2020/07/12 のログ
モノ・クロ > 「あー…聞いてないな―。聞いてくる!」
そういって、エインヘリアルに聞きに行くだろう。

織機 雪兎 >  
「ふひひ、さらちーかぁいいねぇ。ありがとねぇ」

すりすり、なんて頬擦りまでしてみたり。
割と動きははっきりしているのだが、口調は完全に酔っ払いのそれである。

「りおりんはこんなかよわいおんなのこにおさけのませてどうしようというのさぁ」

そのままの体勢で神代少年にぶーたれる。
よっぱらい特有の因縁付けである。

「はー、おなかすいたぁ」

満足するまで頬擦りして、離れた。
立ち上がり、さっき置いた料理を取りにふらふら戻ろう。

紅月 純 > 「お、おう」

連絡先を受け取る。
……とりあえず端末に登録して、SNSで『よろしくニャン』のスタンプを送り付ける。

残った持流に振り返り、

「瘴気に関しちゃあれだ。包丁を料理と人殺しのどっちに使うか、毒を薬にするかしないかに似てるからただの道具じゃなくて向き合っておけ。俺のあのときの腕みたいなもんだ」

と伝えておく。

水無月 沙羅 > 「ゆっきーせんぱい……すり寄らないでくださいお酒臭いです。
 はぁ……まったくヤレヤレですね。
 お気楽な先輩でうらやましいです。 」

体調が回復したのを見届けて、ゆっくり立ち上がった。
多分もう大丈夫だろう……酒さえ飲まなければ。

司会進行役 > 「皆様、宴も闌ではございますが時間が迫っております

 本日はお忙しい中お集まりいただき
 誠にありがとうございました

 ご参加いただいた皆様の更なるご活躍を願って
 締めの挨拶とさせていただきます

 では皆様、残り僅かな時間となりましたが、
 引き続きご歓談をお楽しみくださいませ──

神代 理央(礼服) > 「…いや、それはその通りなんだが。その、事故みたいなものだったと、いうか…」

鉄火の支配者、説教を受ける。
しかも、己よりも小柄で華奢な年下の少女に。
名乗った訳でも無い二つ名が今更重い。返上したい。

「……悪かった。私の配慮が足りなかったから勘弁してくれ…」

救いを求めたのは酒精である。
もうやけっぱち、と言いたげにそこいらの瓶を掴むと、空になったグラスにどぼどぼと注いてこくこくと飲み干すだろうか。

「……眠い。煙草吸ってくる」

そしてゆらり、と立ち上がると風紀委員にあるまじき言葉を吐き出しながらフラフラと彷徨い歩くだろう。

追影切人 > 「いや、あそこに凛霞がいるだろ?アイツが基本俺の監視役だから、アイツがいるなら、って前提で許可が下りたんだよ。普通ならこんなとこに勝手にこれねーわ」

肩を竦めて。第一級監視対象は現時点で3人存在する。
■年の■■■■■。コード名:■■■■■
二級学生の■■■■■。コード名:■■■■■
そして2年の追影切人。コード名:影切る凶刃

この3人には最低限のプライバシー保護以外全ての行動に監視が付くのだ。
それだけ危険視されているという事でもあり、特に男の場合は怪異の因子が紛れ込んで半ば怪異化しつつある。
その点は、このお隣の美女もよーーく知っているだろう。

「あ?まだ何も飲み食いして無いのに帰れ――うげ、もうすぐ終わりじゃねーか!!」

持流 童男(スーツの下にマント) > 「毒にも薬にもなるのでござるね。」

ニット笑いつつも、

「ありがとうでござる紅月殿。参考にさせてもらうでござる」
と言いつつも笑いつつ

モノ・クロ > 「えー、もうおわり?」
残念そうにエインヘリアルの元に向かう。

「凛霞って名前なんだ…覚えとこっと」
お姉さんが何度も呼ばれていた名前。それがきっとお姉さんの名前なんだろう。
おねえさんなら、『私達』のこと、わかってくれる気がする。

期待に、胸を膨らませる。

水無月 沙羅 > 「ちょ、先輩!? 煙草だってダメなんですからねー!!!」

ふてくされる様にさまよう想い人を見ながら追撃をお見舞いしつつ。
その背後を負う後輩。
どちらが年上なのやら。

伊都波 凛霞 >  
「さて……」

締めの挨拶こそあったものの、会場にはまだまだ人がいるし、料理も残っている
自分としてもまだ、挨拶できていない人がいるし…

雪兎も大丈夫そう、と立ち上がってモノ・クロの向かったエインヘリヤルの元へと自分も歩いてゆく

織機 雪兎 >  
「わぁいめしだめしー」

酔っぱらったまま料を貪り、空になった皿にまた乗せ、そして食う。
それはそれは幸せそうにむっしゃらむっしゃら食べ、たまに近くの人に微妙にうざい感じで絡んだり絡まなかったりしつつひたすら食べていただろう。
食べ盛りだもの、こういう時に食べておかないと。
きっと電池が切れる前にちゃんと家に帰れる筈。

ちなみに。
一晩寝ればこの日の記憶は綺麗さっぱりなくなっていたりする。

ご案内:「懇親会パーティー会場1」から織機 雪兎さんが去りました。
紅月 純 > 「ん」

頷く。これ以上は何も言わない。

「さ、残りの食いもん全部奪ってやるか」

ニヤリと笑い、早速料理をかっぱらっていく。

ご案内:「懇親会パーティー会場1」から水無月 沙羅さんが去りました。
神代 理央(礼服) > 己を追いかける後輩の声を背中に聞きながら。
そういえば此処で煙草はマズいな。何処か人気の無い喫煙所とかあったかな、とか。

「……吸いたいんだから良いだろう。そういう気分なんだ」

と、やっぱりちょっと浮ついた様な言葉と共に。
会場を後にするのだろうか。

ご案内:「懇親会パーティー会場1」から神代 理央(礼服)さんが去りました。
持流 童男(スーツの下にマント) > 「おう!そうでござるな!!!」

紅月さんと一緒に料理をタッパーに入れて行きつつ
ニット笑いつつも、悪友とともにかっぱらう!

赤い少女 > 「そうなんですね。大変ですわね...もうすぐ終わり...」

自分で聞いておいて、お淑やかに笑って聞き流していく。
酷いやつだ。
それよりも大事なのはもう直ぐ終わりということである。

「では私は去らせていただきますので...では...
こういうところでは名前呼ばないでよね?」

最後に素の笑みと調子でそう脅せば、会場の食べられなかった食べ物を中心に回収して、何事もなかったようにパーティー会場を去っていった。

ご案内:「懇親会パーティー会場1」から赤い少女さんが去りました。
紅月 純 > 「人気のない場所の料理は頂く」

皿に乗せて食っていく。
時々こっそりタッパーに詰めていきながら。

今の俺たちは残飯阻止部隊。

持流 童男(スーツの下にマント) > ガツガツ食いながらも、いっぱい食う!!

タッパーに詰めながらもこっそりしながらも

紅月殿とこうして悪友っぽい子としてと楽しいでござるなぁ

ニット思いつつ。

追影切人 > 「へいへい…って、こらそこのチンピラ野郎!俺まだ食ってねーんだ少しは残しとけ!!」

と、本来の目的を思い出して彼がタッパに詰めていく前に食える分は食っていく。ちなみに速度が異常に早い。一皿が秒で消えていく。

伊都波 凛霞 >  
目的の人物を見つけられなかったため戻ってくる
広い会場だし、仕方がないね

「持流くん達ー、あんまりやると怒られちゃうから注意しようね?」

無礼講とはいえ、マナーを逸した行為は咎められます

モノ・クロ > 「んー…どこだろ」
エインヘリアルが見つからない。
どこに行ったんだろう…?

迷子と化した怪異であった。

紅月 純 > 「あ゛ぁ!?誰がチンピラだコラ!なら一口分は残してやるもぐ」

と、暴れていたところに静止が入ったのでスピードは落としておく。
皆去っていくからもう食わないものだと思い込んでいた。

「あーすんません。でも残すなら詰めさせてくれ」

食は大事なのだ。残すくらいなら翌日のおかずにさせて欲しい。

持流 童男(スーツの下にマント) > 「おっと確かにそうでござるな・・やめておこうでござる」

言いつつも、食べるのをやめつつ、タッパーに入れるのもやめておいた
これでしばらく食事には困らないだろう

追影切人 > 「っざけんな本当に一口しかねーじゃねーか!!せめて二口くらいは残しとけやこらぁ!!」

と、見た目だけならチンピラ同士で言い合っていたが、凛霞の指摘に舌打ちしてからその辺りに残っていたワインのグラスを手に取り中身を飲み干す。

「…あんまおいしくねーな。」

ワインはどうやら御気に召さなかったらしい。苦いものを食べたような顔で空のグラスを一瞥してからテーブルへと戻し。

ともあれ、残飯処理というか残さずきっちり平らげておこう。フルーツもちゃっかり頂いておいた。

「あーーまともな食事食べるのも久々だぜホント。ごっそさん、と」

伊都波 凛霞 >  
「まぁ、怒られない範囲でね…?」

食い物争奪戦と化しているパーティー会場
人もまばらとなってきた、それなりに色々な人と会えただろうか

「追影くんも、良かったら二次会においで?」

どうやら二次会があるらしい
そんなことを言い残して、うーんっと背伸びしながらパーティー会場を後にした

持流 童男(スーツの下にマント) > 「・・・・そこのオールバックの方」

そっと言いつつも、追影さんにタッパーを3つくらい渡そうとする

「食っても大丈夫でござるよ」
ニット笑いつつも

ご案内:「懇親会パーティー会場1」から伊都波 凛霞さんが去りました。
モノ・クロ > 「んー…………」
このままでは迷子になりそう。

そんな事を考えたモノクロは…とりあえず知ってる人。凛霞についていくことにした。

ご案内:「懇親会パーティー会場1」からモノ・クロさんが去りました。
追影切人 > 「あーーー気が向いたらな?俺のことは気にしねーでいいからそっち楽しんでこいよ凛霞」

と、手をヒラリと振って。どうせ凛霞以外にも密かに監視の目をこちらに飛ばしている風紀の関係者が居るのだろう。
”そういうの”はよく分かるのだ。

「……あ?お、おぅあんがとよ大男。そっちのチンピラもどきも悪かったな」

と、彼からタッパーを3つほど貰えば素直に受け取って。ぞんざいだがきちんと礼と謝罪はしつつ。

「んじゃ、俺もここは引き揚げるか。てめーらもそろそろ撤収するか二次会行っとけ。あばよ!」

と、男子二人に手を挙げて颯爽とタッパー抱えて去っていく男だった。

ご案内:「懇親会パーティー会場1」から追影切人さんが去りました。
持流 童男(スーツの下にマント) > 「おう!!ありがとうでござるよ!気をつけて・・!!!」

手を振りながら言いながらも

「紅月殿、某たちも帰るでござるか」

ニット笑いながらも

紅月 純 > 「おお、じゃぁな。
……」

手を振って見送る。
気が付けば、周りには俺たちしかいない。

「……ッシャア!!飯確保して撤収すっか!!」

残りも綺麗にタッパーに詰めて帰る。これで残飯に悩む会場は消えた。

ご案内:「懇親会パーティー会場1」から紅月 純さんが去りました。
ご案内:「懇親会パーティー会場1」から持流 童男(スーツの下にマント)さんが去りました。
エインヘリヤル > 十二分に堪能した。
顔見知り、もしくはそれ以上になれる、というのが懇親会の良いところだ。

つまり、懇親会というのはそれ単体では機能せず、次回につなげてこそ意味がある。
そういった意味では、自分にとっては神代とあった時点でほぼ用事は済んでいたと言える。

顔を知る、知られる。
挨拶をする。

たったそれだけの機会のために、懇親会はあると言っていい。

半分忘れてしまっても構わない。
そもそも、なんの関係もない間柄の人間が、顔見知りになる機会を得るのが得難いのだ。

次に誰かを見かけたら「懇親会でお会いした」という一言だけで、話に入れる。
その目的で集まっている。

故に、目的は果たした。

他の者はどうだろうか。
苦手かどうかなど、どうでもいい。何事も使い方次第だ。

それを再確認すると、そっとその場をあとにした

ご案内:「懇親会パーティー会場1」からエインヘリヤルさんが去りました。
ご案内:「常世総合病院 VIP個室」に神代理央さんが現れました。
ご案内:「常世総合病院 VIP個室」にエインヘリヤルさんが現れました。
神代理央 > 懇親会を終えて数日。
そろそろ入院する迄の怪我でも無く、もう暫くすれば退院出来るだろうとの担当医の言葉。
寧ろ入院が長引いているのは外出許可を取った後の行動が響いているのだが。金を落とし続ける患者であり、命に関わる程の行動でも無いのなら、主治医達は笑顔で胡麻を擦りながら己の行動を止める事は無いのだろう。

「……そろそろ、委員会活動に復帰せねばならんのだがな…」

起き上がったベッドの背もたれに身を預け、端末を操作しながら事務仕事。入院中とはいえ、書類の洪水が止まる事は無い。
穏やかな陽光が降り注ぐ室内で、機器の電子音をバックミュージックに黙々と職務に励む少年の姿があるのだろう。

エインヘリヤル > 病室の扉をノック。

というより、立場上、むしろ身体検査などをされるようなそういうやつでもある。
そのせいで、普通よりすこし厚い扉の外、若干の気配が動くのだけど。

もっとも、この街では武器弾薬など意味を成さない場合も多い。
空港の荷物検査みたいなもの。

本当にやばい相手には役に立たないそれを受けたあと、微笑を浮かべつつ部屋に入る。

「ふふ……思ったより元気そうでなにより。
 身近な人達の看病のおかげかしら?」

つまりは、女関係はどうだ、と聞いているも同然なのだけど。
昨日の遠慮がちな態度とはうってかわって、いつものエインヘリヤルだった。

神代理央 > 部屋に響く軽やかなノックの音。
事前に、見舞客の申請情報は此方に上がってきている。もうそんな時間か、と仕事に熱中していた事を恥じながら端末をサイドデスクへと。

「寧ろ、元気が有り余るくらいだよ。入院というのは本当に詰まらんな。二度としたくない。
……まあ、否定はせんよ。私には勿体無い程の、善い友人達に恵まれた故な」

此方も、懇親会の社交界モードからは打って変わって何時もの尊大な態度。既知のビジネスパートナーに対して、幾分力を抜いた様な、そんな声色で彼女を出迎える。

「さて、仕事の話かね?それなら、奥に応接間もあるが」

ベッドで聞く様な話でなければ移動しようか、と彼女に問いかける。ベッド横にも座り心地の良さそうな椅子が置かれてはいるが、書類や端末を広げる用事なら応接間の方が良いかとの問い掛け。

エインヘリヤル > 「いえ、このままでも結構よ」

言いつつ、簡素な椅子を自分で出し、座って見舞いの品を勝手に広げだす。

「せっかくだから果物でも切ろうかと思ったら、ナイフは禁止ですって。
 無粋な世の中になったものね」

一般病棟ならともかく、ここはVIP用のセキュリティまである専用部屋ともなれば、そういうわけにも行かないようだった。

「代わりに、メゾンドフリュイのフルーツタルトを用意したわ。
 つつきながら、話を進めましょうか」

ペットボトルのアールグレイを2本並べ、ケーキの箱を開ける。
だが、飛び出したのは、甘さとは裏腹な言葉。

「……で、まず単刀直入に聞くわ。

 女連れでこの先の鉄火を続けるつもり?」

神代理央 > 「おや、そうかね?此の侭では、大した持成しも出来ずに申し訳無いのだが」

と、腰掛ける彼女に視線を向けながら答える。
自ら椅子を出した彼女の行動には、律義なものだなとちょっと苦笑い。

「此の部屋は、大抵の事は頼めば出て来るからな。その分、持ち込む道具や見舞いの品への警戒も強くなろうというものさ」

一般病棟とは違い、サービスの充実したVIP用の病室。見舞いの果物であろうとも、一声かけておけば専門の調理師が直ぐにカットして運んでくる程の無駄な予算がかかっている。
だからこそ、持ち込める物の制限と検査は厳しい。ある程度の立場を持つ彼女だから許された事もある。下手に一般生徒が訪れれば、場合に寄っては荷物は全て受付預かり、とかもあり得るのだから。

「ほう?気の利いた見舞いの品だな。此処では甘味に餓える事が多い。有難く――」

仄かな甘い香りが二人を包む中。投げかけられた言葉に紡がれた言葉は中断される。

「……そのつもりではあるが。何か不都合があったかね?私の異能も力も、多少の事で曇らぬ力がある事は承知頂いていると思っていたが」

ゆるりと視線を持ち上げれば、金十字の瞳を紅が静かに見返すのだろうか。

エインヘリヤル > 「不都合もなにも。
 女どもが、あなたのもとを離れないのはもともと、そういったことにあまり関係ないからで。
 友達以上恋愛未満の関係を維持して、能力主義の性差をあまり考えさせない関係性によるものでしょう?」

わかっているかどうかはわからない。
そもそも、彼の長所は気遣いはあれど性差を感じさせない立ち居振る舞いによるもので。

それが余計な感情を持ち込むとなると面倒な話になる。

「ただれた関係になるかもしれないし、女を道具として扱うかもだし。
 恋愛を遊びのように切り捨てるかもしれない。
 それが原因で、優秀なものが勝手に勘違いして去るかもしれない。

 そういう、いままでになかった煩雑で猥雑なコミュニケーションコストを、無駄に増やすつもりがあるのかを聞いてるのだけど」

要するに。
昨日のような社内恋愛じみた余計な感情を仕事に持ち込む気なのかどうかを聞いている。

まあ、別にどちらでも構わないのだけれど。

……だいたい監視カメラの位置は把握した。
金十字の瞳が嗤う。

別に咎めているわけではない。
今後の方針やアプローチがかわると、そう言っている。

神代理央 > 「………ふ、む?すまない、エインヘリヤル嬢。私が勘違いしていなければ、の話なのだが。
要するに貴女は、私が女子生徒を篭絡。或いは、人気取りに走って業務を遂行していると言いたいのかね?」

彼女の言葉に、何とも不可解そうな表情。
そんな筈はなかろう、と可笑しそうに笑うが、次いでの彼女の質問には少し真面目な表情を浮かべる。

「コミュニケーションコストは確かに憂慮すべき問題ではある。
とはいえ、今更他者に向ける態度を私が変える訳も無い。
有能であれば迎え入れ、無能であれば切り捨てる。元より、大抵の事は一人でこなして来た身だ。それに、此の私に女が群がる、というのは少し想像し難い。
……まあ、昨日は宴席という事もあって些か気が緩んでいた事は認めよう。公私混同は、避けるべきだろうからな」

彼女の懸念、或いは問い掛けは尤もな事。
であれば此方も真剣に。他者に向ける態度も、風紀委員としての任務に当たる熱意も、何も変わらないのだと告げるだろう。

「…しかし、まさか貴女からそんな問い掛けを受けるとは思わなんだな。特別顧問殿も、存外ゴシップが御好きかな?」

そんな訳はないだろうが。話の合間の冗談としてのアイスブレイクと言わんばかりに。
僅かに瞳を細めれば、愉快そうに笑みを浮かべる。

エインヘリヤル > 「ふふ……だって、それはそうでしょう。
 こちらとしても大幅な路線変更は気になるところよ」

瞳が嗤う。
優しいのか……妖しいのか。

「……土壇場の、ギリギリの、綱渡りの最後の一歩。

 崖が崩れかかって、他人を見捨ててでも自分か助かるか。
 自分が助かるためなら必要な手をすべて打つ、と公言していたあなたが。

 自分を捨ててでも見捨てられないことを知ってしまったんだもの」

口元に寄せる手。
唇に指を当て。

その結果が今のこのザマでしょう、と。

「そんなあなたがこうなったのだから。
 パートナーとして、真っ先に聞いておかなければいけないでしょう?」

逆光のまま、瞳だけが愉しげに笑っている。

神代理央 > 「…路線変更、だと?可笑しな事を言うものだ。一体私が何を――」

と、紡ぎかけた言葉は再び途切れる事になる。
彼女の言葉の真意が。問い掛けるべき中身を理解した故に。

「…ああ、成程。確かに、それは路線変更と呼べるだろうな。
らしくない事をして、不必要な負傷を負った。それは認めるとも。確かに、私の方針は変わってしまった。
それを弱さだ、と詰られる事も、否定はせぬさ」

彼女の白い指先に視線を向けて、小さな溜息。
彼女の言葉は正しい。そういった意味では、間違いなく己は弱くなったのだから。
しかし、しかし――

「だが、それでも私は選択を違えぬよ。エインヘリヤル嬢。
現に私はこうして生きている。過激派の筆頭であった私が、あの様な行動を取った事で風紀委員の内部も僅かではあるが揺らいでいる。私が、付け入る隙も、のし上がる足場も、結果として醸造されている。
私が委員会で力を持つ事は"パートナー"たる貴女にも都合が良い筈だ。共に利用し、利用し合う仲であれば。貴女の杞憂は、問題足り得ないと断言させて貰うとも」

愉し気に嗤う彼女の瞳を。穏やかな筈の陽光が逆光となって、神秘的な妖しさと危うさを浮かび上がらせる彼女を。
見つめ返す己は、傲慢に。尊大に嗤っているだろう。

エインヘリヤル > 「くすくす……強がってる? それとも、ビジネスだから、私には見せてくれないだけ?」

そんな尊大さも【殻】だとわかっているわよ、と。
神代という男は表と内面における2面性が深いタイプだと知った。

弱いのではなく、中身をさらけ出した後だと、昨日の女どもが語っていた。
態度で気づく。

おそらく女性関係のうとさから、神代はそれをわかってないか今まで通りに思っている。

「必要だと感じてしまって必要な傷を負ったあなたが、私にそれを不必要な傷だと言った。
 そして昨日の女連中にはその必要を、もしくはそれに類することを話した後でしょう?」

そして、それを周囲や本人の態度から読まれることに気づいてない。
弱さとかそういった話ではない。
いままで読まれなくていい情報を読まれるようになっているのに、その対策がなってない。

しかも変なところだけ以前通り。

「なのに私にはそういった、以前通りの表面的なデータだけ。
 とすれば、流石に袖にされていると感じても仕方なくてよ?」

かと言って、逆光を背に愉しげに嗤う少女は、責めているわけでも嫉妬しているわけでもない。
餌を差し出すやり方になったなら、食わせろ、早くしろ、と言っているのだ。

そんな仮面など、味気ない。

「……彼女たちには、あなたの肉に牙を立てさせたんでしょう?」

神代理央 > 「……随分と、私の事を理解した様な口振りだな。特別顧問殿は、人間観察が御趣味とは知らなかったよ」

僅かに眉を上げて、逆光に陰る彼女に向ける己の表情は僅かに変化の色を見せる。
眼前の女は。己を理解したかの様に語る女は。其処まで理解した上で何を求めるのかと。

「……耳聡いな。いや、情報収集能力に秀でている、と褒め称えるべきかね?利害関係で一致した貴女に、私の個人的な感傷を告げる事は不要と判断した迄の事だが」

無機質な表情の儘、淡々と言葉を紡いで、返す。
己と彼女は利害関係で協力し合う仲。利害が絡むからこその対等。
其処に情や情けを含まないからこそ、紙幣で絡まれた鎖は強固なもの足り得る。
そうではなかったのか、と緩く首を傾げて。

「……袖に、している?可笑しな事を。貴女らしからぬ発言だ。
てっきり、私の判断や責め立てに来たのかと思っていたが――」

そうして、次いで告げられた言葉に僅かに瞳を見開いた後。
一瞬きょとんとした様な表情を浮かべた後に。クスクスと、可笑しそうに。面白そうに。愉快そうに笑う。

「……さてな。牙を立てたのか立てられたのか。そもそも、私が喰らい付かれる獲物として相応しいのかどうか。それは、彼女達に聞かねば分からぬさ。
それで?聡明なエインヘリヤル嬢も私の肉をお求めか?公正明大な利害の仮面では無く、私は『神代理央』として、貴女に接するべき、なのかな?」

愉快そうな笑みは、次第にその瞳が細められていく。
それは、今の関係を。利害の一致による仮面を剥ぐものだと告げながら。

エインヘリヤル > 「人間観察なんて言うほどのものじゃないわ……あれ、かなりの女性が気付くわよ?
 男性でも目ざとい人なら一発で」

それほどあからさまだったと、そういう報告。
実際、話してみればだいたい予想に近いかその通りのようで。
なら、口の仕込みも役に立つ可能性が高い。

「それに……流石に【必要】を【不必要】と、そこまで嘘をつかれるのは困るもの。
 カメラが気になって本当のことを言えないとか、そういう話であるならまた別なのだけれど」

さすがにこのあたりになればわかるだろうか。
神代が疑問に思ったとおり、なにかを誘っている。

利害に絡むかもしれないし、そうでないかもしれないが。

「だいたい、事故を責め立てたところで仕方ないでしょう。
 知らないことに気づいたその結果だもの。

 知ったことは知らないことに出来ないから……それで、私にも気付いたことがあるっていうことよ」

他の女どもが動けば、嫉妬の一つもするでしょう、と。
白い歯を見せて嗤う。

「牙を突き立て合うのも、利害関係でしょう?」

わずかに、身を寄せて。

「神代理央を……愉しみに来たの。」

神代理央 > 「…まあ、懇親会では特段隠し立てしていたつもりも無いが。それでも、話さずとも察せられるというのは不思議な気持ちだな。不愉快では無いがね」

彼女の真面目な報告には、思わず苦笑いを零してしまう。
其処まであからさまだったかと問われれば、否定をする材料は弱いのであるし。
女の勘、とやらは恐ろしいものだと僅かに肩を竦めるだろうか。

「……それこそ、貴女には『不必要』な情報だと判断したが故だったが…配慮が足りなかった事は謝罪しよう。
虚偽の報告は、信頼関係を損なう可能性も大故な」

「事故、と評価してくれるか。それは重畳。
して、何某かに気付いた特別顧問殿は。
――エインヘリヤルは。一体私に、何を求めるのかな?」

仮面の欠片が一つ。零れ落ちる。
対等の関係であるが故の敬意。仰々しい彼女への呼び名が、変わる。
たったそれだけ。些細な変化。ともすれば、無礼とも呼べる様な。
しかしそれは、関係性の変化への斥候。彼女が求めるものへの探り。或いは、己という肉を差し出すに値する獣であるか否かの試金石。

歯を見せて嗤う彼女は、宛ら得物を前にした獣だろうか。
であれば此方は、追い詰められた獣か。餌か。――否。
牙とは、突き立て合うものだ。彼女が己の内面を欲すると言うのなら、それは己もまた然り。

「…ならば、愉しませて欲しいものだな?エインヘリヤルという女を。互いに蜜を啜らねば、対等な利害関係ではあるまい?」

僅かに身を寄せる彼女に手を伸ばす。その紅の髪を指先で弄ぼうと。

エインヘリヤル > 「ふふ……肉は喰らい合うものよ」

髪に触れられれば為すがままにする。
それどころか目を細め、うっとりとした表情を見せ。

席を、椅子からベッドにゆっくりと移すだろうか。

「もっとも、ココから先は理央……あなた次第だけれど」

彼の手を、そっと頬に導いて。

「味わうなら……喰らい尽くすまで。だってココも、鉄火場でしょう?」

金十字の瞳は、まだなにか隠している。

神代理央 > 「違いない。互いに毒を宿した肉塊。であれば、毒を食らわば何とやら、と言ったところか」

絹の様な髪を指先でくるくると弄ぶ。その指先が離れるのと、彼女がベッドへと身を移動させ、己の手を頬に導いたのは、ほぼ同時だっただろうか。

「……ほう?最後の選択を私に委ねるか。貴様の肉を。貴様自身を。喰らい尽くすか否かを、私に委ねるか、エインヘリヤル」

頬に導かれた手を緩く滑らせる。
彼女が拒まなければ、己の指先を彼女の唇へ。その先へ。
己の肉にその歯を突き立てろと言わんばかりに唇を撫ぜる。

「……であれば。諸々吐き出して欲しいものだな。喰らい合う肉に異物があっては、おちおち牙も立てられぬ。それは互いに同じ事であろう、エインヘリヤル。
……肉欲に溺れに来た訳ではあるまい。貴様の本当の目的は、何だ?」

女心に疎くとも。秘め事への情緒が無くとも。
猜疑、疑惑、隠蔽の感情には敏感に生きて来た。そうならざるを得なかった。
だから問い掛ける。彼女の金十字の瞳に。逆光と同じく、金色を宿す瞳に。
隠し立てする事があるなら。それを告げるつもりがあるのなら。それが、互いの利益になるのなら。吐き出してしまえ、と。

逆を言えば、利益にならぬ事なら言わずとも良い。
であれば、利益で結びついたパートナーとして、また笑みを向け合う事が出来るのだから。

エインヘリヤル > 「あは……あはははっ、誘ったの私なのだから、乗るかどうかを決めるのは理央でしょう?」

さぞおかしいと言ったように、そのまま指に吸い付いて。
舌を這わせ、甘くとろけるようにしゃぶっていく。
だが、その程度ではまだ足りない。

「吐き出し方くらいは私が決めるわ。
 第一、その程度もできないような女を選んだつもりもないでしょう?」

抱き寄せると、口づけ。
繰り返し。
自らを容易に許さぬような女からの誘いとそれに乗った男の関係。

やがて舌を絡ませ、甘く濃くなっていく。

そして……舌に載せて。
予め防水ケースに入れたマイクロカード。

あからさまに渡せば全部記録に残る。
故に、色々、風紀公安周りの良からぬデータを集めたそれを、舌で渡す。

特に、日ノ岡あかね周りのアレは確実に失敗すると言っていい。
故にその対策とその辺の仕込みについてなども。

散々カメラが仕込まれた部屋で、なにかわかるようなかたちで渡すようなつもりはサラサラない。

【カリスマを気取っているが、女性関係が派手になった鉄火の支配者に嫉妬した、所詮はタダの女】
他人には、そう思わせるくらいでちょうどいい。
そもそも、体など最初から道具でしかない、使えるものは使う。

金十字の瞳が笑っていた。
最初からそのつもりで誘っていたわけで。



……もっとも。
そのついでに先を望んでもいいし、食ってしまうなら体の利害関係も受け入れるだろう。

それに、エインヘリヤルも【理央】が見せた顔がどんなものか、興味がないわけではない。

神代理央 > 「……選択するのは私か。私は悪食故な。毒で満たされていようが、罠の撒き餌であろうが…浅ましく喰らい付く男だぞ?」

指先に、柔らかな感触。
丹念に、愛撫するかの様に己の指先に彼女の舌先が纏わりつく。
そうして、離れた彼女の唇を逆光を浴びる紅の瞳が見つめている。

「…フン、分かった様な口をきく。それを否定出来ぬのも、腹立たしい限りではあるがな」

と、薄く笑みを浮かべた唇が、彼女と交わる。
無機質な電子音が響く室内に、囁く様に響く粘着質な水音と、シーツの擦れる衣擦れの音。絡み合う舌先は、時に蛇の様に。時に蔦の様に。
その口吸いの中で行き交った物は――或る意味で、男女の逢瀬よりも厄介な代物。
咥内に感じた硬質な違和感に一瞬瞳を細めるが、直ぐにソレを口腔の隙間へと。見た目にも、話すにも違和感の無い場所へ、己の舌先で押し込んだ。

ゆっくりと離された唇。二人の間を銀色の糸が繋いで、切れる。
それを軽く手で拭う――その最中に、口内に押し込んだ彼女からの『見舞いの品』を吐き出して、握りしめた。

「……浅ましいのは、貴様の方やも知れんな。エインヘリヤル。
随分とがっつくじゃないか。それ程迄に思われているとは、存外気付かなかったよ。
だが生憎先約の身でな。貴様が私に牙を立てるのは自由だが、私の牙は既に突き立てられた後故。兵は神速を貴ぶ、という事だ」

だから、彼女の演技に乗ろう。彼女が他者にそう見られる様に。そう思われて仕方の無い様に。
此の病室の映像とて、己の立場からすれば何処で流出するかなど分かったものではない。まして、見舞いの記録は調べる迄も無く。
だから、演じる。酷薄な男を。美女の誘いを弄ぶ男を。

「――だが、しかし。【見舞いの品】の礼くらいは、してやらんこともないさ」

彼女の手を取り、そのまま此方に引き寄せる。
抵抗されなければ、その黒い外套を。クラシカルな装いの首元に、歯を突き立てようと。
口付けでは無く、噛みついて。僅かな痛みと歯形を、彼女の首元に残そうとするだろうか。

エインヘリヤル > ああ、なるほど……あえて情の薄い様を演出する、と。
それもいいかもしれない。

自らの欲に落ち、神代様に弄ばれて貢ぐだけ。
あっという間に、偉そうぶっているだけの無様な女が出来上がる。

「喰らいつくと言っていながら……ずいぶんと薄情ね?」

まだ自分のほうが立場が上だと思っている、哀れな女を演出する。
操っていると思っていながら、とっくに男のものになっている女を。


……だから、喰まれてしまえば。

「……っふ、あ………………んっ、ふ……ぁく………………っ、ぁ……!?」

初めての経験にみっともなく、耳まで真っ赤にして、声を抑える少女がいるだけだった。
どちらか上だか、立場を思い知らされただけの、権力に溺れた小娘。

そんな様子で、荒い吐息をあげながら神代にもたれかかる。

神代理央 > 「薄情なものか。こうして、貴様の情もある程度は受け取ってやっただろう。寛大な私の慈悲に、寧ろ跪いて首を垂れるべきでは無いのかね?」

彼女は、どうやら此方の演技に合わせてくれる様だ。
データ一つ受け取るだけで随分と難儀な事だが――己も彼女も、それをこういう行動しか取れない様な、立場なのだから。

だから、喰らい付いた痕に、歯形に。撫ぜる様に舌先を滑らせて、ゆっくりと唇を離す。

「……特別顧問、と御大層な役職がついていても、所詮は浅ましい女でしかない、という事か。エインヘリヤル。
無様だが、愉快だぞ?そうして、我が身に痕を残されただけで喘ぐ貴様の姿はな」

己に凭れ掛かる少女の髪を抱きとめ、撫でる様に手を動かして――その掌が僅かに蠢いて、掌の物を器用に行き来させる。
そのままシーツの中に滑り込んだ掌が、ナニカをポケットに忍ばせる事に成功する。
即ち――彼女からの【見舞いの品】は、無事に他者の目につかぬ儘、取り急ぎは確保に成功した。

「…さて。何時まで喘いでいるつもりかね。それとも、他の誰かが来るまで、私に弄ばれ、権威を貶める事が御望みか?」

髪を撫で、頬を撫で、噛み痕を撫ぜて。
凭れ掛かった彼女の耳元で愉快そうに嗤い、囁く。
――手を用いる動作を繰り返す事で、マイクロカードは既に己の掌に無い事を伝えつつ。

エインヘリヤル > 「……くふ、ぅ……、や…………ん、ぁ…………」

必死に、声を押し殺すだけの小娘。
仕掛けてみたくせに、その感覚を自身でもわかってなかった、無様な女。

息も絶え絶えに、思わず漏れてしまっているような声を上げ、まったくいいようになぶられるしか出来ない。

「……っ、ど……して、こんなはず、じゃ………………ぁぁ…………」

おそらく初めて見せるような、戸惑いの瞳。
神代からの終了の合図を確認すると、きゅ、とすがりつくような哀れな動作で。

「だって……さっきまでは…………うま、く………………ふぁ……ぁ!」

ふるふると震えながら、やや小柄な彼女が。
普段見せないような初めての敗北を涙混じりに演じる様子は、ひどく可愛らしいかもしれない

神代理央 > 「どうして?それは私を侮った故。さっきまではうまく?その恨み言は、今現在の貴様に言う事だ。牙を突き立てるなどと、奢ってみせた過去の貴様にな」

彼女の弱みを。弱点を。女としての顔を。――全て偽りのソレを。
煽り立て、描写し、演じる。かたや、権力を笠に着た美女を嬲るだけの酷薄な男。かたや、男の反撃によって肉欲に喘ぐ高慢な美女。
それでいい。他者からの評価は、侮られれば侮られる程、良い。

「…だが、その顔は。私に屈したその表情は、本当に愉快で、愉快で、仕方ない。だから、今日は御終いだ、エイン。貴様には、何もやらん。昂った儘、熱を帯びた儘。精々一人で慰めていろ」

涙を浮かべ、震える少女を抱き寄せて。その耳元に噛み付かんばかりに唇を寄せると、低い声で囁いた。
――それは、演技と真実の入り混じったモノ。高慢な彼女が見せた演技に、嗜虐心を煽られたのは事実なのだから。だから、終了の言葉を告げる。或る意味で、降参だと告げる様なモノ。
それくらいの素は、彼女に曝け出しても良いだろう。贈り物の返礼、という訳では無いのだが。

「……身支度は整えていく事だな。熱を灯した貴様の躰に、無遠慮に反応する輩もいるやも知れんぞ?」

最後迄酷薄に。震える彼女を少し強引に引き剥がす様に起こすと、此方は背凭れの起き上がったベッドにぽすん、と身を預ける。
尊大で高慢な。"何時も通り"の『神代理央』として、彼女に声を投げかけるだろうか。

エインヘリヤル > 「……ぁ、ぅ…………」

言葉にならない。
だが、瞳は潤ませても、涙はこぼさない。

そういう演技。

さんざん弄ばれた挙句、もたれかかることすらも許してもらえず。
熱を帯びたその体をベッドに放置される。


「………………はい。」


短いが、肯定。
屈した……正確には「了解した、今日はありがとう、良い会合だった」という、そういう合図だ。

とても疲れたかのように、もそもそと無言で起き上がれば、後ろ向きのまま身支度と化粧を整えて。

「ッ……次は、覚えておいて」

悔しげな表情と、それでも火照ってしまったという熱を帯びた瞳で、屈服したことを認めないふりをする。
そういう演技。

次もなにも、仲の良い関係で、コレ以上ないパートナーだ。
どちらかが中途半端にためらえば成立しないのだから。

見舞いに投げつけるものとしては、新しい関係性とともにお互い便利に使えばいい。

表向きは以前通り。
その実、惚れた女がいいように使い回される関係。

女を戦略に組み込むのであればそれくらいでちょうどいい、そういうことだ。

そのまま、熱を宿した瞳で一度だけ振り返ると、負け犬が負け犬じゃないフリをしながらおずおずと退場する。


……ずいぶんな土産もあったものでもあるが。
エインヘリヤルからの見舞いの品は、そういうものであった。

神代理央 > 「次は覚えておいて、か。良いとも。次は、もっと甘く啼かせてやろう。それが貴様の望みならな」

彼女の演技に応えるのは、ひらひらと無作法に無遠慮に。手を振って見送るだけの簡素な、軽薄な男の演技。
最後迄彼女の想いを踏み躙る様な演技の末、一度だけ振り返った彼女にほんの僅かな苦笑い。
その苦笑は、完璧に演技をこなした彼女への、賞賛。

そうして、彼女が立ち去った病室で。
ポケットに収めたマイクロカードに、衣服越しにそっと触れる。
今は中身を見る事は無い。病室の端末は風紀委員として支給されたもの。最近任務に励んでいた事もあり、それなりに上等な。或る程度の情報すら閲覧出来る高性能なものが与えられているが、所詮は紐付き。
そんな物で、彼女からの【見舞いの品】を閲覧する訳にはいかない。出来れば、オフラインの環境下が望ましいだろう。

そうして、天上を見上げて思いを馳せるのは彼女との此れからの関係性。
対等な、利害関係の一致したビジネスパートナーから、僅かに変化した関係。内実は兎も角、外見的には多少漣が立つようなモノになるだろうか。
だが、それはそれで都合が良い。彼女程の女性を篭絡したと"思い込ませて"おけば、擦り寄る愚者も増えるというもの。
此の病室の一件を知り得る者がいれば、それだけで重要な情報に成り得る。己か、彼女か。何方かの動向を探っていましたという答え合わせなのだから。

其処で得られる恩恵に比べれば、己に多少悪評が立つ事などは問題にならない。問題になるのは寧ろ――

「……全く。適度な運動くらいは、しておくべきかもしれないな」

彼女の演技に付き合って、熱を持ってしまった己の肉体。
その熱をどう発散させるか否か。深い溜息には、仄かな情欲が混じっていたのだろう――

ご案内:「常世総合病院 VIP個室」からエインヘリヤルさんが去りました。
ご案内:「常世総合病院 VIP個室」から神代理央さんが去りました。
ご案内:「落第街 『爪痕』」に『シエル』さんが現れました。
ご案内:「落第街 『爪痕』」に角鹿建悟さんが現れました。
『シエル』 >  
そしてこの落第街も、広い。
どうしようもないほどに。
怒りも、悲しみも、絶望も、
影の中に呑んで消し去ってしまうくらいに。

落第街の一角、闇の奥。
表の者は、まず立ち寄ることすらない、その一角。

地面に転がる空薬莢や、刃物の数々。
そういったものが、どれだけの暴力が振るわれたのかを
静かに、ただただ静かに物語っている。

そして。ここで起きた事を語っているのは、無論凶器だけではない。

抉れた床に溜まっている赤黒い液体。
血と肉が焦げた臭いが、辺り一帯を覆っている。
そんな中で、幼い少女の泣きじゃくる声だけが、
ただただ虚しく響いていた。

幼き少女が寄りかかっているのは、年若き女の死体。
辺りには、破壊されたビルの瓦礫が大小問わず、無数に落ちていた。
落ちて、砕けて、抉って。

横たわった女は、痩せこけている。
その身体は最早、骨と皮に少しばかりの肉が乗っている、といった風だ。

その女の手に握られた鞄からは、袋に入った僅かばかりのパンくずが、
零れて落ちていた。
その顔は、見えない。
とても見られるような状況ではない。


これは、ありふれた出来事。
この闇の街で、きっと何処にでもある、一つの出来事。
多くの者に知られることは決してない。そんな風景だ。



痛々しく泣き叫ぶ声が響き渡る中。

まるで幻想風景の一部を切り取ったかのような
少女が、幼き少女の隣に座っていた。

制服を纏った彼女はただ、じっとその様子を見続けていた。
ただただ、静かに寄り添う者の頭を撫でながら、見続けていた。

その人形の手は、どうしようもなく不器用だった。

角鹿建悟 > ――少し前、一人の少女と彼は或る”約束”を交わした。
落第街がもし壊れてしまったら…自分が”必ず直す”と。
その約束は、荒唐無稽で実現性に乏しく、一人の力ではそもそも不可能で。
――だから、所詮は口約束で出来る筈も無い絵空事。
それは、約束をした彼自身が一番理解している。ただの人間一人に出来る事なんてたかが知れている。

(それでも――俺はアンタとの約束はきっちり守るさ)

そう、約束を固く胸に秘めて己への戒めとしながら彼は今日も何かを直している。


――そして、落第街のとある一角。闇深い一角は男もあまり訪れた事が無い区域だ。
それでも、仕事の関係でこの近辺には何度も足を運んで、直して、直して、直し続けてきた。
それでも、この辺りまで訪れるのは――部隊の先輩や隊長は兎も角、新入りの自分は初めてだ。

コツ、コツ、コツ、と固い安全靴の靴音を響かせて彼は一人そこを訪れた。
本当は同僚たちも来る予定だったのだが――何故か”お前一人で行け”と、真剣な表情で言われたのが気に掛かる。

結果的に、男は一人でこの場を訪れている――一人の任務は決して珍しくは無い…のだけれど。

「―――…」

生々しい痕跡。それを目の当たりにするのは初めてではない。
ただ、それを眺めてから自然と周囲に銀色の双眸が緩やかに向けられる。
――少女の慟哭が聞こえた。それだけで、何が起きたかなんて直ぐに分かる。

(――嗚呼…”分かっている”さ。俺がこういう時に直すくらいしか出来ない無力な男だってくらいは)

決して動かない無表情。決して揺るがない心、決して揺るがない…否、僅かに拳をギリっと握り締めるのを全ての感情の発露の代替として。

ゆっくりと少女に歩み寄る男の目には、同時に既に一人の幻想的な少女の姿が映っていた。
――『シエル』。そう彼女が名乗った名前はあの出会いから今までずっと耳の奥に残り続けている。
悪友たる特徴的な髪型の男と話した時も、彼女との出会いだけは口にしなかった。
――何故だろう?それは男には分からない。そういう感情なんて初めてだから。

「――――『シエル』」

静かに男は声を掛ける。その名を名乗った少女と、物言わぬ躯と、それに縋り付く少女を見つめながら。

『シエル』 >  
少女の慟哭は次第に小さくなっていく。
しかし、彼女の細い腕が母親を抱きしめる力は、より一層強く。

幼き少女は知らない。
こういう時に自らを慰める為の語も、
誰かへと助けを求める為の言葉も、
何も、知らないのだ。
故に、ただ弱々しいその力の続く限り、涙を零す。
零し続ける。


白髪の少女はただ、静かに降り積もる雪のような
その声で、唄う。
不器用にその背中を撫でながら、紡ぐ。


その歌は、故郷を思わせる歌。
その歌は、悲しみを和らげる歌。
その歌は、過去から未来を繋ぐ歌。


「……角鹿建悟さん」

振り仰げばその先に見えるのは、第九修繕特務隊の青年。
あの日、約束を交わした青年だ。

シエルは唄うのをやめて縋り付く者の頭をニ、三度優しく
撫でてから、立ち上がった。
そうして、建悟に向かってまずは一言だけ、言葉を紡いだ。


「お願い、できますか」

そう口にして、少女は『爪痕』を見渡す。
倒壊したビル。抉れた床。そして、下敷きとなった者。

やがて向き直り、建悟の方をじっと見つめるシエル。
それは、あの日に約束を交わしたのと同じく
虚ろな紅色の瞳ではあったが、その奥には以前と
異なり、少しばかりの色――悲しみの色が湛えられているように
見えたことだろう。

角鹿建悟 > その光景は…きっと、これから先も男の胸に残り続けるのだろう。
――一人の母娘を襲った悲劇。この”闇”の中では当たり前で、今この瞬間にも別の場所で同じような悲劇は起きている。
いや、もっと酷く凄惨な目に遭っている者も多いだろう。
けれど――

「………歌、か」

出会いの時も、彼女の歌声を己は聞いた。その歌は初めて聴くのに、何処か懐かしいような…そんな旋律だった。
その歌を邪魔するのは気が引けたが――仕事は放り出せない。
あの日、彼女と交わした約束と…幼い頃、■■した自分の為にも。

「…建悟でいい。いちいちフルネームで呼ぶのも面倒だろう。……仕事でここに来たんだが……。」

と、淡々としたぶっきらぼうな口調で答えつつ、彼女が気付けば会釈くらいはしただろう。
次いで、母親と思われる躯と少女を一瞥する。何の色も無い銀の双眸。それでも湛える光があり…けれど表には出さない。
少女を宥めながら一度立ち上がり、こちらに顔を向ける少女をじっと見返して。

「ああ――その為に俺はここに来た。アンタとの約束もあるからな」

頷く…しっかりと。死者に対して男がしてやれる事は無い…だから、今は自分に出来る事をやるしかない。
周囲の瓦礫や惨状の爪痕を一瞥してから、シエルへと視線を戻して。

「――その娘と…母親を守ってやってくれ。――この規模だと中々骨が折れる。
俺も今の全力でやった方がいいと判断した」

そう、彼女に忠告してからゆっくりとその場に跪く様にして右手を床に当てる。
何時もの詠唱じみた言葉は口にしない。ただ、念じる。

――さぁ、からくり仕掛けの歯車を回そう。逆しまに回せ、回せ、回せ、回せ――。

途端、周囲の瓦礫や破片が勝手に浮き上がり、動き出す。見る見る内にそれらが一つの形――惨状の爪痕になる以前の光景へと巻き戻されていく。

復元能力――決して珍しい力ではない。それでも、彼が一目置かれるのはその精密性。
元の形まで正確に再現し、巻き戻し、その場に存在を固定して完了とする。
物体に限定されるという絶対の縛りはあれど――故に、可能性に満ちた”直す”為の力。

「―――…っ…!」

ギリッ、と僅かに歯噛みする。本来なら、魔術で最初に建物の規模や構造を計測するのが正しい。
だが、一刻も早く直さなければ…そんな、言葉に出来ない気持ちが珍しく彼を突き動かした。

それでも、彼は”直し屋”として手は抜かない。多少の無茶は度外視してきっちりと復元をしていく。

――数時間?数十分?――否、”たった数十秒”で爪痕という悲劇の象徴を完全に”直して”いく。

『シエル』 >  
そう、これはただの一つの物語。
ありふれた物語。
此処は落第街、混沌の街。
光射さぬ影の中で、暴力と欲望が渦巻く街。

昨日にも明日にも、今日と同じようなことが繰り返される。
壊れ、壊され、死に、殺される。
建物は破壊され、人の心は踏み躙られる。
壊すのはそう、とても簡単なことだからだ。
とても。



娘と母親を守ってくれという男の言葉に、シエルはハッと
目を見開けば、静かに頷く。

「ここは危ないよ。さぁ、こっちへ」

幼き少女の肩を叩くシエル。
しかし、彼女は母親から離れようとしない。
ただ、お母さんお母さん、と泣き叫ぶのみ。

「大丈夫、お母さんと一緒に、逃げよう」

そう口にして、
母親の遺体を抱きかかえてその場から移動させようとするも、
娘はその場で激しく抵抗するのみ。

「分かった。じゃあお姉ちゃんが守ってあげるね。
 貴女も、お母さんも」

母娘を庇うように、小さな身体で覆い被さるように、
抱きかかえる。

同時に、男の異能が発動する。
割れた硝子を、破片となったコンクリートを、
着実に直していく。
覆水を盆に返すその異能が起こす奇跡を背中に
感じながら、シエルはただ一言だけ、呟く。

「大丈夫」

浮き上がる破片が、シエルの肩口を抉り、
頬を切り裂く。それでも、シエルは顔を歪めない。
少しも退かない。ただ、瓦礫から小さな命と、
母親だったモノを抱きかかえて、唄う。

器用な言葉など知らない。
悲しみを癒やす言葉など知らない。
だから、唄う。
彼女の胸の内にある歌を、唄って届ける。


その歌は、懐かしい日々を思わせる歌。
その歌は、誰かの悲しみを和らげる歌。
その歌は、誰かの過去を未来へ繋ぐ歌。


そうして。
たった数十秒。
たった数十秒で、『爪痕』は元の形へと戻った。

遺体と、今にも壊れてしまいそうな小さな心を残して。

角鹿建悟 > 光差さぬ街に光を差す事は出来ない。
何故なら、自分が出来るのは壊れた物をただ直すだけ。
人の心は直せない、人の心は癒せない、人の心は決して元には戻せない。

(――”だからどうした”。最初からそんな事は分かっている。自分がどれだけ無力なのかも。
――あの子とした約束が、ただの夢物語でしかないのも!)

角鹿建悟はただの人間だ。何でも出来る神様でも何でもないのだから。
ただ、その力を直す事に傾ける事が己に出来る全て。だから…やるしかない。

――無意味?分かっている。
――無駄?そんなの言われるまでもない。
――無茶?それでもしないといけないんだよ俺は。

「――俺は”落第街を直す”男だ……それを証明するって決めてるんだよ……!」

そんな、小さな呟きは復元の巻き戻しの余波に紛れて聞こえたかどうか。
無茶に復元した反動で内臓が軋む、筋肉が悲鳴を上げる、骨がギシギシ五月蝿い。
だが、目を見開いて僅か数十秒で全ての復元を完了する。

――男を基点とした、”半径500メートルの復元”を完了する。個人の規模としては破格。
――少女の依頼どころか、それを遥かに超える範囲を完全に復元していく。
全てが完了すれば再び闇に訪れるは静寂と…男の荒い息遣い。

「ハァッ…ハァッ…うっ…!」

心臓を押さえる。無茶どころではなく今の限界まで能力を使ったに等しい。
仕事はきっちりしたが、本来の依頼にない場所まで一気に復元してしまった。
それは己の未熟か――普段、決して表に出さない心の叫び故だろうか。

「仕事――完了、だ。…シエル…そっち…は?」

緩くそちらに顔を向ける。そうしながら、ゆっくりと立ち上がり。
今にも倒れ付してしまいそうだけれど、それでもそちらへと歩み寄り…”3人の”傍へと腰を下ろす。

…まだだ。あと一つだけ、彼に出来る事がある。それは慰めにもならない些細なものだが。

『シエル』 >  
凄まじい、修復だ。
破壊よりも凄まじい力が、落第街の形を修復していく。
シエル達の立っている傍にある建物だけではない。
近くの捻れた柱や、向かいの建物の弾痕までもが、
修復されてゆく。

落第街の形を崩したのは、力。
そしてこの修復もまた、力。
しかしこの男の放つ力は、
荒々しくも、どこまでも優しい力であった。

「もう、大丈夫」

母娘から離れて、立つシエル。
その身体からは所々血が流れている。
修復が終わったのを確認すれば、
彼女は数歩引いて、建悟の横に立つ。

娘は彼ら二人の様子を、
そして落第街が修復されていく様をただ呆然と見ていた。

そして口にする。

『すごい……かみさまみたい!』

娘は、まだ悲しみの色が残ったその顔を、
垢で汚れた袖で拭って、笑顔を見せる。

『おかあさんも、たすけてくれる……!?』

娘は顔を上げて、建悟を見やる。
その瞳はただただ純粋なもので、
通りすがりの彼《かみさま》に救いを求めていた。
それは、男にとってどれほど残酷な言葉であったろうか。

シエルは、何の色も映さぬ瞳で、建悟の方を見つめた。
静かに、見つめた。その目を細めて。

角鹿建悟 > 全身が鉛のように重いし頭痛も酷い。何かに脳みそを手づかみされてかき回されているかのような不快感。
血流、脈拍、鼓動、その他全てが今だけは正常からは程遠いだろう。
復元能力を今の限界まで使った反動…いや、意識があるだけまだマシか。
視界が明滅する、呼吸が中々整わない。耳鳴りがゴワゴワと酷いものだ。

それでも、ゆっくりと、足元がやや覚束無いながらもそちらへと歩み寄って行けば。

「…神様…か。」

素直に驚いたような、感動したような、嬉しそうな娘の言葉に男は…ただ、一度だけ目を伏せた。
そんなご大層なものではない。確かにそう幼子に見えても不思議ではないが…。

ここが、俺の限界点。今の角鹿建悟という男の終着点。未だこれ以上は先に進めない壁。
それを壊すことは出来る。”もっと無茶をすればいい”…だが、それは出来ない。
…今は無理でも、何時か越えてやるつもりではいるが…それは何時か、であって今では無いのだ。

横に並ぶ白髪の少女の視線を感じながら、無邪気に問い掛けてくる少女へと視線を合わせるようにして腰を下ろしてしゃがみこむ。

「――すまん。俺には君のお母さんを”治す”事は出来ない」

――何故なら、もうそこに命も、魂も無いから。
――何故なら、彼には生物を治す力は無いから。
――何故なら、彼は”かみさま”では決して無いただの人間なのだから。

僅かに幼子から視線を外すように俯いて…そっと、なけなしの力を振り絞るように。
彼は母親と思しきその躯に触れる。冷たい…温度すら喪われた遺体。
だが、その遺体の傷が少しずつ”修復”されていく――それでも流れた血はそのままだ。

「俺に出来るのは…君のお母さんを”綺麗な状態”に戻すことだけだ」

そう、幼子に語りかけながら、やがて母親の遺体を綺麗な状態まで”復元”する事に成功する。
――だが、それは変わらず躯であり、決して熱が戻ることも、血が通うことも無い。その瞳を開く事も……無い。

「―――ああ、俺は神様じゃないんだから…。」

このくらいしか、幼子にしてやれる事が無いんだ。