2016/10/16 のログ
ルベール >  ……………。
 やってきた服を上から下まで眺めて、うあぁ、ぁああ、と頭を抱えて。

「………やりすぎだろ!」

 思わずぺちん、っと頭をはたいて、ため息をつく。
 なんだよこれぇ、と弱音を吐きながら服を手に取って。

「高いってば!?」

 値段に対してダブルツッコミ。
 全くもう、と不満げに腕を組みながらも、一度言い出したのだから渋々、といった顔でその服を手に取る。

「これを私がぁ……?
 マジで言ってんの?」

 うえぇ、と不満そうな顔。

ユウ > 「………ですよねえー!」

頭をはたかれてユウの悲鳴が2度上がった。
それらは衣装の意匠や値段に対するルベールに向いたものであった。

「ああ、いえ面白いものでしたからつい……ちょっとしたおふざけですよ。冗談です、冗談。」

不満そうな顔を苦笑で見上げて取り成す風にしていると、物陰からは先程の男性店員がハンカチをキリっと噛み締めている姿が覗く。
口ほどに物を言う目線が「買ってくれないんですか……?」と切なげだ。

「……ええ、まあ普段の貴女の姿からの対比が気になるといえば気になったのは事実ですけどねえ。
それこそ先程の赤い上着とかのがお似合いでしょうか。」

ユウは背後よりそういった視線を感じてはいたが努めて注力せずオレンジ色の鮮やかなパーカーを眺めた。
存外、気に入った風に見えなくもない。

「私が猫なら貴女は狼ですかね。そういった意匠のもあるやもしれませんよ。」

ルベール > 「まあ、私とあんたいたら、上手くハマりゃあいくらでも稼げるだろーけどさ。
 そしたらまた考えるとしよっか。」

 約束だから一度着てみるけどさ、と服を持って更衣室にしゃっと入る。

「……似合うとかそういうのになると、いつものTシャツでいーじゃん、ってことになるからさ。
 狼か、悪くないね。
 そういうのあるなら、買っていこうかな。
 ……あと、私の身長入るやつね。」

 ごそごそと服を脱ぎながら声をかけ。店員の視線なんてどこ吹く風だ。

ユウ > 「ハマるつもりがハメられる事のないようにしないとですけどねえ。
物事って順調な時程落とし穴があるものですから。……でも今は別に順調でもないか。」

更衣室に消える後姿を見送り、振り返るとそこには狼を模した耳や尾の付いた鮮やかなスカイブルーのパーカーを携えた店員の姿。
白い歯を覗かせた笑みが何処か眩く、正視に耐えない。

「……………………………ど、どうも。」

それを受け取り、男性店員の姿をも見送ると手持ち無沙汰になったのか、猫を模した方のパーカーを試しにと羽織るようにし、
姿見の前で一寸だけ猫っぽくしなを作ってみたり、等々ポーズを作ったりし始める。

ルベール > 「………こ、こんなもん?」

 しゃ、っとカーテンをあければ、ネコっぽいポーズを決める相手を直視して、ふふん、と少しにやけてしまうんだけれど。
 自分の恰好を思い出して、はあ、っとため息。

「……すっげー恥ずかしいんだけど。」

 柔らかい色合いのドレスを身に纏えば、フリルも相まってお嬢様のよう。
 可愛らしいその衣装に恥ずかしそうにカーテンにちょっと隠れ気味。
 大きく開いた胸元から白い肌も覗き、深い谷間の影まで見える。

「……………ま、これは高いし無理だしな!
 ……で、で、…どーなのさ、こういうのは。」

ユウ > 不意にカーテンの開く音にユウがそれこそ猫のような素早さで振り返ると、其処にはにやけた顔を浮かべるルベールの姿。
思わず溜息が返ったが、相手の格好を思えばユウの顔はにやけてしまい、双方表情が前後するような図だ。

「いっそ似合っているのが何だかイラッと来ますねえ……しかし恥ずかしいとは意外な事を。
室内を下着姿でウロウロなされる貴女の言葉とはとてもとても。」

背の高いルベールにも違和感無く合っている事からして、こういった意匠の服にも大型サイズの需要はあるのだろう。
ユウにはそういった需要と供給の関係はそれこそ無関係ではあるが。

「どうなのさ?と言われても……まあ、なんといいますか……普段使いには向いてないですね、うん。
代わりに此方は如何です?」

大きく開いた胸を隠すようにスカイブルーのパーカーが乗せられた。手に取るならば狼を模した耳や尾が付いているのが判る。

「仮装めいたものが多いのは何でもお祭りが近い所為みたいですよ。はろういん、と言うそうで……」

ルベール > 「家の中とここは全然違うっての。
 ………あと外で言うなっての。」

 ぶつくさ不満げに言いながら、相手の持っているパーカーに、へぇ、っと声が漏れ。
 可愛いものが好きな彼女はすぐに食いついた。ぎゅ、っとパーカーを抱きしめつつ、相手の言葉にちょいと首を傾げる。

「……なに、仮装パーティでもあるの?
 いやまあ、別に何があっても不思議じゃないけどさ。

 ……仮装ねぇ、ガッコでそういうのやるのかね。」

 なんて、少し首を傾げながらカーテンをしめて、パーカーを着込み始める。
 ………ふわふわのフリルつきドレスを改めて見るけど、……いや、私にゃ似合わねーな、とため息交じりに脱いで。

「そいや、パーティとかあったらゆーも行くの?
 そういうの、あんま参加してないイメージなんだけどさ。」

ユウ > 「仮装するとお菓子が貰えるとかなんとか。詳しい事は存じませんがー……
学び舎で催されるのなら参加しないといけないんですかねえ。」

外で言うなと言われても言葉は返らず、今の見目に合った猫のような曖昧な笑み顔が返るのみだ。
それに気付いたと見えて、羽織ったパーカーを脱ぐと丸めて脇に抱えもするのだけれど
その様子を見る者は生憎と居ない。

「堅苦しいパーティやら舞踏会やら、そういったのは性に合いませんよ。
ああいったのは大地の連中がお似合いでしょう。」

ユウの言葉にある大地の連中とは彼女達の所属していた国にあって地属性の加護を得た部隊の事を指す。
堅牢で知られる彼らの任務は都市防衛や治安の維持であり、戦線に赴く事は無く団員の構成も貴族が多い。
団長も才が問われはするが基本的には世襲制だ。

「それに其方もそういったのはお嫌いでしょう?だから覗いてみて合いそうだったらでいいんじゃないですかね?。」

それではルベールやユウの居た火や風はどうなのか。と言えばその性質は真逆で、敵地に乗り込む愚連隊のような存在だ。
特に火属性は勇猛と無謀を足して2でかけたような存在と知られている。

ルベール > 「けったいな祭りがあるもんだね。
 いやまあ、こっちの世界なら行ってもいいかな、とは思ってるけどさ。
 だってほら、ここなら待機したり見まわったりもしなくていーわけだし。
 自分の腕さえ鈍らないようにしとけば、自由じゃん?

 普段できないことはしてもいっかなー、なんてさ。」

 からからと笑う。
 頭空っぽの方が夢詰め込めると言わんばかりの空っぽが故の柔軟さ。
 それに同級生でいろいろ知ってる子に「こういうのは楽しんだもん勝ち」的なことを教えてもらった気がする。

「それに、このがっこのメンツで堅苦しいパーティにゃならんだろ。
 私らみたいなもんをあっさり受け入れる場所なんだしさ。」

 その無謀を絵にかいたような団長は、すっかりこの世界で羽を伸ばしていた。
 環境が変わっても気にならない。

ユウ > 「……身軽ですねえ。いや私も人のことは言えやしませんが。
存外、私よりも風精隊の団長に向きかもしれませんねえ。」

良く晴れた夏空のように笑うルベールにユウは嘆息こそすれ何処と無く愉しげだ。
お手上げだ、とばかりに肩を竦めもし、そうしてから首肯して会計に向かおうと歩き出す。

「まあ~色々な御仁がいらっしゃいますし?。何故か言葉が翻訳される御蔭で不便はありませんが
とても意思の疎通が出来るとは思えない方々とも会話が出来ますからねえ。
ともあれ見聞を広めないとですな。差し当たりお友達募集でしょうか。出来れば良い男が宜しいところ。」

レジに到着すると先程の赤髪の男性店員が爽やかな笑顔を二人に向けている。
ユウはやはり、努めて視ないようにしながらルベールを手招いた。

ルベール > 「あっはっは、ダメダメ、偵察にいってそのまま乱戦にするよ、私は。」

 彼女には不向きな任務はたくさんある。
 とりあえず隠密行動はド下手だ。できなくはないが、考え無しに突っ込みがち。

「そーだなー、いろんな奴と話さないと良く分からないし、もしかしたら帰り方を知ってるやつもいるかもだしな。
 ……いー男ねぇ……?」

 相手の言葉に少しだけ困った顔。
 見た目よりもよっぽど初心な炎と、もっと大人な風。

「こいつとこいつ、2つセットな。」

 爽やかな店員スマイルに負けないくらいの明るい何も考えていない笑顔を向けて跳ね返す。

ユウ > 「乱戦ではなく暗殺なら丁度宜しいのに。ルベール・バイパーなんて名もオツかと思ったんですがね。」

ユウの所属する風精隊は世襲制ではないが、団長職に就く際にバイパーの名を受け継ぐ伝統がある。
故に他国からはバイパーナイツと称される向きもあったが、ユウはこの呼ばれ方を余り好まない。

「色々な方と語り合いたいものですね?ええ、良い男。こう……背が高くて、筋骨逞しく堂々とした感じが宜しい。
そういった意味では貴女が殿方であれば結構だったんですがー。」

ルベールを一瞥するように見上げ、その困惑顔を追い出すようにユウの手が彼女の尻を叩いた。
そうして服を無事に買い、店外に出た所でユウの足は案内図に向く。

「さて次は何処に向かいましょうか。他の衣類の見るのでも良いですし腹拵えをするのも悪くない時間帯ですな。」

ルベール > 「苗字はいらないよ、うちの団の連中はそんなもの持たないさ。」

 すぐ死ぬから、とも言われるその理由。
 覚悟をして入るメンバーが多いからか、戦闘力は四師団随一だ。

「……ばっか、やめろよ。 褒められてる気もしないしなんか恥ずかしい。」

 見上げながらお尻をぺちん、とされて、顔を赤くして唇を尖らせる。
 こっちも頭をぺちんとはたき返してやる。

「そろそろなんか食べよー。
 ラーメンでもいいし丼ものでもいーからさー。
 お腹すいたわー。」

 おーなーかー、って子供のように言葉を吐きながら、がし、っと手を掴んで引きずっていき始める。
 こうなった彼女はブルドーザーのようなもの。 止める術は無いのであった。

ご案内:「ショッピングモール」からユウさんが去りました。
ご案内:「ショッピングモール」からルベールさんが去りました。
ご案内:「落第街の武器屋」にオーギュストさんが現れました。
オーギュスト > 落第街の一角にあるとある武器屋。
ここでは様々な武器が扱われている。
オーソドックスな剣、槍、弓から、拳銃、ショットガン、ライフル。
果ては曰く付の魔剣やら、軍用の装備まで、様々だ。

オーギュストは自分の大剣を研ぎに出す為にここを訪れた。
一応、正規の研ぎ屋に出そうとしたのだが、
「見た事無い物質なので研究機関に出すのをおススメします」
との事だった。
だが、研究者に取られでもしたら堪らない。
そんな事で、正規ではない店に頼む事にした。

「頼むぜ」

剣の調査、研ぎ時間の見積もりの間、店を見て回る事にする。

ご案内:「落第街の武器屋」にレイチェルさんが現れました。
レイチェル > 店を回ろうとすれば、オーギュストの視界に入るのは金髪の少女だ。
この学園の制服を纏っており、更にその上からボロボロのクロークを纏っている。
魔法に縁のある者であれば、そのクロークが魔力を帯びた、所謂マジックアイテムの類であることが分かるだろう。

金髪の少女は、顎に細く白い指を宛てがい、ふむ、と小さく息を漏らしながら
、並ぶ魔剣をしげしげと眺めている。

「こんな物まで置いてあるとはな……」

誰に言うでもなく、一人空に向けて言葉を漏らす金髪の少女。
禍々しい魔力を帯びた幾本かの魔剣の前に一人立ち、真剣な表情を浮かべている。

オーギュスト > ふと見れば、金髪の少女が一人。
身のこなしから、なかなか手練のようだ。

しかし、目の前の剣は……

「――やめとけ、やめとけ。そいつはお嬢ちゃんには荷が重い」

相手が風紀委員にその人ありと言われた女性であるとも知らず、そんな声をかける。
剣は禍々しい気配を放ちながら鎮座している。
よくまぁ、こんな品をこんな店に置いているものだ。
しかし――

「――吸血鬼退治にゃぁ、いいかもしらんがな」

あの吸血姫の顔をふと思い出しながら呟く

レイチェル > 「ん?」

声を聞けばくるりと振り向き、小首を傾げる少女。
右手を腰にやり、目の前の男をちらりと観察している様子である。
サファリスーツを着た男。見たことは、無い。
しかし少女もまた男を見て、手練であることを一瞬の内に理解した。
目を細めて、少女は語を継ぐ。

「いや、それなら丁度良い。吸血鬼退治――魔を狩るのであれば、
 そいつはまさにオレの本業だぜ」

未だに少々幼さを残している声色であったがしかし、
並べられたのはそんな言葉であった。

オーギュスト > 「――ヴァンパイアハンターか」

こちらの世界にも、そういう職業の連中は居た。
マリーのようなバウンティハンター、幽霊狩りを専門にするゴーストバスター、珍しい所ではゴブリン専門のゴブリンスレイヤーなんて奴も居た。

オーギュストは少し真剣な目になって言う。

「――俺は『異邦人』オーギュスト・ゴダン。すまねぇが、良ければちょっと教えてくれ。
こっちの世界じゃあ、吸血鬼を倒すのに、何か特別な武器とかを使うのか?」

レイチェル > その問いかけには、小さく横にかぶりを振る少女。

「残念ながら専門家じゃねぇ。
 ヴァンパイアを狩ることもあれば、悪魔祓いをすることもある。
 それぞれの専門家には劣るだろうが、まぁ手広くやれるぜ。
 人に仇なすどうしようもねぇ超常共を鎮める、或いは狩る。
 それがオレの仕事だ」

真剣な目を受ければ、紫眼の少女もまたその目をしっかりと見やる。

「こりゃ丁寧にどうも。レイチェル・ラムレイだ。好きなように呼んでくれ。
 オレもあんたとある意味同胞の――『異邦人』ってやつだ」

重ねられた問いかけに、レイチェルと名乗った少女は少しばかり考えた後に、
こう続けた。

「世界によって事情《ルール》が違うこともあるだろうが……。
 恐らく、吸血鬼である以上は、分かりやすい弱点が幾つかあるだろうよ。
 例えば聖水。銀製の武器、炎、なんかはよく言われてるよな。
 オレも実際によーく使ってるぜ。
 しかしオーギュスト、って言ったか。あんた、吸血鬼を退治する予定でも
 あんのか?」

オーギュスト > 専門家ではないが、幅広く魔を狩っている、という事か。
しかし、並みの専門家よりかは使いそうだ。

「そうか、レイチェル、よろしくな」

オーギュストは頷き、武器を見回す。
そして銀のナイフを掴むと、それを持ち上げ見つめる。

「確かに、吸血鬼には銀の武器が有効だ。
だが、どうしても相手に近づく必要があってなぁ。
弓矢はあいつらの魔法障壁で弾かれちまう」

弓矢では威力が足りず、近接攻撃は反撃を食らう。厄介な事だ。
炎の魔法は、あいにく強力な使い手にかける。

「となると、死角から銀の武器をねじ込むか、あいつら以上の魔力をたたきつけるかなんだが……」

ふぅ、とため息を吐き。

「あぁ、俺がここに来る事になった原因が、吸血姫にコテンパンに負けたってやつでな。
向こうに戻ったら、リベンジする予定なんだ」

その為に、この世界の知識はできるだけ吸収していきたい。

レイチェル > 「死角から捩じ込むのであれば、それなりに射程のある銃器が必要だろうな。
 例えばこういったライフル銃の類なら、弓矢に比べて何倍も遠くから
 銀の弾丸を撃ち込むことが出来る訳だしな」

そう言って、壁に飾られているライフルを指すレイチェル。
弓矢、という言葉に一瞬首を傾げ。ああ、この男はそういう文明レベルの世界から
来たのだろうか、と思い至りなどしつつ。

「吸血鬼以上の魔力を人の身で叩きつけるのなら、それこそ魔剣だろうがな。
 しかしこいつは物にもよるが――刺し違える覚悟じゃなきゃ使えねぇだろうよ。
 まぁ、あんたは魔剣の類についてよく知っているようだから、オレからどうこう
 言うこともねぇだろうがな」

そう言って静かに笑えば腕組みをして、壁に背を預けるレイチェル。

「吸血姫にこてんぱん、にね。そりゃ災難だったな。
 オレがどれだけ力になれるか分からねぇが、何か困ってることがあったら
 いつでも言ってくれ」

オーギュスト > 「ライフル銃……?」

ふと壁を見やると、長銃が飾られていた。
オーギュストの世界にも、魔法機構を使った銃はある。これは科学で造った銃だろうか。
だが、オーギュストは笑って言う。

「おいおい、相手は吸血鬼だぞ。
銃の命中精度と装填速度じゃあ、とても使い物にゃならんだろ」

オーギュストの世界の銃の命中精度は悪い。
戦列を組んで一斉に射撃して、ようやく使い物になる程度だ。
その命中精度では、吸血鬼に対して効果は薄いし、一度撃ったら装填に3分はかかる。

「弾丸を遠くから、ってのは悪い発想じゃぁねぇんだがな……」

うなりながら考えるオーギュスト。
こちらも腕を組み考える。

「あぁ、頼むぜレイチェル。ここに来たのもなんかの縁だ。何とかあいつの対策を考えねぇと……」

レイチェル > 「別に冗談で言ってる訳じゃねぇさ、オレは大真面目だぜ。
 こいつなら一km先から目標に当てられるし、再装填《リロード》の手間
 なんざ慣れりゃ一瞬、ほんの一呼吸の内さ。この世界の銃ってのは、
 そういうもんなのさ」
あの辺まで届くぜ、と店の窓の外に見える廃屋を指差すレイチェル。
しかし成程、どうやら銃が発明されてからそう経っていない、そんな
世界から来たのかもしれない。少しずつ目の前の男のことが分かってきた。

「世界によって色々と勝手は違うものだろうよ。
 あんた、ここに来て色々と自分の世界じゃ見られなかったものを
 目撃して来たんじゃねぇか? これもその一つだってことさ」

壁にかけてあるライフルをこんこん、と軽く指で叩いてみせる。
そうして腕を組み考え込んでいるオーギュストへ、人差し指をピンと立てて声をかけた。

「……後は、そうだな。
 魔法障壁だってんなら、そいつを貫けるだけの付与魔法《エンチャント》の
 使い手でも居ればいいんだがな……銀の弾丸に魔法をかければ、遠距離から
 障壁を破ってぶち込める」

そこでほんの少し間をおくレイチェル。

「……悪ぃが魔法に関しちゃオレは素人同然でな。
 あんたの足を使って、この世界でそういう奴を探して回ってみてもいいんじゃ
 ねぇか? 幸い、この世界には色々な世界の住人も多い。色んな力を持った奴が居るし、
 無駄にはならねぇと思うぜ」

オーギュスト > 「……そんな遠くからか!?」

驚いて銃を見つめる。
その距離からでも当てるとは、いったいどんな構造をしているのか!?

「確かになぁ……付与魔法、か。俺も戻る前に、銃を一丁買っていくか」

銀の弾丸に聖印でも刻んで聖水につけるのはどうだろう。
それを銃の速度であいつのドテっ腹にブチこんでやれば……!

「そうだな、探してみるとする。助かったぜ、レイチェル」

やがて、店主が店の奥から大剣を持ってくる。
そして見積もりを見て顔をしかめた。

「うぇ、こんなするのかよ……」

アダマンタイトという魔獣の甲殻から造られた大剣、やはり普通の研ぎではいけないらしい。
向こうの世界では王国の専門砥師に任せていたのだが。

レイチェル > 「まぁ、驚くのも無理はねぇわな。
 オレだって、最初にこの世界に来た時は驚きの連続だったぜ。
 あんたの気持ちはよく分かるよ。色々苦労があるだろうが、頑張ってくれ」

レイチェルの場合はオーギュストとはある意味で逆、この世界よりも科学技術の進んだ
世界からやって来たので、また違う驚きではあったのだが。

「良いんじゃねぇかな、土産に持っていけば」

話を聞く限りこのライフル銃は彼の世界にとってある種のオーバーテクノロジー
であるようだが、その一丁の銃が彼の世界に持ち帰られた場合、
どのような変化を齎していくのか……などと、そんな考えが一瞬脳裏に過ぎるレイチェル。

あれこれ考えている間に、見積もりが終わったようで。
頭の中にあった疑問や躊躇をひとまずは胸のうちに仕舞い込んでおくこととした
レイチェルであった。自分が知りもしない他世界の変化についてあれこれ考えても仕方ないであろう、と。


「……金は持ってるのか?」

おいおい、とオーギュストの方を見るレイチェル。

オーギュスト > 「――しばらくは、金を稼ぐアテを探さんとなぁ」

はぁ、とため息をつき、大剣を受け取る。
さすがにこの金額は今、払えない。
とりあえずまずは仕事だ。

ライフル銃に関しては、少し知識を仕入れるとしよう。
もし、使えそうならば……

レイチェル > 「まぁ、働き口は沢山あるだろうさ。色々探してみるこったな」

一つ頷けば。
クロークを翻して、レイチェルはオーギュストに背を向けた。

「じゃ、オレは先に失礼するぜ。オーギュストのおっさん。
 まった会ったら、そん時はよろしくな」

金の髪を靡かせながら、歩き始めるレイチェル。
そのまま何もなければ、店を去っていくことだろう。

オーギュスト > 「あ、てめぇこら、俺はおっさんじゃねぇぞ!」

去り行くレイチェルに一声それだけ投げかけ。
そしてオーギュストも店を後にする。

ご案内:「落第街の武器屋」からレイチェルさんが去りました。
ご案内:「落第街の武器屋」からオーギュストさんが去りました。
ご案内:「羽切宅」に羽切 東華さんが現れました。
ご案内:「羽切宅」に影打 鈍さんが現れました。
羽切 東華 > 今夜はお隣さんから頂いたお肉セットを遂に解禁する日である!
それなりに日数が経過しているのだが、冷凍魔法の効果が思ったよりしっかりしてて問題なかった。

そして現在、アルバイトも終えて相棒よりちょっとだけ早く帰宅すれば。
換気扇を回し、窓を開けて網戸越しに。焼肉するので換気しないと部屋に臭いが染み込んでしまう。
で、カセットコンロと網は既にセット完了だ。お肉の方も解凍してお皿に並べてある。
ちなみに羽切宅はテーブルではなく、丸いちゃぶ台。地味にこの少年の拘りらしい。

「そろそろ鈍も帰ってくる頃かな…」

さっき「これから帰る」というメールを貰ったし、準備は既に整えてある。
相変らず右手は黒い手袋を嵌めており、それを無意識ににぎにぎしながら待つ。

影打 鈍 >  
たっだいまー!

(玄関を開ける音とほぼ同時に、無駄に元気な声が響いた。
 そのままやや乱暴に玄関を閉める音が聞こえ、どたどたと走る音。
 そのままやけに上機嫌な赤い顔で部屋になだれ込んできて、)

――とおおおおおおかあああああああああああああああ。

(少年へダイブ。
 手に持っていたコンビニの袋と空き缶をその辺に投げ捨てて、思い切り飛び込んでいく。
 両手を広げて頭から突っ込みつつ、口は唇を突き出したちゅーを期待する体勢である。
 投げ捨てられた空き缶には、「お酒は二十歳から」の文字。)

羽切 東華 > 「お?帰って来たかな…お帰り~~なまく…らああああ!?」

ドアを開ける音とほぼ同時、やたらと元気な声が響いてきた。
むしろ、何時もと違うのは乱暴にドアを閉める音からも明らかで。
内心で不思議に思いつつも、ドタドタ走る足音にそちらへと笑顔を向け…固まった。
え、何でそんなハイでしかも顔が赤いの?むしろ何でダイブしてきてんの!?

「って、いきなり何してんだ君はあぁぁぁぁぁ!!!」

神速で両手でガシッ!と、相棒の顔をキャッチ。そんな唇突き出した酔っ払いとキスする趣味は無い!
むしろ、そのまま顔面挟んでギリギリしながら思う。何だこの酔っ払い。

(……って、お酒飲んだのか!?むしろ未成年!?いや、違う酒に弱いのか!?)

投げ捨てられたコンビニ袋と空き缶を一瞥して戦慄。半分人間になって飲み食いが可能となったはいいが…。

その弊害がこれである。ちなみに、現在進行形で顔面を両手でサンドイッチしている。
幾ら相棒でもこの辺りは容赦しないのが羽切東華という少年である。

「うわっ!酒臭っ!!焼肉これから食べるってのに何飲んでんだよ君は!!」

影打 鈍 >  
んんんううううううううおおおおおおおおおおお。
私とちゅーするのがそんなにいやかああああああああああああああ。

(顔をがっしり掴む相方の手首を掴んで抵抗。
 しかしそこは酔っ払いの力だ。
 もがもがと暴れるも引き剥がす事は出来ない。)

何ってあれだろ肉だぞ肉肉を食べるんなら酒ッ飲まずにはいられないと昔の偉い人も言っていたとかいないとかなんとかかんとかと聞くし肉屋の店主も肉には酒だと楽しそうに言ってたから帰りにコンビニで買ってきて帰りながら飲んでみたらなんだか地面がふわふわするし楽しいし私も東華とふわふわしたいんだよういちゃいちゃしたいするのするんだ私が決めたいちゃいちゃすううううううううるうううううううううのおおおおおおおおおおおおおおおおおお!

(一息で一気にまくし立てる。
 ちなみに飲んだ量はチューハイ一本だけである。
 そこまで酒臭くはないが、この至近距離なら臭うだろう。
 もがもがばたばた暴れながら、唇をにゅうんと突き出す。)

羽切 東華 > 「落ち着けこらぁ!!キスするのは大歓迎だけど、時と場所というかむしろ酒気を抜いてからにしてくれ!!」

と、講義していくがこちらの手首を逆に掴まれて抵抗される。逆ホールドされた!?
でもまぁ、何時もの腕力は発揮できないらしい。酔っ払い故に相応に筋力も低下しているのか。
と、いうかマジで相棒が大暴走モードに入っていた。こういう時はどうすればいいのお隣さん!?

…人の気配を感じない。留守かよ!!スマホを操作する余裕も無かった。
あと、何か色んな意味で俺の身が危ない気がする。何だろう、今までで一番ヤバい気がする。

「だあああああ!!!少し落ち着けって言ってんだろ!!むしろ一気に喋るなら少し黙れ!!
っていうか、落ち着かないとその口に【ピー】を突っ込んで【ピー】を【ピー】するぞコラァ!!」

流石に余裕が無いのか”素”の口調が出でいる上に放送禁止用語が飛び出していた。
実はこの少年、本来の口調は結構荒い感じなのである。こちらに来てからは抑えていたのだが。
しかし今、人生最大の危機(酒乱)に立ち向かう為に余裕が無くなっているのだ!

あと、唇を突き出すな美少女が台無しだよ!!と、いうかこれシラフに戻らないのか直ぐには!?

影打 鈍 >  
歓迎ならしようすぐしよういましようさぁほらむちゅっとむちゅうううううううううううううううううううう!!

(その言葉を聞いて目がキラーンと光った。
 酔って四方八方に分散していた力が、相棒とのキスと言う目的を得てそちらに向かう。
 つまりいつもの腕力が存分に発揮されると言う事だ。
 ぐぐぐ、と少しずつ距離が縮まっていく。)

やーん東華ったらだ・い・た・んいーよむしろ大歓迎だ口と言わず【アァーン】とか【ハァーン】とか【バキューン】とかもう身体中ぜえんぶ東華の形に変えちゃってもいいんだからななんせ私の身体は余すことなく東華のものだなんにも遠慮する事なんて無い勿論身体だけじゃなくて心も東華のものだ当然だろうなんせ東華は私の主っつーかもう旦那だ旦那むしろ私が東華の嫁だよし結婚しよう結婚子供は何人がいい私は男の子二人と女の子一人うおええ。

(べらべら喋っておいて、急に不吉な呻き声と共に俯く。
 幸いまだ身は出ていないが、酔っているのに急に暴れたから若干気持ち悪くなったらしい。
 彼の腹に顔を埋めるようにしながら、呻く。)

羽切 東華 > 「だあああああ!!!落ち着けってコンチクショオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!」

何で相棒の手で人生最大の危機(酒乱)に陥らなければならんのか!!
しかも、こちらの言葉がやる気トリガーを引いてしまったらしく、腕力が戻ってきた。
マズい、ぐぐぐ、と少しずつ距離が縮まってきた。これが素面の鈍ならいい。が今の鈍は駄目だ!

(と、いうか単純な腕力じゃやっぱりあっちが上か…!マズい、押されてる…!)

何故か焼肉パーティの筈がバトルモードになっている構図。むしろこの相棒めっちゃ怖い!!

「何でサラリと人生設計組み立ててんの君!?と、いうかやたらと具体的なのは何で!?最後だよ最後!!あとここで吐くんじゃねええええええええ!!!!」

いかん、俺のジャージとかがリバース塗れになってしまう!一先ず、こちらの腹に顔を埋めている相棒を抱えて洗面所へダッシュ!!


―――しばらくお待ち下さい――



「ぎ、ぎりぎり間に合った…!」

そして、まだ吐いている相棒の背中を摩ってから先に出てくる。
まさか、いきなり酒でハイになってる上にリバースかまされそうになるとは予想外でした。

「鈍~~どう?少しは気分楽になった?」

影打 鈍 >  
――うん。

(幸い胃の中は空っぽだった。
 何も出てこないし、少量の酒を吐いただけですぐに戻ってくる。
 しょんぼりした様子で小さくなり、ちゃぶ台をはさんで反対側に座って小さな声で呟く。
 まだ完全に素面に戻ったわけではないが、先ほどまでの暴走感は感じないだろう。)

あの、ごめんな、その、酒ってちょっと興味あって、美味しかったから、ジュースと同じ感覚で飲んでたら、思ったより酔っ払っちゃって……。
ご迷惑おかけしました、ごめんなさい……。

(気弱になるあまり、いつの間にか刻刀モードになってしょんぼりしている。
 隣ではなくちゃぶ台を挟んで座る辺りからも読み取れるだろう。)

羽切 東華 > 「うん、まぁ半分人になって、飲み食いとか出来るようになったからね…興味が沸くのは分かるよ」

と、溜息混じりにちゃぶ台を挟んで二人して腰を下ろし向かい合う。
どうやら、酒気は完全ではないがそれなりに抜けたらしい。
あと、何故かちゃっかり銀髪バージョンな刻刀モードになってる相棒。

「まぁ、でも鈍が酒に弱いって分かったのは収穫かな…俺もまだ未成年だしお互い酒はタブーって事で」

最終的にはまぁこうして許してしまう訳で。鈍をちょいちょいと手招き。
どうせ食べるなら隣で食べて貰った方が自分は嬉しいと思う訳で。
ちなみに、もし彼女が戸惑っていたら「主命令だけど?」と笑顔で言いのける鬼でもあったが。

「で、どう?焼肉食べれそう?無理なら、まぁ1,2日はまだ持つだろうから何か別にお腹に負担掛からない物を作るけど。おかゆとか」

影打 鈍 >  
(すっかり借りてきた猫みたいな感じになっている。
 手招きされて少し迷うけれど、すすすと座ったまま器用に隣まで移動。)

大丈夫です、食べられます。
――食べます。

(顔を上げて若干力強い声。
 肉は食べたい。
 お腹も空いているし、何より肉だ。
 おあずけなど我慢が出来るわけも無い。)

いえ、あの、弱いというほどでもなくてですね。
一気に飲んだから酔いが回ったというか。
すこーしずつ飲めば、大丈夫、です。

(そうして床に転がった缶チューハイをちらっちら見る。
 どうやら飲みたいらしい。
 一気に飲んで大変な事になったが、少しずつ飲めば美味しいし、悪酔いする事も無い。
 ちなみに年齢的な問題は、生徒登録の際に「年齢:数千歳」と記載しているので問題ない。
 ――人になってからはまだ一ヶ月ほどだが。)

羽切 東華 > (ホント、こっちのモードの鈍って、何か所作が大人びてるよなぁ。体型そのものは殆ど変化してないのに)

等と思いつつ、鈍の返事に笑って頷く。なんで予定通りカセットコンロのスイッチをオンにしつつ。
まぁ、結構上等なお肉を頂いたので食べたい気持ちはあるだろう。

「…まぁ飲みたいならいいけどさ。次に悪酔いしたら…覚悟してくれよ?」

と、目は笑ってない笑顔を鈍へと向けて。次に悪酔いしたらプッツンします的な予告。
少しずつ飲めば悪酔いはしない、という彼女の言葉を疑う訳ではないが…さっきの暴走が酷すぎた。
なので、ややジト目になりつつも、コンビニ袋を回収。
中身は彼女に渡しておこう。そして、当然ながら少年は酒の類は飲まない。

「さて、どれから焼こうか?考えたら焼肉食べた事って殆ど無いんだよね…」

貰った肉はもう皿に並べてあるが…「みすじ」「リブロース」「ざぶとん」「くらした」「ヒレ(シャトーブリアン)」「カイノミ」の6種類。

「鈍、取り合えず醤油とレモンと塩とタレは用意してあるから、そっちの小皿に自分で好きなのチョイスして。
さて、どれから焼こうかなぁ」

影打 鈍 > 気を付けます。
――東華さん、コーラで良いですか?

(しゅんと俯いて了承の返事。
 自分としても明らかな醜態であり、そんな姿を彼には見せたくない。
 彼がコンロに火を入れれば、こちらは立ち上がってグラスを二つ用意。
 冷蔵庫になぜか常備してあるコーラを取り出しつつ、それで良いかどうかを尋ねた。)

私も食べた事無いです。
ヒレはともかくクラシタとザブトンは肩ロースですし、ミスジも肩ですがロースとは別です。
カイノミはバラ肉ですね。
――ていうかどれも希少部位です。

(肉屋で働いているから、その辺りの解説は手馴れたもの。
 それにしても改めてみれば、どれもこれも一頭から少量しか取れない肉ばかりだ。
 まじまじとそれらを見つめて。
 とりあえず最初は塩で肉の味を楽しむ事にしよう。)

羽切 東華 > 「ああ、確か冷蔵庫にコーラあったよね何か…じゃあ御願いしますって事で」

何故か常備してあるコーラ。自分は炭酸はあまり飲まない方だから、相棒が愛飲しているのだろうか?
ともあれ、コーラとグラスを彼女が取って戻ってくれば…その解説にへぇ、と頷いて。

「さすが、肉屋でアルバイトしてるだけあるなぁ。…と、いうかこれ殆どソニアさん鈍のバイト先で買ったんだっけ?
俺が分かるのはヒレ肉…シャトーブリアンくらいかなぁ。」

と、言いつつ自分は早速ヒレから焼いていく。確か肉そのものの旨みがあるので塩とかだけでいいとテレビで見た覚えがある。
なので、程よくヒレが焼けたら、相棒と同じく塩のチョイスだけで口へと運ぶ。

「………!!」

何コレ…何コレ!?物凄く美味い!語彙が貧困だけど兎に角美味い!!

「…これがシャトーブリアン…!!俺でも名前とかだけは知ってるだけあるな…!」

と、妙な感想を口にしつつ相棒のほうを見る。彼女もお肉を堪能しているだろうか?と。

影打 鈍 >  
何でだか、好きで。

(恥ずかしそうに笑う。
 ともかくそれをちゃぶ台へと運び、彼にグラスを渡す。
 受け取ったらそこにコーラを注いで行こう。)

結構お肉に詳しくなりましたよ。
そうなんですよ、その時はあまり気にしてなかった――というかそれどころじゃなかったんですけど。

(何故だかその日は忙しかった。
 普段は表に出ているのだが、その日だけは裏でひたすら肉を切り捌いていたのを覚えている。
 メイド服で。
 こちらはカイノミを鉄板へ。
 しかし初めて食べる焼肉。
 焼き加減がわからず、ひっくり返したり元に戻したり。
 どのタイミングで口に運べばいいのかわからず、困ったように彼の顔を見る。
 美味しそうな顔。
 とりあえず同じ肉、同じ程度焼けば良いだろうとこちらも皿へ焼けたカイノミを取り、塩を振って口に。)

――、……。

(顔がとろける。
 幸せそうな顔でその味がわかるというものだろう。)

羽切 東華 > 「…アレかな。人間の味覚を得た影響かもしれないけど、アルコールの酔う感覚とか炭酸のシュワシュワする感じが鈍は好きなのかもね」

と、そんな事を口にして。自分は酒は当然飲まず、炭酸も偶にこうやって飲む程度だ。
だから、必然的に我が家にある酒とか炭酸は相棒が購入した物、という感じになる。
コーラを注いで貰えれば、ありがとう、と礼を述べつつ笑顔で頭を撫でたい。もうこの撫で撫でがスキンシップになっている。

「鈍は刃物の扱いも当然手馴れてるし、案外天職なのかもしれないなぁ…。
ん?でも鈍の店ってシャトーブリアンも販売してたのか?」

と、そんな質問をしながら、件のそのヒレをもぐもぐ。……美味い。自然と顔が幸せになってしまう。
あまり食べると鈍の分が無くなりかねないので、今度は「みすじ」を焼いてみる。
焼き加減とかは素人なので分かりはしないが、そこは観察眼で見切って程よい加減で焼いていく。

今度はお醤油で頂いてみる。……うむ、こっちも美味い!
隣を見れば、カイノミを焼いて食べている相棒がこれまた幸せそうな顔だ。
うんうん良い事だ、と思いつつ。こうして二人でノンビリ焼肉食べるのも悪くない。

「あ、そうそう鈍。来週の金曜か土曜の夜って空いてる?滝沢君やソニアさんには一応相談してあるんだけどさ。
4人で顔合わせって事でどちらかの曜日で集まろうって話になってるんだけど」

と、もっきゅもっきゅとお肉を食べながらそんな事を。

影打 鈍 >  
あー、あるかもです。
食べるのって楽しいですし。

(今までは別にどうとも思わなかったのだが、食が必要になってからは面白い食感のものを好むようになった。
 頭を撫でられ嬉しそうに笑い、自身もグラスにチューハイを注いで。)

結構なんでもありますよ。
ブランド牛とかブランド豚とか。
流石にしょっちゅうは出ないですけど。

(意外とお金持ちの多い常世島である。
 需要はそれなりにあるのだろう。
 今度はこちらがヒレを焼いていく。
 先ほどは少し焼き過ぎに感じたので、今度はややレアめに。)

んぐ――空いてますよ。
私はどっちでも大丈夫です。

(口の中の肉を飲み込んでから喋る。
 不思議なもので、いつもの姿ならかまわずそのまま喋るところ、今の姿だとその辺のマナーが自然としっかりするらしい。
 そうして同時に焼いていたリブロースを口に運ぼうとして、)

――東華さん、あーん。

(思いついたような顔のあと彼に差し出した。)