2020/07/17 のログ
ご案内:「常世神社」に西村貫二郎さんが現れました。
西村貫二郎 > 「……はぁ」

基本的に闊達で気力に溢れる――と自負しているが、それでも溜息が出る。
――しばし、妖の下に世話になりながら島を歩き回った。
そこで見たのは、あの血風吹き荒れる京の都からは想像もできない、高度……かすらも実感できない文明の数々。
そして……その中に、新選組の誠は、無いという事実。

「俺らは、何のために、戦ってきたんじゃ……」

名を上げるため。
仲間と共に勝つため。
そして――将軍様を、幕府をお守りするため。
剣を振るい続けてきた人生だった。剣しか知らない人生だった。
それが、今の世では、剣はその価値を見失い、多くの剣技は芸に堕している。
命を賭けて駆け抜けたあの日々は、この未来にとってどれほどの価値があったのか。
今の世において、自分はどう生きるべきなのか。

――歴史の名残を残す神社であの日々を想いながら、ため息が零れる。

西村貫二郎 > 言語も違う。
こういうのを『かるちゃあしょっく』という……と教わったが、まずその言葉が衝撃だ。

――夷狄の言葉が、罷り通っている。
夷狄をどうするか、と言うのはあちこちで意見が分かれていたのは知っている。なれば、受け入れる選択を取ったのがこの未来なのだろう。
だが、言葉。言霊さえも明け渡したのか。
日ノ本侍の矜持は、何処へ行ったのか。

「この国は……日ノ本はどうなってしもうたんじゃ……夷狄の文化を受け入れ、夷狄の言葉を受け入れ、俺の知っておるものはすべて過去の遺物になりさがった……今に引き継がれてもおらんものが多い……俺らは、こんな未来のために、命を張ってきたのか……?」

これは、守りたかった国なのか。
これは、自分らの道の先にあるべき国なのか。

そうなってしまったのは仕方ないという気持ちと、近藤さんが処刑されたということもあり、こうなってしまうべきではなかったはずだという気持ちがないまぜになる。
そして――異端の民である自分は、どうすべきなのか。

「誠は……誠は、どこかに残っておらんのか……」

心の拠り所であった『誠』の一文字。
それに縋る。みっともないと、士道不覚悟とわかっていても。
それしか、出来ない。

西村貫二郎 > 「……かぁぁ!!!」

振る。
剣を振る。
ひたすらに振る。
こうすれば、少しでも、気持ちだけでも、あの時代に、仲間の下に戻れると思った。

が。

「――そうか。一人でやる稽古ってのは、こうもつまらんかったんか……」

新選組は、特定の流派を重用していたわけではない。腕があれば流派は当然問わなかった。
故に、稽古は合同の打ち込み稽古のみ。ひたすらに実践的で、ひたすらに過激な稽古だった。

嗚呼、土方さんは、どれだけ辛い稽古だろうが、軽い軽いと笑っていたな。と思い出す。
そう、そこには仲間がいた。強い益荒男が揃っていた。
だからこそ、打てば楽しく、打たれれば悔しく、そしてそのすべてに学びがあった。
だが……それがない稽古は、孤独だ。実感がない。手ごたえがない。

「くそう……」

新選組は、背負った『誠』の文字は誇りだ。
だが、もしかして、自分はそれに依存もしていたのではないか、と思い至り、歯噛みする。
新選組でない西村貫二郎は、こんなにも無力で、孤独だ。

「こんな時……近藤さんや、土方さんなら、どうするんじゃろうか……」

なんだかんだ、二人とも物珍しさに笑っていそうな気がする。
自分にそれは、出来そうもない。

西村貫二郎 > 「いかんな。こんなことでは、土方さんに叱られる」

想像するだけでおっかない。
思えば、土方さんは『組織』というものを重んじる人だった。
裏で俳諧なんぞをやっているのは知っているが、隊士の前ではとにかく厳しい人だ。
だからこそ、身がしまり、心がしまり、強い新選組になったのだと、思う。

「一人稽古も、やっていかんとな」

その土方さんの前に、剣腕の鈍った状態で戻るのはとにかく恐ろしい。
無心……とはいかずとも、とにかく剣を振る。
こういう時、正規の習いがない事実が疎ましい。

西村貫二郎 > 「――戻るか」

帰るか、と言わないのは最早意地だ。
帰る場所は、仲間のいる場所でしかありえない。そう言い聞かせないと、心がどうにかなりそうだった。
刀を鞘に納め、虚しい稽古を終わらせる。

きっと、仲間が見れば情けないと思う姿であろうけど。


「――いつか戻る。その時のために、備えは怠れん」

それはすべて、背負った誠のために。

ご案内:「常世神社」から西村貫二郎さんが去りました。
ご案内:「常世神社」にスノーウィーさんが現れました。
スノーウィー >  
ここ最近、肌寒いくせに湿度の高い日が続いている中。
今日も今日とて冬物の分厚い彼女の体格にしては大きなカーディガンを着て探索をしている。
今日は想像上、もしくは伝承のモンスターや神様についての分厚い本を持っている。
きっかけはこの間知り合った青年の話。
知識欲を刺激された少女はそのまま本を家から明後日は落ち着けるであろう神社へとやってきた

スノーウィー >  
「……。学校のみんなは、寒いって言っていたけれど。
寒いのかな。…そういうの、分からないから難しいな。」

作られた魔として。
そういった感覚は鈍く設定されている。
どうして自分がそう作られたかなどはしらないけれど
どれだけ暑くても寒くても平気だというのはとても楽だ。

取り合えず、まだ開いてもいない本を読みたい。
何時だって内にこもりがちな少女は本から世界を見てきたし
本に書いてあることを知識として吸収する事が好きだ。

…その分、運動はあまり好きではないが。

スノーウィー >  
「……―――。」

これは。
あまり自分が見てこなかった類の知識かもしれない。
普段から様々な本を読むとは言えこういったもの…。
……神話上、もしくは想像上のモンスターや神については無意識に避けていたのもある。

そもそも自分はキメラ・・・数多の命をつないで作られた異形だ。
その自分がもしかしたら自分の原点かもしれないモンスター達について調べるのは…何となく気が引けた。

「でも、気になってしまったものはしょうがないし。
読みたいものは読みたいわ」

何て誰もいないのにいい訳じみた声でしゃべっては本を読み進めていく

スノーウィー >  
「……。ぁう…。」


もくもくと読み続ける事1~2時間。
はまり込むと止まらない性格の少女はいまだに本を読み進めている。
ふと空を見れば自分がいる場所、神社の軒下から見る外は随分と雨に濡れてしまっている。
…しまった、帰る時間を見誤ってしまった。
やっと意識が外に向いたのをいいことに小さくあくびをする。
今だ本を読むのに疲れる事はないが、それはそれとして眠くなりもする。
さぁ、今から濡れて帰ろうか。それともしばらく雨宿りしようか。

少しだけ考えてみよう。

ご案内:「常世神社」にレナードさんが現れました。
レナード > 雨の中、彼は走ってやってきた。

「あー…もう!
 めっちゃ濡れちゃうし……っ…!!」

今日のキャンプ地を探していたら、雨に襲われた。
公園だろうが神社だろうが使えるものは使う、という志なもので、
罰当たりな気はするけれど、あんまり気にならないタイプだった。
そしてとりあえず神社に駆け込めば、その先で読書に耽る彼女の姿が視界に入ったものだから。

「………あれ、この前の。」

行く先々で会う子だな、と思った。
今日はベンチを譲ってもらう必要は、ないかもしれない。
臆することなく、彼女に近づいて。

「やあ、スノーウィー。
 今日はこんなところで読書してるわけ?」

スノーウィー >  
「ヴェ・・・ッ?!あば…!ば?
ぁ…れ、レナード・・・さん。」

声を掛けられたときに、驚いたように肩を震わせる。
ぇ?っと目をぱちぱちと瞬かせると見たことのある貴方がそこにいて。
普段であれば怖がって多少でも逃げようかとい所で

貴方のずぶぬれの様子に慌てた様に自分のカバンから厚手のタオルを取り出して。
なんだかここ最近雨の日に出会う人は濡れてくるなぁ、なんて思いながら

「ぬ、ぬれ…濡れてる!」

レナード > 「や。僕だし。
 …かなり驚いてるし? びっくりさせちゃったなら申し訳ねーし…」

ちょっと息を切らしつつも、貴女の驚き様にこちらが首を傾げたり。
更には厚手のタオルなんて取り出したりする様子を、じーっと眺めている。

「……んあ。
 そりゃ、こんな雨だし。濡れるのはとーぜん……」

濡れることは寧ろ自然なこと、と言わんばかりだった。

スノーウィー >  
「そ、そそそ、そうですね…!レナード、さんですね。」

取り合えず濡れてほしくない。
驚いても怖がっても体調を崩すような要因はちょっと嫌だ。
取り合えず、はいっと貴方の方へ厚手のタオルを差し出す。
ふわふわ、と暖かく不思議と優しく甘い匂いがするタオルだ。

「そ、うなんですけど…!
でも濡れてしまうと風邪をひいてしまいますし…。それは、やだな…って」

レナード > 「……ぉ、……ん…」

差し出された、ふわふわのタオル。
眼をぱちくりしながら、彼女とそれを、交互に見合わせた。
どこか甘く優しい匂いのするそれに、…何故か飛び込みたくもなる気さえしたけど。
とりあえず、彼女の好意と共に素直に受け取っておく。

「………ありがと。」

眼を少し細めて、口角を軽く上げるようにして、微笑んだ。
きっと、すぐにこれを使えという意味だったろうから、彼女の前で頭から拭いていこうとして。

「正直、風邪の一つはひいちゃうかなって……思ってたし。」

スノーウィー >  

甘い匂いはどこの柔軟剤でもなくふわふわと嫌みの無い匂いを漂わせている。
本当の所は彼女の能力による匂いなのだけれど彼女自身も気が付いていない。
自分のタオルを受け取ってもらえたのを見るとよかった、と安心したように小さく笑う。

「どう、いたしまして。
…でも、風邪とかそういうのはつらいから。…ひかないでくれると、いいなって。
……勝手なんですけど、ちょっと心配…だから」

拭いているところを見るとホっと一息。
少し目を逸らしては病気はあまり好きではない言葉を伝えて

レナード > 「……ん………」

貴女に変な気を遣わせてしまうに他ならないので、
流石にここで、良い匂い、だなんて口にはできなかった。
…だけれども、本当に不思議と、嗅いでい続けたくなるものだから。
少し執拗に、自分の頭から…濡れているところを拭っていく。

「……そっか。優しいんだ?
 …………あ、そういえば。」

こちらを見たり、目を逸らしたり。そんな小動物みたいな仕草をうかがわせる貴女に、くすりと笑む。
その時にふと、思い出したように、持ってきていた鞄の中を漁り始めた。
道中庇っていたのか、鞄はあまり濡れていないようだった。

「ほら、これ……返すし。
 興味深い内容だったし。」

それは、貴女から借りた、一冊の本。
一点も濡れたりしていないそれを、貴女に差し出した。

スノーウィー >  
「……いえ、ただワガママなだけです。
………?」

帰ってきた本を見て。ぁ、と小さく声を上げる。
最初の邂逅の頃に渡した祭祀と伝承の本だ。
差し出された本を受け取っては前髪に隠れがちな瞳をやんわりと細めて笑う

「…どう、いたしまして。
私の方も、少し興味があって…ヘビさん。というかそういった神様とかモンスターについての本を家から発掘してきたんです。」

今読んでいたんですよ、と小さくつぶやく。
傍らにはその本であろう分厚い何かがある。

レナード > 「ん。
 ……へえ、そんなの見つけてきたわけ?」

あるべきところに戻せたことに、ほっと安堵の表情を浮かべていると、
どうやら彼女は、元々自分が探していた情報を、自身の家で探していたらしい。

……あんなことがあった後だから、少し複雑な気分だけど。
でも、もし、自分の知らない本で、自分の知りたい情報がそこにあったとしたら…
なんて、一度湧き立った好奇心には、まだ抗う術を持っていなかったから。

「興味あるし。どんなのが載ってるんだろ………」

その分厚い何かを、見つめてみた。

スノーウィー >  
「…えっと、本当は多分たくさん蔵書があると思うんですけど。
あんまり、こういうのは読んだことがなかったから。」

自分の家には自分の親代わりの研究者が残していた大量の蔵書がある。
ただ、どこまで読んだかは自分にもわからなくなってしまうのだけれど。

彼の求める知識も文献もないかもしれないし
何かしら彼にいらない知識を与えてしまったらと思うと紹介するのも気がひけるのだけれど。それでも少しだけでも力になれたら少しだけやっぱりうれしいな、と感じる。

「…良ければ、一緒に見ますか?
それともお貸ししましょうか?」

レナード > 「……へぇー……?
 それじゃ、図書館にない本だってありうるわけ……」

その言葉を聞いて多少の期待はするが、当てにはしない。
…そうやって何度も打ち砕かれてきたのだから。
駄目で元々当たればラッキー、そんな感じの浮かれ様だ。

「…ま、どういう形態かによるわけだけど……索引見てれば大体分かるからすぐだし。
 それに、こんな貴重そうなの、図書館と違って借りるのは億劫だし。」

この場でさっと見ていこう。
そんな軽い気持ちで、彼女にここで一緒に見ることを提案した。

スノーウィー >  
「多分。あると思います。
というか多分、多いんじゃない…でしょうか。
ち、父は研究職についていたので、本を集めるのも仕事・・・みたいな。」

それもキメラを作るものだから生物系に関しては多いのかもしれない。
ただ自分でも無意識にそういったのを避けてきているからあまり知らないのだけど。
けれど、探せばいくらかは出てくるかもしれない。
生物等が絞れればなおさらだ。

「そうですね。…じゃあ、索引してみましょうか。
…別に必要なら幾らでも手元に置いてもらってもいいですけど。」

ではどうぞ、と自分の隣を軽くたたく。
本の事での会話だからか、普段より怯えは少なく話せている様だ。

レナード > 「…ほぉー。だから、読書が好きなわけ?
 家にいっぱい本があるなんて羨ましいし。」

図書館に通い続けているのは、そんな本を置ける余裕がないからで。
それがあるという彼女の境遇は、素直に羨ましいものがあった。

「それには及ばねーし、じゃあこのまま失礼して……」

さて、誘われるままに彼女の隣へと腰掛ける。
…不思議と甘い匂いが強くなった気がしたが、そこまでだ。
今は、目の前の興味から離れられない。

「どれどれ………」

本の巻末を開く。そして、指先を這わせる様にして、膨大な索引を辿っていく。
そこには著名な龍種、海に潜む巨龍、地を這う大蜥蜴……そういった伝説の生物で溢れかえっていた。
今までの本でも見た名だな。と、少し期待が逸れたかと小さな息を吐きながら読み進めていく。

そして……


「―――――いた………」

指先がある一点を捉えたまま、そこをじっと見つめる彼がいた。
"バジレウス"という、文字列を。

スノーウィー >  
「…ふふ。そう、ですね。」

ようこそ、と隣に来る貴方を受け入れては
索引を見つめる貴方の見やすいようにページをめくっていく。
どんな生物を探しているのだろう?

少女の興味はそちらにやってくる。そのまま見つめていくと
ある一点で指先が止まったのを見て首を傾げる

―――バジレウス…?

どんな生物だろう。

「ばじ、れうす?…えーと…P452、ですね。」

レナード > 無言のまま、ちょっと慌てるように示されたページを捲った。

記されるは、白き巨体に黄色の眼を持つもの。
記されるは、蛇の皇を称するもの。
記されるは、邪視の全てに通じるもの。

…それだけしか、書かれていない。
辞書に載るような伝説上の生物として描かれるには、
大したことない扱いなのだろうか。
そこから得られる情報は、ほんの微々たるものだった。

だが、それさえ載せられていなかった、今までの旅路を思い浮かぶと、
彼の心に到来した"成果があった"という事実は、これ以上なく重いもので…

「―――……あ、……れ………?」

…隣に彼女がいるのに、涙が止まらない。

スノーウィー >  
「……--ッ?!」

ギョっと

隣にいる青年の涙に、瞳を真ん丸と見開く。
どうしたの?何かあったのだろうか?なんて聞く由もなく。
それ以上に、彼の涙が万感の思いが宿っている様な気がして。
どうしたってなんて言えないけれど
今、彼女に言えることはないのだ、と驚いた頭で静かに考えて

「……。」

取り合えず、少しでも隣にいることを伝える為に
そっと彼の方へと体を寄せる事だけ。
後は、彼の涙が止まるまで少女は静かに傍に居るのでしょう。

レナード > 「……おかしい、な……なんで……っ……」

涙を流すなんて、いつ以来だろう。もう、遠い遠い昔の事だったのかもしれない。
でも、今この場で、訳も分からない涙があふれて止まらない。
…その時、彼女が傍に身体を寄せて来てくれたから、押し留めていた堰が弾けた。

「おかしい、おかしいし…こんなの……

 だって、僕……呪いのせいで、ずっと、こいつ探して………っ……
 こいつのせいで、僕は、僕は、ずっと独りで、頑張って……う、う…っ…
 何年も何十年も、どこへだって行ったのに見つからなくって
 もうダメだって何度だって思ったのに、もう探しちゃダメだって、
 そう思ったのに、こんな、こんなの…っ……うあ、あっ……!!」

感情があふれて止まらない。隣に彼女がいるのに。
いつの間にか、伝承と同じ黄色い蛇の眼をした彼が、その目じりに涙を湛えて。

スノーウィー >  
「……。
…、頑張ったんですね。」

少女は寄り添いつつ、話を聞いている。
何を聞くわけではない。今こうして深く聞く事はルール違反なような気がした。
それにきっと自分が同じことになっても言える事でもないから。
けれど、それでもこの発見が彼にとっていいことなのか

はたまた悪い事だったのか。
それはきっと彼だけが知る事なのだろう。

「・・・・・私はなにも聞いていないし、見てません。」

だけどあぁ、見ていないし聞いてもいないけれど
彼の黄色い瞳は、とても綺麗だ。…だから、見つめ続けてしまうのはいけない事だから少女は瞳を伏せて貴方に寄り添うことにした

レナード > "頑張ったんですね"、という言葉を、聞いてしまったから。

「……ぼく、がんばったんだ……がんばったんだし……
 ずっと、ずっどお…………」

貴女を見る。涙でぐずぐずに崩れた表情で。
黒かった瞳は、黄色い蛇のそれになっていたが。
こちらからも貴女に身を寄せる。

「うぁ、うあ゙ぁああああぁぁぁぁ――――――」

ひとしきり、泣くしかなかった。
自分を労わってくれるその言葉を聞いて。
…何も見ていないし、聞いていないといってくれているのけれど、
今の彼には、通じていなかったかもしれない。

スノーウィー >  
少女は寄り添う。
もしかすれば、貴方が許すなら
その身をそっと抱き寄せて抱きしめるかもしれない。

長い長いはて、きっと何か知らない事情の中
頑張ってその生物を求めていたのだろう。
自分の知らないその生物はきっと大変な道のりだったのだろう。

「はい。頑張りましたね。ずぅっと、ずっと」

レナード > 抱き寄せられる。
抱きしめられる。
その暖かくて、柔らかい感触に。
それはとても心地よくて、安らげて、優しい気持ちになれるようで。
思えば、誰かにこうして甘えたことなんて、今までにあっただろうか。

遠くて、遠くて、長くて、長い旅路の中で背負い続けていた心の錘を、
ここでその涙と変えて、ようやっと全て解き放てた気さえする。


優しくて甘い匂いの彼女は、こうやって自分を受け止めてくれたから…

「……………ありがとう」

心の底から溢れる感謝を、抱擁に乗せて伝えることにした。

スノーウィー >  
甘えさせたことも、人とこうして触れ合った事もほとんどない。
けれど、自分の心に素直になるのであればきっとこうするのが一番だと
研究職のあの人が言っていた。
人の心臓の音、匂いが落ち着かせるのだとか。

あぁ、存外。自分もこういった匂いに落ち着く気がする。


「…。私は何も聞いてないし、見てないです。
ちょっと、肌寒いから私が暖を取ってもらっただけですよ」

それでも、貴方の感謝を受け取らない理由はないからこそ
小さな声で「どういたしまして」を伝えることにした

レナード > 「………そ。
 確かに……今日は冷えるし。」

夏だけど、それでも長袖は暑いかもしれない…なんて思うくらい。
だけれども、彼女の服装には今更気になるものはなく。
言葉がない合間は、互いの心音がとくん、とくんと鳴るくらいに二人の距離は近かった。

「………。」

涙は、もう出ない。その代わりに、少し明るい笑みを浮かべる。
彼女の気づかいが、嬉しかったから。

「もし知りたいなら、今日じゃなくてもいい……教えてあげるし。
 スノーウィーになら、教えてもいいと思ったから。」

何について…かは聞かないことにした。
それを貴女が望むなら…と繋げて、その好奇心に委ねることにしたから。

スノーウィー >  
「はい。その時はよろしくお願い致しますね。」

いつか来る、知識の探究を楽しみに願った後。
少女は、貴方にそっと本を渡そうとして…少し考える

「また、知りたくなったら言ってください。
…うちの蔵書でも調べてみますから。
そしたら、また一緒に本でも読みましょう。」

レナード > 「………うん。約束、だし。」

きっと、またこうして本を一緒に読んでくれるだろうか。
そんな淡い期待をにじませた、仄かな笑みを彼女に向けた。

「…僕ももっと、調べておくから。」


そうして、それとなく解散するまで、二人の時間は過ぎていった…―――

ご案内:「常世神社」からスノーウィーさんが去りました。
ご案内:「常世神社」からレナードさんが去りました。