2016/09/20 のログ
■”マネキン” > (…今のおとぎ話はなんだ。
天秤の異能は彼女の何かだとは推定していた。
だが、こんな結末は予想していない。まるで、神話のような。)
【白衣の男が首を振る。】
身に余るようなものだと言って、いまさら。
この裁定が、結末か。
(不確定要素は天秤だ。
天秤自体をどうにかするか、審判に干渉するか。)
……いや。ここで口を出すのはらしくないか。
奇跡でも起きない限り、どうにかしようもないだろう。
いまさら、いまさらだよ。さっきも言ったが、何もない顔をして元の日常に君たちは戻れないはずだ。
結末が出たとして、決着はまだつくわけじゃない。
助けでも呼ぼうと言うのか。高峰司を。呼べるんだろう?
【伊都波 凛霞の瞳を眼鏡が凝視する。】
■伊都波 悠薇 > 罰は下った。
1000にもわたる、地獄のような、無限回廊。
何度も何度も。何度も何度も――
”本当に幸せなのか”
そう聞いて――幸せの結末で、朽ちてきた。
天秤は、ぎぃぎぃっと音を鳴らし――妹は。
「…………ねぇ、知ってますか。人形」
――青い薔薇の、花言葉を。
そして――
「私のお姉ちゃんは――妹の見てる前じゃ最後には勝つんですよ」
嘘をつかないと約束してくれて。
今までの罪が、これで許されたなら――なら。
することは変わらない。いつも通り……
■伊都波 凛霞 > 「元に戻れない、"はず"?
──決めるのは、君じゃないかな……それに…」
ぐぐ、とその体幹へと"威"を込めはじめる
「司ちゃんは確かに心強い仲間だけど…今日のところはいいかな。
だって、お姉ちゃんは妹のためなら百人力なんだから───」
壁へと引き寄せられ、一体化したそれを
苦痛も顧みずに引き剥がしにかかる
そう、元の日常には戻れないかもしれない
けれど元の距離に戻ることができるなら、それだけで
元の日常とは違っても新しい日常へと足を進められる
「…私が本気で大暴れしたら、きっと君も此処も無事じゃ済まないと思うけど、どうする?
言っておくけど私、今まで一度だって本気で暴れたことないから……どうなるかわからないよ」
高峰司との決着を控えたままに、此処を破壊されるのよよしとするか否か───である
■”マネキン” >
「専門ではないけど、有名な話だ。
薔薇には青い品種だけがずっと存在せず、何度も交配が試みられてきた。」
【白衣の男がその右手を振り払う。】
「生み出すことのできないブルーローズに付いた花言葉は
―――不可能。」
(そして―――)
「青い薔薇を生み出せると、言うのかい。」
勝つ、ねえ。
なにに勝つんだい。
君の嫌いな現実か。天秤の異能か。
それとも自らそうやって引きちぎっている姉自身の手足かい。
英雄の敵である化け物は、ここにはもういない。
【伊都波 悠薇の首に背後から、血滴る異形の手が両側に伸びた。
全身への侵食は進む。】
何をもって君は悪という?
彼女は確かにここにいる。どんな姿になったって、いいじゃないか。
君だって、振り払う必要がどこにあった。
なんで君は私たちを否定するんだい。存在が悪とでも?
【伊都波 悠薇の顎を掴んだ白衣の男が、振り返り気味に視線を向けた。】
■伊都波 悠薇 >
「そう、不可能。不可能――その言葉は、私が引き受けてるから」
だから――
「だから、お姉ちゃんは何でも”可能”になる」
それが自分の存在意義だ。不可能、結構だ。
できることがない? いいじゃないか。
それを引き受けたからこそ、見たい景色がある。
「――そうやって、キミたちは。悲しくて、苦しくて、わかってほしくて――そうするの?」
つながる。つながる。
「存在が悪? 私がいつ、否定したの? ――そう、貴方が思い込んでるだけじゃないの?」
――ねぇ。
「私、言ったよね? あなたも、救われたらいいねって」
なのに――
「あなたこそ、私を否定しようとしてるんじゃない?」
侵食されて、一緒になろうと。妹はしている。
だが――うまく、進まない。なぜか、進まない――
妹だけ、孤立していた。
マネキンという群のなかで――たった一人だけ
■伊都波 凛霞 > 覚悟を決めていた、引きちぎるような苦痛はなかった
まるでビデオを逆再生するようにそれらは姉の身体から離れてゆく
「君が悪いヤツだ、なんて私は此処に来てから一言も言っていないよ。
否定するのは…そうだね……」
もはや何も気にせずに前へと歩みを進みはじめる
口もとに手をあててうーんと少しだけ考えるように天井を仰げば
「人の恋路を邪魔する者は馬に蹴られてなんとやら…みたいな感じ?」
良い例えが浮かばなかったので少し苦笑い
それでも特に間違ってはいない気がした
姉が妹を大事に想い、好きだと慕う感情は、恋とくらべても遜色ないのだから
「……妹を開放して。
君にはまだやりたいことがあるんでしょ?
だったら、それは私が引き継ぐ。私と司ちゃんで、君との因縁を断ち切る。
……応じないなら、君にとってもきっと不都合なことになると思っていいよ」
脅しなんて、柄じゃないけどね
そう付け加えた
■”マネキン” > 【血管が、心臓が、むき出しの内臓と肉がさざめく。】
だからこれが 救いだ。
天秤さえあれば、救われると思っていた。
おとなしく我らと一つになり、身をゆだねたまえ、適合者。
(そこに彼女ら姉妹という実験動物のことは――埒外?)
【融合の接続の中で天秤を強く求める。
天秤だけが”マネキン”の侵食の対象となり、そこから姉妹を引きはがそうとしていた。】
(…焦りか。求めるものを見せつけられて、過去に想いを馳せ…
そして線を引いた。早すぎた。)
人質、とは思わないのかな。
残念だが…その言葉に期待してはいない。先ほどまで、言葉だけで彼女を説得できていなかった伊都波 凛霞には。
伊都波 悠薇。
認めよう、焦りはあった。区別もあった。
だから帰ってくることを期待して、いまは戻す。そこまで言うなら、君が何とかして見せてくれ。
今まで通りの君たちには、期待しない。
【顎を掴んだ妹の唇に無理やりな口づけをする。
何かがさらに彼女に入り込んでいく。伊都波 悠薇の一部が、書き換わる。
そうして、本体から生まれ落ちた伊都波 悠薇が無傷でその場所に降り立った。】
では、脅しなんて柄じゃないが。
下手に誰かにこの場所のことを喋ったり、私に不利益を行えば彼女がどうなるか、と言い返すよ。
【白衣の男が衣服をはためかせ、身をひるがえす。
室内の電源が消える。入口以外が薄暗いシルエットと化した。水槽の水音が聞こえる。】
■伊都波 凛霞 > 「(痛いところ突くなあ…)」
大きく事態が歪んだのも、大体は自分の選んだ選択肢や言葉足らずのせいだ
普段はそんな素振りまるでないくせに、妹のこととなるとああも冷静になれないなんて
取り返しがつかなくなる前にそれに気づけて良かったのか、それとも
「……や、まだ終わってない、か…」
浅くため息をついて、
照明が堕ちた部屋の中、僅かに差し込む光に照らされて
「……うち、帰ろ。悠薇───」
そうやって伸ばした手は、今度こそ妹の手を
■伊都波 凛霞 > それからまた一時、二人の時間
遠いようで近くて、近いようで遠かった二人の時間は今しばらくだけ───
ご案内:「>落第街、海底地下施設最奥」から伊都波 凛霞さんが去りました。
ご案内:「>落第街、海底地下施設最奥」から”マネキン”さんが去りました。
ご案内:「>落第街、海底地下施設最奥」から伊都波 悠薇さんが去りました。