2015/06/22 のログ
サリナ > 「メガネの事ですか?ええ、なんでしょう…」
ふと、オリハの視線に気付いて振り返った。夕暮れ時の街並みと空を目に焼き付ける。

「…もうそろそろ遅くなってしまいますからね。私は異邦人街住まいですが、そこから列車に乗りますので大丈夫ですよ」
少し遠回りになるが問題ない。今日はいつもと違う駅で夕飯を取れると思えばいいのだから。

谷蜂 檻葉 > 「そう? じゃあカフェの方でもいこうか。
 えっとね、最近ちょっと度が足りないかなって思って丁度新しいのもいいかなって考えてて―――」


こうして、珍しい場所で、新しい収穫を得た。
異邦人街という事もあってこれから先も聞くことが沢山ありそうだ。

そんなことを思いながら、サリナと並んで廊下を後にする―――

ご案内:「廊下」から谷蜂 檻葉さんが去りました。
サリナ > 「なるほど、度が足りないと…そのメガネをつけてどのくらいですか?0.5ぐらい?」

………
そういえば、こんな風に誰かと一緒に帰るなんてこの世界に来てからあっただろうか。
思えば今までずっと一人で居た様な気もして、孤独というものを初めて認識した気がする。

そんな事を思いつつ、おしゃべりしながらの帰り道となったのだった。

ご案内:「廊下」からサリナさんが去りました。
ご案内:「保健室」に来島宗仁さんが現れました。
来島宗仁 > 「――ちょっと緊張するなぁ」

柄にもなくこの男、そわそわしている。
今日はちょっと大切な報告があるのだ。
――頭の中で、台詞をもう一度反芻する。

ご案内:「保健室」に雪城 涼子さんが現れました。
雪城 涼子 > 来島宗仁という、長い付き合いの人物から連絡があった。
話がある、と。まあそういうことらしい。
となると、以前の件だろうか……そういえば、さいこ先生も曰く有りげな感じだったし……まあとにかく聞くしか無い。
目の前の扉をノックする。

「……失礼致します。来島先生、いらっしゃいますか?」

来島宗仁 > 「あぁ、涼子さん――すいませんね、呼び出したりして」

保健室には他に誰も居ない。
丁度いいだろうといつもどおりの口調で、椅子を勧める。
この男にしては準備の良い事に、お茶の用意もしてある。

「ま、ちょっと話がありまして……」

雪城 涼子 > 「ん……いいのよ。というか、今更そんなこと気にするほどじゃないでしょ。」

勧められた椅子に座る。こちらも口調を改め、普段通りにする。

「お話ね。うん、分かった。それで……どうしたの?」

お茶があることに、へえ、と妙な感心をしながら先を促す。

来島宗仁 > 「ええ、まぁ、その――」

さて、どう話したらいいか。
……お茶を一口飲む。用意しといて良かった。

「さいこの事、でして……」

前にここで会った、あの教員の、と補足する。

雪城 涼子 > 「ふんふん、さいこさんね。そーくんのところで引き取ったっていう。この間会ったわよね。」

話しにくそうだなあ……でも、あの様子からして悪い方に転がってはいないと思うんだけれど……
んー……どうするかな。ちょっと押してみるか。
そんなふうに思案する。

「なに?喧嘩でもしたの?」

来島宗仁 > 「ええ、そのさいこです」

うんうんと頷きながら。
一応色々筋道だてた説明は用意してきたのだが。
さて、どうもっていくか。

「あ、いえ、そういう事じゃなくて。
いやまぁ、ちょっと若い女性とひとつ屋根の下ってのもまずいかなと思って、家を出たりもしたんですが……」

雪城 涼子 > 「ああ……まあ、そうね。最初にそのことに思い至らなかった辺り、そーくんらしいけれど。」

家に帰っていない話は当のさいこからも聞いていた。
なるほど、そんなことを考えていたのか……

「じゃあ、喧嘩じゃなかったら……どうしたの?」

来島宗仁 > 「あはは、面目ない事で――」

がりがりと頭をかきながら反省する。
いやまぁ、本当にいつもそうなのだ。
誰かを助けようと見境無く手を伸ばし、後から後悔する。そればかりだ。

「ええ――まぁ、ちょっと色々ありまして。
おかげ様で、家には戻ったんですよ、ええ」

雪城 涼子 > 「……」

苦笑する宗仁を見て、此方は軽く微笑む。
本当に、昔から生真面目で……時に危ういくらいなのだ。
彼が失ったものたちがそうさせるのだろうけれど……そう考えると、自分も、失わせてしまったのか、と少し悩ましくもある。

「うん? 戻ったの? それなら、何も問題なさそうだけれど……」

だからこそ、なにか良いことがあるなら嬉しい、そう思い。
少しとぼけつつ聞いてみる。

来島宗仁 > 「……ええ、まぁ、5年前を思い出しましてね」

5年前。あの日、涼子を助けられなかった事。
それどころか、自分が何も出来なかった事。
――己の無力に絶望した時。

「こいつを離したくない、失いたくないって思いました。
傍にずっと居て欲しい、いや、無理矢理でも繋ぎとめようって」

赤くなりながら報告する。
あの日、自分が何も出来なかったから。
だから、がむしゃらに手を伸ばし続けた。
助けなくて後悔するよりも、助けて後悔しよう、その方が諦められると。

「まぁその……そういう事です、はい」

雪城 涼子 > 「……」

五年前。ややずきり、とする。
それは宗仁の傷でもあるが、自分の傷でもある。
取り返しがついたようで二度と取り返しの付かない、アレは……思う度に心が痛む。

「ん、そっか。」

だから、微笑む。傷など無い、と。傷つけた人たちに微笑んでみせる。

「それで……どういうことなのかな?」

そして、少しの意地悪。そこは噛み締めて、きちんと言ってもらわなければ困るのだ。

来島宗仁 > 「――あの、その」

あ、意地悪な顔になった。
……叶わないなぁ、と思う。
が、言うのが義務ってもんだろう。

「……告白しました。
あいつと、一緒に歩んでいきます」

まっすぐ、目を見て。
――なんだ、言えたじゃないか、来島宗仁。

「……あと、その、勢いで……婚約とか、しちゃいまして」

照れくさそうに、左手を見せた。

雪城 涼子 > 「え――」

うん。告白は想定内だった。ひょっとして有耶無耶にしつつも、ひとまず受け入れる、なんて展開も予想したけれど……
そこについては、よく頑張ったね、宗くん、と思うわけだが。
いやでもしかし、まさか一足飛びに婚約までするとは。

「あ、あはは……まさか、そこまで飛んじゃうなんてね。
 確かにそれは、宗くんから聞かないとダメだ。」

思わず笑い声が出てしまう。驚きと、嬉しさと、そして生真面目さゆえの飛び方。
なんとも複雑に気持ちの入り混じった笑いだった。
うん、さいこさん、良かったね。

来島宗仁 > 「い、いやぁ、婚約はもうちょっと後にするつもりだったんすけど……」

勢いって怖いっすね、などと恥ずかしそうに言う。
まぁ、だが、それも俺らしいか、と腹を括った。

「――涼子さんは家族ですから、俺から報告しないと、と思いまして」

雪城 涼子 > 「でも、ご丁寧に指輪も買ったんでしょ?勢いにしては、ちょっと頑張りすぎね。
 あはは、でもらしいよ。うん。」

くすくす、と笑いの余韻を残しながら続ける。

「あー……ごめん、ちょっと笑いすぎて涙出ちゃった。
 でも、別に馬鹿にしてるわけじゃないのよ。」

軽く、眼を拭う。本当は、ちょっと違う意味もあるけれど……それは秘密。

「うん、ありがとう宗くん。じゃあ、これからは……さいこちゃんも、家族だね」

来島宗仁 > 「――ええ、これからもよろしくお願いしますよ、涼子さん」

そう言った時。
ほんの少しだけ、胸がチクリと痛んだ。
それは、彼の青春の、最後の残滓だったのかもしれない。

「……さて、それじゃ通常運転に戻らないと。氷架の奴に野菜食わせるのも再開しないといけませんね」

雪城 涼子 > 「そうね……あ、そうだ。」

ふと思い出したように、宗仁の方を見る。

「宗くん、この間の話だけどさ。折角だし、さいこちゃんと行って来なさい?」

覚えてるよね、と。話を振る。

来島宗仁 > 「――あー」

そうだ。デートの約束をしてたんだ。
……ちょっともったいなかったなー、と思ってしまった。

「はい、そうします。
んでも、涼子さんも今度行きましょうね――氷架とか、括流も一緒に」

雪城 涼子 > 「ん、そうね。家族だもの。皆で、遊びに行きましょう。
 そろそろ暑くなってくるし、海に行くのもいいわよねえ。
 折角だし、島とかプライベートビーチでも用意しようかしら」

少しだけ、見かけどおりの子供になったかのように、きゃっきゃっと楽しそうにする。
ただし、言ってることの規模はやたらでかかったが。

来島宗仁 > 「は、はぁ、島ですか――
あ、そういやさいこも水着買ったんですよ。
みんなで海行くのもいいですね」

夏と言えば海。まぁこの男は根っからの山派だが。
だが、ちょっと待てよ――

雪城家と来島家でプライベートビーチ?
さいこ、涼子さん、括流(人間)、あとついでに氷架。
男は俺だけ。

あれ、これ、俗に言うハーレム状態じゃね。

「……びば、プライベートビーチ!」

小声でガッツポーズしておく。