2015/07/04 のログ
ご案内:「常世公園」にエルピスさんが現れました。
エルピス >  夜の公園を歩く。
 夜の見回り――割りと風紀委員の領分な気もするけどそれはそれとしての最中、公園に佇む二人を見かけた。

 様子から、困り事ではなさそうだけど……

(何をやってるんだろう?)

 ちょっとだけ、近づいてみることにした。

クラスカ > (慌てた様子の女性の反応に、こちらも声は上ずる)

えっ、気付いていなかったんですか。
てっきり途中で僕がいることが分かって、驚かせるために、〆として最後の花束を出してくれたもんだと。
それだけ手品に集中してたんですかね?

(小動物みたいだ、ということが抱いた感想)
(手品を続けている最中の洗練された自信のある所作からはとても想像し難い、か弱さ)
(無駄に動揺させてしまったことに若干の申し訳なさを覚えつつ、とりあえずお約束の、警戒心を解いてもらうための切り出し方をしてみる)

僕、生活委員で巡回をしているんですけど、夜は色々と物騒ですよ。
いつも外で練習とかしてるんです?

(首を傾げ、尋ねる)

四十万 静歌 > 「す、すみません、なんていうか集中していたもので、
 よくあるんですよね。」

なんて、真っ赤になって頭をかきつつ――

「ええ、物騒なのは分かってるんですけど、
 ちょっと寝つけなくて。
 明日のテストは幸いありませんし――
 いつも、というか夜外で練習っていうのは、
 あまりない方?だとおもいますよ。ええ。
 あ、良かったら、い、いりますか?」

なんというか、本当に自信がないというか、
頼りない回答と共に花束を差し出すだろう。

エルピス >  
 真っ赤になって花束を差し出す少女と少年。

(……逢引?)

 いやそんなまさか。そう思いながらもうちょっと近寄って様子を伺う。
 少なくても、悪いものではなさそうだ。そんな風に思いつつ。

クラスカ > (出来る限り穏やかに話したつもりでも)
(まだまだ口調や態度には焦りが混ざっている風だ)
(過剰すぎる態度は「フリ」ではない、彼女生来のものなのか)

(人見知りなのかな?)

あはは、羨ましいですね。僕は集中力がないってよく言われます。
そんなに慌てなくて大丈夫だから、少し落ち着いて下さい。ね?
(年齢の分からない女性相手に、年下の子供に諭すような物言いをして)

じゃ、観客として遠慮なく。ありがとうございます。
(手を伸ばし、花束を両の手で支え、受け取る。今日という日の記念に)

僕はクラスカ、って言うんですけど、あなたは?
もしかして有名な手品師の方?

四十万 静歌 > 「あ、は、はい。
 すーはーすーはー」

言われるとおとなしく深呼吸して、
花束を渡しながら落ち着く。
まだ頬が赤い。
なお、人見知りは大正解である

「わ、
 私は二年の四十万 静歌(しじま しずか)と申します。
 手品師…ではなく、
 手品は趣味ですね。
 特に何が得意とかもないものですが、
 これだけは得意です。」

なんて、微笑みながら再び軽く頭を下げていうだろう。
胸に手をあてて、まだ騒ぐ心を落ち着けているようだ

クラスカ > (増えた気配には気付いても、声に出すことは控えておく)
(殺気や魔力の流れがない以上、脅威と判断することは保留していい)
(が、もし眼前の女性が高名なマジシャンだったとして)
(パパラッチのスクープにでも遭ったら、興味本位で話しかけた自分にも非がある)
(どうするべきか、と眉を寄せて思案した)

エルピス > (うーん、異常なし、かなぁ?)

 少し思案する。話し声の様子からしても、悪い雰囲気は感じない。
 慌てる彼女の素振りから見ても声を掛ければテンパらせる――もとい、慌てさせるだけだろう。

 そのままこっそり、立ち去る事にした。

ご案内:「常世公園」からエルピスさんが去りました。
クラスカ > (造花の花の部分を手でなぞる。本物の花とは異なる、ざらついた偽の感触が伝わる)
(何の変哲もないはずのただの造花を脇に抱えて)

(得意、と言い切れるのだから大したもの)
(趣味でも何かを得意と称する人間は、意外と稀だ)
(手品の世界を知らない駆け出しか、得意と自負できるだけの経験を重ねたか)
(おそらくは後者)

あ、僕一年なので先輩ですね。よろしくお願いします四十万先輩。
趣味であれだけの手品ができるって素晴らしいことですよ。
その様子だと、まだ大勢の前で手品を披露した経験とかはないんですか?

(気配が消えて)
(誰かが覗いていたとの情報は四万十を動揺させるだけだと判断し、伝達は止めておこう、と思った)

四十万 静歌 > なお、エルピスの存在には当然の如く気づいていない。

「は、はい。
 ええ、大勢の前だと、
 どうしても緊張してしまって……!
 大舞台でというのはちょっとむずかしい……ので、
 プロを目指すのは難しそうです」

なんて苦笑して返しつつ、

「ええっと、クラスカさん、は。
 生活委員なんですよね。
 お勤めご苦労様です、
 忙しいとは聞いてましたけど、
 やっぱりこんな夜でも巡回なんて、
 凄いですね」

そして、感心した様子で目を見るだろうか

クラスカ > 趣味も色んな道がありますよね。
道を極めてプロフェッショナルを目指す人もいれば、終生ただの人で終わる人もいる。
でも路傍の人の実力がプロより上だなんてことも、多々ある話で。
単純に立ってる舞台が違ってたら、正確な実力は計れませんよね。
四万十先輩もそうだと思いますよ。
だって僕が見ていると知らなかったら、あんなに見事な手際の手品ができたんですからね。

(笑って返して)

本当は警邏は風紀委員の領分なんですよ。でもまあ、試験期間中ですし。
たまには風紀の人も休ませてあげていいんじゃないかなって。

(とはいえ、風紀もまた動くことになるだろうが)
(よからぬ『噂』も聞くことだし―)

(そんな感情は、顔に出る前に内側で殺す)

あ、敬語使わなくていいですよ。僕の方が学年下ですから。

四十万 静歌 > 「うう、そんなに褒めてもらえると照れますよ、
 まぁ、
 プロの人みたいな大掛かりなイリュージョンは、
 その代わりできないんですけどね。
 あれは、仕掛けとかにお金がかかりますし。」

と再び頬を赤くして微笑み返す。

「ああ、なるほど。
 確かに風紀の人は四六時中警備してる感じがあります。
 生活委員って……
 優しい人達の集まりなんですね。」

うん、と一つ頷いて。

「あ、敬語使うのはその……
 癖みたいなものなので気にしないで下さい。
 ええ。」

クラスカ > そうそう、手品の魅力の一つといえば手の込んだ仕掛けですよね。
脱出ショーとか、切断マジックとか。四万十先輩もそういう凄いの、できます?
一度生で見られたらな、って思ってたんですよ。

(手品は魔術と通じる部分がある)
(共に人によって培われた、門外不出の技術である点だ)
(結果的に魔術は万人の知ることとなり、多くのベールが剥がされてしまったが)
(未だ手品も魔術も、全てを明かさず墓の中まで秘密を持っていく人間は多い)

そうですよー。生活委員はみんなの生活の安全を守る、縁の下の力持ちですからね。
何かあった時は遠慮なく、僕らを頼って下さい。

じゃあ僕と同じですね、僕もいつの間にか、敬語が癖になったんですよ。
今から矯正するのも、キャラが変わっちゃうかなって。

(あはは、と人の良さそうな笑みを浮かべ)

それじゃあ、僕はそろそろ。他も回らないといけないので。

四十万 静歌 > 「そうですね。
 種は知ってますし、出来なくもないですけど、
 残念ながらお金が足りませんね……
 簡単なのなら出来ますが――
 あんまり派手なのは出来ませんよ?」

なんて、片目を瞑ってウィンクしながら、
人差し指を口元にあてていうだろう。

「もちろん、必要な時は頼りにさせていただきますね。
 頼りになるのはわかってますし、ね。
 それにしても、敬語が癖だなんて、似てますね。」

とやわらかく微笑んで――

「はい、時間をとらせてすみません、
 巡回頑張ってくださいね。」

手を振って見送るだろうか

クラスカ > (白い指を薄い唇に重ねられる様は、化粧品の宣伝で女性がアピールする姿にも似ている)
(どうやら、四万十は手品の腕だけでなく)
(客の心を掴む技術にも、長けているようだった)

スポンサーがついたらまた変わるんでしょうけど。
アマチュアのしかも学生の身分では中々、ですね。
残念だなー僕が石油王だったら、先輩を全力でプロモートするのになー。
『新気鋭の学生マジシャン・四万十静歌堂々登場!』って。

(唇を尖らせ、わざとらしくそう嘘ぶいて)

はーい。先輩も早くに帰って下さいねー。
(手を振って公園の出口へと向かう)

クラスカ > (会話をしている最中はまるで意識をしなかったが)
(記憶の中で四万十が黒いマントを纏う姿は、手品師と同時に)

(魔術師のイメージに合致した)

ご案内:「常世公園」からクラスカさんが去りました。
四十万 静歌 > 「あはは、まぁ、そんな大それたことになったら、
 逃げてしまいそうですけどね。
 それでは、また。」

手を振って見送る。
確かに魔術師のイメージに合致はするだろう。
彼女は確かに神秘を隠匿しているのだから

四十万 静歌 > 「そうですね。
 あんまり遅くならないうちに帰ったほうがいいでしょうか。」

あたりを軽く見回して。

「なーんていってたら、
 襲われたりして。
 なんて。」

クスリと笑う。

四十万 静歌 > 「馬鹿な事いってないで帰りましょうか。」

なんて、静かに女子寮へと帰るだろう

ご案内:「常世公園」から四十万 静歌さんが去りました。
ご案内:「常世公園」に桐竹 琴乃さんが現れました。
桐竹 琴乃 > 今日が終わる。
今日も終わる。
試験は続く。
まだ続く。
「ギリっギリ……」
既にボロボロになった対策プリントと携帯に刺さったイヤホンから流れる音声。
そして睡眠学習の効果。
実際何とかどうにか赤点ラインを超えた点数が取れているとは思う。
と言うのも終了したテストを振り返る暇など無いので友人との答え合わせだのどうだのする位なら次のテストを詰め込んでいたのである。
どうにか今までやり過ごしてきたが。
流石に体力の限界と言う奴も近い。
「やー……流石にちょっと」
眠い。
尞まで耐えれそうもない。
幸い公園に差し掛かった。
公園の敷居内へと入る。
そこにはベンチがある。
この際少し休めるならどこでもいい―――。

桐竹 琴乃 > ベンチに座り。
コンビニで買ってきた栄養ドリンクを開け、ストローを差し吸う。
思いつく限りの対策を行ってきたがそろそろ綻びを修復するのは限界に近い。
「……最悪一つ二つ落とすしか……」
残っている教科スケジュールを眺める。
どれが一番落として問題ないか。
「……これはダメだ。次何かやったら多分単位くれない」
シャーペンで×を付ける。
「……これも、ダメかな」
バツ。
「……ダメ」
ばつ。
「……」
BATU。
「」
――。

全部ダメだった。

ご案内:「常世公園」に立花 響さんが現れました。
桐竹 琴乃 > 眉間を抑える。
知ってたしわかってた事ではあるけど。
「自業自得すぎる……」
後悔してももう遅い。
こんなことなら真面目に。
と何度心で繰り返したか。
「とにかく、休もう……」
ベンチにまるで世捨て人のようにぐったりとする。
さながら真っ白に燃え尽きていた。

立花 響 > 公園の道を何の目的も持たずにぶらぶらと歩く、何も考えずに歩くというのは散歩の正しい形であり、そして見かけた人に声をかける…
これも散歩と言える…はず
響はベンチでぐったりとしている少女を見かけ、声をかける

「…大丈夫ですか?財布でも、無くしました?」
落ち込んでいるであろう理由で最初に思いついたのがこれである。
もう少しマシな理由は思いつかなかったのだろうか。

桐竹 琴乃 > 声を掛けられ、のろのろと少しだけ動いた。
「財布はありますが中身は常に北極のように寒く、大丈夫かと言われると大丈夫ではないです」
初対面にそれはどうなのか。
しかも顔もロクに見ていない。

彼女の座るベンチにはノートやらペンやら。
そしてバツ印だらけのスケジュール表。
ぱっと見で、わかるほどただ単に試験に疲れた少女であった。

立花 響 > 「え、と…それはお財布も大丈夫じゃないって事です…?
 あ、でもこれは最近流行りのジョークというやつでは…むむむ」
なにがむむむなのか、冗句か真実なのかも分からないままに唸っている。
ただ、こちらを見ない限りだと本当にまずい状態なのでは、とそう考えぐったりとしている琴乃の状態を伺う。
(安全靴・ジーパン・ベンチ・ペンにノートに…バツ?)
ここでようやく試験疲れであることに気付く

「あ、あぁっ!試験でお疲れの方でしたか!お疲れ様です!
 えーと何か美味しい物でも食べに行きますか?」
スケジュール表の✕の山は元歌手である響にはどこか、身近な物を感じたのだろう、
精一杯のお疲れ様をぐったりとしている少女に投げかけ、気分転換に食事に誘おうとしている
初対面で食事に誘う、というのは中々出来ない事だが、今思い浮かぶ気分転換の方法はこれぐらいしか思い浮かばなかった

桐竹 琴乃 > 「美味しいもの……」
復唱。
そういえばちゃんとしたものを食べたのは何時だったか。
「……」
あのファミレスでもロクに食べてなかったし。
知り合いの家に勉強しに行った後もご飯らしいものは食べていない。
そのまま試験に突入し、とにかくスピードで栄養を取れるものと栄養ドリンクだけだ。
そうか、そういえばそうだ。
全くそっちの方の息抜きが出来ていない。
そこで顔を上げ。
「なるほど。そういえばロクに何も食べてなかった」
ぽん、と手を打つ。
そこでやっと。

初めて響の顔を見た。
背は琴乃より低く、髪は似たような感じ、かも知れない。
何より。
「……ええと」
とりあえず対等になるように立ち上がり。
「初対面、かな?」
それは何処かで何か一緒になったりしたかな?というニュアンス。
恐らくテレビ等で見た事があったのだろう。

ご案内:「常世公園」に湖城惣一さんが現れました。
立花 響 > 「はい、美味しい物です
 ……って、そんな食べてないんでしたらそんなぐったりとするのは当たり前ですよ
 試験…ですよね?ロクに物を食べてないんでしたら…なんというかそうもなりますよ」
一応先輩なのだがそんなことも知らずに先程の光景を思い浮かべているかのようなそんな呆れ口調。
響も歌手時代の時は食べる物だけはしっかり食べていたものだからこういうのは出来るだけ放っておけないというのもあるのだろう

目の前に自分より少し高い存在が現れればおっと、という声を出しながら一歩後ろに下がる
「初対面、だと思いますけども…多分どこでも会ったこと無い…と思います」
先程の説教臭い口調とは別に一気におどおどしているような口調に変貌する

桐竹 琴乃 > 「いやー食べる間も惜しんでたモンだから」
たはは、と苦笑する。
「そっかー。じゃあ気のせいかな。どっかで見た気がしたんだけど」
んー、と少し考え込む素振りの後。
「まあ同じ学園だし、どっかで見かけたのを覚えてたのかなー」
と結論付けた。
いずれどこで見たのか、思い出すのかもしれないが。
そしてちょっとおどおどしたのでおっと、と小さく声を上げ。
「ああ、いきなり立ち上がってごめんね。ええと私は桐竹琴乃(キリタケコトノ)、名字でも名前でもお好きに」
さっきよりかはマシな顔つきである。

湖城惣一 >  ざり、と砂利を踏みながら公園へ踏み込んでくる男が一人。
陣羽織のようなジャケットを着込み、腹は丸出し。
まさに不審者といった風体の、やや青白い顔をした男。
 名を、湖城惣一。強烈な外見、一度や二度程度なら見覚えがあるかもしれない。
「…………ふむ」
 手からビニール袋を提げながら、ゆっくりと足を踏み入れた。
 あたりは静まり返っていて、周囲からは遊具のきしむ音ぐらいしか響いてこない。
――はずだったが。
「ん?」
 なにやら、聞き覚えのある声が聞こえてくるような。
足を向けてみると、そこには確かに友人一人と見知らぬ人が一人。

立花 響 > 「どれだけ追い詰められてたんですか…
 まぁ、試験については私も人のこと言えないのですけど…」
あはは、と苦笑いを浮かべる。
そういう響も元素魔術科目を受けていながらも魔球の出し方を全く知らなくて気合で魔球を出すようなそんな人である

「私は立花響(タチバナ ヒビキ)です…えと、立つ、に咲く方の花ですね。
 よろしくお願いします琴乃さん」
謝られると出来るだけ緊張をしないように深呼吸をした後に自己紹介をして、癖のような営業スマイルで微笑む。

その後、どこからか聞こえてきたビニール袋の掠れる音が聞こえたのか湖城の方を向くと
「ヒ―――ッ」
明らかに自分らより体格がでかい男がこちらを見ている。
これは襲われると思ったのか押し殺した悲鳴声を出しながら琴乃の座っていたベンチの後ろに隠れる

桐竹 琴乃 > 「響ちゃんね、よろしく」
こっちは逆ににへ、っとただ笑った。
「どれだけかと言われると見たまま初対面の響ちゃんに大丈夫ですかって声を掛けられる程度においつめられ……」
そこまで言った所で響が声を上げ、ベンチの裏へと引っ込んだのを見て、そっちを向く。
「―――」
ああ、そうだった。
初めて見たらそうなる。
私も最初の出会いがアレでなければ多分そうなった。
ふう、と一つ息を吐いて。
「やっぱその恰好はどうにかした方がいいと思うな、私」
公園に入り込んだ不審者―――に見えるヤツにそう言った。

湖城惣一 >  明らかに怯えさせている。空を見上げ、ふむ、と顎をなでた。
確かにこの時間、自分のような輩が現れては驚きもするか、と。
 数秒の逡巡。このまま挨拶するべきか、そのまま背を向けて去るか。
 いや、そのまま去っては風紀委員が事案を発生させるという事態になりかねない――。
 ひとまず、琴乃の言葉に答えることにした。
「悪いが、これにはそれなりに意味があってな」
 戦闘時の正装、のようなものだ。
神道術法の処理を複雑に施してあるそれは、過不足無く戦うためのスタイルでもある。
「そちらの君も、驚かせてすまん」
 と素直に頭を下げる。
「俺は湖城惣一。そちらの彼女の友人でな」
 とりあえず真摯に対応してみることにした。

立花 響 > 「へめあうっ!?」
ベンチの影から怯える事なく不審者に話しかけてるのを見て喉の奥から何か飛び出してしまいそうな声が出てしまう

「へう、と、その…琴乃さんのお知り合い、でした?
 それは、ごめんなさい…」
申し訳なさそうにベンチの後ろから立ち上がりぺこりと礼をする…が
場所が悪かったのかガンッとベンチの背もたれ部分に勢い良く頭があたったらしく良い音が公園に響く

「あいたた…湖城さん、ですね?
 立花響って言います…琴乃さんとは先程知り合ったばかりです」
それだけ痛かったのかその場でしゃがみこんでベンチにぶつけた額部分を擦っている

桐竹 琴乃 > 「女の子二人で楽しくおしゃべりしてる時に現れるとは……中々空気が読めないねコジョー」
とはいえしっしと手を振ったりすれば額面通りに彼は取ってしまい、本当に帰るのでそれはしない。
「まあ残念ながら私の友達だから、そんなに驚かなくて大丈夫……大丈夫?」
二個目の大丈夫は打ちつけたことに対してである。
しゃがみこんで響の様子を伺う。

湖城惣一 > 「む」
 明らかに快音を響かせた頭。懐から巾着を出すと、
それを紐解いて小さな紙袋を取り出した。
 デフォルメ、というか絵本タッチの男の子が真っ赤になっているイラストがプリントされている。
その上には『瞬速クール』の文字が踊っていた。
「使うか?」
 と、しゃがみ込んで視線を合わせながら問うた。
 そのまま視線だけ上げて、
「空気が読めない、とは確かに言われることは多いが……
あのまま背を向けて去ったら、そのまま通報されかねなかったのでな」
 と、一応理由を説明しておいた。
琴乃が居たためフォローはされようが、しかしだいぶ響の反応はアレである。

立花 響 > 「よ、呼び捨て…っ!」
そこまで仲良し…?琴乃さんってこういう人と仲が良いんだ…という勝手な想像かつ印象を植え付けられている
呼び捨てというのは学生時代だからこそ出来るものであり、響にとって憧れるものでもある

「だ、大丈夫です…慣れてますかラッ…」
慣れているとは一体。
湖城が視線を合わせるとその威圧感と強い眼光にやられたのか響はその場で硬直している。

「エー、ト、ア、アリガトウ、デス」
明らかなカタゴトを口にしながら視線は合わせず湖城から渡された『瞬速クール』を使ってそれを額に貼る
これでしばらくすれば腫れは収まるだろう

桐竹 琴乃 > 「コジョー近づきすぎ」
ぐいと襟を引っ張る。
「女の子にそうおいそれと近づいていいモンじゃないゾ?」
窘める様に言う。

「……?呼び捨てだけど」
きょとんとした顔。
そもそも彼女はラフな人付き合いが多いので割と呼び捨てを多用する。
ので響が呼び捨てに関して反応を示したのにピンと来てないようだ。
「まあそれでちょっとは楽になるかな?」
瞬速クールを張る響を見て、こちらは立ち上がる。

湖城惣一 >  おいそれと近づいていいもんじゃない。
「そういうものか」
 引っ張られたまま、また思案。
「そういうものだな」
 納得する。価値観がやや古風の彼は、あまり女人と物理的に接触することを良しとしない。
 今回は、目を合わせながら話す癖が裏目に出たというか、
そこまで気にしていなかったというか。
「すまんな、立花」
 どうやら自分の顔に怯えているらしいことを察すると、ゆっくりと立ち上がって目を伏せる。

立花 響 > 「えっと、呼び捨てってかなり仲の良い人達がやるもので…
 もしかしてお二人は特別な関係だったりとかそんな感じじゃないんです?」
初対面の男女にそういうことを聞くものではないが響の興味は一歩先を往く。
それほど呼び捨てとは高尚なものではない事はまだ響は知らない

湖城に立花、と呼び捨てにされると視線があちらこちらへ追いかけっこし始める
「えと、湖城さんはまだそんな私とは初対面でででししてて?
 そんなこと言うなら私も湖城さんのことよ、よよびびすてで呼びますよ?いいんです?」
明らかに口調が混乱しているようだが、伝えたい事は伝えれている為問題はない…だろう

桐竹 琴乃 > 「そんな呼び捨てなんて普通……」
特別な関係だったりするんです―――。
特別な関係―――。
少しの逡巡の後。
「いっいや普通!普通だからね!呼び捨て。っていうか別にコジョーとは特に何も無いからね?」
目に見えて狼狽えたのは何故だろう。
(そう、そもそも私は呼び捨てなんて他の皆にもやってる事、別にコジョーだけじゃない)
自分にそう言い聞かせる。
「ただの友人、友人だようん。っていうか呼び捨ては割とホント普通だから」
などと言い続ける。

湖城惣一 > 「特別な関係か」
 先程から顎を撫でっぱなしであるが、考え事をするときの癖なので仕方ない。
 少なくとも、と前置きして。
「こちらに来てから出会った中で、俺が一番好ましく思っているのは桐竹だな」
 などと一直線な豪速球を投げつける。恥じもせず、実に直截的な言葉だ。
「それとは関係なく、俺は対等だと思っている人間に対しては敬称をつけんタチではあるが」
 だから立花なのだ、と。
「君も呼び捨てで構わんぞ」
 淡々と、無表情に。一貫して男の表情が変わることはない。

立花 響 > 「ふ、ふつう…常世学園…恐ろしい場所です…!」
響は一体何を戦っているのか。
響の思っている学校の理想か、それとも現実か。

「ま、まぁ…琴乃さんにとって普通なら、何も問題はないですね
 呼び捨てするだけで特別な関係だなんて勘違いするのはちょっと無かった、ですね」
反省反省、と呟きながら申し訳無さそうに頭をぽりぽりと掻いている。

呼び捨ての許可(?)が降りるとすーはー、と深呼吸をしている。
緊張をしているならば深呼吸という手段は一番頼もしく、効率的ではあるが
「こ、こここっこ、コケコッ!……ごめんなさい、やっぱり無理です湖城さん…」
初対面でいきなり呼び捨てという壁にぶち当たり挫折しているのか俯いている

桐竹 琴乃 > 「―――」
しばしの絶句と。
しばしの逡巡。
しばしの咀嚼に。
しばしの沈黙。
そして。
ぷい、と二人から目を背け。
髪をいじいじと弄る。
無言である。
静かである。

だが脳内だけはそうも行かなかった。

(違う違う、単にほら友人も少ないっていってたし、要は多分コジョーの中で私のあれでそれなのが多分親友に引きあがっただけ、アイツにそんなつもりはない、違うぞ違う。……っていうか別に何も期待してないっていうか期待って何よ?コジョーとは中のいい友達。そのはず、そのはず?ほら家にいっても何も無かったし。何時ものコジョーだった。うん。間違いない。だからこれは単純かつ明快に一番仲のいい奴だ、と言う意味だ。OK?OK。論破完了。よし、行ける。行ける。極めて普通に。務めて普通、努めて普通。普通に普通普通普通普通……)

既に若干紅潮した上に神妙な顔つきになっているし、髪は弄りっぱなしであるし、既に普通とはかけ離れているのに気付かない。

その状況で顔を二人に戻し。
「ほ、ほら普通だし!な、何なら私も響ちゃんを呼び捨てしちゃおうかなーって」
あは、あははは。

普通とは。

湖城惣一 > 「これから慣れていけばいい。気にするな」
 呼び捨てにできない、という響に対してはそう告げる。
少なくとも呼び捨てにしたくない、というわけではなさそうであるし、
これから長く縁をつなげていくつもりである。
 だから、
「焦ることはない」
 と、響の目を見ながら言うのであった。
 しかし。
 視線は琴乃へ。
なにやら自分と話している間、彼女は髪をいじることがある。
他に経験はないが、何か特別な意味があるのではないか――。
 そんな気がして、じっと。じっと見つめるのであった。
「大丈夫か」
 顔は紅潮している。もしや風邪でも――。
 颯爽と巾着袋から瞬速クール(二枚目)を取り出し踏み込んでみる。
 女の子においそれと近づくべきではない。そんな話もあった気がした。(過去形

立花 響 > 「え、よ、呼び捨てにされるのは別に構いませんけど、
 お返し出来るような、というよりご期待に添えれる呼び捨てが出来るかどうか…」
琴乃とは違っておどおどとした雰囲気で言葉を返す。
先程、湖城を呼び捨てにしようとした件もあるのか、人を呼び捨てに出来る自信がないようだ

「はい…精進させてもらいマスッ」
今度この人と会ったら呼び捨てチャレンジをしよう…と心の中でそんな事を決める。所謂バンザイ・アタックかもしれない
ただし、目を見られると再び石になったかのように硬直してしまう

桐竹 琴乃 > 「ま、ままままあ。コジョーが言う通りなれて」
響にそう言おうとしたその瞬間である。
突然踏み込む湖城。
さながら現状は冷戦状態にある敵国家に突然相手国から領域侵略を受けている国家のようなそんな状況。
電撃戦にも程がある。
当然準備も何もしていない当国家(琴乃軍)に対応する事は不可能で。
(があああああああああ!?)※心の叫びです。
制止しようとする手は、そのBlitzkriegっぷりに反応出来る訳も無く。
(来るなあああああああ!!)※くどいようですが心の叫びです。
ただ心だけで叫ぶ。
更に加熱する頭部。
「―――」
ただ、湖城を目の前に硬直する。
もはや司令部は大破状態だ。

湖城惣一 >  湖城惣一は古風な価値観を持った紳士である。
女子に触れるなんてとんでもない。とんでもないので――。
「やはり、熱があるな。意識は……あるか」
 声も出せずに硬直する琴乃を見て。
すっと視線を合わせるように少しだけ屈んで。
手の触れないよう、そっと『瞬速クール』を貼り付けた。
「よし。気をつけたほうがいいな。……帰れるか?」
 多分視線と視線がぶつかり合うが、そこから何歩か後ろに下がってから、ようやく視線を外す。流し目で見るように響のほうへ視線を向け、
「良い返事だな、その調子で精進するといい」
 それがなんでもないことのように、腕を組んで平静に響へと話しかける。

立花 響 > 「ま、まぁ慣れてから……あっ」
踏み込まれる領域。決して踏み荒らされている訳ではなく踏み込まれていくのをただ横から見守るだけの傍観国、響
湖城軍に踏み込まれたら最後、我々は為す術もなく先程のように白旗を上げるしかできないのだ。
ただ我々の領域意識が高すぎるというより湖城軍の領域意識が低いというか。

ただ湖城軍を前にして為す術もなく『瞬速クール』を貼り付けられていく琴乃軍を見守る響。
これは勝てないよね、と心の中で同意の視線を送っていると湖城がこちらへ視線を向けてくる
「はぇ…はい!頑張りますけど…その、湖城…さん、一応送って上げたほうがいいのでは…?」
我、退却せり。殿は琴乃軍に任せてここは退却の一手である。
…ただこれを第三者から見れば仲間を見捨てるような何かに見えるかもしれない

桐竹 琴乃 > 「!?」
突然の友軍だと思っていた響軍からの非情な言葉。
このままでは送られてしまう。
(今それをされると色々と何かこう、あれでそれであれな事であれがああああああ)
纏まらず。
「えっちょっ。まって!それは待って!」
自分より背の低い響に縋りつく様に言う。
「別にほら、えっと」
言葉を整理するんだ。
大丈夫やれる。Coolに。
「大丈夫、コレ風邪、風邪とかじゃないからコレ!」
びっと自分の紅潮した顔を指差し。


「照れただけだからコレ!!」


宣言した。

桐竹 琴乃 > 「あっ」

違う。
そっち本心。

「い、いやっじゃなくて!ほら、響ちゃ……響とご飯!ご飯行くって!今!美味しいもの!美味しいものおおおおお」

だんだんと地面を叩く。

湖城惣一 > 「…………む」
 すごい勢いで琴乃が離れていき、響に寄り添うように近づいた。
果たしてそれはどのような条理があってのことか。
 侵略者たる湖城惣一は思案する。自分にまずいことがあっただろうか、と。
風邪をひかせまいとする配慮? 否、違う。それならば響に近づくはずもない。
「送ったほうが――」
 言おうとして、遮られる。男の進軍はそれによって中止。
押しとどめられたまま暴発した琴乃の言葉。
 沈黙。
『風邪とかじゃないからコレ!』
 風邪ではないらしい。
『照れだからコレ!!』
 ……照れ?
 それは湖城にとって理解不能な符丁であった。照れ。照れとはなんぞや。
気恥ずかしく感じること。何が恥ずかしかったのだろう。
 つい数分前のことは意識の彼方。真剣に考察しながらも……。
『美味しいものおおおおお』
 やばい。
「桐竹。……落ち着け」
 こういう時は、そう。肩でも叩くべきではなかろうか。(強襲

立花 響 > 戦国の世の中、自軍を生かす為ならば他軍さえも見捨てるのだ。
決して面白いから見捨てるのではなく、自軍に被害が及びそうな時にこういう方策を用いるのだ
ただ、その方策は琴乃軍の一言によって切り崩される。
「照れてる…だけ…?…だけ?」
何か深い意味があるのか、何かアナグラムらしい意味が込められているのか響は深く考えこんでしまう。

そんな事を考えているといつの間にか湖城軍はこちらへ進行を開始していた。
全くの無意識。いつの間にここへ近づいたのか、もしかしてこれが湖城さんの異能…!?などと勝手な想像をしているとか
ただ、ここで響は一手を打つしかない。
2軍とも守り、流れを変える為に打つ一手、それは…
「そそ、そーですね!美味しいもの!美味しいもの食べましょう!ファミレスでゴーですよ!」
場所を変えれば戦争の流れも変わる。恐らくそういうものである…響は日本史世界史は不得意だがそういうものであるとわかっているはず

桐竹 琴乃 > だが琴乃軍もただやられっぱなしではない。
叫ぶことによって若干のクールダウンを謀っていたのだ!

強襲してくる湖城に対し。

「だから」
幽鬼のように立ち上がり。
「おいそれと、女の子に近づくなっていったでしょおお!」
数分前だぞ!
と続ける。

「ぜー、ぜー」

そして聞こえるファミレスへゴーという言葉。
「そう、ご飯へ行こう。ごはんへ。ごはん」
とにかく今は響に合わせる。

が。

見捨てようとしたことは忘れていないのか、響に対して若干のジト目の笑顔と言う器用で微妙な顔で。
【裏切り者♪】
という明確な意志が取れた。

湖城惣一 > 「………………」
 静止した。怒鳴られてしまった。所在なげに手が揺れ。
「そうだったな」
 そっと戻した。反撃成功、琴乃軍、湖城惣一の撃退に成功せり。
無表情の中、どこか寂しさが見えるのは気のせいだろうか。
きっと気のせいだろう。
 竹刀袋を担ぎ直して、
「――さて」
 腹が鳴りつつも。
「では俺もそろそろ行くとしようか」
 流石にここまで怒らせてしまっては立つ瀬もない。
流石に忠告を破ってしまうのが早すぎた。
これ以上は、彼女たちを必要以上に怒らせたり、怯えさせたりさせてしまうかもしれない――。

立花 響 > 「あはは、そうですねー私が支払いますからいきましょー」
今回見捨てた埋め合わせという訳ではないが、
財布が南極基地というからには財政に余裕があるこちらが出すべきと判断したのだろう
ちらり、と湖城の方を見ると帰り支度をしていると見たのか思わず声をかける

「こ、湖城さんもご一緒しませんか?折角ですし…ね?会ったんですし、ね?」
ここで三国が結ばれるなら攻めの湖城・財の立花・守りの桐竹…?この三国が揃えば我らに立ち向かう物は何もいない
我々に勝てない物があるとするならそれは世界を支配している試験問題ぐらい…だろうか

桐竹 琴乃 > ふう、と息を一つ吐き。
まあそれなら許してやらん事も無い!みたいな空気も出しつつ。

「何言ってんのコジョーも行くよ」
ご飯は皆で食べる方が美味しい。

すっかり何時もの調子に戻っている。
表向きは。
とりあえずのバランスを取り戻したといった所であるのでこれ以上触ってくれるな、そんな空気すら纏っているが。
「あ、ソコは気にせずちゃんと自分の分は出すしねー南極だどうとか言ったけどね」
そう苦笑しながら言いつつ、まだベンチに置きっぱなしであった試験道具一切合財を鞄へと。

湖城惣一 > 「む」
 二人から誘われてしまった。顎を撫で、思案して。
実際のところ湖城にとって断る理由はまったくない。
 食事をとりたかったのも事実である。
「……気を使わせたみたいだな」
 わずかに笑みながらそう言った直後、軽く首を振って。
ここは気遣いも無用なところだろうか、と。
「いや。分かった。食事に行こう」
 そういって、二人を視界に収める。
それは湖城という男なりの感情表現というか。
要するに二人の背を守れるような位置、という奴で。

立花 響 > (あ、あんなことあったのにやっぱり呼び捨てなんだ…)
どこか落ち込んでいる犬を励ます飼い主のようなそんな雰囲気を琴乃から感じ取った

「まぁ、琴乃さんが大丈夫なら私は…まぁ、いっか…おっと」
けろり、と肩の力が抜けた響が垣間見えた。
敬語は癖のようなものであって決して義務でやっている訳ではない為たまにこういうことになるようだ

「えぇ、行きましょうか…ちょっと怖いですけどね」
背後からの強い眼光で見守られて頼もしいながらも少し落ち着かないがゆっくりとファミレスへと足を運ばせていくのであった

ご案内:「常世公園」から桐竹 琴乃さんが去りました。
ご案内:「常世公園」から立花 響さんが去りました。
ご案内:「常世公園」から湖城惣一さんが去りました。
ご案内:「常世公園」に『室長補佐代理』さんが現れました。
『室長補佐代理』 > 深夜。宵闇に沈む森林公園。その片隅。
誘蛾灯の微かな明かりだけが照らすベンチに、その男は座っていた。
それなりに広い通路を挟んで、等間隔に並ぶベンチ。
そのうちの一つに腰掛けて、男はただ瞑目している。

『室長補佐代理』 > 深くベンチに腰掛け、大きく緩やかな呼吸を繰り返し、胸元には銀の指輪の輝く左手を置いている。
パっと見ただけなら、それは眠っているように見えるかもしれない。
それは半分は正しい。
確かに男の意識は曖昧である。
瞑目し、想起を繰り返しているその様は、夢想と呼ぶにふさわしい。

『室長補佐代理』 > 男は、瞑目していた。
男は、想起していた。
深く深く、目を瞑り、意識を沈めながら、問いかける。
声に出さず。思いに現さず。
ただ、問う。

『室長補佐代理』 > 問う先は、既にそこにいる。
向かいのベンチ。そこに佇む影。
気怠げに背を曲げ、膝がしらに両肘をのせたまま、だらりとこちらを覗き込む影。
瞑目する男にその姿は見えない。
だが、それは確実にそこにいて、確実にこちらを見ている。
そういう、漠然とした確信だけが、男にはあった。

『室長補佐代理』 >  
 
「」 
 
 

『室長補佐代理』 > 声なき声で問いかける。
声に出さず、ただ問う。
向かう相手の相貌を浮かべず、問う。
ただ、問う。
何もあらわさず。何も示さず、問う。
答えを求めればそれは答えを与えるだろう。
だが、その答えにすら、『相手』は『対価』を求めるに違いないのだ。

ご案内:「常世公園」にヨキさんが現れました。
『室長補佐代理』 > 男は問う。問わず、物言わず、物思わず、ただ、問う。
その有様をまるで嘲笑うかのように、影はじわりと滲み……汚濁に塗れた、笑みを返す。
見えてなんていない。聞こえてなんていない。
それでも、わかる。
それでも、感じる。
『奴』は……嗤っている。

『室長補佐代理』 >  
 
            【それでも、俺は奪い続ける】
 
 

『室長補佐代理』 > 誰ともつかないその囁きを『聞き届け』、男は目を開く。
当然、いるのは自分だけ。
向かいのベンチにも、誰もいない。
ただ夜の公園で休んでいる、自分がいるだけ。
 
「それでも、か」
 
ただ、呟く。
それこそ、誰にともなく。

ヨキ > (ぺた、と足音。裸足が土を踏む音だ。両手にブーツを片方ずつと、左手に丸めたストッキングを握っている。
 片側のブーツの高いヒールが根元から折れて、歩くたびぷらぷらと揺れている)

「……参ったな。とんだ足止めだ」

(広い公園では、小さな呟きも響き渡ることはない。
 ――やがてベンチに背を預けた姿に気付く。立ち止まり、しばし見遣る。
 腕に腕章らしきシルエットが見える。おそらく制服、と判断はそれっきり。
 ゆっくりと歩み寄る)

「…………、君。どこか身体の具合でも?」

『室長補佐代理』 > 話しかけられれば、ゆっくりと男が振り向く。
ベンチに座ったまま、見返すその瞳は……伽藍洞を思わせる黒瞳。
じっとりと、汚泥を思わせる笑みを浮かべて、男は口を開いた。
 
「軽い貧血みたいなもんさ」
 
皮肉気に嘯いて、左肩だけを竦める。
中指に嵌められた銀の指輪が、妖しく輝いた。
 
「そういうアンタは池にでも落ちたのか?」
 
両手に持っているブーツを一瞥して、そう尋ねる。
 

ヨキ > (街灯の光をてらてらと照り返す金色の瞳。その瞳孔は楕円にひどく拡がって、相手を見ている。瞬きの少ない両目。
 閉じていた口が開くのに併せ、表情を見定めた様子で応える)

「貧血か。……体調といい、戦闘といい、この島の者たちは貧血の原因が多すぎて判然としない。
 病弱な娘も君のような男も、等しく血を欠かしているらしい」

(問い返され、両手のブーツを見下ろす)

「これか?これは――踵が折れたのだ。ヨキは池とは無縁だからな。
 苛立ったヨキが木を蹴った。踵が刺さり、折れて、このざまだ。
 ヨキには踵がない。歩きづらいことこの上ない」

(足を持ち上げる。
 背伸びをしていたように見えていた足は、元来がその形であるのだった。
 犬の足をそのまま人間の骨と肌で仕立てたような、歪な裸足を晒す)

『室長補佐代理』 > 「血気盛んとは無縁な性質でね」
 
金色の輝きを飲み込むように、光彩の境目すら知れぬ黒が細まる。
街灯の疎らな光が、両者の顔を左右対称に照らしだす。
 
そして、男はふと、言葉を続ける。
 
「その足から察するに……『異邦人』かアンタ。
遠路はるばる御苦労なこったな」
 
仕事の関係上、男は『そういう事』にはそれなりの知識がある。
造詣が深い訳では決してないが、一目見て当たりをつける程度は何とかできる範囲であった。
 
「生憎靴職人じゃねぇんでそいつをどうにかすることはできねぇが……もし、保護を求めるってんなら一応請け負うが?」  
 
そういって、左手で右腕につけた腕章……公安委員会の腕章を指差した。
 

ヨキ > 「ほう?……君が腕章の名のもとに拳を振るう人間でなくて安心したよ。
 特に、異邦人を疎む類の」

(安心したと口にしつつ、その声は至って平坦だ。
 保護という語に、首を振って)

「いいや、保護は結構。委員会にはもう、随分と世話になった」

(顔を近づけ、公安委員会の腕章と、相手の顔とを見比べる。
 その様相を漸う視認して顔を引き離す折、すん、と小さく鼻を鳴らした)

「ヨキだ。学園で教師をやっている。……君、公安か。やっと判ったぞ。
 腕章を着けて深夜にひとりとは、ヨキが労うべき公務の途中かね?」