2015/09/15 のログ
■流布堂 乱子 > 「嘱託の方、ですか。
流布堂乱子と申します、刑事課の所属です。
よろしかったら連絡先を伺ってもよろしいですか?」
広域の無線網で発信するのは未だに心理的な抵抗と、幾つかの実務的な問題がある。
なにより、人手が足りずに増援の許可が降りないことの方が多いのだから、
助け合いの輪を強引に広げていくに限る。
深々と頭を下げた後、乱子は端末を差し出した。
紙束でパンパンの薙の鞄を見ながら、
「このご時世に、紙を…」
鳥を撫でながら、そのまま持っていた端末を操作して該当のページを表示した。
どうにも生き急いでいる少女が手間をかけるべき項目でもない。
部外者でなくなった青年の前ならそう構うまい。
「具体的に申し上げますと、生体改造で人体を遥かに越えた強さを持たせ、
指先の一つまで制御下にある軍勢を使い潰してくる、
白い仮面の……須崎、という男ですね。
元教員、ということになるでしょうか」
最後の一文だけ、少し言うのが憚られた。
自分の報告を確認しながら話す乱子の端末の通知欄にポップアップするアイコン。
目撃者はほぼ存在しないか、詰め所の風紀委員が対応しているはずだ。
その事件を伝える速報に、
「……悪趣味ですね」
とだけつぶやいた。
■薙 > >秋輝
「薙(ナギ)といいます。お見知り置きを」
小さく頭を下げて、じっとその姿を眺める
それなりに鍛えられた体幹はしているようである
風紀委員も戦闘員ばかりではないようだが、戦える人材のようであった
>芙蓉
「最初から冷静に応対してくださればよかったのに」
くすりと笑う
>乱子
「白い仮面の須崎…元、ということは内部の事情を知っている相手ですか?」
なるほどそれは厄介かもしれない、と口元に手を当てて考える
「…?」
その後の呟きに小首を傾げる
悪趣味、とはどういう意味だろう
■寄月 秋輝 >
「申し遅れました、僕は寄月秋輝……アキ、と申します。
よろしくお願いします、霜月さん、流布堂さん……薙さん」
それぞれの名を呼びながら、ほんの少しだけ微笑んだ。
「……そうでした、連絡先を。
研究所からの借り物ですが、端末はありますので」
ささっと軽く操作して、自分の端末データを呼び起こす。
それを乱子の方へと向け、データの交換を行う。
「帯刀の許可はもらいましたが、刀が無いのでしばらくは素手で。
もしくは借り物の刀でもあればいいんですが……
それで、現在一番厄介そうな案件は」
その話か、と耳を立てる。
白い仮面、強化人間。
なんとも、嫌な記憶を想起させる話だ。
■霜月 芙蓉 > 「ふぅん、刀なんだね」
ぽつ、と口にする。
薙もそうだが、日本刀の遣い手はやはり多いようだ。
霜月芙蓉にとってまず第一に思い浮かぶのは、兄である霜月零である。
芙蓉の中では最強最高のお兄ちゃんなのだが、それをここで引き合いに出してもあまり意味はないだろう。
そんなことを思って口を閉ざし、別の方向に反応していく。
「生体改造、は確かにほっとけないね……それに、先生が……」
むむ、と考え込む。
教師と言うのは時に聖職者とまで言われるが、だからと言って邪念がある教師がいないわけではない。
だが、教師と言う立場は、生徒の情報を管理するのに有用。その立場を利用して実験などを行ったのだろうか。だとすれば確かに、赦しがたい事だ。
「じゃあ、最初に怒るようなこと言わないでよ……」
薙にはげんなり。
まあ、本人はそんなつもりもないのだろうから、本当に言うだけ無駄っぽいのだが、こればっかりは言わずにはいられなかった。
■薙 > 「さて、それでは遅くなってしまいますし。
訓練施設のほうに向かうとしましょうか」
脇にあった朱塗りの太刀と鞄を手に、立ち上がる
お茶の空き缶をゴミ箱にいれて…
「先に向かっていますので。
ちゃんと来てください、芙蓉先輩」
では、と3人に頭を下げて、本部を出て行くのだった
■流布堂 乱子 > 借り物の端末に、無刀への帯刀許可。
事情は複雑、というところなのだろう。
「では、アキさんと。
……木刀くらいしか貸出はないかとも思いますけれどもね」
無事に連絡先を交換して、そういえば自分のもギルドから借り物だったことをはたと思いだしつつ。
追っている事件についての話題に戻った。
「研究員としてはそれなりに真面目なようでしたから、
最近出歩いている七英霊とやらと比べれば遥かに此方の事情、能力なんかには詳しいでしょうね。
……それになにより、私達との交戦回数が多いですから。経験豊富、というところです」
それは、風紀委員会が何度か彼を取り逃がしている、ということでも有り。
「一番放って置けないのは、今も誘拐を繰り返している、というところですけれども。」
端末をみせて、常世速報を開きながら。
「この誘拐事件が、先ほど私の対応した案件です。
未開拓区域担当の風紀委員は、この手のインタビューを許すほど職務に怠慢ではないように見えました。
……自分で喧伝しているか、あるいはあの男に想像を絶する追っかけが付いているか。」
「どちらにしても悪趣味としか言いようはないと思います」
そう締めくくった。少しだけ、眉をしかめている。
ご案内:「委員会街・風紀委員本部」から薙さんが去りました。
■寄月 秋輝 >
立ち去る薙に手を小さく振る。
「素手でも強化人間程度なら後れを取る気がしませんけれども、慣れた武器は欲しいですね。
……木刀でもあれば本当に助かるのですが」
それが当然であるかのように呟いた。
自信か過信かまではわからないが、表情に揺れは何一つない。
「なるべく僕も動けるようにはしますが、嘱託の身にそこまで回ってくるかどうか……」
最も苦しいのが情報の面で遅れてしまうことだ。
正規の風紀委員ではないから仕方のないことだが。
■霜月 芙蓉 > 「あ、ちょっと!遅れるかもよー!?」
薙には声をかける。今は会話中、いきなり切り上げるのもどうかと言う気もする。
が、ある意味マイペースそうな彼女は、向こうでのんびり待っていそうで、なおかつ遅れたら待たせすぎとか言ってきそうである。
「最近物騒だね……っていうとベタだけど、ちょっと治安が悪いよね」
乱子の言葉を受けてそう返す。
落ち着いていたかと思ったらこれだ。やっぱり、お休みなどとヌルいことを言っている余裕はないかもしれない。
「まあ、無理はしないでね。
……この島は、本当のバケモノだっているんだから」
秋輝には、そんな忠告をしておく。
……いるのだ。人知を超えたバケモノ、多少自信がある程度では決して歯が立たない狂戦士が。
■流布堂 乱子 > 「ではまた。薙さん。連絡先を教えてくださりありがとうございました」
深々とした礼に、またも鳥が追従した。
……仮に、戦力として本当に頼りになるのであれば。
「元手があるのでしたら、それなりのものを見繕ってくることは出来ますけれど。
武器のたぐいに造形の深い知り合いが居りますから」
それは間違いなく違反部活なのだが、
先に連絡をしておけばそれなりに店内を"掃除"しておいてくれるはずだ。
「今はなくとも嘱託のほうの賃金で払っていただけることを信じてお貸しすることも勿論可能ですけれども。」
思ってもみない商機に出してはいけない方の色気が出てくる乱子。
「情報に関してはこの新人も同じような立場ですので。
支えあっていくと致しましょう。」
愛想笑いの一つもなく。似ているのかな、とぼんやり思いながら。
「ああ、そういえば芙蓉さんとの待ち合わせですものね。
……よかったら乗せていきましょうか?
先回り、してみるのも悪く無いかと」
同時に着く、遅れる、に続いて現れる第三の選択肢。
自信ありげに鳴く鳥。
表情は変わらないのに声だけは雄弁に。
「……この島では、誰にとっても物騒で、自分自身で向き合わざるをえない出来事が連続しているんですよ。
わざわざくちばしを突っ込む人達にとっては、忙しい限りですけれどね」
それまでの声音とは違って、どこか人ごとみたいに。
「たとえば、各々それぞれにとっての化物、なんてのも居ますからね。」
最後の一言だけは、牙を剥くようにして笑いながら言った。
■寄月 秋輝 >
「人でもバケモノでも、倒せない相手は居ませんよ。
本当に恐ろしいものはそんなものではありませんから」
これもまた当然のように呟く。
知らない人間の口調ではない。
文字通り、もっと恐ろしいものとの対面を経た、恐ろしく重い言葉だ。
「……いえ、資金のアテが本当に無いので……
研究所の支援もアテにしたくないですし、嘱託員として賃金を受け取るに値する実績を挙げられるかどうかもわかりませんから」
結構な渋い顔をして呟く。
随分と金銭には過敏なのか、曖昧な態度は取ろうとしない。
「……待ち合わせ……そういえば先ほど薙さんが。
失礼しました、お邪魔してはいけないので僕もそろそろ……
それでは、今後ともよろしくお願いいたします」
再び二人に礼をして、靴の先を外へ向けた。
■霜月 芙蓉 > 「……そっか」
小さく、儚く笑う。
自分は負けて、尊厳を踏みにじられた。
どうか彼が、同じ悲劇に見舞われませんように。
そう祈るしかできなかった。
「うん、ごめんね。あんまり待たせちゃうと何言われるかわかんないし、そろそろ行ってくるよ。よろしくね」
そのまま秋輝に手を振って見送った。
「……で、じゃあついでにお願いしちゃおうかな。先に行ってなんになるってわけでもないけど、待たせちゃうと悪いしね」
乱子には、先程とは変わって軽い調子で言うのであった。
■流布堂 乱子 > 「……確かに、絶対に倒されない自信もありませんしね」
ルフス・ドラコはそう大きく物理法則をねじ曲げた存在でもない。
赤龍もまた、同じく。
恐ろしいのは――
「まあ、いつかお金の都合がつきましたらでよろしいですので。
連絡さえいただければ翌日にはポストに長物が刺さっている勢いですから、
是非ご連絡下さい」
さりとて、青年の背中へと念押しを忘れずに。
「こちらこそ、よろしくお願い致します。」
そう言って、頭を下げた。
「さて。そこそこ時間こそ掛かりましたけれど、この鳥の速さなら電車にも負けませんし……」
勝機はある。
彼女はどうしようもなく方向音痴だったはずだ。
「お任せください、先輩。」
乱子はこくりと頷くと、鳥を外へと促した。
床を傷つける心配がなくなってからゴム爪を外させると、鞍袋にしまう。
手綱を掴むでもなく触れると、鳥が足を畳んだ。
人二人を載せてそのまま立ち上がろうと言うのだから、いかに強靭な足腰か伺えようというもので。
「では後ろにどうぞ。飛ばしますので、しっかり捕まっていて下さいね。
……先回りしましたら、適当に隠れて様子をうかがい、
『遅いですね』とか薙さんが言い始めたら登場しましょう。」
クエ!と鳥が高らかにその意気を支持した。
先輩と後輩の関係というものを……叩き込んでやるのだ、と。
金色の風が委員会街を駆けて行く。
ご案内:「委員会街・風紀委員本部」から寄月 秋輝さんが去りました。
ご案内:「委員会街・風紀委員本部」から流布堂 乱子さんが去りました。
ご案内:「委員会街・風紀委員本部」から霜月 芙蓉さんが去りました。
ご案内:「公安委員会外事部特殊情報課」にライガさんが現れました。
■ライガ > ライガが昼食のサンドイッチを片手にドアを開けると、同僚の委員にぐいとつかまれ、引きずり込まれる。
室内では数人があわただしそうに、本棚とデスクを行ったり来たりしていた。
『ペンタゴン方面はどうなってる!』
『まだつながりません!』
あちらこちらで怒号や悲鳴が飛ぶ。
忙しそうに駆けまわっていた委員がライガを見つけると、遅いぞ、どこへ行っていたんだとまくし立てた。留学先から帰り、9月から復学しているアジア担当のひとり、名前は劉さんだったか。
「いや、普通に学園で授業を……って、どうしました?
まさか、数日前のハイジャック関係ですかね」
ライガが問いかけると、劉は苦々しげな顔をして答える。
『そんなところだ。
だが問題はそっちじゃない、その後に起きた各国の特殊部隊による世界各地での報復行動。
テロ対策とのことだが、これがいろんな勢力間問題をすっ飛ばして異様なスピーディーさで起きたことで、多方面に波紋を呼んでいる。
あまりに急だったんで、留学生の中にも未だに連絡が取れないやつがいる。
が、それはこっちでなんとかするから、まだいい』
ここで傍らのポットからお茶を注ぎ、カップをグイッと煽った。
『突如起きた軍事行動に、複数の国や組織から非難の声が上がっている。
件の英国とていまだに敵は多い、ハイジャック犯をひそかに支援していた国もあったであろうな。
ライガ、君は中東方面担当だろう、奴らが武装勢力を焚きつけないように、なんとか抑える方向に頼んでくれ』
■ライガ > ライガが慌ててデスクに向かうと、図ったかのようにポケットのスマホが鳴り出した。
通知を見ると、数か月ぶりに見る名前があった。
部屋の片隅へ行き、喧騒が聞こえないように片耳を塞ぎながら、電話に出る。
「はい、僕です。
“百面相”、数か月ぶりですね。取り込み中なんで手短にお願いしたいんですけど。
……え、ああ、いままさにそのアレで。常世の留学生になぜか、襲撃の事前情報がいきわたってなかったみたいですけど。
──はあ、なるほど。常世をよく思わない連中が情報を途中でシャットアウトした可能性があると。
アタリはつけてあるんですか、じゃああとは叩くだけですね。その辺は匿名機関の管轄だと思いますけど……はい、こっちにも影響があるかもしれないので上と連携しろ、と。
わかりました、わざわざ連絡ありがとうございます。ではまた、どうか御気をつけて」
電話を切ると、あたふたとすぐに机に向かい、中東の有力者の連絡先を調べ始めた。
■ライガ > この部署で起きているごたごたは、表だっては何も影響しないように見えるだろう。
成果の見えないことを延々と、やっているだけなのだから。
──後日、留学生全員の無事が確認されたのはいうまでもない。
ご案内:「公安委員会外事部特殊情報課」からライガさんが去りました。