2016/05/22 のログ
ご案内:「訓練施設」にフィアドラさんが現れました。
フィアドラ > 『ドラゴンっぽいことなら出来るんですけど…』

…少し前、友達に言った言葉です。
少したってから思いました。ドラゴンっぽいって何でしょう?
例えば、炎を口から吐いたら凄いドラゴンっぽさはあると思うのです。

そして、炎を口から吐くその練習が出来るの場所が、そうここ訓練施設なのです!

フィアドラ > 上の口から炎を吐くのは初めてです左とか右の口なら上手く出せるのですが。
流石に上の口意外の口を見せるのは友達といえどもまだ恥ずかしいのです。
上手く出来るか分かりませんが…。
まず、思いっきり息を吸います。
次に体の中の炎を出すときに出す液を喉に流してくれば…

「うぅ…うぇぇ。」

口から何か黒くてぬるりとした液体が出てきました。
…失敗です。

ご案内:「訓練施設」に寄月 秋輝さんが現れました。
寄月 秋輝 >  
しまった、先客が居た。
みたいな顔になった。

とはいえ、別に遠慮する必要も追い出す必要も無い。
刀を携え、少し離れた位置に移動して。

刀を直立させ、その上につま先で立つ。
あとは少女の観察を始める。

フィアドラ > 「はぁーはぁーうぅ…。喉がぬちゃぬちゃする…。」

しかも、これを出すときとんでもなく苦しいのです。
喉に詰まったぬるぬるの大きな塊がゆっくりと外に出ていくような感じです。

これを続ける気にはなれません。少し右手でどうやって炎を出していたか実際にやってみましょう。
手袋をポケットにいれて右手の口を前に突き出します。

(手袋を外した彼女の鱗に覆われた右手の掌にはギザギザとした牙を持つ口が付いている。
 しかし、正面から見なければ開いていないときはそこに口があることは分からないだろう。)

「えいっ。」

右手からは簡単に炎を出すことが出来ました。
結構遠くまで届きます。やっぱり上の口は火を吐くのに向いてないのでしょうか?
さて、もう一度と辺りを見渡すと一人の人間の姿があります。
しかも、こっちを見てました。

「そ、そこの人間さん!もしかして私の右の掌見ました!?」

焦ります、完璧に油断していました!

寄月 秋輝 >  
「見ました」

事も無げに言い放つ。
何も、まるで気にしていない。

「面白い技能だと思います。
 手袋で抑えた炎の具現ですか?」

どうもちょっと違うらしいが。

フィアドラ > 「うう、やっぱり見えちゃったんですね。」

気を付けてたのにこんなところで見られるなんて。
とりあえず手袋を付け直して腕を隠します。
これ以上被害を増やさないようにしなくてはいけません!

「えっと、手袋で抑えたホノオノグゲン?」

なんか勘違いしてるみたいです。
あまり気持ち悪がっている様子もないですし…。
もしかしたら口は見られてないのかもしれません。

「そ、そうそんなアレですよ!私ドラゴンの血を引いているので!炎が出せるんです!」

なんとか嘘をついて乗り切ります。
この手の口が知られたらみんな私のことを気持ち悪がるに決まっているのです。
そうしたらきっと友達も私から離れていくでしょう…。

寄月 秋輝 > 「なるほど、竜の血を」

目をぱちくり。

「僕も神の血を引いてるんですよ」

珍しいでしょう?と小さく微笑む。
そんな衝撃発言から一拍置いて。

「……ということになってます。
 神道の人間……つまり神の子と称された人たちの家系に生まれたので。
 本当はただの人間ですよ」

ただの人間が、細い刀の上につま先だけで立っている。

フィアドラ > 「神って神様ですか!?」

びっくりです。まさか、神様の血を引いている人だなんて…。
じゃあ、もしかしたら直接会って話せるのかもしれません。
この間は神社でうるさくしたことを謝ってあと願いのお礼も言ってもらえるかもしれません。

「って違うんですか…。もし神社の神様と知り合いなら謝ってもらおうと思ってたのに…。」

少しがっかりしてしまいます。
がっかりしたのもつかの間、急に刀の上に乗りはじめたのを見て声をあげます。

「大丈夫なんですか!?足の裏切れて無いですか!」

少し心配になりながら声をかけます。
凄いバランス感覚です。本人はああ言ってますがただの人間だとは思えません!

寄月 秋輝 >  
賑やかな子だな、と無表情のまま感じた。
おそらくこの世界に慣れていないのだろう。

「何か、神社で悪い事でもしましたか?」

さすがにそれはよくない。
が、特に責めるつもりもまるでない。

「大丈夫ですよ、慣れてます。
 僕の大切な集中の仕方です」

心配はなさそうである。

フィアドラ > 「ちょっとあの鈴をならしすぎちゃったんです。多分それでいやだったんじゃないかなって…。」

悪いことでもと言われると自分の失敗を思い出して少し落ち込みながら話しました。
結局、どれだけ鈴を鳴らしても、オサイセンをいれても神様は出てきませんでした。

「凄いです!……。」

もし、押してみたらどうなるのでしょうか?簡単に倒れそうにも全然倒れなさそうにも見えます。
そっと手を出してみたり引っ込めてみたり。流石に急に押したりはしません。

寄月 秋輝 >  
「……大丈夫、それくらいで神様は怒ったりしませんよ。
 やんちゃな子だな、くらいには思われたかもしれませんけどね」

小さく笑い、それを否定する。
信じるもの次第で、神は微笑みもするし怒りもするものだ。
だから『怒らない』と教えてあげることも大切。

凄い、と言われるが、さて。
触りたそうにしているので、刀の上でしゃがんで。
ついでに手を差し出してみた。

「引っ張ってみますか?
 さすがに落ちてしまいますが」

フィアドラ > 「そうなんですか?うう、でもそれはそれで少し恥ずかしいです…。」

神様は結構心が広いみたいです。
でも、やんちゃって思われるのは恥ずかしいので今度神様と知り合いの人がいたら何とか
ルールを知らなかっただけだって説明してもらいたいです…。

「いいんですか!?それじゃあ…。」

そう言ってから人間さんの手を握りました。

(その手触りの良い手袋の下の感触は少女の柔らかさとは全く質の違う硬質的な物が広がっている。
 それは鱗である、竜の鱗。手を握られるならそのような感触を感じるだろう。)

「それじゃあ、3、2、1、0!」

私の力がかなり強いことも忘れて0と同時に思いっ切り引っ張りました!

寄月 秋輝 >  
「それなら今度ごめんなさいって謝ってくるといいですよ」

きっとそれだけでいい、と言い放った。
手を握られると少しだけ硬い感触。
けれど秋輝の手もまた、鍛え抜き刀を振るい続けた結果としてか、びっくりするほどに硬いかもしれない。

「ん……?」

あ、まずい。と直感で思った。
かなりの力だ。

まずは反射的に肩に力を込める。関節が外れないように。
同時に首。ここがガクンとくるとまずい。

引っ張られ、体が傾く。
その瞬間に刀を両足のつま先で挟み、ぱしんと跳ね上げる。

少女の引く力が強いことを信じて、自分の体をちゃんと着地出来る程度に引き返し……

「……うん、なかなかの力だ」

すと、と両足で着地。
さらに宙を回転しながら舞ってくる刀が、秋輝の真横にシャキンと突き立った。

フィアドラ > また今度、謝ってついでにお礼も言いに行こうときめました。
直接あって謝れれば一番いいのですが神社で言っても聞いてくれると思います。多分。

「私だったら絶対転んでます!やっぱり、人間さんは凄いです!」

見事な着地と綺麗に刺さった刀に思わず拍手を送ります。
そもそも、あんな細い所に立つなんて出来ないでしょう。

「あっ…ごめんなさい!痛くなかったですか?」

そういえば力が入りすぎたかもしれません。
人間は割と簡単に怪我したりするので少し怖いです。

寄月 秋輝 >  
「……本当にやんちゃさんですね」

くす、と小さく笑った。
少しだけ予想外だったが、対応は出来た。
他の人間だったらどうなっていたかはわからないが。

「大丈夫ですよ。それなりに鍛えてますから」

こういうタイプの子は責めてはいけない。
努めて優しく接してあげるべきだ。

「……それで、さっきの炎の練習はどうするんですか?」

フィアドラ > 「それなら良かったです!」

なんともないみたいで安心します。
人間もそれなりに鍛えてる人なら少し強めにいってもいけるみたいです。
一つ勉強になりました!

「ほ、炎の練習ですか!?」

ど、どうしましょうこのまま手袋を外せば確実に掌の口が見られちゃいます。
やっぱり上の口から炎を出すしか…。そもそもそれが目的なのです。

「実は手からは炎は前から出せたので今は口から炎を出せるようになりたいんですよ!
 …まだ全然上手く出来ないので人に見せられるようなものじゃないんですけどね…。」

さっきの喉のニュルニュル感も少し口に残っています。

寄月 秋輝 >  
「……なるほど?
 あぁ、竜ですからね、口からも火が出せたほうが竜らしいですね」

正直、手から炎が出れば十分では?と思ってしまったが、すぐに思い直した。
この子にはこの子なりの目標があるのだろう。

「上手く出来ないから見せない、ではいけませんよ。
 『上手い』の判定など人それぞれ。
 今出来ない状態でも、堂々とやればいいんです」

刀の修練も同じだ。
多くの人からかけられた言葉を、自分なりに伝えた。

フィアドラ > 「そう!その方がドラゴンっぽいんです!
血が濃いお父さんとかならもうちょっと上手く出来ると思うんですけど…。」

ドラゴンっぽく出来なかったらもしかしたら、嘘つきっていわれるかもしれません。
それはとてもつらいのです。

「じゃ、じゃあやってみます…。笑わないでくださいね…。」

まず大きく息を吸います。
次に体に流れる炎を出すときに流す液を喉の方に流します。
そして、それを一気に…

「うぅ、うぇ…。」

どろっとした黒い液体が口から少し出てきます。
相変わらず、触感は最悪です…。

「はぁーはぁー、ふう、…どうでしたか?」

…乱れた息を整えて上手いかどうかの判定を求めました。
ちなみに私は下手だと思います。

寄月 秋輝 >  
「……ハーフどころかクォーター、みたいな感じですか……」

なかなか人ならざる者特有の悩みなのだろうなと頷いた。
とはいえ、自分も似たようなものか……と、思考を振り払った。

じっと見ている。
炎は出なかった。真っ黒な何か。

「残念ながら炎は出てないですね。
 でもこれはなんでしょうか」

それに上手いかどうかの評価は下さない。
おそらくどちらで答えても、少女は傷つくだろうから。
近付き、その黒い液体を指ですくう。
少女の口についたものに、迷わず触れて。

フィアドラ > 「はい。それですクォーターです。お父さんがハーフって言ってました!」

半分とか4分の1とかそんな言葉です。
そう、私は色々と中途半端なのです。

「はい…。って何してるんですか!」

急に炎を出すときに流す液を指ですくわれました!
すぐに、その指を私の制服で拭います。

「大丈夫ですか!?指先が痛いとかかゆいとかないですか?」

この、炎を出すときの液が毒でないとは限りません。
なんせ私は本当はヒュドラなのです。4分の1でもその毒は本物とても強いのです!

(しかし、この心配とは裏腹にこの液には毒は含まれていない。強いて問題があるとすれば
 制服で拭った後も指に少しネトリとした感触が残ることぐらいだろう。)

寄月 秋輝 >  
「大丈夫ですよ。なんともありません」

不用心すぎただろうかと思いながら、指を拭われる。
制服を汚させてしまって、これは申し訳ないことをした、と反省する。

しかし指に残る感触をにちゃにちゃと感じて。

「……油に近い性質、ということはないでしょうか。
 それもタールのような粘性の高いもの。
 これを焼いてみたらどうなるかな」

その指先に、空の太陽光を集める。
レンズで光を集めるように。
一気にその指先が高熱になってくる。

(さて、油ならこれで発火するかもしれないが……?)

フィアドラ > 「本当ですか?本当に本当ですか?」

心配になってじっと顔を見てみます。痛そうな感じはありません。
どうやら本当みたいです。良かった。

「で、でも気をつけてくださいよ!そんな風に分からないものを
 触ってたらもしかしたらいつか毒に当たるかもしれませんよ!」

注意しておきます。私が住んでいたところでは大体の物に毒があって
多くの生き物は済みにくい場所でした。

「タール?焼いたら多分すごく燃えますよ!」

指先に光が集まる様子を見ますこれは異能でしょうか?
誰かが異能を使っているところを初めて見ました。

(指先に集めた熱が一気に液体に集まり高い温度を持ち始める。
 本来、炎を吐くときに利用する際は他の体液と混ぜることで密度を調節し更に
 発火しやすくなっているのであるがこの液体単体の場合は熱を溜め込み続けるだけで
 かなり高い温度にならない限り発火する事はない。)

「…熱くないんですか?」

心配になって尋ねます。

寄月 秋輝 >  
「分からない物に触れると……なるほど、確かに。
 僕もよくわからないキノコを食べて死にかけたことがありますから、よくわかります」

何をわかっているのだろうか。
さておき、自分が大丈夫だったのなら問題ない。

ついでに指先は発火しないが、かなり熱い。
正直火傷してそうな気がする程度には熱い。
が、虫眼鏡クラスの熱の集め方では、どうやら発火しないようだ。
しかし熱い。

「……大丈夫です。
 ここまで熱を与えて発火してないのならば、このまま火を吐けるようにはならないかもしれないですね。
 何か別の要素が抜けているかもしれません」

そうあたりを付ける。
指を地面にごしごし擦りつけ、熱いのをごまかしながら。

フィアドラ > 「あんまり分かってるようには見えません…。ちゃんと気を付けてくださいね?」

じーっと、前髪に隠れた瞳で見ます。
2回目ならきっと分かってくれると信じます。

「うーん、違うところ違うところ…。」

別の要素を考えてみます。するとひとつ思い当たりました。
やってみる価値はあります。

「って何してるんですか?もしかしてやっぱり熱いんじゃ!」

地面に必死に指を擦り付けている様子を見て慌てて指に息を吹きかけて少しでも冷やそうとします。

寄月 秋輝 >  
「大丈夫ですよ」

くすっとまた小さく笑う。
少しだけ。少しだけ、昔の恋人に似ていた。気がした。

「少しは熱いですが、気にするほどではありませんよ。
 それより何か思いついたのでは?」

やせ我慢ここに極まれり。
しかし息を吹きかけて冷やそうとする姿に、なんとなくむずがゆい気持ちになる。

フィアドラ > 「はい、そうですよ!今度はきっと成功させますからね!見ててくださいね!見ててくださいね!!」

まずは手袋に覆われてない部分に口をつけてそこを噛みます。
血が少し出るのでそれを口に含みます。
あとは大きく息を吸い込んで。
次に体に流れる炎を出すときに流す液を喉の方に流します。
そして、それを一気に吹き出す!

(小さな、手に持つ花火の方がまだ燃えるのではないかと思うくらい小さな炎が口から噴き出した。)

「どうですか!やりましたよ人間さん!」

ガッツポーズ!をしながら言います。
ちなみにさっき噛んだ後は口を離した時にはもう治っていました

寄月 秋輝 >  
もう一度目をぱちくり。
ほう、と感心した様子。
魔術での炎は見たことがあるものの、口から炎を出したのは初めて見た。

「……すごいですね」

繕わぬ言葉が出た。

「頑張ったら出来ましたね。
 本当は最初から出来たんじゃないですか?」

その喜びように釣られて、少しだけ笑った。

フィアドラ > 「上手くいって良かったです。これで友達にも見せられます!」

凄いですねと言われれば。胸を張って、尻尾をブンブン振ってしまいます。

「そんな事無いですよ!人間さんが何か足りないものがあるんじゃないかって
 指、熱かったのに教えてくれたからですよ!」

きっと私一人では口から炎を吐くことなんてずっと出来なかったでしょう。
これもこの人間のおかげです。

「今日はありがとうございました!」

感謝を込めてお辞儀をします

寄月 秋輝 >  
「よかった。ちゃんと出来るようになって」

なんとなく、嬉しかった。
まるで自分のことのように。

「いえ、あなたの努力の結果ですよ。
 ですから、次からは胸を張ってください」

刀をパチンと鞘に納めて。
彼女の笑顔で、少しだけ胸が晴れた気がした。

フィアドラ > 「それじゃあ、出来たので私は帰って漫画の続きを読みます!」

楽しみだった漫画の続き今はクラスメイトにアンドロイドだっていう事がばれそうになっているところでした。
ドキドキハラハラです!

「それじゃあ、人間さん…ううん。えーと名前なんて言うんですか。」

最後に名前を尋ねます。
ここまでお世話になったのです名前を知っておきたいと思いました。

寄月 秋輝 >  
「僕ですか。
 僕は寄月秋輝と申します。
 アキ、と呼んでください」

ぺこりとお辞儀をしながら名乗った。

「……では、あなたの名前も是非聞かせてください」

フィアドラ > 「ヨリヅキアキさん、アキさんですね!私はフィアドラっていいます!」

さっき言われたように胸を張って名乗りました。

「これからもよろしくお願いします。」

ぺこりとお辞儀をし返します。

「それじゃあ、私はそろそろ帰ります!さようならアキさん!」

出口の方まで行ってしまってから念のために一つ言っておきます。

「良く分からないものは触ったり食べたりしちゃだめですよ!危ないですからね!」

最後にそれだけ伝えて思いっきり手を振ると走って家に帰ります。
さあ、漫画がまっているのです!

ご案内:「訓練施設」からフィアドラさんが去りました。
寄月 秋輝 >  
「フィアドラさん……
 ええ、よろしくお願いします」

ぺこり、礼をして。

「えぇ、気を付けて……」

最後の言葉には苦笑しながら手を振り、見送った。

少しだけ、過去の楔から解き放たれた気がした。

ご案内:「訓練施設」から寄月 秋輝さんが去りました。
ご案内:「演習施設」に水月エニィさんが現れました。
水月エニィ >  
 ……忍耐は練達を。

(鏡花水月、花月、花、冠――)

 ――言い聞かせるように、心の内でまじないを呟く。
 大きく息を吸って、吐いて、長布を長物に見立てて構える。

「ッ、シャ、アアアァァァッ――ッ!!」

 劈くような発声と共に駆け出し、用意されている標的に攻撃を加える。
 唸る布が刺し、叩き、斬り、弾き、それらのなせる獲物のように振る舞う。


「ッ、シャ、アアアァァァッ――、昇り、藤ッ!」

 地を擦り上げるように布が奔らせ、標的に衝撃を叩き込む。
 地を蹴って身体を浮かばせ、捻りを加えながら布を叩っ込む。

「弦ッ、月ッ!」

 轟音と共に標的を叩き伏せて着地。
 そこで区切りとしたのか、大きく息を吐きだした。

「……こんなものね。」

水月エニィ >  
「身体は問題なし。挫いた足も問題なさそうね。」

 鍛錬を通して調子を確かめた後、片付けをしてロビーへ向かう。
 武器として使用したものとはまた別の布……タオルで汗を拭きながら、ゆっくりと向かう。

「喉が渇いたわね。」

 ……のどの渇きを覚え、自販機へと足を運ぶ。
 運ぶ、が。

水月エニィ >  
「……ほとんど売り切れじゃない。」

 並ぶ"売り切れ"と"調整中"の文字。
 調整中で品数が減った事が売り切れを読んだか。
 残っているものもなくはないが、なんとなく気乗りしないラインナップ。

(どうしましょう。他に自販機はあったかしら。)
 

ご案内:「演習施設」に柴木 香さんが現れました。
柴木 香 > コンビニの袋片手に。サボりにきた。
狭い場所よりは広い場所、休日の昼間、わざわざ好き好んで自主練習――なんて。
そういうもの好きもそんなにいるとも思ってなかったのだけど。

「ほへー……人がいる。」

――なにやら自販機の前で唸ってる人がいる。

水月エニィ >  
「……うーんー……」

 ここで妥協するか否か。
 残っているものが軒並みコーヒーやどろりとした濃厚系の果物ジュースである辺り喉を潤すには適さない。
 腕を組みながらうんうん唸っていた辺りで、振り向いた。

 ちっちゃい、愛らしさを感じるわんこの少年が見える。
 エニィの瞳にはそう映った。

「……あら、こんにちは。
 この自販機はほとんど売り切れだから、喉の渇きを癒したいなら別のものを探した方が良いわよ。」

柴木 香 > 「?あ、サボりに来ただけだから大丈夫です。
 ――あや、補充の担当者もサボりです?」

そういうとのそのそと自販機脇のベンチに腰掛けてコンビニの袋をごそごそ。
袋には水やらスポーツ飲料やらお茶やらお菓子やら。マンガの雑誌も入っている。
なんというか練習やら演習する気が全くなさそう。

「……わふ、そうだ。一本要ります?」

投げて渡す――のは急だろうから、、はい、と。
買ってそんなにまだ経ってない様子のペットボトルを一本差し出す。

水月エニィ > 「そう。なら良いんだけど。
 休日だからサボっているのかしらね。あるいは何かに手間取っているのかもしれないけれど。」

 調整中の項を指でなぞってから離れる。
 おたのしみグッズががっつり詰め込まれたビニール袋を視界に入れれば、雑誌らしきものにも気づいたりする。

(今日は休日よね。……アレって早売りかしら。)

 などと思っている所に手渡された飲料。
 あら、と、意外そうな声を零した。

「いいの? 貴方の分がなくなるわよ。」

柴木 香 > 「わふ?どーぞどーぞ。まだありますし。
 なにごとにもそなえあればうれーなし、です。」

言ってる間に次のペットボトル取り出して。
小さな練羊羹をくるくる包装外して、ぱくり、と。

「公園なんかの補充はたまーに遅れますです?
 日曜なら他優先してるのかな。わかりませんけど。」

適当な推論口にしつつ、もぐもぐ。
――練習とか演習とかまったくする気がなさそうな様子。

水月エニィ >  
「備えあれば憂いなし。激しく同意ね。
 ありがと、受け取るわよ。」

 ポケットから財布を取り出して銀色の硬貨を抜き取り、
 ぴんと袋を狙って指で弾く。200円。

「休日まで働くのも大変だもの。ま、仕方ないわ。
 ……って言うか本当にサボりに来たのね。いえ、悪い訳ではないのだけれど、よくここには来るのかしら?」

柴木 香 > 「ですです。余ったら持って帰るだけですし。
 ――わふっ。」

此処で消費しなければ他で消費するだけのお話。
目の前にぴん、と弾かれたものを反射的にぱしっ、とキャッチ。
ついつい飛びつきそうになるのはこれもなんとかのサガ。

「……?別に気にしなくていいのに。
 んー、ときどききますです?本来の目的では来ないですけど。」

つまりサボるときに来る場所の一つなのだが。

水月エニィ > 「飲みさしで溢れないようにね。」

 見事なキャッチが見えた。
 身体に応じて動く尻尾も印象に残る。

「気分の問題よ。
 ……そう。確かに空調も効いていて人も少ない。騒がしくもない。
 サボるには絶好の場所ね。公民館みたい。」

柴木 香 > 「そこは大丈夫です。わふ。」

こくこく頷きながら、練羊羹をもきゅっと食べ終える。
次は何にしようかなー、と袋をごそごそ。だいぶん色々買ってきたらしい。

「んー。僕としては広ければどこでもいーですけど。うん。
 でも講義中とかはそれなりに騒がしいです、ここ。時間が大事。」

要するに人のいない時間を見計らえばいいサボり場所なのだ。

「僕の場合訓練しても仕方ないですし、こういう使い方がいーのです。たぶん。」

次はジャーキー取り出してもぐもぐ食べながら。

水月エニィ > 「……って言うか本当によく食べるわね。」

 見ていると羨ましくなる甘味ラインナップ。
 何より本人が美味しそうに食べているのが食欲をそそる。

「講義中は仕方のない話ね。
 そう言う使い方も良いとは思うけれど、鍛錬しても仕方がない、ねぇ……。」

柴木 香 > 「寒いひもじい死ぬ。です。おいしいもの食べてれば世界は平和です?
 ……あ、どれかたべます?」

もきゅもきゅ噛みながら、頷く。
口を向けたコンビニ袋には、ジャーキーにポテチにクッキーにチー鱈に。買いすぎなくらい買ってあった。

「見てる分には面白いです、けど。……わふ?何か気になります?」

かくん、と首を傾げる。
何か気になるようなこと言っただろうか。

水月エニィ > 「食べられる事は幸福――って、多いわね。」

 覗いてみればこれまた多い。
 ともあれ、袋の中を探る探る。
 
「これは見たことないわね。新フレーバーかしら……。
 ……いえ、鍛錬しても仕方ないって言うのが、ちょっと気になっただけ。大したことでもないわよ。
 ああ、そうね。クッキーを貰おうかしら。」

柴木 香 > 「はーい、どうぞどうぞ。」

人がいればわけれるし、多めに買って損はない。
――ちょっと買いすぎのきらいもあるけど、そこはそれ、大目に見る。

「ん。ぅ?
 えーと。これ以上どうにかなるものでもないですし、平和ですし必要ないです?
 あとねー。練習すると食べたくなるから。」

もぐもぐ。ジャーキーはおいしい。
平和であればそもそも争う技能や異能はいらないです、とかぼんやり考えてたりする。

水月エニィ > 「ん……」

 はむりとクッキーを口に運ぶ。
 甘ったるさと乾いた口当たりは分かりやすいお菓子の美味だ。
 そして飲み物も欲しくなる。

「んく、ん、むっ――」

 頬張って咀嚼して飲む。
 お菓子を堪能して飲み込んだ。

「……っぷはぁっ、確かに動くとお腹が空くし、
 動かないで十分ならば要らないわね。平和は良い事よね。」

 少々羨ましそうに、言葉を零した。

柴木 香 > 「わふー……」

中々にいい食べっぷり。

「……あ、ほかにもありますので、どんどんどうぞ。」

こくこく。
食べ物をおいしそうに食べる人に悪い人はいない。

「そうそう、平和が一番なのです。
 この島だとなかなか平和も享受しづらいですけど。」

自分もジャーキーをほおばりながら。
平和だからできることであり――中にはそういうのを嫌う人もいるのはなんとなく知ってはいる。

水月エニィ >  
 良く食べるし、食べる事を求める食べっぷり。
 余韻を味わいながら再び飲物に口を付けた。

「ふふ、ありがと。
 ……干し肉一歩貰うわよ。」

 ジャーキーを一本掴んで銜える。
 味わいながら咀嚼する。

           "ほんと享受しづらいわよね" 
「あむあむ……ふぉんふぉふょうふゅふぃふふぁいふぁふぉね。
 んく……ま、この島に限った話でもないけれど。島の外は島の外で大変よ。」

柴木 香 > 「はーい。」

もきゅもきゅとまだ噛みながら、袋を差し出す。
うん、よいたべっぷり。買ってきた甲斐も――作られた甲斐もあるはず。うん、よい。

「どっちもどっちー、で。
 意図的に避けやすいだけこちらの方が楽ですけど。……たぶん。」

悪意にあふれているという意味ではあんまりどこも変わらない。
ならまぁ、避けやすいここの方が過ごしやすい。――いや、治安の悪い方にいくとそういうわけにもいかないけど。

水月エニィ >  ジャーキーを飲み込んで一息。
 飲み物で口の中を軽く流して食べカスを取り除く。

「ごちそうさま。
 そう。私は中々避けられないのよね。そういう体質なんだろうけど――
 ――ああそうね。貴方の尻尾の毛でも貰ってお守りを造ればあやかれるかしら。」

  すぐに"冗談だけど"付け加えながらも、その視線は尻尾に向いている。

柴木 香 > 「はい、おそまつさまでしたー。」

こちらはまだもぐもぐと食べている。
元々サボりに来たから暫く居座るつもり。

「うん?いいですけど、僕の毛でお守り作ってもご利益はないです?
 ――あ、火伏くらいの効能はないこともない気がしなくもないです。」

どーせ生えかわりの時期ですし。

水月エニィ > 「ないこともないの」

 思わず復唱。
 本当にご利益のあるような子なのだろうか。
 ……小さく首を振って、苦笑する。

「もう。流石に出会ったばかりの男の子にそんなことお願いできないわよ。
 そりゃまぁ、ちょっと良いなと思ったけれど……自分でなんとかするわ。
 ま、ありがと。ええと……そう言えば、名前を聞いていなかったわね。」

柴木 香 > 「ないこともないです。そこはかとなくある気がするかもしれません。」

たぶん。と付け加えた。
まぁ、本人にもよくわかってない話です。

「自助努力は大事です?
 やりもしないのに助けてもらえるとか思ってるのは、うん、駄目です。
 ……わふ?ああ、これどーぞ。えーとこうだっけ、かおるだっけ……?」

ごそごそとジャージから取り出したのは、名刺。
第六運送部、部長、柴木 香、と連絡先がなんかもうどうしようもなくセンスのないビジネス書体で書いてある。

水月エニィ > 「そ、そう……。
 ………そうね、自助努力は大事よ。助けたって助けて貰えるとは限らない。
 だから自分でやるしかない。他の人は考慮しない。皆がそうすれば――」

 呪いめいたものの混ざった何かを言いかけた所で名刺が目に留まり、視線を移す。
 立ち居振る舞いからは考えられない無骨な名刺だ。

「柴木 香くん、ね。運送業者さんなの。
 ……この名刺は誰かに作ってもらったのかしら?」

柴木 香 > 「あ、でも一人で出来るのも結構限界は簡単に来ますです。
 そこはりんきおーへん、に。です。」

 尻尾ぱたぱた。
 要るから作った名刺だが、減るほど付き合いが増えていくようなものなので渡すのは結構楽しい。

「わふ?それは自分で発注掛けましたです。
 あ、何かご用命でしたら遠慮なくどうぞです。」

 こくこく。お仕事はいつも募集中なのです。
 

水月エニィ >  言葉を止めて、気の紛らわしに尻尾を見る。
 彼に当たる事でもない。

 名刺を受け取って、少し考えた後財布の中に仕舞う。

「そう。しっかりした所に発注を掛けたのね。
 この手の伝手はあんまりないから嬉しいわ。その時はひいきさせて貰うわよ。柴木くん。
 ……ああ、私は水月(みづき)エニィよ。名乗らないのも失礼だから、名乗っておくわ。」

柴木 香 > 「はーい、エニィさんですね。うん、覚えました。
 あ、でも人手のいる輸送は他に頼んで計画練った方がよいです?
 あくまで小規模輸送専門です。わふ。」

宣伝宣伝。
どこからどういう話が来るのかはわからないのだから、話くらいは誰にでも。

「いずれはおっきいのも捌けるようになりたいですけど、いつになるやら。です。」

ずずー。
ペットボトルのお茶をすする。

水月エニィ > 「覚えておくわ。
 ……おっきぃもの、ねぇ。」

 上から下まで眺めてみる。
 確かに大型のものを運ぶには小柄過ぎる。

(その分小回りは効きそうだけど)

 どう声を掛けるものか。
 鍛錬に気が向いていない以上、努力すればと云うのも変な話で、御節介だ。
 とは言えおっきいモノを も 本心からの言葉なのであろう。
 少しの間思案し、口を開く。

「おっきぃものを捌けるようになったときはお願いしようかしら。」

 無難に期待の言葉を掛ける。
 実際に小さなものから大きなものまで動かす力を持っている運送業者と知り合いになれるのならば百人力だ。
 当然、小規模だけでも十分有難い伝手なのだが――

柴木 香 > 「多少は対応しますけど。も。
 数多かったり大きすぎたりすると駄目です。手に負えないです。」

まー、そのうちですそのうちと。
運ぶものに比例して機材も人員も必要になるなら、それを維持できるベースがまず必要。

「はーい、期待だけはされておきますです。」

だからいつになるやらー。という話。
期待されたなら頑張らないとなー、と尻尾がぱたぱた揺れ動く。

水月エニィ > 「なるほどね。
 言葉通り手に余る感じかしら……と。」

 ゆっくりと立ち上がって、いつの間にかに放っていたタオルを回収する。
 空きペットボトルもちゃんと持ち帰る。

「それじゃ、美味しいものも食べさせて貰った所で私は行くわ。
 また会いましょ、柴木くん。ご馳走。」

 軽く口元を緩めてそう告げてから、ゆっくりとした足取りでその場を立ち去った。

ご案内:「演習施設」から水月エニィさんが去りました。
柴木 香 > 「はーい、おつかれさまでーす。」

ぱたぱたと尻尾振って見送り――

「――さて。」
とりだしたのはマンガ雑誌。
推察の通り早売りだった。一足先に読めるささやかな幸せ。

人のいなくなった演習場に、ページをめくる音が響く――

ご案内:「演習施設」から柴木 香さんが去りました。