2016/09/15 のログ
伊都波 悠薇 > 「そうやって――」

唇をかむ。噛んで。地が出るくらいに噛んで――

「そうやって!!!!」

叫ぶ。叫べば、うごめく何かが、姉に向かって襲い掛かり――
一つ二つ、三つ――……
糸が束となり、槌のように――……

”マネキン” > (あくまで、無視するか。
だがその頑なさが、まるで何かに操られているかのような振る舞いが彼女に不信感を抱かせている。
強さともいえるのだろうが、滑稽だ。誰もが答えを欲しがって、そして誰もそれを応えない。)

…九九九。
【”マネキン”が含み笑いを零す。しばらく言葉は発しない。二人の様子をただ見ている。
異形の生体に付いた顔型全ても、視線をそちらに向けていた。】


さて。
(適合者である彼女を急いで取り込みきるにはリスクがある。
すでに何事もなく後戻りできるような状態ではないが、手足を捨てる、などという決断をすれば可能だ。
天秤を引き受けている以上、こちらから過度の手出しはしづらい。)

どうなるか。どうする?伊都波 悠薇。
そうか。

【彼女の意思に従い、生体の管が編みあわされる。
そこに”マネキン”の意思はない。ただ彼女の意思を持って動かされる。】

伊都波 凛霞 > 跳ね飛ばされ、再び壁にまで叩きつけ、戻される
口の中に錆くさい味が広がる

「………いいよ、そうやって"わからずやのお姉ちゃん"には…」

ぶつけてくればいい、わかるまで
感情をそのままに叩きつけてくればいい

再び立ち上がる
あちこちが痛む、血が咽び上がってきたのは、内臓損傷の証でもある
正直に言えば、寝ていたいけど───

「全部、委ねるって決めたから……あとはもう、悠薇が望む通りに、ね……」

伊都波 悠薇 > 「そうやって! 望む通りとか言っておいてっ」

味方の振りをしておいて――
結局、自分を置いていく――考えてくれているようで……
思ってくれているようで――

すれ違う。

「なんでもわかった気になって!!!!」

ぶつけるのは言葉。
それに連動するように、糸が形を為して。
波のように、襲い掛かる。まだこれの想いはひとかけらで

”マネキン” > 【その様子をじっとフード姿の男子生徒が観察している。】

(ずいぶんとダメージを受けているな。
万が一、姉に死んでもらっては困るんだが…まだ、口を出す段階ではなさそうだ。)

委ねたとしても、何も解決しないだろうに。

【つぶやく。
糸の波の行方を注視している。】

(致死的な状況になれば、介入せざるを得ない…か?)

伊都波 凛霞 > 「くふっ……」

襲いかかる波に抵抗の意思を見せないまま、叩きつけられる
口の端から血が溢れる

「……───」

腕を突っ張って、苦痛を押し殺して、立ち上がる

「…お姉ちゃんのことが、信じられないんでしょう…?
 本当の気持ちってどうすれば伝わるのかな……難しいね…。
 それともまだ、信じたいって、思ってくれてる…?」

ふらふらとした様子で、それでも立ち上がって、妹へと歩み寄ってゆく

伊都波 悠薇 >  
「――思ってるよ。思ってたよ」

ぽつりぽつり――。
泣き出しそうなほど、言葉が震えて――

「でも、覚えてる。覚えてるんだよ?」

自分を捨てたこと、嘘をついていたこと。
自分が姉を不幸にしている事実を知った瞬間。
受け入れてもらえず、現実で擦れていくあの――

「こっちに来ないで!!!!」

糸が。
悠薇の思うように――姉を阻む壁となって――……

”マネキン” > なるほど。

すでに一度裏切ったか。
(すべてを把握していたわけではないが。
信じる、信じないという話ならば…そしてそれが彼女を変えた。化け物になりたいと。
だが、好意の反対は無関心という。いまだに執着して、拒絶するこの様子は。)

まだ、救いはあるかもしれないぞ。
受け入れたまえ。一緒になれば、その場所で嘘はつけない。

【糸の壁から彼女の意思によらない複数の管が伸びる。
管は揺らめいて、姉の体に向けて這い伸びた。これは”マネキン”の意思で操作されている。】

伊都波 悠薇。
彼女の真実を聞きたいのではないか。
少し、手助けをさせてもらおう。

どちらにしろ、この壁を立てたままでは何も進まないはずだ。

伊都波 凛霞 > 「………」

悲しげな声を聞くと
自分の間違った選択を悔いて悔いて仕方なくなる
けれど過ぎ去った時を取り戻す方法はなくて───

「……私は、本当に貴方のやりたいことがわからない……。
 貴方を信じるわけにもいかない……」

罠かもしれない
振り払うことはできた

でも救いはと、と言われれば
それは蜘蛛の糸のようにも見えて

「………」

伸びてくる管を、避けることはしなかった

伊都波 悠薇 > すでに言葉は伝えた――
姉が何もしないなら――……

妹は特に何もすることはなく

”マネキン” > 【管が姉の手足に絡みつく。
壁に向けて、引き寄せるわずかな力が加わる。
天秤の異能を融合で押さえつけたまま、侵食と感染が始まる。】

【ウィルスの認識は感染者に共有される。
伊都波 凛霞の過去の真実と悔恨は適合者である伊都波 悠薇にたどり着く。
伝えたいことがあれば、さらに伝えることが可能だが偽ることはできない。】

だからさっき忠告したのに。
信じる必要はない。伊都波 悠薇にも言ったが、これは利害と取引にすぎない。

きみたちはすれ違いのない一つの存在になる。
そして私は、欲しいものを手に入れる。天秤の両皿がこれで揃う。

ポイント・オブ・ノーリターンだ。

【すべての顔が口を歪める笑みを浮かべた。
ただしまだダメージはあるが振り払えないわけではない。】

伊都波 凛霞 > 「(……私は───)」

管が絡みつく、引き寄せられる
抵抗は……もはやしない
なぜ?
自分では言葉を向けるしか見いだせなかったから
完璧超人なんて甚だしい
自分が完璧であれたのは、全て妹がいてくれたからだ

感情が、気持ちが共有され伝わる
妹の天秤を受け入れられなかったこと
妹の幸せを受け入れられなかったこと
異能の効果がなくなって、それで妹の努力が妹のために報われればと
断腸の思いで、赤の他人になろうとしたこと
その結果、どちらも幸せになれず───

全ては伝わっただろうか
………けれどきっとそれは大きな問題じゃない

「……ちゃんとそうなると思う?…判断が早いんじゃないかな」

マネキンに向けられた言葉は、ひどく冷めたものだった

真実がどうこうの問題じゃない
悠薇が姉を信じられるかどうか
それだけが全てだと思った

伊都波 悠薇 > 「……――」

返答はなかった。
ただ流れてくるものに、意識を傾け――
ふらりふらり、揺れる。
揺れれば――前髪が、妹の表情を隠して―ー ……

”マネキン” > 【数多の顔から複数の声が同時に響く。むきだしのままの心臓の音が大きくなる。
フード姿の男子生徒も朗々と口を開いた。】

早い?
いや。そうなる以外に答えはなかっただろう。
そうならないのなら、こんなことになる前に答えは出ていたはずだ。

一度理解しあった者同士がわざわざ、離れる理由はあるまい。
君たちは「かつての日常」には戻れないよ。それがつらい現実だったことは、彼女がよく知っている。

【壁の制御が”マネキン”に奪われる。
糸の壁がほどけて、両側から伊都波 凛霞を包み込む形状に代わった。
融合した管が姉を妹のもとへとゆっくりと引き寄せる。】

君には離れた二人である理由を応えられなかった。
                       ひとのみち
妙にこだわっていたようだが伊都波 悠薇にとってつらい”現実”を肯定する理由もないはずだ。


戻れないのは状況だけじゃない。君にその理由がない。

【”マネキン”が手を手のひらを上にして、前に伸ばす。室内のモニターがすべて、赤色へと変わり―――】

”マネキン” > 【ー再度中断ー 次回金曜予定】
ご案内:「>落第街、海底地下施設最奥」から伊都波 凛霞さんが去りました。
ご案内:「>落第街、海底地下施設最奥」から”マネキン”さんが去りました。
ご案内:「>落第街、海底地下施設最奥」から伊都波 悠薇さんが去りました。