2016/08/15 のログ
■八雲咲雪 > スピーダーが速度に乗った以上、誰も妨害はできない。
圧倒的差をつけて空を泳ぐ。
まるで一人で飛んでいるかのように――。
『――八雲選手、堂々の一位でゴール!
流石前回の地区大会優勝者!
序盤はハンデであったかのように、その余裕のゴールをもって見せ付けてくれました!』
数十分後、他の選手達と差をつけて咲雪が一人ゴールをする。
周回遅れはないものの、半分以上の距離をあけてゴールしている。
他のスピーダーたちを差し置いて、だ。
(いい感じ。
早くなってる……。
これなら、全国大会も……いける……)
■寄月 秋輝 >
「上出来」
満足げに呟く。
地区大会でトップを取るのは最低条件。
激戦区というわけでもないのだから、これくらい余裕をもって勝利してもらいたかった。
あれだけの差をつけて勝てるならば。
(……全国大会、一つだけ賭けてみてもいいかもしれない)
ただその前に。
携帯端末を取り出し、ぱたぱたとメッセージを打ち込む。
『おめでとうございます。
帰ったらお祝いをしましょう』
まずは勝利を祝うのが大事だ。
彼女がこのメールを読む時間を待とう。
■八雲咲雪 > 確かな手ごたえを感じつつ、ゆっくり速度を落として地上へ降りてくる。
汗はかいているものの、疲労は少なく、余裕のあるゴールだった。
『さぁ、選手インタビューをしてみましょう。
八雲選手、今年も地区大会優勝おめでとうございます』
「はい、ありがとうございます」
『次は全国大会ですがまだ種目がなにかは出ていません。
去年はスカイファイトでしたからおそらく今年は別のになると思いますが、勝算はいかがでしょう?』
「スカイファイトでなければ、なんとか……あっ」
咲雪のサイバーグラスからピロリン、という音が鳴る。
メールの受信音だ。
こつ、と指でグラスを叩きメールを開き、さらっと読み流すとインタビュアーに視線を戻す。
■八雲咲雪 > 『今のメールは彼氏からですか?」
「……コーチからです。
最近、教えてくださるコーチがついたので」
サイバーグラスで目は隠れているものの、ちょっとインタビュアーを非難するような視線を向けている。
しかしインタビュアーはそんなことを気付いていないのか、気にせず質問を続ける。
『なるほど、生中継ですから見てくださっているんでしょうか。
コーチへ何か一言、どうぞ』
そういって、マイクを咲雪に無理やり渡し、カメラを向ける。
咲雪は少し困ったような顔をするも、カメラを見ると。
「……コーチ、美味しいの期待してます。いぇいっ」
照れた顔でブイサインを作って、しかし笑みを浮かべていた。
■寄月 秋輝 >
くす、と笑った。
何でも好きなものをご馳走しよう。
あとはメールは必要ない。
彼女の帰りを待とう。
咲雪の勝利が、まるで自分のことのように嬉しかった。
教え子が努力の結果を出してくれることが、本当に。
■八雲咲雪 > 『はい、八雲選手ありがとうございました!
それでは表彰式までご休憩ください!』
その言葉で、咲雪はカメラに向かって礼をすると画面から居なくなる。
あとは二位をかけた争いの場面を写すだろう。
そして、寄月の携帯にメールが届く。
【コーチ、メールありがとうございます。
美味しい食べ物とか、期待してます。
明日には飛んで帰りますので、宜しくお願いします】
そんなメールだった。
■寄月 秋輝 >
そのメールを読んで、目を細めて笑う。
明日のお祝いが楽しみだ。
だが、その後のことも考えねばならない。
全国大会、このレベルで勝てるかどうか。
やはり付け焼刃でもいい、秘策を授ける必要がある。
ともあれ、喜ばしいことだ。
あとの試合やインタビューなども見て、しばらくは楽しもう。
ご案内:「寄月家リビング」から寄月 秋輝さんが去りました。
ご案内:「寄月家リビング」から八雲咲雪さんが去りました。
ご案内:「蕎麦屋ん家」に蕎麦屋さんが現れました。
ご案内:「蕎麦屋ん家」にリビドーさんが現れました。
■蕎麦屋 > 1DKの狭い室内、手前の部屋。
奥の部屋は蕎麦工房であり、手前の部屋はいわゆる物置、である。
生活感の欠片もない――物置という割に物がない室内に、ビニールシートを敷いて、足元には死体が一つ。
――正確には死体ではなく、残骸。腰のあたりで綺麗に真っ二つに寸断された人型、である。
「さて、ノリと勢いで持って帰ってきましたけど。
まぁ、人型とってる以上は見捨てるのも寝覚め悪いですしね――」
スマートフォンで一応、これから『世話をかける』だろう相手に連絡。
してしまえば、あとは――切断面の見分である。どうするにしても、まず構造を理解しないと話にならない。
■リビドー >
黒い髪に紫の右眼。
左眼は不透明なモノクルに覆われていて分からないものの、
蕎麦屋ならばそこに物理的な目玉が無く、疑似的な隻眼状態に在る事は察する事が出来るかもしれない。
「さて、呼ばれて足を運んだが良いが。」
ともあれ、呼ばれて足を運んだ。来た。見た。
「何をやらかしたお前。」
呆れた。
■蕎麦屋 > バラバラと。何もない空間から工具を取り出す。
まず、衣服――バッサリと繊維のほつれすらなく裁断されているが、綿や麻ではない。まして知りうる限りの防刃繊維でもない。繊維質はいくつかの知りうる繊維に酷似するが――技術的には、現状未知だ。
外装は――これまたよくわからん。剛性皮膚の類、であろうか。対で居た子の皮膚に比べれば、若干質的に劣りそうではある。
骨格の素材は――配合率を見てみないと何ともだが、既存の、入手しうる合金の類でありそう。
――と。黙々と見分を進めていく。
『兵器』の類なら、大雑把には、理解が効く――と。
「あ、毎度。
いえね。女の子二人が演習場で切った張ったでバッサリしちゃいましたので、回収したのですけど。」
その時にちょっとおもしろくなっちゃいましてねー、などと。
視線は切断面に向けたまま、薄く笑った。
■リビドー >
「あのなぁ、演習所は基本的に治安の保たれている場所だ。
お前が浚ってどーする。そろそろ本気で処すぞ。ったく。」
変な所で正義感に溢れていると見れば悪態を付く。口調は相当荒れている。
看過できなかったのだろうとは分かる。分かるが。
「無法者のお前が動いたってどうにもならんだろうに……
警備員と風紀委員を呼べ。さもなくは顧問か委員になって身分を作っておいてくれないか。
この戯けが 位は言ってもいいよな……っと。」
改めて検分する。
昔取った杵柄から、それらが精巧は機械であることは理解できる。
恐らくアンドロイドの類なのだろう。その様なものを作ろうとした記憶はある。
故に察しは付く。
「精巧な科学技術の賜物だな。ボクもこう言うものを作ろうとしたことがある、個人では資金も人材も足りなくてね。
エルピス。その様な英雄足りえるアンドロイドを作ろうとした。……結局、出来なかったがね。」
喋りながらも検分は続けている。
改めるような、思い出すような口ぶりだ。
「……言ってろ。化けの皮が一枚剥がれただけだ。殺されない様に被る猫の耳のようなものだよ。
取り敢えず、これが機密の塊であることは分かるな?」
■蕎麦屋 > 「知っておりますけどね。
目の前で『人間のなりかけ』がばっさり、は寝覚めが非常に悪い。油断した私も悪いのですけれど。
――あとは。まぁ、無法であるが故に通る道理の一つもあるでしょう。錬金術の基礎でしょう?法治と無法は等価ですよ。」
見分する手は止めない。
寸断された繊維をみて、げ、これ駆動系セラミックですか?何世代先だこれ。等と呟きながら。
「機密の塊でしょうねぇ。
これの前に武器類の見分もしましたけれど。
光学兵器なんてまだ理論段階で試作品すらできていないはずです。
ましてや、私が理解の及ばない『兵器』なんて、ちょっと今の技術ではないのと同義ですから。」
見える寸断面は異様なほどに滑らかだ。
いかな名剣、いかな使い手でもこうも寸断は出来まい。
悪態は軽く流し、機密であることはとうに理解している、と。
■リビドー >
「誰かと仮契約してる奴が言うな。
大事な事だからもう一度言うぞ。誰かと仮契約してる奴が言うな。」
呆れてため息。
無法故に通る通りだが、立ち位置が立ち位置だ。
だからこそ苛立っている。
「無法を決め込むなら兎も角、中途半端に法と無法を反復横跳びしているのがお前だからな。
お前の行動の責任が無辜の仮契約主に行く事が問題なんだ。」
リビドーが苛立っているのはそこに尽きる。
無法を決め込むなら責任はコイツにしか行かない。
だが、彼女は仮契約を結んでいると言う。
ならば責は主に向かう他ない。そのような不義に対し、苛立っている。
「……ああ、契約を破棄して貰うように頼み込みに行きたいんだが、紹介してくれないか。
別に契約が無くたって手助けは出来るだろう。さもなくば本気でキミを処さねばならんと考えている。」
"嘘ではないからな。" 念押しを付け加えながら触ったり触らなかったり。
「今の技術、にしては過ぎているな。
光学兵器とやらはそれなりに裏っ側では珍しくないにしろ……
ここまで綺麗に纏め上げた人形を造れる技術はそうあるまい。少し、魔術の要素も含んでいるな。
……何れにしても金と人の要る話だ。
もう少し状況を聞かせてくれ。キミの弁明も兼ねているから、下手にすっぽかすと処すからな。」
■蕎麦屋 > 「私自身どちらとも付きかねてますからね。
紹介するのは――まぁ、もういいか。構いませんけど。今行ったところで話、通じないと思いますよ。」
反復横飛び、なるほどわかりやすい例えです。
この先生と戦り合うというのは中々に、いやかなり、魅力的ではあるのだが、それはそれ。
「いくつか技術の進化スキップしてますね。
見てただけでID認証型の火器管理システム、セラミック系の筋繊維を利用した駆動系、人型兵器の戦闘に関する戦闘データとそれに伴う情報の蓄積・最適化、駆動を可能にするだけの高効率の内部電源機構、重力を緩和、ないし反転させる技術まであるときました。
付随する兵器群も――搬送にしても誤差数十cmの弾道兵器を利用した可能性がありますし。
――いやぁ、修理だけでもなんとかなるかなぁ。」
もう少し、詳しく見てみないとわからない。そういう結論。
とりあえずは向き直っ――
「おや、どうしました、その目。
というか、存在ごと変質し損ねたみたいになってますけど、
まぁ、それはともかく事情ですか――」
では、演習場で合った一件を洗いざらい。
切り倒した方の技術の進歩具合と躊躇も含めて――あ、警備員煙に巻いたのだけは黙っとこう。
■リビドー > 「何だ何だ。また何かあったのか
……まぁ紹介状と連絡先だけ教えてくれ。」
ハチの巣かお前は。
そう言いたくなるほど叩くと出てくる。
「どうだろうな。オーバーだがスキップはしていない風に見えるよ。
理論上なら。あくまで机上ならば手持ちの技術で可能な範疇だろう。
「とは言え明らかに先を行っている事も確かだ。
スキップした技術からヒントやアーキタイプを貰っている可能性はあるかもな。」
一度検分を切り上げる。
目星と知識・鑑識眼だけではこの辺りが限度だろう。
「今聞くかい。この前からこうでね。
代償にした結果だよ。だから少し化けの皮が剝れている。」
ようやく整え直した所だ、と付け加え。
斯く斯く然々まるまるうまうま。状況を確認する。
「成る程な。一番気になるのは人目に付く所でここまで過激な事をした事だ。
大方 機械だから平気だもんと言う奴なのだろうが…それにしたって迂闊な話だ。」
「早い話 研究施設を遣えば人目に付かずやりたい放題出来るだろうに。
人目に付くとこでここまで過激な事をするのは妙だ。場所が無かったか思惑があるのか、少々引っかかる話だよ。
……このメイドとキミの首を突き出して穏便に話を収めてもいいのかもしれないが。
どうしたものか、これ。」
■蕎麦屋 > 「また何かあったんです。いやもう面白いですよね、ホント。知りませんけど。
女子寮言って高峰だせー、っていえば通じるんじゃないですか、たぶん。」
紹介状とかなかろうが、その肩書があれば会うくらいはするでしょう、たぶん。
相変わらず適して当たる感じの対応。
とりあえず見分はいったん放置である。
「生憎今気が付いたもので。――ああ、大変ですね、そちらも。
取り繕える範囲でなにより、といったところですか。」
ふーん、と。
詳しい話まで聞くつもりがないが。あっちもこっちも大火事、といった様子である。
私の周囲がそうなだけかもしれないが。
「一般の警備員しか配置せず、扉の施錠すらいい加減でセキュリティも糞もないと思うのですよねぇ。
だから私みたいなのにも入り込まれるわけで。
――ああ、そういえば先日あったとかいうメイドロボのモニター募集。案外あれが関わってたりしませんか、しませんね。」
ひとりごちる――
「あ、だめですよ?
兵器でも人でもないままバッサリやっちゃった子に、『どっちか決めたら引き取りに来い』って言っちゃいましたからね。
それまでにしっかりと動けるようにしてあげないと。」
ふふふ、と。
浮かんだ笑みは――マッドサイエンティストのそれ。
■リビドー > 「高峰か。覚えて置く。
……いや。それだけでは足りないな。キミのサインが欲しい。魔力を込めた奴。
それが無ければ胡散臭い奴で一蹴されかねん。」
話は出来るが受け取られ方が違う。
出自と根拠は明らかであればあるほど良い。
「下手を打つと専攻を変えなければならんのが悩みモノだ。さて。」
身の上話は一度切り上げ、本題へ。
「市井や天才科学者、未来人のタレントにしては規格化の色が強いからその線では見ていない。
……ああ。そう言えばそんなモニターもあったな。
ボクは外れてしまったが、確かこんな見た目だったな。」
思い返す。
そう言えばそのような話はあったしこのようなアンドロイドだった記憶もある。
直ぐに打てる手こそないものの、情報としては紐づけておく。
「お前がやらかした以上ダメと言われても困る話だ。
……しかし、この手のものに入れ込むのはキミたちの気質かい。」
以前も仮契約主に強く入れ込んでいるような口ぶりだった。
今回もこのアンドロイドに入れ込んでいる様に思える。
「まともに直さんなら魔術的なもので置き換えてしまうのが手っ取り早い。
幸い魔術と袂を別つ類の技術には見えんから親和性はある。
量産を効かせられるのが人間の手にした科学技術の強みだからな。
魔術で補うなら修繕の難易度は下がる筈だ。
『理解の及ばない』とは言ったが、全く分からない訳ではあるまい。」
■蕎麦屋 > 「ああ、じゃあこれでも持っていくと良いでしょう。
ついでなので差し上げます。――あ、くくる先生に見せると食われるので注意してくださいね。」
部屋の隅に置いてあった漬物壺――の上にあった漬物石。現役で使っていた『それ』を渡す。
元々は金槌の頭の部分だったのだろう、柄を通す穴が開いていた、
「片割れはうちの主人が持ってます。籠手がないので独活の大木ですけどね。
というか私ようやく最近魔術の類習い始めたんでそういうの無理です。」
さく、と。魔力だけは莫大なくせに基礎理論すら吹っ飛んでいるのである。
加工の類は出来るとはいえ、それも限定的だったりする。
「どちらかというと複数の秀才でしょうかね――最初は一人の天才だったかもしれませんけど。
入れ込むのは性質か、と聞かれると難しいですけどねぇ。」
しばし、首を捻ってみたりする。悩んだ末に出た答えが。
「――老婆心ですかね?ほら、今にもこけそうな子は放っておけないでしょう。」
これ。気の抜けたものである。
「電源系とかは置き換えますけどね。
――問題は駆動系か、うーん。理論程度なら分かりますけど、実用段階はちょっと。
まぁ、モノはありますからリバースエンジニアリングすればよいですか……」
■リビドー >
「しれっととんでもないもの渡してくれるな、キミは。
ボクまでこれに影響されたらどうする。
……っていや待て待て、"キミ"が"これ"を現役で使っていたのか?」
ひとまずは受け取って改める。
本物か遺産かは兎も角としても、どう見てもミョルニルのヘッド部分。
戦乙女の類がそのようなものを使っていた逸話はロクに聞かない。
あるのかもしれないが、主流には思えない。
(ボクはとんでもない思い違いをしていたようだ。)
プロファイリングの修正先は幾つか浮かぶ。
……もっともそうであってほしくないものから聞いてみる事にしよう。
「お前、実は女装した男だったのか……。」
冗句でも云っていないとやってられない。と言うのもある。
性質的にも最悪の線を確かめておきたい意味もあるが。
次世代でも困るが。
次いで、魔術は習い始めたばかりと聞けば。
「権能でなければさっぱりかい。
習い始めているのは意外だが……」
老婆心、と聞けば。
「ふむ。その気持ちはボクも良く分かる。良く分かるんだがな。
支える振りしてバックドロップかますような真似は見過せんよ。
……やっぱり処すか。ボクからすればキミだって今にも倒れそうな大怪獣だ。」
■蕎麦屋 > 「私が使ってたわけじゃないですが。遺品、と言えば遺品なのですが。――まぁ、残り火ですか。
手に余る、というなら返却も承りますよ、漬物石はないと困りますし。
まぁ――影響されるつもりなんて毛頭ないくせに、よく言いますよ、まったく。」
そもそも、組み立てなきゃただの漬物石ですし。などと。
壊れたのか、壊したのか。そこまでは言わなかった。
「ええと……私が男に見えたなら、節穴もいいとこですね。」
いや、体格はともかくとして。
侮辱ですか?侮辱ですね?決闘なら受けて立ちますよ?
それはともかく――
「だから、私も万全ではないという話です。
まぁ、昔の勘は取り戻したいところでして――と。」
続いた言葉にふむ、と考えて。
「――大怪獣ってうら若い乙女にひどい言いぐさじゃありませんこと?――いや。いいですけど。
ちょっと、まだ困りますね。死に損なうと面倒ですし。」
■リビドー > 「いや、以前は兎も角今は――
いや、確かに受け取ると。」
宣言通りに返す素振りは見せず、所有する。
抱えて持ち帰ろう。
「"その槌の持ち主"に"そのような伝承"がある。
それを知らぬ訳ではあるまいと言いたいが、その話はキミにとっては虚偽だったのかな。」
くつくつと笑ってからかいながらも尋ねる。
貶す言い回しで返す辺りは違いそうだ。
これまでのやりとりを鑑みると、彼女は図星ならば誤魔化す。
故にその線は候補から外しておく。
「キミたちのようなものは姿で判断出来ないからな。
……やってることはそれだろうに。ヒーローでなければ大怪獣だよ。
困ると云われても此方も困る。好い加減改める意味でも処しに掛かっておかねばならん。
前も云ったが、秩序を跨いで通る様なうら若き乙女は測っておかんと気が済まん。」
■蕎麦屋 > 「はいはい、まぁ、漬物石にでもどうぞ。良く漬かりますよ。」
本当に漬物石に使っていたのだから間違いないだろう。
使い方がまず間違っているが。
「ああ、そんな話ありましたか。
逐一全ての行動把握してるわけでも、覚えてるわけでもないですからね」
相手にとって神話の出来事でも、此方からすれば精々が知り合いが出先で馬鹿やったくらいの話でしかない。
覚えてないのも仕方ないじゃないですか。馬鹿しかいないんだもの。
「いや、これでもうら若くて、子供と旦那に先立たれた未亡人なのですけど。
まぁ、どうしても測りたい、と仰るなら、しがない蕎麦屋ですがお相手も致しますよ。
流石に場所は改めてほしいですけど。ね。」
溜息一つ。
こうなったら適当にでも受けないと引きそうにない。
やるとなるなら――出来る限り何もない場所が好ましい。部屋の中など基本的には論外である。
■リビドー > 「本当ならばそのまま処しておきたい所だよ。
……その老婆心も悪くない、頭が回らない訳でもない。
だけどそれでも、キミの振る舞いは少々危険すぎる。
キミの出身が出身だから仕方がないのかもしれんが――」
類は友を呼ぶ。
目頭を押さえ溜息。
こっちも溜息一つは付きたい。
「取り敢えず、ボクは行こう。
……ああそうだ。ボクを組み伏せられたら微力ながらに修繕に力を貸すよ。
その位の褒美はくれてやるし、取っ掛かりを作るついでにもう一枚ぐらい噛む事は吝かでもない。
……ああ。自分自身の手でやりたい、と言うならば当然手は引くよ。
じゃ、また会おうか。」
金槌の頭を抱えたまま踵を返す。
何もなければ、そのまま歩き去るだろう。
■蕎麦屋 > 「危険なのは、重々承知しておりますよ。
それが遅かれ早かれ身を亡ぼすことも含めて。
――ですが、それが私のありようであった、それならそれでよいのです。」
まぁ、何より趣味ですしね。仕方ない、と嘯いて。
「使えるものは何でも使わせていただきますけれど。
それよりはおいしい蕎麦屋の一つでも案内してくれた方が嬉しいですかね?
――はい、ではまた後程。」
見送り、部屋から出てしまえば。
再び一人、見分に移る――駆動系の修復がやはり、一番のネックだろうか――?
■リビドー >
「キミに美味しい蕎麦屋を紹介しろ、か。
無茶ぶりにも程があるよ。」
振り向く。
困った風に苦笑を浮かべて返してから、改めて歩き去った。
ご案内:「蕎麦屋ん家」からリビドーさんが去りました。
ご案内:「蕎麦屋ん家」から蕎麦屋さんが去りました。