2015/06/14 のログ
ジーク > 息を吐き、剣の腹に拳を叩きつけ、一動作でこれを捌く。
再度、片腕の剣撃を2度交差する軌跡で放って距離を取る。

「聖なるかな・・・。聞いておこうかい、お前さん、目的はなんだ?」

魔王バラル >  受け止められた剣を引き、再度の手を打つ。
 金属同士がぶつかりあうような、剣戟が響いた。
 

「――常世島の征服。」

 闇が三本の礫を形成する。
 それはさながら三叉槍<トライデント>の如く、三方から青年を襲う。

 前方、左方、右方。速度も、上等。

ジーク > 聖なるかな。再び唱え。前に出る。礫をただ、弾き落として。
「はン、そんなに兎さんが好きかい?」

魔王バラル > 「大好きよ。」

 術理で叩き落としたその間隙、

 その刻を狙い澄ましたかの如き眼を見せ、右手の闇色の剣を以って鋭鋒の突きを放つ。
 弾く飛ぶかわすなら兎も角、一枚程度の盾ならば、減らしてしまうだろう。

ジーク > 刺突に対し交差するよう剣の腹を当て、渡るように刃を進ませながら、
左足を振りぬいて少女の腿を狙う。

「冗談じゃねえ。こいつも言っておくぜ。そんなことはさせない」
力強く鈴を鳴らすような音と共に、男の纏う加護が一段厚くなる

「そんなに、テストの成績が悪かったかい」

魔王バラル >  
「その盾は、<アバドン>でも持ってこないと割れそうにないわね。
 それとも、ドレッドノート級の火力かしら。」

 太腿を狙う蹴り。
 ほんのすこし軸をずらし、青年の足首を太腿で受け止め、踏み込み直す。
 闇色の、魔法の剣による鋭鋒の突きは聖なる盾に防がれた。

 攻防が終えれば、ステップを踏んで立ち位置を直す。
 路地裏に差し込む月光が、両者を照らす。
 
「テストするのは私よ。」

 これはどうかしら、と、彼女の周りで瓦礫が浮く。
 号令を掛ければさながらトランプ兵かポルターガイストの嵐の如し。青年へ瓦礫の飛礫を発射した。

ジーク > 「勘弁してくれよ」

縷々たる錬武、その冴えは、飛礫の悉くを迎えつ。
「テストって奴とローフィッシュ、後お化けは苦手なんだ俺。
奇天烈な連中ばかりだが、皆まあまあ楽しくやってるぜ。
お前さんが好きにできると思うか?日が暮れちまうぜ。こんな目眩まししか、持ってないならよ!」

2条、男の左右から伸びる光の鎖。少女に向かって跳ねる

魔王バラル > 「遊びには美学を持っているの。
 圧倒的な暴力で制圧するなんて、とてもつまらない。それとも――」

 空が明るい。夜だと云うのに。一体何が起きたのだろうか。

 ――簡単だ。境目へと至る門が開いた。
 そこから圧倒的な熱量を持った破滅の光が顔を覗かせ、落第街を昼へと変貌させている。

 魔王の顔が、僅かに歪む。
 
 鎖は魔王を縛る。
 魔王の顔が、歪む。

「マゾヒスティックなのかしら?

 ――少し、興が醒めたわ。8手で私を倒すか、賢く逃げるか、
 マゾヒスティックらしく半殺しに逢うか。どれか選びなさい。」

ジーク > 「聖なるかな
地の恵みに礼賛を
人の育みに謝恩を

天の眩きに祈りを
世の営みに敬いを

聖なるかな聖なるかな
聖なるかな」

神聖詠唱――“加護”とは、人の信仰から汲み上げられる力。
女神とは、偶像化された倫理の欠片。

砕く。その一点に研ぎ澄まされた力が集約し、呼吸を整え、剣撃の構えを取る。
「遊びになど、付き合っていられるか」

魔王バラル >  
7。

夏の日差しを上回る熱が降り注ぐ。
魔王は 様子を 見ている

6。

「余裕のない人。
 でも、剛毅と光と闇を別つその姿は、嫌いではないわ。
 久々に、敵に出会った気分。」

ジーク > 跳躍、

その身は、

天へ飛び、

暴威そのものと化した剣はしかし風を切る他に音も無く、光も放たず、
境界門を砕く、その機能だけをこの世に組み上げる。

魔王バラル >  
5。

 力と加護で固めた翼を境界門から放たれる熱が溶かす。
 天に至る塔を壊すかのように、蝋で固めた翼を溶かす様に。
 不完全な境界門といえ、人の身が即席の門を破壊足らしめる可能性を得るとしたら―

4。
 
 ――それこそ、神の域へと届かせる、"神業"が要る。

ジーク > 3。 

「お」
力がこもる、剣を握る手に

2。

「おおお」
力が集約する、加護を帯びた身に

1。
「おおおおお―――っ!!」
力が点る、見据える瞳に。

0――
キリエ・エレイソン
 《神秘の顕現者》
万物を打倒する、人の技と術理と祈りの3位が神代の領域へ踏み込んだ

魔王バラル >  
 作り込まれた術理が 
 集束された祈りの力が 
 練り上げられた人の技が 

 門を、破壊する。 

 奇跡は此処に体現され、神秘は此処に顕現した。
 
「なっ――!」

 取り繕えない声があがる。
 いくら今の状態といえ、即席と言え、境界を開く門を破壊された。
 それは、驚愕に値する。

「まさか、『アレ』を壊すなんて――何者よ、貴方。」

ジーク > 「ジーク・シュナイダー。転校生だ」

剣先を少女、或いは魔王に向け。ここで笑い顔を見せる
「何度やろうが無駄だぜ。(“もう一度”は無理だけどな)
さーて、お家へ帰って宿題でもやりな。それとも一緒に古典の勉強でもするかい」

魔王バラル > 「その名前。覚えておくわ。」

 睨むように、笑う様に、ジーク・シュナイダー。
 その男を記憶する。それこそ、従者に任せられないと言わんばかりに――

「ふ……ふん。言ってくれるじゃない。何度も出来ると思わない事ね。」

 背を向け、飛び去る。

 後に残るは、28名の男と2名の女。目当ての歌姫は、居ただろうか。

ご案内:「路地裏」から魔王バラルさんが去りました。
ジーク > 「へへっ」
笑いを零し、くたびれた壁に身を預ける。
程なく、慈しみに満ちた歌声を聞きながら目を閉じた

ご案内:「路地裏」からジークさんが去りました。
ご案内:「路地裏」にレイチェルさんが現れました。
レイチェル > 「さて、と……」
路地裏を一人歩く少女が一人。
路地裏と言えば、常世学園の闇が集う場。
少女一人で歩くには、危険過ぎる場所である。
しかし、この少女は風紀委員だ。
それも、荒事担当の。
物怖じせず彼女は路地裏の闇の中を、一人突き進んでいく。

目を閉じ、念じる。
と同時に、レイチェルの視界に現れるのは風紀委員の報告書である。
彼女の右目はレーダー以外にも、こういった情報を閲覧する機能も備わっている。
いちいち端末を持ち歩く必要は無いのだ。

「あの事件以来、大きな事件は起きてねーようだが、それでも見回りは
 しとかねーとな……ロストサインの残党に魔王、魔術師喰い……か。ったく、報告が多すぎる……」

意識一つでその報告書の内容を操作、チェックしながら彼女は一人
路地裏を歩き続ける。

レイチェル > 「こんな所でよぉ、嬢ちゃん~? 一人きりで居るのは良くねぇな~?」
路地裏でへたり込む一人の少女を、数人の男が取り囲んでいる。
その手には、黒光りする拳銃が握りしめられている。
その拳銃の銃口で少女の頬を叩きながら、男の内の一人がそう言った。

「俺たちがきっちり指導してやるからよぉ~、ヘヘヘッ」
もう一人の男が少女の肩をがしり、と掴んで揺さぶっていた。


「……やれやれ、風紀の仕事をするお時間か」
人差し指と中指ですっと撫でるように眼帯に触れると、レイチェルの
目の前に現れ、浮かんでいた文字――報告書の内容は一斉に視界から消える。
レイチェルはつかつか、と男達に向かって一人歩いて行く。

ご案内:「路地裏」にクラスカさんが現れました。
クラスカ > (汁気が多く太陽からも見離れた落第街の湿った小路では、滅多に乾いた靴音は響かない)
(だから人の気配を察知することも一苦労であるし)
(掲示板を騒がせる対象になる事件も頻発する)

(怯える少女を数人のモヒカンが辱しめようとする姿を認め、止むを得ず揉め事に首を突っ込むと決心したところ)
(勇敢な先客が横入りする様を見送った)

(先客の正体は、違法薬物の検挙の際の功労者として一躍有名になった風紀委員)

―レイチェル・ラムレイ。

(ただの無頼漢が束になったところで、実力の差は明白だった)
(背後の電柱に身を潜め、なりゆきを見守ることにする)

ご案内:「路地裏」に矛海 遼さんが現れました。
矛海 遼 > 今日も今日とて【いつも通り】な路地裏。

素業の良く無い者が女子生徒に声を掛けることも珍しくないし、所謂ありふれた光景。

それが実力の差も読めずに遅い、返り討ちに会う事もまた同じ。

そんななか、【いつも】と違うという所は――――周囲一帯に異様な寒気が漂っているという事だろうか。

レイチェル > 「何だてめぇ~? 今ここは使用中なんだよ、さっさとどっか行きな!」
このやり取りを何度繰り返したことか。
既に定かでは無いが、別に気にするようなことでも無かった。

「風紀委員だ、悪いことは言わねぇから、とりあえず銃を降ろしてその生徒を離してやりな。実銃《そいつ》は無闇矢鱈と無抵抗な人間に向けるもんじゃねぇ」
クロークの内に手を滑らせたレイチェルは柳眉を逆立て、そう口にした。

「風紀委員だぁ~? ……てめぇ、偉そうにしやがってよぉ~!」
男達が一斉に銃を取り出す。
貴子にきちんと報告をするよう、釘を刺されたばかりだ。
生徒達の間に実銃が出回っている、と。報告をしておかねばなるまいか。
ふぅ、と溜息をついて、向けられた幾つもの銃口を意にも介さず、レイチェルは少女の方
へ近寄る。

「貴様……なめやがって!」
男達が銃を抜く。
瞬間、放たれる銃弾。
距離にして、数m。
常識的に考えれば、人間など蜂の巣になって終わりだ。

何の力も持たぬ人間ならば。

レイチェル > 凄まじい速度で放たれ、レイチェルの身体を貫く筈だった銃弾は、休息にその速度
を落とす。

ゆっくり、ゆっくりと真っ直ぐ緩やかに進んでいくその幾多もの銃弾を歩いて避けながら、レイチェルはクロークの内から自らのテーザーガンを二挺取り出した。



――時が、再びその刻み方を思い出したかのように動き出す。


確かに銃弾が風紀委員を捉えた。蜂の巣に、してやった。
そう考えていた男達であったが、前に出ていた二人の胸元に銃口が向けられる。

「殺るつもりなら、ここ狙いな。半端な事やってんじゃねぇ――弾くぜ?」

レイチェルの目は据わっている。
「くそっ、貴様……次に会った時覚悟しておくんだな……!
その澄ました面歪ませてやるからなぁ!」

テーザーガンを実銃と勘違いしたのか。
男達は銃を取り落とすと、一目散に逃げていった。

それを見ればレイチェルはテーザーガンをクロークにしまう。
追い討ちをするつもりは無い。
ああいった生徒もまた、風紀委員が守るべき者達に変わりはないのだ。
必要以上に手を加える必要は無い。


「チッ、こっちの台詞だぜ……」
そう言って、へたり込んでしまった少女に微笑みを見せて手を貸し、立たせてやりながら。

路地裏にある別の気配に振り向いた。

矛海 遼 > 異様な寒気は周囲を徐々に路地裏を満たしていく。

それは白い霧のようにも見えるかもしれない。

今、男たちが去って行った今ならば解りやすく、肌や気配で感じるだろう。

クラスカ > (一つの気配の増加を感じる)
(どこかで、遠巻きにある意味での惨劇の様子を観察している者が増えたようだ)
(誰が加害者で誰が被害者であるかは、すぐに知れること)

(殺気にも似た、張りつめた凍りつく空気が強まってゆく様をを肌に感じ、幕の閉じた劇の中へ降りてゆく)

いやあ、お見事でした。
流石は風紀委員のレイチェルさん。

レイチェル > 「あんた、確か……クラスカ。そう、魔術師のクラスカだな。同じ一年生、だったな」
目の前に現れた銀髪の青年を前にして、レイチェルは顎に手をやってそう呟いた。

「褒められるようなことはしてねーぜ、こいつは仕事なんでな。
 見事も何も、これが出来なきゃ仕事にならねぇ」
そう言って、クラスカには肩を竦めて返す。

(しかし、馬鹿に嫌な気配がするぜ……)
クラスカにそんな言葉を投げかけながら、レイチェルは眉をしかめた。

矛海 遼 > 霧の中―――――――複数の足音と人影が走り去っていく音が響いて行く。

追われる物が「1」追う物が「4」と言った所か。

普段ならば、ドジを踏んだ者が複数の人間に追い掛け回される事はここでは珍しいことではない。

そのまま路地裏近くの廃屋へ向かって行くのが見えるだろうか。

クラスカ > ええ、『生活委員会の』クラスカです。一緒に授業を受けたこともありますよ。
(フレンドリーに挨拶を返す)
(レイチェルと同じ風紀委員の佐伯貴子からも、ほどほどの程度の情報が伝わっているだろうと予測はしながら)

結構なお手前で。
風紀委員会といえば生徒の羨望の的、正義の味方ですからね。
最近は入会の希望者が増えてるんじゃないですか?

(笑いながらも、表情を変えたレイチェルの真意を汲む)
(路地裏に漂う空気の変化は、既に如実に感じられる)

どうかしましたか?
(駆け足の音が過ぎてから、「僕は何も気付きませんでした」と顔に出して、そう尋ねてみる)

矛海 遼 > それは単なる偶然か、それとも誘いか。

凍てつく世界は先ほどまでとは違う雰囲気を漏らしている。

―――――――耳を澄ませば小さく、走り去った音の後から何かを斬り裂く音が遅れて響いてくる

ご案内:「路地裏」に霜月 芙蓉さんが現れました。
霜月 芙蓉 > 「あーっ、遅れちゃったー!?」

緊張感漂う路地裏に、その場にそぐわない声がする。

左手には弓、特に矢は持たず、また弓を持つ左腕には風紀委員の腕章をつけた少女。

「こっちの方でお仕事!って予感がしたのにー!」

クラスカ > (緊張感を切り裂いた新たな乱入者は、その声に似合わない、快活な声を響かせていた)

(弓を持っていることは理解できる。しかし弓だけで矢が射れるとは考え辛い)
(左腕の風紀委員の腕章は、少なくとも敵ではなくレイチェルの仲間であると示している)
(警戒の必要は、ゼロか)

(初対面の芙蓉に、手を挙げて「こんにちは」と挨拶する)

レイチェル > 「あ~……そうだったかもしれねぇな、そういや」
記憶の糸を手繰る。確かに、この青年とは同じ授業を受けていた筈だ。
レイチェルからすれば、どこか掴みどころの無いのが印象的だった。

「正義の味方だなんて、そんな大層なもんじゃねぇよ。少なくとも、オレはな。
 気に入らねぇ奴、許せねぇ奴に食って掛かってたら、
いつの間にか『正義の味方』だなんてことにされちまっただけだ」
ふぅ、と溜息をつく。正義の味方を名乗る気はなかったし、そう呼ばれるのも好きでは
なかった。

「……いや、なーんか嫌な気配がしてな。あんたは気づかなかったのか、クラスカ」
そう口にして、腰に手をやる。意外だぜ、と小さく漏らしつつ。




「…………ん? その弓にその顔……あんたが霜月芙蓉か」
顔を合わせたのは初めてだ。
突然現れる弓を持った少女の方をちらりと見やれば、困惑した表情になり。
「すまねぇな、もう仕事は終わっちまった。とりあえずのところは、な」
とりあえず、と言ったのは周囲に張り詰めた空気のせいだろう。

霜月 芙蓉 > 「どうも、こんにちは!」

クラスカに快活に挨拶した後、レイチェルに名前を呼ばれれば、きょとんと首を傾げる。

「あれ、私名乗ったりしたっけ?と言うか、取り敢えず、って?」

質問を繰り出しつつも、いつでも構えれる用意だけはしている。

これでも一応、不穏な空気だけは読み取ってはいるようだ。

レイチェル > 「あんたの兄、霜月零にあんたのお守りを頼まれてる、それだけだ。
オレはレイチェル・ラムレイ。ま、同じ風紀委員だ、よろしくな」
そう言って、腕の風紀委員の腕章を見せる。

矛海 遼 > 其れは抉る音

其れは斬り裂く音

其れは貫く音

最後に響くのは銃声

クラスカ > 「正義の味方」っていうのは、自分から名乗る称号じゃありませんよ。
後世になって、悪と戦う「正しい義の道を歩く人」を讃えて与えられる、言わば勲章なんです。
他の人がレイチェルさんを正義の味方って呼んでくれるなら、その通りなんでしょう。
(笑って答える)

(レイチェルの気持ちも理解できる)
(自分も正義の味方と呼ばれ始めたら、突然の蕁麻疹で毎日保健室登校になりかねない)

いえ、何も。
(気配の理解はできる。が、実態が掴めない)
(何者がどんな目的で、何を始めているのか)
(憶測で物を言って混乱を招くより、とりあえず地蔵に徹し状況把握に努めた方がいいとの判断を下したが)

(いやでも耳に入る鈍い発射音には、反射的に声を上げる)

銃だ。

霜月 芙蓉 > 「あ、お兄ちゃんの知り合い!それに…レイチェル・ラムレイさんって言えば、炎の巨人事件の!」

きゃー!とテンションが上がる。ここらへんミーハーなのである。

「お兄ちゃんともども、よろしくお願いします!レイチェルさん!」

ぺこ、と頭を下げて……耳を澄ませる。

「……でも、何か音、聞こえますよね。戦場の音」

そう話す目は、今までにない冷静さを秘めている。

レイチェル > 「実際に『正義の味方』だなんて呼ばれてなきゃオレも同じことが言えただろうぜ……」
クラスカにはむす、とじっとりとした目をして。

「おう」
そういう認識のされ方には苦手意識があるらしい。
それには、軽く手を挙げて答えるだけだった。

「厄介事か……? 風紀のお仕事がまた増えそうだぜ」
帰ってシャッワーでも浴びるつもりだったのだが。
やれやれ、と腕を組んで気配を探る。

矛海 遼 > 人が倒れる音、響く銃声、何かを裂く音。

其れが幾重に路地裏へ響き渡って行く。



数刻、音が止むと徐々に、そちらへ向けて足音が一人分、近づいて行く

霜月 芙蓉 > 「斬撃音。刺突音。銃撃音……他にもいくつか」

弓を構える。空引きの状態で、あちこちにす、す、とあちこちに向かって構えている。

矢を持っていない状況で、弓だけで構えているのは少し滑稽かもしれないが……

「……」

本人の目と雰囲気は、真剣そのものだ。

「……!」

そして、足音がすれば……そちらの方向に、弓を構える。

クラスカ > (弓に限らず、遠隔武器を使う人間は、感覚が鋭敏に研ぎ澄まされていると聞く)
(芙蓉も表面の軽さに違わず、同じ類の集中力を持っているようだった)
(「油断のならない子だな」と評価を改め)

(風紀委員が二人も存在する場で目立つ行動を起こす人間は、流石に命知らずが過ぎる)
(例えば脅威とも思わない、判断力を失った本物のジャンキー)
(もしくは、どんな状況下でも自分の安全と優位性を確信している)

(異能や魔術に長ける強者)


来ます。
(気配が三人へ近づくと理解すれば、そう短く告げ警戒を促す)

矛海 遼 > 足音が連れてくるは殺気

連れてくるは血と死の匂い

「――――――――どうにも、今日の私は運が悪い」

現れるは所々痛み、血が滲んだ着物に所々焦げ跡が目立つロングコートを羽織り、頬に血の跡を付け、凍りついたような瞳に無表情の青年。

中には何者か、知っている者もいるのかもしれない。

霜月 芙蓉 > 「……何をしていたのですか?」

構えている弓に、魔力が集い……黒い矢が出現する。

「返答次第では保護します。返答次第では…わかりますね?」

先程の軽薄な少女とは思えない、静かで威圧感すら漂わせながら問い掛ける。

ご案内:「路地裏」に虞淵さんが現れました。
矛海 遼 > 「………待て、ウェイト、待つんだ弓を持った少女。」

やや驚いたような挙動をしながら両手から二刀の刀を投げ捨て、両腕を上げる。

「むしろ風紀委員の方で助かった。
事情を話しやすいからな。」

先ほどと、見た目の雰囲気を大きく覆すように霧が晴れ、寒気も去っている。

レイチェル > 「……あんたは」
見覚えがある。『炎の巨人』事件の際に現場に居合わせた人間だった筈だ。


「そんな殺気立ってどうした、昼寝中に蚊にでも刺されたか」
血塗れの男を前に、クロークの内に手を滑らせる。
そのままの姿勢で、そう口にして相手の様子を窺う。

虞淵 > 「ちょっと奥まったトコに来てみりゃア、賑やかだなァ、オイ」

ふらりと闇に赤い火が踊り、巨躯の男が現れる
赤いのは煙草の火、何人かの姿と…風紀委員の腕章を確認すると満足気に笑みを浮かべ、煙草は吐き捨てる

クラスカ > (背中に氷柱が張り付くことにも似た、皮膚を貫くざらついた感覚。正しく殺気だ)
(吐かれた台詞と状況証拠から、眼前の男が何か人の道を踏み外した行いに手を出したのは明白)
(風紀委員の二人は、義憤に駆られて眼前の―どこか、記憶の中に引き出しがありそうな男に立ち向かうだろう)
(どうするべきか。何が正しい行いか)

(答えは決まっている)

(言葉は発さず、密かに、下げていた鞄の金具に手を掛ける)

霜月 芙蓉 > 「……失礼ながら、この状態で応答させていただきます」

貴方が徒手空拳から発動できる異能を持っている可能性もありますので、と続け、ちら、とレイチェルを見やる。

――どうすべきか?

先達の判断を伺っているようだ。

「……」

そして、巨躯の男。

その男を見つけると、僅かに足を開き、視界に納める。

いざと言う時、即座にそちらに向き直り、射れるように。

矛海 遼 > 「たしか君はレイチェル・ラムレイ」

見知った顔を見て少し安心したのか、先ほどまでの雰囲気はまったくない。

頬に血は付いたまま、相変わらずの無表情だが。

「むしろ事情聴取なら喜んで同行するから武器を捨てて会話をしよう。ところでそこの眼鏡の少年。殺気立った目で見るのは止してくれ。割と恥ずかしい。」

矛海 遼 > 巨漢を見ると一つ、言葉を溢し

「悪いが君の求めている物は無いと思うぞ?」

視線を向ける。

あぁ、本能でわかる。
此奴は【野獣】だ。それも相当な。

虞淵 > 「おぉ、風紀のウジ虫が二匹もいやがる。なんてこったこいつァ良い日だ。退屈が裸足で逃げ出すぜ、なァ」
男は大仰に両手を広げて空を仰ぐ

「……けど毛も生えそろってなさそうなガキには興味ないぜ。
 一丁前に身構えるなよ、弓使い」
警戒姿勢をとった芙蓉に視線を向けて、馬鹿にしたように嘲笑う

クラスカ > (新手、しかしコートの男とは特に繋がりがある様子を見せるわけでもなく)
(ただここに居合わせましたと言いたげな巨漢の狙いは、聞くことも野暮か)
(喧嘩が好きで好きでたまらない、人間のプリミティブな衝動に準じて生きる、最低最悪の人間の顔をしている)

分かりました。とりあえず武器を捨てて無害を示して下さい、『矛海先生』。

(脳の奥底からサルベージした名前を以って、とりあえずコートの男を牽制する)
(右手は既に、鞄の中に伸びている。万が一の防衛に備えて)

霜月 芙蓉 > 「……その発言。風紀委員会への敵対宣言と受け取りますが?」

周囲に知られているらしい矛海を放置し、明確に巨躯の男に弓を向ける。

あやしい動きをすれば、いついつでも矢を放てるように。

矛海 遼 > 「待った少年。武器は今捨てたから、これ以上捨てろと言われれば服を脱ぐか四肢をもがねばならん。」

さも当然とでも言うように、言葉を返す。

このような場だ、警戒されて当然。

虞淵 > 「そうかい?センセー。
 俺の目には退屈凌ぎに良さそうな玩具が転がってるように見えるんだけどな」

男のことを見たことがあったのか、それとも勘か
この学園都市の教師であることを知った物言いだ

「この学園では風紀委員サマをガキ扱いしただけで敵性存在とみなされるらしい
 クカカカ、恐ろしいことだなオイ。権限振り翳して強くなった気でいるタイプか?」
楽しげに、愉しげに腹を抱えて嘲笑う仕草
明らかにこの巨漢は風紀委員を『なんとも』思っていない───

レイチェル > 「驚かせるもんじゃねーぜ、すげぇ顔だったぞ」
クロークの内に手は滑らせたままだ。
矛海遼は追われていた。ならば、まだ追手が来る可能性がある。そして。


「で、あんたは……? 仲良しこよしのお遊戯しに来たって面じゃなさそうだな?」
目の前の眼帯の男。満足気に笑ってはいるが、その内に秘めたものに、レイチェルは顔
をしかめた。
そして、男の次の言葉にふぅ、と溜息をつき。

「ウジ虫とは、こりゃまた良いご挨拶じゃねーか、ゴリラ男」
そう言って、ふっと笑うレイチェル。


「芙蓉、やめとけ。こいつは、そこらのチンピラとは格が違う。
 さっきも言ったが、零に妹をよろしく、と言われてる。分かったら弓を降ろせ」
勇む芙蓉には、片手をひらひらとさせて制す。

クラスカ > おっしゃる通り。
(笑って頷く。前髪から零れる青い瞳の片方は矛海を、もう片方は虞淵を視界に入れて)
服の中に武器を隠してないとも限りません。
体術に優れる人なら、ただの拳も足も人を殺せる武器ですし、そのくらいの弁明じゃ弱いかな。

(矛海の方は教師の体裁がある、ここで大きな動きはしないと考えたい)
(巨漢の方は。話をするだけ無駄なタイプだ)
(開戦の切欠でもあればその拳を振り落ろしてくる)
(交渉に入ってくれるらしいレイチェルに会話を任せて、一旦口を噤む)

霜月 芙蓉 > 「明確な侮辱行為は、敵対発言とみておかしくはないと思いますが」

と、言いはするものの、レイチェルの言を受け、

「……先輩が、そうおっしゃるなら」

黒い矢を消し、弓を降ろす。少し素に近くなったようで、むすっとした顔になり。

「……でも、アイツムカつきます」

ぼそ、とつまらない愚痴を口にした。

矛海 遼 > 「………頭を冷やせ、そこの風紀委員。今君がやるべきことはそれで正しいのか?」

一つ、混沌とした状況に言葉を溢す

「今回ばかりは風紀【こちら】寄りな物でな。その玩具が何か、その返答次第では私はそちらに刃を向けねばならんぞ?」

巨漢に向けて視線を向ける。

レイチェル > 「ムカつく……だ? はっ、風紀委員の素質ありありだぜ、霜月芙蓉。いい鼻持ってんじゃねーか」
目の前の少女の発言に笑いつつ、弓を降ろしたのを見れば満足気に手をクロークへ戻した。

虞淵 > 「───ま、俺の素性なんざはどうでもいいだろ」
再び大仰に肩を竦めてみせる
一々芝居がかった動きをする男である、だが、名乗りもしない

「ゴリラァ?
 ッッハッハッハッハッハッ!!ゴリラとは!!
 面白いヤツだなオマエ。肝も座ってる、『場慣れ』してる匂いがするぜ」
一頻りに大笑いした後、猛獣もかくやという眼光をレイチェルへ向けた

「なんだ、センセーも遊びたいのか?風紀委員と遊べりゃそれでいいかと思ってたんだけどな」

矛海 遼 > 「ところで私は何時までお手上げしていればいいのかな?割と疲れるのでね。
あぁ、どう私を処理するかはレイチェル・ラムレイ君に任せたいのだが」

やや退屈そうな表情をしつつ警戒を強めている

クラスカ > (矛海の言葉の一端が耳を突く)
(どんな意図を含んでいるのか、今は敵ではなくても、今後目を光らせておくには十分な発言)

(「今回ばかりは」―ね)

(普段のあなたは、どんな人間なんですかね、「矛海先生」)

霜月 芙蓉 > 「……」

ぎり、と歯軋りする。

矛海、レイチェル、この二人に制止され、弓を引くことも出来ない。

だが……まさしく、ムカつくのである。

弓をぎゅう、と握りしめ、巨漢を睨み付けて、でも必死の理性で抑え込もうとしている。

レイチェル > 「事情聴取はまた今度でいいぜ、とりあえず武器《もの》拾いな」
遼の言葉にはそう返しておく。別にこの場でこの男をどうこうしよう、などという
気は無かった。

矛海 遼 > 「子供の相手をするのが大人なら――――ごっこ遊びくらいなら吝かではないぞ?」

今日はどうにも運が悪い。事情を話して置きたいところだがそうも行かない。

「宣言しておこう、風紀委員の少女に少年。私は刃を向けられなければ牙を向けることもないし傷つけることも無い。」

だが、と続けて

「今はこれが最善手、そうは思わないか?」

レイチェルの言葉を聞くと共に、足元に転がった刀を地を蹴り、その衝撃で手元に握る

クラスカ > ダメですよ撃っちゃ。
(左手を弓の弦に掲げ、無表情に芙蓉を制する)
(射撃道具に自分を曝すことは良案とは言えないが、こうでもしていなと暴発しそうな危険があった)

(馬鹿にされ続けて面白くない感情には共感できるとして)
(今はまだその時ではないと抑える)

虞淵 > 「そう睨みつけるなよ。
 言ったろ?男も知らなそうなガキに興味はねェんだ」
芙蓉に言葉を吐き捨てつつ、
ゴキゴキと首を鳴らして一歩、一歩。集団に歩み寄っていく

霜月 芙蓉 > 「……!」

近寄ってくれば、ぴく、と反応する。が、弦を抑えられており、構えることも出来ない。

周囲をちらちら、と見る。

――近寄ってくるが、大丈夫なのか。

その判断を、迷っているのだ。

レイチェル > 「まさしく獣の目だな、てめぇ……場慣れしてるのはお互い様、ってとこだろ」
眼帯の男に、やれやれ、と軽く息を吐くレイチェル。
しかしその顔もまた、笑っていた。
それもまた、獣の目だ。闇に光る、獣の。

「どういうつもりか知らねーが、風紀を殴りに来たってのはよーく分かったぜ。
 そっちの風紀委員や生徒には手を出さねぇってんなら……応じてやろうじゃねぇか。
 ちょいとやりあっておかねーと、大人しくならなそうだしな、あんた」
眼帯の男の目をしっかりと見据えた上で、レイチェルは言い放つ。
自分からは動かず、そのまま歩み寄るのをただ見ている。

霜月 芙蓉 > ――そっちの風紀委員や生徒に、手を出さないなら。

それはつまり……自分も守るべき対象となっているという事。

――戦力外である、と言う事。

少なくとも、彼女にはそう思えた。

「せ、先輩っ!私だってやれます!援護射撃くらいなら……!」

目を見開き、まるで縋り付くように言う。自分だってやれるんだ、と。

矛海 遼 > 「あ、私は手を出されない内には入ってないのね。」

軽口を叩きながら握った刀を突如腰元に現れた鞘に納刀する。

「まぁ、その方が解りやすくシンプルだ」

クラスカ > (今は信用しますよ、『矛海先生』)

(距離を詰めてくる虞淵)
(芙蓉を諌め、自分一人で戦う覚悟のレイチェル)
(そして刃を手にした矛海)

(近いうちに、事態の収拾はつくと予感する)

(決着の結果はどうなるとしても―)

矛海 遼 > 「………そこの少女、まずは応援を呼ぶかそこの少年の保護を優先、退避か待機だ」

名前を知らないという事がこんなにも不便とは、そう思いながら芙蓉に言葉を刺す

「実力以前に、言われたことを成してから力を示せ。」

クラスカ > (両の目を見開いて、口を酸素を求める金魚のように開閉させ、矛海に恨めしそうに訴える)

(「ここアンタがレイチェルさんの変わりに矢面に立って戦うとこじゃないんですか!?」)

虞淵 > 「ん…?あぁ…なんだ……てめぇもスキなタイプか…と思わせておいて、
 所詮風紀だな……どうせなら全員まとめて俺の遊び道具になってくれよ」

ゴツゴツ、安全靴の爪先がアスファルトを叩く
一対一に誘い込んで他の連中の安全を確保?
甘いねェ、なんてスウィートなヤツだ
笑みを抑えきれず、牙を剥きだして嘲笑う

「もう我慢できねェぜ───ってなァ!!!」

巨漢の回し蹴りが放たれる、が………どう見てもレンジ外だ
そのまま巨脚を振りぬく
一瞬遅れて発生するのは、衝撃波の刃
狭い裏路地、左右の建物に同時に亀裂が入る、つまり
それくらい『幅の広い』衝撃波が砂埃を巻き上げて4人に向けて突き進む───!!

レイチェル > 「生徒に守られるせんせじゃかっこつかねーだろ、いくら風紀委員って言ってもな」
そう言ってふっと笑うレイチェル。
クラスカに関しても、彼は一般生徒だ。
風紀委員として、守らねばならない。

しかし、歩み寄ってくる男の方へと常に気を配っておく。
この男は、只者ではない。
その感覚は、より近くで対面して改めて心の奥底からレイチェルへ警鐘を鳴らす。

矛海 遼 > 鞘に刀を収めて唯その場に立つ

それだけ、それだけでいいのだ。矛海遼にとっては――――――

「――――生温いぞ、野獣【ミスター】」

刹那――――少年と少女の前に立ち、二刀の刀を抜刀、向かってくる衝撃波最低限の手数、そして衝撃で逸らし、巨漢に目を向ける

霜月 芙蓉 > 「で、でも…でも…!」

状況判断や理性と、意地や焦り。それらが一気に混ざり合い混乱している中で…

「……!」

迫る衝撃波。それに対し、反射で術を起動する。

「氷柱…!」

が、その前に。

矛海の二刀が、自分らを守ってそれを弾いた。

「あ、す、すみませ…」

クラスカ > (案の定穏便に済ませてくれそうにない転がり方をした交渉に頭を痛め)
(若干の後悔を覚えながら、鞄の中の「魔導書」を握る手に力を込めたところで)

(降臨した黒い髪のヒーローの背後に、そそくさと身を隠した)

やってくれるって信じてましたよ、矛海先生!

レイチェル > 「てめーみたいなゴリラと違うんでな、立場ってもんがあるんだ、立場ってもんが」
瞬間、飛んでくる衝撃波の刃に笑いが漏れる。

「ったく、馬鹿みてーな筋力……」
じとっとした目でその衝撃波に向けて掌を構えるレイチェルだったが、
目の前の衝撃波の刃は遼によって防がれたようであった。

「ひゅー、かっこいいねせんせ、流石だ」
そんな言葉を漏らしつつ、自身もいつでも武器を取り出せるように、クロークの内
に両手を潜め。

虞淵 > 「ハッ!!さすがはセンセーだなァ、そうそう、生徒を…守んなきゃよォッ!!!」

目にも留まらぬ速度で再び蹴り、蹴り、蹴り、蹴り
その全てが先程と同等の衝撃刃を生み、濁流となって襲いかかる
見た目の巨躯にそぐわない俊敏性、まるで肉食獣の爪が何度も高速で振るわれることに似る

ご案内:「路地裏」に橘 臨助さんが現れました。
霜月 芙蓉 > 「う、くう……!」

流石に、この場に何もせず居座るのは、矛海の負担にしかならない。

一応は実戦を経験している身として、その判断を下す。

「さ、下がります。私の後ろに……」

悔し泣きすらしそうな顔で、クラスカに告げる。

少なくとも、余裕を持ってあの衝撃波を防げるくらいの距離を取る、と。

橘 臨助 > 「……」
ーー随分派手にやってるな。
ある用事の帰り。この辺りでは珍しくもない光景を見かけたので視線を少し向ける

矛海 遼 > 「ふむ………流石に連戦ではこうも為る、か」

両腕から軽く血を噴き出しつつ、二刀の刃にヒビが入り崩れていく

「………どうにも目を付けた獣は相当なものだな。さて、どうした物か」

柄だけになった刀を投げ捨てると共に、腰のサイドにそれぞれに三つ連なった刀の鞘。
背後に棺桶を模した翼の様な物が六つほど展開される。

「防ぐのは骨が折れるな……文字通り」

両手に刀を再び抜刀し、無数に向かってくる衝撃波を弾くことに専念する。
どれも体力の消耗を抑え、最低限の力で無害な方向へ向けて弾き飛ばす。
たとえ血が滲み、骨が傷んだところで関係が無い。
今、自身に出来る責務は背に立つ物を守る事。

橘 臨助 > 「……結構、防戦一方って感じなのか。」
ーーなれば、そちらに脚を向ける。気取られるとかそんなものは何も意識しない風に。向かう理由は見た光景だけで充分だった。

クラスカ > (自分の至らなさ、不甲斐なさ、渦巻く感情の濁流に連れていかれそうな芙蓉は、張りつめた糸だ)
(今の彼女に出来る仕事を請け負ってもらうことが)
(精神の均衡を保たせるきっかけになればいいが)

……そんなに、気を張らなくても大丈夫ですよ。
今はあなたを守ってくれる人たちがいますから。

大丈夫、あの二人は、あなたを信じてますって。
(そこまで伝えて、大人しく芙蓉に従う)

虞淵 > 「クククッ!何だよ仕掛けてこいよお前ら!!守って守られてで一杯いっぱいってワケじゃねェーだろォ!?」

蹴りの乱撃が止まる
巨漢は獰猛な笑みを浮かべ、右腕を振り上げ───振り下ろす

それはその場の誰に向けたものでもない

ズズ………ン

重苦しい音と、コンクリート同士が擦れ合う音
丁度四人全員を巻き込む位置
廃ビルがゆっくりと切断面からズレ落ち、崩壊する

相手が死んでしまうかもしれないとか、そういうことは関係ない
守るなら守るで、さぁどうやって守るんだよ?
ただただ、男の退屈凌ぎと興味本位だ

矛海 遼 > 「守りながらの戦いか………さて」

彼女たちはこの【野獣】を相手にどう出る?どう答えを出す?
そう、思考しながら冷たい目で戦線に目を向ける。

このままではジリ賃である。そして押し切られれば勝機は無い。

【唯の】戦士ならば。

噴き出す血は止まり、腕からは歪んだ音が響く。

「どうした?遠くで攻撃して。それとも――――私や風紀委員が怖いのか?野獣【ミスター】?」

不意に衝撃波の合間を縫うように、瓦礫に混ざるように刀を【野獣の眼】に向けて一本投擲する

霜月 芙蓉 > 「すみません……」

後ろに下がりながら……ビルが、ズレ落ちてくる。

「……!」

今度ははっきりと術を起動する。色々な思いをそこに込めて。

「氷陣・白夜城!」

崩れ落ちる地点の上に、氷の屋根が出来る。

そして、それを支える様に氷の柱。

周辺を、氷が包み込んだ。

矛海 遼 > 「………その氷【盾】は何時までもつかは聞いていいだろうか?」

翼のように六つの棺桶を展開し、衝撃波を逸らすために世話しなく両腕を動かしながら芙蓉に問いかける。

「………それと、この中で遠距離戦を出来る物は居るか?」

虞淵 > 飛来する刀は男の目を貫き───はしなかった
直前に男が自ら刃に額を叩きつけて圧し折ったのだ

「クカカ、容赦ない狙いだねェセンセー。流石の俺様も眼球に筋肉はねェーからなァ?
 つーか、センセーなんだからよォ…もっと後学のためになる挑発の文句とかねェのかよ」

くつくつと愉しげに笑みを浮かべ、4人の元へと再び歩みを進め始める

レイチェル > 「――時空圧壊《バレットタイム》」
時が、休息にその速度を落としていく。
瓦礫がまるでふわふわと揺れながら地に落ちる綿毛のように、ゆっくりと、ゆっくりと
落下を続ける。

「かっこいいけどよ、せんせ。無茶しすぎだぜ」
レイチェル一人が普段通りのスピードで動く時の中で、彼女はクロークから魔剣を取り出した。頭上では、芙蓉の屋根がゆっくりと出来上がっていく。
魔剣を、一薙ぎ。ニ薙ぎ。
同時に、空中を舞っていた瓦礫が一斉に、粉微塵に砕け散る。


「……時間切れ。ここまでだな」
魔剣を降ろすと、時はようやく元通りの速度で流れだす。


「遠距離戦……出来なくもねーが、あいつに銃効くのか? ま、やってみなけりゃわかんねーか」
そう言って、テーザーガンを取り出した。
そして躊躇せず――全弾、眼帯の男に向けて発射する。

クラスカ > (体躯と同じ、スケールの巨大すぎる攻撃が落下する)
(倒壊してくる建物の破片、直撃すれば死は免れない)
(しかしこの場を潜り抜けられるという、奇妙な確信)

(大丈夫、この少女なら―)

(信頼は裏切られない)
(氷の傘の下で、大きな溜息をついて芙蓉に感謝を告げる)

ありがとうございます。

橘 臨助 > 「俺が混ざって良いなら、挙手する」
矛海の問いに、入口の方から声が返ってくる。
「席がねえなら帰る。関係ないしな。」

霜月 芙蓉 > 「しばらくは、持ちます」

断言する。

氷陣・白夜城。この術は、本来自身を守る城砦を作る物であり、発動後は、周囲の水行の力を使い、自分で自分を補強し続ける特性があるのだ。

「遠距離戦は…出来る、出来ますっ!」

声を張り上げる。自分に出来るのは、やはり遠距離戦で…それでひいては、出来る事もなくなってしまうから。

「ううん、大したことないよ」

そして、クラスカには笑みを。精一杯の、安心させるための笑みを向ける。

橘 臨助 > 「…ん?あれって……」
霜月芙蓉を見て、いつだったかカフェテラスで聞いた人の話を思い出す。たしかそう、ズレた妹がうんたらかんたら…

矛海 遼 > 「生憎冗句のセンスは持ち合わせていない。布団が吹っ飛んだくらいしか言えなくてな?」

頭突きで砕かれた刃を見ると軽く舌打ちをしつつ

「砲撃、とでも言おうか。あれほどに頑丈ならば確実に射抜ける【矢】が欲しい。」

腰の鞘から抜刀、右手に3本、左手に2本の刀を持ち、爪のように広げると共に棺桶が【吼える】

「席は見ての通り開いているよ。まるで人がいない映画館だ。だがな、関係ないと公言するくらいならば、わざわざ他人に聞かねば動けぬのならばこの場を去った方が良い。」

虞淵 > 「ほォーお、ガキのくせに術を使うのか、ククク、一丁カキ氷でも作ってくれよ」
嘲笑を浮かべつつ、歩みを進める───

そこへ襲いかかるテーザー銃の連射、男は注視していなければ見えないほどの、ブレるような動きでその全てを躱す

「ん??実弾じゃねェのか……どうせならHMGでも持ってこいよ、全部避けてやるから」
両手を大きく広げて歩く
そこにはガードする意思すらない

霜月 芙蓉 > 射抜ける矢。貫通力の高い一撃。

それならば、自信がある。それが出来そうな手札は持っている。

だが……

「せ、先輩…!」

先達の許可なしに、勝手に射ることも出来ない。

強い目でレイチェルを見る。――やらせてほしい、と。

クラスカ > (精神は異能の、ひいては魔術全てに連なる骨子)
(不眠、飢餓状態などの平常と異なる状態にある場合、本来の実力の全てを発揮することは不可能だとの研究結果もある)
(芙蓉の心が揺れ続けているならば、きっと氷の盾は完成には至らなかったはずだ)

いいえ、あなたは立派な実力のある人です。
だからどうか、強い心を前向きに持って下さい。
そうでないと、あの無頼漢を退けられない。


(橘へは大きく「助けてくださーい!!」とだけ叫ぶ)
(突然興奮した悪漢を止める手伝いをして欲しい―と)

矛海 遼 > 「やはり、【視えて】いるか。ますます獣染みている。」

面妖な、と付け足しながらゆっくりと巨漢へ歩いて行く

「………足止めと【的の設置】は私が引き受けよう。後は君達に任せた」

橘 臨助 > 「混ざっていいならそうさせてもらう。ーーあんたが首突っ込まれるの嫌なタイプじゃなくて良かったよ」
自分から動けねえなら声なんかかけねえよ、と口悪く付け足しつつ、
一瞬だけ両手を強張らせ、コキッと関節を鳴らすと
マナ?を収束させ始める

橘 臨助 > 「……まぁ、ああ言うのしか俺には動機たり得ないから、受動的と言えばそうか。」
クラスカの声に視線を向け、しかし顔は向けず、サムズアップだけ返した

虞淵 > 「そいつぁいけねェなァセンセー。
 今の時代、教師もボキャブラリーがないと生徒に好かれないぜ」
相変わらず嘲笑の笑みを浮かべていたが、

矛海の構えを見て一瞬笑みが消える
あぁ…何だ
この教師、ヤレるヤツじゃねェか

「……いい日だな、最高だ!!」
体を開き、腰を深く落とす
右腕は曲げ、右肘を右脇腹に
左腕は開手、手刀の形のままに前方へ向ける
ズンッ、と震脚が地響きを起こす

武に学がある者ならばおそらく誰もがよく知る構え
六合拳の構えだ

レイチェル > 「やっぱ駄目かよ、まーそんな気はしてたが……HMGなんてこんな場で撃てるか、馬鹿」
そんなことを言いつつも、クロークの内の愛銃――45口径のマグナムに手をかけようとしていたその時。芙蓉からかけられた声に気がつく。
後ろを振り向けば、芙蓉は必死な顔でこちらを見ている。
その表情から、レイチェルは何を言わんとしているかを、察した。


「……はぁ。その顔。やっぱり風紀の素質大だぜ、お前。分かった、やりてーならやってみろ。先輩として、フォローはしてやる」
クロークの内に手を入れたまま、そう呟いた。

そして、新たな乱入者の方を見やり、その様子を窺う。

矛海 遼 > 「まったく付いていない日だ。録画した番組をまだ見終えていないというに。」

構えを見ると足を止め、握った刃に氷が纏われ

「―――――来い。生半可な一撃だったら許さんぞ?」

そのままの姿勢で構えを取らずに立ち、背面を守るように六つの棺桶が盾のように設置される

霜月 芙蓉 > 「はいっ!」

元気よく応える。さあ、もうこの矢を止めれる者はいない…!

「五行相生、土生金…!」

五行理論において、最も貫通力に優れるのは、間違いなく金行…金属の力であろう。

その力を宿す白銀の矢を生み出し、それに黄色…金行を強化する、土の力を付与する。

更に、金生水……五行関係において、金行は水行を補強する。故に、この場において最も適する矢は、これ以外にあるまい。

「奔れ、白虎弓…!」

引き絞る。いつもの感覚。

自分と、対象しかいない。視界には、それ以外映らない。

イメージは、心臓部へ。

唯(ただ)番え 唯引き絞り 唯放つ 唯それだけで 唯的を射る。

霜月流弓術の極致とも呼ばれる状態に、今片足を踏み入れながら……

「……しっ!」

霜月芙蓉最大貫通力の矢が、巨漢の心臓目掛けて放たれた。

橘 臨助 > 「ーー白地の魔砲【ホワイトブラスト】」
芙蓉が弓を放つとほぼ同時。
側転し高く跳躍し、ただ勢いよくーー砲弾くらいの勢いでーーなんでもない、ただの無属性の魔力固まりをぶっ放す。位置も向きも違う攻撃が一度に複数向かうことになる

虞淵 > 「たっぷり病室で見りゃあいいじゃあねェか!!」

踏み込む
それは人智を超えた速度で、まるで銃の引き金を引いたように、
重苦しいはずの男の体がミサイルのように発射される

始動から僅かコンマ数ミリ秒
驚異的な加速度を体重を乗せた男の中断突き

絶招蛇形拳

軌道の読めぬ瞬速の拳が矛海のボディへと突き刺ささらんと迫った

クラスカ > (自分の仕事は、皆無だ)
(戦う意思のある人間がいる。強い心を持った人間がいる)
(ただ見守るだけで、いい)
(理想は誰も傷つかないこと。しかし―)

(「あの眼帯の人は、少し痛い目を見るべきかな」)
(願わくば誰彼構わず喧嘩を売るのも止めて、落第街の治安改善にも貢献してほしい)

(―無理な願いか。垂れていた頭を戻し、戦いの行方を見守る)

矛海 遼 > 男の鋭い一撃は腹を貫き、周囲に血が撒かれる。

共に青年の口からは血が漏れ、冷たい無表情は歪んでいく―――――――――

矛海 遼 > ――――――獣すら戦慄する、死神の狂気の微笑を持って――――

「貴様の考えが単純で助かったよ―――――この距離ならば」

両腕の関節を刃で貫く

「避けることも」

飛び散った血を凍結させ、両足を固めながら膝を刃で貫き

「できないのだからなァ!!」

歓喜の表情を持って貫いた腕を上回る腕力で掴み、掴んだ腕の骨にヒビを入れていく。
間違いなく死にかけの男の力では無い。

――――目に映るは死神

矛海 遼 > ふと、血の流れる中思考を走らせ、心の中で呟く

『あれ、コレ砲撃の射線上?』

レイチェル > 「馬鹿野郎! やれとは言ったが殺しにかかれとは言ってねぇ!」
矢の構えている方向と、男の立ち位置。
心臓を狙って放たれたのは火を見るより明らかであった。
あの男の実力なら捌けるのかもしれない。が、万が一ということもある。
手を翳し、時空圧壊《バレットタイム》を発動しようとするが――。

クラスカ > 何を―。
(やっているんだあんたは、言葉に途中で詰まる)
(足止めするとは言ったが、そんな自己犠牲に満ちた手段に頼るとは)

(矛海遼が落第街にいた理由も、正体も、依然何一つ不透明なまま)
(ボーナスも出ない課外授業で、ただ自分の身を盾として危険に曝しながら、戦っている)
(その眼には何が視えているんだ、と尋ねたい衝動に駆られたが)

(『教師』が『生徒』を守ることは、当然の摂理だ)

(……そうですよね、『矛海先生』)

虞淵 > 「……なァに、助かったのはコッチのほうだぜ、センセー」
瞬間、男の体躯が膨れ上がった…ようにも見えたかもしれない

「俺ァ異能も持っちゃいねェし、魔術なんてマの字も知らねェスカタンだ
 その代わりブルドーザーよりも強え腕力と、徹甲弾も通さねえカラダを手に入れた」

───貫けない。
まるでマットにブ暑く包まれた鋼を打ち付けるように、刃が止まる

そして

「丁度、盾が欲しかったんだよセンセー」

膨れ上がる筋力で足元の氷を砕き剥がし、
自身に飛来しようしている魔力と矢に向けて掲げるように───

霜月 芙蓉 > 「あっ……!」

はっ、と気づく。集中しすぎた。「敵」を「確実」に「仕留める」事だけを考えてしまった。

精神の動揺。それにより、矢は一気に輝きを失う……もし破壊しようとすれば、あっさり砕けてしまうくらいに。

矛海 遼 > 「――――まさか」

少し顔が下を向き、表情が曇ったように見え――――

――――貫く腕を掴む力が、前に立つ男の殺気が爆発的に上がって行く

「――――それが貴様【だけ】と思っていたのか?浅はかな。」

顔を上げ、笑顔をそちらへ向ける

「だから【獣】なんだよ。」

橘 臨助 > ーー正確にはもちろん砲弾ではないそれはただの力の塊であり、氷さえ砕けなければ、もちろん防げるだろうか。
「……そうか。」
しかし、防いだということはーー

矛海 遼 > ―――――――――相手(キバ)は、私だけではないぞ?
虞淵 > 「……どうせ離してくれねェってならとびっきりの美女に腕を掴まれたいもんだねェ」

ふぅー…っと大きくため息をつく
しかしすぐに眼光を取り戻し

「カッッ!!!」

怒涛の震脚
アスファルトが砕け、クレーターのように陥没する
心臓を狙った矢は男の頬を掠め、
畳返しのように跳ねあがるアスファルトが壁のように、魔力の塊と共に粉砕する

矛海 遼 > 「生憎、私も好きで野獣の世話をしている訳でないのでな」

強引に自身を貫く腕を震脚の衝撃と合わせて引き抜き、そのまま掴みながら地を踏み抜く

「まさかこれで打ち切りではあるまいな?」

虞淵 > 「……折角の玩具箱だが、てめェとはサシで遊んだほうが面白そうだな」
右腕を振り払い、濡れた血液を路地へと飛ばす

「保護者つきのガキってのも遊び辛ェ、
 ……と、風紀委員のツラだけは覚えておくぜ」
ジロリ、とレイチェルの顔を一瞥する

ぐっとしゃがみ込むとそのまま全身のバネを使って飛び上がり、そのままはた迷惑な男は闇へ消えた───

ご案内:「路地裏」から虞淵さんが去りました。
矛海 遼 > 沈黙を裂く様に去って行った巨漢を見つめ、一つ呟く

「………ククッ、それはこちらの台詞だごふぉ」

吐いた、血を壮大に。

共に貫かれた腹を抑えてしゃがみこむ

「あーすまん。ハンカチか何かある?」

クラスカ > ……まだあの男。余裕がありそうでしたね。
(『オーガ』。かつて日本には、そう呼ばれた格闘技の達人がいると聞いた)
(四人を一度に相手にする偉丈夫は、まさに戦鬼と呼ぶに相応しい企画外だ)

とにかくお疲れさまでした。
助けていただいて、ありがとうございます。
(周囲の様子を伺う。これ以上の厄介を避けるためには、早々に立ち去ることが正解に思えて仕方がない)

霜月 芙蓉 > 「あ、あ……」

自分に失態に激しく動揺してしまっており、その声にも気付かない。

相手が去ったのを見ても安心する間もなく、弓を抱えておろおろとしている。

レイチェル > 「……ふぅ」
目の前で矢が防がれれば、時空圧壊《バレットタイム》の発動はしない。
必要とあらば、マグナムで矢を撃ち落とすつもりであったが。

「遊びてぇならいつでも付き合ってやるぜ、ゴリラ」
結局、マグナムを抜くには至らなかった。
闇へと消えていく男を見て、レイチェルは思案する。
近い内に、またあの男と会うことがあるだろう。
その時は、一対一で相手をしてやる。
そう心に決めた。そして、魔剣をクロークの内にしまった。


「さて……そこの最後に出てきた奴、名前だけ教えてくれ。ちょいと報告書を書かなくちゃいけないんでな。遼せんせは病院で診て貰った方がいいだろうぜ、クラスカ、巻き込んじまってすまなかったな。また今度機会があれば話そうぜ。後それから――」
と言って、遼にハンカチを渡す。かわいいウサギのハンカチだ。


「――芙蓉! てめぇはここに残れ」

霜月 芙蓉 > 「は、はいっ……!」

びく、と震えて頷く。

……何を言われるかはわかっている。そして、それは甘んじて受けるべきものだ。

そもそも、功に逸りすぎたのだ。いいところを見せよう、などと言う邪念が入っていなかったか、自分でも自信が持てない。

俯いたまま、弓を抱えて震えている――。

矛海 遼 > 「あぁ、すまんな。以前とは立場が逆になってしまった。」

ハンカチを受け取り、口元の血を拭くと立ち上がる。

その体には腹を貫かれた傷は無い。

「生憎、こういう体質だ。病院は不要だよ―――――――説教の前に、やるべきことがあるだろう?」

橘 臨助 > 「……橘 臨助。高等一年、17歳。」
簡潔に答える。そしてレイチェルの芙蓉への叱責に
ーーあぁ、思い出した、たしか霜月零の妹か。
と振り返りつつワイシャツをちぎり、折れた骨などに当て木を出来る材木がないか探す

クラスカ > (矛海については、結局不明な点が多いまま。後の機会に追求する方がいいか)
(こんな辺鄙な場所で、教師が何をしていたのか。やはり疑問は深い)

ちゃんと、芙蓉さん?を褒めてあげて下さいよ。
飴と鞭、飴と鞭。
(レイチェルにそう耳打ちし、足早に立ち去る)

ご案内:「路地裏」からクラスカさんが去りました。
矛海 遼 > 「橘か………援護、感謝する」

血を拭ったハンカチをしまいながら声を掛ける

「そちらに怪我は無かったか?」

橘 臨助 > 「助けてねえ、結果的に手助けになったっぽいだけだ。」
矛海の方を見て、どうやら当て木の類は必要ないと見ると、
「布、足りてるか?」
千切ったワイシャツが必要か尋ねる

矛海 遼 > 「変えはあるからな。問題無い」

先ほど召喚した棺桶の中から新たにジャケットを取り出して着こむ。

レイチェル > 「橘臨助、か……鎮圧への協力感謝するぜ。結果的だとしても、な」
その言葉は勿論遼にも向けたものである。

クラスカが去っていくのを見れば、無言のままに雑に手だけを振り。

そして、芙蓉の方へと歩み寄る。

霜月 芙蓉 > びく、と震える。

怯え、後悔、自責、動揺…色々なものが入り混じった眼で、レイチェルを見上げる。

矛海 遼 > 先ほどあぁ入っていた物の、あの男の殺気は自身と彼女に向いていたはずだ。
そう考えれば随分な事に巻き込んでしまったと思う。
2人の少女を見つめると壁に背を付け、その場に待機する

レイチェル > 「悪ぃな、せんせ、それから橘臨助。ちょいと外してくれねーか? 後のことは風紀の方にオレが報告しとくからよ」
振り向けば、そう口にし。

ご案内:「路地裏」に虞淵さんが現れました。
虞淵 > ズシン!!と地響きと共に落下…ではなく着地する虞淵

「おう、名前聞き忘れたぜ、名乗れお前ら」

レイチェル > 背後からの気配にクロークに手を滑らせるが、今はやりあう気が無いのだと理解し、
答える。男の方を振り向いて。

「レイチェル。風紀委員、刑事課のレイチェル・ラムレイだ。てめぇの名は?」

霜月 芙蓉 > 「あ、あう……」

おろおろ。そのためだけに、帰ってくるのか。そのためだけに、アレだけ暴れた後の場所に戻ってくるのか。

普段であれば「いい度胸だ」と弓を構えるところだが……今の芙蓉に、そんな気力はない。

「ふ、芙蓉…霜月芙蓉…」

おろおろとしたまま、素直に答えてしまう。

橘 臨助 > 「……橘臨助。ここに大体いるってなら、そのうちこっちから行くよ。用途がある。」
虞淵 > 「レイチェル・ラムレイ、ね。
 クククッ、勇猛な風紀委員も名前は可愛らしいモンだな」

何が可笑しいのか、笑う

「ガキンチョには聞いてねえよ、毛が生えたら聞いてやるぜ。
 ……そっちの坊主はそうだな…面倒クセエ話なら御免だとだけ言っておくぜ」
バリバリと頭を掻く
一応話は通じるあたり脳まで筋肉ではないのかもしれない

「あー、センセーはいいや、どうせ調べりゃすぐわかんだろ。
 俺は此処では虞淵<グエン>で通ってるぜ、覚えやすいだろ?」

それだけ言って大男は踵を返し、だるそうに右腕をひらひらと振って再び闇に消えた

徒歩で
……先程大跳躍で去った理由もまた、闇の中だった

ご案内:「路地裏」から虞淵さんが去りました。
霜月 芙蓉 > ガキンチョには聞いてない。

その評価も当然だ、先程からの動揺っぷりで最早戦力がどうこうと言う状態ではない。ミスで動揺し、何も出来ていないのだから。

だが、その言葉はしっかりと芙蓉の胸に刺さり……

「……う、ぅ……!」

俯きながら、悔し涙を堪えるので精いっぱいだった。

矛海 遼 > 去って行く巨漢を流し見て、一言

「……そうはいかんな、私には既に、君達に用が出来てしまったからな……」

薄らと姿が消えていく

「しばらく私は何も聞かないし見ない。そのかわり、それが終わったら、話を聞いてもらいたい。合図は君達に任せる」

共に、気配もその場から消えていく

橘 臨助 > 「…寝るか。」
今度こそーー席はない。
そう思った彼は踵を返し始めた。
「ーー霜月芙蓉って言ったか。確かに兄貴の言う通りの奴だったよ。」

霜月 芙蓉 > びく、と震える。

この失態を見て、兄の言っている通りだった、と。

兄が、自分をどのように表現していたのか。兄が、自分をどう見ていたのか。

出来のいい妹ではなかったはず。そんな事はわかっていても、怖くてたまらない。

「あ、お、おに……」

お兄ちゃんはなんて言ってたの?

その一言すら恐怖で発せず、ただただ去っていく背中を見送るしかできない。

レイチェル > 「虞淵……か、覚えたぜ」
胸の内を震わせて。
レイチェルは彼の去っていく方向に背を向けた。


「……芙蓉」
芙蓉の方に向き直り、つかつかと歩み寄る。
目と鼻の先にまで近づき、紫色の瞳で、その目をまじまじと見つめた。

その時レイチェルに、ふと。脳裏に、幼い頃の自分の姿が過った。
無力感。自省。そして何よりも、悔しいという強く激しい思い。
そういった感情が胸の内からこみ上げてきて、かつて涙を流した。
血の海の中で――。

レイチェルは芙蓉の前で、その手をすぅ、と上げた。

霜月 芙蓉 > 「……!」

目をきゅっと閉じる。

分かっていたことだ。ここから何発叩かれても、一切の文句を言えない。

ただ……それでも、失意と共に振り下ろされる手は、怖い。

その打撃に失意が乗るから……それが、何より痛い。

目を強く閉じ、弓を抱えて震えたまま、甘んじてその手を待つ……

橘 臨助 > 「ーー兄貴の言う通り、才能あって、正義感に突き動かされた様な奴だと思った。途中からしか見てねえけど、弓を引いてるあんたは聞いた通りカッコよかったぜ。そこで腰抜かすのも、それまでのヒロイックさもあれだってあんたの要素だろ。」
「ーーまた柄にもない事を喋った」
ああ、口が下手くそだ。
微かな反応を聞いて、即座にそう返して、今度こそ去るか

レイチェル > その様子を診て、ふぅ、と溜息を一つ。
ぽむ、とその頭に手を置いて。
優しく撫でた。あまり撫でることには慣れていないような、そんな手つきだ。

「芙蓉、あの化け物相手によく頑張った。お前の悔しいって思い、よく分かるぜ。だが――」

撫でていた手を降ろし、ぺしり、と軽くデコピンをした。

「相手がどんな相手であっても、だ。絶対に命だけは取ろうとするんじゃねぇ。無意識の内だとしても、だ。風紀の仕事は鎮圧だ。殺しじゃねぇんだ。万が一のことがあれば、お前、風紀を続けられないどころか学生ですら居られなくなる。それに――」

「――一度そうなっちまえば、真っ当な人間には、そうそう戻れねぇよ」
そう言ってクロークを翻す。最後の一言はまるで自分に言い聞かせるかのような、
静かな一言だった。

ご案内:「路地裏」から橘 臨助さんが去りました。
霜月 芙蓉 > 「ふぇ……」

撫でられた。

それが信じられず、思わず顔を上げて、ちょうどそこにデコピンをされる。

「……はい、ありがとうございます……!」

自分を、見限らないでくれるのか。

こんな自分を、まだ風紀として見てくれるのか。

更には……耳に入ってきた、兄からの評価。

大好きなお兄ちゃんは……私を、評価してくれていた。

その二つが嬉しくて。

そして、翻された背中……そこに、一瞬、寂しさを覚える。

相手が去っていくのが寂しいのではなく……その背中に、何か強い寂寥感を感じたのだ。

きっと、何か枷を背負っている。

目の前の人は、その枷を背負いながら気丈に立ち、そして、自分を導いてさえくれた。

その背に憧憬を抱きながら……

「う、ああぁあぁぁぁ……!」

様々な思いを吐き出すように、泣き崩れた。

後悔も。嬉しさも。憧憬も。自責も。

何もかもを吐き出して、整理するかのように。

矛海 遼 > 姿を消し、音を遮断して端で物思いにふける。

これから、見せる物を彼女たちはどう判断するのか、そう考えながら

レイチェル > 芙蓉にはそれ以上言葉は要らないと判断したのか、今度は遼の方に寄り。

「さて、せんせ。話ってのは何だ?」

矛海 遼 > 迷彩が剥がれる様にその場に姿を現す。
首元には消音用ヘッドフォンが掛かっている。先ほどまで耳に付けていた様だ。

「ふむ、この場において、私が行っていた事の詳細、だな。
話すよりは直接現場に来た方が早い。ついて来てくれ。」

そのまま言葉を走らせ、この場に向かってきた場所……廃屋へ向かってゆっくりと歩き始める。

霜月 芙蓉 > 「……!」

泣いていたが、立ち上がる。

何があったのか興味がある、と言うのも事実だが…それ以上に、この場に泣いたままとどまっていては、それこそ「相手にならない」ような気がしたのだ。

「わ、私も……!」

レイチェル > 「あー……」
泣きじゃくっている芙蓉の方をちらりと見やった後。
立ち上がれば。ふっと微笑み。

「よし、じゃあ行くぜ」
そう言って、ついていくことにした。

霜月 芙蓉 > 「はい……!」

しっかりとした足取りでついていく。

この尊敬する人に、遅れないようにと。

矛海 遼 > 「霜月 芙蓉、と言ったかな。私は矛海 遼。一応教師だ。先ほどの彼が言っていた……君の兄と言う子とは少し面識があるくらいかな」

背に付いた埃を軽く払いながら

「まだまだ君は強くなれる。と言っておこう。その気持ちがあればな。」

廃屋へ進んでゆくと、特殊部隊の装備のような物を着た男が4人、ある者は首元に刀を突き立てられ、ある者は体を打ち抜かれ、ある者は四肢の一部をもがれた状態の死体になっている。
共通しているのは――――全員、矛海と同じ顔であるという事だろうか。

霜月 芙蓉 > こくん、と頷く。

自分は、まだやれる。

だって……こんな自分でも、目に掛けてくれる人達がいるんだから。

そう心を強く持ち、ついていく……が、流石に驚愕する。

「え、え……全員、同じ顔……?」

レイチェル > 「……こりゃまた奇妙な現場だな。みんなあんたと同じ顔してやがる」
転がる死体を前に顎に手をやり。

「見たところで全然わかんねーな。こいつは一体何なんだ?」

矛海 遼 > 「………先に言っておくが私に兄弟は居ない。」

ぽつりと言葉を溢すとそちらへ向き直り

「今壊滅し、存在しないから、知っているかはわからないが………逆十字【ターンクロス】というテロ集団が過去にこの学園の外に存在して居てな。
連中は過去に何度か、独立傭兵や行き場の無い人間、そのような物を拉致して細胞を取り、クローニングさせて兵士として生産していた。」

持っている装備であるライフル銃やナイフを剥ぎ取り、そちらに見せる。
どうやらほぼ最新規格の装備だ。かなりの値が張るだろう。

「………どうやら、そのパイプの一部がこの学園に絡んでいる、と言う事らしい。」

矛海 遼 > 「最も、私のクローンがこんな所に出るとは思わなかったがな」

全く忌々しい、そう付け足して言葉を溢す。

「それの集団に襲われ、返り討ちにしたところで今に至る、と言う所か」

霜月 芙蓉 > 「わ、凄いコレ……」

装備を見て驚愕する。実家もそこそこに財力がある方だが、これだけの装備をぽんぽんとは用意できないだろう。

そして、クローンニング、と言う言葉を聞き

「ってことは……これって、先生のクローン……」

驚きを隠せない。クローン技術は、こんなに発達していたのか。

レイチェル > 「逆十字……ねぇ。でもってそのパイプがこの学園に、か……やれやれ、また悩みの種が増えちまったな」
やれやれ、と溜息をつくレイチェルであったが、向き直り。

「クローン……って、あんた何かされたのか? その逆十字に捕まってたとかよ……遠目から見ただけでクローンが作れる……なんてこたねーよな?」

矛海 遼 > 「変態技術者には頭が参る。本来クローニングし、成人の状態でこの場に出すには本来ならば大きな時間が掛かる。下手に成長を加速させれば知能が未発達なままだからな。」

一体の額を抉ると、中から電子チップのような物が取り出される

「だが、優秀なソフトウェアがあれば話は別だ。装備を得るための資金もな。」

ふぅ、と息を付き、手に付いた血を払ってレイチェルの言葉に答える。

「拉致された、と言った感じだな。その気になれば血液や体毛、それらからも作り出せるが、それと共に改造手術をされてな………おかげで」

手元に小さな氷でできた折鶴を創り出し
「このような力を得たが、尚更人で無い者に近づいた。」
握り潰し、手から血が噴き出すが、開いた時には傷が無くなっている。

霜月 芙蓉 > 「人体改造……!」

人体改造。よくある話ではあるが、拉致してそれを行おうとした、と言う事は……

「先生を、手駒にする気だった……寧ろ、諦めてない?」

今になって追撃の手を出してくるという事は、そういう事ではないか?とアタリをつけて問い掛ける。

レイチェル > 「……成る程、あんたの治癒能力はそこから来ていた訳か」
こくりと頷き。
レイチェルも身体の一部――例えば眼球であるが――を改造しているが、これは自分の意志で行ったものだ。


「分かった。風紀委員として、この事報告しておくことにしよう。
 そして、出来る限りこんな奴らが蔓延らねーように、尽力もするぜ。
 構わないな?」
そう言って、小首を傾げた。

矛海 遼 > 「組織は数年前に滅んだよ。正確には滅ぼした、か……」

チップを手元に持ち死体を見やる

「治癒は生まれつきだ。外付けで付いたのはこの手の異能と妙に強い腕力やらだ。」

チップを一つレイチェルに向けて投げ渡す

「あぁ、そうしてくれ――――――――もう、私の様な兵士は要らないのだからな」

何処か、いつもと違い哀愁に満ちた表情を月が照らす

レイチェル > チップを投げられれば、しっかりと片手で受け取り。

「なーるほどな。ま、わかったぜ。後で報告しとくとするさ」
そう言って、用は済んだか、と言わんばかりにクロークを翻し、
背を向けた。

霜月 芙蓉 > 「わ、私も、出来る限り頑張ります…!」

レイチェルの言葉を受け、風紀としての気合いを入れなおす。

「人を改造して、無理矢理兵士にするなんて……許すわけには、行かない」