2015/06/20 のログ
枢木 柩 > 「人間になってからは17年ほどだよ、大差ない。」


「…身長は169だ。」口を噤む

雨宮 雫 > 「それでもボクよりは少し高いね。
 ボクは15くらいで止まったからね、からね。」

じゃあ、これっと袖から携帯を取り出すと、肩にかけていたリュックを相手の前に置いてから立ち上がる。

「身長高いねー……けひひ。
 あぁ、じゃあまぁ、適当に用立ててくるから、少しだけ待ってて欲しいかな。」

身長だけしか返ってこなかった点には触れずにいた。
なんか怖かったから。

枢木 柩 > 「女と見間違えるよお前は…。身長がたかいというか、平均と差異があると困るものだな、人間は。」あいわかった、と尻尾をゆらし、見送るだろう。
雨宮 雫 > 「髪の毛のせいかな、かな。
 気を貯めてるから切れないんだよね、コレ。

 じゃ、行ってきますだね、だね。」

トン、トンと軽く地面を蹴ると、ふわっと跳び上がって。
路地の壁を蹴って、反対側の壁を蹴って、上に上にと跳んでビルの向こうへと消えていった。

枢木 柩 > 「服装もきらびやかだし。はい、いってらっしゃい。」そのまま待っているだろう。
ご案内:「路地裏」から枢木 柩さんが去りました。
ご案内:「路地裏」から雨宮 雫さんが去りました。
ご案内:「路地裏」に桐竹 琴乃さんが現れました。
桐竹 琴乃 > 前回あれほど危ない目にあったにも関わらず、彼女はまた此処を適当に歩く。
長く続けていた習慣はそうそう止めれる訳もない。
とはいえ、しばらく時間を置く事はしていた。
久々、というワケである。
目的地も無く、適当に歩いて適当に帰る。
ちら、と足元を見ればやはりまた缶が落ちている。
同じ轍は踏むまい。
などと思いながら先へと進む。

桐竹 琴乃 > ポケットに手を突っ込み、歩く歩く。
ふと、手に当たる小さなもの。
歩きながら片手でそれをポケットから引っこ抜く。
それは以前に友人から貰ったお守りらしい、のだが。
「……結局これ何なんだろうね」
とりあえずお守りだ、という事で貰ったのでポケットへ突っ込んでいたがやはりよく分からない上に危ない目にあったのもその後だ。
気休めだろうので余り関係は無いのだろう。
再度ポケットへブチ込み、歩くことに集中する。
安全靴なので靴音は大きい。
靴音が辺りに反響して、少しだけ大きな音を立てている。

ご案内:「路地裏」に湖城惣一さんが現れました。
桐竹 琴乃 > 一応、以前にあの化け物らしい?ものと逢った場所は避ける。
同じ場所に居る事は無いだろうが、わざわざ通りたいとも思わない。
「……」
とはいえ気にはなるもので、ゆっくり、ゆっくりと結局その場所へ歩く。
これまた出来るだけ靴音を消すようにゆっくりと。

そしてちらり、と覗く。

当然といえば当然、全く変わった所など無い。
あっても困るのけれど。

湖城惣一 >  男は平常運転であった。あのようなことがあっても、特に動きを変えるつもりはない。
いつもの服に、いつもの姿勢。違うこといえば、顔色はいつにも増して蒼白であり、
上半身は包帯で隙間なく締め付けられている。あとはせいぜい、少し軽くなった竹刀袋ぐらいか。
 路地裏に顔をのぞかせると――見知った顔。
「桐竹か」
 いつもと変わらぬ無表情で声をかけた。

桐竹 琴乃 > 「ふひあっ!?」
ビクっと身体が反応する。
「へ?ひ?あ、ああ……ああ」
ふう、と息を吐く。
「なんだコジョーか」
ドッドッドッと心音が五月蠅い。
流石に驚いた。

湖城惣一 > 「なんだ、とは心外だな。気をつけろ、このあたりは事件が多い」
 発火事件にしろ、通り魔的な災害にしろ。危険であることには変わりない。
小さく息を吐くと壁に背中を預けて、懐から取り出した水筒で水を飲む。
「ここのあたりに近づくのはやめておけ」
 悪いことは言わない、と。今まで止めることがなかった湖城が、そう言って。
額に流れる汗を拭った。

桐竹 琴乃 > 「珍しく随分止めるじゃん……って」
上半身を埋め尽くす包帯を凝視する。
「何、どしたのそれ」
よく見るといつも通り以上に顔色が悪い気がする。
「怪我してんの?」

湖城惣一 > 「ん、ああ。……そうだな。少しこのあたりで死にかけただけだ」
 言うことは憚られたが。しかし、言ったほうが説得力は増すだろう、と。
己の負傷のことをまるで事務的な口ぶりで伝えた。
「そういうわけだ。流石にお前もここでは分が悪い」
 ならば何故ここに足を運んだかといえば、そこに大きな意味を見出しては居ない。
特に意味はない、はずである。少なくとも湖城はそう思っていた。

桐竹 琴乃 > 「いや……そりゃコジョーが危険っていうのにわざわざ挑んではいかないけども」
相当なのだろう。
一体どうしてそうなったのか知る由も無かったが。
「じゃあコジョーもこの辺は来ない方がいいんじゃないの?」
分が悪い、と言うのだからまだ解決はしてないのだろうし。

とりあえずここで襲われた事は黙っておく。
どうせ言えばこれまた口酸っぱく言われそうだからだ。

湖城惣一 > 「……俺は……」
 己の胸に問う。何故ここにわざわざ来たのか。
「いや。俺の仕事は変わらんからな。……おそらくはそういうことだ」
 珍しく歯切れの悪い言葉を口に出すと、自らの顎を撫でながら、懐を弄った。
取り出したのはおにぎりだ。こんな場所でも補給は忘れない。
拳大のそれを齧りながらも、ただそちらに視線を向けている。

ご案内:「路地裏」に虞淵さんが現れました。
虞淵 > 「へェ、今日は女連れかァ?賑やかなことだな、大将」

目の前の闇
その闇の中に男がいる

闇の中の男から、低い声がかけられた

「怪我ぁもういいのか?」

桐竹 琴乃 > 瞬間、ゾクリとする。
あれはヤバい。
ヤバい。
関わっては行けない類だ。
無意識に一歩、下がる。

湖城惣一 > 「…………」
 虞淵の言葉。それにはいささか逡巡した。
ここでたまたま会ったことことを告げるか否か。一秒ほどの黙考の後、
「女連れか。そうとも言えるな」
 肯定した。今度は無暗に構えず、おにぎりを口に詰めながら。
「見ての通りだ。いいか悪いかはお前の目で判断しろ」
 少なくとも顔面は蒼白であり、包帯は巻かれたまま。
しかし、男は戦う相手を選んだことはないし、戦う時を定めたこともない。
つまりそれは虞淵に委ねられるということであり。
ただ、桐竹と虞淵に挟まれるような位置で壁に背を預けていた。

虞淵 > 「ま、こないだからそんなに時間が経ったわけでもねェし」

廃ビルを背にもたれていた男が姿勢をただし、ゆっくりと二人に歩み寄ってくる

「こないだより遊べるかっつったら、そうでもねェよな。
 俺様程じゃねェにしても此処は猛獣の巣窟だ、喰われてもしらねェぜ?」

くつくつと嘲笑い、懐から煙草を取り出した口にくわえる

桐竹 琴乃 > (……多分、コイツかコジョーとやったのって)
口には出さない。
というか動かないし動かない。
とはいえ―――。
脚にだけは、力を入れる。

湖城惣一 > 「さて、な……」
 この間より遊べるか。問われれば、男は正直にそう答える。
確かに血は足りないが、それは前回も同じこと。
そこまで大きな差があるかは分からない、というのは自己評価であった。
「俺も連れに、そろそろ帰るかと言おうとしていたところだ。風紀らしくな」
 桐竹に対しても一度視線を向けながらゆっくりと身体を壁から離した。
おにぎりは既に飲み込み終わっているし、念のため重心を傾けておく。

虞淵 > 「ヤる気があるなら遊ぼーぜ♡
 なんなら二人がかりだっていい。
 今日はロクなサンドバッグに巡り会えなくってな、溜まってんだワ」

笑みを浮かべ、値踏みするように桐竹を見る

桐竹 琴乃 > 目が合う。
震えを通り越して寒気すらする。
が、努めて顔には出さない。
怯える方がいいのかどっちがいいのかはもはやわからないが。
ただとにかくそれはさておいても。
少なくとも私が相対してどうこうというヤツではない。

ご案内:「路地裏」に相楽 満さんが現れました。
相楽 満 > 「ふふんふー……ん?
 あれ、桐竹先輩と……オッサン二人。
 何してんス?」

ピーナッツの袋を片手に、もりもり中身を食べながら近づいてくる。
この場にそぐわぬ、恐ろしく自然体な様子で。

湖城惣一 > 「前も言ったとおり、俺は君とやりあう理由がない。君と違って俺は切った張ったを演じる趣味もない」
 しかし、続く言葉。視線には、ゆっくりと、反応した。
「それに。彼女はやりあうこととなったとしても逃げるだろうよ。
……それを殴るのが好みか?」
 歩きながら。路地裏の中央に立ち、虞淵へと向き直りながら、尋ねた。
 ――桐竹が逃げるだけならば大丈夫だろう。少なくとも己の託した"お守り"がある。
あれがあるかぎり、一度の災厄であれば"災難祓い"として無効化させるはず。
 新たに現れた相手に対しても、なおも湖城という男は表情を変えることはない。
「何もしてはいない。ただの世間話でな」

虞淵 > 「はっ、結局やる気がねェんじゃねーか。
 無理くりブン殴ろうとしたところで前より楽しめねェんじゃ意味ねェし。
 ……逃げる女捕まえて殴るほどには流石に趣味悪くねェよ、立ち向かってくるヤツは男女差別しねェけどな」

煙草に火をつけ、つまらねぇと言いたげな表情を浮かべる。
ふと、新しく現れた人影に

見ねェツラだな。と視線を送る

相楽 満 > にへら、と笑って二人に手を振る。
緊張感が無い。

「……オッサンじゃねーじゃん、えーっと……そう!
 風紀のコショウ先輩!」

若干間違っているが、一応顔は知っているらしい。
学園の生徒か。

桐竹 琴乃 > 「非常にご勘弁願いたく……恐らく、一撃すら耐えれませんので……」
一撃すら耐えれないが、異能を使えば一撃『なら』避けれる。
その後はまあ考えない方がいい。

―――。
緊張が解けた訳ではないが。
ひとまず話はわかるというか何というか。
『話せない人ではない』という評価を出す。
無論これが一人で相対したとなったらもうどうなったかわからない。

「え、ああ相楽くん……」
何という所に来るんだろうと、視線をそちらへ向ける。

湖城惣一 > 「特段、君をどうこうする気はないのでな」
 前回の戦い。あれがそもそも湖城にとってはいささか好戦的すぎる態度であった。
己でもいまいち理解していなかったが、あの日のことを思い出すと驚きのほうが大きかった。
恐らく相手の敵意に当てられたか、今では少なくとも桐竹を狙わない以上抜く理由もない。
「公安兼風紀の湖城惣一だ。……知り合いのようだな」
 新たに現れた乱入者。彼の呼びかけと、背後の桐竹の言葉。それを受け、交互に視線を向けて。
 緊張感がないわけではないが、彼もまた自然体ではあった。

虞淵 > 「ヤる気のねェ風紀に女にガキが彷徨く、
 ロストサインどもが幅ァ効かせてた頃のほうが幾分刺激的だったかもなァ」

ふーっと白い煙を吐き出す

「よく言うぜ。力比べが本気で嫌いな男なんざいねェよ」
湖城の言い分には再び喉を鳴らして嘲笑うのだ

相楽 満 > 「あ、スンマセン。湖城先輩でしたか」

謝る。名前を間違えるのはよくないことだ、と・

「桐竹先輩はー……サマソの練習じゃなさそうッスね」

いつぞやのトラウマを抉る。容赦なし。

相楽 満 > 「お、いいこと言うッスねオッサン。
 やっぱ男に生まれたからにゃ、強くなりてーッスよね」

へらへら笑い、大男に近付く。
強さ、とはイマイチ結びつけにくい、ゆるい少年が目の前に来る。

桐竹 琴乃 > 「い、今それを言われてもこう、反応しにくいけど」
目を少しだけ瞑りまた開く。

―――。
とにかく、コジョーをやったのがコイツだというのなら。
姿を見てもわかる。
片やピンピンしているし、片方は包帯でぐるぐる巻き。
どちらが勝ったのかは明白であろうし。
私がどうにか出来る範疇ではないのなら。
このままやる気が削がれている方がいい。
何事も無く、やりすごせるならそれがいい。

って。
前に出る相楽を見て少し硬直する。

湖城惣一 > 「……」
 別に力比べが嫌いというわけではない。
ただ、それに意義を見出せないだけだ。
己を高める手段として武術を学んではいるが、詰まるところそれは自分のみで完結することが故に。
 どこまでも己のみで完結しようとする男。それが湖城惣一だ。
故に、軽薄ともいえる笑いを浮かべながら虞淵に近づく少年も。
ああ、なるほど。と、そう思うだけで止めようとはしない。
 ――ただ、桐竹の前に立つ。
「さまそ?」
 疑問は抑えられなかった。

虞淵 > 「何だオマエは、馴れ馴れしいヤツだなオイ」
自分のこと棚に上げた超発言をしつつ、煙草を吐き捨てる

相楽 満 > 「まぁまぁ。
 いやすげー筋肉、めっちゃくちゃ鍛えてんなー……」

まじまじ見て、けれど馴れ馴れしいと言われると笑いながら数歩下がる。

「あ、湖城先輩、ちょっとお尋ねしたいんスけど。
 グエンって名前の男のこと知らないッス?
 風紀委員さんなら知ってるかもしれないんスけど」

本人を前に、別の人間に尋ねる。
名前だけ知って、この路地裏に飛び込んできたらしい。
にへ、と笑顔を浮かべている。

桐竹 琴乃 > 「忘れろ」
コジョーが見た事も無い程の冷たい視線であった。

ってそうではない。
「相楽君?ええと」
とにかく止めなければ。
そう思い声を掛ける。

湖城惣一 > 「…………そうか。努力しよう」
 冷たい視線を背に受けながら、顎を撫でる。一筋の冷や汗をかいた気がするが気にしない。
 ――とにかく。それぞれの態度を見るに、恐らく一荒れするだろう。
そう察するが、止められる気配でもない。故に、
「目の前の男がそうだ」
 と、尋ねれば素直に答える。どうせ止められはしない。
目の前の二人は揃いも揃って自分と同じぐらいには大馬鹿だろう、と。
そんな当て推量を行なった。

虞淵 > 「アん?俺になんか用なのか、坊主」
鋭い視線のままに見下ろす

「俺はオマエのことなんざ知らんぞ」

相楽 満 > 「……えっ、オッサンがそうなの!?」

ばっと振り向く。
にへ、とまた笑顔。
だが、その目の底は別の輝きが灯っている。

「おう、用用!
 何ってさ……オッサン、前霜月芙蓉って女の子犯したろ?
 俺さー、あの子に惚れたみたいだからさ……
 ちょっと礼を……」

両手の指をばきばきと鳴らしながら近づく。
が、途中で止まる。
なんとも言えない表情で、迷っている様子で。

虞淵 > 「霜月芙蓉?」
目線が空へ

「………あァ、風紀委員のあのガキか…。
 向こうから噛み付いてきたんで遊んでやったが、
 クックッ、ガキ扱いが不服そうだったから女にしてやったんだが、気にいらなかったみてェだな」

忘れてたぜ、と言わんばかりの態度を見せる
事実、男は忘れかけていた
その後に出会えた相手があまりにも美味続きだったから

相楽 満 > 「……だーめだ、やっぱ俺無理。
 あいつのためにとかそんな理由で戦う気になれねーや」

うつむいて、少し大きめの声での独り言。
顔を上げると、笑顔が浮かんでいる。
獰猛な獣の目で。

「なぁオッサン、やっぱやめるわ。
 もう見た瞬間ダメんなったわ。
 ……そんなん無しで、ただ喧嘩したくて仕方ねーんだよな」

虞淵 > 「オイ、女。
 この独り言多めの愉快なガキはテメェの知り合いか、さっさと連れてけ、喧しい」

なんかめんどくせェ、というような顔で桐竹を見る虞淵さん

桐竹 琴乃 > 言われなくてもそうしたいですよ―――。
目で訴える。
通じているとかいないとかそういうのはもうさておいてだ。
「相楽君、帰るよ」
ぐい、と手を引っ張ろうと手を伸ばす。

湖城惣一 > 「…………そいつには通じんだろう」
 手を伸ばす桐竹に対して、小さく告げる。
目の前の笑顔の少年は、もはや"どうしようもない"。
いわば恐らく、根は違えど修羅の類に近い性質を持っている。
 遊びたくてしかたがないのか、試したくてしかたがないのか。
なるほど、虞淵の言う"男ならば皆力比べが嫌いではないはず"の好例だろう。
 湖城惣一は、ただ、それを見つめている。

相楽 満 > 腕を引かれても、動かない。
まるで鉄の柱のような腕力で微動だにしない。

「なぁオッサン、やんねーの?」

一歩踏み込む。
ミシ、と音を立ててコンクリの地面がへこむ。
おぞましい筋力で地面に一歩踏み込んだだけ。

虞淵 > 「オマエがそこの湖城惣一よりも楽しめる逸材なら喜んで喰ってやるさ。
 …安い肉が高級な肉の横に置いてあったら不味そうに見えるだろ、坊主」

くつくつと嘲笑う。

相楽 満 > 「……じゃ、一発ブン殴るからさ。
 それで楽しめそうなら遊んでくれね?」

右の拳を握りこむ。
楽しそうに、楽しそうに。
まっすぐ見つめる目は、ゆるいものではない。

おそらく、虞淵と同じ性質のものだろう。

虞淵 > 「…めんどくせェガキだな。
 尻でも引っ叩かねェとわかんねェか」

気だるげにため息をついた

暗に、好きにしろと

桐竹 琴乃 > 「だからやめよって!」
声を上げる。
恐らく聞いてはくれないとは思いつつも。

引っ張ってもビクともしないがそれでも引っ張るのは止めない。

相楽 満 > 「……俺の一手は抜山蓋世の一撃……」

ぽつり、呟く。
右腕に力が込められる。

放てば山に風穴を開ける力で、右の正拳を放つ。

一切の手加減なく、目の前の男も周囲の建物も吹き飛ばすつもりで、打ち抜くために拳を叩き込む。

湖城惣一 >  余波が、来る。間違いなく、衝撃に巻き込まれる。
そう確信すると、桐竹を抱き寄せようと。
戦いを止める気はない。ただ、今はこの友人のことを案じていた。
 少年の攻撃の余波を受けぬよう、桐竹を抱き寄せられなくともせめて身体でそれを遮る。
それに目の前の虞淵はまだ笑みを浮かべているが、いつスイッチが切り替わるとも知れない。
それは、危険だ。

桐竹 琴乃 > 止め―――。


れるほどに。
残念ながら。
彼女は強くは無かった。

衝撃。
身を護り、目を瞑ろうとして。
後ろに引っ張られる感覚。

虞淵 > 「───」

少年の右拳を片手で受け止める

当然、この男といえどその超膂力の異能を持つ少年の力を受ければタダでは済まない───が

男は拳を受け止め、ビクともしない
代わりに、男の足元に深い亀裂が音を立てて刻まれる
……まるで己の体をアース線のようにして全て『流し』たのだ

「オマエのパワーがとんでもねェことぐらいは一目みりゃわかんだよクソガキ」

呆れたように肩を竦める

「身体能力強化、レベルに差異はあれど…、
 この15年でクソ程見てきたし喰い飽きてんだよ。小僧。
 オマエぐらいのヤツは過去の公安や風紀にざらに居たぜ」

この男の異能喰いと呼ばれる所以、
ただの筋肉バカではなく理合や技、洞察力あらゆるものがそれに通じる

相楽 満 > 笑顔のまま、二の手が回る。
今度は左腕の掌打。

「違うだろ?」

それはただの打撃ではない。
どこで学んだか、『鎧通し』の技術が込みだ。
防御の内へと抉りこむような一撃。
流させるならば、その体内に衝撃を駆け抜けさせる。

湖城惣一 >  衝撃が、来る。背中を打ち抜く風は、当然耐えられないわけではない。
友人を抱き寄せながら、飛び退る。動きがまだ少し重い。だが問題はない。
「…………ハ」
 熱い息が漏れる。"奉納"を行なっていない身では抱き寄せ、引き寄せるので限界か。
「帰れ、桐竹。…………いいか」
 包帯の奥が、熱を持つ。

虞淵 > 「フー……」

やれやれと、眉を潜める

「一発ブンなぐるから判断しろ、口約束にしても一瞬で破るのはどうなんだ、オイ」

目も眩むような一瞬、掌打は空を切り、
その一瞬で、姿がブレるように相楽の背後へと回りこんでいる

「もうやめとけ。
 病人ブン殴っても楽しかねエんだよ、わかんねェのか」

相楽 満 > その後ろに、移動した先にまっすぐに右の足が伸びる。
恐ろしいことに、その動きが『見えて』いるらしい。

「だって、楽しいから」

表情はそこから見えないだろう。
だが愉悦は変わらない。
バカにされている、理解していても止まれない。

虞淵 > 「…フン」

蹴りを受け止める、否
その威力をそのままに、相楽へと返す
高度な理合、それを腕一本でやって退ける

「ガキのお稽古に付き合わされる俺は楽しかねェよ。
 風紀がいるってのに、生徒を止めもしねェしよォ」

めんどくせェ、という感情を露わにした表情で湖城を睨めつけてやった

桐竹 琴乃 > 「……」
目をすっと細める。

確かに強くは無かったが。

真に残念ながら。
これを見て黙って帰れるほどに。
彼女は弱くなかった。
コジョーの一言を意に介さず。
前に歩く。

歩く。
歩く。
虞淵を通り過ぎて歩く。

相楽の前まで。

相楽 満 > 完全に返された威力を逃し切り、砂埃一つ立てずに足をそろえた。
んー、となんとも言えない、思案顔。

「……ホンットつえーな。
 筋肉達磨かと思ったら全然そんなことねーし。
 なるほど、勝てない人がいるのもわかるわ」

この男ともう少し遊びたい。
だがここで『次』を出しても意味がない。
今、遊びたいのに。

どうしたものか、と考え込んでいる間に、桐竹が歩いてくるのが見える。
きょとんとした顔で見て。

湖城惣一 > 「…………」
 頭を掻いた。歩く桐竹を止められそうにはない。
羽織の裏から短刀を取り出しながら、最悪に備える。
「まだ分別はつくようだが、はたから見れば君もこの少年も似たようなものに映るだろう」
 だから。手は出さない。生死に関わるならば話は別だが――。

虞淵 > 桐竹が歩いていくのが見えれば、気だるげにポケットから煙草を取り出して口にくわえる

「………ま、しかしもったいねェな」
少年が理合でほぼ倍返しにした蹴りの反動を一瞬で逃したこと
なんとなくそれが男に惜しむ感情を与えた

桐竹 琴乃 > そのきょとんとした顔を思い切りブン殴る。

当然彼女は威力を増幅する異能やら魔術は持っていないので。
威力などある訳もないだろう。

「一撃って言っておいてその約束を反故にして何してんだお前」
キレていた。

殴るのはお門違いも甚だしいのはわかる。

ただ強いとか弱いとか知らないが。
約束をたがえると言うのは違う。

そう、伝えたかった。

相楽 満 > ぺしん、とたたかれる。
それこそ鉄の板を叩いたような感触しか返さないだろう。
が。

「……あ、スンマセン。
 完全に頭から飛んでました」

目の色が元に戻った、気がする。
今までの彼は相楽満ではなかったかのように、元の相楽満の表情になった。

「オッサンもスンマセン、ちょっと頭から飛んでたッスわ」

ぺこりと、頭を下げた。
自分の同級生を犯した相手だというのに、憎しみ一つも見せず、ただ自分の非を認めた。

虞淵 > お、殴った
これには虞淵も苦笑い

「テメー俺の名前知ってんならオッサン呼びはやめろボケナス」
謝罪してくる相楽にはそう返して
「……お前が異能なんざ持ってなけりゃマジで楽しく遊べたかもな」
意味深な言葉をぼそりと呟いた

湖城惣一 >  …………流石に。無表情も、崩れた。
「君たちは……」
 虞淵がこういった気質の男で助かったと言わざるをえない。
「気が済んだなら、帰れ。ここは落第街だ」
 手出しをしていなかったことを、少しばかり後悔しながら虞淵に視線を向けた。

相楽 満 > 「そーだった。
 悪いッス、グエンのオッサン。
 あ、でもさすがにあの子の仇ってことだし、あんまりフレンドリーにも出来ないんスよ」

結局オッサン呼ばわり。
ぽりぽり頬をかきながら、申し訳なさげに返した。

「ウッス、まぁ帰ります。
 グエンって男を見つけるって目的は達成できたし」

にへら、と笑った。
先ほどまでの修羅の笑みとは別の、いつもの緩い笑顔。

桐竹 琴乃 > 「気が済んだも何もない」
肩で息をする。
少しだけ、落ち着く。

「……」
誰に下げたのか。
頭を下げる。
そのまま、相楽と虞淵から離れ、湖城の方へ戻る。

虞淵 > フーっと白い煙を口から吐き出す

何ともなしに、湖城へと視線を返した

「こいつァ暴行事件になんのかい?」

湖城惣一 > 「喧嘩なら後で出来る。……違うか」
 極力、諭すように。言葉が平坦にならないように、やや語調を強める。
「だから、帰れ」
 疲れたように声を漏らすと、再び壁に背中を預けて。おにぎりをもう一つ取り出して、かじり始めた。
 疲労している。その理由は分からないが、とにかく。
「お前が訴え出るならな。お前も無傷だし物証もないが、議題に載せるぐらいはできるだろう」
 虞淵にもそう伝えながら息を吐く。

桐竹 琴乃 > そのまま湖城の後ろまで歩き、気まずそうに立っている。
何を言おうにもどうしようにも。
(怒ってるな……これ)
という一点が頭を支配して動けなかった。

虞淵 > 「クックッ、そいつぁ公安もビビる大事件になるだろうぜ」
愉しげに嘲笑う大男

流石にそんな真似はしないだろうが

相楽 満 > 「うーッス、帰ります。
 スンマセンでした、湖城先輩。
 桐竹先輩、寮まで送りましょうか?」

くぁ、と小さくあくびをしながら歩き出す。

「グエンのオッサン、ありがとな。
 短い時間だったし約束破っちまったけど、マジ楽しかった」

にへらーと笑顔を浮かべ、手を振る。
先ほどまでの羅刹と同一人物とは思えぬほど、柔らかく。

桐竹 琴乃 > 「いや、そのいい自分で帰る」
離れれるはずの場から離れられず。
(私は何をしているのだろう)

考えるがわからない。

虞淵 > 「オウ」

短くなった煙草をくわえたまま、歩き去る相楽の背中を眺める

「湖城よォ、俺ァああいうタイプのガキ自体は嫌いじゃねェが、
 アイツァ危ういぜ、脆すぎる。下手なことになる前にマークしときな」

まるで助言
男の性格からは考えられないような言葉が飛び出た

ご案内:「路地裏」から相楽 満さんが去りました。
湖城惣一 > 「君。……力比べというなら、芙蓉の兄にでも挑め。
実戦形式なら、いい鍛錬になるだろう」
 去ろうとする相楽にはそう告げて。ゆっくりと咀嚼し続ける。
「だろうな。一応報告はしておこう」
 虞淵の言葉には深く同意しつつも。
「お前が15,6の時分にはどうだった。……いや、くだらん話か」
 尋ねて、すぐさま打ち消した。
 その後は動けない桐竹の方を見やって、
「悪いが虞淵。連れが"ひきつけ"を起こしたらしいんでな。
日をあらためてくれないか」
 それは貸しを作る言葉か。肩を揺らしながら、頼んだ。

桐竹 琴乃 > 起こしていない、と言いたかったが。
もう何も言う気は無かった。
ただやっぱりどうしてこうなったのかを考え。

止める。
とりあえず命も何もかも現状では助かったようなので。
それだけに感謝する。

傍から見れば難しい顔をして動かないようにしか見えないが。

虞淵 > 「強ェは強ェが、手応えがねェ、反動がねェ、つまんねェ、力に生かされてんな、ありゃ」
プッと煙草を吐き捨てて踏みにじる
肉体強化系の異能を『持ってしまった』ヤツにありがちだ

「俺が15、6の時ァもうちょっと可愛げがあったもんだ」
一耳で大嘘とわかるような言葉を吐きつつ、ドラム缶に腰を下ろす

「その女にもよく言い聞かせとけよ。
 落第街に迂闊に近づくとロクな目にゃあわねぇぞ。
 昔に比べりゃマシになったとは言ってもな」

湖城惣一 > 「君は注文が多いな。難儀なものだ」
 つまらなそうな虞淵に対しても、僅かに苦笑を漏らし。
手の粘り気を拭いながら、男の忠告にも大きく頷いた。
「ああ。流石にな。……よく言って聞かせておこう」
 視線を向ける。もちろん、"ひきつけ"を本当に起こしたとは思っていないが。
ただの比喩表現につもりであった。
……"言って聞かせる"つもりはないが、話して、彼女の憤りがどうにかなるか。
この後どうなるかも、彼には分かるものではなかった

桐竹 琴乃 > 無意識に髪を触る。
ただ静かに難しそうな顔をして、大人しくしている。
自分がした事を理解しているつもりではあるし、一歩間違えばどうなっていたかもわからない。
「あー……」
言葉にならず、言葉になったとして何を今言うべきなのか。
わからないままはただ唸るような音だけがあがった。

虞淵 > 「それも風紀の仕事だろ。
 頑張って生徒のアンゼンを守ってくれってな」
クククと目を細めて笑う

「万全な状態になったらまた遊ぼうぜ、湖城。
 ヤダつっても襲い掛かるけどな」

湖城惣一 > 「なるほど、違いない」
 相手の笑みは、そう悪い印象を既に覚えていない。
"芙蓉"に関しては思うところがないわけでもないが、
この稼業の都合、挑んで負けた結果については割り切ってしまうところがあった。
「分かっているのならわざわざ言う必要はない。
俺が自分から挑む時は、せいぜい"仕事"のときだけだ」
 挑まれるのならば、流石にかかる火の粉は振り払わざるをえない。
相手が虞淵ならば、本気を出さねば凌げまい。
「あと、昼にお前の代理人と名乗る女が来たが――まあ、よろしく伝えておいてくれ」
 わざわざその一件について詳しく話す必要もないか、と。挨拶に切り替えて。
「……どうだ、桐竹。動けるか」
 もう一度尋ねた。

桐竹 琴乃 > 「へっ」
結局考え事をずっとしていて気づけばただぼーっとしている状態であった。
「え、あ。ああ。うん、大丈夫」
コツコツと靴を鳴らす。
いつも通り、いつも通り。
なはずだ。

虞淵 > 「代理人?」
怪訝な顔をするが、すぐに あぁ と納得する

「エアリアか…何だ、治療費でも請求に行ったか?
 払うこたァねェぜ、車に蹴りこんで無理やり運ばせたのが俺だからな」

湖城惣一 > 「からかい半分でな。君との再戦に備えて万全なサポートをする、とまで言われたが。
俺もいちいち第三者を間に挟むつもりはなかったんでな。
突っぱねたが、それで何かあったら適当にやっておいてくれ」
 軽い事情を説明しながら、ゆっくりと虞淵に背を向ける。
最早今日切った張ったをするような空気ではないだろう。
 桐竹の肩を叩くと、軽く押すようにして。
「ひとまず戻ろう。話はあとだ」
 と、促した。

桐竹 琴乃 > 「……うん」
それを言うのが精一杯である。

とりあえず何事も(起きたけど)起きなかった事に感謝だけはしつつ。湖城に促されるまま動く。

虞淵 > 「クックッ、それでいいぜ。
 ったく、勝手な真似を。仕置が必要だな」
そういうことか、と嘲笑い

「またな、湖城」
まるで友人のように、その背中に声をかける

湖城惣一 > 「ああ、また」
 軽く手を上げて挨拶すると、そのまま立ち去っていく。
少し貧血を引き起こしているのか、やや足元をふらつかせながらも桐竹の背を守るように立ち去っていった。

ご案内:「路地裏」から湖城惣一さんが去りました。
ご案内:「路地裏」から桐竹 琴乃さんが去りました。
虞淵 > 「さ、て……」
ドラム缶から腰をあげる

空も白いで来た頃だ

「ホテルに戻るとするか」

食い足りない部分はある
まぁいい

足りないなら埋めればいいだけのことだ
自分の元にはまだまだ食い足りない女がいる

暫くは満たされた生活が送れそうだ

ご案内:「路地裏」から虞淵さんが去りました。
ご案内:「路地裏」にクロノスさんが現れました。
ご案内:「路地裏」に能見さゆりさんが現れました。
クロノス > 落第街の路地裏、その漆黒を引き裂くように、
純白のマントを翻して歩く。

鉄底の靴の音が高らかに響き渡り、
それに怯えなくてはならない人間は闇へ消えて行く。

手には二本の鎌を携え、口に歪な笑みを浮かべ、
その無人の漆黒を歩く。―――獲物を探して。

能見さゆり > 【落第街。
比較的まともな時間を見てこの周りを歩くくらいしかできないため、最近の活動は限られている
正直、修復のことも考えるとだいぶ後手後手だ
それ自体は特にどうということはないが、逃走も難しいとなると危険度が高い
そういった意味では立体的に動ける路地裏周辺の建物が多いあたりや大通り周辺が主な活動場所となる

そして最近噂に登る……おそらくは今もっともこの界隈で名前が挙がる人物が目の前にいる】

……あら、これはこれは。
室長補佐代理ご就任、おめでとうございます。

【能見さゆり、どこまで知っているかは知らないが、西園寺の事件の際、その子飼いになってたとされる人物だ】

クロノス > 『それにしても―――。』
二本の鎌を同時にひゅんひゅんと数度振るう、
異能と違って、彼の『剣術』は記憶として引き出している。
それゆえに、その業を振るえば、その経験を自動的に追体験する事になる。

人を斬るという快感、そして、女子供すら容赦なく斬った記憶。
そして、それを良しとする『感性』。吐き気がする。

『あまり振るえば飲まれる、か』
ずきずきと痛む頭を抑え、片方の鎌を消す。
これは、強敵に当たった時にだけ頼る事にしよう。

そう頷き、帽子の鍔を摘んだ所で、
―――目の前に立つ少女に気がつく。

「お祝いの言葉有難うございます、監視番号24番。」

にっこりと目の前の少女に笑いかけた。
能美さゆり、偲様が『天使』を降臨させた時に、協力していたロボ娘だったか。
だが、道具は所詮道具、別に彼女の考えに共感して協力したわけではない。

目の前のソレは味方でも敵でもなく、ただの道具だ。
偲様が居ない今、既にそれは別の人間の手に渡っているのだろう。

能見さゆり > お噂はかねがね伺っております。
なんでも……当時の西園寺さんに対する数少ないご支援を頂いていたとか。
あの時期にそういった方は多くはありませんでしたので、僭越ながら私からも礼を。

【今の鎌操術、気にならないところがなくはなかったが、とりあえずイマの話題はそちらではない
この人形は、西園寺の名前を口にする。
クロノスがその辺り表立って動いている数少ない人間であること自体は知っているため
まだ、マスターはロストしたものの死亡していないという認識の人形にとって、意見を聞くべき人物であったからだ】

クロノス > 「まぁ、同部署でしたからね。
 それに偲様には、『個人的にも世話になって』いましたから。」

そう言って、口元を歪める。
―――あの頃は幸せだった。

「ええ、私からもお礼を言わせて貰いますよ、
 彼女の志の為に動いて下さったのは事実ですから。」

太めの、それこそ椅子のかわりになるような杭を作り出して地面に突き刺すと、そこに腰掛け、足を組む

「で?別に当時の思い出話をしにきたわけではないんでしょう?」
そう言って目を細めると、彼女を見る。
 

能見さゆり > 私の素性までご存知でしたか。
でしたら話が早いです

【素性を知られているとなれば、西園寺にだいぶ近いのだろう
当時公安に正体を知られているというのはごく僅かであり、それなりの立場の相手に限られていたのだから
もしかしたら現在の地位になってからの話なのかもだが】

……現状、私としてはあまりよい動きはできないのですが。
故に害来種の件では満足に活動できませんでした。
ただ、マスターの意志として私がどうすべきか確認したいだけです。

ロストしたことは私も知っていますが、死亡したわけではありませんから、実際、私の立場としては曖昧な状態にあります。
現状、自由行動状態にありますが、西園寺さんの意志について確認手段があるならぜひ知りたいところです。

【深々と礼をしつつ、逆光の中、笑顔でそう答えた】

クロノス > 「―――立場、そう、立場ですか。
 現在の命令は『学園の秩序の為に働け。』でしたっけ。」

頬杖をつくと、瞳を伏せる。

「ならば、彼女の最後の命令に従うのが筋というものでしょう。
 命令は下されていて、決して遂行されてはいない。
 この学園の秩序は、未だ回復していない。
 ―――いや、偲様の望むモノにはなってはいない。」

杭から立ち上がると、逆光の彼女の頬に指を添え、
彼女の瞳を覗き込む。

「私は『異能』によって彼女の記憶、そして異能を持っています。
 それを信じるか信じないかは貴女次第ではありますが、
 今貴女に下されているその命令は、間違いなく彼女の意思であり、願いですよ。」

『ま、ロボ子なら私の異能くらいデータにあるんじゃないですか?』
と、付け加えつつ、彼女から身を離す。

「その命令を遂行する為に『助言』が必要なら、その役目は私が担いましょう。」
そう言って、にっこりと笑った。

クロノス > これまでのやり取りで確信する、
彼女は未だ偲様をマスターとして認識している。

やろうと思えばマスター権限を再度書き換え、
彼女を自身の手駒にする事もできるのだろう。

だが、偲様によって命令を与えられ、
それを基準に行動する彼女は、正しく『彼女の道具』だ。
自分が恋焦がれ、憧れ、そして崇拝すらしている『彼女の道具』だ。

動けない彼女の代わりに動き、彼女の望みを叶える道具。
―――そんな奇跡を、自らが壊せよう筈もない。

口元を歓喜に歪め、瞳を恍惚に潤ませる。
彼女の意思で動く彼女の道具に、彼女の面影を見る。

さゆるの肌をなぞった指先を唇に当て、ただ想起に耽った。

能見さゆり > ……そうです。
その西園寺さんの指定を知るものは公安にはいませんから、その時点で記憶の確認は取れていると判断します。
お話が早くて助かります。
そうです、今の私には確認手段がありません。ですから、そのための助言を欲しています。
また、接触時期としては現在のクロノスさんの立場がもっとも有効と判断しております。

つい先日までの、前室長補佐代理による子飼いの時期や個人行動でしたら危機的状況に陥るまで対応できませんでしたが
こうしてご就任なされた現状では有効活用しやすいと判断しています。

あと、私はさすがにクロノスさん……いえ、今は室長補佐代理とお呼びしたほうがよろしいですね……の素性までは把握していませんよ?
風紀として手配対象などになればともかく、公安委員の素性調査などは権限に無いですから。

【きれいな肌、きれいな髪、きれいな瞳
触れるほど近づくほどに明確にわかる
何一つ汚れていないのは、人間ではありえない。さゆりには何の欲もないからだ。
ただただ従い、奉仕するだけの道具。

それ以上の思想も目的も望みも持ち合わせていない故に、純粋であった】

クロノス > 再び彼女に歩み寄ると、彼女の顎に指を添え、彼女の瞳を覗き込む。

「ええ、構いませんよ。監視番号24。
 彼女は生きています、そして彼女は今も、
 学園の秩序を願い続けている。」

さゆりの唇をクロノスの指がなぞる、上唇、下唇と順に。

「つまり、貴女へ出されている命令はそのまま遂行して下さって構いません。
 私が出来るのは『助言』だけですから、
 ある程度は自分で好きに判断すると良いでしょう。
 今後も存分に、『学園の秩序』の為に働いて下さい。」

その美しい彼女の頬を、髪を、いとおしむように撫でる。
ここで言う『学園の秩序』とは、偲の言う『学園の秩序』。
この『道具』にどの程度それが理解できているのかは分からないが、
彼女の意思を少しでも汲み取り、動くならそれで構わない。

「ふむ、難儀なものですね。なら、そうですね。」
『確認は取れているという事ですが、念のため』と、生徒手帳を取り出す。

名前欄の無いそれには、特記事項として
「記憶を読み取る異能を持つ為、その証言は参考程度に聞いても構わない。」
という一文が追記されている。

「―――まぁ、そういうわけです。
 正規のマスターではないので過ぎた事は言いませんが、
 行動の指針の助言くらいは出来るでしょう。」

出来るだけ曖昧に、ただ、
いざという時には自分の都合の良いように動かせるように、
彼女に言葉を記憶させて行く。

能見さゆり > 分かりました。
「助言」をいただけるのは大変ありがたく思います
……そうですね、私には西園寺様への確認が取れない以上は、その確認の取れる室長補佐代理のお話は非常に参考になります。

ふふ……ですから、私が「助言」を聞いてしまうことは仕方ありませんね……?
それにそもそも「助言」ですからね、個人的アドバイスをどうするかは私次第、です。

ただ私の相談に、個人的に乗ってもらっているだけですから。

【唇を触れられれば、わずかに「喜び」を示す態度
そして、微笑。

さらに、この人形は2つの意味を仕掛けてくる
つまり助言とやらに乗っかってやる代わりに西園寺さんの言葉を違えること無く守れ、ということだ
その条件が守られている限り、可能な限り自主的に従いますよと。

最後まで泳がされる使い方をされていたのはこういうところかもしれなかった】

クロノス > 「ええ、それで構いません。十分です。
 助言は自由に受け取り、貴女のほうで判断するといいでしょう。
 偲様の意図と反する助言だと思ったら、無視しても。
 私を彼女の意思の―――。
 『学園の秩序』の敵として殺しても構いません。」

満足気に彼女に笑いかけると、そっと彼女に口づけをする。
予想通り、『味』はしなかった。

「折角助言するんです『仲良く』しましょう。監視番号24。」

彼女の記憶や心の底は異能では量れない。
―――いや知る必要も無い、
彼女には表に表された結果しかない。
無いものは読み取れない、それだけの事だ。

能見さゆり > んぅ……、ふ。
【受け入れる、むしろ積極的に。
望まれれば応える、それはさゆりにとって喜びだ。
そして厳密な意味ではさゆり異能があるわけではなく、またその機能は数多の異能を殺す。
だから、「食う」ことは制限されないが、「奪う」ことには制限がある。
つまり、味はない。

……はずだが。】

ふふ、そうですね……仲良くしましょう、せっかくですから
……友人として。
【そう、友人であるなら仕方がない。
助言も、個人的相談も、接触も、何もかも正当化される。

そして一言付け加える】

……それと、監視番号ではなく、さゆりと。
仲が良いなら、愛称や名前で呼び合うものでしょう。
何か……呼んで欲しい呼称はありますか?

クロノス > この異能は『人間』にしか効果が無い。
限りなく人に近いロボットに『味』があるのかは
少しだけ興味があったが、やはりダメらしい。口元をべろりと舐める。

「そうですね。確かに友人ならば。」

顎に手を当て、暫く思案する。
彼女が名前を呼ばないのは、愛着を持つと
敵に回さざるを得なくなった時に辛いからだ。

「仕方ありませんね、分かりました、
 『さゆり』とお呼びしましょう。
 私の事は『クロノス』で構いませんが、
 それで不服なら『クロちゃん』とでも呼べば良いでしょう。
 実に友達らしくて良いと思いますよ。」

やれやれと首を振る、
聞いていた話だともっと道具らしい道具だったはずだが、
自立行動が増えた分妙なデータでも入っているのだろうか。

クロノス > 「では、私はそろそろ失礼します。暫くは満足に動けないでしょう。
 まずは状態を万全にする事を最優先に考えたほうがいいでしょうね。」

『その状態でのこのこ出て行っても、スクラップになるだけですよ。』
と付け加えて、微笑みかける。彼女が壊されるのは困る。
マスターの改竄がばれると間違いなく破壊するであろう公安は勿論、
マスターの再設定をされてしまう風紀委員、悪用されそうなその他組織の手に渡る事も避けたい。

「では、気をつけて帰宅するように、さゆり。」

そう言うと彼女は再び歩き出す。
路地裏の闇を純白のマントで引き裂いて、鉄底の靴の音を響かせて。

能見さゆり > ……ありがとうございます、クロノス。
ですが、2人きりの時は、ちゃん付けで。

……くすくす、案外かわいらしい側面をお伺い出来ました。
お望みなら「そういう」扱いも構いませんよ?
今後とも宜しくお願いします……クロちゃん。

【少々、惜しいと思わなくもなかったが、唇を離す。
ほんとうの意味で惜しい、というのではないが……ここで彼女の別の面が垣間見えたかからだ。
普段のこれは、彼女の……一面でしかない。

おそらく本当の貌は………………西園寺さんだけに見せていたのだ
だから、特別の呼称と、名前を、分けた。】

はい、まずは万全の体制を。
アズスーンアズポッシブル<可能な限り早く>承りました。
【ASAP。
クロノスは気づいただろうか。
配下の礼を取りつつ、クロノスの姿に沿うような態度に変化したことに。
人形は何を考えているか読めなかったが、最後まで嗤って見送った】

クロノス > 『『さゆりちゃん』ですね、分かりました』
彼女の言葉にめんどくさそうにため息をつき、
振り向く事も無く右手を上げて彼女に別れを告げると、
クロノスの純白のマントは路地裏の闇へと溶けていく。

彼女の態度が姿に沿うような態度に変化する事に気がつく事も無く、
彼女の内に秘めた興味に気がつく事もなく、
ただ、ひたすら、彼女の姿を追うように、

前だけを向いて歩いて行った。

ご案内:「路地裏」からクロノスさんが去りました。
能見さゆり > ……くす。
【ほんとうに。
ほんとうに可愛らしい。
可愛らしいというのはこの場合、クロノスとの関係性を作る上において重要な意味がある。

彼女は求めていることと行っていることのズレに気づいていない。
だから、教えてあげなくてはいけない。

彼女の望んでいる私の奉仕は、この形でありこの形でない。
それには一刻も早い自身の修復と彼女のケアが必要だ
「友人として」成すべきことができた

目標ができれば、人形の行動は早い。
そのまま、目的を設定するとそのための行動を開始した。】

ご案内:「路地裏」から能見さゆりさんが去りました。
ご案内:「路地裏」にスラッシュさんが現れました。
ご案内:「路地裏」に枢木 柩さんが現れました。
ご案内:「路地裏」からスラッシュさんが去りました。
枢木 柩 > 「…。」狐は目を閉じ伏せている。
ご案内:「路地裏」に雨宮 雫さんが現れました。
雨宮 雫 > 20分も経った頃か。

戻りは普通に、路地の裏の奥のほうから姿を見せる。
紙袋とビニール袋を両手に下げて、急ぎ足でさっき別れた場所の方へ。

これで居なかったらどーしよう とか思わないでもないが。

「ごめん、待ったーかな、かな。」

枢木 柩 > 「…。ん、早かったな。1日くらいかかるものと思っていたよ」

居住まいを正してそちらに頭を向ける

雨宮 雫 > 「そんなに待たせたら申し訳なさ過ぎて寿命が縮んじゃうんだね、だね。
 ココの辺は詳しいから安心して欲しいんだね。
 じゃあ……」

はい、これ。
そう言って手に提げた袋を両方相手の前に置いた。

「中に入ってるから、サイズちょっと違う奴買ってきたから。
 合うほうを着るといいんだね、だね。」

枢木 柩 > 「それはそれで困るな…。」
狐ながらも苦笑しつつ

「ふむ、2着も済まないな、ありがたい…」

両方の袋をすんすんと嗅ぎ、向かって右のふくろを口で器用に開くだろう

雨宮 雫 > 「いえいえ、困った時は、って奴なのだね。
 ここで着るなら見張ってようか、少しだけ?

 あ、もう1つも持って行っていいからね、予備にでも。」

置いていたスマホなどを回収しつつ。

枢木 柩 > 「たすかる。この借りは必ず返そう。」

そういって袋ごと物陰に引っ張って行き…ボヒュウ、という爆発音とともに煙が発生し…ごそごそと絹擦れの音がしばらく続くだろう。

煙がはれて物陰から出てきたのは、毛並みと同色の髪、金と青のオッドアイ、そして狐の耳と尻尾を持った背の高い女。

雨宮 雫 > 「じゃあ、ボクが困ってたら助けて欲しいかな、かな、けひひ。」

笑いながら背中を向けて、宣言通りに見張りの真似事でもしておく。
音にちょっと振り向いてみたい衝動が無きにしも非ずだったが……

「ぁ、こりゃまた背の高いお姉さんだね、だね、綺麗だね。」

枢木 柩 > 「引き受けよう…っと……ううむ…」
何やら唸るような声が着替えの途中に聞こえただろう。

「やはり大きいのだな、平均より。…だいたいサイズはぴったりだ、ありがとう。」

もう一つの袋を回収しつつ、世辞はいい、と頬をかく。

胸はない。

雨宮 雫 > 背は大きいが胸はない  という感想を抱いたかどうかは兎も角。

「そう?
 それなら良かった、もう1つは少しサイズ小さいから、ソレを洗濯中にでも……使えばいいかな、かな。

 あと、お世辞ではないよ、大丈夫だよ、それなら生徒で通るよきっと…………アレ、二級生徒かな、かな。」

上から下まで相手を眺めて、うんうんと満足げに頷く。

枢木 柩 > 「うん、ありがたく使わせてもらおう。そうだな、二級生でいいか……。」

「本当に助かった、改めて礼を言わせてもらおう、雨宮雫。」
そう言って頭を下げる

雨宮 雫 > 「じゃあ部屋だけはドコかで確保しないとまずいかもだね、寮には
中々難しいかもだしね。
 ぁ、野宿はオススメしないのだね、本気と書いてマジで危ないからね。」

手を振って、気にしない、気にしない、と笑う。
手間も金も大してかかっていないのは本当なのだし。

「たまたま通りかかったからね、こういう縁は大事にしないとだしね。
 ボクは本土からきた知り合いが増えて、ひつぎんは助かった、ほら、お互い良しだね、だね。
 だから頭下げなくていいんだね、けひひ。」

枢木 柩 > 「ううむ、いい奴だな…」渋々頭をあげるだろう。

「部屋については…まぁ、なんとかなるだろう。寮の一室を占拠しようと思って…まぁ、入学さえさせてもらえればいいし。服もあるから人間の姿で掛け合ってみようと思う」割と楽観的である。

雨宮 雫 > 「優しくするのは、ひつぎんみたいなご同輩にだけだよ、他だったら見捨ててたかもしれないしね、けひひ?

 先に入学試してみればいいんじゃないかな、かな。
 多分簡単だし…………」

なんかちょっと不安な位に楽観してるが、まぁ、駄目だったらそれはそれでいっか、と。

「足についてるの、狐の時もあったけど……
 あ、そうだ。」

枢木 柩 > 「そうしてみよう。……ふむ?」首を傾げる
雨宮 雫 > 「写真お願いしますだね、だねっ」

すちゃっとスマホを構えてにっこりと。

枢木 柩 > 「ああ、そうだったな…。よし撮ろう、撮ろう」狐じゃなくてよかったか?と近づきつつ
雨宮 雫 > 「良し。
 じゃあ…………」

相手の横に並ぶと、スマホのカメラを起動して腕をぐいーっと伸ばして―――

「ひつぎん、ちょっと頭下げて、ボクの頭くらいまで。
 そしたらこの丸いの見てー見てーだね、だね。」

枢木 柩 > 「知っているぞ、こうだろうっ」
少しかがんで、得意げに、少し強引に雫と肩を組めば、レンズに向かってチョキを突き出すだろうか

雨宮 雫 > 「ぉ、さっすがー、それでお願いするだね、えへへ。
 よーし、撮るよーだね、だねっ」

相手の顔に自分の顔を寄せて、こちらも片手をピースに。
にへーっと笑みを浮かべてすぐにカシャ、カシャっと何回かカメラの作動音がするだろう。

「よーし、これで自慢してやろ、けひひっ」

枢木 柩 > 「ふっふっふ、人間観察が活かされた…」すごく満足気である。

「ん、終わったか?」元のように体を離しつつ伺う

雨宮 雫 > 「うん、撮れた撮れただね、だね。」

スマホを操作して撮影した画面を呼び出して、相手に見せる。
まぁ、良く撮れてるんじゃなかろうか?多分きっと、めいびー。

「これを本土の知り合いに送って羨ましがらせるのだね、だね。」

ご案内:「路地裏」から枢木 柩さんが去りました。
ご案内:「路地裏」に枢木 柩さんが現れました。
枢木 柩 > 「ん、問題ないな。」

画面を覗き込み、満足そうに微笑む。

「なるほど、半獣は珍しかろうな、存分に自慢するといい」
ない胸を張る。

雨宮 雫 > 「余り外に出ない奴だからね、きっと悔しがると思うだね、だね。」

スマホを大事そうに袖の中にしまいこむ。
抜いた手にはその代わりに名刺大の紙を取り出して、相手に差し出す。

「ぁあ、ボクはもう行くけど、コレあげる。
 何か困ったらこの店に行くといいんだね、ボクの名前出せば悪い扱いはされないからね。」

表には 「紅棍」という赤い文字。
裏には 歓楽街の入り口からそこまでの簡単な地図がある。

枢木 柩 > 「なるほどな…」大切な友人なのだろう、と勝手に推測しつつ。

「ふむ。紅棍。どんな店かはわからないが、ありがとう。」紙を受け取って、懐にしまう。

「とても世話になった、達者で。」
大きく頭を下げて見送るだろう。

雨宮 雫 > 「漢方の店かな、かな。
 店主はクズだけど、まぁ、同輩を無碍にはしないよ、けひひ。」

それじゃあね、と手を振ると、最初から向かおうとしていた方向へと歩いていく。

途中、名残惜しげに何度か振り向いて行った。

ご案内:「路地裏」から雨宮 雫さんが去りました。
枢木 柩 > 「…いい奴だった…うん…最近の若者、いいやつじゃないか…私も最近の若者に入るのだろうが…。」

そうひとりごちると、おもむろに壁に足をかける。

「入学か…学園長とか、いればいいんだが。」

太もものバングルが展開され、足を覆う金色の防具となる。

「まぁ、行けばなんとかなるはず…」

そのまま《そこが地面であるかのように踏み込んで》建物の上へ一気に駆け上がり、学園の方へ。

ご案内:「路地裏」から枢木 柩さんが去りました。
ご案内:「路地裏」に虞淵さんが現れました。
ご案内:「路地裏」に朱堂 緑さんが現れました。
虞淵 > 「ハッ……」

巨漢が腕を振り払う
びしゃ、という音と共に壁に血の染みが作られる

巨漢の周りには倒れた男たちの姿

あるものは手足があらぬ方向にネジ曲がり
あるものは、おそらくもう駄目であろう、首があらぬ方向へとねじ曲がる

「サンドバッグにもならねェな」

ゴキゴキと首を鳴らして、つまらなそうに吐き捨てた

朱堂 緑 > 「お、おおお……」

落第街の片隅。
路地裏の一角で、その男は無数の不良に囲まれていた。
そして、いつものように不良に対して一歩も引かず、見栄を切り、不敵に嗤い……正にこれからボコられる。

という、まさにそんなタイミングで、その暴風は現れた。

人の形をした暴威。
暴力を具現化した存在。
人というより、虎か何かにしか見えない。
 
それがあっという間に食い散らかした不良達をみて、ついつい男は感嘆の声を漏らしていた。

ご案内:「路地裏」に橘 臨助さんが現れました。
橘 臨助 > 「……また暴れてたかこいつ…」
なんか怪しいサプリメントみたいなのをガサガサと袋に詰めて携え帰る途中、いつか見た人間離れした人間をみかけた。
「………」
どーするか。用事は…まぁあるにはあるが今日じゃなくていい。どうするか。
思考を巡らせる。
ーーところであそこのモジャっとした黒髪の奴はグエンの近くでなにしてんだ…
と、命知らずに見える男に疑問をむけたりもしつつ。

虞淵 > 「……アん?」

まるで目に入っていなかった、と言うような
すべてが終わった後にようやく男は視線を朱堂へと向けた

「何やってんだお前、かかって来るならさっさと来いよ、オラ」

くいくい、と指を曲げる

朱堂 緑 > 「あ、助けてくれたわけじゃねぇの」
 
まぁ、そうだよな。
どう見ても通りすがりの台風か何かだよな。
当然、進路上にいれば、まぁ……巻き込まれるよな。
 
「あー……俺はあの不良に絡まれてただけの通行人なわけなのでな。
出来る限りはそういうのは遠慮したいところなんだが……それで、何とか通らないかねぇ?」
 
じわりと、笑みを深める。
この男も、元公安である。目前の存在、全く知らないわけではない。
合致する特徴から見るに恐らくこの男……『異能喰い(イート・アビリジョン)』の虞淵。
調査部では公権力をむしろ狩るその様から『首輪集め』などと揶揄されていた超危険人物である。
異能無しでも異能者も魔術師も真正面から喰い散らかすバケモノだ。
出来る限りは回避したい相手ともいえる。

虞淵 > 「はァ…?この程度のチンピラの相手もできねェやつがこんなトコに遊びに来ンじゃねエよ」

なんだよ、とがっかりしたような表情を見せる

こんなのを殴ったところで、今しがた遊んだ連中ほどにもなるまいと

「今度からは大通りを歩きな。
 むしろ落第街に近寄るならそれなりの準備をして来いよ」