「学生起業プログラム」の成功例に数えられるのが「常世島スパ洞天《桃源リゾート》」である。
「常世島スパ洞天《桃源リゾート》」は、友人同士である魔術に長けた《異邦人》の魔術師の女学生と、詩文と神仙道に明るい中国籍の女学生がタッグを組み作り上げた大規模な商業系部活の一つ(元は《人工仙郷研究会》という名称)。
桃源とは言うまでもなく陶淵明の伝奇小説「桃花源記」に由来するものであり、いわゆる「桃源郷」を指している。
「桃花源記」に語られる桃源(桃花源)は、秦の時代に戦乱や始皇帝の圧政を逃れた人々がたどり着いた仙郷・理想郷であり、人々が平和に暮らす平和郷である。
この桃源の如き平和郷のように世界が安寧であり、「地球」人も《異邦人》も、《異能》を持つ者も持たないものも、《魔術》を使うものも使わないものも、皆が平穏に暮らせるような楽土となることへの祈り――それが「常世島スパ洞天《桃源》リゾート」の名に込められた意味である。
《異邦人》と「地球」人が手と手を取り合って成功を収めた事例として有名で、各メディアでも盛んに特集が組まれている。
《桃源リゾート》は常世島異邦人街の東の海上に位置する八角形のドーム状のプール・スパ施設である。
異邦人街にいくつか設けられた「洞窟」(をイメージした入口)を潜ることで向かうことが出来る。
道教において神仙が住まうとされる洞窟である「洞天」や、神仙の住まう崑崙山・蓬莱山などをイメージして作られている。
洞窟を模した海上・地下の通路を抜けたドームの中は、まさしく「洞天」の如く一種の別天地となっており、室内でありながら空があり、日月があり、昼夜がある。
明らかに外観よりも内部が広いため、とある地仙より譲り受けた仙宝そのものであるなどという噂も流れているが、《人工仙郷研究会》はこれに否定も肯定もしておらず、敢えて謎を残して宣伝材料としている。
プールエリアは「瑶池水宮」、温泉エリアは「蟠桃仙泉」と名付けられており、中央部分は崑崙山をイメージした「崑崙天柱」が建てられている。
別天地であるため外の天候とは関係なく常に晴れであり、昼夜も自由に入れ替わる。ナイトプールとしての利用も可能。
《異邦人》の魔術を「仙術」の演出として用いているため、普段「地球」では見ることの出来ない魔術を楽しむことが出来、特色の一つとなっている。
金銀にきらめく木々、鳳凰に慶雲・連理の枝など瑞祥を連想させるもの、桃などの仙果、「逆さに」落ちる滝などまさしく仙郷らしい不可思議な光景が「仙術」によって再現されている。
神怪小説の世界を楽しむことが出来るだろう。
洞窟の中の別天地というコンセプト上、屋外エリアは存在しない。
屋外で泳ぎたい場合などは海水浴場などを利用するのが良いだろう。
原則水着着用が求められるため、水着の着用なしに温泉に浸かりたい場合は扶桑百貨店の「少名の湯」を利用するのが良い。
常世島異邦人東の洋上に作られている理由は、海水浴場と客の食い合いを避けるためである。
創設者の二人は、既に学生起業プログラムに基づいて出資を集めて本スパ施設を作り上げて株式会社「桃源リゾート」を設立しており、卒業後の世界的な展開を目指して活動している。
※色々と書いていますが、よくわからないようであれば屋内かつ広大なプール・スパ施設としてご理解ください。
参加者(0):ROM(1)
Time:02:07:29 更新
ご案内:「常世島スパ洞天《桃源リゾート》 温泉エリア「蟠桃仙泉」」から宇賀野 実さんが去りました。
ご案内:「常世島スパ洞天《桃源リゾート》 温泉エリア「蟠桃仙泉」」から東山 正治さんが去りました。
■宇賀野 実 > 「んぐあー。 俺は…甘え乗ずうに…なってる!!」
指摘に素直に応じるしかなかった。 撫でてもらった上に
甘えている現状、全く抗弁できないのであった。
「でも嬉しいなー。 ベタベタ触り合いたいってんじゃないけど、
せーじさんがこうやって触ってくれる距離にいるのは嬉しいかも。
わかります?」
自分がこの姿になる前だって、別に仲はよかったけれど、
ここまでのことはなかった。 そう考えたら、この姿だって…
すこしでも相手が満足な気持ちになってくれれば良かったのだけれど。
「せーじさん、顔!!! 姪を叱るおじさんの顔になってますよ!」
自分の眉間にシワを作って手で伸ばすジェスチャー。
多分この人はいろんなことを考えすぎてるのだ。
それぐらい自分だってわかる。
「えっ、そうなの? じゃあもっと甘えようかな~。
せーじさんがそう言ってくれたから甘えタイム続行しましょうよ。
俺もまだいる!」
相手の提案に元気よく答える。 とはいえ、小さな身体は暖まるのも早く…。
しばらくしたらのぼせてギブアップしてしまうのでありました。
■東山 正治 >
温い暖かさの中でも、東山の思考は冷えていた。
ある種の職業病。頭空っぽにして馬鹿にはなれない。
どうせなら、こういうゆるゆるとした雰囲気になれたらな、と思わなくもない。
「いつもしてあげてるでしょうよ。
そういう実ちゃんは、随分と甘え上手になったなぁ」
おじさん同士のだる絡みはよくあったけど、それがこうなるらしい。
まだきっと子どもがじゃれているようなものだ、可愛いものだ。
それ以上のことなどもうきっと、訪れるはずもない。
寧ろ、起こしてはいけないものだ。考えるだけで憂鬱になる。
気づけば表情も少し険しい。本人が気づくわけもない。
「まぁ、別に俺だけに甘えてくれるのはいいんだけどね。
……で、そろそろ上がる?俺はもうちょっと浸かりたいんだけどね」
■宇賀野 実 > 「はーい。姪じゃないでーす。」
撫でてもらっている間は大人しくすることにした。気持ちいいし。
周りの視線が困惑色に染まるなか、すっかり東山先生に体を預けるのだった。
「んむーんおーんむぬんむむむ」
手を口で塞がれたのが楽しくてそのまま声を出す。
もちろんなにかいいたいわけじゃなくて、手の感覚と口の感覚が面白いから遊んでるだけだった。
周りの視線は完全に『仲良しさんだね…』みたいな生ぬるいものになっていた。
仲良しさんなので何も問題はないだろう。
口から手が離れたところで、相手の言葉に唸る。
「わーって動き倒して、力尽きてバタリみたいな感じ。
せーじさんは全然体力あるしー、ガタイいいしー。
人を撫でるのもうまいしー。 もっとしてー。」
頭の次はほっぺたを撫でてもらって目を細める。
もっといっぱい触ってほしいとばかりに、
自分からほっぺたを手にぐりぐり押し付けた。
東山先生に触れるチャンスなんて、飲み会の時に
同じ焼鳥に手を伸ばしてしまったときぐらいしかないし。
■東山 正治 >
「姪じゃないです」
でもこの男はそんな知略を真っ向から否定する。真顔で。
そんなことよりも自らの戸籍に旧友が追加されるのが嫌らしい。
まぁでも、そう言う割には小動物も甘やかすようにしてる姿に説得力ないのだが…。
「出すな出すな出すな!おい、また変な目で見られんだろうが!!」
絶妙な濁声であるがそんな可愛い女児姿で言われると変な目で見られる。
そりゃもうさ、と手慣れた手つきで口を塞ぎましたとも。
大きな手が、小さな口元を覆い隠して軽くチャックだ。
周りの視線が妙に痛々しい…そんな目で俺を見るな。
「体力はあるけど消費が早いのも子どもっぽいなぁ。
……俺?まぁ、体力はあるけど無理してる方ではあるかな」
委員会と教師の二足草鞋。
どれだけ働いても働いても仕事は減らない。
自身をすり減らすのが目的だからそれ自体に問題に一切はない。
体を寄せてくる小さなもふもふのほっぺも軽く撫でた。愛玩動物扱いだ。
■宇賀野 実 > 「ええ~~? せーじさんってば姪っ子にそういうこと言うんだあ~?」
口に手を当てて声を上げる。
周りの人たちの空気が『なんだ姪とおじさんなのか…』というぬるいものになったのを感じてキラリと瞳を輝かせた。
これが知略というものである。
「すごいよ、さっきのよりももっとこう…なんか、出ますよ?
お”お”んお”んみたいな感じのが!!」
国営放送のマスコットキャラクターみたいなだいぶユニークな喘ぎ…鳴き声を披露する。
どうだ、といわんばかりのドヤ顔だった。
「そうなんですよねえ~。 変わるならちゃんとしてほしいなー。
あ”あー。 撫でられてるー。」
不意に相手の手が動いて、自分の頭の上に載せられる。
大きな手が頭を撫でてるのが心地よくて、そのまま体を寄せて、
終わるまで大人しくした。
「体力は…有り余ってますね! でも消耗も早いかも。
せーじさんは? バリバリ男って感じがしますけどどうですか!」
硬そうな胸板とか、傷のある雄々しい肉体とか、大きな手とか。
羨ましく…そして甘えたくなってしまう相手の体を確認しながら、
何度も頷いて見せた。 これが”おとこ”のボディ!!
■東山 正治 >
「そんな可愛い顔してるとつい意地悪したくもなるんだがなぁ~」
そう言われたら乗るタイプ。そう、意地の悪い男なのだ。
くつくつと喉を鳴らして笑っては、それこそわざとらしく肩を竦めて見せた。
「……そういう問題じゃあ……まあいいけど。
それよりマシ、っていうのはわかるけど出るわけ?似合わないね」
女児っぽい悲鳴というか、雌っぽい声というべきか。
少なくとも東山はそれらを否定する。事実とは異なろうと、認めはしない。
それを認めること自体は、自らの根底の否定に他ならないからだ。
どことなく乾ききった表情、胡乱な視線がちゃぷちゃぷ泳ぐ実を追う。
「今じゃ小人とか妖精も珍しくないのにな。
変に体も若返っちまったのが余計に後を引いているというか、災難だな」
身体だけであれば、そういう種族はごまんといる。
だが、この先祖返りは人間基準でも若返り、幼くなっている。
精神はともかく、肉体の若さを大人が良しとしない訳だ。
難儀な問題とは思いながら、引っ付く実の頭をさり気なく撫でた。
犬を撫でる感覚と同じものだ。
「どーかな、若いから体力有り余ってるんじゃない?」
なんてちょっと皮肉っぽく返してやった。
実と比べて、固く鍛えられた体は前よりやや衰えを感じる。
但し、固く、生傷もある体は無理をし続けて軋んでいるのはよく分かる。
何よりも、今の女児の体よりも何よりも雄としてしっかりとしていた。
■宇賀野 実 > 「例え話ですうー! せーじさん意地悪するんだあー。」
言葉でじゃれ合っていても、なにしろ大浴場の魅力には抗いがたい。
すっかり気の抜けた様子でのんびりしながら、相手の言葉に顔を向けた。
「えっ、でも『きゃー!』とか『んんっ…!』みたいな声よりは良くないですか?
その……ね? 変な声上げてる子どもがおるなあ!で済む範囲っていうか。」
相手の言いたいことはわかるし、視線がちょろちょろ向いているのはわかる。
こちらをちょっと見てる人に笑顔で手を振ると慌てて顔を背けるあたり、丸わかりだ。
「そういうことなんですよ。 まあでもとりあえずの判断として、見た目は大事だから…。
その”とりあえず”の判断基準となる見た目がこうなのがよくないんだわなー。」
こまったなー、とのんびりした調子で続けながら、ちゃぷちゃぷとお湯を移動する。
自分のちっちゃいからだと相手の体がひっつく。 でかい大人の身体だ。
自分もこうだったはずなのになー。 ちょっとだけ嫉妬。
「俺だって疲れてるんですけどー。 声出ちゃうんですけどー。
せーじさんに比べたら俺おじさんじゃないけどそれなりにおじさんの自負があるんですけどー。」
暴論にダル絡み…半分ぐらい子どもめいた屁理屈だが、それはそれ。
お湯をすいすい移動するけれど決して離れることはせず、
時々東山先生の腕につかまって方向転換したりして遊び始める始末だった。
大浴場といえば、泳げるぐらい広いのが嬉しい。泳ぐわけじゃないけど、
こうやって熱いお湯の中を動くという感覚はほかでは得られないのだ。
■東山 正治 >
「そんなひらひらふわふわの病院着あってたまるかよ」
確かに病状と言う意味ではその通りだ。
商魂戦略に加えて、見た目にも縛られる。
ある意味グローバルな時代にそぐわぬ縛られ方だ。
やや呆れ気味に肩を竦める。
「……、……俺が言えたことじゃないんだけどさ。
その姿でその、おっさんなんだけどおっさんらしい声を出すのはこう……」
あんまり良くはない。思わず顔をしかめるほどにこう、まずい。
絵面的にあんまりいい声ではない。というか視線が痛い。
まるで、こっちがなにかしたみたいじゃないか。こっちは何もしてないぞ。
おい、こっちを見るな。思わずそのへんの客に睨みかけてしまった。
「まぁ、何にせよ中身はともかく見た目で結構言われるのはやってられんわな」
見た目は女児、中身は同じおじさん。
難儀さ、窮屈さはいかんともしがたいものだ。
脱力する小さな体と自然にひっつきあう状態に。
柔らかな子どもの体と比べて固く、傷だらけの大人の雄の体。
「ウルセェな、俺はいいの。疲れてるから」
暴論である。
■宇賀野 実 > 「ほら、入院してたら患者衣着るようなもんですからね。 こればっかりはね。」
うんうん、と相手の言葉に鷹揚に頷く。
どんどんと違和感が失われて、こういった服も着こなせるようになっていることに
ちょっとは危機感があるが、他に着られるものも合うものもないのだ。
「えっへっへー。 このかけ湯ってのがね、いいよね…ん”おお!」
名前を訂正されるとますますもって嬉しそうな表情になる。
このやりとりは、自分がどうなっても変わらない、彼と自分だけのものだ。
嬉しさのあまり、お湯を自分の体にかける手に勢いがつきすぎた。
ばしゃあと自分の身体にお湯をぶちまけて変な声が出た。
「いや~、やっぱり女児だけだとだめなんだなー。おじさんがいてくれないとね。」
嘯きながら、自分の小さな手でぎゅっと相手の手を握り返す。
相手の手は変わってなくて大きい。
こうして握ることなんて多分初めてだけれど、信頼感があった。
相手に合わせるようにしてそろそろと大きな浴槽に体を沈めていく。
「お”う”う”……」
唸り方はおっさんだけど、声は女児だった。
「せーじさんも同じ声出してる。 足を伸ばせるお風呂は気持ちがいいもんなー。」
一度入ってしまえば、これほどくつろげる場所もない。
すっかり脱力してご満悦の表情だった。
■東山 正治 >
「くっ…はは…風体ね?ならしょうがねえか」
思わず吹き出してしまった。
確かに見た目だけで言えば立派な女児。
施設側のことも配慮すれば寧ろ混浴に行くべきなのかもしれない。
とは言え、性別は(今は)立派な男の子。何も間違いはない。
「正治ね。そう慌てないの、まずはかけ湯な。体温めような」
そうあだ名で呼ばれるのをこうして訂正するやり取りも最早手慣れったものだ。
まるで、というより見たまんま子どものようにはしゃぐ実を制しつつ、桶でかけ湯を救い足元から。
今となっては"おじん臭い"とも言われそうだが、そういうものだ。
勿論隣の旧友にもしっかりとかけてあげる。見た目はまさに父の娘。
「……まぁ、年齢はともかく見た目だけなら保護者同伴って言われそうだしな」
どうせそんな理由だろうなぁ、と思いつつとりあえず手を引いていくことにする。
大きく、固く、無骨な男の手が柔らかな女児の手を暖かく包み込む。
とりあえずは大風呂だ。何にせよゆっくり浸かることにしよう。
丁度よい温く、長風呂出来そうな温度だ。ゆっくりと足から、沈んでいく。
「あ~……」
あ、おっさんの声だ!おっさんの声が漏れている。
■宇賀野 実 > 「っしゃあ!!!入るぞー!!」
気合を入れまくって大風呂エリアに踏み込んだが、
一緒に来てくれた人にいきなり突っ込まれた。
相手を見上げながら、にこにこと嬉しそうに相好を崩しながら答えた。
「いや、俺もパンイチでって言ったんですけど、
受付の人が『ちょっと風体的にそれはまずくて…』って聞かなくて。
成人男性ですけどっていったら、『それならなおさら見た目に配慮してください』って…。
あんまりゴネるのもなんだなーって思って。」
白いワンピース風水着である。鼠径部部分にフリル、そして全体にリボンをあしらった水着は、
明らかに女児用のそれであった。
「それより、せーじさん早くお風呂入って上がって飲みましょうよ!!」
ぴょこぴょこ飛び跳ねるとポニーテールが揺れる。
はたから見れば、引率者と甘えている女児のペアだ。
通りがかる他のお客さんも微笑ましげに様子を眺めていた。
たぶん、幼い女の子を連れてきたおじさんとかお父さんとか、
東山先生はそういったものとして見られているのだろう。
「いやー、しかしでっかいお風呂は久しぶりだなー。
俺一人だと最近ここ入れてくれないんですよね。」
保護者がいないとだめって言われる。 それは言わないでおいたけど、
とりあえず東山先生の横にぴったりついて、一緒に歩くことにした。
■東山 正治 >
常世島スパ洞天《桃源リゾート》蟠桃仙泉エリア。
この複合施設の温泉施設の一つであり、有り体に言えばスパ銭とも言える場所だ。
各種エリアでも似たような決まりだが、今や性別どころか人種さえグローバルだ。
水着一枚隔てた裸の付き合いというのは公共の場において珍しくはない。
「……俺が言うのも何だけどさぁ、よく選んだなここ」
湯気の立ち上る大風呂エリアに踏み込む東山は皮肉めいて吐き捨てた。
旧友と訪れた同施設のプールでそれはもう"色々"あったからだ。
決していい思い出はない。苦い笑みを浮かべたまま、小さな旧友を横目で見やる。
「ま、別に友人の誘いを断る気はないから受けたけどな。
……一応男湯なんだよね、ここ。マジでそういうの着てくるの?」
ご案内:「常世島スパ洞天《桃源リゾート》 温泉エリア「蟠桃仙泉」」に宇賀野 実さんが現れました。