2016/05/28 のログ
■蕎麦屋 > 「なにせ来たばかりで何もしてませんからねぇ。――と。」
それにしてもよい。よい食べっぷりで見ている方としても気分が良い。
邪魔をするのも気が引ける、と口を噤み。
蕎麦をすする音が暫く――。
「そこまで喜んでもらえると、蕎麦屋冥利に尽きますね。ふふ。
いいえ、もう美味しい、の一言で十分ですよ。――お代わりは要ります?」
あ、お代はその食べっぷりで。と付け加える。
気分よく食べてもらえる分にはお代など頂かなくてもいいのです。そんな心意気。
朴訥な言い回しでいい子ですね、とか内心思ったりもするが。
まさか語彙力まで胃の中に行ってしまうほど、とは思ってない。
■鞍吹 朔 > 「(ずるずる)……まあ、面倒事に巻き込まれないように。
(ずるずる)先程も言いましたがここは治安が悪いですし、
この学園が学園なのでどんなビックリ人間が飛び出してくるかわかりませんよ。」
もすもすと掻揚を頬張りながら注意を促す。
サクサクもいいが汁を吸ってトロトロになったのもいいなぁ、と思っていたところである。
「……いいんですか。ありがとうございます。」
普段の執拗なほどの思慮深さもどこへやら、おかわりにさえ与る始末である。
たぶん今なら毒薬混ぜれば毒殺できるだろう。それくらい油断しきっている。
ご案内:「落第街大通り」に金良 楽さんが現れました。
■蕎麦屋 > 「ご心配はありがたく。でも大丈夫――だと思います。
昔取った杵柄でもありますし、屋台ですので、面倒ごとに巻き込まれる前に場所を移しますよ。」
ビックリ人間、という意味では存在のあやふやな学生やら、やたらとハイテクな義手の女性やら。
そうでもなくてもいろいろな人間――人間以外も含めて、ひしめく場所だというのは数日で理解している。
そういっている間に新しい器を用意して、提供の準備を――
「はい、遠慮なく。」
ただの蕎麦屋が毒を入れるわけもなく。
先ほどと寸分変わらない、二杯目が提供される。
■金良 楽 > 「弱ったなぁ」
後頭部を掻きながら路地を歩く長身の男と、男に就いて歩くトラ猫
島をあちらこちらフラフラと周り歩いている彼は、いつの間にか落第街に迷いこんでしまったようだ
「ここら辺あんまり治安が良くないから、早い所抜け出さないと」
一応ナイフなら持っているが、喧嘩で使える訳でも無い
と、悩んでいると、何やらいい香りがする
相棒のトラ猫、ピートがその匂いの元へと足早に走っていく
「あ、おいピート、待ってくれよ」
■鞍吹 朔 > 「……ですか。(ずずずず)……ふぅ。ご馳走様でした。
ではおかわり頂きます。」
遠慮なかった。昔とった杵柄、という単語には若干眉根を上げたものの、それ以上に追求はしなかった。
言われてみれば、何やら妙な気配はする。基本的に一般人な朔には感じ取るような能力があるわけではないが、
それでも分かるときは分かるものだ。
「ずるるるる……」
即座に二杯目へ。今度は天かすではなく、七味をささっとふりかけた。
■蕎麦屋 > 「はい、どうぞ――本当にいい食べっぷりで、ほれぼれしますね、ふふ。」
二杯目もまったく変わらない様子で啜るのは、うん、やはり冥利に尽きる。
僅かに笑みさえ浮かべつつ、食べる様子を見つめて。
と。――不意の僅かな何かの気配の方へ、つい、と視線を移す。おかげで僅かな表情の変化には気付かなかった。
「あら――?」
とてとてと寄ってくる気配は人間にしては酷く小さい。
人よりも、更に下を向けば、その気配の主も見えるだろうか。
■鞍吹 朔 > 「そうですか?美味しいからだと思いますが……(ずるる)
……猫、ですね。(ずるずる)」
猫を見かけても食事は止めない。無心ですすっている。
「……野良でしょうか?
と思ったら、飼い主が居るみたいですね。ほら、あそこ。」
蕎麦を啜りながら、箸で猫を追いかける男を指す。若干失礼である。
■金良 楽 > 先に屋台にたどり着いたのは、やはり猫のピートであった
蕎麦屋を見上げるようにして行儀よく座るトラ猫は
「にゃあ」
と、挨拶でもするかのように一つだけ鳴いた
「はぁ…、やっと追い付いた…、って、ん?」
少し遅れてやってきた飼い主、ふと見れば屋台がある
「この匂いは……麺つゆかな?」
■蕎麦屋 > 「はい、いらっしゃい。小さいお客さんですこと。
と――飼い主さんもいらっしゃいましたね。」
礼儀正しくなく猫にも挨拶は、返しておく。
ほどなく現れた飼い主にも――
「毎度。蕎麦屋ですけれど、食べて行かれます?」
屋台の張り紙「掛け100円 ぷらす桜海老と玉葱の掻揚50円」を指し示す。
「見ての通り怪しいですからねぇ、食べてもらうのがまず一苦労でしたり。」
美味しいから当然、と言われて悪い気はしない。
とはいえ、そこまで行きつくのには苦労します、と蕎麦をすする少女には返した。
■鞍吹 朔 > 「……まあ、商売してるところにも問題があると思いますけど。
治安がいい場所では商売できなくて、治安が悪いところだと怪しまれる。そういうものなんですね。」
もったいない、と心底思いつつ蕎麦汁を啜る。
出汁がしっかりしており、かつ飲みやすい程度の濃さだ。
塩分多めな料理が持て囃される昨今、出汁で味がしっかりしているのはありがたい。
■蕎麦屋 > 「場所は――その、異邦人街とかも行ってみたのですけど。
ここ以上にやっぱり浮きますから……。」
単に行く場所が悪い、という可能性もある。むしろそちらの可能性の方が高い。
言いながら、新しい器を二つ。片方にはとりあえず――鰹節でいいかしら。適当に盛って、小さなお客さんの前に。
■金良 楽 > 「蕎麦……ですか、じゃあ、頂きます」
ペコリと頭を下げ、椅子に座る
ふわりと漂う出汁の香りが、食欲をそそる
「できればピートにも……
ああ、この猫の事なんですけどね、何かやれますかね?」
旅の相棒ピートも、飯を食わねばならぬ
■蕎麦屋 > 「はい、毎度――少々お待ち下さいね……猫さんもお客ですから。そこはご心配なく。」
くすり、と笑いながら。
用意したもう片方の器に湯を浴びせ、茹でた蕎麦を盛り――
「はい、お待ちどうさま。」
桜海老と玉葱のかき揚げ蕎麦。湯気の立つ、食欲誘う香りの一杯を目の前へ。
■鞍吹 朔 > 「………。猫…。」
何か猫に思うところでもあるのか、時折チラチラとそちらを見ている。
とはいえ、それほど露骨に見ているわけではないが。
「………。掻揚もう一つください。
あとここってお米ありますか?」
それにしてもどれだけ食うつもりなのか。
■蕎麦屋 > 「かき揚げはまだありますよ?――ふむ。
ちょっと待ってくださいねー……」
一応はかけ蕎麦一本であるので普段ならない、と突っぱねるところではある。
だがこれだけおいしく食べてもらったならば少々のサービスもしようか、というところ。
また新しく器を取り出せば――
「んー……タレはいいとして。彩りが……」
ほかほかのご飯を盛った上に、刻み海苔を敷き詰める。
その上にかき揚げを一つ、乗せて。少し濃い目のつゆを掛け――最後に刻み葱を散らす。
「はい、どうぞ。あり合わせですけれど。」
とん、と差し出した器の中は、それなりに見栄えもするかき揚げ丼が出来ていた。
■金良 楽 > 「それでは……」
割り箸を割り、麺を啜る。
程なくして。
「ンまいなぁ、この蕎麦」
次にかき揚げ、まだあまり汁を吸っていないためサクサクである
「ンム、おいひ」
顔をほころばせながら、蕎麦を食べる
■鞍吹 朔 > 「ありがとうございます。……この掻揚、ご飯とも相性が良さそうだと思って。
ん、美味しい。」
もさもさと〆を食べ始める。蕎麦二杯食べといて〆というのも変だが。
濃い目のタレが米に絡み、半分啜るような形で食えるのが嬉しい。
無論、サクサクとした掻揚の食感も殺さない。
正直、これ一つでメニューにしないのだろうか、と感じるほどだった。
「……ふぅ、ご馳走様でした。本当に美味しかったです。
……お代、このかき揚げ丼って幾らになりますかね。」
■蕎麦屋 > 「ん――美味しいならよかったです、ふふ。」
それなりに手を掛けて拵えた蕎麦を褒められて悪い気がするはずもない。
ずるずると食べ勧める新しい客の様子には目を細め――
「あ、そういえば――」
聞かれて初めて、価格を決めていなかった、と。
当たり前ではあるが、その場で適当に拵えた一品ではあることだし。
あんまり高いとぼったくりになる。さて。
「じゃあ、かき揚げのお代、50円いただきましょうか。」
適当にもほどがある。
■鞍吹 朔 > 「……適当にも程があるでしょう。
とりあえず2杯分の300円と……かき揚げ丼は200円で。合計500円……それでも安すぎますね。」
本当にこんな値段設定でやっていけるのか、と不安になる。
利潤どころか原価すら下方にぶっちぎった値段だと思うのだが……
それを言うのは詮ないことである。
「……改めて、ご馳走様でした。
また会ったら、その時は。」
そう言って、お代の500円硬貨を渡す。
久々に、すっきりした凱旋であった。
ご案内:「落第街大通り」から鞍吹 朔さんが去りました。
■蕎麦屋 > 「あら、こんなに。別によろしいですのに。」
差し出された硬貨に、わずかに苦笑を浮かべたけれど。
なんとなく、心配されたであろうことは理解できた。
「ではありがたく――はい、よろしければ今後ともご贔屓に――」
突き返すのも風情がない。ここはありがたく受け取ることにして。
客が帰るのに、小さく頭を垂れて、見送った。
■蕎麦屋 > 「……あ、お代わりはいかがです?」
ふと、食べる様子に声を掛けた。
視線は蕎麦を食う客と、足元の小さな客との間を行ったり来たり。
足元の小さなお客に出した鰹節は――気に入ってもらえただろうか?
■金良 楽 > 「え?いいんですか?
じゃ、お言葉に甘えて……」
スッと器を差し出す
ピートはすっかり食べ終わり、満足げな顔をしている
■蕎麦屋 > 「はい、構いませんよ、お待ちになってくださいね。」
返された器は、水の張った桶の中へ。
綺麗な器を取り出して、湯で温める間に、蕎麦をさっと茹でる。
盛りつけ、汁を張り――刻み葱とかき揚げを添える。
「お待たせしました、と。
猫さんもお代わりはいりますかしら。」
ことり、と二杯目を差し出して。
満足げなお客にも、一応――聞いてみる。どういう反応をするだろう。
■金良 楽 > 猫のピートは行儀よく「にゃん」とだけ鳴き、皿を鼻で押した
これで十分、と言う事らしい。
「もういいのか?
……ってそう言えば、さっき女の子に色々もらっていたね」
猫のピートは、可愛らしい物が好きな女学生から
よく食べ物を貰っている、先ほどもチキンの欠片などを与えられていたのだ
「かわいいってのは得だね」
汁を飲みながら、少しうらやましげにつぶやいた
■蕎麦屋 > 「あら、そうですか。満足ならよいのですけど。」
器用に器を返してくるとは、中々に賢い。
返された器を拾い上げれば、先ほどのお客の分も合わせて同じように水桶の中。
「これも人徳……いえ、猫徳でしょうかねぇ……いやはや、うらやましい限りで」
くすり、と笑む。
行儀よく座る猫が――何処か誇らしげなのは気のせいではないだろう。
■金良 楽 > 等のピートは満足したのか、大きな欠伸を一つ
その後は主人の足元でごろりと横になった
「それにしても、美味しいなぁ
もっと表に店を出しても良さそうですけど」
この味なら、きっと客足が途絶える事もないだろう
■蕎麦屋 > 「まぁ、色々と事情がございまして。という所です。
落ち着ける場所があればそれでもよろしいのですけどね。」
視線は少しだけ猫を追いかけ――おいしいと言われればわずかにほほ笑む。
とはいえしばらくは屋台をやめるつもりもなさそう。
■金良 楽 > 「落ちつける場所、かぁ……
まぁそこらへんの話は、僕も言えたこっちゃないんだけど」
あちらこちらブラブラと歩きまわってばかりのこの男ほど
そんな説教をする資格がない男はいないだろう
「っと、……ごちそうさまでした」
■蕎麦屋 > 「屋台なんてものは流れ物ですので。あまりお構いなく。」
なるほど、似たようにふらふらしてる方なら心配もされようものですか。
そういう納得をしながら――
「はい、お粗末様でした。またのご来店をお待ちしておきますね?」
■金良 楽 > 「ええ、きっと来させていただきます……さぁピート、そろそろ行こうか」
足元で眠りこけていた相棒を起こすと、痩せて背の高い男は去っていった
ご案内:「落第街大通り」から金良 楽さんが去りました。
■蕎麦屋 > 「はい、ありがとうございましたー……」
暫くは客を見送って。
「……さてと。」
器は水桶につけて。ふたたびの静寂。
ご案内:「落第街大通り」に黒星さんが現れました。
■黒星 > 夜中もいい頃合に、珍しい屋台があった。
だから入ってみた。
ひょいと中を覗いて
「ぁー、まだやってるかネ?」
どんな店主がやってるものかと。
■蕎麦屋 > そろそろ店をたたもうか。そんな思考に至ったころ――
「んー……あら。いらっしゃい。
はい、まだやっておりますよ。――蕎麦しかございませんけど。」
客が来たなら話は別。
蕎麦屋なので当たり前の事を答えつつ。
夜中に非常に背の高い女の一人屋台はどういう風に見えたものか。
■黒星 > あれ、店主は女だった。
しかもなんだか、えらい背が高い。自分より20センチくらい?
更に東洋系でもなかった。
なんだこれ?なんかの仕込みか?
ちょっと予想と違いすぎたので、何度も瞬きをしてから。
「そりゃ蕎麦なんだから蕎麦がありゃいいんじゃないかネ。
やってるなら一杯貰いたいヨ。」
営業中っぽいんで、そんじゃあ、と座りながら周りを見渡す。
なんかの罠でもなさそうなんだが……
■蕎麦屋 > 怪訝な顔。そういう反応になりますよね。
「はい、では少々お待ちを――」
器を取り出す、蕎麦を茹でる。
温めた器に蕎麦を盛り、つゆを張る。
刻み葱とかき揚げを張ったつゆの上にそっと添わせる。
「はい、お待たせしました。
蕎麦屋ですからね、蕎麦でいいと思います、私も。」
差し出した器は、仕込みも何もない、見た目は普通の蕎麦。
素材と製法にはこだわっているけれども、仕込みといえばその程度。
ただの蕎麦屋に罠とか期待されてもでてくるわけもなく。
ご案内:「落第街大通り」に水月エニィさんが現れました。
■水月エニィ > 「こんな所が……」
気分転換に歓楽街を散歩していたら、鼻をくすぐる良い匂い。
ふらりふらいと引き寄せられて、席に着きました。
「百円……」
実際安い、トッピングを追加してもこの値段。
採算がとれているのだろうかとも疑問に覚えつつ、注文を試みる。
「トッピング付きでかけ蕎麦一つ」
■黒星 > 「はい、ありがとうネ。」
まだ警戒というか、ぎこちなく丼を受け取って手元に。
なんだろうこれ、普通の蕎麦屋なんだろうか?
えっらい安いけどいいんだろうか?
それともやはりナニカの実験か……あれか、素材か!
色々と考えつつも、割り箸を咥えて パキン と割って。
サングラス越しにも分かる赤い目で、丼と店主を見比べながら慎重に慎重に 啜る。
ずずー。
もぐもぐ、ごくん。
おお。
「ぉ、美味いじゃないかヨ。」
■蕎麦屋 > 「はい、いらっしゃい――」
こんな夜半に女性客は珍し――くもない。
先ほども居たばかりだし。
注文を受けて器を用意。蕎麦を茹でてる間に器に湯を浴びせ。
盛る。つゆを張る。手早く葱とかき揚げを添える――
「はい、お待たせしました。」
ことり。出された器はやっぱり普通の蕎麦。
■蕎麦屋 > 「……いえ、疑うのも分りますけどね?
普通の蕎麦でございますよ。何か仕込んだり混ぜ込んだりはしてはおりません。
ええ、食べ物にそのような狼藉、出来かねますゆえに。」
流石に慎重すぎるように思います。
傍から見てても豪く疑ってかかられてたようにしか見えない。
「はい、ありがとうございます。蕎麦屋ですので。」
旨い蕎麦を出すのは蕎麦屋の義務だろう。
■黒星 > 「うん、まぁそうなんだけどネ?
場所もあってねぇ…… うん。 ぉっと。」
疑ったのは申し訳ない とはあんまり思わない。
そりゃだって怪しいよ!!
でも美味しかったんで、ズルズルいきます、もぐもぐ。
と、客が来たんで座りやすいようにちょっと端に避けた。
ちらっと見てから、食べながら避けた。
「とりあえず、お代わりだヨ。
あと、いつもここにいたっけ、この屋台?」
■蕎麦屋 > 「初めてではありませんので、気には致しませんけれど。
――ああ、いつも場所は変えております。偶々、今日は此処、というだけですね。」
場所を定めるにはまだ早い。
こういう場所だからこそ、縄張りやらに煩い集団、というのは居るもので。
話しながらも器を準備。動作は淀むことなく、さらりと二杯目をゆで上げる。
「はい、どうぞ――。
あら、お客さん、知り合いですか。」
空の器を下げ、代わりに湯気の立つ器を前に。
ちらりと見たのは目ざとく。草臥れた白衣と制服の子。二人が知り合いとはちょっと思えないが。
■水月エニィ > 「悪いわね。」
席を空けて貰えば、軽い会釈と共に礼を返す。
そして――
「ほぁ……」
暖かそうな蕎麦の湯気。
"つゆ"を吸った、てんぷらとは違う味わいのかきあげ。
味と香りに透き通った食べやすさを与え濃い味を整える葱。
一目見ただけで美味しそうだとわかるそれ。
重い授業で疲れていたのでさっぱりしたものが欲しかった、と言う事も相まって非常に食欲をそそる。
「いただきます。」
まずそのまま一口。蕎麦の口当たりはよく、コシもある。
間違っても溶けるような茹ですぎ放置しすぎのドロドロに溶けた蕎麦とは比べ物にならない。
そして絡むつゆ、これがまた美味しい。
煮詰めすぎたようなぼやけたような味ではなく……醤油と出汁の味だろうか?
とにかく濃いめのスープが蕎麦に絡んで蕎麦と言うキャンパスに美味の色を塗る。
かきあげはどうだ。
桜エビの海鮮めいた濃い"うま味"に食べごたえを潤してくれる玉ねぎ。
衣もつゆとマッチしているし、脂っこすぎもしなければ濃すぎもしない。
食感と味が単調になりがちな蕎麦には良いアクセントだ。
とは言え口の中がくどくなる。その為の葱だろうか。
多めに蕎麦と混ぜて口に運べば、口の中に広がる薬味の爽やかさ。
丁度良い口直しだ。
「美味しいわ……」
要するに、美味い。
弱った五臓六腑と精神に染みわたる、おいしい蕎麦の味。
■黒星 > 「なるほどネ、昨日は居なかったからネ、確かに。
あぁ、どうもだヨ。
ん、いやあ…………知らん顔だネ。
授業でも見たことないんじゃないかネ。」
多分知らない。
コッチが顔を覚えてないだけの可能性も無くは無いが。
多分……知らないよね?多分。
店主に首を振ってから、ずずずーっと蕎麦を食すのに戻る。
勢い良く啜りこみ、長い犬歯の生えた歯で掻き揚げをゴリゴリ食べる。
だからお代わりする。
「隣の子も随分、美味しそうだヨ。
店主はどこで料理習ってきたんだネ?」
■水月エニィ > 五臓六腑に王手を仕る蕎麦の味。
そのままがっついて食べてみせ、つゆも飲む。
しまった、つゆを飲みすぎて喉が渇いてしまった。
意識から抜けていたが、お冷かお茶はあっただろうかと視線をめぐら した辺りで視線に気づく。
「……どうかしたのかしら。つゆが飛び散ったのなら謝るのだけど――」
会話は耳に入っておらず、視線だけが合わさった。
何処か神妙に、二人を見ている。
■蕎麦屋 > 「あら、お知り合いではありませんか、これは失礼」
なんとなく、といった感じだった。別段、他意はない。
「あ、水を忘れてましたね、どうぞ――。
おいしいと思っていただけるなら幸い。お代わりはいかがです?」
二人共からおいしい、と言われれば若干誇らしげに胸を張る。
おいしいと言われて嫌がる蕎麦屋は居ない。
貼りながらも、コップに冷たい水を注いで、それぞれの前に差し出す―――
■蕎麦屋 > 「……どこで、ですか。
いえねー、昔、立ち喰い蕎麦に感動しまして。
その足でそのまま修行の旅、ですよ。――どこ、って明確にあるわけではないですね、あちこちです。」
何処で習ったかー、と問われればそんなものである。
特定の師が居るわけでもなく。あちらこちらの技を半ば独学で盗んだ。そんな感じ。
■黒星 > 「いんや、全然何もありゃせんネ。
こんな時間に子供がウロつくには良くない場所だヨってくらいかネ。
まぁ、私は風紀の顧問でもないし、好きにすりゃいいけどネ、カカッ。」
少しの間だけ、ニヤニヤした笑いと視線を水月に向けて、すぐに丼の中身へと興味が戻る。
3杯目が無くなった。
お冷を置いてくれる店主の指を見て 血でも混ぜてくれればいいのにな とちょっとだけ思った、ちょっとだけ。
「それじゃお代わり貰うヨ。
立ち食い蕎麦で感動ねぇ……外人にゃ珍しいもんだったかネ。」
■水月エニィ >
んく、んく、とん。
勢いよく水を飲み干す。
それこそ犬のような、身だしなみとは裏腹ながっつき具合。
「ぷはぁ――そう。
ちょっと遊びすぎて遅くなったのは否定しないわ。
そんな気分だったのよ。」
さて、どうしようか。
夜中の食べ過ぎは宜しくない。少なくとも太ると思っている。
故に――
「――100円で、麺半分で。」
ザ・控えめ。
■蕎麦屋 > 「嗚呼――」
視線の意味になるほど、と。
確かに子供が一人で歩き回るには少々遅い時間、似つかわしくない場所である。
知り合いというわけでもなければ、別によからぬ意味でもなかったようだ。
「夜遊びも宜しいですけれど、ほどほどにしておきませんと?
――いえ、これは余計なお世話ですか。」
老婆心――のようなものではあるが、客にする忠告でもない。
喋りつつも、お代わりを請われれば、さくりと手慣れた様子で作ってみせる。
一杯は麺半分、もう一杯は――なら残った麺も合わせて1.5人前分。
「はいどうぞ――。
珍しいのもありますけれど。美味しいものは万国共通でございますよ。」
それぞれの前に、空いた器の代わりに蕎麦の盛られた器を差し出す。
いい飲みっぷりだったコップには再びなみなみと水を注いで。
■黒星 > 「まぁ面白おかしい話にならなきゃなんでも、いいんじゃないかネ。
美味いモノなら確かにネ……
さて、それじゃあ私はご馳走様にするヨ。」
ずずー ごっごっご と、綺麗に丼を空にすると、ポケットから小銭をジャラジャラ出して屋台の上に。
席を立って。
「また見かけたらお邪魔するヨ、美味かったからネ。」
■水月エニィ > 「分かっているわよ。……そばを食べたらちゃんと帰るから。」
老婆心は素直に受け取る。
250円分の代金を先に支払っておきつつ、改めてそばを口にする。
言葉を受けて我に返り、そうして大分落ち着いた。
今度はゆっくりと味わおう。
もぐもぐ、ずずー。
「当たり前の話ならともかく、面白おかしな話になんてならないわよ。」
ゆっくり食べているつもりだが、半分に減らしてもらった事と手が止まらない事とで どんどん減る。
■蕎麦屋 > 「此処で面白おかしいお話にはならないかと思いますけれど――。
はい、毎度。」
別段趣味で、原価など度外視とはいっても受け取る物は受け取るのが商売というもの。――なんだかんだでサービスするのもよくあるけれど。
ジャラジャラと置かれた小銭はきっちりと受け取って。
「またのお越しをお待ちしております」
出ていく背中に声をかけて、見送った。
■黒星 > 「お邪魔しましたヨ、カカッ。」
懐から、明らかに入るスペースの無い真っ白い帽子を取り出して、2人に振る。
暖簾を潜って外へと出て行く。
「それじゃまたいつかネ。」
ご案内:「落第街大通り」から黒星さんが去りました。
■蕎麦屋 > 「はい――ちゃんと帰るのなら心配もないでしょう。」
何やら随分とやさぐれた様子もあるけれど、素直に受け取られればそれでいい。
水は減れば注ぎ足して。
「あまり急いで食べなくても宜しいですよ……?」
食べっぷりはうれしいのだけれど。
■水月エニィ > 「はふぅ」
食べ終えれば器を置く。
満足そうにお腹をさすった。
……食べられるのなら食べたいし、食べてしまうのだ。
「癖みたいなものなの。飢えが体に染みついている感じかしら。」
■蕎麦屋 > 「飢えはつらいですけれど――いくらでもございますので。
落ち着いて食べてもらえれば幸いですよ?」
飢えが染みつく、とは中々の環境だったようですけれど。
ならばなおさら、食の楽しみは知ってもらわないと。
「はい、お粗末様でした。
――さて、帰るというのでしたら途中まで送りましょうか?」
そろそろ店も看板――というよりもこれ以上の客は材料が心もとない。
ならまぁ、この時間まで居る子供の見送りも、仕事の内。
■水月エニィ > 「そうね。今はそうじゃない。分かっているわ。」
申し出には少し驚いたのだろう。戸惑いながらも、頷いて求めてみせた。
「――ええと、いいのかしら。営業とか…いいのなら、ぜひともお願いしたいけれど。」
営業するつもりならば、と、念のために問う。
……ふと屋台を改めれば、何処か年季を感じるし、不思議と暖かい感じがする。
……少し違う好きな雰囲気。なんとなく、そう想起した。
■蕎麦屋 > 「はい。わかってるなら良いですけれど。
飢えたなら探してください。その時はご馳走させていただきますよ?」
くすりと。
「はい、問題はありません。
だいぶん長いこと開けておりましたし。そろそろ引き上げ時でしょう。」
屋台としては新しい。だが、構成する素材はどれもが酷く年季の入ったもの。
結果として少々古臭くはなっているわけで。
言いながら、とりあえずは店じまいの準備を。
■水月エニィ > 「次は二杯ぐらい食べようかしら。」
おどけを交ぜてそう言った後、席を立つ。あるいは離れる。
そうしてから忘れ物を確認し、移動の体勢を整える。
「女子寮に帰る予定だけど……いける所までで問題ないから。」
店主にも都合があるだろうから、と、一言告げる。
■蕎麦屋 > 「二杯と言わず何杯でもどうぞ?」
食べてもらう分には――残さないのであれば何杯であろうとも。問題はない。
避けてもらったのを確認して、屋台の机と椅子もたたんで。
「女子寮――というのがどこにあるかは存じませんけれど。
では、ほどほどにお付き合いいたしましょうか。」
よいせっと、屋台を担ぐ。決して軽いものではないが手慣れたもの。
この時間に遊んでる?子であるわけで――結局最後までついていくのだけど。
■水月エニィ > 「それじゃあ、こっちよ――」
そう言って、帰り道へ向かって先導する形で歩く。
……結局最後までついて来てくれた蕎麦屋さんにばつが悪そうに、礼を述べたりすることになったとか。
ご案内:「落第街大通り」から水月エニィさんが去りました。
ご案内:「落第街大通り」から蕎麦屋さんが去りました。