2015/07/26 のログ
■ライガ > なんとかそれ以上の追及はかわした様だが、まだ安心はできないか。
治安機関所属には見受けられないのに、やたら首突っ込まなきゃいいけど、と心の中で思いながら、若干顔をしかめる。
「とくにスラムとかあの辺については、僕じゃなくてもだいたい似たような忠告が返ってくるんじゃないかって思いますけどね。
どうしても用事があるのなら、くれぐれも慎重にお願いしますよ。
僕だって知り合いの無残な姿なんて見たくないですから。行けても大通り周辺でしょう、まともな店がなくもないですし。
あと、"ある程度の威厳"がある立場っていうのは、具体的に何を指すのかわかりませんけど。
風紀委員や公安委員に声かけられたら、面倒かどうかはさておき、ちゃんと対応したほうがいいと思うんですけどね。僕も初めて来島したときは勝手がわからなくて危ないところでしたし」
苦笑しながら忠告しておこう。これは経験談だ。
「あ、やっぱわかります?
この模様に対する直感、大事にしたほうがいいと思いますよ。
何を偉そうなこと言ってるんだって思うかもしれませんが、
僕の個人的な問題ですけどね、おしゃれの一種だとか誤解されるよりはいいですし」
シャツのボタンを留めていく。
ここまで踏み込まれるのは少々意外だったが、相手が話を終わらせてくれたのでよしとしよう。
若干ぬるくなったコーヒーを静かに飲み干す。
「ま、そうですね、把握しておくっていうか、心配事はありますしね。
でも向こうから話してくれるのを待つ、ってのも重要だと思うんですよ。
あまりプライベートを探られるの、好まない人もいっぱいいますから」
奢りは……まあ、今回は甘えておくか。
■青砥 朱音 > 先までの冷たい視線は何処へやら、ニコニコと笑っている
ライガの表情を見て、ニッと白い歯を見せた
「用事はないわね、美味しい豆を売っている店でもあるのなら別だけど・・・
しいて言うなら興味、よ
でも流石に只の興味で公安や風紀を敵に回すつもりは毛頭ないわ
入り浸りがバレて教職をクビになったら、路頭に迷うことになるだろうし・・・ね?」
職を失ったら、おそらくはスラムをうろつくことになるのだろうか
ボロ着で路地裏を歩く自身の姿を想像して苦笑した
「直感・・・ねぇ
私もその類の知識がないわけではないけど、今抱いている印象は"おしゃれ"止まりかしら
でもまあ、本人が一番よく知っているんじゃないかしら、そういう類のことは♪」
――それ以上首を突っ込むことはしなかった
「残念だけど、私の骨髄には"探る"という行為が染み付いていてね・・・
かつての私であればともかく、今の私にはニコニコ笑いながら"待つ"ことは出来ないわ」
「さて・・・私はもう少しここでゆっくりしていくけど、ライガ君はどうするのかしら?
もしまだいるのであれば、仕事の片手間に個人レッスンをしてあげてもいいけど?」
■ライガ > 入り浸ってるだけじゃクビにはならないと思いますけどね、と頭を掻く。
少なくとも、それしきのことでやめていった人は今のところ、聞いたことがない。
「……そんなに探求心強いなら、いっそのこと、治安を守る側に組したらいいんじゃないですか。
完全フリーだと、調べ物するには限界あると思いますよ。きっと」
なぜなら、かつて自身が似たような環境であったから。
ともあれ、どういう形であれ後ろ盾が存在しないのはきついと考える。
「いや、僕はこの辺でお暇しますよ。
……リベンジ、確かにお願いしますね」
空になったカップを見つめていたが、そう告げると立ち上がった。
■青砥 朱音 > 「ならいいのだけど、ね」
ライガの言葉に両方の手のひらを上に向け、両肩をあげた
「・・・私は、そういう"権力染みたもの"があまり好きではないのよ
・・・いろいろあってね」
クスリと笑った、これ以上は触れるなという雰囲気だ
「うん、リベンジの約束ね、確かに♪
それじゃあ、また今度――」
立ち上がったライガに、そう言葉を発した
■ライガ > 「そっか、色々ねー。
ま、深くは聞かないことにしますよ。
じゃあ僕はこの辺で。お仕事のお邪魔しました」
最後に一礼して、去ってゆく。
──カフェテラスからだいぶ離れた、人気のない街角で。
「いやはや、手ごわかった……
……ま、あの程度ならそこまで問題はないだろうけど、一応気をつけよう」
ハンカチを取り出し、冷や汗を拭き拭き。
そう、呟いた。
ご案内:「カフェテラス「橘」」からライガさんが去りました。
■青砥 朱音 > 「・・・さて、と」
ライガが去った事を確認し立ち上がり、残された食器や
先までライガが座っていた席を入念に探る
「流石に盗聴器やカメラの類は設置しない、わよね
仮にも商いをしている店でそんなことをしたら信用問題だし、当然・・・かしら」
一通り探り終えると、自分の席に座り、トートバッグを腿の上に置き、中を探る
化粧ポーチや巻き筆箱、キャンディなどの私物をどけ、"底"
――二重底の蓋となっている"底"を開け、中にあるUSBメモリを取り出し、ノートPCに差し込んだ
■青砥 朱音 > 一瞬遅れて画面にUSBメモリの中身が表示される
膨大なファイル――その数は百に届く程だ
その殆どがダミーであり、開いた瞬間全てのデータが消去される仕組みとなっている
朱音は再度さり気無く辺りに視線を向けると再び画面に目を落とし、1つのファイルを開く
すると、文字化けしたテキストが目に飛び込んできた
それを見やると、ポケットから自身の財布を取り出し
中に隠してある別のUSBメモリを取り出し、PCに差し込んだ
■青砥 朱音 > 同じように、別のUSBの中身――ダミーで溢れ返っているものの中から一つのファイルを開く
暫く待つと、ソフトが起動した
朱音特製のエンコード&デコードソフトだ
文字化けしたテキストをソフトに放り込み、暫く待つ
すると、翻訳されたデータが排出された
■青砥 朱音 > 翻訳されたデータ――テキストに、面倒な書類仕事をしているかのように振舞いながら
今日入手した情報を素早く入力していく
先まで作成していた生徒の成績データが可愛く思えるほどに整理されたデータ
それは、朱音がかつて入手してきた情報、その全てが集約されている、いわば1つの"角砂糖"であった
全ての情報を入力すると再びソフトに放り込み暗号化
別のダミーと位置を入れ替えて保存、USBを取り外し、元の場所にしまった
■青砥 朱音 > 「さて、お会計お会計っと・・・」
律儀に食器を返却棚に置き、会計を済ませ外に出る
「うわっ・・・暑い・・・」
夏特有の肌を焦がす日の光が、朱音の身体に降り注ぐ
「空調が直っていればいいんだけど・・・
流石にそこまで早く対応してくれるワケない、か」
そう一人ごちながら、カフェテラスを後にし、職員寮へと戻っていく
その脳裏には、とある社会学者の言葉が浮かんでいた
――個人主義の高揚は、暴力を助長する――
ご案内:「カフェテラス「橘」」から青砥 朱音さんが去りました。
ご案内:「カフェテラス「橘」」に六連星 葵さんが現れました。
■六連星 葵 >
「~♪」
[〉葵は朝の部活を終え、シャワーと着替えを済ませると鼻息まじりに店の扉を開けた。
[〉朝の時間のカフェは人通りが少なく、部活で目覚めた頭で勉強するにはちょうどいい時分なのを彼女は知っている。
[〉お気に入りの外の風景が望める、影になっているスペースにドカッと座り込むと、机の上に鞄を置く。
[〉筆箱、ノート、参考書、教科書と必要な物を取り揃えていく。
[〉参考書だけは学園指定のものではない。葵の住む世界のものだ。
「すいませーん! ホットケーキとイチゴミルクください!」
[〉大声をだしてオーダーする。
[〉店員は葵の声に頷くとキッチンへと入っていく。
[〉その瞬間、葵はカフェを見回す。朝のカフェテラスはまたひとつ不思議な味わいがあって好きだ。
[〉普段賑わうその場所が、まるで時間がとまった世界のようにしーんと静まり返る。
[〉別世界に迷い込んだような倒錯感が、彼女の中を不思議と掻き立てるのだ。
■六連星 葵 >
[〉ひとしきりその光景を眺めたところで、イチゴミルクが先に運ばれてくる。
[〉ごゆっくりどうぞ、と言う店員に笑顔と会釈を返して、一口煽る。
[〉口の中に甘みと酸味が流れ込み、カラカラの喉を糖分を含んだ水分が癒していくのが分かる。
[〉たまった運動の疲れが吹っ飛ぶような気持ちになり、コップをおくと彼女は喜びで身を震わせた。
「んー!」
[〉おいしい、と続けて叫びそうになるがここはお店だしと我慢する。
[〉堪能しきったところで、勉強の時間だ。
[〉ノートを開く。昨日やった内容を見返しながら、教科書を眺める。
[〉どういう手順で公式を利用するのか確認して頷くと、彼女は参考書を開いた。
[〉ノートにメモをする。今日の日付を書き、上部に「復習」と記入する。
[〉朝一に運動を終えた体は勉強をするのに最適なコンディションだというのが彼女の言だ。昨日学んだことがいい具合に頭の中で整理されていると感じる。
[〉この感覚が分かる、といってくれる友達は思ったより少なくて、時々ガイノイドだからなのか、と疑念を呈することもある。
[〉ともかく。まずは復習からだ、と彼女は問題を解き始めた。
ご案内:「カフェテラス「橘」」に嶋野陽子さんが現れました。
■六連星 葵 >
[〉一問、二問ときたところで葵の筆の動きが止まる。
[〉文章問題である。彼女はこれが大の苦手なのである。別に数学は苦手ではないのだが、文章問題は数字と公式と条件を並べるところから始める必要がある。
「文章問題、国語だよね、これ。僕現代の成績よくないから……」
[〉悲しみにふける。試験でも文章問題は大きな点数配分があり、通常の計算なら問題ない彼女でも、ここでかならず転ける。
[〉そのせいで数学の成績は80点後半という数字は見たことがない。試験後に母親に条件を抽出してもらえば、できるというのに。
「ええと……並んでいるのは6人、ここからAの順番まで欲しい商品が残っている確率を求めなさい。この時、以下の条件についてそれぞれの確率を求めなさい……」
[〉この、文章で最初で前提を書く。そしてその下に条件ごとに問題が分かれる形式が1番苦手だ。
[〉ほとんどが前提の部分が間違えて、こけるのだ。
「うん、分からない」
[〉どうしようかな、と彼女は困ったように笑った。
■嶋野陽子 > 朝の訓練を終えて、寮でシャワーを浴びると、
前から気になっていたこのカフェテラスに入る陽子。
ファミレスと違い、椅子が華奢そうなので、ベンチ
の席を探すと、勉強をしている女の子の隣が空いて
いる。そこで、その女の子の所に行くと、
「済みません。隣の席よろしいでしょうか?」
と聞く陽子。
■六連星 葵 >
[〉声をかけられ、葵は茹でた豆腐のようになっている頭を冷やし、顔をあげた。
[〉そうして、構わないという声をかけようとして――
「おはようございます。朝勉ですか? いいです……よ?」
[〉顔があると思わしき空間にはお腹があった。
[〉心の中で疑念を浮かべ、驚きとともにもっと上まで顔を上げると、そこにかわいらしい顔が申し訳程度に乗っているのが見えた。
[〉一瞬面食らったが、少し思案した後、提案を投げる。
「隣より対面にしない? そのほうが、話しやすいんだ。机もそのほうが、食べてる時に勉強道具の幅の取り方調整しやすいんだ」
■嶋野陽子 > 彼女の視線が自分の割れた腹筋から
徐々に上に向かう様子を見て、彼女と目が合った所で、
「驚かせてしまいましたか?」と言って微笑む陽子。
『対面にしませんか?』と提案
されて、彼女の対面の席を見ると、彼女の体重に耐え
られそうなので、
「そうですね、対面で相席頂けるなら、その方が楽し
そうです」と言うと、彼女の対面にそっと腰掛ける陽
子。
■六連星 葵 >
「うん、素直にいうとちょっと驚いちゃって。
おっきな男性って見たことあるけど、女性は初めてだったから。
あ、もし気分悪くさせたらごめんね?」
[〉提案を了承して前に腰掛けると、葵は一旦勉強道具は横においた。
[〉煮詰まった頭では効率が下がるし、何より誰かが来たならしゃべるのを優先したいのもあった。せっかくの休日だから、有意義に過ごしたいのだ。
[〉本を横に起き、ペンケースにシャープペンを投げ入れ蓋をすると、まじまじと陽子を見る。
[〉よくよく見れば髪質が特異なことに気づき、見上げながら挨拶とともに疑念を投げる。
「僕は1年で転入してきたばかりの六連星 葵(むつらぼし あおい)っていうんだ。よろしく。ねね、髪、染めてるの? なんだか不思議な色合いしてる気がする」
■嶋野陽子 > 「いえいえ、いつもの事なので、
全然気になりませんよ。驚かれる事は初対面の御約束
みたいな物ですから」と言って微笑む陽子。
アイスカフェオレと、アップルパイを注文すると、
「私は今月編入したばかりの、保健課一年生、嶋野陽子
です。この髪の毛は、昔から少しだけ銀髪が混じって
るのですが、天然です」
彼女の観察力が優れていて、かつ電子工学の知識が
あれば、3割の確率で光ファイバーが髪の毛に混ざっ
ている事を見破れるだろう。
■六連星 葵 >
[〉陽子の注文からすぐ、頼んでいたホットケーキがやってきた。
[〉はちみつとバターをナイフでまんべんなく上になじませ、フォークで抑えてナイフで分けていく。
「あ、じゃあ僕と同じ転入生なんだ? 仲良くしようね。
天然なんだ? なんだか整った感じに分かれてるから、てっきり染めてるとばかり。不思議だね~」
[〉彼女は機械であるし戦闘用アンドロイドである。しかし両親から「他人を機能を使ってじろじろ見るものではない」と厳しく教育を受けている。
[〉視覚で得た疑念を自己の機能で検索するような行動には移さず、率直な感想を陽子に述べた。
■嶋野陽子 > 六連星さんの身体を見ると、鍛えられた
アスリートの体型だ。恐らく陸上競技か?
「はい、宜しくお願いしますね。私は女子寮に住んで
います。こんな身体だけど、異能は治癒系なので、
保健委員をやってます。六連星さんも鍛えておられる
ようですけど、何かスポーツをされるのですか?」
と尋ねる陽子。
■六連星 葵 >
[〉話を頷いて聞きながら一口分ホットケーキをもぐもぐと咀嚼する。
[〉ゆっくりと噛んで飲み、落ち着いたところで話を切り出す。
「あ、女子寮? 僕も僕も! 今度遊びにいってもいい? 女子寮の友達、意外と少なくてさ。
部活は陸上部やってるよ。専門は100m走。僕、アンドロイドで人間じゃないんだけど、ここの学園だとそれでも記録負けしちゃうから、すごいやり甲斐あるんだ」
[〉後半は熱く息巻くように騙る。
[〉危うく、そのまま勢い良く続けそうになる自分を抑えつつ、陽子の反応を促す。
[〉陸上について聞かれるとつい嬉しくなる癖がでているのを自覚して、頑張って抑えている様子だ。
■嶋野陽子 > 同じ女子寮仲間と聞いて、
「私の部屋は一階の19号室。この図体なので、異界人
区画の二人部屋を改造して一人で使ってます。いつで
も遊びに来て下さいね」と招待する陽子。
アンドロイドの陸上選手と聞いて、保健課の『治療時
要注意リスト』に六連星の名前が有ったことを思い出
す。
「アンドロイドの陸上選手・・・因みにタイムはどれ
位なのです?私も改造してるから人間よりは速いタイ
ムだけと、どっちかと言うと長距離なので」と、届いた
アップルパイをつつきながら興味津々に尋ねる陽子。
■六連星 葵 > 「僕二階の端部屋だよ。そっか、一人用だと狭いんだね。大変そう。
うん、是非是非。何かお土産もってお邪魔させてもらうよ」
[〉イチゴミルクを煽り嬉しそうに返事をする。
[〉学友のところへ遊びに行くのは常世学園に来てからはまだ皆無なものだから、その分楽しみが大きくなってしまう。
[〉タイムを聞かれると、彼女は自慢気に語り始める。
「一応体には色々戦うための機能があるんだけど、僕のタイムはそういうの抜きで5秒18だよ。
でもこの前さ、先輩に負けちゃったんだ。悔しいんだよね。ほんと、この学園の人は機械でもないのに早い人いっぱいだもん」
■嶋野陽子 > お土産を持って遊びに行くとの発言に、
「あら、いらして下さるなら、何か好物をお作りします
ね。こう見えても料理は得意ですので」と答える陽子。
100m 5.18s のタイムを聞いて、
「流石に私よりずっと速いですね。私は6秒は切れま
せんから。その代わり本気出せばフルマラソンで一
時間切れますけど」と感心する陽子。
■六連星 葵 >
[〉料理が得意という言葉を上機嫌に受け取り、
「やりぃ、僕ご飯作るの大の苦手なんだ。ぜひぜひ、じゃあ今度のお休みに、遊びにいくね!
好物……フレッシュサラダとか大好きだよ。青野菜が好物かな。後イチゴミルク!」
[〉歓迎されているのなら喜んで向かうのが葵のポリシーだ。
[〉常世学園初の遊びに行くイベントにうきうきしているのが見て取れるだろうか。
「をを。でもフルマラソン1時間? ええ、十分すごいよそれ! だって短距離並みの早さで走り抜けれるってことだもん。
すごい、すごいよ陽子さん」
[〉ぱぁっと顔が尊敬の色に染まる。
[〉同時に、競争相手を見つけたという意思がめらめらと燃え立つのを感じる。
[〉まさかこういった場所で、こういっためぐり合わせになるとは思ってもみなかったからだ。
■嶋野陽子 > 野菜大好きなアンドロイドという
組み合わせに、一体どこの世界の技術かは判らないが
開発者の発想力に敬意を抱く陽子。
「フレッシュサラダとイチゴミルクね。それこそ開拓
村の農家を借りて、野菜と果物を栽培しようかしら」
などと発想を拡げる陽子。
六連星さんが自らアンドロイドである事を開示したの
で、陽子も自分の改造度合いを開示する事にする。
「学園には異能として届け出ているけれど、私の身体
は異星人の超技術による改造で、体内でいろんな物を
合成したり、骨格や筋肉、それに皮膚や皮下組織まで
改造してあるの。ノータッチなのは私の脳だけかも。
先程話した髪の毛も、元々の銀髪だけでなく、ネット
アクセス用の光ファイバーが混ざってるのよ。あ、こ
れは二人だけの秘密ね。六連星さんがアンドロイドだ
って明かしてくらたから、お返しよ」と、重要事項を
開示する陽子。
「アンドロイドと言えば、六連星さんが怪我した場合、
保健委員の私は、どう手当てすれば良いのかしら?」
と聞いてみる陽子。
■六連星 葵 > [〉陽子の話に葵は意外そうな声をあげた。
[〉これまで商店街で買い物をしたりしたことはあるけれど、開拓村というものは存在すら知らなかったのだ。
「お野菜つくれるところがあるんだ!?
なんでもあるんだね、この学園って」
[〉そして続けて出てきた、突然の告白に葵は眼を丸くした。
[〉異星人の超技術。サイボーグ。銀髪は光ファイバー。
[〉よもや自分に近い存在などということは到底思わず、驚いて再びまじまじと眺めた。
「異星人に改造って、SFであるトラクタービーム?でふゅよーんと連れてかれて改造されちゃう、あれ?
大丈夫、痛かったりしない?」
[〉と、不安そうな顔を擦る。
[〉更に立て続けに自分の医療時の問いを聞かれ、ええとと慌てた様子で思案する。
[〉普段通りでいいのかな、と考えつつ思い出しながら答える。
「あ、僕は……ううん。医療というより修理だからね。でも表面の傷を縫合してくれれば、大丈夫だよ。
僕は機械と生命の間の子みたいな感じで、僕の体になっている部分の無機物は、ある程度再生できるから。
色々漏れだしちゃうと、不足分は補えなくなっちゃうんだけど。
後は、修理も一応きくんだ。痛いし、成長に合わせてない規格になるから、筋肉とか落ちて、いやだからしたくないけど」
ご案内:「カフェテラス「橘」」に嶋野陽子さんが現れました。
ご案内:「カフェテラス「橘」」に嶋野陽子さんが現れました。
■嶋野陽子 > トラクタービームで拉致されて
人体改造の話には、
「実際はトラクターじゃなくて、トランスポーター
だったけど、後はそう間違ってはいないかも。当時
の私は、難病に倒れた恋人を救うのに必死だった
から、痛かった記憶は無いわ。手術と言っても、
ナノマシン注入されて、あとはひたすら栄養補給と
トレーニングの毎日だったから。」と六連星さんの
質問に答える陽子。
六連星さんの治療に関する回答に
「私の治療用ナノマシンをカスタマイズすれば、六連星
さんの治療も出来るようになるかしら」と疑問をぶつけ
てみる陽子。
■六連星 葵 >
[〉自分も結構珍しい人生経験だと自負していた。
[〉比較するのは悪いと思うが、それでも世の中上には上がいるのだという驚きがあった。
「転送されてかぁ。
難病を抱えてということは望んで? 結構優しい異星人さんだったのかな?」
[〉医療用ナノマシンについて問われて、葵は首を傾げた。
[〉自己修復機能のある機械は、異能の代物だ。
[〉葵はオンリーワンの存在であるから、治療経験がないものに関してはさっぱりであった。
「ん、んん。どうなんだろ。僕の血液がわりに使われているのはアーティファクトブラッドっていって、人工筋肉を持つアンドロイド専用の血液なんだ。
それに使えるなら多分、大丈夫……じゃないかな?」
■嶋野陽子 > 『結構優しい宇宙人さん?』
の問いには、
「そうね。向こうはファーストコンタクトを、私は恋
人を救う力を求めていた。求めている物に大きな違
いが有ったのに、ちゃんと彼を救うための力を授け
てくれたわ。それがさっき話した医療用ナノマシン。
私の巨体は、彼を救う為に必要な量のナノマシンを
合成するのに必要な大きさだったの。お陰様で今は
完治したけどね。」と説明する陽子。
六連星さんの治療については、
「今度お部屋に来るときに、サンプルを10ccほど戴け
れば、分析して対応できるか調べて見ますね」
と答える陽子。
■六連星 葵 > 「へぇ……難病って、彼氏さんのためだったんだ。
そういうのって、いいなぁ。
僕恋人とかいないから、よくわかんないけど、そこまでまっすぐになれる陽子さん、素敵だね」
[〉両手を頬にかけて微笑みながら言う。
[〉想像していた話と比べると取引にしてもすばらしいものだ、と思う。彼女はそのことを負い目に感じている様子でもないから、なおさらだ。
[〉サンプルがあれば、という話に、陽子の人の良さを信用してるのか、ごそごそと箱を取り出す。
[〉そこには注射器が1つと、薄く紫に染まった赤い液体が入ったパックがある。
[〉更に小瓶がいくつかあり、葵はパックと小瓶を直結させると、接続部にある機械を操作する。
[〉100cc分の液体を注ぎ込んだ後、密封を確認して陽子に手渡しする。
「はい、どうぞ。これが僕の血。母さんから何かのためにって予備でもらってるものの1つ。良かったらこれで解析してみて」
■嶋野陽子 > まさかこの場でサンプルを
渡されるとは思わず、一瞬驚く陽子だが、小瓶を受け
取ると、
「ありがとう。無駄にならないように、頑張って解析
するわ」と礼を言って、容器をウエストポーチの中の
医薬品セクションにしまう。信頼を裏切らないように
サンプルも検査結果も厳重に管理することにする。
「そう言えばさっき、『戦うための機能』って言って
たけど、あなたは戦闘用のアンドロイドなの?武器
とか内蔵してたりとかするの?」
と今度は陽子が興味津々に尋ねる番だ。
■六連星 葵 >
[〉素直な陽子の応対に安心する。
[〉自分の血は本来容易に渡すべきものではないと分かっている。だけれど、自分の出生についてオープンにしてきて、今後世話になるかもしれない。
[〉それこそ怪我した時の唯一の担当になりえるかもしれない人なのだ。
[〉渡す方のメリットが彼女の中で勝った。もちろんこの世界では、何に使っても役に立たない、自分にしか意味を為さない液体だという打算もあってのことだ。
「僕の時代……えと、僕の生まれた世界はこの世界の1つの未来の結果なんだけど。
そこでの物品のための溶液だから、どこまで出来るかわからないけれど。
でも異星人なんていうすごい文明と接触してる陽子さんなら、なんだか分かりそうな気がするんだ。
だから渡しておくね」
[〉そして戦闘用アンドロイドであることに言及されると、些か躊躇した後に説明する。
[〉自分の存在はともかく経緯そのものには説明したくないものがいくつか含まれるようだ。
「うん、そう。戦闘用。
本当は母さんは僕を戦うために作りたくはなかったって言ってたけど。内蔵装備は僕はないよ。全身くまなく人間と同じ神経線維と人工筋肉が巡ってるから、いれる余地、ないんだ。
ただ体全体に魔術を使うために最適な構造がいくつかあったり、僕の世界の特別な魔術が刻まれてたりはするよ。後電脳に入り込めるとか、大体それくらいかな?
自分の身は武器以外で守らないといけないから、魔術と護身術のバリツはがんばって覚えたよ!」
■嶋野陽子 > 戦闘の話に言及すると、
六連星さんの口が重くなるを見て、話題を転換する
陽子。と言うよりアンドロイドと魔術の組み合わせ
に言及されると、そちらに関心が移る。
アイスカフェオレとアップルパイに口をつけて一呼吸
置くと、
「あなた、アンドロイドなのに魔術が使えるの?未来
の世界って、凄いのね。私も端末無しでネット接続は
出来るけど、常世島では怖くて普通の使い方しかして
いないわ。 バリツって、格闘技ですか?私も教えて
ほしいかも」と六連星さんに話す陽子。
■六連星 葵 >
[〉話の話題が移ると葵はほっとした。
[〉母親のつらそうな表情を思い浮かべるのが彼女は嫌で、だからそれが顔や言葉として表に出てしまう。
[〉話題の境目の葵もホットケーキの最後の一切れを放り投げて、陽子に説明を続ける。
「バリツは格闘技。色々なのが混ざってるみたい。柔道とか、空手とか。日本武術っていうんだっけ? それを混ぜあわせたような感じだよ。
アンドロイドは、普通なら魔術を使えないよ。僕だけ、特別なんだ。
父さんと母さんが作ってくれた、世界で一つだけの作品。それが僕。
魔術を使えて、赤ん坊から大人になる。世界で一人だけの六連星葵っていう形。
変でしょ、アンドロイドなのにさ」
ご案内:「カフェテラス「橘」」にエルピスさんが現れました。
■嶋野陽子 > そうか、未来の世界でも魔術と
アンドロイドの融合は特殊事例か。丁度私とステラの
融合のように。
「私も格闘技は興味があるのですが、練習相手がいな
くて困っていたの。あなたならば良い師匠と練習
相手になってくれそうです」と言うと、陽子は
陽子もアイスカフェオレとアップルパイを片付ける。
「そろそろお暇しないといけません。楽しい話と、
ためになるお話、ありがとうございました。いつ
でもお部屋に来て下さいね。」と六連星さんに告げる
陽子。
■エルピス > 「ふぅ……。」
何かしらの用事の帰りなのだろう。
溜息一つと共に、カフェテラスへと足を踏み入れる。
「疲れない身体でも、やっぱり疲れるね。」
どこか矛盾した言葉を吐き出しながら、ぼんやりと周囲を見渡す。
知己であるアンドロイドの葵と――もう一人は誰だろうか。知らない人だなと思いながら、何気はなしにやりとりを眺めているだろう。
■嶋野陽子 > 伝票を持って席を立つと、六連星さん
に一礼してレジに向かう陽子。途中で公安委員の腕章
を巻いた女の子とすれ違う。
ご案内:「カフェテラス「橘」」から嶋野陽子さんが去りました。
ご案内:「カフェテラス「橘」」に嶋野陽子さんが現れました。
■六連星 葵 > [〉陽子の合点について葵は理解が及んでいない。
[〉様子を伺う気配すらない。警戒はなくおしゃべりに興じているだけだ。
「そうなんだ。陽子さん、体大きいから僕と組手してうまくやれるか自身ないけど、そういうことならがんばるよ!」
[〉と同意して頷く。
「あ、もうそんな時間経っちゃったんだんね。
僕も楽しかったね。うん、今度遊びに行くからね陽子さん!
またね~!」
[〉去りゆく姿に手を振るだろうか。
■エルピス > ちらりと視線が合ったような。
そう思えば軽く笑みを向けて返し、そのまま視線を動かして葵と視線を合わせる。
「えっと……こんにちは、葵ちゃん。」
ご案内:「カフェテラス「橘」」から嶋野陽子さんが去りました。
■六連星 葵 > 「あ、お久しぶりだね、エルピス。
あー、僕に呼び捨てで呼んでおいて自分だけちゃん付に戻すなんてずるくない?」
[〉席、空いてるよと指を指しながら、
[〉ちょっと不機嫌そうにしながら、そう抗議の声を投げるか。
■エルピス > 「あっ、ご、ごめん。葵。」
はた、と、我に返った様子で苦笑を見せる。
どことなく、大分力がないと言うか、疲れている様子も伺える。
うっかりちゃん付けで呼んでしまったのも、それ故だろうか。
……ともあれ、そのままゆっくりと歩いて葵の隣へと座る。
調子を戻そうと改めて笑みを浮かべてみせた。
「えへへ。お久しぶりだね。元気してた?」
■六連星 葵 >
「もちろん。学校生活楽しいから。
ずっと元気にしてたよ。嘘。何度かトラブルにあって落ち込んだりもしたよ」
[〉にへへっと破顔させながら、疲れているエルピスを見ると、不安そうな視線で見つめた。
[〉彼女を見たのは久しぶりだが、前はもっと覇気があったように思う。
「君こそどうしたの?
外から見ても分かるくらい、土砂降りの中帰ってきたくらいの落ち込みようじゃない」
■エルピス > 「そっか。学校生活は楽しいよね。ボクも好きだよ。」
先程とは違った自然な笑みが一つ。
エルピスにとっても、学園生活が楽しい事は違いないのだろう。
「あ、うん。仕事と用事の台風がやってきて、色々と忙しくて。
それで、ちょっと疲れちゃってね。ええと……」
何しろ委員会の話も絡む。
何処まで話せるかを思案していれば、自然と言葉尻が言い淀む。
■六連星 葵 >
[〉学校生活は楽しいという笑みに嘘偽りはなさそうだ。
[〉それなのにつらい、というのは今話に出た仕事のことなのだろう。
[〉とはいえ、それにしても。随分な疲弊の仕方のようには思える。
[〉彼女は席を立ち、エルピスの鼻先に突き立てるとこう告げる。
「いい、エルピス?
仕事は大事なことだけど、自分が壊れるような働き方をするのは絶対ダメ。
生きるために仕事をするのであって、仕事のために生きてるんじゃないんだから。無理しちゃダメ。
友達だからきっつ~く言っちゃうよ」
[〉もちろん言えない話があるのだろうというのは理解している。
[〉だが、それよりも。
[〉この責任感が強い少女が、気に病みすぎることがないようにと、葵はまずそうやって咎めたのだ。
■エルピス >
仕事の為に生きている訳ではない。
が、ボクの身体は最早ボクだけのものではない。
故に"無理をしなければならない"時だって少なくはない。
とは言え、目の前の葵もアンドロイド。
彼女もきっと、自分だけの身体ではないのだろう。
だから、ボクはそれを言う事は出来なかった。
軽く、鼻先に指が当たった気がする。
「う、うん。それは分かってるよ。大丈夫。」
そう言って、苦笑を浮かべた。
仕事は仕事できっちり割り切っているし、表も裏もヘマをするような事は今の所はない。
それに"無理をしなければいけない"所以外では融通をして貰っているのも事実だ。
特にボクの場合は身分を証して公安委員会に所属している事もあってか、
所謂公安委員会の"裏の顔"や"闇"との関わりは薄くされており、基本的には管轄外とされ、
時折のレアケースや間接的に関与する事以外では、その手の仕事はあまり回って来ない。
また、色々と気遣って貰える事も多い。腫れ物扱いの部分もあるのかもしれないものの。
でもこの前の差し入れの紅茶とクッキーは美味しかった。
(……その身分も、"エルピス"の身分なんだけどね)
重ねるならば、公安委員会に所属しているのは常世財団英雄開発課の指示によるものだ。
最初は望まずではあり、ボクの性格に合わないだろうにと思った。
配属されて少し経てば、配属された意味は理解したものの。
脳裏であれこれ思案すれど、言葉に出せる事は少ない。
言葉が止まってしまっている事に気付けば、やや咄嗟に言葉を発した。
「……そ、その。葵も無理しないでね。」
■六連星 葵 >
「その顔は、分かってない顔だよ。
大丈夫じゃないって」
[〉答えたエルピスの顔には使命感や焦燥感の類が伺えた。
[〉「やらなければならない」という、明確な意思の発露から生み出された、本来では賞賛されるべき、肯定的な感情だ。
[〉その感情はよく知っている。
「僕も今ね。必死に追ってることあるから、なんとなく分かる。
でもね、それはくたくたになるほど、必死になりすぎるものでもないんだって、僕思うよ」
[〉エルピスが何も教えてくれない。
[〉平気だと彼女は言う。では目の前の疲労にまみれた少女は何だというのか。
[〉仮にそれが優しさの結果、「まだマシ」だったのだとしても。
[〉葵にとって、それは「あまり変わらない、ただの誤差」でしかないのだ。
「僕は無理する。だってまだ元気だもん。
でもエルピスはそうじゃない。だからさ」
[〉エルピスの右隣の席へ座り込む。
[〉左肩の、機械の腕からぐいっと、人並み外れた戦闘用アンドロイドの膂力でひっぱりこむ。
[〉エルピスのほうが一回り小さいから、葵の胸元に引き込まれるような形になる。
[〉随分と強引なことをする、と思われるだろうが、葵は気にしあかった。
「今は、ゆっくり休んでいいよ。
色々たくさん話たいことあるけど、それよりなんだか、
休ませてあげたほうがいいみたいだしさ」
[〉そう告げ、空いた右手でエルピスの頭を撫でた。
[〉エルピスがそうしたいと願ったわけではない。葵がそうしたいと思ったから、そうしただけだ。
■エルピス > 分かっていない訳ではない。
必死になりたくてなっている訳では無い。
焦りや使命もある。だけど叶わない事もある。
故に口を開こうとした所で――抱き寄せられる。
「……う、うん。」
優しく抱え込まれてしまえば言う事は出来ないし、それよりも身を委ねたい。
視線を落としながらも眼を細め、身体を預ける。
「でもここで休んだら……」
撫でられながらも、不安げに周囲を見渡すだろうか。
■六連星 葵 >
[〉六連星 葵は何も知らない。
[〉エルピスの身に何があったかも聞かない。
[〉それはいつか、彼女から口を開くまで聞いてはいけないことなのだと葵は理解している。
「あー。いいよ。気にしない。角席だし、僕で影になると、思う。
思うから、そういう視線気にすること言わないで。恥ずかしいんだ」
[〉口をへの字に曲げる。気付かされた周囲への状況に羞恥心が烈火のごとく燃え盛りはじめている。
[〉その事は、とりあえず自分に言い聞かせる。そんなこと気にするのは後でもいいんだ、と。
「僕は何が起きたのかわかんないから、こういうことしかできないけどね。
でも友達を見て「治るまでゆっくりしてて」なんて言うのも嫌だ。だからま、今は、恥ずかしいけど。
エルピスのために胸を貸すぐらい、してあげれるよ」
[〉だから、だから今は自分を許して「忘れて欲しい」と願う。
[〉エルピスが縛られた過去の出来事。ここに至るまでにあったこと。
[〉そう願うしかなかったのだ。
■エルピス >
とは言え、身を委ねるエルピスの身体は非常に重い。
戦闘用アンドロイドの膂力があれば苦にも気にもならないだろうが――
「う、うん。」
エルピスの精神は何処か強くあれど、不安定だ。
甘さに流されて喋ってはいけない事を喋る事はないし、約束は良く守るで、すべきことはする方だ。
感情的な判断と理性的な判断を天秤に掛ける事も、出来る。要するに、責任感は強い。
理性による抑制を働かせる事の出来る存在ではある。
しかしながら、そのメンタルの根幹は思春期少年もしくは少女特有のそれであり、非常に不安定な側面も持つ。
故に意思が強い時は強いが弱い時は弱く、消耗しやすい――"そうなりやすい様な細工"もあるとは言え。
「……ごめんね、ちょっとだけ、胸、借りるね。」
……今は気を抜いて、思考を休める。
疲れない身体である筈なのに、休む事がとても心地よい。
葵の胸元で、そんな事を思い浮かばせながら眼を閉じた。
■六連星 葵 >
[〉正直なことを言うと、エルピスの体重は葵の想定を上回る勢いで重かった。
[〉左手のアームユニットだけが重そうだと油断していた節は間違いなくあったのだが、漬物石が横から倒れてきたのを支えるくらいの重みだった。
「(僕の体は半分ぐらい人間と同じように液体比率多いし、エルピスとは構造が違うんだね……)」
[〉とはいえ、そこまでの重さではない。エルピスは自分の腰で体を支えられているから、予想外だっただけで、葵の膂力なら、まだなんとかなる範疇だった。
「うん。休んで休んで。貸してあげるからさ、僕の胸でよければ
あ、でもこれ特別だよ? 何度もだっていうのは、流石にその、恥ずかしすぎる」
[〉だから早く元気になってほしい、と葵は言外でそう告げた。
[〉彼女のその弱々しい態度が、健気さに似た強さを取り戻すほどの。葵と訓練をした時のような力強さを取り戻してほしかったからだ。
「今日はせっかくの休みなんだからさ、羽を広げるには、ちょうどいいよ。
天気だって、いいし」
[〉言いながら葵は目の前のイチゴミルクがまだいくばくか残っているのに気づく。
[〉冷えた内に飲みたいと思った心の欲求を、今はエルピスのためにと抑えこむ。
[〉後でまた頼めばいい。
[〉おいしいイチゴミルクは頼めば飲めるが、エルピスの元気は注文するドリンクのように戻りはしないのだから。
■エルピス > 溜め込んだものがあったのだろう。
吐き出す事の出来ないものがあるのだろう。
葵の優しさに身を委ねながらも、特別と言われれば、小さく頷いた。
「う、うん。ごめんね……」
そう言って、意識を落とす。
脳や思考を休めるギミックとしての睡眠は、確かに残されている。
……今の所は、すやすや、と眠っている。
■六連星 葵 >
[〉よっぽど疲れていたのか。
[〉寝息を立て始めると葵は戸惑いを覚えた。
[〉でも、体は正直なのだとも、思った。
「君は支えてくれる人、いるかいエルピス……。
僕はいっぱいいるよ。
そのぶんからもらったエネルギー、少しだけ君にあげるからさ」
[〉それは気持ちの話というわけではない。
[〉葵は寝息を立てる少女に、少しだけ力を使う。
[〉彼女の魔力の核がある。それは不安や焦燥などを、落ち着かせる魔力波長を生み出す効果がある。
[〉その核については、門外不出だ。既知として知られてはいけない。葵の存在よりも、秘匿されるべきもの。
[〉アンドロイドが魔力を持つ矛盾。異能の体。そのすべての根幹なのだから。
[〉そして、その力を今、彼女が良い夢を見られるようにと、ほんの僅かな、魔力をエルピスに注ぐのだった。
■エルピス >
注ぎ込む際、一瞬"大きな力のうねり"を覚えたかもしれないものの、魔力の注ぎは通るだろう。
……やや、エルピス表情が穏やかになったような気もする。
意識を落としたエルピスが語る事もなく、不測の事態が起こりうる事は今の所はない。
……そのまま暫く、そうしているのだろうか――。
ご案内:「カフェテラス「橘」」からエルピスさんが去りました。
■六連星 葵 > エルピスが目覚め、そこからまた彼女たちの語らいがあることだろう。
それはまた別の機会、別の時間。
もしかしたら紡ぎ手ではない何者かによって語られるものかもしれない。
でも、今は。眠る少女と寄り添う少女。
その二人の時間だけがただ、過ぎていく。
そして語り手は舞台を降りる。また語るべきことがくる、その時まで。
ご案内:「カフェテラス「橘」」から六連星 葵さんが去りました。
ご案内:「カフェテラス「橘」」に四十万 静歌さんが現れました。
■四十万 静歌 > のんびりと、ミルクティーを飲みながら読書をしている。
お茶請けに頼んだのか、
クッキーをつまみながら。
「――」
さっくりとした味わいが、とても風味よく心地よい。
クッキーは三種類。
プレーン、ハーブ、チョコレートだ。
■四十万 静歌 > 「――」
読みながら何かはらはらと、
心配になるシーンになったのか、
何かあわてたような表情を浮かべつつ、
次のクッキーへと手を伸ばそうとして。
スカ。
そこにお皿はありません。
ミス、
そこにもお皿はありません。
どうやら目測を誤ったようだ。
かといって本から眼を離したくもないらしく、
あわてながら手探り。
だが、かすりもしない。
ご案内:「カフェテラス「橘」」にサリナさんが現れました。
■サリナ > 今日は暑い。暑いので涼しい場所で原稿を書こうと思ったのだが、
私と同じ考えの人間はいくらでも居るらしく、涼しい場所はどこも混み合っていた。
最後の希望としてここに入ったが、ここも少し混んでいる。
店内を見回せば、相席できそうなテーブルはいくつか…駄目元で頼んでみようかとその一つに近づいた。
…なにやら不思議な格好をした人が、本を読みつつ、テーブルの上に投げ出した手を不思議な動作をさせている。
「すみません、相席よろしいでしょうか?」
■四十万 静歌 > 「あ。ひゃ、ひゃい。
どうぞ、相席歓迎です!」
その声に気づいて、びくんっ!とした後、
本から顔をあげて頭を下げながらそんな事をのたまう。
「すみません、気づかなくて……」
そして照れくさそうに頭を
かきながらそういうだろう。
■サリナ > 私が相席を希望すれば、すぐに反応が返ってくる。しかし妙に慌てていた。
よほど本に集中していたのだろう。…悪い事したかな。
といっても了承は得たのだし、席に着こうと…する前にもう一つ。
「いえ、ありがとうございます。…もう一つお願いがあるのですが、原稿広げてもいいですか?」
と、おもむろに原稿用紙を取り出して見せる。
テーブルの半分を占拠してしまいます…と視覚でわからせるとともにそうお願いした。
■四十万 静歌 > 「あ、どうぞどうぞ。」
クッキーと紅茶を端に移動させつつ――
「原稿を広げるという事は、もしかして――」
ごくりと唾を飲み込み――
「本か何かを書くんですか?」
なんてきらきらした眼で見つめようとするだろう。
興味津々のようだ。
■サリナ > 「感謝します」
と、テーブルの半分を占有してもいいらしいのでどさりと音を立てて原稿用紙の束を置いてから座る。
やってきた店員にダージリンのアイスティーを注文すると、相席している彼女への質問に答えた。
「…流石にこれ程の量だと作文書く訳ではないでしょうからね。ええ、まあ、ご明察通りに本なんですが」
…何か、彼女はとてもきらきらした眼で見ている気がする。そんなに興味が惹かれるものなのだろうか、そこまで楽しい内容ではないのだけれども。
■四十万 静歌 > 「本を書けるなんて凄いですね。
あ、いえ、こう。
読書家としては、
やっぱり本を書ける人は凄いなとか、
書けたら読んでみたいな、
なんて思って……
どんな本なのかお尋ねしてもよろしいでしょうか。」
あ、でも、こう話とかして迷惑じゃないかな?
なんて不安もちょっとあったりして、
ちょっと赤くなってちらちらと原稿のほうにも視線をやりながらきくだろう
■サリナ > 「いえ…そんなにすごい事では……でもありがとうございます」
凄いと言われれば、それなりに嬉しい気持ちはある。
しかし、この本の題だけでそのイメージはひっくり返るのではなかろうかという懸念が私にはあった…。
「…恋愛小説の類ではありませんが、こういうものです」
原稿用紙の一番上に乗っていたものを差し出す。そこには上の方に大きく仮題と書かれ、次にそれらが並んでいた。
【呪術:のろいの領域、まじないの領域】【呪術の二つの方向性】【双方向性的呪術の実践】
「とまぁ、こんな本です。ああ、仮題ですのでまだ題はどれにするか決めてませんが……あの、呪術ってわかります?」
■四十万 静歌 > 「お、おお……」
タイトルをみて少したじろぐが、
考えてみれば面白い話でも、ある。
「ええ、
どんなものなのかは分かっています。
――なんていうか、凄い本になりそうですよね。
呪術っていうと聞こえは悪いですけど……」
そこまでいってにっこり笑って――
じっと眼をみつめ――
「とっても身近なものですもの。」
なんていうだろう。
■サリナ > 驚いた。まさかこんなに受けがいいとは思わなかった。
よくよく見れば彼女の格好に魔術師らしい何かを感じるような気がしないでもない。
「なるほど…あなたも魔術を学ぶ方ですか。身近というと、もしかして…呪術師なのですか?」
その瞳に射抜かれて、私もじっと、眼鏡の奥から見つめ返す。ちょっと身を乗り出していたかもしれない。
■四十万 静歌 > 「いえいえ、とんでもない。
私は魔術の類が使える訳ではないですよ。
精々出来て――」
そういってすっとゆっくりと横を見る。
視線が釣られて動いた所で素早く手を
顔と顔の間に持ってきて、手の甲で見えないようにした花を、
もう片方の手で指を鳴らすと同時にまるでいきなり現れたかのように、白い造花を見せるだろう。
「こういう事くらいですね。」
どちらかというと手品師ですよ。と首をかしげて。
「ただ、割と身近なものだと思いますよ。
おまじない、
というのもまた呪術のうちだったと記憶してますから。」
■サリナ > 「む…?」
目の前の彼女が横を見るので何事かと思えば視線が一瞬遮られた。が、彼女が指を鳴らせば、そこには白い花。
「ほう、今のは召喚術ですか?いや、もしや転移術の一種?…いや、よく見たら造花ですね?もしやそういうものを一瞬で組成する魔術…?」
と思っていたら即座に否定された。なんと、手品か。魔術の類でそれをしないので私としてはただただ、驚くばかりだった。
驚いていたら注文していたものが来たのでそれで喉を潤して一息つく。
「…そうですね。呪術というと誰かに呪いをかけるとか、物に呪いをかけて手から離れなくするという認識は強い気がしますね。
必ずしもそういったものの類だけではないんですが…あなたはどんなおまじないを知っていますか?」
アイスティーをマドラーでかき混ぜつつそう尋ねる。
■四十万 静歌 > 「生憎私には魔術の素養がないのか、
色々やってみたのですが、
殆ど発動不可能なようでして。」
なんて照れて笑う。
「手品なら小さい時からやっているので得意なんですけどね。」
あ、よかったらいりませんか?なんて、造花を差し出しつつ頬をかいて笑う
「呪いや呪いのアイテムはやっぱり定番ですよね。
後は確か身代わりとかにもできるんでしたっけ?」
なんていいながら、
「色々知ってますよ。
恋愛、金運。私だけのおまじないとか。
そういえば、携帯を使ったおまじないもありましたね。
ほしい連絡先の相手へ連絡してほしいってメールを打って、
それを送らずに、
自分へ送り、自分でそれに返信をすると、
本当に連絡が来る、とか。」
なんていいながら首を傾げる。
たいしたものではない、が、何かの参考になるだろうか?
なんて淡い期待をもちながら。
■サリナ > 造花を差し出されれば、それを受け取って礼をする。
手元にその白い花を置いて、小動物でも相手するかのように指で撫でながら彼女の話に耳を傾ける。
ああ、彼女が知っているのはそういう類のおまじない…か、私の世界でもそういうおまじないは合ったが、
この本の内容とは趣が異なる。彼女の言うおまじないとは、魔術ではないのだから。
「なるほど…そういうものですか。そうですね、私もそういうのは知っていますが…
携帯でおまじないなんてあるんですね。いえ、実は私携帯やスマートフォンの類は持っていなくてですね…
でもパソコンならいくらか使えるのでメールならわかりますよ。…本当に、ふっ…そういうのあるんです?」
にわかには信じがたい話だ。
それはつまり便りが欲しい相手に「便りが欲しい」という手紙を相手ではなく自分に送って、
それにまた自分で手紙を作って返事の便りをまた自分に送るというものである。
メールなら一瞬で済む話だが、手紙に置き換えてみるとおかしすぎる。おかしすぎて少し笑った。
■四十万 静歌 > 「ええ。あるんですよ。
まぁ、魔術としての呪術――に関しては使えないのですが……」
そうですね。と一つ考えて。
「――病は気からと申しますに、
自分へ送ってまっているうちに、
相手からの連絡が来る事で、
その喜びが増幅されてそんな風なおまじないができた……
ともとれますが、
結局の所携帯は電波という波を送るものですから、
同じように気持ちを波に乗せる事で、
相手に気持ちを波に乗せて伝え、
その結果を引き起こす――ともとれますね。
自分へ送り、自分で返信するのは、
気持ちを波に乗せる為の一種の儀礼と考えれば、
一種の魔術的な形態になりそうですよね。」
どうなんでしょう?と首を傾げながら言葉を続ける。
「儀礼、術式を、身近なものに落とし込み、
更に簡略化して、
お呪いという術式へと落とし込む。
全てがそうとはいえませんけど、
一つの考えではあると思います。
なんて、そんな風に考えると、
凄く浪漫溢れる話だと思いませんか?」
ね?なんて人さし指をたてて首と一緒に少し傾け、
にっこり笑う。
■サリナ > つまり彼女が言っているのは自分自身に課した、一種の精神作用だ。
気持ちを乗せる、…昂らせる呪術、というのはいいかもしれない。
「いえ、いいかもしれません。呪術とは精神的な側面に接近するものもありますからね」
身体的な繋がりを内包する呪術ばかりこれに書いていたが、精神的なものも有りかもしれない。
話ですっかりペンを握っていなかったが、原稿用紙にようやく筆をつけはじめた。
続く彼女の話に耳を傾けつつ、ペンを走らせる。
「ロマンチストなんですね、あなたは」
どうだろう、私は魔術でやってしまえるから、それを使わず…というのはいまいち想像ができない。
私は、きっとリアリストなのだろう……昔は女の子がそういう話をしていても同調できたはずなのに…
そういえば、彼女について気になった点がある。今の話、出てくる単語にとても違和感を覚えた。
それらを整理する為に一度ペンを止めて、アイスティーを口に含む。そして、じっと、彼女の顔を見つめて考えた。
■四十万 静歌 > 「よかった。」
と、パンと手を合わせて頬へともっていき、
小首をかしげて笑う。
なんというか参考になったのなら凄く嬉しいのである。
「そうですね。
ロマンチスト……といえるほどでもないですが、
やっぱり浪漫溢れるのは好きですから。
本を読んで空想するのが好きですし。」
そしてペンを走らせる様子をにこにこ見守りつつ、
答える。そして、じっと見つめて考え込まれると、
あれ?どうしたんだろうと、首をかしげ――
「どうかなさいましたか?」
なんてきくだろう。
■サリナ > 彼女は魔術の素養がないと言った。しかし、随分と専門用語を使うように感じる。
本当に素養がないのであれば、儀礼だの…特に術式という言葉を使うだろうか?それもかなり饒舌だった。湯水のように言葉が出てきた気がする。
そういえば、色々やっている、とも言っていたような…もしかしたらよほど勉強したのに、やっぱり使えなくて、という感じなのかもしれない。
その線があるから迂闊に踏み込めなくなった。
「いいえ、なんだかあなたはとても魔術にお詳しいような気がします」
そういって、お茶を濁す。別に彼女が魔術を使えようが使えまいが私としてはなんでもない事である。
変な勘繰りはやめて原稿に再び視線を戻すと、作業に取り掛かった。
■四十万 静歌 > 「一応学んでいた事もありますからね。
といっても本を読んで簡単なのをですけど。
後は小説とかで魔法とかよくでてきますから、
そちらで?」
と笑う。
「まぁ、なのでたまに魔術書とかも読みますよ。
読んでるだけで使える気になりますし。
何かの役の立つかもしれないし。」
なんて、素直に話す。
その過程で――使えないといいつつ、
一つの共通した魔術だけは使えたのまではいう必要はないだろうと、
お口にチャックして――
じっと作業を紅茶を飲んで、固唾も呑んで見守りながら。
「見事なものですね。」
と、ぽつりと呟きをもらすだろう。
■サリナ > ああ、私の考えは遠からず当たっていた訳だ。
魔術には得手不得手がある。やはり、難しい人には難しいのだから……
「なるほど……確かに魔術書を読んで、実践する前にそれを使う自分を想像したりはしますね。
読んでて別の魔術に組み合わせるなんてのも考えたりしますし…、魔術とは関係ない自然現象的な事柄も書いてたりしますから…」
カリカリとペンを動かしながら会話をする。
その折、何か聞こえたような…?見事?何に対して?…落とした視線の先、原稿をじっくり見るが、それは見事なものなのだろうか。
なんだかふと、静かになったなと感じた。
■四十万 静歌 > 「――」
息を呑んで見守っている。
本当に見事なものだと思う。
難しい文字列を組み合わせて、
見事に一つの本へと仕立てていく。
その美しい有様を見事といわずしてなんといおうか。
思わず見とれるほどに見事だと思う。
「あ――」
吐息を漏らす。
あ、何かしゃべらないとと思うが、
何をしゃべろう、そうだ――
「元々、自然現象もまた魔術の一つと信じられてきましたからね。
そんな自然現象と組み合わせた魔術とかも美しいと思います。
――なら、呪術と組み合わせる上で、
一番美しいものって何なのでしょうね?」
なんて、そんな疑問を口にする。
■サリナ > 「難しい疑問ですね…呪術というのは極めて不自然な状態を作り出す魔術なんです。
だから、それで作り出された美しさというのはきっと不自然な美しさかもしれません。まるで想像を絵に描いたように…」
何か今すぐに作れそうな気がして、ペンを置いた。そしてその答えはすぐに見つかった。
「…が、あえて組み合わせて作れと言われれば、私ならこういうものを作りますね」
おもむろに先程貰った造花を手に取り…少し、術式を頭の中で思い描くとそれを詠唱した。
「…」
きっと、小さすぎて聞こえない程の声。その詠唱が終わると、白い造花に霜が降りる。
透明で、小さな氷の粒が造花の表面に無数に張り付き、光を反射して輝きの彩りが加わった。
簡潔に言えば、造花に氷を付与したのだ。これが私の言う呪術である。
「呪術と花…というのは些か安直ですか?」
その造花を差し出した。それは冷たい冷気を放っていて、触ってもすぐには溶けないだろう。
■四十万 静歌 > 「――」
じっと、一挙手一動を真剣に見守り、
何をするのだろうと期待に満ちた瞳で見続ける。
――その眼に映ったのは、
氷によって輝く白い花。
差し出されて受け取り触れると感じられる冷気が、
心地よく、何かそれは――
とても素晴らしいものに思えた。
言葉に出来ないほどに素敵なものに。
だから――
「すっ……ごいです……!」
感極まって声を出す。
造花を再び返しながら。
「凄いですよ……!
こんな凄くて素敵な事ができるなんて、
やっぱり凄いんですね……!
安直なんてとんでもない、
不自然な美しさなんてとんでもない。
自然と不自然が混ざった、
とても美しい何かだと思います……!
想像を絵に描いたように、
想像を現実にする……っていうか……
自分の語彙のなさが悔しいです……っ!」
眼はきらきらと輝き、
尊敬の眼差しで見つめながら。
「えっと……」
そういえば自己紹介をしていない。
「すみません、自己紹介を忘れてました。
二年の四十万 静歌(しじま しずか)と申します……!
こんな凄い出来事に出会えるなんて、
その、本当にありがとうございます!」
そして勢いよく頭を下げるだろう
■サリナ > 「お、」
落ち着いて、と言い切れなかった。それほどまでに目の前の彼女の心は動いている。
躍動と言ってもいい。割って入る隙がなかった。気圧されつつ再び私の手元に造花が戻ってくる。
それを受け取れば、何か妙な眼差しで見られてるのに気付いてちょっと眼を逸らした。なんだか恥ずかしい…
「私は一年のサリナ・イバルラ・アマビスカと申します。
なんというか、こんなに喜んで頂けるとは思いませんでした…私の方こそ、よろしくお願いします四十万さん」
大仰に頭を下げられるが、こちらの方は遠慮がちに礼をする。
そういえば、想像を現実にするだなんて言ってたが、中々面白い表現だな…と思った。
普段から魔術に近しいと、そう感じる事はない故に…
■四十万 静歌 > 「あ。」
そして頭を上げて様子をみて、
頬をあからめて頬をかいて照れくさそうに――
「す、すみません、思わず感極まってしまって。
はい。サリナさんですね。
どうぞよろしくお願いします。」
なんてにっこり笑って――
「本をかけて、素敵な魔術を使えるなんて、
こう感動的で――
人を幸せにする魔法ってきっとこういう事をいうんでしょうね。
なんて思ったら思わず……」
あはは、と笑ってすみませんと、今度は軽く頭を下げるだろう