2015/07/18 のログ
渡辺慧 > ワザとか。
そうとれるほどの見事な自爆を受け、数瞬固まる。
びきり、とでも音がしそうなほど。


再起動の後。
再び、大きくため息をつくと。

「……君ってなんか、ダメ可愛いな」

褒めてるのか、けなしてるのか。
……両方なのか。

さて。それはおそらく。自らが浮かべた。
からかうような笑みが物語っているのかもしれない。
というか、自分にどうしろと言うのだこの少女は。

――少なくとも。隣に並んだこの行為に。
既に意味はなくなった、それだけは分かった。

紅葉 椛 > ワザとか。
自らがそう思うほど見事な自爆をし、完全に固まる。
顔がみるみる赤くなる。
湯気でも吹き出しそうなほど。
耳まで赤くした後、今ならまだ取り返せる事に気付く。

「ダメ可愛いって貶してるんです……コホン、貶してるのかな?
 今履くっていうのはほら、えっと、気に入ったらって意味だから。ね?」

これで誤魔化せたはずだ。
見られてさえいなければ、多少不自然でも誤魔化せたかもしれない。
しかし、気付いていないだけで、見られている。
必死に誤魔化す姿は、滑稽だったかもしれない。

「と、とりあえずほら、私はよさげなボトムスを探さなきゃだから。
 一緒に探してくれるなら別だけど、慧も自分の水着を探したら?」

依頼の内容を忘れたかのような発言。
それほど少女は焦り、急いでいた。

ご案内:「商店街」から紅葉 椛さんが去りました。
ご案内:「商店街」に紅葉 椛さんが現れました。
渡辺慧 > 「褒めてるよ」

あぁ、全く……。
やはり以前の時とはまるで違う。
が、余裕がないのか、なんなのか。
それは自らに判断しづらいところではあるが……。
なんとなく。
妹でも相手にしているかのような、そんな可愛さを覚えなくもない。
――まぁ、自らには、妹なぞ。存在しないのだが。

ク。小さく喉の奥を鳴らして笑うと。
「そーかい」

何を依頼したかも忘れそうなほど、実に楽しい少女、だというのは。
なんだったか。ナイト、と言われていたような気もすることだし。
それらしく振舞うのもまた一興。

「一緒に探させてもらうよ」

紅葉 椛 > 「そうならいいんだけど」

まともな反応をする余裕もないほど自爆のことで頭がいっぱいになっている。
以前のような印象は全て消し飛んでしまうかのような失態。
この恥ずかしさも服を買うまでの辛抱だ。
そう自分に言い聞かせ、小さく拳を握る。

「そうだよ、絶対にそう」

念押し。
この場面では明らかに逆効果である。
余裕のない少女はそんなことにも気付かず。

「一緒に探してくれるなら……
 そうだね、選んでもらったのを買おうかな」

渡辺慧 > 「うん」
「なら。ほら。いくよ」

――つい。
先程の、妹のような。と言う思考が効いていたのだろうか。
それをそのまま行動にしたような。
だから、つい。片手を差し出してしまった。

気づいた時には、ひっこめるにひっこめない、その片手。
……まぁ、いいか。
何て苦笑した。

――しかしながら。自らにセンスを期待する、というのは。
外れだぞ、とは言いたくも、ある。

紅葉 椛 > 差し出された右手をじっと見つめる。
何の意図があるのだろう。
しかし、少女はその意図を考える余裕はない。
吸い込まれるように左手でその手を掴んだ。

「って、あれ?」

何故手を繋いだのか、正気に戻ったかのように繋いだ手を見つめる。
今更離すにも離せないその左手。
また顔を赤くして、目を伏せる。
恥ずかしそうに、初心な少女のように。

渡辺慧 > 「いくぞー」

特に、普段と変わりなく。
猫のような笑い方をしながら。
――妹、妹、ねぇ。

自らは、弟。……この先を考えるのはよろしくはない。
気分を態々害することもないだろう。

辺りを見渡し。彼女が言っていた、ボトムスを探しに一歩踏み出した。

迷った。
「どっちですか」

紅葉 椛 > 「う、うん」

小さく。俯き気味に。
初めて男性と手を繋いだ。
その事実に頬が熱くなる。
父親や兄とも手を繋いだことがない、正真正銘の初めて。
自分より大きな手に包まれるような安心感を覚える。
少し、ほんの少し本音を出すのなら、心地いい。

「多分……えーっと、あっちじゃないかな?」

どこか安心したような自然な笑みを浮かべ、ボトムスがあるであろう方向を指差す。

渡辺慧 > 「おーけーおーけー」

まぁ。先ほどの。妙に縮こまっている姿より余程いい。
そういう自己満足に浸りながら。――まぁ、自己満足だ。他にない。

「今更だけど。つい繋いじゃったけどよかった?」
妹のようなと感じたから、という部分は特にいわないでおく。
しかしながら、手をつなぐというのは少しばかり――自らがやっておいて、なんだけども。だから一つ苦笑を残し。

だから、離されるなら離されるでよし。どちらでもよかった。
そのまま。指さされた方へ、歩き出す。

紅葉 椛 > 「あ、うん……慧が大丈夫なら大丈夫、多分」

手を繋いだことはかなり恥ずかしい。
しかし、この心地よさを手放すのは正直惜しい。
多少恥ずかしさが上乗せされる程度なのだから、手を繋いだままでも問題ないだろう。
そう結論を出し、手を先程よりほんの少し強く握る。

「慧の趣味に任せるけど、どれがいいかな」

右手で裾を伸ばしつつ、そう問いかけた。

渡辺慧 > 「俺はだいじょぶだけど」

大丈夫……というか。
こういうのは気にする人は気にスルのではないか、と思ったのだけれど。
杞憂だったようだ。――ほんとのところは分からない、が。

「趣味……趣味、ねぇ」
女の子の求めるものは分からない。
そして知らない。ホットパンツを履いていたことは覚えている。
だから、そういうのが、いいのだろう。
だから、何の気なしに、周囲を見て……。
デニムの、ホットパンツ。

――まぁ、安易だが。直感的に、まだ。センス的にはましな部類だろう。
そして何より、自分が嫌いじゃない。

「あれ、とかどうよ」
自信はなくとも。まぁ、それらしく。
そのホットパンツを指さした。

紅葉 椛 > 「ならこのままでいいんじゃない?」

相手が大丈夫ならば問題ない。
今はこの感触に身を委ねよう。
──いや、委ねてはいけない。買い物をするのだった。

「あ、いつものと似てる。
 あれでいいの?」

指し示す方向を見ると、デニムのホットパンツ。
いつも履いているものと似ていて、悪くない。

渡辺慧 > 「そーかい」

そういうなら。それでいい。
手から伝わる暖かさは、心地よくもあるし。

「……いや、だから」
自分にその手の知識はないと……。
頭をかき。また、ふと周囲を見渡した時。
……スカート。

「ふむ」

そういえば、そういうのもあるのだろう。
また雰囲気が変わるのだろうが……。
すすめてみるのもいい。

「じゃあ、あれ」

また、気紛れに指を指した先にあったのは。
フレアスカート。
デニム生地で、膝丈のソレ。
本当に、ただの気分でしかないが。
似合いそう、でもあるな。なんて思う。

紅葉 椛 > 「えっ」

指の先にはスカート。
お洒落な女の子が着ていそうなフレアスカートがあった。
もちろん着たことはない。

「えっと、あれでいいの?
 似合わないかもしれないけど……
 とりあえず買ってくるね」

名残惜しそうに手を離す。
デニム生地のフレアスカートを手に取り、レジへと向かう。
似合わなかったらどうしよう。そんな不安を感じながら。

渡辺慧 > ふっと、離される手の感触に再び苦笑して。

「似合うと思うからすすめたんだけどね」
「まー……生憎。やっぱり。さっきも言ったけど」
「センス云々はないから、保証は出来ないかもだけど」

でも。
とそれに矛盾しながらも。
「きっと似合うと思うよ」

そう言って。その後姿を見送った。
――何しに来たか、ほんとにわかんないな。

そう思いながら、もう一度だけ。
その顔に笑みを浮かべながら。

紅葉 椛 > 運良くレジは誰も並んでおらず、すぐに会計を済ませられた。
店員にすぐに着ていいか聞くと、試着室でどうぞとのこと。
試着室に入り、袖口に隠しているナイフで値札などを切る。
ゆっくりとスカートに足を通す。
ひらひらとしていて少しいつもと勝手が違う。
似合っていればいいな、そう思い、試着室から出て、慧の方へと向かう。

「どう、かな……?」

恥ずかしそうに、そう問いかける。

渡辺慧 > 「………………」

予想外、いや。予想外とは、また違うが。
そんな姿にちょっとだけ言葉を詰まらせる。
自らのセンスは、案外。アテになるものだったのか、と。
そして、まぁ。実に似合っていた。

「オッケー」
楽しげに笑いながら、そう言い放つ。
「似合ってる、かわいーぞー」

紅葉 椛 > 沈黙。
それを否定と取ったのか、悲しそうな表情になる。
しかし、そうではなかったようだ。
似合っていると言われ、驚いた後、頬を染める。

「え、えへへ……ありがと」

はにかむように笑い、慧の横に立った。

渡辺慧 > うむうむ。
満足げにうなずく。
なにやら、実際問題。
目的からほど遠くなっている気がするが……まぁ。
このまま、終わった方が。――ま、自己満足だ。

横に立たれたときに。もう、そうる必要は特にない、が。
一応のごとく、先程と同じように。
つい右手を差し出す。

「んじゃ…………帰るか」

ま。
そういう日も。あるのだろう。……たまには。

紅葉 椛 > 満足げな様子を見て、なんだか少し嬉しくなる。
自分の容姿に自信はあるが、未知の服が似合うと言いきれるほどの自信はなかった。
それを似合っていると言われたのだから当然かもしれない。
何かを忘れているような気はするが、慧は満足げなのだから、恐らく問題ないだろう。

差し出された右手を、今度は意識して握る。
やはり、心地いい。

「そうだね、帰ろっか」

にこりと微笑み、慧の足取りに合わせ、歩く。
楽しげに、浮かれたように。

渡辺慧 > 彼女の浮かれた様子。
まぁ、自らの言葉は問題なかったようだ。
だとしたら僥倖。そちらの方が、自分だって楽しくあれる。

なぜ手をつないでいるかはよくわからないが。
――自分でもよくわからないものを無理に考える必要はない。
――また、水着買いに来なくちゃな。センス自体は……一応あるようだし。

それが分かっただけでも。今日はよかったのだろう。
なにより。楽しげな、この。妹のような少女と過ごせたというならば。

あぁ。今日もいい日だった。

そうして、連れ添うように。
その場から歩き去った。

ご案内:「商店街」から渡辺慧さんが去りました。
ご案内:「商店街」から紅葉 椛さんが去りました。
ご案内:「商店街」にサリナさんが現れました。
ご案内:「商店街」に谷蜂 檻葉さんが現れました。
サリナ > 「あ、っつい……」

汗が一筋流れ落ちる。さっきから何度目かのそれをハンカチで拭う。
日陰に身を寄せているものの、何故か暑さを避けられていない気がする…
何故だろう…私の世界、私の国とは気温は似たり寄ったりなのに……

と、私がこんな所に居るのは少し前に話を遡る事になる。商店街でオリハさんと会った時に彼女の水着を買う後押しする役を買ったのだが、
その後、私が水着を買っていない、という事で今度は私の番になってしまったのだ。
私は別に水着は要らないのだけれども、何故かオリハさんはとても強く勧めるので断りきれずに今に至る。

…で、ここで待ち合わせ中だったのだけれども、中々来ない。もしかして、場所を間違えたか…?

谷蜂 檻葉 > 「ごっめーん! 委員会の方で呼ばれちゃって……!」

サリナが記憶違いを疑い始めてしまった頃、遅れてパタパタと学園地区から檻葉が走ってきた。
少しの距離ではあったが、彼女もサリナ同様額に汗をかいて服をパタパタを仰いで風を通す。

「さ、中入ろう! ここにいたら茹だっちゃうよ。」

先にそそくさと冷房の効いた店内へと足を向けて、早く早くと手招きをする。
暑さだけでなく、何かに期待したような目でサリナを誘う。

サリナ > 「どうも、オリハさん…ええ、ええ…今行きますから……」

こっちから探しに行こうと思った矢先に彼女はやってきた。どうやら用事で遅れただけのようだった。
こういう時にスマートフォンなるものがあると便利だと聞いたが、異世界人たる私には中々に敷居が高いのだアレは…

そんなこんなでオリハさんについて行く。
…それにしてもオリハさんは妙に楽しそうだ。自分のものを買うのならともかく、今日は私のものを買うというのに…

それとも、もう一着水着でも買うのだろうか?

谷蜂 檻葉 > 「ごめんねー、午前仕事で終わると思ってたんだけど今度の入荷の話が決まらなくてね―――」

檻葉はインドア派女子である。
故に、あまり買い物に出かけるのも実用品関係ばかり、すると「ショッピング」を楽しむという事をあまり経験していない。 ―――しかし、良い物をワイワイと見て回り買うというのが楽しいのは理解できる、やりたいことに挙げられる。

……けれど、その機会がないままユルユルとしていた所にこの機会。
普段より数割増しにテンションも上がるというものだ。


「―――そうそう、サリナさんって好きなデザインとかある?」

こういうのとか。

と、水着コーナーの手前。普通の夏の私服売り場で少し足を止めて彼女が示したのはノースリーブの涼し気なワンピース。
薄いグリーンの生地で、風のそよぐ葉をモチーフにした刺繍が可愛く、けれど落ち着いたイメージのあるデザイン。

サリナ > 入荷、そういえば彼女は図書委員だった。
私は商売事は個人でできる範囲内でだけなので、大きい店を構えての入荷というと取り決めも何人でやるものなのだろうか…
とはいえ人が多く携わればそれだけ時間がかかるものなのだろうと私は納得した。


「好きなデザイン…ですか?そうですね~…」

彼女は水着の前に夏物の服が置いてある場所で足を止めた。
今しがた示されたそれを見てみると、中々に清涼感を感じるワンピースだった。色合いも私好みだ。
この世界は模様が綺麗な服も多いので、こういう所で元居た世界との技術の差を感じてしまう。だが、それも悪くない。

「好きなデザインと言っても私はあまり服には詳しくはないんですが、私服はほとんどこういうワンピースが多いですね。これもいいと思います。」

谷蜂 檻葉 > 「ふむふむ、普段からワンピース系がメインっと……」

心のメモに書き加えて、本命の水着売り場へ足を運ぶ。

―――今の時期だからこそだろうか。
檻葉が探していた時のもの以外にも、ほんの少しだけまた品揃えが増えていた。ポップもさらに増えている。

「よし!それじゃまずはパッと見で選抜していこっか。私、この前見たやつから拾ってくるからサリナさんはこっちで見てて!良いのあったらキープね。」

そう言うと、ぱたたーっ と奥へ突貫していく。

サリナ > そんなこんなで水着の所にまでやってくるが…

「へ?拾う?あ、オリハさん…?行っちゃった……」

と、何か言ってさっさと行ってしまった。まだ目に映る範囲に居るが、私はこの辺で見ていればいいのだろうか…
入り口付近はこの前オリハさんが買ったようなビキニ…だったか?
そういうものが多いので他に何かないかと思ってオリハさんとは反対方向に歩いて眺め見ていった。

む、これは水着のワンピースかな?なにやら"競泳水着"と書いてある。
どれ、といくつか手にとって自分の体に当ててみるが、これは…胸が入るだろうか…?
触って素材や伸縮を確かめてみて、自分がこれを着るイメージをするが、着る段階で窮屈を感じて苦労しそうだ。

谷蜂 檻葉 > (ん、これとか普通に可愛いかも)

ワンピース+フリル

(やっぱり抵抗なく着てくれそうなのは露出が少ないこういうのかな…?)

パーカー+キャミ+ビキニタイプ

(……似合いそう、ね)

サラシ風+パレオ

次々と右手でかき分け左手に水着を乗せていく。
その勢いたるや最初に自分のものを見ていた時の数倍は早い。

「サリナさーん、良いのあったー?」

7つほど載せた所で、一度手を止めて振り返る。

サリナ > 色々競泳水着の所を見ていくが、どれも似たり寄ったりが多い。
一応華やかなものもあるが…数は少ない。いや、私は別に水着に華を求めている訳では…
後ろが開いているタイプなら私でも着れそうか?と思ったのも束の間、オリハさんが遠くから私を呼んでいる。

「えっと、は、はい、今いきます」

他人と服を買う、というのは私の人生ではなかった出来事で、かなり慌ててしまった。
とりあえず合流した方がいいのだろうと思って、すぐそこにあった競泳水着の一つを取った。

後ろが開いていて競泳水着の中では着易そうな物だったが、実の所色合いが好みじゃなかった。
しかし慌てていた私はそれを持ってオリハさんの所へと駆け寄るのだった。

谷蜂 檻葉 > 「あら、何か良いの決まった?」

ニコニコと、実に楽しげな笑みを浮かべて水着をあてがうために一度近場の棚の上にどっかと載せる。 やはり素材が静なタイプにはそれに合わせるのもいいけれどイメージ破壊に挑戦するのも面白……素晴らしい相性だと思う。

「こういう、落ち着いた物に可愛いらしさのアクセントがあるのを前見た時に考えてたんだけど、(ワンピース+フリル) やっぱり王道にこういうの(キャミソール)を選ぶのかな…って考えたの、 でもこれ! (セパレードパレオ)きっと似合うと思うの! どうかな? 取り敢えず着てみましょうよ!」

押すな押すなの勢いで、見上げるサリナに押し付けるように水着を渡してグイグイと試着室へ置いていく。


「と、サリナさんが選んだこれもね!」

そういって最後に後ろの開いた――競泳水着の後ろを開いたような、少し変わった水着を脇においてカーテンをそっと閉める。

サリナ > 「いや、実は言うとまだ決めてないんです…が、え?こんなに…?」

正直驚いた。私がまだ一つしか持ってきていないのに対し、彼女は色々持ってきている。
やはりこの世界の女子というのは常日頃から服を買ったりだから選ぶ速度も早いのだろうか…

彼女が水着について矢継ぎ早にまくり立てて説明するのでその半分も理解できなかったが、押すに押されて試着室に水着ごと放り込まれてしまった…

一応脱いでいって選んでくれたものを順繰りに着ていって見る事にした。

「ええと、何かフリルのようなものがついてますね…」

とりあえず服を脱いだ。…そういえば、私も3ヶ月前と比べてかなり太ったなあと思う。
最近、また体重を量る機会があったが、驚く程だった。
胸も大きくなったし、日頃島中を歩き回っているせいか脚、特にももの辺りに筋肉がついてしまった。
お尻の方も大きくなったような気もする。とにかく全体的に太ったのだ。

彼女が最初に言っていたこれを着てみるが、どうも似合っていない気がする。
落ち着いた色合いは私好みではあるが、フリルが何か邪魔をしているような…
とにかく着ていくそばから彼女に聞くべきだろう。私じゃこういうのはわからないし…

「オリハさん、オリハさん、どうでしょうか?あんまり似合ってない気がします」

谷蜂 檻葉 > 「どうどう? ………わお。」

サリナの事を「外人寄りのスタイルの持ち主」だと思っていたが、いやこれは。
スラっとした、という印象ではないが出る所が出て締まる所がしっかりと締まって。
自分と……いや、自分の完全な上位互換ではないのかコレは。

水着に目を向けても、そのスタイルを抑えながらも普段のイメージを出しつつ綺麗な色気がちゃんとある。

ただ、やはりメガネを付けたままだとフリルの可愛らしさはミスマッチだろうか?

「うんうん……ちょっとメガネ外してみてもらえる? 泳ぐときは外してるでしょうし。」


実地検分あるのみだ。

サリナ > 「ええ…メガネを外すのですか?」

露骨に嫌な声が出てしまったかもしれない。なんというか私は眼鏡がないとダメなのだ。
もし眼鏡を外さなければ泳げないというのであれば私は海で泳がない所存である。



…と言いつつも眼鏡が塩水で痛むのも嫌だと思ったので一応外す。
視力については最悪、魔術でなんとかできる。

http://guest-land.sakura.ne.jp/cgi-bin/up2/img/toko131.png

谷蜂 檻葉 > 「あはは、まぁまぁそう言わずに。」

メガネを外すと印象が少し丸くなる。
すると、やはりフリルも悪くはないだろう。


「……ううん、でもやっぱり元のスタイルが良すぎるっていうのもこういう時不便ね……
 よし、次行ってみよー!  あ、メガネは掛けていいよ。」

なかなか悪くなかった、と。先ほどの横にあったフリルが1ポイントのみのモノを心のなかでピックアップして次を勧める。

サリナ > 「スタイル…いいんでしょうか?三ヶ月前と比べて10キロ近く太ったんですが…」

そう言いつつシャッとカーテンを閉める。お次はこの…なんだろうこれ?(キャミソール)
彼女は王道と言っていたが、これは一体…

ふむ…露出はそんなにないんだなと思っていると下の方はビキニ…だったか?そんな感じの組み合わせだった。
着てみるが、やはりあんまり似合ってる気がしない。というか私が着ると何か、普通に下着をつけているような感じがする。
これで部屋を歩き回って誰かに見られたとしよう。恐らく下着だと思われるだろう。

「これもあんまり似合ってない気がします…」

谷蜂 檻葉 > 「10!?……それ、筋肉込みなんじゃないかしら?10も増えたら普通体型駄々崩れよ、駄々崩れ。」

私なんて……ゴニョゴニョと顔を片手で覆いながら次の試着を待つ。
いわゆるタンキニというタイプに近い組み合わせだったが、こちらのほうが先ほどの組み合わせよりも”水着らしさ”が可愛らしい。

色が少し地味すぎるかもしれない、逆にこちらは派手目のものをあとで探してみよう。

「いやいや、良いじゃない! おっけーおっけー、これはキープしておきましょ?
 さっきあった水着に合わせる薄手のパーカーで抑えられるし全然アリアリよ。
 ……それじゃ次行きましょう!」

さあ、まだまだサリナに合う水着は沢山ある。

サリナ > 「ああ、なるほど。これも込みなんですね~」

そういえば何故パーカーがあるのかと疑問に感じていたが、そういえば水着と一緒にあわせている展示が入り口にあった気がする。
一概に水着は水着だけ…というのでもないようで今のはすごく勉強になった。

最後に彼女が選んでくれたこれは…何か踊り子の衣装みたいだった。
着てみるが、ふむ、悪くない……この布が中々いい感じがする。その場でくるりと回ってみるが、踊り子といった風が強調されて面白い。


はっ…今の見られたりしていないだろうか…?恐る恐る振り返る。

谷蜂 檻葉 > にっこり。

【文字に出来るほどの笑みを見せてこちらを見ている……】

ニア 聞くまでも なかろうよ!
  そっとしておこう


「――――気に入ってくれたかしら?それじゃ、これもキープしておきましょ。」

改めて閉められたカーテンの向こうから、 うふふふふ…… と楽しげな笑みが聞こえてくる。

サリナ > 「うああああああああ……」

普通に見られてました。私は謎の悲鳴を上げるしかなかった。
その場にへたり込んで絶望の余韻に浸る。一分程ほど。

気を取り直して次の自分が持ってきた水着を着よう。確か競泳水着だったか…
色合いは好みではないが、何かと泳ぎやすそうではある。と思ったのも束の間。


……え、入らない。
背中が開いているから余裕だと思っていたが胸の辺りでつっかえた。
というか胸の辺りの余裕がまだ足りなかった。ワンピースだし、サイズも小さめに見繕ってしまったのかもしれない。

彼女は私にぴったりな水着を選んでくれたというのに私は自分の水着も満足に選べないのか!

「うぅぅぅ、ううぅぅぅ……」

そんな絶望とも羞恥とも付かぬ悲鳴を上げつつなんとか胸を納めようとする。

谷蜂 檻葉 > 「ちょ、ちょっと大丈夫?」

泣きそうな声を上げるサリナに、異変を感じて中の様子を確認する。
するとまぁ、随分とムネの平たい族に恨まれそうな理由で苦労している姿が見えた。


「ああ、もう……ほら、ちょっと背筋伸ばして。 ええと、あ、やっぱりここ布が挟まってる、ちょっと待ってね――」

履いていたサンダルを手早く外して試着室に一緒に入って後ろ手にカーテンを閉める。
人の衣服に手を付ける経験はあまりないが、この位なら直感的に理解できた。

「はい、これで大丈夫ね。 あー、少しきつい、かな?後でワンサイズ上のも見てみましょうか。」

そう言って背中をポンと押してサリナと一緒に鏡越しにチェックをする。


……これはまた、扇情的というか。

肉体美が出る、というのはこういう事か。

無言で、背後から眼鏡を取り上げる。



「――――ぐうの音も出ないぐらいに似合うわね………。」

パツンパツンになる場所が違う。

鏡越しに睨む私の顔がよく見えた。

サリナ > 「あ、…ありがとうございます。い、いたっ…」

なんとか助けを貰って胸が納まるが、もう本当に胸がキツくて痛かった。
サイズが小さいのが他人の目から見ても明らかだろう、少し恥ずかしかった。

「…いえ、全然似合ってませんし、色が気に入らないのでもう別のにします」

と、言い訳染みた事を言って誤魔化す。眼鏡を取られてしまうが、もうぐうの音も出なかった。
……そういえば何か、彼女の顔が怖いような。さっさと脱いでしまおう。

「あの、もう脱ぎますね。今のでわかりましたが、こうなるべく…胸に余裕がある感じのものをにしたいですね。
 あと可愛いのは私には似合わない気がするので、そこも考慮してもらえると…」

もう自分で選ぶのはあきらめた。普段ワンピースしか着ない私に水着を選ぶなど到底無理な事だ。彼女にお任せしよう。

谷蜂 檻葉 > 「全身型の水着で、色はシックな方が良い、胸に余裕があって……眼鏡に関しては保留ね。
 可愛い系――も、まぁ取り敢えずやめときましょう。 後、出来れば着やすい方がいいかしら。えっとサイズは………うん、これより1サイズか2サイズ上ね。」

うんうん、とここまでの情報から色々と候補から洗い出していく。
その評定は楽しげながら真剣そのものだ。


……そういえば、私には到底無理そうだと思っていたアレはどうだろうか?


「ちょっと入ってて!」

そう言ってカーテンから出ていき数分立たずに戻ってくる。


「これ、ちょっと着てみて!」

少し息を切らして(ダッシュで取ってきたらしい)戻ってきた彼女が持ってきたのは先のキャミソールタイプの色違い、少しこちらは明るい赤や黄色のラインが入ったもの。パレオのさらに大人びた印象のもの。

そして

モノキニ、という変わった水着だった。
前面と背面で印象がビキニタイプとワンピースタイプにそれぞれ見えるという水着。

実際に来てみない限り解らないが、ともあれスタイルの良さを活かすならこれは一考の価値はあると踏んだ。 ―――スタイルの悪さが邪魔をして自分は着れなかった。


サンプル写真では、マフラーのような少しクールな印象のアクセントが特徴的で、サリナなら着こなせると思う。

サリナ > 「いや、メガネはかけたままですからね?外すとか無しですからね??…って行っちゃった」

全く、オリハさんは眼鏡をなんだと思っているのか。
極めて重要な体の一部のようなものではないのか、服飾としてもかなりいいものだろうぶつくさぶつくさ……

とか思ってると数分で戻ってきた。二つの水着を持って、しかもなにやら興奮気味だ。

「なんでしょうかこれは…?さっきのと同じようなのとあとはワンピース?あ、こっちの方は背中の方はないんですね……着てみます」

とりあえずは一つ目を着てみる。これは先程の組み合わせの中から少し違うものを選んでセットにしてくれたようだ。
この組み合わせは大分露出が減っていて、色合い的にも上の方は下着らしさはないし、
下の方は踊り子…というよりは薄着のそういった格好をした魔女といった風だった。

「着ましたよ。どうでしょう?…眼鏡は外しませんからね?」

谷蜂 檻葉 > 「おぉー……。 かなり良い、良いわよサリナさん。」

ちょっと後ろ見せてね。と、再び試着室に一緒に入ってチェックをしていく。

「うんうん、あ、ここはこうなってたのね。 んー、これだと羽織るよりも普通にタオルのほうが……あ、マントみたいな方がいいのかしら?」

頭のなかでシミュレートしながらサイズの問題がないか本人確認。

「胸、さっきのより1サイズだけ変えたやつだったけど大丈夫? 緩すぎたりしてないかしら。 良いなら、これもキープしましょ。」

サリナ > どうやら彼女的にはいいらしい。私的にもオッケーです。

「いえ、むしろこれが丁度いいようです。すごいですね…」

流石オリハさん、と言ったところで先程のより付け心地がいい気がする。
しかしさっきからキープと言うがもしかして取っておいて後で選別するのだろうか…
とりあえずは一つだけ、という事で今着たこれが今一番の候補だ。


さて、二つ目を着てみるが、競泳水着と違って胸元が開いているので窮屈さはなく、着易い方だった。
先程前面だけワンピースかと思ったが、実際に着てみると上と下を結ぶ部分がXのような形になっていて、肌の露出がちらほら見られる。
見様によっては露出度は普通のビキニとそんなに変わらない気もするが……

「些か、大胆な気がします…でもまあ、他のよりかは自分に合ってる気がしないでも…でも……」

歯切れ悪く感想を言う。いや、なんかこれはなんというかまあ、これはそう、これはそうなんだ…混乱してきた。というかこれが一番恥ずかしい。

谷蜂 檻葉 > 「さーて、それじゃあ……」

これでひと通り、確認できた。
やはり素材がいいと選び甲斐がある。 ……こうも楽しいと将来、アパレル関係も候補に入るだろうか。ともあれ今は彼女の水着について。

可愛らしいのも、カッコイイのも、少し大胆なのも、シックなものもどれも似合う……。
と、なると


「――――買いましょうか(全部)」

ごくごく真剣にそう呟いた。

サリナ > あ、あのー、オリハさん?何故おもむろに今しがた私が着ていった水着全てを抱え込んでおられるのでしょうか。
もしかして、それら全てを購入しろと、そういう事ではないですよね?
あ、ダメだ。全部買う気だ。この目はそう言っている!!

「ちょ~~~~~~っと待ってください…、折角オリハさんが選んでくれたのでどれもこれも欲しいのですが、
 私そんなにお金ないので、一つ!どれか一つでお願いします!」

早く止めないとすぐにレジに行ってしまいそうなので声を荒げて懇願した。

谷蜂 檻葉 > 「う、それもそうよね……。」

着替え途中のサリナを尻目に試着室を出ようとする足を止める。

「私としては、最後の二つのどちらか……折角だし最後のがいいと思うのよ。
 確かに少し肌は出るけど、後々調整が効きそうなのが良いかなって。
 一夏着たきりで次の、とかサリナさんあまりやらないでしょう?」

そうでなければ、少し自分で負担してしまってでもここは二種類購入を選びたい。

「あー、やっぱりパレオのも悩むなぁ……黄色系だけど体型は白人よりだし、そっちを武器にしたほうが……うん、ならやっぱり羽織るものだけオプションに足すほうが。」

置いた水着からさらに漁って厳選を重ねる。


「こっちのパーカー、フードをジッパーで取れるからちゃんと使えば何年か大丈夫だと思うしこれをオプションにして最後のと組み合わせましょう。 ……ね!」


よし! と。

色々と脳内議論を重ねに重ねて取り出した7千800円、
セールで5千200円。キャンペーンで5千円也。

サリナ > 「えぇ!?最後のものをですか…!?えー、うー、あー……」

一応値段面も考慮するとセットにしてもそんなにはかからない。というか他のより幾分か安い感じではある。
パーカーも羽織れば、そんなには恥ずかしくはない…か?海に入る時にだけ脱げばいいし……

「うーん…うーん……うーん………」





アリガトーゴザイマシター!


ああ、買ってしまった。このモノキニ…といったか、とにかく大胆な水着を…まあ、いいだろう。試しに買っただけだし……一応家に帰ったらつけてみよう。
まあ、とにもかくもこれはこの文明に近づく為の一歩に過ぎないのだ。そう自分を納得させた。…納得できたかな?

「オリハさん、今日はお付き合いくださりありがとうございました」

店を出た所でお辞儀をして感謝の意を示す。私一人では到底購入に踏み切れなかっただろうし…

谷蜂 檻葉 > ファサ、と髪をなびかせ成し遂げた顔で店を出る。
中程まで落ちてきた夏の日差しが眩しい。

明日は明日で海への予定だが、別の機会にでもサリナと海に行こうと思う。
……うん、それはきっととても楽しいはずだ。


「ううん、私こそありがとう。二人で選ぶの、すっごく楽しかったわ。」

自分では買えない、相手に似合う物を選ぶというのは存外に楽しい時間だった。
もっと色んな人と、サリナとも、こうした時間を過ごして行きたいと改めて笑顔になる。


「―――あ、そうだ。これ、貰ってくれる?」

別れの挨拶を切り出そうとした時、ふと最近覚えた魔術について思い出した。
最初に知った時は今どき使う人間もいないだろうと思っていたが、彼女は別だ。


「傷跡遺し<<Trace>>のおまじないをつけた、普通の石なんだけど……ほら、サリナさん携帯持ってないでしょ? おおよそ一方通行だけど、これで送れば直ぐに約束できるかなーって。」

ルーン・アニマ信仰系の、他の魔術の『対象』を得るためだけの魔術。
本来なら呪いの宛先などに使われるが、妖精魔術で言伝を飛ばす先にも使えるのは実証済みだ。

……まあ、返信は妖精が待ってくれなければ片道の手紙返送なのだけれど、駅の公衆電話を使ってもらっても良い。

サリナ > 「なんですこれ?傷跡遺し…?」

一瞬不吉なイメージが湧いて出たが、よくその石を見てみれば、これ自体に害がないのはわかる。
よくわからないが、予見や呪いに近いもののように見える。私もかつてこれと似たようなものを使った覚えがあった。

「ああ、なるほど…つまりは連絡用の魔道具の類ですか。わかりました、ありたがく頂いておきます。
 一方通行となると返事に不便ですね…一応折り返し連絡が必要になりそうであれば公衆電話か何か使うようにします」

確かに一方通行であれ、こういうものがあれば連絡は容易かもしれない。
携帯やスマートフォンを持ってない私にオリハさんなりに気を使ってくれたのだろう。

「それでは…今日は本当にありがとう、また何かあればお買い物一緒に行きましょう」

その石を仕舞って別れの挨拶を済ませると、駅の方に歩き出した。帰ったら早速着てみよう。
オリハさんに見られていたからあまり自分では直視しなかったから、もっとこの水着を自分の目で見よう。

ご案内:「商店街」からサリナさんが去りました。
谷蜂 檻葉 > 異邦人街の方へ進むサリナに手を振って、逆側。 学生地区へと帰っていった……。
ご案内:「商店街」から谷蜂 檻葉さんが去りました。
ご案内:「商店街」に渡辺慧さんが現れました。
渡辺慧 > 欠伸をこぼしながら、昨日と同じ場所にふらりと立つ。
昨日――そもそも目的からそれたが、満足のいく日。――

だけれど、結局水着を買うには至らなかった。
のんびりとはいえども使うのは明日。
流石に水着を用意しないわけにはいかないだろう。

だからまた。ここへ立ち寄った。

渡辺慧 > 主に買うならば……。まぁオーソドックスに、適当に。トランクスタイプの水着でいいのだろう。デザイン等にこだわりはない。

スポーツショップ……生憎そこに覚えはない。
だから、ふらりぶらり。
気の向くまま。

目的地はあれど、順路はない。紀行でも書けそうだ。

のんびりいつも通り。ワザとらしい下手くそな鼻歌を鳴らしながら、人通りをふらふらと歩いていく。

ご案内:「商店街」にルフス・ドラコさんが現れました。
ルフス・ドラコ > 通りの反対側を。
車線の一本や二本は挟むかもしれないその向かい側を歩く少女が居た。
山岳民族めいた衣装はそれなりの露出度で目を引くが、汗ひとつかかない様から言えば暑さからそうしているわけではないのだろう。

「…ん、」
目で気づくよりも早く、鼻で嗅ぎ分けたというわけでもなく、
ただ感覚がそちらに向いていたとしか言いようもなく。
こうしてみると、黒いワンピース姿で彷徨っていた頃は
ほとんど目も開いていなかったようなものだなと思い起こしながら、
「慧お兄さーん、けーいお兄ちゃーん!」
無表情に知り合いのことを大声で呼ばった。

渡辺慧 > さて……。とはいってもある程度の指針は必要だろう。
水着と言えば。
――というか去年はどこで買ったっけ。

一年も使わないと覚えていない辺り。思考の幼稚さには首をかしげる。

はて。
と、思考を少しだけ回想に移したところに投げかけられる声に。
肩を少し震わせた。
ゆらりと、ふわり。
揺らめきながら声の聞こえる方を覗き見て。

「その名で俺をよーぶのはー………………」

「だれだっけ」

古典的だった。――尚大体が冗談の類ではある――

ルフス・ドラコ > 先ほどまで無表情だった顔つきが、少しだけ口角を上げる。
覗く口元には、牙の幻影。

ドサリ、と持っていたトランクを取り落とすと、
挟んだ車線はまるで出港する船と港の間、これより別れの大海を行く
と言わんばかりに左手を差し伸べた。
「いいえ、いいんです船長さん」
「あの人はきっと私のことを覚えては居ないでしょう」
「幼いころからずっと、別け隔てなく接してくれたあの人のことを兄と慕ってきましたが」
「……そうして心の支えにした日々も今日で終わり。」
「お兄ちゃん、最後だけどうか教えて欲しいんです」
船長役にされた道行く学生はちょっと迷惑そうだった。
しゃがみこんで"溜め"ている少女を見ると、これ幸いとばかりに走り去っていく。
そちらには片手でごめんねとジェスチャーを出しながら…
涙を拭う仕草とともに決然と立ち上がる。
「私のアイス……どうなったでしょうね…?」
ここまで全部無表情。

渡辺慧 > 「わかった。俺が悪かった」

こいつカウンター持ちかよ、とでも言いたげな顔で。

参ったとでもいうように両手を上げる。
あとそこの子。本当にごめん。
あと設定結構凝ってるよな。

「おーらいルフス」
「久しぶり」
「つーか君時計塔であわなかっただろうに」

まぁ買ってなかったけど。と軽口を叩くようにそう言い切った。

ルフス・ドラコ > トランクの底を叩いてから、車道を伺うまでもなく堂々と少女が歩む。
先ほどまでの大海はどこへやら。
…それとも、アイスのためなら海とて渡るというのか。

「いえ、慧さんが悪いということもないんですけれどね、ただの悪ふざけですから。」
参った、という様を見れば、先ほどの牙を剥くような笑みではなく…
ほんの少しだけ、微笑むだろう。
「お久しぶりです。こういう悪ふざけに乗ってくれる知り合いが少ないので、ついついはしゃいでしまいました。」
歩み寄れば、立ち話ではなく、合流と言った様で自然と距離を詰めて立つ。
トランクは邪魔になるので反対側へ持ち替えて。

「……もしもお暇でしたら、アイスでも買いに行きましょうか?」
「ハーゲンダッツよりももう少しお高めのアイスに手を出す用事がありまして」
「今なら少しは懐も温かいですよ」
時計塔であった頃とは随分見違えて、今のルフスには活力が有る。
幽霊と見間違えることはないだろう。…ただ、幽霊よりも他人を害しそうな雰囲気はあっても。

渡辺慧 > 「シシシ」
猫のように、そう笑って。
その場に立って。
その不思議な少女が寄ってくるのを待つ。

「俺も楽しいよ、君みたいなのと話すのは」
そう言って。再び両手を上げた。

「ん。……あー。今日は一応予定があんだ」
苦笑しながら。
「水着」
「ちょっと、入用でね。探しに来たんだ」
「その後でよければ、だけど」

どうかな、お嬢さん。
等と気取り。そう言うと。

再び。
シシシ。
そう言って笑った。
――害しそうな雰囲気。果たして、それに気づいたか、気づかないか。
機微に疎いと自らが言うその少年の真意は、あいもかわらず……。

ルフス・ドラコ > 「私みたいなの。何でしょう、熟年夫婦みたいな呼ばれ方ですよね」
「お前みたいなのとずっと一緒に居るのはオレぐらいだ、みたいな」
そして実際に言いそうですよね、年をとった慧さん、とか視線を外してから呟きつつ。

そのまま視線を宙に彷徨わせた。
「水着……そうですか、水着、ですか」
オウム返しに呟いた言葉の後を追うようにして視線を下ろす、横に立つ青年…
ルフスからすると少年の区分に入る彼の、猫のような笑いを見ながら、
無表情に数秒だけ見つめると――
「では、お付き合いしましょう。
…てっきり歩き方から暇なのかと思いました、すみません」

先程から感じられる雰囲気は、声音から読み取れるかもしれない。
ほんの一瞬だけかいま見えた、あの時とは違う雰囲気。
彼女はおそらく、今一瞬だけ見つめている間に仕事のことを考えたのだと。

渡辺慧 > 「熟年夫婦ねぇ。なんだい、君が妻ってかい」
「退屈はしなさそうだけどねぇ」

のんびり、適当に。それに合わせた様に。

「君は買わねーのかい。水着」
「ビーチの視線釘づけ」

からかいの口調混じり。楽しげに嘯く。視線は、宙を彷徨うその少女の視線の元の顔を見ながら。

「ある意味暇だけどね。目的地はいづこ。さてさて、俺はどこを彷徨っているのやら」
「だから、付き合ってくれるというならうれしいね」
「ぜひそのセンスを見せてほしいところですよぅ」

あくまで少年の雰囲気は変わらない。
変わらない。いつも通り。何かを感じた、とも感じられない。
だがしかし。一瞬だけ……日差しが眩しそうに目を細めた動作に、どんな意味があるのかは。

「……忙しないねぇ」
それは何に対しての呟きなのかは。

ルフス・ドラコ > 「それ以外は保証できませんから、良い目の付け所だと思いますね」
「私も慧さんと居ると退屈ではないですから、お互いにそれ以外を求めなければ上手くいくのではないかと」
適当な事を真剣に検討することがあれば、そんな調子だろう。
言いつつ、歩き出すのであれば横について歩き。
あるいはもう少し立ち止まるというのであれば、その横に付き添っているだろう。先程からの例えのとおり。

「すみませんが去年の分のスクール水着がまだ着られますので」
釘付けについては否定せずに、そのまま洗い場に話を叩きこむような返答をしてから…珍しく眉根を寄せた。
「……と答えるのが個人的にはベストの回答なのですけれど」
「まあ、今のところ誘われても居ませんから必要もないですし」
困り眉はそのまま。珍しく弱っていた。

「とはいえそれも私の事情ですから、慧さんが私の十年ぶりの人間界センスを見たいのであれば存分に。」
「途中でアイスも買えるかもしれませんし、道行でこうして話すのも悪くはありませんから。」
「まあ、まだまだ……時間はありますよ」
自らの端末を覗いて、ルフスは言った。

渡辺慧 > 自分でいったとおりに目的地はいづこやら。
スポーツショップにでも行けばいいのだろうが、場所はあやふや、となる。
「じゃあ、そういう利害で暮らしていけそうならプロポーズデモさせてもらおうかな」
「プロポーズの言葉は、そうだな。『養ってください』とかでどうだろう」
ふざけた調子。いつも通り、それがいつも通り。

「オォ、マニアック」
眉根を潜めて……いやどちらかというと非常に興味深そうな声音。
しかしながら、珍しく。この少女――と、いっても。今だ二回目の邂逅でしかないのだが。――弱った調子に。
「……誰かと行きたかったり?」
等と。こちらも、珍しく。探る……というよりかは――。

「そうだね」
「まだ――時間はある、か」

日差しが熱い。まるで夏のようだ。
……そんな風に自らの思考に肩を震わせると。

「じゃ、いこっか」
そう言って、歩き出した。
先程とは、違い。ふらりとどこかへ行くような歩みではなく……。連れ添うように。

ルフス・ドラコ > 「ええ、行きましょうとも。」
トランクを両手で持って、少女の歩みはゆっくりと、合わせるように。
「まあ、これはまた大した恋愛結婚ですね。子供にはなんて伝えればいいんでしょうか。」
くすくすと、笑いが漏れた。つまり彼女の基準で言うと大笑い。
「それなら私はこう返すのでしょうね、『十全に養われてくだされば結構ですから……』」
「『私より先に行かないでくださいね』」
楽しそうな声音で、一瞬だけ目線を送って。蒸し暑さの中、風鈴のように鳴る声。
彼女自身にとっては何回も繰り返したいつもどおりの言葉。

「………。」
ピタリと足が止まると、困り眉と言うよりは恨みがましい目つきが慧を見据えている。
「行きたい……」
「わけではないのです」
ぐ、っと拳を握って溜めを作る少女。
「……ないの、ですけれど。」
程なくして解ける拳。判断に迷っている感情。言うべきか言わぬべきか迷っている事情。

渡辺慧 > 横目で見ながら。
その目じりは楽しげに。
彼女の歩幅に合わせ乍ら。
クック、と喉の奥で笑いをこぼす。
「『あぁ、それはわからない。だけれども、少しでも一緒にいる間は養わせてもらうよ』」
「『それが幸せというならば』」

なんてな。肩をすくめて。実際……自らの寿命はわからないが。
さてさて。

ピタリ。横目で見た彼女の姿が止まる。
ん? と漏らしながら小首を傾げた。

「………………言いたいなら聞くけど」
「言いたくないなら俺は何もツッコまないよ」
「だけども。行きたいというならば、だな」

暑そうに、前を向きながら。
その口元には。苦笑に似た、何かが浮かんだ。

ルフス・ドラコ > 悪く無い話だ、と彼女は思った。
問題が有るとすればきっと自分の方にそのうち起きるだろう。
「貴方の父母はお互いを養うことしか考えていませんでした、と。
そう子供に伝えようという話になるわけですか」
話すにしても三歳くらいですかね、と呟きつつ。
「良い話だ。髪留めと時計の鎖の話の次には好きかもしれませんね。」


後ろから見えるのは、横顔。
それが前を向くのを待ってから、それでも尚少しだけ待ってから、やっと。
「……水着は、買う必要が無いわけではないのです。」
重苦しく口を開いた。
「常世学園ミスコン大会。開かれるとなれば常世中が激震するとも、
一部の、ほんの一部の生徒だけが参加を許されるとも説は分かれますが」
言葉を切ったところで、錆びついたチェーン並みに口のかみ合わせが悪くなる。
自然と頬を伝った汗に、こうも熱いのは気温のせいだと、一切因果関係がない八つ当たりをしながら。
「……出るなら出るで、水着を買わねばならないのです」

言い終えて、半ば屈みこむように、
地面の自らの影を見つめていた事にはっと気づいてから、もう一度トランクを持つと、少し歩いて。
横に並んで、もう一度、錆びついた唇を震わせた。
「ただ、誰かと海に行くようなことが有れば、ミスコンには出ないでもいい、と」
「そういうことになっています。」
最悪の賭け事。ろくでもない取り決め。
呪う言葉ならいくらでも思いつくけれども、今はそんなことを言っている場合でもなく。

「なっているんです、慧さん。」
じー、っと。目線が送られてきていた。

渡辺慧 > 「その話も、いい話なんだろうね」
「ならば、また聞かせてくれるなら聞いてみたいところだよ」

本心からか。どうか。やわらかげに笑いかけ乍ら、そうつぶやいた。

「……ん。……へ?」
後ろを振り向きながら。その顔を見る。
……う。
視線が、送られている。

少々。正直なところを言ってしまうと事情が分からない。
ある意味、愛想笑いをしながら。

「……あー、ルフスなら、ミスコンに出たらきっと上位に入るんだろうなー……」

とぼけ、とぼけ。目線をちょっとそらし。汗をだらだらと。――暑いせいだ。――

しかしながら。……その目線には、敵わない。

「………………俺、これ。なに」
「誘え、って言ってる?」

ほぼ確定。機微に疎かろうが、その視線の圧には敵わない。
自信なさげながらも……そう。
少しだけ、躊躇いがちに。

「……行くかい?」

ルフス・ドラコ > 「ええ、いい話ですよ。お互いを好きな気持が伝わったなら、きっと現実なんて乗り越えられるって話です」
「……私達にはそんなに関係ないかもしれませんけれども。」
前半は、素晴らしいものについて語る少女らしく。
後半は、この暑い夏の日差しの中、たまたま出逢ってしまったから買い物に行く友人らしく。

「ミスコンなんて出るわけないじゃないですか……出るわけないじゃないですか?出ませんからね?」
考えるだけで頬が赤くなる、
自分よりも"いい女性"がはるかに大勢居るところへ出て行くのは遠慮したくて仕方ない。

「慧さん。上位とかじゃなくていいんです。」
近づく目線、愛想笑いに対しては徹底的に逃さない姿勢で。
「他の誰かの方が私よりも、ってそう思う気持ちを吹き飛ばしてくれるような一言が大事なんです」
「それこそ『君以外目にはいらないよ』とか。」
物理的にそれを実現しながら。
ルフスは、むしろ、躊躇いなく―
「……ええ、行きましょう。海。」
今度こそ、先ほど開いていた拳を、ぐっと握った。

爪先立ちして伸ばしていた足をゆっくりと下ろす。
お互いの距離が少しだけ離れて、少しだけ冷静になって相手の顔を見てから、
少女はポケットからハンカチを取り出した。
「……暑さのせい、でしょうか。」
白々しい素振りで、緑の、大きな四葉の描かれたハンカチを手渡そうとした。