある表情は――……
愉悦に染まった”化け物―いもうと―”
「不満? 不満だらけだよ。独りで、来て――罪滅ぼしのつもり? 私を投げ捨てて、選んだお友達はどうしたの? もう、私を一人にしないために、天秤をとるために一人で来たとでも?」
嘲笑。
はっと、吐き捨てながら――”荒々しい”笑みを浮かべた。
歯をむき出しにして。
かつて、さらすことすら羞恥を感じた少女が――
そのすべてを”投げ捨てたように”
■伊都波 凛霞 > 「………」
マネキンの言葉には答えない
妹を姉が連れに来る、なんらそこにおかしいことはない
すたすたと臆する様子も見せず、中央へと歩いてゆく
そして
化物、決してばけものなんかじゃない妹に向けてその右手を差し出す
「いいから、いつまでも不貞腐れてないで帰るよ、悠薇」
続く問答、同じ問答
それらをすっぱりを切り捨てた物言いを、妹へと向けた
■”マネキン” > 【フード姿の男子生徒が肩をすくめる。】
ほら、言っただろう。
彼女は理解してない。自分に何が望まれてるのかを。
舞台を整えるとは確かに言ったが、
その役目まで変わってやってもいいのかな?
伊都波 凛霞もただ帰る、と言われて帰るとでも思っているのかい。
妹のことを理解しようとはしないんだね。
そうやってすべてを切り捨ててきた。
そしてまた、妹の本質を切り捨てるのか。
【よりはっきりと、伊都波 悠薇の四肢に生体管が巻き付く。
彼女を縛り付ける。
一部では、その皮膚に融合しつつあった。】
【その管が伊都波 凛霞の足元にも伸びる。】
■伊都波 悠薇 >
「嫌だ」
ケタケタと、笑いながら。
その手を取ることなくただ、見つめるだけ。
「どうして、お前の手を取る必要がある?
信じられない。そうやって、いろんな人に差し出してきたんでしょう
そんな言葉で、みんなを助けてきたんでしょう」
でもね――
「私はもう、信じない」
――誰も、信じない。
現実を、信じない。
妄想も、信じない。
ただ信じるのは――憧れという名の……”霞―かこ―”
「ふふふ、あはは――」
同化していく、どうか、なっていく。
それもいい。
「――嘘をついて、逃げた。私は、あんなに信じたのに。あんなにお願いしたのに。受け入れると言いながら、今もこうして受け入れてくれない。 結局――私を救ってくれようとはしない。私を、退治してくれない」
――皮膚からいろんなものが、一緒になっていく。
「――言ってる意味、通じる?」
首をかしげながら、じぃっと、女を見た
■伊都波 凛霞 > 「血を分けてたって伝わらないこともある。
望まれて、応えようとしたってできないこともある」
その手は、差し出したまま
「私は私である前に姉であるように努めてきた。
でもそれは歪だよ。
お姉ちゃんであり一人の人間としては、あの時病院で言った通り、あれ以上の言葉もできることも私にはもうない。」
悠薇が本当に望んでいることに応えられないなら、それは私の不足。
だから悠薇がばけものになったって、私は英雄にならないし。
…私がそれを退治するとしても、それはえいゆうとしてじゃない。
……家族として、人の道を違えた肉親を、だよ。
言ってる意味は、どうかな……お姉ちゃんは昔から物分りが悪いから。悠薇と違って」
足元に伸びるをれを意識はすれど意に介さない
ただただ、目をそらさずに 妹 を見据えている
■”マネキン” > 【”マネキン”の声はすでにフード姿の男子生徒より、中央にある何かから響くものたちのほうが大きくなっていた。
いくつもの平均化された声が響く。口々が同時に動く。】
彼女は純粋だよ。純粋な化け物になるの。
わたしたちがそうする。わたしたちがそうなる。
人の道をたがえた肉親を何をもって切り捨てる。
伊都波 凛霞。
忠告しておくぜ。
ここにあるのはたった二つの選択肢だ。
それを不幸せだと断じて、切り捨てるか。
もしくは―――
その手を差し出して、共に来るか。
…伊都波 悠薇。理解っているのでしょう。本当は一緒にありたいと思ったこともあると。
でももう、言葉だけで信じることはできない。だから、そのための手段を提供してあげよう。
その手を引っ張り上げるためではなく、ともに歩むために差し出すという選択肢を。
【顔の一つが伊都波 悠薇のそばにあって、そっと耳元にささやきかけた。
彼女の中にある天秤に、張り巡らされた血のくだの楔が絡みつく。異能の軋む音がする。】
さあ。応えを。
【嗤う。】
■伊都波 悠薇 >
「――よく言う」
さて――準備は万端。
化け物と、彼らはする準備をした。
では――……
「……どうやって止めるの? どうやって、とりこぼしたものを、また掬うというの?」
――言葉だけ。
その言葉で、すべてが決まる。
そう――そうすることで、ピースはそろう。
選ぶのは主役だ――……
物語を、紡ぐのは……
■伊都波 凛霞 > 「……うるさいなぁ、人の家の事情に口出さないでよ」
ぽつりと、蠢くものたちへそう言葉を零す
そして
「私が幸せに在ることが悠薇の幸せだって言うなら私は幸せになるよ。
でも私の幸せには悠薇が絶対必要不可欠なの、だから切り捨てたりなんかするわけないよ。
とりこぼしたものはもうしょうがないけど、新しく注ぐことはできる。
これから一緒にいることで、いくらだってね」
差し出した手は、悠薇の意思を待つためのもの、だった
けれど悠薇は問いかけた
だったら、先に答えを出すのは自分であるべきだと
同化しているそれを振り払うようにして、その手を無理やりに掴んだ
「"嫌"じゃない。帰るって言ったら帰るんだよ、悠薔」
まるで家出して帰りたくないという子供に言って聞かせるような、そんな言葉で
■”マネキン” > 【嗤い声がぴたりと病む。
一拍おいて、静かになった室内に同じ声が複数の口から同時に響く。
それは伊都波 悠薇と同じ声音だった。】
「人の家の事情?」
「相変わらず答えはないんだね」
「こんなに私たちは望んでいるのに」
「わかってあげられないというのは残酷だよ」
【目の前から声が響く。周囲からも声が響く。
その中で横合いから液体の滴る生体塊が力一杯に伊都波 凛霞を殴りつける。】
まだ答えを聞いていない。
無理やりはご遠慮願いたいな。
それとも、無理やりがお好みというのなら、こうなるだけだがね。
どっちの意思かは、君の妄想に任せるよ。
だだくらいは、こねるものだろう?
【照明が明滅する。
中央にあるものと伊都波 悠薇が、一瞬の不気味な影となった。
ふたつはしっかりと絡みついている。室内にあるすべてが、暗転したシルエットとなって】
■”マネキン” > 【ー中断ー 続きは水曜夜を予定。】
ご案内:「>落第街、海底地下施設最奥」から伊都波 凛霞さんが去りました。
ご案内:「>落第街、海底地下施設最奥」から”マネキン”さんが去りました。
ご案内:「>落第街、海底地下施設最奥」から伊都波 悠薇さんが去りました。