2015/06/16 のログ
クラスカ > ……そうですね。案外、どこにでもいるのかも。
(想いは海を跳躍し、遥か遠い彼方へ跳ぶ)
(もう還ることのない故郷の国の雑踏などにも―)

(最後に一度、コゼットへ視線を合わせる)
(クラスカに張り付いているのはただの「生徒」の顔)
(危険を畏れ遠ざかろうとする、どこにでもいる一生徒)

大丈夫ですよ、僕は弱さを知ってる普通の魔術師なので。
身の程を弁えない、命知らずな真似は御免です。

(戸を閉める前に一言。言い残せば、職員室の引き戸がクラスカの姿を隠す)
その大きな帽子、似合ってますよ。

ご案内:「職員室」からクラスカさんが去りました。
コゼット > 「…そうだと良いけれど。」
(そんな生徒が、一番にどうやって撃退したか、等と聞くだろうか。
今まで身の安全を心配していた生徒とは、少し違うような印象を覚えた。
中には勇んで討伐しようと言う生徒も居ない訳では無かったが。)

(…どの道自分のやる事は変わらない。
この資料を纏めたら、また見回りに出なければ。
最近目撃されたという群れを成していたという黒い影が気になる。
もしそれがそうだとしたら、早急に処理をしなければならないだろうが──)

「……。」
(紅茶を一口飲み、再び作業に戻る。)

ご案内:「職員室」にルフス・ドラコさんが現れました。
ルフス・ドラコ > 「入ります」

教職員の出入りに紛れるようにして、ノックもせず、扉も開けず。
するりと少女が職員室に入った。
右手には入学案内の書類の入った封筒が有り、おそらくは教員なら見慣れたものだろう。こんな時期の新入生など、珍しくもない。
あるいは時期外れだからこそ、物珍しそうにキョロキョロと室内を見回す少女を好きにさせてくれるだけの温情というものがあるのだろう。

「魔術師喰いについて情報を集めてらっしゃるコゼット先生にお会いしたいのですが……」
堂々と言うでもなく。目ざとく座席表を見つけると、今探しているのは誰だったか、思い出すように要件をひとり呟いた。

コゼット > (パソコンの前に座り、紅茶を飲む暇も忘れて黙々とデータの打ち込みをする。
途中文章の入力に行き詰まり、少し休憩しようか、と思った所で、今度は別の生徒の姿。)

「ん。コゼットは私よ。こっちこっち。」
(手を帽子より高く上げてアピールする。
あまり見ない顔だ…新入生だろうか。そう思ったのは見た目の若さから。
しかし相談事はどうやらさっきと同じようだ。まぁ、最近となっては別におかしい事ではないけれど。)

ルフス・ドラコ > くるりと振り向いたところで、高く上がった手が目に入った。
というのは簡潔にした表現で、まず声がして振り返り、もとよりあまり高くはない背を何度か伸ばしてようやく見つけられたというところ。
「ありがとうございます、先生」
独力であればもう数分はかかったであろう工程の短縮に感謝を述べつつ、少女は目的の席へと歩き出す。

着いたところで、「失礼します、魔術師狩りという存在についてお聞きしたいことがあって来たのですが」
と会釈をしてから要件を先に述べた。
その表情からは、恐怖も功名心も、どちらも読み取れない。
入学したての少女が、なぜそのようなことに興味をもったのか。
話しながらも、何度か自分の手元の封筒に目を向けていることは間違いなく関係有るだろう。

コゼット > (近くにくれば、やはりこれが始めてというのが判る。
以前の名簿には見かけなかったから。
近くの椅子を寄せて、その女性の近くへ。)

「どうぞ座って?
…多分、始めましてよね。元素魔術を担当してるコゼットです。
それで、魔術師喰いに関して聞きたいって言ってたけれど…?」
(その事を知っていると言う事は、熱心に学校の事について事前に調べていたのだろうか。
…なんだか、少し前の私を見ているようだ。その手には何か持っているようだが、今の時点では気に留めず質問に応じる事にする。)

ルフス・ドラコ > 「…それでは、遠慮せず。失礼します。」
一礼すると、ゆっくりと深く腰掛ける。
まっすぐにコゼットに向き合うように座ると、焦げ茶色の瞳の奥で、蛍光灯の反射が紅く滲んだ。
質問をしに来ているのだか、人定めしに来ているのだか分かりかねるような、眼差し。

「あ、ああそうですね、失礼しました、先に挨拶するべきでした。新入生のルフス、ルフス・ドラコと言います。」
生憎と数秒したところで初歩的な失敗に気づいて眼差しを緩まるものの、もう一度視線を正面に定める。

「そう、その魔術師喰いについてなんですが。最近どこに出没したか、教えていただけないかと思いまして。」
「それと…魔力を吸い続けると、その性質をコピーする、といった性質もあると聞いたのですが」
「吸わせ続けると、どうなるんでしょうか?」
聞くべき点は、その二点。倒し方のたぐいは、今回の件には必要がない。

コゼット > (第一印象が大事とはよく言ったものだが──まずは話してからだ。
私は、彼女の事を何も知らないのだから。)

「ルフスさん…ね。
…最近その手の事を聞く生徒が多くてね。かなり騒然としてるけれど、何も知らないんじゃ対処も何もないし…何より命に関わる事だから。

まず、私が見たのは学生・教員居住区よ。
そこにある森の中を通る道…って判るかしら。一時期は立ち入り禁止エリアにもなっていた所なんだけども。
もう一つの目撃例は最近なんだけど、場所に関しては判っていないわ。
私もその辺りを探してみたけれど、既に移動した後だったようで。今何処にいるのか判らないのが現状よ。」
(詳しい場所が記載されていないのは、書き忘れか、混乱を避けての事なのか、それとも別の思惑か。)

「それと、魔力を吸い続けると変化する…というのは、実は私の推測なのよ。
生態に関してはまだまだ判らない事が多くてね、奴らが餌として得た魔力がどうなるかは判っていないのよ。
ただ、沢山の魔力が溜まれば何かしらの影響が出るのでは…と考えてる。
大体はその変化の前に処理してしまうから……というのもあるのでしょうけども。」

ルフス・ドラコ > 「森を通る……確か今日ここに来る途中で見た覚えがありますね。そうなんですか、あそこに…しかし、森ですか…」
獣性というものがあるのかもしれない。指揮するような個体もいるとのことだし、狭い箇所で取り囲まれれば下手な応戦は出来ない。
いや、狭かろうがなんであろうと森で火はマズイ、という気がする。

「なるほど。今はどこにいるかわからない…ですか。誘き出す他ないみたいですね…」
場所を選べるのはいいが、あまり期間がかかるようであればそれはそれで困る。確実性に欠けるのが一番の問題だろう。
「普通に働いたほうが時給がいいとかそこまでは行かないと思いますが…」
頭のなかで算盤を弾きつつ、慎重に話を聞いていく。

「あ、あれは推測の部分だったんですか。」
てっきり前提としていたことを改めて考えなおす。そうかもしれないが、逆にそうではない可能性も有る。
どのくらいの期間までなら影響なく魔力を保持できるのか。
……まあ、持ちかけられた話から考えれば、そう長くなくてもいいのだろう。

「…ところで先生、その魔物はきちんとすべて処理されていて、例えばどこか行ったのがいるとかそういったことはないのでしょうか」
ただ、見つめて最後の質問をした。

コゼット > 「流石に火で焼却…って訳にはいかなかったけど、幸い抵抗力は持っていないようだし他の属性でも対処は出来たけれどね。
対峙してたら火事になりましたなんて事になったら、教師としての立場が危ういし。」
(ふふ、と冗談を交えて。──まぁ、その代わり道は荒れたのだが。)

「そうねぇ…。ただ、群れで行動しているとの報告も受けているわ。
誘い出したら囲まれてやられちゃいました、なんて状況は笑えないし。特に魔術師喰いは私達にとって天敵、慎重にならざるを得ないのよ。」
(難しい問題だが、かといって情報が出揃わないうちに大規模な捜索を行う訳にはいかない。
学園は兵団ではないのだから。)

「ある程度の事は予め予測しておくものよ。
憶測ばかり書いても問題だけど、その中で可能性の高いものを書いて置けば、いざと言う時に対処も容易になる。
落ち着いて冷静に考えれるならこんな記述はいらないのだけど、誰もがみんなそうじゃないからね。」
(魔術師は知識こそ力。絶えず考え、色々な状況を想定しておく事。それが、己の生存率にも直結する。)

「言葉の意図がちょっと判らないけれど…。
奴らは絶命すると黒い塵になるのよ。灰みたいに。そこに深い意味は無いと思う。
あと、傷を負った際に血のような黒い血液を出す事もあるけれど、それ自体にも害はないと思う。そこから新たな魔術師喰いが発生したとも、今の所は聞いていないわ。」

ルフス・ドラコ > 「かっ……火事はそうですね、いくら大らかなこの島といえどもまずいですね、そうでしょうね!」
すこし眠そうな目が大きく開き、変わらぬ表情に少し朱が差す。
(ちょっと冗談を真に受けすぎただけ…に見えますよね、ただそれだけ、に見えるはずです)

「こちらが有利なときに現れず、解散してから襲われる、なんてこともありえそうですね。
…全く、ぞっとしないですね。例えば下手に血筋に依る魔力といったイメージがあると、被害予想があまり好ましくない感じになりますし…。」

「……そうですね。知識さえ有れば、たとえ窮地に陥った人でも、あるいは何とかなるかもしれない、こともありますし。」
ルフスとしては出たとこ勝負の気が強く、多少人事めいた言い方ではあったが。
この先生は本当に他人を気遣っているのだ、という理解の方向で捉えていた。

「そうですか…黒い塵、あるいは灰になるまでは仕留めきれていない、と。」
おそらくはその時に魔力も雲散霧消してしまうのだろう。つまりそこまで行っては意味が無い。

「……およそ、質問したいことはほぼ質問できたと思います。お忙しいところすみませんでした、コゼット先生。」
頭のなかで情報を整理しつつ、席を辞すと一礼した。
「それと、ありがとうございます。これで大体の事情は把握出来ました。なぜ、私にこんなものを倒すよう依頼が来たのかについても。」

コゼット > 「…。」
(目を丸くしてその表情を見る。何か関係があったのだろうか。)

「もし知性を持っているとするなら、それだけでもかなり厄介よ。
近いうちに大規模な駆除通知が来るかも知れない。その時は私も出払うつもりだけど、この学園にはもっと適任がいるかもしれないし。なんせ色々な生徒や教師が集まっているのだからね。…本当に色々と。」
(破壊神まで居るらしい…なんて言ったら、果たして信じるかどうか。)

「現状の判断ではそうよ。火属性魔術を使わずともそうゆう現象になるのは私が確認しているわ。
もし対峙するなら、それまで気を抜かない事ね。尤も───」
(『貴女も出来るだけ接触は避けなさい。』そう言いかけた時、彼女は倒す依頼で来たと言う。新入生では無かったのだろうか?)

「それは初耳ね。そう言うからには相当の実力者なのかしら?」

ルフス・ドラコ > 「…先ほど入学の申請を終えたのですが、その後に玄関を出るところで、元二級学生に対しては学費のための互助組織が有るとかなんとか声をかけられまして」
「魔術師に対しては非常に強力だが、そうでないものに対してはただの動物。装備も貸与するからここはひとつハンティングで学費を稼がないか、と」

封筒から取り出した書類の中に、一つだけ紙質の違う物が有る。
かなり小さく刷られた魔術師喰いの写真と、高額な成功報酬の文字が踊る。

「……実力者に声をかけているわけではないんでしょう。」
「二級学生から入学するということは、何らかの素養が認められる人が多いのでしょう」
「だから、ただ、事故に偽装してその素養だけを奪えればいいし、あるいはコピーできると尚いい」
「……そういう仕組なんじゃないでしょうか」
ひらひらと書類を振りながら、あいかわらずの平坦な表情で推測を述べる。

「私はてっきり先生がなんらかの形で関わってるんじゃないかと思ってましたが」
とんだ風評被害を流すものである。
「違うようですね。……すみません。」

コゼット > 「いつの間にこんなものが。
…誰の差し金かは知らないけれど、不用意に生徒を危険に晒すのはやめて欲しい所ね。」
(全く知らなかった。事情を知っている風紀委員がそのような事をするとは思えないし、ましてや懸賞金を掛けるとは。
金に目が眩んで犠牲者が出たら誰が責任を取ると言うのか。)

「下手に手を出せば魔力を持たない人だってどうなるか判らないわ。サンドバックとはいかないでしょう。
…話からは向こうに肩を持っているとも取れるけど、もしそうなら只事じゃないわね。
それについては後で注意を出しておくわ。貴女も、"美味しい話"には気を付けなさい。」
(厳しい目付きでその書類を見る。)

ルフス・ドラコ > 「……そうですね。魔力ついでに血を啜られるのは、献血とは訳が違いますから。」
同じく、入学したての学生に声をかけたりはするが。
「あいにくと相手の方の顔は霧がかかったように不明瞭なもので、よく思い出せません。…確かそういう魔術があったように思いますけれども」

「そうですね、美味しい話は無事入学できたところで十分です。
……できればこの権利を取り消されたくはないですから。」
肩を持つでもなく、これから首尾よく何匹か魔術師喰いを捕まえて手土産にして、
…受け渡しの時に不幸な火事を起こすつもりだったものだから、なんとなく向こうに対して同情的な発言になっていたのかもしれない。

コゼット > (……念の為風紀委員にも通達した方が良さそうだろうか。この手の調査は彼らが得意な筈だ。)
「とりあえず魔術師喰いとの衝突は私も避けられないだろうし、気をつけておくわ。
これ以上厄介事が増えないといいけれど…。」
(大きくため息をつく。頭痛の種が増えそうだ…)

「私には生徒を守る義務があるわ。魔術を志す教師としてね。
何か判ったら教えて頂戴。…悪いけど、私は奨学金とは関係なく奴らを処理させて頂くわ。」
(その言葉には、彼女から少しの苛立ちを感じ取ったかもしれない。)

ルフス・ドラコ > 「すみませんでした、入学初日からこんな形で厄介事を持ち込んでしまいまして」
「ええ、何か分かったらすぐにお伝えしますから。」
帰り支度をしながらの言葉に、嘘はない。
ただ、生徒全体というより、二級学生が狙われているということが、ルフスにとっては気に食わない。

「それでは先生、私はまだ幾つか……準備と用事と行事がありまして」
ふ、っと視線を切って壁にかかった時計を見る。…はんてぃんぐにはもしかすると間に合うかもしれない。

「これで失礼しようと思います。今夜は火の気に気をつけてくださいね。」
この魔術師喰いという危険な存在を魔力タンクにしようという連中がどんなものかは知れないが、
タンクごと燃やされそうになれば少しは心頭も滅却するだろう。

コゼット > 「…いいえ。ルフスさんも十分に気をつけてね。」
(目の前に女性に強く言っても仕方のない事か。少し感情的になっていたかもしれない。
ただ、生徒の安全を第一に思っての言葉だったのは、察して欲しかった。)

「ええ、また。…くれぐれも命は大切にね。」
(その用事が何を指すのか、今までの会話からはなんとなく察しが着くが、それについての事はもう言った。
後は彼女次第だ。…尤も、ただやられに行く程愚かではないだろう。今はそれを祈るのみだった。)

ルフス・ドラコ > もう一度お辞儀をして、少女が歩き去り、
今度は自分の手で引き戸を開閉して職員室を出て行く。

それを合図に空間が正常に接続されたかのように、職員室の喧騒がふたたび戻ってくる。

静寂を呼んだのは魔術か、それとも無意識の龍言語か。
ともかく、話していてマズイ内容だとは思っていたようだった。

ご案内:「職員室」からルフス・ドラコさんが去りました。
コゼット > 「………。」
(あまり資料作りに手が付かなかったわね、と。
しかしそれに見合う話も聞けた。その価値はあっただろう。…手放しで喜べず、増えていくのは不安ばかりだが。
最近はただの恐れだけの話では無くなってきたのは何なのだろうか。命の危険に関わるものですら、利用するという存在。
心にざわつきを禁じえない。

…続きは寮でしようと、パソコンを閉じる。
すっかり冷めた紅茶を飲み干し、資料を纏めて職員室を後にする。)

ご案内:「職員室」からコゼットさんが去りました。
ご案内:「職員室」に有澤 零砂さんが現れました。
有澤 零砂 > 「危ない危ない。」
自分の机の前で、作業を終わらせて落ち着いている。
先ほどまで授業用の課題を制作していたらしい。
昨日し上げるつもりだったソレは、先日巻き込まれた事件の聴取で、手をつけられなかった。

「やることが多すぎる、気になることも多すぎる・・・」
目に付く生徒生徒が、いろいろと問題を抱えている。
自分の学生時代と比べると、こちらは異能やら、種族やらの分、闇が深い。
そう思うと頭が痛くなっていた。

ご案内:「職員室」に岡部 吹雪さんが現れました。
ご案内:「職員室」に井戸木さいこさんが現れました。
岡部 吹雪 > 「ふあ~~~~クッソ、マジねみい。なんなの。」
カバ顔負けの大あくびをかましながら戻ってくる。
生活委員会に出向となってからというもの、小間使いのような日々が続いている。
山のような資材リストを抱えて、足で扉を開けてながら。

「よー有澤ちゃん。お忙しそうなこって。」
「どうよ。捗ってる?」

井戸木さいこ > 「ふぅ……疲れたぁ……」

 体育の授業(のアシスタント)を終わらせ、自分の仕事机から椅子を引いて座る。

 (汗はちゃんと汗ふきシートで拭いたつもりだけど、匂わないよね……)

有澤 零砂 > 「おや、皆さんそろってお疲れですか。 やはり教師陣も忙しいようですね。」
その様子を心配そうに見ながら。

「まぁ、この後の時間の課題は出来上がりました。
他のものは数日は大丈夫なので、授業が滞るようなことはないですよ。」
ノートパソコンから、データを保存してある記録媒体を取り出しながら、そう答える。

岡部 吹雪 > 「あ、さいこちゃんいいトコにいた。」
「ちょっとこのフォルダ、少し持ってくんない?」
「下見えなくて机に置けねーんだよ、危なくて。」
ゆらゆらと揺れながら、少し膝を曲げて取りやすく。

岡部 吹雪 > 「そう言いつつ余裕ぶっこいてると、またイレギュラーが挟まってだ。」
「んでスケジュールがパンクしちまうっていうな。」
「あれほんと勘弁してほしいよなあ。マジで。」

「……っと、あっ。 やべっ。 腰、腰攣りそう……!」
資料の山を持つ手が震え始める。
その姿まるで生まれたばかりの小鹿の如し。

井戸木さいこ > 「あっ、うん。
 うふふ、こんにちは。岡部先生。眠そうだけど、大丈夫?」

 急いでフォルダのいくつかを受け持つ。
 器用な持ち方をしているのか、数の割には身軽そうだ。

井戸木さいこ > 「うん。ちょっと体育だし、私も新人だから覚える事いっぱいだもん。うふふ。
 有澤先生は確か、情報工学だっけ。」

 机を見れば、考えるような素振りを見せる。

「うーん、私も試験考えなきゃ。どうしようかな…」

有澤 零砂 > 「そんなに大量にある資料なら、データ化してしまったほうが楽なのでは?」
なんとも、情報系らしい意見をはきながら、自分も手伝うことにする。

「これ以上のイレギュラーなんてないでしょう、少なくとも刀持ったシリアルキラーめいた女性に遭遇する以上のイレギュラーは、
起きると授業どころか僕の身が危ないです。」
書類を手伝いながらも、ため息を吐く。 これ以上のイレギュラーとなるとそれこそ、痴情のもつれ等ではなく、普通に刺されて死にかねない。

有澤 零砂 > 「まぁ、お互いこれからがんばりましょうか。
まぁ、他にもいくつかありますがメインはソレですね。 試験は…ちょっときびしめにすると、かなり結果がアレになりますからねぇ。」

わりと平均の低い情報工学のテストを思い出す、一応相対評価なので、そこまで単位を落とすことはないが。

岡部 吹雪 > もう半ばなりふり構っていられなかった。
自分の席へもう、こう、ドバッと。フォルダの山が波となる。
机の上からは流れ落ちてはいないのが、せめてもの救いではあった。

「あーあ。 あーあーああー。」
乳幼児みたいに口を空けながら、椅子にもたれ掛かってぐったりな様子。

「データはいくらでも改ざんできるってんで、書面も一応残しとけってよ。」
「どっちもどっちじゃねえのって思うんだけど、上の考えはわからんわ。」
「しらねーしらねー。だだー。はぶぶー。」
足を完全に投げ出して、まるで打ち上げられたくらげのようだ。

岡部 吹雪 > げに疲労なりけりと言わんばかりの有様。
井戸木に"へーきへーき"とジェスチャーで返しつつ、有澤へと首を向ける。

「あー……何? シリアルキラー?」
「辻斬りでも出たワケ?」

井戸木さいこ > 「フォルダ、ここに置いておくね。岡部先生。
 私も実技試験で熊の解体とか考えt――」

 不穏な言葉が、聞こえたような。
 有澤くんへと、視線を向ける。

「辻斬り……?」

有澤 零砂 > 「なるほど、まぁそういう形式にこだわるのはどこでも変わらないんですねぇ。」
ため息をつきながら、自分が運んでたぶんを机に置きつつ。

「ええ風紀委員の詰め所で、まぁ斬られた人もではなかったですけど。 僕もオキニのジャケットを斬られましたよ、替えがなかったらまずかったですね。」
ため息をつく、実際肉体的なダメージよりサイフダメージのほうが痛い、
それでもそこまでではないが。

「熊の解体、僕はたぶん落第しますね。」
実際やったことはない、たぶんやることもない、たぶん。

岡部 吹雪 > 「それで死傷者なしってのも珍しいっつーかなんつーか。」
「アレじゃない? 昔手酷くフッた女だったとかじゃない?」
背もたれに身体を預けながら、器用に後ろを見る形。

井戸木さいこ > 「うぅん。鹿ぐらいにしておこうかな……
 ……お気に入りもジャケットを斬られちゃったのは辛いね。
 多分、何時も着てるあのジャケットだよね。ちょっと良さそうで高そうな奴。」

 ちょっと思い返してみる。
 イメージと同じジャケットなら、サイフ属性ダメージは高そうだ。などと考えつつ。

「……確かに有澤くんモテそうだし、
 フッた女でも納得しちゃうよぉぉ……じゃなくて、死傷者が無かったのは良かったかも。
 どんな様子だったとか、覚えてる? 苦しそうとか、ハイな感じとか……」

岡部 吹雪 > 「流石に現代社会でセルフジビエ料理はあんまし機会なくない……?」
「普通にこう、体力測定とか。簡単なテストとか!」

有澤 零砂 > 「まさか、同じ場所に居た3人を切って色事沙汰でもないです。
それにあれは…戦いを楽しむタイプでしたね。
とはいえ、どこまでが本質かはわかりませんでしたが。」
少し考えてからそうこたえる。
かなり気にしている様子だ。

「まぁ、そのあたりは生徒の動き次第で調節すればいいかと。
ええ、そうですね。 学生時代からあのメーカーのものを使ってますから、斬られたりじゃなければ頑丈だしいいものですよ。」
深いため息をつく。

「まぁ、僕個人に襲ってくる相手ではなかったので、そういう線はないです。
…もうモテ期は来なく定員で、ほんとに。
ハイ、ですかねぇ。 神経毒のナイフで切ったらなんか痛みではないもだえ方してましたよ。」
おもいだして、げんなりした表情で。
そういえば解毒してなかったな、大丈夫なんだろうか。

岡部 吹雪 > 「お前が一番こっえーよ!!!」
「えっ何マヒ毒仕込んだ刃物でバッサリイッたワケ!?1?!?」
ガタッと椅子から飛び退く。

井戸木さいこ > 「もしものときには便利だと思ったんだけど……
 ……うぅん。障害物競争にしておこうっと。」

 無難なものにしようと思い直せば、一つ頷く。

「戦いを愉しむタイプで、神経毒で変な悶え方……
 ……感覚を弄って在るタイp――

 ――え、定員って有澤先生結婚してたの?」

 変な所に反応すれば、ガタッ、と、ちょっと迫る。

岡部 吹雪 > 「えっそこ!?」
「いや結婚にも確かに驚くけど!」
「いやいいんだよ落ち着け! はい!」
まずは自分が落ち着いて座りなおす。

「えー……っと。それ犯人ってまだ行方不明?」

有澤 零砂 > 「麻痺というよりは、激痛が走るアレですけど。
そりゃ、やるかやられるか鳴らそうなるでしょ。
逃げなきゃ解毒剤は常備してますし、本気で殺しに来る相手なら手は選べないですって。
殺すような劇薬は使ってませんよ。」
悪びれもしない、今までの経験がそうさせているのだ、
実際『なにがもんだいなのだろう』とかおもってる。

「ええ、別に先生方なら冷やかされもしないし教えておきますが。
これでもしっかり家内は居ます。」
こちらもそこまで驚くことでもないといった表情である。
まぁ、こちらに着てから言いふらしているわけでもないから知らなくても当然なのだが。

有澤 零砂 > 「行方不明ですね、とはいえ上の人間が居る様子でしたし、、長期間効果が続くタイプでもないのでなんとかしてるでしょう。」
割と希望的な観測であった。

岡部 吹雪 > 「はー……そ、そうなんだ……。」
「その様子ならまあ、風紀が動いてるだろうし……。」
「……ちなみに奥さん、どんな人? 何処で知り合ったの?」

井戸木さいこ > 「う、うん。すごく落ち着いた。
 自然に戻る毒なら良いと思うけど……上の人間?」

 改めて自分の椅子に着席。
 更なる謎を呼ぶワードが聞こえた気がすれば、尋ねるだろう。

「……そっか、奥さんかぁ……
 あ、私もちょっと気になるかも。優しい人?かっこいい人?」

岡部 吹雪 > 「えっ女性の評価で"かっこいいか"って気になるトコ!?」
井戸木さいこ > 「ふぇ、気にならない?
 かっこいいというか、元気というか、有澤先生ちょっとえぐいところあるけど大人しそうだし、引っ張るタイプかなぁ……って?」

 『なにかもんだいなのかなぁ?』 みたいな顔をしている。

有澤 零砂 > 「まぁ、いろいろ考えてつかうものは選んでますよ。」
天然素材の高級薬品とか。

「えーとですね。 僕より少し年上で、スタイルのいい優しい人です。
場所はよその世界の社交場と答えて起きましょうか。」
少しうれしそうに答える、自慢の妻!というやつらしい。

「なんというか、ご主人様が居るらしいです、そういってただけでブラフかもしれませんが。
狂信的な態度を考えると、うそとは思いづらいんですよね。」
思い出すようにいう。

「えぐくないです、えぐくないです。」
いったいどこがえぐいのか

岡部 吹雪 > 「お前、本人目の前にして『えぐい』とかどんなストロングスタイルだよ、こええよこの職員室……。」
茶を啜り啜り。
話が入り乱れてしまったせいで、嫁さんにご主人様が別途存在すんの……?と浮かんだが
まあ聞き間違いだろうと、言葉をぐっと飲み込んだ。

「社交場とはえらいハイソな。ダンスパーティとかそーゆーの?」

井戸木さいこ > 「うふふ。有澤先生嬉しそう。
 自慢のお嫁さんなんだね。うふふ。」


 有澤の嬉しげに語る姿を見て取れば目を細め、
 くす、くす、と、楽しそうに笑ってみせる。
 ……いいなぁ。そう、小さな声で呟いた。

「うふふ。つい。今日も岡部先生のツッコミ炸裂で楽しいかも。うふふ。」

 案外肝が座っているのかもしれない。
 冗談めかし、てへ、と、笑ってごまかすか。

「だって、弛緩や麻痺で動きを止める毒じゃなくて痛みを使うし……
 ……でも、通り魔にご主人様、かぁ。その人が指示している、って感じはしないけれど……」

有澤 零砂 > 「まぁ、そうですね。 お酒は飲まずに飲み物飲んでお話したり、踊ったりはしましたね。
彼女は踊りもうまかったですよ、一応アイドルもやってたりしましたし。」
普段よりテンションが高いようだ。

「まぁ、皆さんも見つかると思いますよ。
僕よりもいいとおもいますし。」
実際彼はそう思っている。自分がそこまでという考えなのだ。

「まぁ、痛ければ動きも鈍りますからね。 昔から使ってるので、そこは経験のアレですよ。
まぁ、指示というよりは人間をやめたという発言もあったので、洗脳とかの類じゃないか、ともとれます。」
また考えてそう答える、推測でだが。

岡部 吹雪 > 「アイドォルウウウウ!?」
井戸木さいこ > 「有澤先生、そう云う所も行くんだね。
 実は結構えらい家系だったりしちゃう?
 ……うふふ、アイドルと結婚なんて凄いねぇ。」

 岡部のリアクションとテンションの上がっている有澤を見て、
 つられるように笑みをこぼす。

(うふふ、何だか楽しいな。)

岡部 吹雪 > 「えっ なんなんすか有澤サンずるくないッスか……え、ええ……?」
「そんなん俺だってアイドルの嫁さんほしいッスわ……。」
思わず呼び方まで変わるほどの衝撃だった。
この世の終わりが一度に3回来たかのような表情で。

「これアレか? 俺も社交場通うしかねえか……?」
「ワンチャン、そう!」
「ワンチャンぐれー来るだろ! な!?」
思わず井戸木に強く聞く!

有澤 零砂 > 「まぁ、ちょっとだけだったり見たいですけど、アイドルは。
家計はまぁ、一応親が社長でした、一代成り上がりですが。 とはいえ僕は継がずにコッチにきてますけど。」
何事もないように説明するがかなりつよい。

「おちついて、おちついて。」
かなり狼狽しているようすをみて、とりあえず落ち着くようにいう。

井戸木さいこ > 「うふふ。紳士になれればワンチャンスぐらいはあるかも、うふふ。
 常世学園の教師ってだけでも、結構ひと目を引いたりしちゃって、なんて。」

 半ば冗談めかしながら、笑って見せたた。
 そういえば、教師の交友会みたいのってないのかな、とも思案して。


「え、有澤先生、社長さんの息子さんだったんだ。
 でもそれなら、社交場に通うのも納得かも……」

岡部 吹雪 > 「はい。岡部落ち着きます。1+1=無限大です。」
俯いたまま頭を抱えている。

「畜生、何故俺に言い寄ってくるようなのは水の商売女とかばっかなんだ……?」
「金か? 金なのか!? 金だな……畜生、金……巨悪かよ……。」

岡部 吹雪 > 「あー……そういやまだ夜飯食ってねーな。」
「どっかオススメあります?」
「知ってるトコだいたい食い飽きちまってさ。」
「最近行ったのはってーとー……。」

岡部の挙げるとこは近所の中華料理であったり、ステーキハウスであったり、小汚い定食屋だったりした。

有澤 零砂 > 「まぁ、人の上に建って指揮するようなタイプでもないですからね。
だから継がなかったんです、そのあたりは母親に似ましたね。」
思い出すようにいう。

「10ですよ、おちついて。」
二進数で答えてきた、こわい!

「お金じゃないですよ、人柄も大事です。 少なくとも僕の家内は、そういうので僕を選んだわけじゃないですから。」
慰めてるんだが、明らかに追い討ちである。

「まぁ、あんまりいってないんですよね。 カフェテリアにもいったりしたんですが、食事の味よりもいろいろあったんであまり覚えてないんですよ。」
精神的にこらえる状態で食べる飯はおいしくない。

井戸木さいこ > 「あ、その中華屋知ってるかも。
 学生さん向けなのかな、私にはちょっと量が多かったんだけど、美味しかったかも。
 ……その辺の向かい側のビルの2階の中華屋さんはどう? 結構辛い味付けが多くて、ちょっとくせになっちゃうかも。
 それと、デザートのココナッツミルクが美味しいんだよねえ。うふふ……」

 あの中華料理屋さんかな、そう思えば思わず話題に食いついたりも。

「そっか、確かに有澤先生は確かに冷静な方だし、引っ張ると言うよりは裏に回るイメージだし、納得かも。お父さん、反対しなかった?」

岡部 吹雪 > 「あー、ココナッツミルク。なんか最近すっげえ流行ってるよね。」
「俺結構好きなんだけど、ちょっと前までなかなか置いてなかったじゃん。何処も。」
「マジ嬉しい。」
椅子から立ち上がり、伸びをする。
じんわりと引っ張られた身体の筋が、いくらかの開放感を与えてくれる。

「んじゃ今日はそこで決まりっと。」
「美味しかったらあとで連絡入れるわ。」
「美味しくなかったら30通ぐらいにわけて苦情のメールを送ります。」
「サンキュー。」
手をひらひらと、職員室から出て行った。

ご案内:「職員室」から岡部 吹雪さんが去りました。
有澤 零砂 > 「ほう、エビチリがおいしいならいってみたいですね。」
けっこう子供っぽいものが好きらしい。

「まぁ、反対されました、家出しました。
…いまでは、仲良くやってます。 仲直りしましたよ、僕もけっこう無茶なことを言ったと思いますからね。」
少し恥ずかしそうに答える。

「おおう、いってらっしゃい。
30通とかブラックリストに突っ込まれても知りませんよ?」
手を振って見送る。

井戸木さいこ > 「うふふ。此処最近だよね。
 ……お口に合う事を祈っちゃうよ。うん。」

 未だにスマホには慣れないらしく。
 夜中とかにメールが来ると起きるとは、井戸木さいこの談。

「あ、エビチリも辛めだけど美味しいよ。あのなんかさくさくする奴もついてくるから食べごたえがあるかも。
 ……そっか、それなら良かった。家族はやっぱり良いものの方が良いからね、うふふ。」

 エビチリを頼むと一緒に入ってるさくさくするアレの名前が分からないらしい。
 ……ともあれ、仲直りしたと聞けば、微笑ましげに見るだろう。

有澤 零砂 > 「まぁ、流行って言うのは割とふわふわしたものですからねぇ。 急に流行り、急に廃る。 怖いものです。」
と、思ったことをつぶやく。

「ああ、あれは春雨の素揚げですよ。 しかし辛いたぷですか、なかなかおいしそうだ。
そうですね、実際この学校にもそういう問題を抱えてる生徒が居ると思いますが、
できれば、仲良くしてほしいものです。」
すこしだけ、さびしそうに。 自分もそういうことをやってしまって公開した事もあるから、やはり生徒にも同じ道はたどってほしくなかった。

井戸木さいこ > 「そっか、アレって春雨の素揚げなんだ。
 うふふ、有澤先生は物知りだね。」

 少し賢くなった気がする。
 へぇ、と、声を漏らせば、2度頷いただろう。

「……そうだねえ。問題と野望を抱えている子がいっぱいかも。
 そう云う子が見ていられなくて、生徒指導員にもなったんだけど、
 どこまで踏み込むか、結構難しいかも……」

有澤 零砂 > 「まぁ、料理も多少はやってましたから。
とはいえ、さすがに本職の人には負けますが。」
恥ずかしそうに照れながらいう。

「まぁ、想像以上に多いですよね。
踏み込みすぎても、ダメなのは確かです。 そういうアレを、この前手ひどく言われましたし。
でも、踏み込まなきゃかえられない。 いわなきゃ、やらなきゃ、そのままで、つらいんですよね。」
窓の外に目線をやる、横顔は、さびしそうで、悲しそうだった。

井戸木さいこ >  
「うふふ、奥さんも大助かりだねえ。
 今度お弁当創って貰っちゃおうかな、なんてね。
 ……イメージ的には……フレンチとかいけちゃう?」

 多少はいける、と言うと、何を作れるか考え始める。
 結果、フレンチ作れそう、みたいな謎のイメージを伝えるだろうか。

「うん。"見ていられない"
 結局はエゴかもしれないけれど、それでも……」

 寂しそうな横顔を見た。釣られるように、伏し目がちに外を見る。
 何時の間にか、すっかり暗くなっていた。

有澤 零砂 > 「フレンチのコースとかは流石に無理ですよ、和食と養殖はある程度やれますけど。
見た目はこうですが、生まれは日本ですし、別世界のですが。」
さすがにそこまでではないらしい、どちらかというと和食よりのようだ。

「それでも、なんとかしたい。 …こっちにきてから、そういうタイプはあまり見てませんでした。
うれしいですね、そういえる人が居て。」
外に目をやったまま、いう。 そうやって、誰かがツライ、痛いというのを見てられない人が自分以外にも居て、よかった。 それが彼の本心だった。

井戸木さいこ > 「そっか。良い所って聞いたからつい。
 肉じゃがとかも良いよねぇ。うふふ。」

 ウィンク一つで、ごまかしてみせる。
 おなかすいてきた。

「……うん。結局は正義や善意じゃなくてただのエゴだけどね。
 それも忘れないようにしなきゃ。……大人な先生に云わせたら、若いって云われちゃいそうだけど、うふふ。」

有澤 零砂 > 「さすがに、シェフ志望でもなければいいところの出でもそこまではできませんよ。
それくらいなら大丈夫ですよ、今度作ってきましょうか、たくさん作って皆さんで食べてもらうのもいいでしょうし。」
明るい表情で答える。

「確かにそうかもしれません、でも、それでも僕はソレを否定したくない。
当たり前のように、相手に優しくできることを、僕の誇れるところだといってくれた人が居ました。
それを信じたい。 若いといわれても、それが僕のできることだから。」
自分に聞かせるように、真剣な表情でそう口にする。

井戸木さいこ > 「うふふ。楽しみかも。期待しているね、有澤先生。
 いっそ、みんなで持ち寄ってパーティみたいのもしたいかも。」

 懇親会みたいな。
 出来たら楽しそうだな、と、再び思いを馳せた。

「うふふ、真っ直ぐだね。有澤先生。
 わたしはそこまで真っ直ぐになれないけど、私も素敵だと思うよ。
 羨ましいぐらい。……と、私はそろそろいこっかな。夜も暗くなっちゃったしね。」

有澤 零砂 > 「それもいいですね、先生同士で親睦を深めるのも、必要なことでしょうし。」
楽しそうに答えて、うきうきしていた。

「まぁ、まっすぐすぎてもだめですよ。
何が正解ってものでもないですから、きっとさいこ先生もそれでいいんだと思います。
そうですね、かなり暗くなってきましたね、僕も行かなくちゃ。」
そう優しく答えて。

井戸木さいこ > 「今起きてる事件が落ち着いたら、皆で親睦会しようね。なんて。うふふ。」
 冗談めかしながらも、どこか楽しみそうに、笑ってみせて。

「そっか。そう言ってくれると嬉しいな。
 ……じゃ、また明日。有澤先生。」

 荷物を纏めてから、最後に一度笑みを浮かべる、
 そして、職員室を出て行った。

ご案内:「職員室」から井戸木さいこさんが去りました。
有澤 零砂 > 「いいと思いますよ、いやだという先生も少ないでしょうし。」
楽しそうな、同僚といった笑いで。

「ええ、また明日。」
荷物をまとめながらも笑顔で答える。

「…絶対なんて、ないですからね。 僕は、僕が選んだようにやるしかないのです。」
そうつぶやいて、かれも職員室を出て行く。
ゆっくりと、こつこつと小さくなっていく靴の音が鳴り響いた。

ご案内:「職員室」から有澤 零砂さんが去りました。
ご案内:「ロビー」に遠峯生有子さんが現れました。
遠峯生有子 >  行き交う学生たち、自動販売機から流れるラッキーなメロディー(それは一度きりだったがそのときそこにいた何人かが盛り上がっていた。)
 近くの教室からもれ聞こえる点呼の声。
 屋外から入ってくる騒ぎ声。

 奥の廊下から出てきた少女が、
 ふとそんなゆったりとした空間に空き席を見つけ、
「ここでいいや。」と駆け寄った。 

遠峯生有子 > 次の講義までの1時間、どこで時間を潰そうと思っていた。
たいていそんなときには中庭のベンチにでも出るのだが、
そろそろ蒸し暑い季節になり、
陰になる場所があればそれにこしたことはない。
この場所ならば人の出入りと共に多少の風も入る。

背負っていた革鞄を机に下ろすと中を覗き込み…

遠峯生有子 >  …ふと手を止めて黒い装丁の本を取り出す。
「そういえば、これ、読んでなかったな。」
 なんとなく買って鞄に持ち歩いていた。
 暇なときに読もうと思っていたのだが、それ以降、課題の多い日々を過ごしていたのだ。

「いいや、これ読もう。
 次の講義でまた宿題出たら読む時間なくなるし。」
 鞄を脇に避け、椅子に座りなおす。

遠峯生有子 >  数分後には手が止まる。
「…なにこれ。」

 表紙を見返す。
『詳説 理論からの魔術-基礎編-』

 ページをめくる。
「…基礎?」

遠峯生有子 > めげた。
遠峯生有子 >  鞄から水筒を引っ張り出して一息つく。
「魔術って基礎なのにこんな難しいのかな。
 そんなことないよね。
 こんな数式いっぱい使うのばっかりじゃないよね。」
 溜息。

遠峯生有子 >  こんな数式いっぱい使うのばっかりじゃない。
 しかし知識のない彼女には
 それがどれほど、面倒くさくも基礎的に世界の概念から説明した書物であるか
 判断する基準がないのだった。

「もうちょっとしてからまた読もう。
 その前に魔術論何かちゃんと取ろう。」

 鞄に水筒と本を放り込む。
 携帯端末を引っ張り出す。

ご案内:「ロビー」に獅南蒼二さんが現れました。
獅南蒼二 > 白衣のポケットに手を突っ込んだまま、ロビーを通りかかる男が1人。
科学者然としたその姿は学園内でも良く目立つ。
「……………。」
ふと、視界の端に見えたのは、少女が手にもつ古い書物。
魔術学を学ぶ者の中でも、研究者と呼ばれる者や、古典魔術学者と呼ばれる、古い世代の人々にとっては必読本であった。
今でもこの学園の書店には当たり前のように並んでいるのだろうが……あれを理解できる学生など、何人いるのか。