2015/07/13 のログ
■祐樹 臨助 > と言うわけで、学生らしく海辺で遊ぶ為に水着を買った。なんの変哲もない黒い水着を。
……そう言えば、誘う奴なんかいないんだが、一人で海でなにをするんだ?とも考えたが、まあその辺は行ってからなんとでもなる、だろう。
困ったら砂遊びでもすればいいんだよ。
どうでもいいことを頭に巡らせながら、ワクワクしながら……いや、だめだ、ワクワクしないな。
いつも通り帰路に着いた。
ご案内:「商店街」から祐樹 臨助さんが去りました。
ご案内:「商店街」にコゼットさんが現れました。
■コゼット > 「……ふぅ。」
(日も傾き始める頃。
商店街の外れの外れ。
路地を照らす外灯とまばらな人影。
手を翳す私服姿のコゼットと、睨み付けるその先には──黒い液溜り。
魔術師喰いと一戦交えた後だった。
今は絶命し、塵へとその姿を変えている。
買出しをしていたら悲鳴が聞こえたものだから、駆けつけてみたらそれが居たものだから。
幸い相手は一匹で、特に何事もなくそれを処理する事が出来た。
咄嗟に引き出した魔力によって向こうが釣られてくれた事により、被害も出なかったのが幸いだった。
出現の経路は判らないが。)
■コゼット > 「後は警察に任せましょう。」
(流石にそのままという訳には行かない。ここはメインストリートから離れているとはいえ人が多過ぎる。
携帯を取り出し、事情を簡潔に説明する。
後で事情聴取があるかもしれないが止むを得ない。
折角久々の休日に悠々と買い物に来たと言うのにこれである。
電話口では淡々と話していたものの、少し不機嫌だった。)
ご案内:「商店街」に日恵野ビアトリクスさんが現れました。
■日恵野ビアトリクス > スケッチブックをはみ出させたかばんを提げた人影が現れる。
休日だというのに装いは普段の学校で見せる、制服のシャツにスカートだ。
「……おや、コゼット先生でしたか」
知った教師に気づき、軽く会釈をする。
次に黒い残骸、そして残留する魔力へと視線を送る。
「一戦交えたところでしたか」
■コゼット > 「──ええ、はい。宜しくお願いします。」
(一通りの報告を終える。とりあえず後はなんとかしてくれるだろう。
学園で注意喚起は行ったものの、外部に関してはまだまだ説明が足りない所もある。
まだまだこの生物に関して、この島の世間には浸透していないかもしけない。後日の聴取は長くなるかもしれない。
話し終えて携帯をしまった所で、見知った生徒の姿を見かける。)
「ああ、日恵野君。こんばんわ。」
(声を掛けられればそちらを向いて手を振る。
気持ちを切り替えるという意味でもいいタイミングだったかもしれない。)
「まさか買い物中に遭遇するとはね。学園にもまた通知を出さないとダメかも。
そっちは買い物かしら?」
■日恵野ビアトリクス > 「ええまあ。魔力の反応があったので辿ってみたらこれです」
肩をすくめる。コゼットの言うとおり彼も買い物中であった。
かばんの中にはここで買い求めた文房具類や食料品などが詰まっている。
「人通りのある商店街でまで出るとは。
気が抜けませんね……お疲れ様です」
《魔術師喰い》を討伐してやろう、などと思っていた時期もあった。
しかし今は他の重要な様々な問題のせいでわりとどうでもよくなっていた……
「最近鍛錬に気合を入れている、なんてウワサを聞きましたけど……
アレのせいですか」
コールタールのようなものに目を向けて。
■コゼット > (確かにアレをおびき寄せる為に強く魔力を発した。その道に通じるものなら探知は容易かっただろう)
「経緯は判らないけど、どちらにしても危険ね。以前も居住区内の森に現れたから、何処にでも出てくるのでしょう。
頻繁ではないけど、気をつけないと。」
(お疲れ様と労いの言葉を掛けられればありがとうと答え。
…しかし近くに居たとは。早めに討伐出来て良かったと思う。)
「そうね、アレのせいもある。
…けれどまぁ、それだけじゃないかな。先生と言っても、能力は使わないと錆びてしまうから。
実技で教師が万一失敗なんてしたら恥ずかしいでしょう?」
(それは以前起動テストとして試験端末の計測を行った際の自分の結果を受けてのものだった。
勿論目の前の怪物に対しても意識はある。理由は何であれ、自分の力に努力は惜しまない。)
■日恵野ビアトリクス > 「敵対的な怪異の中では脅威度は低いほうだとは思いますけど。
戦闘力を持たない一般人にとっては恐ろしいことには変わりませんしね……」
ここらは一応風紀委員会の管理下にあるはずだ。
《魔術師喰い》のその性質上、探査魔術にはひっかかりづらいのかな、とぼんやり考える。
「確かに。……平和な日常ではまず使うことのない魔術ばかりですからね、
コゼット先生が教えるのは」
コゼットの言葉に頷き。その立ち振舞をぼんやりと観察する。
「前からちょっと疑問に思ってたんですけど。
攻撃魔術、ってあんまりコゼット先生のキャラじゃないですよね。
才能があった、とかなんですか?」
率直な疑問をぶつける。
魔術にだっていろいろある。
火を起こす術、二日酔いを治す術、鍵を開ける術、遠くのものを取る術。
コゼットの人となりについて詳しく知っているわけではないが、
どう見繕っても好戦的には見えない。それが少し気にかかった。
■コゼット > 「…そうねぇ。」
(基本的に魔力を持たない者にとっても普段は無縁の生物だ。
逆に魔術師に取っては文字通りの脅威。
一歩間違えばどうなるかは身をもって知っている。)
「言われて見ればそうね。それこそ使い方次第では日常にも組み込めると思うわよ?
必須かと言われれば違うけれど……でもまぁ、その辺りに関しては他の先生がちゃんと教えてくれるでしょうし。」
(元素魔術は必須科目ではない。素質のある者と無い者が居るのだから当然なのだが。)
「そ、そうかしら?
うーん、才能があるかと聞かれたら、平凡…かな。
昔から魔力の総量なら誰にも負けなかったけどそれだけだったし。
強いて言うならこれらは身を守る為に覚えていたのよ。
私がまだ学生だった頃は周りは物騒でね、アレみたいなのがわんさかいる場所だったし。」
(顎に手を当て、過去を振り返っている。
…あまり良い思いでは無い。ある意味では、ここより物騒だったかもしれない。)
■日恵野ビアトリクス > 「アレみたいなのがわんさか……」
さすがに予想の外の答えだったのか、オウム返しに繰り返す。
コゼットの普段の風貌と、その返答を照らし合わせる。
中世ファンタジーRPG然とした世界像がビアトリクスの脳裏に結ばれた。
「なんというか、シンプルにタフな世界のご出身で……」
半笑いを浮かべ、
「……いや、あんなのばっかりなら、むしろ楽なのかな。
攻撃魔術を向けることに、何の躊躇もいらないし」
やや剣呑なニュアンスの篭った声を漏らした。
■コゼット > 「…だから、被害に遭う人も多くてね。」
(一つ溜息をつき、目を逸らして肩を落とす。
私がこの島で知っている事件に比べたら、その惨状はそれはもう悲惨の一言だったのだから。)
「そりゃあ、躊躇いはイコール死に繋がるものだから。
…まぁ、異形の姿が真っ黒だったから判り易くてそのは助かるのは確かだけども。
ある意味ではココの方が大変ね。なんせここで起こる事件は色んな姿をしているんだから。」
(全ての事件を考えるなら、コゼットの知っている事件はその一部に過ぎない。
それでもここでは色んな事が起こる。
それは勿論、命に関わる事も。)
■日恵野ビアトリクス > 興味深そうに相槌を打つ。
コゼットの外見はこの世界の一般的人類と殆ど変わらないため、
普段彼女が異世界人であることは意識できない。
しかしコゼットの口からそんな話を聞いていると、
確かに住んでいた世界が文字通り違うのだな、とわかる。
「コゼット先生は――恐ろしくなったりしませんか」
くる、と背を向ける。
「“間違えて”――邪悪な怪異でも、悪漢でもない、
罪もない人間に……魔術を向けてしまうかもしれない、
そう考えたりしたことはありませんか」
足元に視線を落とす。
小石を蹴り飛ばした。
カラコロと数度跳ねて数メートル先に着地する。
■コゼット > 「私は怖くない。…と言ったら少しは嘘になるかな。
でもそれは魔術という力に限らない話。
どちらかというと、教師からしたら教わった術を生徒達がどうゆう用途で使うのか…それが心配になるわ。」
(以前獅南にも言われた事を思い出した。
魔術とは何の為にあるか。その力をどう使うか、それは教師である私達がしっかりと教える必要があるのだと。)
「日恵野君は怖い?怖いと思うなら、どうして魔術を学ぶのかしら?」
(先日の試験の記録には彼のものも残っている。
その成績は極めて高い。そんな彼を怖いと思わせるものはなんなのだろうか。)
■日恵野ビアトリクス > 背を向けたまま。
「……、
ぼくは魔術師の子として、多少の資質を持って生まれました。
だから魔術を学べばきっと、何か為せることが
見つかるのでは、と思って」
あまり態度には出さないが、
ビアトリクスはコゼットの教える四大元素魔術を強くリスペクトしている。
本来難解である元素魔術を平易な形に落とし込み、
素質に優れない者でも扱えるように導き、教える……
とてもすばらしい学問だ。
「ぼくはきっと、“間違えて”、“罪もない誰か”を
撃ってしまうでしょう……低くない可能性で」
ざりざり、と靴のつま先で通りのタイルを踏んだ。
「ぼくにはとても憎く思う人間がいるんです」
ぽつりと。
■コゼット > (確かに、魔術は出来ない事を出来るようにするものだ。
先天性な能力の異能とは違い、魔術の資質さえあれば、学ぶだけそれはその者の力となる。
そしてその力を使うのもまた、術士次第。
しかしそれに関しては術士だからという訳ではなく、力を持つ者全てに与えられる事。
その力を何に、どのようにして使うか。)
「…嫌いな人を好きになれなんて無茶な事は言わないけれど。
…でも、その人の為に学んだ力を使って、貴方がその手を血で染めるのは…良くない事だと思う。
悩みがあるなら聞いてあげれるけれど…。」
(言いたい事は何となく判る。それ程までに憎いのだろう。
勿論誰かなんて検討は付かない。
ただ、彼が殺人を犯してしまうなんて事は教師としては止めて当然だった。)
■日恵野ビアトリクス > ふう、と嘆息。
そして振り返る。
いつもむすりとしている彼らしくもなく、微笑んでいる。
色に例えるなら灰色の笑い。
「なんてね。ぼくは小心者ですから。
そんなことはしませんよ。
それに――
ぼくはそのひとのことが、とてもスキですから」
再び背を向ける。
「すみません、くだらない話に時間をとらせて。
ぼくはそろそろ行きます。お元気で」
手を振り、建物の陰へと姿を消す。
ご案内:「商店街」から日恵野ビアトリクスさんが去りました。
■コゼット > 「…。」
(それなら、何故それを態々言うだろうか。
憎いと思うのに、好きだと言う。彼が一体どんな事を考えるのか、私には想像も付かない。
──ただ、少なくとも)
「小心者の子が自ら進んで"ここ"に来るかしら。」
(よもや戦闘が行われているとは思いもしなかったのかもしれないが。
でも万一戦闘があったとするなら彼はどうしただろうか。
以前にも魔術師喰いに付いて場所を聞いてきた事もあった。
実技経験を積みたいなら訓練所でだって行える。)
「んーー……考え過ぎかな…。だと、良いんだけど。」
(どうにも頭の中に引っかかるものを残しながら、商店街のメインストリートへと歩き出した。
予定の買出しは、まだ終わっていない。)
ご案内:「商店街」からコゼットさんが去りました。
ご案内:「商店街」に焔誼迦具楽さんが現れました。
ご案内:「商店街」から焔誼迦具楽さんが去りました。
ご案内:「商店街」に焔誼迦具楽さんが現れました。
■焔誼迦具楽 >
「神、そらに知ろしめす。すべて世は事も無し……ね」
【ぼんやりと空を見上げたまま、どこへともなく歩を進める。
夏の空からは焼けるような陽の光が降り注いで、煌々と輝く大きな星が見下ろしている。
ああ、まったく。偉そうな神様だ】
「……結局、約束なんて意味がなかったわね」
【先日……ここより西、島の西側において。
大きな力が二つ、ぶつかり合った。
一つは不快な混沌。一つは嫌悪すら覚える焔。
ぶつかり合った力は程なく消えて、どちらがどうなったか、迦具楽には知る由もなかったが……この街がこうして、日々の営みを繰り返しているというのなら、そういう事なのだろう】
■焔誼迦具楽 >
「食べさせてくれたのなんて、結局、たい焼きだけじゃない」
【刺身も食べさせてくれたが、アレを釣ったのは別人なため別カウントだ。
そういえばたい焼きだって、吐き戻したのを勝手に食べただけだったか】
「生きてるのか、死んでるのか……まあ、どっちでもいいけど」
【出会ったのは三度。
一度目は殺し合い、二度目は励まし、三度目は釣り上げた。
なんだかんだで、そのどれもが楽しかったようにも思う。
そう、あの恒星が忌々しくなる程度には、楽しかった】
「……もう、会うこともないかしらね」
【あの炎に焼かれたのだとすれば、きっと生きてはいないだろう。
例え生きていたとしても……きっともう、自分のような化物とは違う。
たまたま重なった縁も、焼き切れてしまったに違いない】
■焔誼迦具楽 >
「……ああ、忌々しい」
【空に浮かぶ遠く赤い星が。
だから目を背けて、人々が営む商店街を眺め――商店街?】
「わ、随分と歩いてきちゃったのね」
【目的もなく歩き続け、気づけば学生街。
普段うろついている落第街とも、歓楽街とも雰囲気が違う。
まさかこんな形で始めて訪れることになるとは、中々に予想外だった】
■焔誼迦具楽 >
「ふうん。本当にここは、随分と平和そう――?」
【怒声も破壊音も響かない。
ただ適度ににぎやかで楽しげな声が飛び交うばかりだ。
なるほどこういう場所もあるんだと思えば、気持ちを切り替えて楽しもうと思い直し――たところで、足がもつれた】
■焔誼迦具楽 >
「あ――?」
【体のコントロールを失い、その場に倒れこんだ。
突然倒れた少女に周囲はざわつくが……それとは違う聲が頭の中に響く。
幾百、幾千の聲が繰り返し、繰り返し、迦具楽を責めさいなむように騒ぎ立てる。
そうではないだろう、今はこうすべきだろうと、最適解を押し付けるように】
≪カナシメ ウラメ ナミダヲナガセ≫
「うるさい――だまれ……っ」
【吐き出すように呻く。
倒れた体を辛うじて手足で起こし、冷や汗を掻く青白い顔で荒い呼吸を繰り返した。
幸い、外見は未だ少女の形を保てている。それだけは何とか制御し、維持できていた。まあ内側は、それはもう愉快なことになっていたが。
聲は迦具楽にそうあるよう、役目を果たすように要求する。
だがそれは出来ない。聲の命ずるままに、役割を果たすだけになってしまえばそれは、それでは】
■焔誼迦具楽 >
≪矛盾 否定 齟齬 意思 ――それは不適切だ≫
「五月蝿い――私は、私にも、意思はある――」
【――本当に?
聲が止む。しかし、体は動かない。
外見は真似ていられても、内部が人間の器官を維持できていないのだ。
起き上がることも、這って動くことも出来ない。
周囲は一人で呟きだした少女に、近づこうとはしない。
ある種の異様さを、それは感じ取っているからなのだろうか】
ご案内:「商店街」に東雲七生さんが現れました。
■東雲七生 > はいはいはーい、ちょっと通して通してー。
なになに、何事? 何かあったのー?
(人だかりを小柄な体躯と運動神経を活かして潜り抜け、半ば弾き出される様に。
野次馬根性で見に来てみたわけだが、知ってる顔が何やら倒れ込んでるのが見えた。)
あれっ、焔誼……じゃないな、お前、迦具楽の方か。
おーい、どうした?転んだら起きなきゃ駄目じゃねえか、危ねえぞ?
ほら、立てるか?
(そう言いながら傍まで近づいてくると手を差し伸べる。
この少年の場合は、知らない顔でもきっと声を掛けただろう。)
■焔誼迦具楽 >
「あ……」
【僅かに青白くなった顔を上げる。
掛けられた声は、確かに覚えの有る温かなものだった。
けれど、迦具楽は答えられない。
手を取るのも難しい状態だった。
いやむしろ、声を聞いてわずかに安心を覚え――辛うじて体を支えていた手からも力が抜け落ちる。
支えをなくせば再び倒れこんでしまうだろう】
■東雲七生 > あ。お、おい!
しっかりしろよー、大丈夫か?
どうした?お前も熱中症?いきなり暑くなったもんなー。
(倒れ込んだ迦具楽を見て多少慌てた様に近づくと抱え起こそうとする。
とはいえ持ち上げる事までは出来るほどの腕力が無いので、上体を起こす程度だ。
脱力した人間の体は結構重い、という事を東雲は知っている。)
■焔誼迦具楽 >
「ぁ……ギ……」
【向けられる視線はどこかうつろで焦点が合っていない。
微かにもれる声は、いつかのように金属音が混ざり始めていた。
体を起こそうとすれば、異様なほどに体が軽いのが分かるだろう。
たとえ非力だったとしても、抱え上げようとすれば容易に抱き上げられるはずだ
】
■東雲七生 > ……迦具楽?
おい!しっかりしろ、迦具楽!おい!
ってか、軽っ……いやまあ、人間じゃねえんだし不思議でもねえか。
よーし、これなら俺でも運べそうだな。待ってろ、今涼しいとこ連れてってやるから!
(抱え起こした体の軽さに驚きながら、
同時に持っていたコンビニの袋を口にくわえ、そのまま迦具楽を背負おうとする。
行き交う人たちの間を抜ける最短ルートの見当をつけながら。)
■焔誼迦具楽 >
「…………」
【あっさりと抵抗なく、軽々と背負われるだろう。
そのまま身を任せ運ばれていく。
伝わってくる体温は心地よく、運ばれているうちにも徐々に呼吸は落ち着きを見せ始めた】
■東雲七生 > あー……。
(背負って走り出そうとするその刹那。
そういえば焔誼と同じなら、と思い出す。
以前一度だけ訪問した少女の部屋は室温がやたら高かった。
もしかしたら、迦具楽も同様に──?)
えっと、進路変更!
……あー、何処が良いかなっと。
(少女を背負ったまま通行人の合間を縫うように駆ける。
そうして辿り着いたのは、大きな飲食店の裏手だった。)
■焔誼迦具楽 >
【飲食店の裏手となれば、吐き出される熱気が夏の空気と合わさり異様な温度となっているだろう。
たどり着いた瞬間は、確かにその通り熱が滞り景色がゆがむほどだったが、それが一転するように冷めて行く。
急激に熱を奪われるように、夏とは思えない涼しい空間に変化するだろう】
「……降ろして」
【そして耳元で、ぽつりと小さく呟かれる。
背中にかかる重さは、いつの間にか人間らしい――にしてはまだ軽い方だったが、重さを取り戻していた】
■東雲七生 > あ、気が付いたか?
やっぱり、どっちかと言えばもっと暑い方が良かったんだな。
(声を聞けば安心した様に溜息を吐いた。
そして言われた通りに迦具楽をその場にゆっくりと降ろす。
たとえ軽かったとはいえ、炎天下の往来を駆けて来たのだが、妙な涼しささえ感じて首を傾げる。)
■焔誼迦具楽 >
「うんまあ……その、ありがとう」
【ややふらつきながらも、しっかりと足で立つ。
顔色も青白さをなくし、程ほどに健康的な色合いになっただろうか。
俯くように視線を斜め下に傾けながら、小さな声で礼を告げる。
聲は聞こえない。奇妙なほどに頭の中が静かだった】
■東雲七生 > え?……そんな、いいっていいって、礼なんて。
困った時はお互い様、なっ!
しっかし面倒臭いもんだよなー、お前も焔誼もさ。
(迦具楽から礼を言われ、少し照れたように笑う。
いつものどこか幼い印象を受ける満面の笑みだ。)
暑い方が良いんならさ、お前ももうちょい焔誼みたく着る服増やした方が良いんじゃねえか?
見る方としちゃこの時期にやられんのはきっついけど、まあ事情が事情だからしょうがねえもんな!
■焔誼迦具楽 >
「……ううん、私は別にアイツほど困ることはない、から」
【ゆっくりと首を振る。
確かに体温の低下はあまり好ましくないけれど、それでどうにかなるほど脆いわけでもない。
問題は体よりも――】
「ねえ、どうして助けてくれたの?
あの時も……お兄さんが気にしてくれるのはどうして……アイツに似てるから?」
【顔はまだ俯いたままだ。
けれどその言葉は不安そうに揺れている。
どうして自分を助けてくれたのか、気に掛けてくれたのか分からない。
始めて会った時もそうだ。その次も、当たり前のように受け入れてくれた。
やはりまだ少し弱っているのだろう。理由が気になって、問わずにはいられなかった】
■東雲七生 > へえ、そうなのか。
……え?何だよ急に。
何で助けたかって?……あー、まあ確かに焔誼に似てるからってのもあるだろうけど。
そんなんじゃねえよ、たまたまだ、たまたま。
たまたま倒れてる奴が居たから、手ぇ貸しただけ。
動いちまうんだよなあ、体が先にさ。
(その所為で不利益を被って来た事もあるのだろう。
少しだけ苦笑めいた表情で答える。)
見捨てるとか、放っとくとか。
あんまりしたくねえんだよな、そうされるのがしんどいの、知ってっから。
■焔誼迦具楽 >
「……ふうん、そうなんだ」
【似ているから――それは仕方ない。
どうしたって、知人に似ていれば気になるのは当たり前だ。
けど、それは彼にとっては些末な事なのだろう。
彼は誰にだって同じように、その場に居合わせれば手を差し伸べるのだ。
”たまたま””偶然に”それが今日、自分であっただけ。
けれどそれでも、それは、たしかに】
「……お人好しね」
【顔を上げて笑った。
心の底から嬉しそうに、無邪気に、からかう様に。
たまたまだったのだろう、偶然だったのだろう。
それでも、助けられたのも、受け入れられたのも、誰かに似たナニカではなく。
迦具楽という、自分自身《わたし》だったのだと分かって――それで十分すぎた】
■東雲七生 > なんだよ、そこまで笑わなくてもいいじゃねえか。
重々承知してんだよ、自分がお人好しだって事くらい。
(クラスメイトにも茶化されることだってある。
それでもこの少年は居合わせてしまったら手を差し伸べてしまうのだろう。
先に本人が言った通り、体が勝手に動いてしまうのだ。これはもう、本人の気の持ち様でどうにかできる事でもないのだろう。)
うー……、それよりも、だ。
焔誼ほどじゃないなら、何であんなとこで倒れてたんだよ?
■焔誼迦具楽 >
「ふふ、でも好きよ、おにいさんのそういうところ」
【そのまま楽しげに、好意を伝えて僅かに頬を染めた】
「うん、あれは……ちょっとね。
慣れないところに出てきたから、疲れちゃったのかも」
【困ったような笑みを浮かべながら、誤魔化す。
そんなお人好しな相手だからこそ、悩ませるわけにも行かないだろう。
迦具楽の、私の問題は――きっと話したところでどうにもならないのだ、と】
■東雲七生 > お、おう。サンキュー!
(なんか照れるな、と正直に告げながら頭を掻く。
好意的なことを異性から言われることは殆ど無いためか、釣られて頬が赤くなった。)
ふーん、あんまり人通りの多い所は苦手か。
確かに前に会ったのも落第街と海と、あんまり賑やかな場所でもなかったしな。
(迦具楽の言葉をそのまま信じて二、三度頷く。
相手の心内を見透かすような芸当は東雲には出来ない。
─否、出来ないわけではないが。友人にはそんな事をしないのが彼の信条だ。)
■焔誼迦具楽 >
「うん、そうね。
歓楽街にはよく行くし、賑やかなのが嫌いなわけじゃないけど……。
これでもデリケートな女の子なのよ」
【”化物だけどね”と、おどけて、心の内を隠すように笑う。
気づいてほしい、けれど、気づいてほしくない。
そんな相反する意思、矛盾する思考が――】
「――っ」
【ふら、と。視界が揺れる。
それが眩暈という症状だと気づいたときには、バランスを失って体が傾いた】
■東雲七生 > 化け物だろうが何だろうが、しんどい時はしんどいもんだろ。
(半ば呆れながらも迦具楽の冗談を受けて笑う。
と、その時目の前の体が傾いだ。
反射的に腕を伸ばし、その体が倒れるのを受け止めようとするだろう。)
やっぱりちょっと無理してたのか?
ダメだぞ、調子悪い時に意地はっても、何も良いこと無えんだからな?
■焔誼迦具楽 >
「……うん、そうだね」
【受け止められれば、そのまま弱弱しくしがみつく。
温かい。体温が伝わってきて、気持ちが安らぐようだった。
いつまでもこうして触れていたい。離れがたい気持ちがわき起こる】
「でも、大丈夫よ。
ちょっと、余計なこと考えすぎちゃっただけだから」
【眩暈が治まっているのを確かめると、胸に手をついて、僅かに離れる。
けれど触れた手は名残惜しそうに離れられず、見上げれば自分を気遣うような表情が見下ろしていた】
■東雲七生 > まったく、あんまり無理すんなよな。
そんなにふらふらしてたら心配で離れらんねえよ。
(少女と視線が合えばからかうように笑みを浮かべる。
実際未だ本調子で無さそうな姿を見るにその場から離れるつもりは無さそうだ。)
俺の方はまだ時間あるし、もうちょっと楽にしてて良いぜ?
あ、そーだ。さっきコンビニで大福買って来たんだよ、大福。
お前も食うか?教室戻ったら食おうと思ってたんだけどさ。
■焔誼迦具楽 >
「……本当に、やさしいんだからなあ」
【大福を勧められると、その顔を見上げて微笑んだ。
けれど、それはゆっくりと首を振って断る。
迦具楽の中に小さな欲求と、悪戯心が芽生えた】
「ううん、それはおにいさんが食べて。
私は……もっと”いいもの”を貰うことにするから」
【そう言って笑うと、すこし足りない身長を補うように踵を上げる。
そうして不意を付くように手を伸ばし、見下ろす少年に顔を寄せるように近づいていく】
■東雲七生 > えー?遠慮すんなって。
甘いもの食うと結構気力も回復するんだぞ?
……まあ、気分じゃなかったんなら、また今度だな。
(断られれば渋々と言った様子で、手に持っていたコンビニ袋を無造作にポケットに突っ込んだ。
そちらに意識を向けていたので手を伸ばされた事に気付くのが遅れる。)
で、何だよもっといい物って──
って、うわ、どうした迦具楽。近い近い!
(間近に迫った少女の顔にみるみる赤面していく。)
■焔誼迦具楽 >
「――んっ」
【うろたえる様子に微笑んだまま、手を首の後ろに回し逃げられないようにして。
その頬にそっと、唇を押し付けた】
「……ごちそうさま」
【たっぷり、とは言えほんの数秒だったろうか。
すると手を解き、一歩二歩と後ろに下がって照れたように笑う。
その味はまだまだ好みじゃなかったけれど、幸せな味が迦具楽の中に広がっていった。
少女の笑顔はわずかに、赤く染まっている】
「助けてくれてありがと。それじゃ、またね七生っ」
【そしてもう一度礼を告げると、ワンピースの裾を翻して駆け去っていく。
迦具楽の唇が触れた場所。
真夏にも関わらずそこにだけ、冬の風に当てられたような冷たさを残して】
■東雲七生 > ちょっ、おまっ、何を……!
(頬に触れた柔らかな感触に頭が真っ白になる。
何が起きたのか分からないが、何かとんでもない事が起きた事だけを理解したのは迦具楽が去ってからしばらく経っての事だった。)
お、おう……
ま、またなーかぐらー……。
(トマトの如くに真っ赤になった顔で、半ば呆けた様に去って行く後ろ姿を見送って。
我に返ってからしばらくその場で悶絶していたという──)
ご案内:「商店街」から焔誼迦具楽さんが去りました。
ご案内:「商店街」から東雲七生さんが去りました。
ご案内:「商店街」にレイチェルさんが現れました。
■レイチェル > 「海開き、海開きか。さて、前に貴子達に会った時にそんな話が出てた訳だが……
忙殺されててすっかり忘れてたぜ」
商店街を一人歩く金髪眼帯の少女。その少女の視線の先にあるのは、水着ショップである。
海開きも始まった今、それなりの数の客が店へと入っていく様が見て取れる。
ある者は一人で気軽に。ある者はカップルで、きゃいきゃい騒ぎながら。
店の中に入って行っているようであった。
「あそこが水着ショップか……」
レイチェルとしては、特にここへ来る為に商店街を歩いていた訳ではなかった。
寧ろ散歩することが主な目的だった筈だが、水着ショップに入っていく人々を前に、
貴子達と話していたことを思い出したのだ。
■レイチェル > 「よし、とりあえず入ってみるか」
よし、という一声と共に頷くと、『マリンブルー』と書かれた店の看板の下をくぐり、
レイチェルは店内へと歩を進めていく。
「すげぇな……」
見渡せば、様々な種類の水着が取り揃えられている。
男性用も女性用も、この店一つで扱っているらしい。
案内板を見るレイチェル。
一階が女性用水着、二階が男性用水着、三階がその他、の水着らしい。
その他、というのが気になってしかたないが、そんな思いを、ふるふると振る
頭の動きと共に消し去って。
とにかく女性用水着の販売されている一階を、見渡す。すると、
なかなか派手なものや、可愛いもの、驚くほど露出度の高いものなど並んでいるではないか。
そんな水着の山を見て、心の内で唸るレイチェル。
どんな水着を選ぶべきか……。
ご案内:「商店街」に春日 真央さんが現れました。
■春日 真央 > なんで水着限定なの……。持ってきてないよ。
(唇を尖らせ、ぶつくさと文句を一つ。肩から小さなバッグを提げた少女が、水着ショップの入り口をくぐる。
色鮮やかな水着の群れがすぐに目に入り)
う゛あ゛。
(気圧されて、妙なうめき声が漏れる。目が痛そうに、眼鏡の上から手で覆う)
……あれ?
あ……風紀委員の……。
(と、視界に入った少女の姿に、じりじりと足が後ろに下がる)
■レイチェル > 『いらしゃいませー、どんな水着をお探しですか~?』
笑顔でやって来る店員に対し、レイチェルは思わずどきっと。
若干引き気味の姿勢になってしまう。
「えーと……えぇと……そうだな……まぁ、サイズが合ってれば……」
前に、電灯交換を手伝った際にちゃっかり下着を見た川添孝一から
『もっと色気のある下着にしろ』
などと言われたことを思い出すが、ふるふると頭を振った。
くだらない、考慮に値しない。そう考えて、再び思案をする。
『お客様のサイズになりますと、少し種類は限られてしまいますが、それでもぴったりサイズ
の物は幾つかご用意してあります』
そう言って、にこにこと対応する店員。
うーむ、と腕組みするレイチェル。
と、近場から聞こえてきた声に反応して、そちらを見やる。
「……? 風紀委員だが、何だ……?」
水着を買いに来ている場を見られるのは……まぁ、別に気になる訳ではないが。
その人物の反応に、少しばかり眉をしかめる。
■春日 真央 > (眼鏡の上にかぶせた手、その隙間から姿を覗いているから、まるで顔を隠しているように見えるかもしれない。
反射的にじりじりと下がったが、普通に買い物に来た風の会話が聞こえて、口が半開きに開いた)
……あ、いえ。
なんてか……怖いイメージと言うか、あったので。
いろいろ、聞こえた範囲で。
や、別にあたしが怪しいことしてるわけじゃ。
(学園内で、彼女の噂をいくつか聞いたのだろうことを説明し、ついでのように、ふるふると首を振り我が身の潔白を訴える)
■レイチェル > 「あぁ……ま、色々噂されてるみたいだからな」
少し前にも、図書委員の女子に似たような反応をされたことがあったことを、
レイチェルは思い出した。
全身武装のキリングウーマン、などと、そんな呼び名が常世を駆け巡っていることを
知ったのはあれが初めてのことであった。
「ただ水着を買いに来ただけだ。海も開いてることだからな。オレもちょいと泳ごうかと
思ってな。別に、何か捕まえようだとか、捜査しようだとか、そういう訳じゃねぇよ」
そこに居るだけで他者を威圧しかねない、というのはレイチェル個人のイメージだけでなく、
刑事課のレッテルのせいでもあろうか。レイチェルは内心で肩を竦める。
しかし、これも含めて仕事である。仕方のないことだ、とレイチェルはさっさと割り切ること
にした。
「逆に怪しいぞ、それ。まぁ、別にお前がいきなり爆弾持ち出したりとか、そういうことしな
ければオレは動かねぇよ」
だから顔出しな、と付け加え。
■春日 真央 > 噂…かあ。そだよね。
いつも銃持って歩いている人なんていないよね。
(明らかほっと頬が緩み、どんな噂を聞いていたのか、その一端が口から漏れる。
噂は濡れ衣だったと思えば、同じ年頃の女生徒と、口調が砕けていき)
なんか……その言い方だと、海が開いたり閉じたりする生き物みたいに。
うん、あたしも、スイカが割れるみたいだから水着買いに来たんだけど。
えっと……これは。
(出せと言われ顔を隠すのをやめようと、そろそろと手を下ろすのだが)
眩しい……。女子力が目に痛い……の。
(原色や大胆な柄の水着の群れに圧倒され、片手が眼鏡の上に戻った。
微妙に消耗している)
■レイチェル > 「あー……ま、そうかね」
彼女の身につけているクロークの内に無数の銃器、爆発物が仕込まれている。
しかしながら、いちいちこの場でそれを出して説明する気は毛頭無かった。
とはいえ嘘をつく訳にもいかないので、レイチェルは適当に声を出して
誤魔化したのであった。
「あー……えぇと大丈夫かお前?」
女子力が目に痛い、などと口にしている真央を前に、
ジトっとした目で彼女を見つめるレイチェル。
『そちらのお客様も、水着をお探しですか? えぇと、お客様ですとサイズは――』
そう言って、真央の所へ向かう店員。
■春日 真央 > (見えないものを感知しようもない少女は、一人平和な気持ちで、曖昧に声を出すレイチェルに笑顔で頷いた)
慣れてくれば、大丈夫。
心の準備が少なかったから、不意打ちで。
(片手を少しずつ少しずつずらして、視界をだんだんと広げていく。
それでも眩しそうに目を細めながら、レイチェルの視線に気づけば、へにゃっと眉を下げて笑い、髪をかき)
………あ、はい。
でも友達と、一緒に来てますから。
(店員に声をかけられると及び腰になり、同行者が居る旨を告げ、じっとレイチェルへ視線を向ける。
「友達」の存在を店員に示すために。そして、すすすとレイチェルの方へ歩く。
もちろん初対面だが、視線が縋るように必死だ。
店員のセールス攻撃から全力で逃げたくて)
■レイチェル > 髪をかかれれば、頬をかくレイチェル。
レイチェルは変わった奴だ、と言わんばかりのジト目のままである。
「……あ?」
すすす、と近づいて来る初対面の真央に、困惑するレイチェル。
しかしながら彼女の縋るような視線を受けて彼女の心の内を察したか、
特に躱すようなこともなくその場に留まった。
やれやれ、と一つ小さく溜息をついた後に、店員の方を見やったレイチェルは
「そういうことだ。ま、オレ達で適当に見回ってくるから。悪ぃな」
『そうですか、また何かありましたらお気軽に声をおかけくださいね』
店員は残念そうに、名残惜しそうに、それだけ言い捨てると店にやって来た別の客の相手
を始めた。
それを見届けた後、満足か、と言わんばかりに真央の方を見やった。
■春日 真央 > (話を合わせてくれたレイチェルの返答に、店員が去っていく。
その様を、眼鏡を覆っていた手をひらひら振りながら、引きつったようなにこやかな笑顔で見送る。
別の客についたと見届けた瞬間、顔の力が抜ける)
ありがとう。恩に着ます。
この御恩は一週間忘れません。
(周囲からの視線を集めない程度の小声で礼を告げると、頭を下げた)
あ……えーと。
今更なんだけど、一年の、ハルヒといいます。
(自分を指さしながら、名乗る。そう言えば自己紹介すら忘れていたと思いだして)
■レイチェル > 「別に大したことしてねーよ。ただ、如何にも嫌そうだったしな」
そう言って、胸の下で腕を組むレイチェル。
彼女の癖らしく、見れば大半はこのポーズではあるのだが。
「へー、一年って言ったら同学年か。ハルヒね、覚えたぜ。
オレはレイチェル。レイチェル・ラムレイ。まぁ話を聞く限りは
自己紹介は要らなそうだが……一応名乗っとかないと気持ち悪いしな」
そう言って、自嘲するようにふっと笑うと腰に手をやる。
「さて、じゃあま……水着でも探すとすっか。不自然にならねーよう
付き合ってやるぜ」
店員はまだ近くに居る。
やれやれ、と目を閉じて、ふっと笑いながらレイチェルは小声でそう言った。
どうにもこういう奴は放っておけない。そんなことを思いながら、
彼女はこの場は付き合うことに決めたのだった。
■春日 真央 > どうも……お店の人近寄ってくると、逃げたくなって。
ぐいぐい来るから、どれが欲しかったかわかんなくなっちゃうし。
(苦手なのだと困ったように笑いながら髪の結び目を掻く。
腕組みするレイチェルと対照的に、手が落ち着かなくよく動く)
ですです。苗字ですよ。
うん……でも、噂ばっかりの印象だとよくないから、ちゃんと話せて良かったなあって。
誤解だって、わかりましたし。
(へにゃっと眉は落ちたままだが、困った様子は抜けた笑顔をレイチェルに向ける。
レイチェルの笑顔に影が差したようで、噂は誤解だったと告げるのだけれど)
……ホントに付き合ってくれるんですが。
助かります。スクール水着以外選ぶのって、10年ぶりくらいで。
(目に見えて嬉しそうに口の端がくっきりと上がった笑顔になり、
比較的色のおとなしく布の多い方へ選びに行ったとか。
彼女に勧める時は、逆に布地の少ないものを全力で推してきたけれど――)
■レイチェル > 「ま、その場限りだろうが言っちまったことだからな、ちゃんと守るさ」
そう言って、歩き出すレイチェル。
サイズ的に数少ない品揃えの中から、それなりに無難なものを買えたらしい。
そのまま買い物が終われば、二人は分かれていくことだろう――。
ご案内:「商店街」からレイチェルさんが去りました。
ご案内:「商店街」から春日 真央さんが去りました。