2016/05/07 のログ
ご案内:「演習施設」に伊都波 凛霞さんが現れました。
■伊都波 凛霞 > 「お、貸し切り!」
ロッカールームで体操着に着替えて演習場にやってくると誰もいない
これは幸い、とバッグを抱えて演習場に入る
まだ授業で使ったことこそないが、
異能や魔術をぶっ放しても平気な結界のようなものがあるらしい
ここでなら思う存分、鍛えられるというわけだ
誰もいないし、と中央に陣取ってしゃがみ込み、バッグをあさり始める
■伊都波 凛霞 > 先日の落第街での事案
自分の習得しているものがとことん『お座敷武道』であることを自覚した
咄嗟に体が動いたのはたった一度のみ、
合戦組打ちを祖とする古流武術の道場娘がこれではお話にならない
例の時間を話したら、優しい父親とはいえさすがに苦笑させてしまった
「実戦経験、ひいてはその覚悟を培っていかないとダメなんだよね」
保険課の一員としての治療魔術の習得と平行して、そちらにも課題が出来た
やりたいことが無数にある、充実した学園ライフだなーなんて思ったりしつつ
■伊都波 凛霞 > 「徒手じゃ不安だって色々持たせてくれたのはいいけど…うーん…」
バッグから取り出す、色々な武器
あらゆる武器の扱いにも長けてこその武術である、が……
「(確かに長物ばっかりじゃ、学校に持って行きづらいもんね)」
凛霞が特に扱いを心得ているのは刀と薙刀である
さすがにそのへんの目立つものを護身用として持ってくる気にはあまりなれない
「差し当たってはこのへんかな」
じゃらりと取り出したのは長い鎖。先端に分銅がくっついている
■伊都波 凛霞 > ひゅんひゅん、と軽く手元で回転させはじめる
やがて音は鋭く、空を切る音に変わり、そして暴風のような音へと
「───しッ!」
分銅を投擲
長い鎖がしなり、一直線に伸びる
バァン!!
という激しい音と共に、数メートル先で見えない何かに分銅が弾かれる
「おお…こういう仕組み…」
見た目にはなにもないように見えるのに、さすがだなーと感心する
ご案内:「演習施設」に伊都波 悠薇さんが現れました。
■伊都波 悠薇 > 見かけたのは偶然だ。
すごく、楽しそうな顔に見えたが。自分にはどうにも”それだけに”見えなくて。
だから、そっと追いかけてみれば。何かの”訓練”のようで。
邪魔はしないよう、すごく遠く。入り口から眺めるだけにする。
”姉の稽古の邪魔はしない”
それは父親との約束だ。だから、そっとタオルの準備と
スポーツドリンクを備えて。”見取る”
■伊都波 凛霞 > ヒュンヒュン、と分銅を回す
自分の側面に、そして次は反対側を
∞を描くように速度を高める
難しそうに見えてこれをするだけならば実に感嘆
難しいのはここからの投擲である
回転の速度が早ければ早いほどタイミングが難しい
少しでも発射の角度がズレていればあらぬ方向へすっ飛んでいく
それ故に回転の速度を上げ過ぎないのが本来の使い方である
ある程度の速度を以って、直接攻撃たらしめるのではなく相手の刀剣や腕の自由を奪う
が、そういった芸当をこの速度で行えなくては武術家たりえるや、といったところだ
「ふっ」
再び投擲、と同時に鎖が伸びきる前に腕を引き、長さを維持したまま自分の腕と肩を支点に、先端の速度を早める
そのまま姿勢を一気に落として───
ズドンッ!と鈍い音を立てて分銅が目の前の地面に衝突。ちょっとした跡が残る
跳ね上がった分銅を片手で拾って、一息
「まぁこれで足やられたら当分歩けないよね……」
腕の動かし方次第で縦の動きを横に変換できたりもする
相手の足を狙う時は横の動きのほうが良さそうだ、打撃だけでなく距離を長くとれば絡めとることができる
■伊都波 悠薇 > 姉とは違う意識で妹はその動きを見る。
今、姉は稽古の最中。
ならば姉は、最も”最適な動き”ができるだろう。
絡める、折る。動きを封じる。
それらがきっと、できる。その術理は秀才には理解しきれず。
天才が奏でる、壁を超えた先の領域まで至る、のかもしれない。
だが、”父”は――いや、”当代”ならば。きっとこう思ったのだろう。
――”敵に、容赦なく出来なければ意味が無い”
歩けない、では生ぬるい。
「――殺す、くらいじゃないと」
ぽつり、呟いて見つめる。自分ならと、仮定して――
じっと、目から血が出るのではというくらいに。
姉と”別の思考”をする。
真似ができるかどうかは、別として
■伊都波 凛霞 > 基礎しか習っていないものの、扱いに関しては十分と言える
「うーん…それともかく実戦っていってもなぁ…」
実戦でこんなものを使ったら下手をすれば相手が死にかねない
どんな悪人だろうと殺すほどのことはない、と姉は思う
それと同時に、先日のことも思い出す
あの時、咄嗟に出したのが肘鉄だったから、相手はまだ動けた
完全に油断していた相手、やるならば完全に無防備だった急所
自然とそこを狙えなければならない
合戦での組打ちでは即死させなければ自分が死ぬのだから
「(…ま、そこまでしないといけない現代じゃないよね)」
うん、と内心に頷く
要は護れればそれで良いのだ、と納得する
鎖分銅をまとめ、バッグに放りこむ
じ、と眺める先は…おそらく遠隔コントロール用の的だ
袖口から苦無を、目にも留まらぬ動きで3つ
カカカンッ!!という小気味良い音と共に全てが中央付近に命中する
これはバッグから取り出したわけではなく
父に言われ服の下に仕込んで持ち歩くようになったものだ
■伊都波 悠薇 > 邪魔をしないように、しながら。
じっと、じっと見つめていく。思考は真逆。
だが、それでいい。それでこそ”バランスが取れているのだから”。
本人が、それに気づいているかどうかは別にして。
世界の法則は保たれ続ける。
「……ぁ。ぇ?」
少し、野蛮な思考をしていたのを自覚する。
何を考えてたんだろうとおぼろげに。かかんっと、いう音に我に返ったかのように。
見取りは、そのままに。相変わらず綺麗だなぁなんて。
また、さっきまでとは違う思考をしながら――
見取り、は幼い頃からだからなれたものだ。
おかげで、今の自分があるとも言える。
しかし――
ちょっと気が緩んだからか、気配が滲む
■伊都波 凛霞 > 「ふふ、ナイスコントール」
あそことの間に結界があったらかっこ悪いとこだったな、と思いつつ
ふと小さな気配を感じて
「ん?」
くるりと演習場の入り口に目を向ける
■伊都波 悠薇 > 「……オンバサラウンっ」
変な声を出しながらさっと隠れた。
けど、髪が丸見えである。あとお尻。
とっさでおしりが隠しきれてなかった様子。
『頭かくして尻隠さずの体現、お見事だぜ、はるっち……』
■伊都波 凛霞 > 「…はい?」
寄生をあげて隠れる様子に首を傾げる
見えているお尻がなんとも間抜けで、溜息が漏れた
「なーにやってんの、はるか」
頬をかりかりと掻きながら、妹にそう声を投げかけるのでした
■伊都波 悠薇 > 「え、あその、えっと……なにやら強張った顔をなさっていたようですので……」
バレたなら仕方がない。ゆっくりと顔を出して。正直に。
でもそんなこう、微妙な顔をしなくてもと妹的には思わなくもないわけで。
「お、お疲れなときに差し入れでもしようかと」
そっと、いたずらが暴かれてしまった子供のように
スポーツドリンクと、濡れタオルを差し出した
■伊都波 凛霞 > 「ん…」
強張った顔、と言われてむにむにと両手で自分のほっぺを揉む
友人達の前では比較的笑顔を保っていたつもりだったが、一人になるとダメだなとか
精神修行のたりなさを感じる
「差し入れ?もらうもらう。
いやーさすがはるかっちは気の利く、優しい良い妹だね~♪」
えらいえらい、と受け取って頭を軽く撫でる
隠れたことに関しては特に追求するようなこともなく
「別に遠慮しなくてもいいよ」
たった二人の姉妹なんだし、と付け加えて
■伊都波 悠薇 >
「あくまで気がしただけだけなので、気のせいだったかもしれませんが」
詳しいことは聞いてない、が。姉の中で何かがあったのは確かだ。
それは変化だ。いいことか悪いことか、姉に劣る自分が分かるものではないが。
撫でられれば、そのままスカートの裾を掴みこそばゆいのをこらえるように。
「うん……でも、ほら。一人だったってことだから見られたくないのかなって」
遠慮はしなくても、と言われたので敬語から素に。
そして、ちょっと触れる。心に。
だって、稽古なら別に。父が見てくれるのだから、一人でする必要はないのだ。
あそこまで、期待されている姉だ、そして娘には甘く優しい父だ。
相談すれば、何も言わず稽古を付けてくれるはず。
だけど、あえて一人だった。
それは、きっと――
■伊都波 凛霞 > 今度は小さく、苦笑しながら溜息
「かーんーがーえーすーぎ!
別に秘密特訓だとかそんなんじゃないってー」
最後にもうひと撫でしてから手を離して
「学園生活が少し変わったりして色々考えが心機一転っていうのはあるけど、
今日はたまたま、講義時間に空きが出来たから体動かしておこうと思っただけだよ。
それにほら、これだけ広いと家の道場じゃできないこともできそうじゃない?」
そう、寸止めのような形式ではない、異能や魔術相手の実戦訓練とか
とは心配性の妹の前では口が裂けても言えないなと心にしまう
「そんなことより、はるかのほうはどう?一年生になって変わったことあった?」
■伊都波 悠薇 >
「そうですか?」
愚昧、には測れない部分が少なくとも姉にはあるからかまだちょっと疑い気味だ。
妹だから、口にしなくても通じあってるとかそんなことは全く思ってない。
むしろだからこそ、言われなければわからないのだ。
『家の道場だとアネさんの全力受け止めきれないもんな―。No Impossible woman だもんな』
携帯ストラップが素晴らしい発音で発言しつつ。
「……特、には。いつもどおり。お姉ちゃんが、なんか無茶したことはわかるから心配がぐっと増したことくらい」
釘刺し。昔からやんちゃなのだ。心配する家族の身にも云々と口にする。
ちゃんと伝わってる? と訴える眼差しで。下から覗き込みながら。
髪で隠れて入るが――まぁ、きっと感じ取れるはずだ。
■伊都波 凛霞 > 「アネさんって柄じゃないから」
携帯ストラップに手を伸ばして指でむにむにする
「別に無茶なことなんかしてないよ、大丈夫大丈夫。
心配してくれるのは嬉しいけどお姉ちゃんそんなに柔じゃないよ!」
ぱん、と自分の二の腕を笑顔で叩いて見せて
心配をかけているのはわかる、この妹は昔から鋭いところがあるのだ
ポーズには妹に心配かけるような姉じゃダメだな、と内心気合をいれなおす意味もあっただろうか
「あと、いつも通りじゃダメだから聞いてるのに。
はるか、友達100人作るんじゃなかったっけ?」
■伊都波 悠薇 >
『あちょー、あねさん、ちょー! そのてくはあかんて、あかんてぇ……そして否定するのはそこかいっ』
ストラップは、際どい声を出しつつ退場。
「……う、うぐぅ……ぁ、で、でも。連絡先を交換してもらったし、一人」
電話帳に登録してもらったから多分識ってるだろうが一応念の為に。
自分から声をかけたわけではないし、相手が大人だったからという部分もあるが。
「……100人できるといいなぁ」
『山は遥か高く、たかーく……』
■伊都波 凛霞 > 「そうだね、一人。大事にしなきゃね」
ストラップからは手を離し、くすりと笑って
赤外線通信のやりかたぐらいは覚えさせてあげないとかなと思う
「目標が高いのはいいこと、千里の道も一歩から、ってね。
はるかは私よりもずっと頑張り屋さんだから、きっとできるよ」
見習わないとな、と思う
妹の性格でその目標に挑むのは文字通りの挑戦なのだろう
自分も新しいことに臆さず挑戦しなければ、という気にさせられるのだ
「(はるかが思ってる以上に、お姉ちゃんもはるかに支えられてるんだけどなぁ…)」
そればかりは、何だか言葉に出すのは気恥ずかしい。姉妹だからこそだ
「あと、友達もいいけど恋人なんかも出来ちゃうかもだし、そっちもね」
■伊都波 悠薇 >
「うん。礼は、尽くさないと」
こくりと頷きながら前髪を手で整える。
撫でられて乱れたまではいかないが、ちゃんと目が隠れてないと落ち着かない。
「それは、言い過ぎだよ」
姉が頑張ってないなんてありえない。
だからこそ、もっともっとと思うのだ。じゃないと目が届かないところに置いて行かれる。
行かせてしまうから。
「……こここここ、こいびととか、なにをおっしゃっているのですが姉上様!? っは、まさか、もう既に大人の階段っ……いや、事故ってもしや……」
もんもんもん――
ぼんっ。
いもうとの きゅうしょに あたった
かおからゆげがでた
■伊都波 凛霞 > ああ、また良からぬスイッチが入ったかなといった顔
この妹はたまにこうなる。あえて明言は避けるが
「言い過ぎでもないし。大人の階段は昇ってないし。
事故も全然そんなんじゃないから落ち着こう、はるか」
ほっぺたをむにむにする
ついでに、前髪を戻したのがちょっと気になってしまったので…
「相変わらず。隠すね顔。
可愛んだからちゃんと切るか、ヘアピンで止めたらいいのに」
妹ははっきりいって超可愛いと姉が保証できるほどである
素材は間違いなく良いものが揃っているし
…そういえば、と視線を落として
「こっちもいい加減ブラにしたら?きついでしょ?
下着の買い物くらいいくらでもお姉ちゃんが付き合ってあげるからさ」
苦笑する
■伊都波 悠薇 >
「……ふぁい」
しゅううっと、熱が外に開放される音。
ちょっとうつむき気味にもじもじしつつ。
はぁーーーっと息を深く吐いて。
「うぇ、いえ。それはこう、なんというか」
いつもこうだし、恥ずかしさも強い。
それになにかあって、ぼっちが加速するのも困る。
だから、いくら姉の言葉でも頷くのは抵抗があったし。
「……き、きつくない。お、お姉ちゃんほどじゃ、ないし」
同様の理由で、そっちもまた――
「あ、でもお姉ちゃんはまた新しい下着必要そう? 大きく、なってない? 気のせい?」
そういえばとおもう。お互い成長期。
身体が大きくなるのは自然のことだし。姉は特に、よく食べる。よく動く。
自分よりも、そっちのほうが心配だった
■伊都波 凛霞 > 「なんというか?…うーん、もったいない、はるか可愛いから引く手数多だと思うんだけどなぁ…」
そう言って今度は手ですくうようにして前髪をアップにさせて妹の顔を覗き込むのだった
「そうは言っても押さえつけすぎると成長にもよくないし…。
別にブラジャーつけるくらい恥ずかしいことでもなんでもないよ?」
むしろ多分つけなかったりサラシのほうが目立つ気がする…というのは口には出さない
「んん?私はどうかなー別にきつさは感じないけど…今の下着も1ヶ月ぐらい前に買ったやつだしなー」
ぽよぽよ、と自分の胸を持ち上げてみる
多分、急成長とかはしていない。きっとそろそろ自分の体格的にはカンストだろう
■伊都波 悠薇 >
「え、あ。お、おねっ――」
『あねきがだいたんにせまっておる!?』
さらっと、髪を流せば。母親と姉に似て整った顔立ちが綺麗に浮かぶ。
黒い瞳は透き通り、肌も染みはなく。スッピンでこれである。
「せ、成長は、そのあんまり考えてないし。下着とか考えるとよくないし」
なにがよくないのか、多分わからないだろうが。
多分、そこまで気を回せない気もしているのだ。おしゃれに無頓着、流行遅れなのは少し自覚しているし。
それに、今はいろいろ手一杯だ。
「……――」
すごいなぁと思う、女の自分でも見てしまうボリューム。
それに加えて抜群のスタイルである。
我が姉ながら、恐ろしい。あんだけ食べてもこの体型を維持してるのだから。
■伊都波 凛霞 > 「迫ってない!うるさいすけべストラップ!」
まったく、と手を離す
もったいない、本当に可愛いのに。と
「(よくない…?)まぁ、無理にとは言わないけど…。」
可能な限り、はるかの思うようにはさせあげたい
可愛さあまってついついお節介を焼いてしまうのだけど
「まぁ流石に稽古の邪魔になっちゃうし、そろそろ止まってもらわないとね」
言っても17歳、そろそろ成長具合も天井に行き着くはずだ
■伊都波 悠薇 >
「そうです、そうですとも。勝負下着とか、そういうのかんがえたりいろいろするのはこう、まだ私には速いというか。きっとすぐにダメにしてしまうというか、無頓着ですから知識もないし、いろいろ。そういろいろダメなんです」
ぶつぶつと、つぶやき。早口でまくし立ててふぅっと一息。
「稽古とは、あんまり関係ない気もしますが」
そういうものだろうか。”最適”には……
なんて思案しながら。
(恋人ができたら大きくなるとか聞くけどなぁ)
もんもんもんっ。にへらっと、突然顔がにやけていた
■伊都波 凛霞 > 「(サラシはキツそうだからブラジャーにしたら?っていうだけの話だったんだけどなぁ)」
妹の脳内では苛烈なトリップが起こっているらしかった
そういうところも可愛いし、いいか、と思ってしまうダメ姉
「ん、いやほら組打ちとかの邪魔に……って、どうしたの、はるか」
突然にやけだす妹にさすがにびっくりする姉
■伊都波 悠薇 >
「……っは!? なんでもないです。はしたない」
しまったと、頭の妄想を消しゴムでけ――すのはやめて
アルバムに閉じ込めておくことにした。
「……組打ち。あぁ、そうだ。お姉ちゃん、一個思ったことがあるの」
稽古をみていて、思ったことがあると、付け足して。
殺す気でやったほうが―― 一瞬そう思ったことを伝えようとして。
「……”誰にも負けちゃ、やだよ”」
出た言葉は、ぞっとするくらい重い重い。
そんな風に聞こえた、”重圧(きたい)”だった
声は明るい、誰にもただ案じている妹に見えるが……姉にはどう、映ったか
妹は信じている。誰よりも誰よりも。追いつきたいという夢があるゆえに。
「……こんな時間。そろそろ帰る?」
■伊都波 凛霞 > なんでもない、はしたないと慌てる妹を可愛いなぁ、と思って眺めていたら
「ん?」
なんだか改まったような、そんな声に首を傾げる
毎日顔を合わせ、共に生活し、言いたいこと言い合ってもよい間柄、改めてなんだろうと
続いた妹の言葉はちょっと意外で、
だけどなんだか背中をどんっと押されたような気もした
そうだ、私は姉なんだから、妹を守り続けられる存在であらねばならない
「…大丈夫、心配ないよ。お姉ちゃんは強いんだから」
妹のどういう心が口から出させた言葉なのか
先日の件もあって、不安にさせてしまったのかもしれない
相手の不安を消すように、自分の不安も消すように。にこっと笑って、ハグ
「ん…そうね。あんまり日が傾くと虫も出るし」
夕暮れの山道は今の季節はそんなものである
■伊都波 悠薇 >
「んみゅ……」
豊満に挟まれる、息がしづらい。
ちゃんと伝わったかなと思いながら。いやでも。伝わったに違いないと
姉の顔を見て確信した。
「次は、稽古場に人が居て。相手がいたらいいね」
”次”の稽古を考えながら。
無視の言葉には、すごく嫌そうな顔。
「そろそろ、畑も忙しくなるコロ……用心、しないとね」
じゃあ、帰ろうと。なんとなく手を握りつつ
■伊都波 凛霞 > 姉は虫が嫌いということはないが、農業で生計を立てている我が家にはそれなりに影響もある
嫌いでないとはいっても黒い悪魔とかを可愛いとは思えないし、
無駄に顔に特攻をかけてくる小さな羽虫とかが好きなわけもない
「ん、帰ろっか」
妹の手をきゅっと握り返して
手早く帰り支度を整えれば帰路につく
真っ赤な夕焼け
そのうち自分や妹にもそれぞれ別々の帰り道ができるようになるのかな、
などと思うと少しだけ寂しさを覚える
それまではまぁ、妹を独り占めにしてもいいのだろうと、妙な優越感を覚えながら
ご案内:「演習施設」から伊都波 凛霞さんが去りました。
ご案内:「演習施設」から伊都波 悠薇さんが去りました。
ご案内:「演習施設」にアン・ティークさんが現れました。
■アン・ティーク > 「えーっと、アン・ティークでーす。異能は空気と冷気を操ることでー…」
なんやかんやで始まった、常世学園入学試験。
とはいえ、一般常識試験や精神鑑定などもそこそこにクリアし、残るは異能判定のみである。
まずは自己申告。実技ののち、幾つかの試験を経て能力のランクを判定する、という形式である。
「んー、で。これは何すればいいのかな?」
『ターゲットをその場から動かず、時間内に可能な限り破壊してください。正確性、破壊力、射程を検査する試験です。
それぞれ紙製、ビニール製、プラスチック製、金属製のボールが大きさ、距離ごとに配置されています。
試験開始の合図の後に……』
その説明を聞いているのかいないのか、伸脚や背筋反りなどの準備運動を行うアン・ティーク。
相変わらずのガチガチの拘束服姿だが、下半身の拘束だけは解いている。
■アン・ティーク > 『開始10秒前』
無機質なアナウンスが施設に響く。
それを聞きながらその場でトントンとジャンプしたり、足をブラブラさせたり首を鳴らしたり。
『5秒前。』
ぐっ、と足に力を込める。
『3。
2。
1。』
パァン!という、乾いた音が響き渡る。
その一瞬で、紙袋は全滅、ビニール袋も壊滅。プラスチック球も殲滅され、金属玉がかろうじて原形を保っていた。
■アン・ティーク > 「はっはー、どーよどーよ。」
得意気に口元を歪め、笑う。
その4種類の壊滅原因は、蹴りである。蹴りとともに発生した空気圧が、おそらく空気の鞭となってターゲットを吹き飛ばした。
金属玉は多少ヘコんでいる程度で済んだが、ただの袋では流石に耐え切れなかったようだ。
『開始合図前にターゲットの破損を確認。
フライングと見做し、再度試験を行います。ターゲットの再配置が完了するまで、その場で待機してください』
「えー!?」
それはそれ、であったが。
■アン・ティーク > 「ぶー、せっかくめったにやらない全力で蹴ったのに……」
『試験開始5秒前。3。2。1。開始してください』
「はいはい、わかったよー……」
すっかりやる気を無くしたのか、欠伸を噛み殺しながら再配置されたターゲットに氷の礫をぶつけ、破壊する。
結果、精密性も破壊力もそこそこに微妙、という判定に落ち着いてしまった。
その後、様々な異能適性試験を経て(ほぼ全て適当に流したが)、
結果的にアン・ティークは常世学園の一生徒として認められることとなったのであった。
ご案内:「演習施設」からアン・ティークさんが去りました。
ご案内:「演習施設」に獅南蒼二さんが現れました。
■獅南蒼二 > 相変わらず顔色の悪い白衣の男は、その日、珍しく演習施設へと足を運んでいた。
彼の受け持つ授業でも、前期ではこの演習施設を使うような実習は少なく、殆どが座学である。
だからして、普段は授業の準備のために訪れることも無い。
「……対物…いや、対人演習プログラムで構わんか。」
独り言を呟きながら壁際の端末を操作すれば、演習場には擬似標的が生成される。
■獅南蒼二 > 獅南は静かに、生成された標的の1つに右手を向けた。
瞬時に標的と自分との間に術式を構成し、指輪の魔力を解放して発動させる。
仄かに発光する指輪の1つが光を失い、何もない空間からは指向性をもった炎が噴き出す。
炎は瞬く間に擬似標的を飲み込み、そしてそれを焼き尽くした。
「……やはり擬似的な燃焼は、距離に応じて効率が著しく低下するのだな。」
魔力によって生成された炎の熱化学的な性質はまだ研究の途上だが、
空間に対し拡散する性質は自然界のものと同様である。
よって、その威力範囲は、少なくとも現実的な出力である限り直線的な距離として大きなものではない。
ご案内:「演習施設」に谷蜂 檻葉さんが現れました。
■谷蜂 檻葉 > (珍しい人が居る……。 ええと、アレって獅南先生だっけ?)
時を同じくして、距離を大きく離した場所で魔術の実技練習、【ターゲティング】の訓練をしていた檻葉は、
ふと息抜きに周りを見回して目を瞬かせた。
【異能を持たない】という共通項を持ったクラスの担任であり、
総評として”難しい授業をする先生”としての風聞だけで知っていた彼が、
この汗水を流す場である演習施設にいる事が、思っていた以上に『似合わない』ものだと理解した。
(なにしてるんだろ?)
やがて、彼が簡単な挙動一つで火炎を生み出し、擬似標的を飲み込むのを見ると声を出して聞こえないだろうに拍手を一つ。
完全に、見学気分で……檻の中の珍獣の如く、遠目に眺めていた。
■獅南蒼二 > とは言えそれでも、人体とほぼ同様の物質で構成されている擬似標的はそれこそ原形をとどめていないほどに焼き尽くされている。
人間であれば耐火服や、それこそ防護服を着ていようとも即死を免れることはできないだろう。
だがそれは、火炎放射器を使っても同じ結果を齎すことが出来る。
「……………。」
見学者の存在に気付いているのかいないのか、獅南は次の標的に右手を向ける。
術式は先ほどの構成と酷似しているが、2点、志向性と発動始点に手を加えた。
再び魔力が指輪から解放され、しかし、瞬間的には何も起こらない。
「………。」
獅南がその手を握りしめれば、火炎というよりはもはやプラズマに似た発光と膨大な熱が標的を包み込み、それこそ完全にそれを“消滅”させてしまう。
「指向性の操作を学んでいるのなら、今の2つの違いが分かるかな?」
それから白衣の男は静かに、見学者の方へと視線を向けた。
■谷蜂 檻葉 > 白衣の男が、次の動きを見せる。
ゆっくりと。
手品の種を視るかのようにじぃっとその一挙一動に固唾を飲み、
やがて、虚空から吹き出しては消える火炎に、声を上げた。
―――声を上げた開いた口から、唐突に飛んできた質問に肩を震わせる。
思った以上に朗々と、低く通る声は遠巻きにもよく聞こえた。
「―――へっ!? あ、えっと……」
少しだけ、バツの悪いような表情を浮かべて顔を赤らめながらも『バレてるならもう少し近くで。』と図々しく近づきながら問いに答える。
「最初のは、『炎を 目標地点 へ 作ってから飛ばした』
2回目は、『炎を 目標地点 に 直接創りだした』 ……っていう解答で、合っていますか?」
■獅南蒼二 > 近付いてきた生徒の解答を聞けば、小さく頷いて、
「その解答なら及第点だ。だが、もう1点だけ違いがある。
標的を中心として球状に発動面を構成し、発動方向を標的の中心部に向けた。
つまり、炎が全方位から標的に向けて集中するように発動させたということだ。」
これは、火炎放射器では真似のできない芸当である。
爆心地とでもいうべきだろうか、標的の中心部温度は2000℃に達している。
「……たった1人で魔術の訓練とは、熱心なことだな。」
■谷蜂 檻葉 > 「球状に……あぁ、なるほど包み込むように。」
ポン、と手を打つ様子はのんきに。
……この島にいる多くの存在は誰しもが【誰しもを害する力】を持っている。
一歩踏み外せば凄惨な殺戮が起きてもおかしくないこの島で、しかし暗黙が自然体に昇華され、やがて誰もがそのようなことを故意的に考えることなど無くなっていた。 少なくとも、日々を平々凡々に過ごす一般大衆にとっては。
そしてその理論は檻葉にとっても同じように適用される。
「―――こんな感じ、でしょうか? 『囲んで踊って』」
彼の解説を元に、2アクション。
腰を捻り、腕を軽く振るように半回転を舞い、手を優しく差し出すようにして囁く。
彼女の背後に、薄っすらと光の羽が現出してそれと同時に 先程まで檻葉が居た場所にあった遠く離れた擬似標的の周囲に渦巻くように火焔が現れ、ぐるぐると大きな球を作り、縮みながら理論通り ”消滅”させる。
「訓練ついで、ですよ。先生。 "炎"を気兼ねなく扱える場所なんて、此処かキッチンぐらいですから。」
出来ました! と、花開くように笑って応える。