2015/06/13 のログ
ご案内:「◆特殊Free(過激描写注意)1」に照山紅葉さんが現れました。
ご案内:「◆特殊Free(過激描写注意)1」から照山紅葉さんが去りました。
ご案内:「落第街 裏路地」に照山紅葉さんが現れました。
ご案内:「落第街 裏路地」に薄野ツヅラさんが現れました。
薄野ツヅラ > (かつり、かつり)
(何時も通りの薄暗い落第街に乾いた杖の音)
(杖と室外機の音だけが反響する)

こんな時間に出歩いていいことある訳ないのよねェ……───

(左手を三角巾で吊るした特徴的な赤ジャージ)
(深く、深く溜息を吐く)
(誰に云うでもない、反省しない自分を自嘲するような)
(────そんな、独り言)

照山紅葉 > 照山紅葉の身体はボロボロだった
鋼鉄鈍器による殴打の数々の後、数発の拳銃弾を受け
そしてつい数時間前もまた、炎に撒かれた後、散弾銃のような衝撃波を食らったばかりだ

赤黒い包帯を体中に巻きつけ、ズタズタのロングコートを引きずりながら辛うじて歩く様相
だがそんな傷はどうでもよかった、何故か、自分には根拠のない自信があった
まだ終わる訳がないという自信が。
自分の衝動を神の啓示か何かのように受けとめ、欲望のままに行動する
何の裏づけもないが、自信に満ち溢れていた、だから、今宵の足取りも軽い、また神様の啓示だ

靴底の音すら立てず、気配のする方へと歩いていく、この気配だけは、かなり遠くからでも追う事が出来る
何故なら、また体内に、ヤツの力の残滓が残っているからだ

「見つけたァー…感じるぜぇー……いるんだろォー…」
廃工場となった建物の裏口のドアを、ツヅラが通り過ぎようとしたその時
バキィ!と乱雑に蹴破るような足が伸びる、ドアはくの字を描いて二つに割れ
包帯だらけの山高帽男が現れる

薄野ツヅラ > ────ッ、云った通りねェ………?
何日振りかしらぁ、本当になんで居る訳ェ……?

(そんな男の自信なんて知る由もない少女は忌々しげに溜息を吐いた)
(じい、と男の姿を見遣る)
(視覚によって得られる情報を、一つでも多く)
(生憎片手は骨折、更に杖をつかないと歩くのすらも痛みが走る)
(そんな大怪我を自身に負わせた男を、肉食獣の如く睨む)

(本当に理由が見えない────)

(先日と同じ、その襲撃者が自分をしつこく狙う理由が見えない)
(戦う異能のない少女は戦闘に特化した異能力者に笑顔を向ける)
(すう、と息を吸う)

────生憎今日は見ての通り疲労が凄くってェ。
あなたと遊ぶ気もやる気もないんだゾ───……☆

(あくまで不遜に、不敵に。自分の舞台に持ち上げる)
(厭な汗をかきながら、少女は愛用のポシェットに手を入れる)

照山紅葉 > 「おいおい……そんな邪険にするんじゃねぇーよ…へへへ
 昔からの付き合いじゃねぇか…寂しいぜ…なぁ……」
どうやら、男はまだ、相手の能力で増幅された好感度から得られる
脳内刺激をそのままにしているようだ、そう、俺達は親愛しあっている
コイツがそう言っているんだから間違いない、じっとりとした視線を投げかける

「『疲労が凄くってェ』へへへ!」
おどけたような口調で真似をし、肩を竦める。
そして叫んだ

「何言ってんだよ…思い出は大事にしねえと…老けた時、後悔するぜ…ああ、俺達高校生か?ヘヘヘハハ…」
ゴポ…と、地の底で何かが煮立つような音が響く
男は一歩、また一歩と近付いていく、手を翳した

「まあ、ゆっくり交友を深めようじゃねえかぁー…へへへへ…」
くぐもった笑い、それと同時に、ツヅラの背後のマンホールから、ヘドロともコールタールとも取れない
黒い流動状のエネルギーの塊が噴出し、津波のようにツヅラへと襲い掛かる
被れば、膠のようにへばりついて固まり、行動を阻害しようとするだろう

ご案内:「落第街 裏路地」に薄野ツヅラさんが現れました。
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薄野ツヅラ > 邪険もなにも当然の対応だと思うのだけれどぉ────……?
昔からも何も会ったの二回目だし可笑しな事言わないでくれるかしらぁ──…?

(その熱を帯びた視線は、酷く心地が悪かった)
(当然落第街では幾度となく向けられる視線であったが其れとは大きく違う)
(情愛の籠った視線を向けられれば、少女は軽く吐き出しそうになる)

───言葉もきちんと喋れない莫迦とは会話する気は全く無いのだけどねェ……
誰が交友なんて深めるかっつーの……

(彼女の異能は戦闘には向かない)
(尚且つ誰かがいる状況で映える異能は───生憎この場所では最悪ともいえるほどに無力だった)
(明らかに手負いの自分と、歩くことの可能な男)
(逃げることできなければ、戦って勝つのも望めないだろう)
(そんな状況で、彼女は────)

(やるしかないわねェ──……)

(黒い其れに、振り返りざまに杖で一閃ッ!)
(思い切り横に薙ぎ払う)

照山紅葉 > 「汚ねぇだろォ…汚ねぇなァー…へへへ…まるで掃き溜めのドブ水みてぇだな…最高じゃねえか…
 今まで溜め込んだ甲斐もあるぜぇー…」
マンホールの蓋を突き破って現れた黒い流動状の粘性物質は
その杖に横殴りに一閃され、一瞬だけ上下に分かたれる
「ホラホラァ…逃げないとホラホラァ…へへへへ!」
手を叩いて囃し立てた、黒いタールは己の一部である
上下に分断されようとも、その支配権が途切れる事はない、鉄砲水を素手では止められないのと同じだ

叩かれ、上に分かれたタールはその視界をふさぐ様に顔にへばりつこうと落下し
下から吹き上げるタールは、足を拘束して地面に倒そうと絡まるだろう

「悪ィ悪ィー…まぁあちこちガタが来てんだよ、この身体はよぉ……おぼつかねえのもそのせいだ
 補ってんだよ、つぎはぎだらけ、俺の人生そのまんま…へへへ!まぁそうつれねぇ事言うなよ
 お前は昔から素直じゃなかった…ような?そうだったか?覚えてねえや…へへへ…」
まるで別の生き物のように蠢くタールをけしかけながら、自身もようやく地を蹴る
抵抗がなければ、その両手首を掴んで、地面に引き倒そうと動くだろう

薄野ツヅラ > (まるで意味を為さない其れを、忌々しげに睨みつける)
(逃げられる状況ではない)
(少女は、杖をおもむろに勢いを乗せた男の顔へと投擲する)
(真っ直ぐに向かうようなら、恐らく一瞬の隙を作ってしまうだろう)

───当たんなさいよぉッ!

(珍しく、余裕のない慌てたような声)
(ポシェットの中に仕舞っていた携帯電話に手を触れ───)
(その後直ぐにポシェットから右手を引き抜く)

(其処に握られているのはザ・ジャッジ──トーラス社製ザ・ジャッジ。リボルバー拳銃ながらショットシェルを発射できる──)
(白銀に煌めく其の"異能"と"魔術"を殺すための明確な殺意をゆらり、構える)
(散弾の撃てる小型拳銃。彼の1度目の襲撃の後に手にした、"殺すため"の其れ)

流石に撃てば死ぬでしょぉ───!?

(躊躇わない。逡巡することなく、其の引き金を引く)
(バランスを崩しながらも、小さな殺意を散開させる────!)

照山紅葉 > 「おっと…ってえー…」
ガッ…とこめかみ辺りを掠るように杖が飛ぶ、痛いには痛い
だが目に当たらなかったおかげか、気になるほどのダメージでもない
だが、視界を戻せば、相手が構えているのは拳銃だ

「またぞろ、拳銃かァー…」
BLAM!マズルフラッシュの光と炸裂する音が響く

「面白ェオモチャだなァー…まァー…サボット弾だったら危なかったけどよォー…
 散弾じゃァなァー…」
硝煙が晴れると、だが、男の目の前には黒いカーテンめいて暗黒物体が広がっていた
威力が拡散されたおかげか、致命的な部分への弾丸は全てがヘドロに阻まれ、どろりと床へと落ちた
辛うじて被弾しているのは、肩口やわき腹だ、血が吹き出る、残り少ない血が。

「痛ってぇ…へへへ…なぁ…耳がキーンとなるぜ…いけねぇなあ…
 ガキの時分で躊躇いなく人間に引き金を引けるような女ボンドに育っちまったかァー…」
嘆くような言葉に、うめく様な余韻が響く、痛みだ、効いていない分けでは決してない
だが、結果として、勢いは止まらず、その手首を掴むように手を伸ばし、地面へと倒そうとするだろう
その両手に宿るのは、青白い燐光、触れるだけでも体力を奪い取る

薄野ツヅラ > 知ってるわぁ、此れだから大ッ嫌いなのよねェ───……☆
生憎だけど隙さえ作ってくれたら何でもよかった訳だしぃ──…

(決定的な相性の悪さ)
(当然"異能"に所詮人間の"知恵"は到達することはない)
(其れでも)

───人間風情に手ェ上げんなよ、化物……なんてぇ?

(口元を釣り上げて笑う)
(幾ら不利でも、みっともなくても、ただただ笑う)
(武器はまだ残っている───当然、自分自身の舌だ)
(流れる赤黒い其れをちらと見遣る)
(少しでも、少しでも傷さえつけられれば)

(杖がなければ歩くこともままならない彼女が杖を手放す)
(片腕は当然動かない、残るは銃を握った片腕)
(────必然的に、その小さな身体は地面に叩きつけられるだろう)

照山紅葉 > 「へへ……そうかい…
 隙を作って…どうする、次の手はなんだァ…玉乗りでも見せてくれるのかよ…面白ェなぁ…」

めり込んだ銃弾がうずく、だけど、身体には力が火のように漲る
接触箇所を通じて、相手の体力が時分の体内に流れ込んでくる
そういう異能だ。

「あァ…俺は、そうかもなぁ…でもよ、だって面白いんだからしょうがねェよ
 へへ…そういう風に作られて、だからこんな場所に居る、皆、同じだ、お前もなぁ…」
手首を押さえる、銃を持った手はことさら神経質に地面に押さえつけようと力をこめる
皮肉めいた言葉を言うために開いた口は、その首元へ向けられた

「じゃぁ…貰うぜぇ…お前が俺から取った分だけ…俺もお前に返してもらうからなぁ…」
そして…噛み付く
がぶり、と…

噛み付くことが出来れば、ゼロ距離の接触により、ツヅラという人間の生命力の一旦、記憶を超自然的な力が働き、吸い上げようとするだろう
それは、例えば最近1週間の記憶であるとか、始めは些細なものだ
抵抗する耐性があれば防げるかもしれないが、なければ、それは泥のように脳から剥がれ落ちていく

薄野ツヅラ > あッは───残念ながらそんな軽業師みたいな芸当はできないわぁ

(吐き捨てるように嗤う)
(だって正真正銘の人間ですもの、と笑み)
(遠くなる其の意識を必死に掴む)

ボクはあんたから何も取った覚えがなくてねェ……!
人違いじゃあないかしらァ……!?

(細い首筋に犬歯がめり込む感覚)
(つう、と意識が途切れかける)

────でもねェ、

(生命力だけは吸えるだろう)
(されど───記憶に関しては。)

………生憎誰よりもドアタマはブッ飛んでてねェ…!
食えるなら食ってみなさいよぉ、三下ッ────……☆
美味しくッ……!残さずアンタの頭にボクの記憶を叩き込んでみろ───ッ!!!

(遠隔感応。表向きな薄野廿楽の異能)
(其れは、広範囲に及ぶ異能。一地区丸ごとに作用するような)
(云わば、情報の海)
("普通"の人間の脳なら明らかに処理限界を超えるであろう情報を記憶している)
(容量も、精確さも。記憶に関しては彼女は"一般生徒"ではない)
(学園の能力開発で、幾らか脳は弄られている)
(そんな狂った容量の記憶が流れ込めば)
(────幾ら脳が焼き切れていても。感情を喪っていたとしても)
("情報"は、脳に直接流し込まれ、明確に悪意となる)

ご案内:「落第街 裏路地」に空閑 栞さんが現れました。
空閑 栞 > 突如、空から大きな塊が落ちてくる。
それは砂埃を撒き散らし、2人のすぐ近くに着地した。

「やっぱりここだったんだね」
「電話に出たのに騒音だけでびっくりした……」

緊張感のない笑みを浮かべてツヅラにそう話しかけ、2人の様子を見る。
――――プツン、頭の中で何かが切れるような音がした。
少女の雰囲気が冷たく、殺意を持ったそれに変わる。

「ツヅラに気安く触ってんじゃねぇぞ化物」

そう言うと突然、照山に鋭い回し蹴りを放った。

ご案内:「落第街 裏路地」に軍ヶ浦 十乃さんが現れました。
軍ヶ浦 十乃 > 「用事のあったチカはここか、と思ったが――」

 周囲を一瞥し、状況を把握する。

 激昂して回し蹴りを放つ見知らぬ少女。
 満身創痍の見知らぬ少女。
 そして、以前千夏とやり合ってた見覚えのある男性。

 はて、荒事での修羅場と云うものか。少なくとも両手に華ではないだろう。

「……ふむ。」

照山紅葉 > ぞぶ……と、肉体に歯を突きたてる感触、歯が沈んでいく
生きた肉に歯を立てる感触は独特だ
血の暖かさ、相手の体温が伝わってくる、自分には殆ど存在しない熱が

「この身体、ガタが来てんだよ…お前に打たれたあっちこっちも修復しねぇといけねえー……
 大人しく吸い込まれてくれねぇーと…そろそろしんどいからなァー…
 面倒くせぇーピースキーパーが騒いでやってくるし、カタァー、早めにしねぇーとなぁー…」

ぐ…と口の中から青白い生命吸引のコロイド光が散光した
流れ込んでくる、いろんな意思、明確に一人の情報ではない
まるでコーヒーだと思ったら劇毒量のカフェイン錠剤だったかのような
多すぎるエネルギーが、毒となって身体を蝕む

エネルギーにより灰色に澱んだ瞳は金へと変色し、そして
「う、ぶ……」
代謝が0から百へ、百から千へとブーストされる、記憶をエネルギーに変換する事で
体内にジュール熱が発生する、胸やけのようなものだ

「うえ…へへへへへ…はははははははは!いいぜ…スゲェじゃねぇか…
 身体…熱くなってよぉ……」

どろ……と、口から、そして目から流れ出る、黒いコールタール
それは傍流のように流れ出る、体内に溜め込む事の出来なかった余剰エネルギーだ
周囲の人間の記憶を吸い取り、濁流のような黒いダークマターへと変換されていく

「ああ…へへへへへ…イイぜ…よくなってきた…着ちまったぜぇ」
胡乱だった言葉はもはやハッキリとしていた、おかしくてたまらないというような、哄笑を響かせる

「へへへ……どうした…なんだそりゃあ…」
ツヅラが周囲の人間の記憶容量を強制的に吸い出すのなら、自分はそれを更に吸出し
メルトダウンした融合炉のように、膨大に吐き出されたダークマターが、また周囲を覆う
もはや蹴りなどでは止められる状態ではなく

現れた栞という少女の蹴りもまた、大渦のようなヘドロが間に割って入り
まるで銭湯の風呂をそのままひっくり返したような、暗黒のタールが濁流となって反撃するだろう

大渦のように流れ出るエネルギー、その中心で、今も尚ツヅラを組み敷き
男はエネルギーを吸い上げ続けている

その媒介は、周囲の人間の記憶というらしいが…

空閑 栞 > 「……っ!」

汚泥のようなそれに蹴りを阻まれると、すぐに後ろに飛び退く。
濁流のように押し寄せるタールのような何かを咄嗟に作った空気の壁で防ごうとする。

「ツヅラから離れろ……離れないなら殺す。離れなくても殺す」

壁を形成すると同時に右手を上げ、何かを掴むかのような動作をする。
そこには何もないはずだが、確かに何かを掴んでいた。

薄野ツヅラ > (聞き覚えのある声と、無い声)
(その両方が静かな路地に反響すれば、薄野廿楽は────)

隙さえあれば……いいってぇ………言ったでしょお────…?
ヒロインの危機にはヒーローが来るって云うのは定石なのよぉ……

(首からつう、と血を流して嗤う)
(人間さえ居れば、彼女の異能も、体質も活きる)
(薄野廿楽は、何時でも"誰かに依存"する────)
(死を目の前にして、何故生きているかも解らないほど生命力を呑まれても)

────栞ィッ!
あんたの頭ン中全部ッ!ボクにぶち撒けろッ!
演算はやる、やりたいこと全部実現してみろ───ッ!!

(叫ぶ)
(其れは獣の慟哭のように、男の耳元で只管に叫ぶ)
(死を直面にして、誰かに依存して。薄野廿楽は、男を嗤う)
(そして、少女の異能の限界を、容易く突き破らせる)

軍ヶ浦 十乃 >  
「この前のダンナもなんつーかハイテンションっつーか、
 やべーことになってんな。この泥みてーのは溢れた奴か。」

 散光するコロイド光とダークマターを見て、一つ舌を打つ。
 まるで腐肉みてーだ。そんな言葉も呟いた。

「ふむ……なあ、そこの嬢ちゃん方、人手は要るかよ。
 とは言え、因縁もあるだろーしな。私が殺るっつーなら見てっぜ。」

照山紅葉 > 暗黒物質は既に一つのタワーぐらいの質量を持ち
菩提樹の如く育ち続ける、落第街を這うネズミや野犬のみならず
さまざまな有機物質を取り込み、栄養とする

「黙れ、黙れ、黙れ…うるせェー!」
獣のように歯を見せて叫んだ
「外野は!黙れェ!」

口をついて出るのは怒声だ、怒りだけじゃない、悲しみ、喜び
いろいろな感情が記憶となって流れ込んではシュレッダーのようにかけられていく

「来た…来たぜ…
 ヘヘヘヘヘヘヘハハハハハハハハハッ!ヒャアッハハハハハハハハァ!」
男はようやくゆがんだ笑みを浮かべた、凄惨な笑いだ
失ったモノが、欠けたピースがカチリとはまった様に
己の中に戻った力が、万能感を齎す、無残な傷口からタール状の膨大な粘液が溢れ出し
その身体を修復した

「少し黙ってなぁ…お姫様…お前は黙って周囲の奴等の記憶を、テメェの命を繋ぐ為だけに
 好き勝手に奪って俺に謙譲してりゃいいんだ…ヘヘヘハハハ……」
辺りの建物は不気味に静まり返っている、静か過ぎる、これだけ騒ぎが起きれば何かが起きても不思議ではない
だが、まるで生きた人間は全て何らかの攻撃を受け、沈静化しているかのように静かで、何も感じられない
ツヅラの手首を掴んだまま立ち上がった、点滴のコードのように、接触した箇所から生命力を奪い続けるだろう

そして、吐き出されたタールの大渦が蠢き、新たな敵を迎え入れる
「そりゃァー…厄介だなァー……」
掌を翳すと、その空気の塊のような壁は、たちまち質量のないエネルギーへと分解されるだろう
そういう異能。
そして壁を破壊すれば、濁流のように空閑を飲み込もうと雪崩れる暗黒物質

空閑 栞 > 「なっ!?」

突然消えた空気の壁に一瞬困惑する。
消えた―――いや、消された。理由はわからないが、相手の異能と考えて間違いないだろう。
瞬間、また後ろに飛ぶ。今度は足場を作って上に。

ちらと軍ヶ浦を見るが、返事をしている余裕はなかった。
少女は叫ぶ、あらん限りの声を振り絞って

「ツヅラァ!信じてるからァ!」

何よりも鋭く、全てを断ち切る真空の刃をイメージする。
空気の固定、圧縮ができるのならできないはずがない。
だって、ツヅラがいるんだから。

右手に全神経を集中する。
2人の力で作り上げたそれを、思い切り振りおろした。

薄野ツヅラ > (トン、と軍ヶ浦の足元に白銀に光るリボルバー)

(男が立ち上がった拍子に廿楽の身体も起こされる)
(────そして、足元にあった其れを蹴った)
(加勢しろ、と云わんばかりに)

ッ、好き勝手に……なんて奪ってないわぁ………?
アンタみたいな三下と一緒にしないでくれるぅ──……?

(ゼエゼエと息も絶え絶えに、云った)

軍ヶ浦 十乃 >  
 リボルバーを拾う。
 とは言えどうしたものか、下手に動いてはなんか邪魔臭くなる可能性がある。

「……取り敢えず。」

 スマートフォンを取り出し、通話を開始する。
 連絡は保険委員、風紀委員、公安委員の順だ。
 落第街の出来事故、後ろ2つはあまり期待していないが、三組織に連絡を入れておく。

「……落第街のジモティー、有力な組織ともコネクションを作っておくか。
 こんな所でも仕切りたがり屋は要る。こーゆー時にゃ要るな。」

 最も、照山の異能が強力に発揮され、"静かすぎる"現状では、
 呼ぼうとしても最後の住人はアテにならかったかもしれないが。

照山紅葉 > 「だからァー……」
金色に威圧するように輝いた瞳は、目の前まで迫る真空の刃を見据えていた
真空という事は、当然不可視の斬撃だ、目に映るはずはない
だが、どこにあるのかは、わかる

「俺にそういうのはぁー…利かねェーんだって…」
ポン、と刃先をなでるように手を置けば
掌の先から刃が淡い光となって還元吸収されていく

能力による遠隔攻撃に対する防御力は元々人一倍備わっている
怖いのは拳銃弾などの物理的な攻撃だけだ
己の中に新たな力が入ってくる

真空の刃によって発生したソニックブームは能力の及ぼす所ではなく
かまいたちとなって全身を切り刻む、ざく、と肉が裂け、新たな傷をまた暗黒物質が繋ぐ
そうして傷だらけに落ちた身体は、もはや全身が黒い鎧の塊となっていた

「ヘヘヘヘハハハハハ……やっべぇ…力有り余っと、身を守るカンも失せンだなァ……」
新たに身体に生まれた無数の傷跡をさすりながら、感慨深そうにそう言えば
無言のままに空閑に指を刺した
先ほども放ったハズの攻撃を乗算し、およそ2トンに及ぶ暗黒の濁流が
攻撃を終えた状態の空閑へと押し寄せていくだろう
浚われれば、そのまま街の端へと流されていくかもしれない

照山紅葉 > 散々力を吸い上げたお陰か、もはやこれ以上の力は必要ないぐらいの膂力が身体をめぐっていた
手首を掴んだままだったツヅラに目を落とす

「へへへ…お前も、もう、要らねェー…」
ぐい…と引っ張ると、同じく、空閑の方へと投げつけようとする

嵐の後のナイル川のように汚濁の鉄砲水が反流する黒い渦の方へと
もちろん抵抗があるならそれは適わないかもしれないが
少なくとも、その目は冷え切っていた
最初に抱いていた情愛も、全てを力に変換してしまったかのように
その感情はフラットだ

軍ヶ浦 十乃 > 「ちっ、こっちにも来るか。」

 句を紡ぎ、精霊術を待機させつつ鞭を取り出した。
 ――手元以外が12本の太い鞭に分かれた、各穂先4mのバラ鞭だ。
 
 それを奮い、壁や叩き付けて衝撃波を発生させる。
 物理的な空気の塊――衝撃波が食われる前に、遠くへと暗黒の物体を吹き飛ばす。

(ちょいと扱いが厳しいが、ここだとコイツだな。
 あの様子だと食われるかもしれねーが、この一線ぐらいは保ってくれっだろ。)

「あー、そこの風使いの嬢ちゃん。こいつら切っても多分埒があかねー。
 聞こえっなら、空気を固定出来っなら、大きな壁作って発射して叩き付けてみな。

 逃げ場なんてあたえねーぐれー大きくて、食われる前に吹き飛ばせるよーなはえーの。
 ダメかもしれねーが、発生のはえー面攻撃のが有効そーな気がすっぜ。」

 誰かの技を思い出せば、雑ではあるが声を掛けるか。

軍ヶ浦 十乃 > 「と……よ、っと」

 出来るのならば、鞭を伸ばして空間に投げられたツヅラを絡めとり、近くに寄せるか。

空閑 栞 > 「またっ……どうやったら殺せる……」

目前に迫る濁流を更に高く飛ぶことによって危なげに回避する。
靴を片方飲み込まれるが、そんなことは気にしていられなかった。

ちらと軍ヶ浦の方を見、すぐに視線を戻す。
助言を聞き入れたのかはわからないが、右手を照山の方に向けた。

「潰れろ化物」

手首を返し、真上から膨大な空気の塊を思い切り叩きつけた。
それは照山に触れる寸前に加速し、押し潰そうとする。

軍ヶ浦 十乃 >  軍ヶ浦は中心となる空間からは少し離れ、
 その辺の残骸やコンテナを足場に立ち回っている。もっともそれでも、泥の余波は受けるのだが、

(さて、どうしたものか。)

薄野ツヅラ > 元からアンタのモノじゃないしぃ───……!

(自分の想いを寄せる少年のことをぼうと思い浮かべながら、息も絶え絶え男を嗤う)
(投げられた鞭は上手く少女を手元に引き寄せる)
(憎まれ口を叩きながら、小さく頭を下げる)

ありがとうとだけ言っておくわぁ───……?
それからさっきの、返してもらえるかしらぁ?

(息も絶え絶え、立つこともままならない)
(ポシェットから乱雑にチュッパチャップスを取り出して、包みを歯で噛み切った)
(口の中に放れば、にやり、笑みを浮かべる)
(圧倒的な"異能"を目の前にした"一般市民"は、ただただ嗤う)
(果たして其れは自分に対する嘲りか、其れとも)

(黒いヘドロのような、さながら未知の生き物と化した其れをぼんやりと眺める)
(余裕。生命力も食われ、記憶の上澄みも食われても尚、薄野廿楽は諦めない)
(自分に出来ることがあるのならば、黙って其れをするだけ)
(普段なら悠々と自分だけその場から逃げていたのだろうが、今は)
(自力で立つことさえ叶わない。到底、逃げられない)
(其れでも────)

三下の癖にさァ!随分遊んで呉れた恩返しをしないとねェ───!!


(虚勢を張る)
(彼女の武器は、その精神力と言葉だけだ)

照山紅葉 > 全てが包み込む、真空の壁と黒い濁流が弾け
そして漣のように全てが相殺消滅されていき

視界は徐々に晴れやかになってくる
少なくとも空閑という少女は、あれだけの攻撃の波の中
全くの無傷でそこに立っている
では男は潰されて死んだのか?


「学習しろや…へへへへ…お前らテストで同じ答えしか書かねえのか?」
当然、死ぬはずもない、小高い廃パブの屋根の上に立ち
今受けた真空の津波を掌に押しとどめている
凝縮した真空の固まりは、摩擦熱でプラズマと化し
ボウリングのようなサイズで膨大なエネルギーとなって留められていた

能力による生成物は、その全てが還元吸収するという己の異能
エネルギーが膨大すぎて逆流する、などという展開も、もう何度も受けていれば加減はついてしまう

だから、結果は互いに相殺と言った所のようだ
これだけのエネルギーがぶつかりあうのに、どれだけの人間がタンクとして
その記憶を奪われただろうか
この一帯は、恐らく謎のロストライフ現象として今後のタブロイド誌の紙面を飾るだろう
だが、俺には預かり知る所ではなかった

「じゃぁな…へへへへへ…お前ら、中々いい生き餌だったぜ…
 また気が向いたら…ヘヘヘハッハハア…食いに着てやるよ…」
バサァ…と猛禽類めいた翼がはね広がる
それは、コールタールで生み出されたイーグルの翼だ
まるで血液が通っているかのように羽ばたき、男の身体を浮遊させた

「アスタァー…ラァー……ビスタァー………」
胡乱な言葉を履きながら、ゆっくりと浮上した
この力を持ったまま、その場を離れていくつもりだ

軍ヶ浦 十乃 > 「ああ。今なら打ち放題かもしれねーぜ。」

 リボルバーを返しつつ、待機させていた精霊術――水の行使をツヅラへ向ける。
 幾らばかりか、気が楽になるだろう。

「で、結果は相殺、か。どっちもおっかねーなぁオイ。
 とは言え此れで特性は大体分かったが。ったく、先にチカに話を聞けりゃ良かったんだがな。」

 軍ヶ浦十乃は相手を追うつもりがない。
 "此処では分が悪い"、そう察している。

空閑 栞 > 「逃がさない……」

その場から空中を駆けて追走するも、追いつけず徒労に終わる。
歯噛みしつつ、ツヅラの元へ戻ってくる。

「ごめん、殺れなかった……」

悔しそうにそう呟いた。

ご案内:「落第街 裏路地」から照山紅葉さんが去りました。
薄野ツヅラ > (其れはあくまで虚勢で終わる)
(へたりと座り込んで銃を受け取る姿は誰がどう見ても"敗者"の其れだ)
(肩を上下させつつ、小さく舌を打つ)

───相殺だと思える訳ェ?
こんなの"負け"に決まってるじゃない

(随分おめでたいアタマしてるわねェ、と皮肉をひとつ)
(動く右手でおもむろに頭を掻いた)
(其れは何時か見たアメリカンコミックのような)
(負けを認めた少女は、自分を嗤った)

あッは、二度と会いたくないわぁ?

(宵闇に一つ、嗤いを溢した)

軍ヶ浦 十乃 >  
「最後の一撃の結果だけみりゃっつー話だ。
 主語を省いて悪かったな。全く。」

 呆れた風に、溜息一つ。

「……とりあえず、そちらは親友さんか。んじゃ後はそいつに任せっぜ。
 全く、チカを探してたらろくでもねー事になっちまった。」

空閑 栞 > 「あれで殺せてないなら、負けだから」

ポツリとそう呟いて軍ヶ浦を見る。
殺意の薄れた視線で言葉を続けた。

「ツヅラを助けてくれて、ありがとう」

小声でそう言うと、ツヅラを心配そうに見る。
自分が居ながらこんな目に合わせてしまったこと。
それを悔いるように拳を握りしめた。

軍ヶ浦 十乃 > 「次勝てばいーだろ。
 何も負けて終わった訳じゃねーし、俺なんかもう万回負けてる。
 読み違えや地力不足、相手に食わされた事も数えきれねー。
 でも、そーゆーのは次の勝ちに繋がんだよ。トライ・アンド・エラー、俺は好きだぜ。」

 そんな言葉を溜息混じりに零せば肩を竦め踵を返す。
 "ありがとう"には、"ああ"と答えた。

「さて、馬に蹴られるかもしれねー前に退散すっぜ。」

薄野ツヅラ > そりゃどうも、巻き込んじゃってごめんなさいね

(溜息ひとつ、無理矢理身体を起こしながら軍ヶ浦に声を掛ける)
(呟く少女をちらと見遣る)
(ぽん、と小さく頭を撫でた)

────帰ろ、肩かして
其れとアンタこないだ殺さないって言ってたでしょお?
初志貫徹すらしない訳ェ?

(元気づけるように、いつもの調子で皮肉を)
(自分の中の痛みの感情を最低限にまで落とし込んで笑った)
(呟いた言葉は宙に溶ける)
(辺りを一層暗い闇が包み込んだ)

軍ヶ浦 十乃 > 「お礼と皮肉を交互に貰ったの久しぶりだな。可愛い奴じゃねーか。」

 振り向かず、冗談めかしつつ、軽く手を上げ、その場を後にした。

ご案内:「落第街 裏路地」から軍ヶ浦 十乃さんが去りました。
ご案内:「落第街 裏路地」から薄野ツヅラさんが去りました。
空閑 栞 > 頭を撫でられると、ハッとしたような顔になる。
すぐに申し訳なさそうにして言葉を吐き出した。

「ごめんね、守れなくて」
「ツヅラを見てると頭が真っ白になって……」

いつもの調子で皮肉を言われると、少しだけ元気を取り戻したように手を取る。

「帰ろっか、美味しいご飯作るからね」

闇に溶け込むように、ゆっくりと歩いていった。

ご案内:「落第街 裏路地」から空閑 栞さんが去りました。