2015/09/27 のログ
ご案内:「教室棟/特別講義会場」に浅田扁鵲さんが現れました。
ご案内:「教室棟/特別講義会場」にクローデットさんが現れました。
ご案内:「教室棟/特別講義会場」に相楽 満さんが現れました。
浅田扁鵲 > 【特別講義用の教室。
 その最前列の机には、予め用意されていたのか講義に使うのだろうプリント類が置かれている。
 http://guest-land.sakura.ne.jp/cgi-bin/uploda/src/aca870.zip

クローデット > 講義が始まる5分ほど前。
いつものクラシカルな服装と、それに合わせたデザインでノートが入るくらいの大きさのバッグを提げて、クローデットは特別講義会場を訪れた。

『東洋思想概論』という名の特別講義。
魔術に活かせることもあるだろうと思って、クローデットはすぐに申し込んだのだが…無事、講義を開講するに値するだけの人数が集まったらしい。

最前列の机に置いてある資料を手に取ると、通路の傍の適当な席に腰掛けた。
その瞳は、好奇心を満たす喜びに満ちて輝いている。

相楽 満 > 東洋思想、というのがよくわかっているわけではない。
のだが、恋人と話をしていると陰陽五行だの気だのという話がたまに出てくる。
話を合わせるため、彼女の力の源を知るためにも受講しておこう、というスタンスだ。

資料を取るが、もう早速からちんぷんかんぷんだ。
なんとも難しい表情で、前の方の席に腰かけた。
やる気はある、らしい。

浅田扁鵲 > 【臨時講義のために用意された教室。
 そこの扉を開けて入ってきたのは、黒い作務衣を着こなし、髪もしっかりとセットした男。
 しかし、服や髪型に反して、その表情はけだるげである。
 挨拶のつもりか、学生らの方へ軽く頭を下げながら教壇に向かう男は、非常に胡散臭い風貌をしていた】

「……あれ、これどうやってプロジェクターに繋げ……あ、これか」

【ノートパソコンを持ち込み、教室の機材に繋げてホワイトボードに画像を映す。
 映ったのは講義の資料――ではなく、二本の角が生えたトカゲに似た鱗のある爬虫類の画像。
 昼寝でもしているのか、腹を見せてソファーの上に転がっていた】

「――ああ、これはペットのトカゲなんだが、かわいいだろ……違う。
 あー、どれだったか……あったあった」

【デスクトップの画像だったらしく、左端に整列されたアイコンを、一つ一つ確認し、ようやく『東洋思想概論資料』というタイトルが書かれた画像が表示された】

ご案内:「教室棟/特別講義会場」に光ヶ丘睦美さんが現れました。
ご案内:「教室棟/特別講義会場」からクローデットさんが去りました。
光ヶ丘睦美 > とたとたと足音を立てつつ走りこんできた少女は、
今まさに始まったところ、という教室の様子を見てちょっとだけほっとした。

それでも、できるだけ縮こまるようにしながら最前列に向かってレジュメを取ると、
あんまり後ろの方に戻るのも恥ずかしいから、とその辺りの席に座った。
常磐色のリュックを足元に置くと、レジュメをちらりと見る。

……むつかしい漢字が目の前に踊り出て、思わずむむむ、と声が漏れた。

浅田扁鵲 >  
「よし、そろそろはじめようと思うが、とりあえず全員、そこの資料を一部ずつ持って……あ、持ってるみたいだな。
 なら早速はじめるとしようか」

【教壇から指示を出すが、教室を見渡せば全員資料を手に持っているようだった。
 案外良く見えるものだな、と教壇からの眺めに感心しつつ、一つ咳払いをした】

「あー……とりあえずはじめまして、と言って置こう。
 オ――私は浅田扁鵲。普段は鍼灸師をやっている。
 今回は学園に暇をしてるところを掴まってな、講演料に釣られてほいほいやって来たんだが、中々どう教えるか悩むものなんだな。
 学生当時を思い出して、今更先生たちの偉大さを思い知ったよ。
 ……とはいえ、不慣れでもやるからにはきっちりと基礎を教えていくつもりだ。
 今回を含め三回の短い間だが、よろしく頼む」

【改まった口調に慣れていないのだろう。
 話しづらそうにしながら自己紹介を終えると、ゆっくりを頭を下げた】

ご案内:「教室棟/特別講義会場」にクローデットさんが現れました。
光ヶ丘睦美 > よろしくお願いしますー、と応えて少女が頭を下げると、
遅れてポニーテールが一緒に揺れた。

にこにこと笑うその表情は、これから何を教わるのか興味津々というところで。
たとえ臨時講師といえどもお手柔らかに行くつもりはないみたいだった。

浅田扁鵲 >  
「ああ、お手柔らかに頼むよ」

【元気の良い声に、思わずこちらも笑顔で応えた。
 そのやや遅れて入ってきたあと十年ほどしたら好みの女性に成長しそうな黒髪の少女は、今はどうも漢字に苦戦している様子。
 この講義を理解するには、少々幼すぎるかもしれない。
 ――大丈夫か? 着いて来れるのか……?
 ほんのり心配になりながらも、なるべく分かりやすく説明しようと頭を捻らした】

「さて、今回講義の題となる『東洋的思想』と言うと、陰陽五行説を思いつく者が多いと思う。
 だからこの講義でも陰陽や五行を主に解説する予定だが、その前に他の思想も知っておいてもらう必要がある。
 まあ、興味がなければ退屈だと思うが、物事には順序ってものがあるからな。
 それと、ここには多少自分で勉強している者、復習のために来ているものもいるかもしれないが、講義中は全員が『何も知らない』という前提に話をしていく。
 退屈だったら寝ていても構わないが、他の生徒の邪魔をしないようにしてくれ」

【そう話して一息つくように、教室の様子を見渡す。
 目立つのは最前列の少年、銀髪の女性と先ほどの少女……思ったよりも人が多い】

「……さて、それじゃあ講義を始めるぞ。
 順を追って話していくが、わからない事があれば質問するように」

【一先ず前置きを終えて、最初のページを送り、『気の思想』と書かれた画像を表示した】

クローデット > クローデットは、既存の属性魔術に五行の属性を取り入れたものを一部使用している。
しかし、五行そのものは学んだが、その根源にあたる思想を深く学んだことがないのだ。
クローデットがこの講義に申し込んだ主な動機は、まさにそこだった。
冒頭から、望み通りの内容…クローデットの口元に、楽しげな笑みが刻まれる。

クラシカルな服装に似合わぬ、硬質なデザインのシャープペンシルを手に、ノートを取る構えだ。

浅田扁鵲 >  
「まず東洋における魔術といえば、真っ先に思いつくのは先ほども話した『陰陽』や『五行』を用いた術だろう。
 これらはそれぞれ陰陽説と五行説を利用した独特な魔術体系だ。
 どちらも独立した思想、理論ではあるが、どちらにも共通して登場する概念がある。
 それが『気』だ。
 この『気』という概念は、大陸において異能や魔術を解釈するために必須の概念であり、陰陽説、五行説、どちらを理解するにも大前提となるモノだ。
 今回はこの『気』についてと、それに関連する『天地人三才思想』、東洋における重要な整体観である『天人合一思想』について解説していく」

【そうして話しながら、表示した画像を示す。
 『気の思想』と書かれた画像は、一つページを送られ、『気のつく言葉』と書かれた画像が表示され、そこには見慣れた単語、慣用句などが並んでいる】

「まずはこの『気』についてだが……漠然と『気』と言われて、どんなものかと説明できるものは少ないだろう。
 見ての通り『気が利く』『雰囲気』『天気』など、日常的に使う言葉には『気』に関係するものがこうして多くあるが、これらは情緒的、雰囲気的な傾向が多く、流動的な性質が付きまとっている。
 だが古代における『気の思想』は、『陰陽思想』と共に戦国時代における現実を生き抜くための、実態を伴ったものだ。
 かつての大陸における異能なんかは、この気の思想に基づいた現象だと解釈されていたそうだ。
 つまり『気』を理解することは、当時を戦い抜くには欠かせないことだったといえるだろう」

【そこまで説明すると、一拍置いて教室を見回し、少しの間を置いて次の画像を映す。
 現れるのは『古代大陸における世界観』と書かれた画像。
 資料として配られた中にあるものと同様の訳文が書かれている】

光ヶ丘睦美 > 異能のおかげでなんとか扱えているものの、
睦美には気についての技術も知識も十分とはとても言えない。
いつもいつも、試してみては驚くことばかりで、
この間は同居人に『車輪の再発明ですか?』と言われてしまい。
常世学園では絶対に学びたいと思っていた分野そのものなのだけれど…

『気の付く言葉』のスライドは現国でも習ったばかりの内容もあり、
楽しげに眺めていたのだけれど。

次にスクリーンに表示された文字を見て、もう一度くらくら、っとした。

クローデット > 一応日本語の知識はあるが、普段はこの島全体にかけられた翻訳システムに頼るところが大きいクローデット。
だが…翻訳システムにかけられてなお、訳文は少々読解に苦労した。

(翻訳…というには古語のままのようですわね。
全く読めない…というほどではありませんが)

念のため用意した電子辞書をぽちぽちと叩き、理解に不安のある語句・付属語の意味を確認していく。

浅田扁鵲 >  
「さて、古典にはそういった『気』を根幹に据えた東洋の世界観による、宇宙の始まりから万物の成立までを記した文がある。
 いまからこれの解説をしていくから、手元の訳文を参照してくれ。
 文字こそ難しいが、内容はそう難しいものじゃない。
 あまり気負わずに聞いてくれ」

【案の定、教室を見れば黒髪の少女は見慣れない漢字に圧倒されているようだ。
 手元に持ったポインターで、赤い点を画像の上に映して最初の二行を示した】

「さあ、まずはこの『天地未だ形らざるときは』から始まる部分だ。
 世界に天も地もない時代には、ただ混沌と広がる虚空だけが存在した。
 それが虛廓(グカク)と呼ばれるもの。
 そこから宇宙が生まれ、世界は始まる」

【『虛廓は宇宙を生じ、宇宙は氣を生ず』と書かれた文を示し、続いて次の行へもポインターを滑らせていく】

「そしてその宇宙から、なににも先んじて産まれるのが『気』だ。
 この気は、清んでいて軽いものと、濁っていて重いものに区別され、まず軽いものが上に昇って集まり『天』となる。
 そして重い物は下へと溜まり、ゆっくりと固まって『地』となった。
 最初に『気』によって『天』が生まれ、次に『地』が生またわけだな」

【『天、先づ成りて、地、後に定まる』までを示して解説していくと、その次の文を示す】

「『天地の襲精(カサナレルキ)は陰陽となり』とあるが、これはこの『天』と『地』を作った二つの『気』の事を指す。
 『天』を作った気が『陽』で、『地』を作った気が『陰』だ。
 これが陰陽の始まりというわけだな」

【そして『陰陽の專精(アツマレルキ)は四時となり』を示す】

「そしてその『陰陽』によって産まれたのが、四時……これは今の四季の事だな。
 これは次回『陰陽説』の解説で詳しく話すつもりだが、四季と言うのは『陰陽』のバランスが変わることで移り変わっていくものなんだ」

【『四時の散精は萬物となる』を最後に示す】

「この四時の散精、つまり『四季』の移り変わりによって、人を含めた万物が産まれていき、自然や生命が作られていったとされている。
 つまり。この世の全ては最初に生まれた『気』から発生していると言えるわけだ。
 この理論を用いれば、異能や魔術は、この『気』を扱う事で現象を生み出している、と説明することが出来る。
 これが『気の思想』という考え方だ」

【自分でも分かりづらい内容だな、と思いながらも、そこまで一まとめに説明し、言葉を区切る。
 学生時代には自分も苦戦したものだが、結局これ以上の説明が出来ないあたり。
 当時の不真面目さが祟ったのかもしれない】

相楽 満 > (あー、要するに色即是空みたいなもんか)

ぼんやり考える。
色とはまた違うが、気と天地の成り立ちはどこか似たような感じがする。

「万物の源が気で、まぁ要するに漫画的なパワー……とは違うッスけど。
 それが色々形を変えて、人間やら世界やら、それこそ異能とか魔術なんかの現象として目に見えてるってことッスか?」

手を挙げながら尋ねる。
自分なりに解釈するための言葉の選び方だろうか。

光ヶ丘睦美 > むむむ。と頭をひねりながら。
レジュメの文字を赤ペンで丸く囲んでは、

浅田先生の『こんなふうに理解して欲しい』という欲求を直接的に異能で覗き見て……
ノートに、自分なりの図とも絵とも言いがたい形で描き写していく。



[グカク→宇宙→気]

グカクはグネグネとしたスライムみたいなもの、
宇宙は木星っぽいものの周りに星マークをたくさん。
気は漢字で済ませました。その気という文字から矢印を引っ張っていって…

[天/陽(かるいから先)  
[↑
[気(カサナレルキ)が別れた!
[↓
[地/陰(おもいから後)

こう。
その後、陰陽マークを書いて周りに四季が放射される絵柄になる。

クローデット > 電子辞書で調べきれなかった固有名詞について、講師から丁寧に説明がなされる。

(なるほど…「こちら」では、世界のあり方をそのように解釈し…その元に魔術を使うのですわね)

クローデットの故郷では起源の要素を4つまでにしか分解しない。
それでも、クローデットはどちらかを否定しようとは考えない。

クローデットにとって魔術とは、「世界の捉え方」を用いて、「世界を上書きする」技術であり、術式の種類によって「捉え方」が違うのは、当然のことだからだ。

浅田扁鵲 >  
「少し詰め込み式で分かりづらくなってしまったが、要するに『気』という概念を全ての根底に置いた考え方が『気の思想』だと言う事を覚えてくれればそれで良い。
 他の思想、説においても、この『気の思想』は重要になってくるからな。
 この『気』が一体なんなのかと考えるんじゃなく、『気』は『気』であって、そもそもそういう物なのだと思って置くと、混乱しなくてすむぞ。
 『気』と言うのは物質をさす言葉じゃないから、他のものに例えるのが難しいんだ」

【そうして解説した内容を締めくくると、『質問はあるか?』と確認する。
 少年が手を挙げた】

「……まあ、簡単に言うとそういう事だな。
 だが、気そのものが変化したと言うよりは、『気』の働きによって現れた物、と考えるのがより近い。
 気はあらゆるものに宿っていて、その働きによって万物が作られているんだ。
 だからこういう現象も――」

【扁鵲が質問に答えつつ、手の平を上に返す。
 するとそこに、ボールのような炎が発生した】

「これもまた、気によって発生したものだが、気が直接変化したものではない。
 これはあくまで火と言う物質。この『火を起こす働き』が『気』というものだ」

【『気』がなにか、までを説明するつもりはなかったのだが、質問には律儀に答える】

「まあ、この『気』がなにかという解釈にも色々あるから、これが絶対とはいえないんだけどな。
 『気の思想』の解釈の仕方としては、大よそその理解の仕方で問題ない」

【質問への応えはそう締めて、再び教室の様子を見る。
 出来るならさらに質問を受け付けたいところだったが、時間は限られていた】

「さて、『気の思想』については以上だ。
 もう少し詳しく説明したいところだが、まだ次もあるからな。
 申し訳ないが、次に進めさせてもらう」

【そう前置いて、画像を切り替えた。
 今度は『天地人三才思想』と書かれた、簡単な図が表示された】

クローデット > 「………」

講師の男性が火という「物質」を精製するのを見て、目を大きく瞬かせる。
現象「そのもの」を起こす、という手法は、クローデットの故郷における属性魔術においてはリスクが高いものだからだ。

次の資料に移る前に、今の少年と講師のやりとりを急いでメモにとる。

相楽 満 > どうももっと根源的か。
いやむしろ表面的な解釈が必要なようだ。

意外と難しい、とノートを取るシャーペンの頭で下唇をつつく。
細かく考えすぎるとドツボにはまりそうだ。
このままでいいと言われたのならば、こんな程度の考え方で過ごしてしまおう。

光ヶ丘睦美 > 火の魔術を使うにあたっては、元素魔術の講義で習ったとおりにするために、
一度気を魔力に変えてそれを式に流し込むのが睦美のやり方である。

「……そういえば、そう、ですよね。気は気のままでも火をおこすチカラがあるんですよね」
出発点を体の内の生命力として捉えていたため、魔術を使わないと形を変えられない気がしていた。
[何でもなるし何でも起こすのが、気。]
とだけノートに書き込む。

浅田扁鵲 >  
「さて、『気の思想』の話のうちに、『陽』と『陰』について出てきたが、次はこれらを用いた『天地人三才思想』について説明する。
 この図をみてくれ」

【そうして、天地人三才思想と書かれた図を示した】

「『天地人三才思想』は、陽と陰……ここでは『天の陽気』と『地の陰気』と呼ぶ。
 この調和によって、『人の気』が生まれるという考え方だ。
 この図では例え易い農耕を例にして説明する」

【そしてまずは図の上部、『天の陽気』と書かれた部分を示す】

「まず農耕に必要な環境的要素。『天の陽気』はこれに当てはまる。
 まあここでは主に日照の事だと考えてくれ。
 そして次に土地。
 これは文字通り『地の陰気』だ。
 土の良し悪しは農耕に欠かせない要素だな」

【続いて『地の陰気』と書かれた部分を示せば、『人の気』と書かれた真ん中部分へと流れるようにポインターが移る】

「そしてこの『天の陽気』と『地の陰気』が調和している状態。
 つまり、どちらが欠けたりせずバランスを取れている状態になっていれば、農作物が実るわけだ。
 この農作物が『人の気』に当たる。
 先ほど解説した古典にある、万物の産まれ方はこれに近い」

【簡単に図の内容を説明すれば、そこで一度話を止め、教室を伺った。
 躓いたり、質問をしたそうな様子がなければ、引き続きまとめに入るだろう】

相楽 満 > (確かに、日光浴びて食事取らないと死ぬよな、人間。
 あ、そんで天が先に出来たから地の気を天気が左右してるみたいなとこあるんだな)

可能な限りシンプルに頭を動かす。
人間とは天地の気を扱って生きている、というべきか。

光ヶ丘睦美 > 「つまり、ええと、人間の中身も陽気だったり陰気だったりして……」
ノートに人を書くと、陰と陽に半分ずつ塗り分けようとしたところで。

「……先生、右と左ってどっちが陰で、どっちが陽なんですか?
人間を塗り分けようとしたんですけど、上と下で塗り分けるとなんだか気持ち悪い感じがして」
少女が赤鉛筆を持った手を挙げた。

クローデット > 陰と陽を用いた「世界の捉え方」についての説明を聞く。
…と、もう少し一般論的な補足がないと、魔術への応用がきき辛い…と、クローデットは思った。

「…申し訳ありません。
比喩を元に概念を拡張したいのですが…天上の気が「陽」、地下の気が「陰」…地上で、それらの影響を受けながら存在するのが「人の気」という解釈でよろしいでしょうか?」

手を挙げ、女性らしく美しい、通る声で質問をする。
陽と陰が、講師の説明した通り軽重以上の意味がないのなら、この理解で大外れということはないはずだが…どうだろうか。

浅田扁鵲 >  
【様子を伺っていると、少女の質問が聞こえた】

「うん、良い感性だな。
 陰と陽では『左が陽』『右が陰』となる。
 だがまあ、ここでは人間がどうこうではなく、もう少し大きく世界の仕組みとして考えほしい。
 人の陰陽に関しては次回の陰陽説の講義で詳しく解説するつもりだから、もう少し待っててくれ」

【そう応えた後で、銀髪の女性の手が挙がる。
 その女性らしい声に、ついつい口説いてしまいたくなりながらも質問を聞けば、うん、と頷いた】

「ああその説明は分かりやすいな。
 次の機会があれば使わせてもらおう。
 その解釈で間違いはない。
 ただ、君は分かっていると思うが、勘違いが起きないよう補足させてくれ。
 『天の陽気』も『地の陰気』も物質としての空や土を直接指しているわけじゃない。
 ついさっき、大きく理解してくれと言った手前恥ずかしいんだが……」

【自分の右手と左手を向かい合うように、間に空間を作って広げる。
 すると叩き合わせて、パン、と音を立てた】

「……今の音を『人の気』とする。
 するとこの右手と左手が、それぞれ『天の陽気』『地の陰気』と言うことになるんだ。
 つまり具体的な現象としては、『A』と『B』によって産まれる物が『人の気』となる。
 あくまでこれは考え方であって、『気』と同様、特定の何かを指すものじゃないという事は勘違いしないようにしてほしい」

【と、質問への返答を締めくくった】

光ヶ丘睦美 > 「はい、答えていただいてありがとーございます!
人間の気は複雑なんですねっ。」
褒められて頬をほころばせた少女が頭を下げると、勢い良くポニーテールもその後に続いた。

視線を下げると、ノートの人型の半分だけ、左は青、右は赤色で塗り分けた。
カッコ書きで左に陽、右に陰と書いてから、
『人の気についてはくわしくは次回!』として、

天と地から人型にもやもやーっと気が影響を与えている図を書き加えていく。

クローデット > 「ありがとうございます」

補足説明が返ってくれば、穏やかにそう言って、先ほどの少女の質問に対する回答と合わせてメモを取る。

(…まあ、陰陽については追って詳しく講義があるようですし、その際に掘り下げさせて頂きましょう)

『A』と『B』の調和、あるいは合流によって生み出されるもの。

(特定のものを指すわけではない、という考え方はいささか抽象的ですが…
………理解出来れば、きっと「あの」術式の再現に近づけますわね)

思い浮かべるのは、「同志」たる教師に見せてもらった、あの術式構成の中心。

メモを取りながら、その口元には、本当に楽しそうな笑みが刻まれている。