2015/06/06 のログ
ご案内:「禁書庫」に蒼穹さんが現れました。
■蒼穹 > (所は禁書庫。辺りは、すっかり夜の帳が降りて、暗い。そして、恐らく、召喚魔法系の禁書の怪異によって現れた、2級の竜を一斬りで分断すれば、何事もなかったかのように、その中へ入る。くすんだ色の椅子は、座った回数こそたった三回だが、もうすっかり、己になじんでいる。)
…んで、あの本は…ええっと…。
(すっかり、しっかり。禁書の暴走を抑え、予期せぬ奇襲に備えて、己の異能…魔力封殺域―マジックジェノサイドエリア―を展開する。あたりの魔力は、己にのみ流れる。そして…、それからようやく、一度落ち着けた腰を上げて、本を探し始めた。)
■蒼穹 > …ああ、ええっと…。
もー、見つかんないなぁ、ちゃんと整理して欲しいもんだよねー…。
(きょろきょろ、とあたりを見まわすのは少々怪しい仕草やもしれないが、それを怪しむ者はいない。ここは立ち入り禁止エリア。そして、図書委員の一人もおらず、警備員の一人もいない。ようは、貸切状態と言って間違いない。)
■蒼穹 > …ああもう。
やっぱり見つかんないね。…またこよっか。
(最後に手に取った本を何処へやらほっぽりだして。その場を後にする。それにしても、こんなに出入りが簡単でいいのだろうか。)
ご案内:「禁書庫」から蒼穹さんが去りました。
ご案内:「図書館」に日乃杜 梢さんが現れました。
■日乃杜 梢 > (制服姿の少女が一人、一つの書架の前で指をさ迷わせている)
ええと…これ、はこの前見たような気がしますね。
ここからだったでしょうか。
(呟きつつ、一冊の本を取り出す。少し指をさ迷わせ、また別の一冊、別の一冊と繰り返していく)
(片腕に重ねた本の背表紙を見るに、どうやらこの学園の創立から今日までの事件をまとめたものを探しているらしい)
■日乃杜 梢 > (4冊目を腕に乗せたところで、彼女は踵を返した。書架から離れ、読書用のスペースへ歩いていく)
(途中、すれ違う他の生徒には、軽く会釈をしてお互いに道を譲り合う)
(そうして到着した長机の端に、積み重なった本を置く。意外と大きな音が響いたことには、少々驚いた)
(ん、と咳払いをして気分を誤魔化しつつ、椅子に座って一冊目を開く)
■日乃杜 梢 > (読み進める速度はなかなかのもののよう。時折紙面を指でなぞり、視線は頻繁に揺れ動く)
(頁をめくる音が、一定の間隔を置いて何十と響いた後。彼女の指の動きがぴたりと止まる)
(そこにある見出しを、静かに口の中で転がした)
『解放固定門の消滅』…
(呟く少女の瞳の色が、真剣味を増す。今までよりも確かな時間を掛けて、少女は続く記述を目で追い始めた)
ご案内:「図書館」に設楽 透さんが現れました。
■日乃杜 梢 > (―それは、2年前に起きた事件の概要だった)
(ある組織がこの地に隠蔽していたという、一つの異界への門。それが破壊されたという事件)
(関係組織の名前や、その行為を成し遂げたという関係者の名前も、その概要の中には記載してある)
(が、しかし―)
…実際に、その時何があったのかは不明、ですか…。
(書かれていた内容の不明瞭さから、そう結論する。静かに、息を零した)
■設楽 透 > 「おやおや、こんな時間まで結構図書館ってのは人が居るんだねえ」
【いつの間に居たのだろうか、金髪碧眼の優男が物珍しそうに貴女を眺めている】
【その風体からは図書委員とは思えないだろう】
■日乃杜 梢 > (目的に近づくはずが、逆に霧に包まれたような、そんな感覚)
(思わず気が抜けてしまったところに掛けられたその声は、思いのほか強く、少女の動揺を誘った)
きゃっ…!?
(思わず声をあげて、振り返る。人の姿を認めると、小さく頭を下げた)
す、すみません。つい声が…!
(自分の上げた声を恥じたらしい。頬に微かに朱が上っているのも、気恥ずかしさからだろう)
■設楽 透 > 「おや。」
「ふふ、僕の方こそごめんねぇ」
「あまりにも真剣に調べ物をしているようだから、つい声を掛けちゃった」
「隣、良いかな?」
【謝る少女ににこやかに応じて】
【隣の席に座る事の許可を求めた】
■日乃杜 梢 > あ、はい。どうぞ…。
(許可を出したのは、反射に近い。相手のにこやかな雰囲気に釣られた、というのもあるだろうか)
(頁は押さえたまま、相手の顔を、失礼にならない程度に見遣る)
(…なんだろう、校内のどこかで、この相手を見たような気がする。確か同級生たちが遠巻きに眺めては盛り上がっていたような…)
ええと…貴方も、調べものですか?
(思い出せぬままに、とりあえず問いを投げる)
■設楽 透 > 「ありがとう」
「いや、調べ物ってわけじゃないんだけどね?」
「何か良い事ないかなあと思ってさ、軽く散歩気分で来てみたんだ。」
【椅子を引き出して腰を下ろしながら答える】
【狐につままれたような顔の下級生を見て、くす、と微笑み】
「僕の名前は設楽 透。」
「君は日乃杜ちゃん、だよね?」
■日乃杜 梢 > 図書館を散歩、ですか。それは…健康的、です、ね?
(まさか『変わった趣味ですね』とも言えまい。少女なりに気を遣った、当たり障りのないと自分で考える表現だった)
(浮かべそうになった硬い笑みは、すぐに驚きの表情へすり替わる)
(そうだ、思い出した。設楽 透。同級生達が噂の口に何度か上らせる、常世学園の有名人だ)
(その有名人が…)
私の名前、ご存じなんですか? どこでそれを…。
■設楽 透 > 「まさか、図書館を散歩してる訳じゃないよ」
「散歩の途中で図書館に来たのさ」
【面白い事を言うね、と設楽は笑う】
【そうしてる間にも表情から心中を見透かすかのように】
【微笑み笑みを湛えた顔で貴女を見つめている】
「ご存知も何も、この学園の生徒の大体は知ってるよ?」
「何も特別な事はする必要は無い、」
「ちょっと先生に頼んで生徒名簿見せて貰えば良いんだから」
【一年生はみんな名前を当てられると驚くんだよねえ、】
【そう笑う彼は、やっぱり『変わった趣味』の持ち主で間違いない】
■日乃杜 梢 > あ。あー、あー…そういうことでしたか…。
(やってしまった。割と間の抜けた勘違いをやらかした)
(恥ずかしさに負け、両手で顔を覆う。真っ赤な顔を隠す代わりに、開いていた頁がめくれて別の頁になってしまうが、これも等価交換というものだろうか)
(…見透かすかのような透明な視線に気づかずにいられたのは、幸不幸のどちらに属するのかは、今の彼女にはわからないことだ)
それは、驚きます。初対面の方に名前を呼ばれるのは…結構、ぞわぞわしますし。
(あるいは同級生達なら、こういうところに盛り上がるのだろうか)
(頭の片隅で、そんなことを思った)
■設楽 透 > 「ふふ、初々しいなあ」
【眩しそうに目を眇め、】
【行動の一つ一つに頬を緩める】
「ああ、それもそうだねえ」
「僕、なるべく生徒の顔と名前は出来るだけ前以て頭に入れてるんだよね」
「ほら、話しかけやすいしさ。」
【特に可愛い子は、と笑顔で付け加える】
■日乃杜 梢 > う、初々しいとか、可愛いとか…か、からかわないでください、先輩。
(噂は小耳にはさむ程度に聞いていたが、実際に面と向かってそういうことを言われると…いかんせん、生真面目気質の少女には耐性が足りない分野だ)
(ここまでの数回の会話のやりとりで、どれほど顔を赤くしたことか。浄炎を操る修行でだって、こんなに熱を覚えたことはないというのに)
(このままからかわれ続けるのは、精神的にも苦しい。ここは…撤退を選ぶことにした)
す、すみません、もう時間も遅いですし…私はこれで。
失礼します、設楽先輩!
(本を急いでまとめ、頭を大きく下げてから、足早にその場を離れる。ぱたぱたぱた、と足音が忙しく響き、遠ざかっていった)
ご案内:「図書館」から日乃杜 梢さんが去りました。
■設楽 透 > 「新入生はみんな初々しい物だと思うけどなあ。」
「おや、そうかい」
「足元に気を付けて帰るんだよ」
「またねえ、日乃杜ちゃん」
【その場を去る背中へと声を掛けて】
【図書館を後にするのを見届けてから席を立った】
【気が付けば殆ど人は居らず、】
【本の貸し出しカウンターにも】
『設楽先輩 戸締りよろしくお願いします』
【とだけ書かれた紙切れ一枚が遺されているだけだった】
■設楽 透 > 「………」
「………」
「…………さみしい。」
【紙切れを手に無人の図書館を眺めて】
【溜息と共に一言だけ呟くと】
【指示された通り図書館の施錠を確認して】
【独り寂しく図書館の壁から出て行ったのであった】
ご案内:「図書館」から設楽 透さんが去りました。
ご案内:「図書館」に四十万 静歌さんが現れました。
■四十万 静歌 > ラノベがおいてある棚で物色……
もとい何を読もうか考えている。
新刊を買うお金を節約する為に、
図書館で借りればと思ってやってきたら、
まさかラノベまでこんなにおいてあるとは思ってなかった
とでも言うような顔をしている。
■四十万 静歌 > 「……」
大量の本がおいてあり、
なんでもおいてあるのは知っていたけれど――
(どうやら私は図書館を甘く見ていたらしい。
新入生でもないのに恥ずかしいけど……
うん。動揺しないようにしないと。
平常心平常心。)
焦る気持ちを抑えて、
平常心であるよう心を落ち着けようとするが、
当然の如く表情には焦っていますの文字が透けて見えるようだ
ご案内:「図書館」に蒼穹さんが現れました。
■蒼穹 > (時間は…昼頃だろうか?それは、己が禁書庫へと向かう途中の事。)
やっほ。おはよ、で良いかな?
…どしたの?
禁書庫にでも入ろうって画策してるの?
それとも、宿題の完成が間に合わない、とか?
(初対面だが、気さくに手を振って挨拶を遣ってみる。明らかに認められる、相手の焦りの色に、的外れな問を投げてみる。己は図書館に用があるわけではなかったので…この本の選り取り見取りさには特に目が行くはずもなく。)
■四十万 静歌 > 「――!」
びくーんと声に面白いぐらいに反応したのち、
ギギギと、聞こえそうなほどぎこちない動きで、
蒼穹の方を見る。
「お、おはようございます、
いえ、その……どの本を読もうかと思ったんですけど、
決め切れなくて――」
隠し切れぬ動揺を隠せぬままに、
正直に話す。
慣れていそうな様子に図書委員かと誤解してそうな感じだ。
■蒼穹 > わぁ、意外なほどにビッグなリアクションだね…!
(つられてこちらまで驚きそうである。彼女は一体、何をしに来たのだろうか。なんだか少し好奇心が煽られる。)
ん、おはよ。
あはは、どの本読もうかと思った、か。
んじゃ…何が読みたいの?…教科書、歴史書、辞書、漫画…魔術書…色々あるから、正直そんな悩みもあるだろうね。
(今更、己の視界にバラつく大量以外に形容のしようがない本たちにそれぞれ一瞥を遣った。)
■四十万 静歌 > 「す、すみません。」
うう、恥ずかしい所を見せてしまったと頬をかいて赤面する。
どの本をといえば――
「ええ。色々あるとは知っていたのですが、
本当にこんなにもあるとは思ってなくて――
購入予定だった本を借りて読もうかと思ってたんですけど……
その……もう手に入らないと諦めてた本だとか色々……
あ、私が読んでるのは恋愛系のライトノベルなんですけど……!」
しどろもどろに質問に答え、
いってしまってから
(別に恋愛系とか言わなくてもよかったんじゃない?
失言したッ……!)
と照れ隠しに横を向いた
■蒼穹 > ああ、いえいえ。大丈夫だよ。
(ふるりと、首を横に振った…誰しも、ここの馬鹿みたいな広さと物量には参るだろうし、突然声を掛けられたのではこうもなるだろう。)
はい?…んん…。えっと、えっと…。
…え?恋愛系の、ライトノベル…?
ああうん、ちょっと待ってね。
(何を言っているんだろうと彼女を二度見。多分、口が滑っちゃったんだろうな、と思いながら、苦笑いしつつそれには関与せず。)
んーと、娯楽系の本が置いてあるところにあるんじゃないかな。
あの辺。あっちをそっちへ曲がって―――
(視線が合わぬ彼女を横目に、指を指して、その本が置いてあるだろう場所を説明する。生憎禁書庫へと毎日向かっているだけあって、図書館の地理状況には人より詳しい自信があった。)
■四十万 静歌 > 優しく対応してくれる様子をみて、
親切な人だなぁ、と少しほっとして胸を撫で下ろす
「丁寧に教えていただきありがとうございます。
えーっと……」
そういえば名前も聞いていないし、
何かお礼でもした方がいいのだろうか、
でも職務だから当たり前なのかなと
とりとめもない事を考え少しためらってから、
「あ、私 四十万 静歌(しじま すずか)ともうします。
凄くお詳しいんですね。」
とりあえず自己紹介をして、
きらきらと尊敬のまなざしで見つめる事にしたようだ。
■蒼穹 > ん、どういたしまして。
どうせやることもなかったからね…。時間もたっぷりあるし。
(ふる、と首を振りながらも御礼の言葉は受けて。)
ん、四十万さん、だね。それともスズカって呼んだ方が良いかな…?
あはは、まぁね、最近図書室に来る機会が多くってさ。
それで、慣れてきたのかも…ええと。
おっと…申し遅れたね、私、蒼穹《ソラ》って言うよ。どうぞ、よろしく。
(己を指差しつつ、自己紹介に自己紹介を返す。何やら爛爛たる眼差しには、少しだけくすぐったい気持ちになった。)
■四十万 静歌 > 「私も時間だけはたっぷりと……」
別に上を目指している訳でもなく、
宿題その他にしても大量にでない限りは問題ない。
まぁ、そんなだから成績は中くらいになる宿命なのだが。
「名前は……お好きに呼んでいただければ大丈夫ですよ。
蒼穹《ソラ》さん……蒼穹さんですか。
最近……なのにこの図書館の事把握したのですか?
凄いです……!
あ、でも、それでは図書委員だったりは――?」
最近という言葉を聴いて、驚きつつ、
あれ?
そういえばやる事ないっていってたって事は、
図書委員ではないのではないかという疑問が遅ればせながら湧き上がってきたようだ。
■蒼穹 > そうなんだ。あはは、んじゃ、御互い暇してるって事なのかな。
(先程、焦っていた様相の彼女の言葉である。でも、実際切羽詰まったわけでもなかった様で。意外とゆったりしていた。)
ん、じゃ。スズカって呼ばせてもらう事にしよっかな。
そうそう、蒼穹。それが私の名前。
あはは、嬉しいね、褒めてくれて。なんていうか、通り道みたいになってるんだ、それでイヤでも覚えちゃうっていうか。
…んーん。図書委員じゃないよ。
(にんまりと、口角を歪めれば、からっとした朗らかな笑み向けつつ。彼女の問いには、首を横に振りながら、そんな風に告げて受け答えをした。)
■四十万 静歌 > 「あ。」
今頃自分の名前を焦って間違っていっていたのに気づいたらしい。
「す、すみません、シズカと申します。
思いっきりかんでました……
はい。奇遇ですね、お互い暇してたなんて。
通り道という事は奥に用があるんですね。
通り道だから嫌でも覚えるなんて凄い記憶力ですね。」
(私には真似できないわ。
うん。)
出来の違いにため息をつきそうになるが、
首を振ってため息をつく気持ちを振り払う。
「図書委員でもないのに丁寧に教えて戴いたら、
何かお礼をしないといけませんね。」
■蒼穹 > ―――シズカ、って呼ばせてもらうね。
(ドジっ子?!と、思わず横槍を入れたくなったが、そこは押し黙った。努めて冷静に、仕切り直し。)
そだね、奇遇かも。
…うん、奥の方に…ちょっと用が。あはは、大したことないんだけどね…。
実際体で覚えたら、すぐに覚えられるって。
(手をひらひら、実際にやってみたらどうかな、何て言わんばかりの表情だった。)
んん、別に良いんだけどね。
私も暇してただけだし。
■四十万 静歌 > 「が、頑張ってみます。
それでは……」
体で覚えるの言葉に少し引きつった笑顔で返しつつ、
でも、ただお礼の品を渡したのでは面白くないかな?
と小首をかしげ、表情を引き締め、
軽く右手をあげて指を鳴らす。
右手の動作への違和感を強め、
そちらに意識が移った隙に
隠蔽を解除した缶コーヒーを左手で取り出して差出し、
突如現れる缶コーヒーという手品は完成し、
驚かせつつ、プレゼントも手渡せる――
という算段だ。
「図書館内で飲み食いは駄目でしょうから、
図書館から出たときにでも飲んでください」
■蒼穹 > んん…何かくれるんだね。…どれ。
(きょとん、としながらも彼女の動作を見遣ってみる。パチン、とでも音がしただろうか、右手に一瞥を遣るなら、彼女の思惑通り、己の目はそちら側に集中し、左手には目が行かない。邪神たる己でも、マジックのタネを見破ることは出来なさそうだった。)
…んぇ?…あ、ええと…あ、ありがとう…?
えっと…うん、そうするね。
ち、因みに私は甘い方が…好きだったり。
(ふと、左手に目を戻せばそこにはすでに缶コーヒーが差し出される情景で。あれ、いつの間に、とその言葉を飲みこめば。目をぱちぱちとさせつつ、その言葉を飲みこむ。釈然とせぬ様子で、彼女の言う、御礼、殊にプレゼントを、受け取った。)
■四十万 静歌 > 「はいっ」
驚いて受け取って貰えると凄く嬉しそうに笑顔を浮かべた。
どうやら期待した反応がきて嬉しかったらしい。
「私も甘いものが好きだから、
普通にお砂糖が入った奴ですよ。
無糖の方がいいって言われなくてよかったです。
甘いものはいいですよね。」
更に、蒼穹が甘い方がいいと聞いて自分と同じで更に嬉しそうになる。
■蒼穹 > あはは、…手品、って所かな。
(何やら、こちらまでつられて、笑ってしまった。すこし、擽ったそうに。)
ふーん、そうなんだ。
いいよね、何か…口が癒されるっていうか…。
あんまり珈琲自体も飲まないけど…せっかくのお近づきのしるしだし、貰っとくよ。お昼のお供にするね、ありがと!
(す、と己の鞄に缶をしまいながら。元気よく御礼を遣った。)
■四十万 静歌 > 「はい、手品です。
異能や魔術と比べると子供騙しみたいな感じですが、
これくらいしか取り得がなくて」
頬をかきつつ照れたようにわらって、
お礼をいわれるといえいえと両手でジェスチャーし、
「どういたしまして。
私にとっては、
蒼穹さんに親切にされた方がありがとうですよ。」
■蒼穹 > んん、でもいいと思うなぁ。
何て言うかさ、平和的で。手品一つで、こうやって微笑ましくなれるんだからさ。
(のんびり、どこか想起めいた口調にて、溢すようにぽつり。)
あはは、そう?どういたしまして。
…あ、それで、お目当ての本は結局…?
(思い出したように話題の転換。)
■四十万 静歌 > 「そうですか、ふふ。
実は結構簡単ですから、
蒼穹さんならすぐに出来るようになると思いますよ。
手品の本だってありますし」
興味を持ってもらって熱をもって語ろうとしたところで、
お目当ての本といわれて――
思い出したかのように慌てふためいた
「あっ。わ、忘れてました……
確保しないと、
ええとあっちでしたね。」
そういって、
先ほど教えられた場所を確認するように指差した。
■蒼穹 > へー…。それじゃ、私もま、追々やってみるかな。今少し、忙しいし、件が片付いてから。
…魔術で手品やったら元も子もないよね。
(私なら、か。そう思うと、やっぱり邪神とあれど少々ニヤけてしまう。)
そだね、早くしないと無くなっちゃうかも。
うんうん、あっちだよ。…ついていこっか?
(こくこく、と頷くも、何やら少々不安なのか、念の為の問。)
■四十万 静歌 > 「ええ、時間が出来たときにでも練習すれば。
魔術でやってもばれなければ大丈夫じゃないでしょうか?」
実際自分も魔術と異能の併用をしている。
もちろん無しでも手品はできるけれど、
そう、手品はばれなければいい。
ばれたとしても、
使われたとその瞬間に理解できなければ問題はない。
「えっ。」
そして、ついていこうかの問いに少し驚いた後、
笑顔を浮かべ
「もしよろしければ是非お願いします!」
頭を下げてお願いした。
■蒼穹 > …魔術でやるなら私もできると思うんだよね。
あはは、後で、御目にかけようかな?
(自身の特技も、張り合いながらに見せたかったのか、是非とも見てもらいたそうな口振りであった。)
あ…あっはは、もっちろんっ!おっけー。…そんな丁寧に御願いしなくても良いけどね…。
こっちだよ。いこっ!
(流石に、たじたじ。頭を下げられる事には、慣れていない。さて、目指すべき方指差せば、一歩早く、目的の場所へと歩き出した。)
■四十万 静歌 > 「ほんとですか!
うわぁ……楽しみです、
よかったら是非見せてください。」
本当に楽しみなのか目がきらきらしている。
どんなものを見せてくれるのか、
楽しみでしょうがない。
「ううん。もっと、砕けた方がいいのでしょうか?
あまり人付き合いになれてなくて……
あ、はい!」
歩き出すと、その後ろに大人しくついていく。
■蒼穹 > おっけー、期待してて。
あっと驚く魔法を見せてあげる。…一体どんな手品しようかなぁ。
(少々、爛爛とした瞳にプレッシャーの様なものを覚えつつも、嬉し気に、あれがいいかな、こっちの方が良いな、これも良いな。と、頭の中で色々思考してみる。)
んー、と。
十分砕けてると思うし、私が馴れ馴れしすぎるだけだと思うから…大丈夫じゃないかな?
(さて、歩く事、数分。やはり、この図書館は広い。一つの大きな本棚の前で、とん、と足を止めれば、それを見上げて。)
…ラノベだったっけ?…多分この中にあると思うよ。
…探すの大変そうだけど。
(一つの本棚にも、これまた山ほどの本が入っている。)
■四十万 静歌 > プレッシャーを感じてびくりと震えると同時に、
どんな凄いことをと期待度が跳ね上がった。
「はい、期待して大人しく待ってます。
私としては蒼穹さんくらいのほうが、
嬉しいですね。
その、親しくしてくれてるって感じがしますし。
で、目的のものは……」
大量に本があって探すのは大変だが、
きちんと作者名順に仕分けされているのを確認すれば、
後は作者名を辿るだけなので、
割とすんなりと目的のものを見つけたのか数冊の本を抜き取った。
内容は……魔王と勇者が恋に落ちるというものである
■蒼穹 > んんー…。
でも、考えれば考えるほど思いつかないなぁ…。
なんでだろう…。私の魔術だと合わないのかなぁ。
(むー、と、結構思考を巡らせてみる。破壊魔法でできる手品…何か、あるだろうか。精々消す手品が限度だろうし、消したものは戻って来ない。)
ん、そう?でも、私くらいになるのはちょっと難しいかもね…。
…ふーん。
成程。それ…大分世界も変わったってことかな。
(勇者と魔王。己はどちらかといえば魔王に値するだろうが、己から見るなら敵と恋に落ちるとは…酔狂としか、言いようがなかった。だが、だからこそ、そう言うものに惹かれる者がいるのだろう。彼女のように。)
■四十万 静歌 > 「まぁ、手品にも色々ありますし、
あわてて手品にからめなくても大丈夫ですよ。
得手不得手もありますし。」
きっと、蒼穹さんの魔術は手品という枠には収まりきらないものなのだろうと思い、そう口にする。
無論、手品にも使えなくもないのだろうが、
それにはきっといろんな手品を知って初めてになるだろうと。
「まぁ、私は私のペースでいきますよ。
ええ。
牛歩の歩みでも前にすすめればいいんです」
そして難しいとの言葉には自分に言い聞かせるように答え、
本への感想らしきものには、
「王道も好きなんですけどね。
折角の小説、もしもの世界ですもの。
世界が変わったというより、
ハッピーエンドであるならば、
これくらい現実味がない話の方が私は好きですね。
そんな話が現実になったなら、
もっと素敵なのでしょうけど……
流石に高望みですし、ね。」
■蒼穹 > …あはは、それもそうかな。
キミの言う通り…か。
(んー、と一つ伸びをして見せれば、一先ず、手品は後で考えよう、と。)
んん、そう。頑張ってね。人付き合い。
…ハッピーエンド至上主義ってわけじゃないんだね。
あはは、どっちかって言うと現実主義、ってやつかも。
そう…さて、それじゃ、私はちょいとこの奥に用があるし、
目的が果たせたみたいだから、失礼するよ。
またね、シズカ。
(いつのまにやら片手には手品の本を携えて。手を振りながら、そのまま、奥の方へと消えて行った。)
ご案内:「図書館」から蒼穹さんが去りました。
■四十万 静歌 > 「ありがとうございました、蒼穹さん。
それでは、また。
無事、用が済みますよう。」
静かに見送って礼をする。
「……緊張したけど、
ちゃんと会話出来てたわよね。。。
うん。」
姿が見えなくなるとそう呟き、
気を取り直して、
(私は私がここに来た目的を果たしましょうか。)
確保した本を手に貸し出しの手続きを済ませ、
本を借りる。
それにしても、現実主義、か。
そういえばそうなのかもしれないが……
きっと自分は諦めが強いだけなのだろう。
そう苦笑し静かに図書館を後にした。
ご案内:「図書館」から四十万 静歌さんが去りました。
ご案内:「図書館」にレイチェルさんが現れました。
■レイチェル > 「さぁて、と」
クロークを纏った少女が図書館へと現れる。
「強行捜査まではまだ時間がある……協力要請も大事だが、
学生である以上は、な。学業が本分だぜ」
そう。彼女は風紀委員である以前に、一人の学生なのだ。
そして彼女はその粗野に見える性格に似合わず、真面目だ。
以前受けた上泉の授業――あの授業で学んだ『エンチャント』に
ついて、そしてその他受講している授業についてより深いことを調べる為に、
彼女はここへ訪れたのであった。
「さて、エンチャントについて書かれてる本を探さなきゃな。
属性魔術……黒魔術……ん、こっちじゃねぇな。錬金術……エンチャント……ここか」
棚に敷き詰められた古ぼけた本に細い指をすっと添わせながら歩き、
ようやくお目当ての本を見つけたのか、そこで立ち止まった。
「エンチャントの基礎基本―発展から応用まで―、か。借りられてなくてよかったぜ」
■レイチェル > 常世学園の図書館には、膨大な量の図書が収められている。
おそらく、様々な世界から集められてきたのだろう。
見たこともないような言語の本から、視界に入れるだけで身体に変調を来しそうな本まで、
色々並んでいる。
「あとは、てきとーにこれとこれとこれ、と……」
次々と、本を手の内に入れて。気付けば10冊程の本を片手に、まるでタワーのように
積み重ねて持っていた。それでも彼女は眉ひとつ動かすことなく、ましてや汗を流す
ことなく、それらの本をバランスよく持っていた。
「こんなもんか? 色々忙しいけど、読みきれっかなー。とりあえず全部借りてくか」
そう言って、彼女は図書館のカウンターまで歩を進める。
ご案内:「図書館」に谷蜂 檻葉さんが現れました。
■谷蜂 檻葉 > 丁度レイチェルがカウンターに歩き出した所で図書館に一人の少女がカウンターの奥へと入っていった。
「はい、受付交代の時間です。お疲れ様でしたー」
■谷蜂 檻葉 > そして、レイチェルが山積みの本を持ってくるのを見て ウッ と顔を顰める。
……本人は、至って冷静な表情のつもりのようだが。
■レイチェル > 10冊程の本を片手に積み上げたまま、彼女は図書館のカウンター
の前までやって来る。
顔を顰めた様子を見て、レイチェルは小首を傾げた。
「これ全部借りてーんだけど、いいかな?」
そんなことを言いつつ、ドンッと。
重々しい音と共に、カウンターに本を置く。
■谷蜂 檻葉 > 「ひっ…… え、えっと。すいません、一度に借りられるのは5冊までなんですけど……ハイ……。」
太鼓を強く叩いたような胸の奥に響く重音にびくっとするが、得意の愛想笑いでフォローしていく。
ぶっちゃけて言えば、この学校の人間が正しく5冊を守ることはほぼ無い。社交辞令じみた言葉だと解ってはいるが、これもマニュアルだ。
■レイチェル > その言葉に、カウンターに身を乗り出して、顔を近づける。
別に威圧的な態度ではない。ただただ残念そうな顔をしている。
「他の図書委員は何も言わずに普通に貸出してくれたぜ~? ま、規則ならしょーがねーか……」
そう言って、やれやれと腰に手をやって、本のタワーを見た後、
カウンターの上で本の整理を始めた。
「これとこれと、あとこれと……あとこれだな、うん。
じゃあこの5冊でいいか?」
そう言って、新たに5冊の本を檻葉の方へずい、と突き出す。
■谷蜂 檻葉 > 顔を近づけれられる分だけぐぐぐと上体をそらし、危うくそのまますっ転びそうになった所で足をカウンター下に引っ掛けて器用にキープする。
内心ドキドキバクバクの状態で(ああ私の学園生活ここで終わりかな)なんて思っていたが意外にもおとなしく引き下がってくれたことに安堵と本日の運の使い果たしを思う。
「ヘヒッ……だ、ダイジョブ、です。 学生証オネガイシマス……」
私も次からは何も言わないようにしようか。
そうこの数十秒を振り返るが多分また注意するのだろう。真面目と生真面目の違いは不幸を生みやすい。
■レイチェル > 「お、おいおい大丈夫かよ……?」
すっ転びそうになったり。何だかそもそも様子がおかしかったり。
そんな檻葉を見て、少し顔をしかめつつも、学生証の提示を求め
られればすぐにクロークの内からぴかぴかの学生証を取り出し。
「よっと。はい、これ。よろしく」
『常世学園高等部第一学年 レイチェル・ラムレイ』
そう記された学生証には、腕組みをした少女の写真が見える。
■谷蜂 檻葉 > 「だだ大丈夫ですご心配なくっ!」
傍から見ればギャグだろうが本人は必死である。
ささっと受け取って本をバーコードでPCにチェックさせ、最後に学生証をカードリーダーに通す。
「はいっ これでオッケーです。借りきれない分はここで少し読んでいきますか? えっと、レイチェルさ ……レイチェル?」
ようやく”普通の”図書委員として役目を果たせたと思った所で学生証の名前に首を傾げる。 何度か、聞いたような名前だったと思うが何処の誰だったか……。
■レイチェル > 「なーんか見てて心配になってくるぜ……」
そんな言葉を漏らしつつ。
「あー……ま、いいや。今日の所は帰ることにするぜ。
またこれ全部読んだら借りに来ることにするさ。
悪ぃけど本棚に返却の方を頼めるか、間違った場所に戻しちまっても後で大変だろーし」
そう言って、借りる本をクロークに。残りの本をずい、と差し出し。名前を口にされれば、腕を組んで小首を傾げる。
■谷蜂 檻葉 > スルリと本の消えたマント――次元外套《ディメンジョンクローク》を見て漸く自分の感じていた危機感を具体的に理解する。
「(そうだ、なんかヤバイって思ってたけどこの人アレだ風紀委員の全身武装のキリングウーマンとか言われてる人……!!)」
脳内会議室が出す「ヤバそうな人」から「ヤバい人」へのランクアップ指示に声が裏返りそうになるが、早口でマニュアルの〆を言い切る。
「わ、かりました大丈夫ですやっておきますありがとうございましたまたのご利用お待ちしております。」
「……またのご利用をお待ちしておりますっ」
二度言ったのは京言葉でぶぶ漬けの入用を確認するのと一緒である。
■レイチェル > 「……ま、頑張れよ。図書委員」
肩を竦めて、そんなことを呟き。
「おう、また来週来るぜ」
そんなことを言い残して、クロークを翻すと
カウンターから去って行った――
■谷蜂 檻葉 > 「はー……あのナリで10冊軽々片手持ちとかヤバそーって思ったけど……。」
十分、レイチェルが離れた所に行ったのを確認して呟く。
「風紀委員ねぇ……あんまりお近づきになりたくないわ……。」
平々凡々な偏見で、レイチェルの背を見つめていた。
ご案内:「図書館」からレイチェルさんが去りました。
■谷蜂 檻葉 > 「さ、早く片付けておきましょうか」
レイチェルが残した本を1冊だけ残して後は片付ける。
残る一冊は暇つぶし用だ。受付に人が来るまで、それを読んで時間をつぶす。
■谷蜂 檻葉 > (今日もまた、一人の時間がゆったりと過ぎていく……。)
ご案内:「図書館」に『室長補佐代理』さんが現れました。
■『室長補佐代理』 > 閉館時間が近付き、図書館の窓から西日が差しこみ始めた頃。
その男は現れた。
物陰の暗がりから、滲み出すように現れた長身の男は……靴音だけを響かせて、返却カウンターにまでゆっくりと歩いてくる。
窓辺から溢れる橙色の光を横顔にあびながらも、その相貌が明らかになることはない。
長身故に顔を覆う陰影のせいか、目元を伺う事はできないが……代わりに口元に浮かぶニタニタ笑いが、やけに鮮明に見える。
男はそのまま、黙ってカウンターに本を置く。
返却された本は、古臭い魔術書。
この図書館で扱っている魔術書の中では、時代遅れと揶揄されても仕方がない代物であった。
■谷蜂 檻葉 > (……う、わ。 何この本。 っていうか何なのこの人……)
急に聞こえた靴音に背筋をブルリと震わせる。
なんだったか、小さな頃にみたホラー映画のオープニング。二昔前の恐怖感を、時代遅れの魔導書が助長させる。
少しだけ震えそうになる手を抑えこんで、本の確認をする。
■谷蜂 檻葉 > 「えっと、貸出ですか?」
■『室長補佐代理』 > 「ああ。まだ……閉館まで時間はあるか?」
それは、巨大な管楽器から絞り出されたような声だった。
一瞬、音声加工を疑わせるような低音。
「しかし、図書委員がいるのは都合がいいな」
ギシリと、口端が吊り上り、目元が露わになる。
前髪の隙間から見えた黒瞳は、少女の目を捉え、歪む。
それが笑みであると気付くまで、どれほど時間がかかるであろうか
■『室長補佐代理』 > 「おっと、言い忘れていたな。それは返却だ。それの処理が済んだら、また新しい本を借りたい」
■谷蜂 檻葉 > レイチェルの時とは違う恐怖感。
あちらがアメリカン・スプラッタならこっちはジャパニーズ・ホラーだ。
一言一言に肩が跳ねそうになるほどの恐怖感を覚える。
「あ、はっ、はい大丈夫です図書委員がいる間なら都合がつきますからどちらでもお申し付けいただければッ」
嗚呼、今日は厄日だろうか。
手早く操作を行い、返却を済ます。
「はい返却はこれで大丈夫です貸出は学生証か教員証が必要ですがお持ちですか?」
目も合わせず、早口かつ一息に言い切る。
今日は愛想ももう売り切れだ。早くこの恐怖から抜け出たい。
■『室長補佐代理』 > 「これでいいかね」
そういって、懐から取り出したのは……普通の生徒の持つそれとは装丁の異なる生徒手帳。
その手帳を開いて、男はその正体を詳らかにする。
「公安委員会直轄第二特別教室 調査部別室 『室長補佐代理』……異能名は『主観論』、魔術名は『君の友人』だ。仕事柄、規則の問題で本名は伝えられなくてね。まぁ、どれでも通用する。好きな名前で諸々の処理はすませてくれ」
実際、その学生証の本名の欄は空欄であった。
欄外には小さく『※検閲済み※』の印まで押されている。
「ああ、それと、借りたい本なんだが……あっちの棚にあってね」
そういって、一瞥を送る棚は……当然ながら魔術書の棚。
おどろおどろしい雰囲気を常に纏っている不気味な書架である。
「悪魔学関連の本を探したいのだが……棚を教えてくれるかね。出来れば付き添ってくれるとありがたいのだが」
■谷蜂 檻葉 > 「公あっ……!? あああはい大丈夫です問題無いです」
(ああああああまたなんかヤバイ噂しか聞かない人ぉおおおおおおおおおおお)
脳内対策会議は既に喧々諤々非難轟々波瀾万丈のパニック状態だ。
「ヤバい人」→「明らかにヤバい人」→「危険信号」と段階飛ばしに指示がランクアップしている。しかし相手は正規の手続きを踏んでいるのだ、これで無碍に扱うのはこちらの非。
「あちら……ですか、はい……悪魔学……へぇ……はは……」
もはや三下山賊のような上っ面の相槌しか打てない、が。
「はい、付き添いですね……付き添いッ!?」
思わず、ガタンと立ち上がる。
■『室長補佐代理』 > 「魔術ではそれを専攻していてね」
そういって、左手にはめた純銀の指輪を見せる。
不気味な文様の掘られた大きめの指輪だ。
恐らく、魔術的な礼装か何かなのだろう。
「ああ、流石にあれだけ書架が広いと一人で探すのは手間でね……魔術書は呪いが掛かっている類のものだと『身を隠して』しまう。書に熟知している図書委員の同伴があると心強いのだが……何か不都合でもあるのかね?」
長身の男が、覗き込むように背をかがめ、少女の目を見る。
真っ黒な瞳が、その是非を問うていた。
■谷蜂 檻葉 > 「不、都合ない、デス。ハイ。」
正直言って、不都合しか無い。
より正確に言えば『書に熟知している』というのには檻葉はあまりにも未熟だ。
ただ、【こういう時用】に顧問から渡されているモノがある。
「しょっ 少々お待ちください!!」
そう言って机の一部に小さく付いている引き出しを開ける。
そこに置かれているのは室長補佐代理に対するような、漆黒の指輪だ。
震える手でそれを嵌めると、カウンターを重い足取りで出る。
「そ、それじゃあ行きましょうか……ええと、室長補佐代理さん。こちらです。」
■谷蜂 檻葉 > その指輪の名は無い。
ただ一つの機能が付与された、魔術の品。
『常世学園の書を確実に”捉える”』。
シンプルかつ限定的で、しかしそれゆえにその意義だけは確実に果たす逸品。
■『室長補佐代理』 > 「それは重畳。頼りにしているよ」
目を覗きこんだまま、男は笑った。
墨が滲むような、汚濁が零れ落ちるような笑みだ。
そのまま覆い被さった顔から、影がシミとなって垂れ落ち、少女に降り注いでくるような錯覚すら思わせる。
名もない漆黒の指輪を嵌めた少女の背後に、幽鬼のように男は付き添う。
「目当ての本は『レメゲトン』系列のグリモワールだ。有名どころだから何せ数が多くてね……どれに俺の欲しい情報が書かれているのか、手に取って中身を改めないと分からない。目当てのものを見つけるまでは、付き合ってもらいたい」
■谷蜂 檻葉 > 「レメゲトン……です、か。」
学生として、それと一幻想物語ファンとして知っている。
『ソロモンの小さな鍵』として有名な魔術書。
そして、有名だからこそ写本が多くその真偽については研究が重なる今も多く議論される。
(閉館までに見つけられるかなぁ……目当ての……今日帰れるかなぁ……)
「えぇとその、”こっち”にあるのはどうしても禁書級までは無いので、その、室長代理補佐のお目当ての物はないかもしれませんので、ご留意ください。ね?先に。言っておきますけど。」
こちら側にあるのはあくまでも『一般生徒用』の貸出区域だ。
……奥の奥にまで行けば、あるかもしれないが。
―――やがて、一般用魔術書区域に着く。
「ええと、取り敢えずレメゲトン系列ですよね。ちょっと待って下さいね……」
■谷蜂 檻葉 > 祈るように指輪をはめた指を額に寄せて、片手で何冊かの本を選り分けていく。
「……パッとわかるのは、この辺ですかね。 ご確認お願いします。 その間にもう少し、類似本も探しますから。」
■『室長補佐代理』 > 「構わんよ。もしなければ、後日認可をとってから禁書架にまで足を運ばせてもらうさ。もしかしたら、その時も付き合ってもらうことになるかもしれんがね」
くつくつと笑いながら、革靴の硬質な靴音だけを響かせて、少女に続く。
指定の制服の上にコートまで羽織っているにも関わらず、ボタンや留め金の音は愚か、衣擦れの音すらしない。
あくまで靴音だけだ。
前だけを見て、男の姿を確認しなけれが、その靴音だけが、男の存在を肯定しているといえた。
■『室長補佐代理』 > 振り向いた少女から、数冊の本を受け取り、バラバラと頁をめくる。
斜め読みにすらなっていないようにみえるが、よく見れば視線は微かに動いている。
速読の一種だ。
「これは全部違うな。次を頼む。もっと古い奴をくれ。ラテン語の奴をもってきても構わない」
ご案内:「図書館」に正親町三条楓さんが現れました。
■正親町三条楓 > 「あら~」
ふと書架の横から出てくる女。
二人の前にあらわれたその女は、おどろおどろしい書架に似合わずおっとりと緩んだ表情をしている。
「こんなところで、奇遇ですね、しつちょ……えっと、補佐が先でしたっけ、代理が先でしたっけ~?」
無論、奇遇などではない。
わざわざ彼に会う為に来たのだ。
■谷蜂 檻葉 > 「きっ、禁書庫は私は無理ですよっ!?ふつーの、ふつーの一般人なんですからっ!!」
声が裏返るのも厭わずに悲鳴じみた声を上げる。
(ああ、もう早く帰りたい……!)
「古いの、ですね。ええと……」
捕まえる―――違う
捕まえる―――惜しい
捕まえる―――これも違う
捕まえる―――これだ、ラテン語で……
本を捉える感覚を得るその瞬間に割り込んできた声に”手を放して”しまう
「あっ、ちょっとおぉお!?」
バッと声のした方向に振り返る。
■『室長補佐代理』 > 書架の間から、何の前触れもなく現れた女生徒を一瞥し……笑う。
手に持っていた本をまた棚に戻しながら、左肩だけを竦める。
「室長補佐代理ですよ、式典委員長さん。まぁ、呼びづらいならむしろ異能名か魔術名のほうで呼んでくれても……」
と、言いかけたところで、谷峰の声に振り向く。
「……! まずいな」
そして、即座に谷蜂の手を掻っ攫うようにとって、身を引き寄せる。
「式典委員長。すまないが、急用だ。手伝ってもらうぞ」
手放された『お目当ての本』をみて、滲むように笑う。
「主人に手放されて、どうも……先方は『お怒り』のようだからな」
■正親町三条楓 > 「あら~……?」
どうもタイミングが悪かったらしい。
昔からタイミングというのはどうも苦手なのだ。
「でも、私、暴力は苦手なんですよね~?」
さて困った。
暴力的な事は本当に苦手なのだ。
何せ、彼女の異能は戦闘にまったく役に立たないのだから。
■谷蜂 檻葉 > (引き寄せられるままに室長代理補佐の胸元で震える)
彼女は重々”魔術書”の危険性は図書委員となった際に教えこまれていたがその具体的な対策その他は一切身に入れていない。それらは禁書庫担当の話で、自分は縁のない話だと考えていた自業自得でもあるが。
■『室長補佐代理』 > 眠りを妨げられた魔術書が、形容し難い唸り声をあげ、インクを迸らせ、頁でその身を練り、獣の姿を象る。
獅子とも猿ともつかない不気味な面相のそれは、声なき咆哮をあげ、三人を恫喝した。
古代魔術書「ダレ、だ……盟約を違えシ、モノ、は……」
その恫喝を受けながらも、谷蜂を背後に庇い、書獣の視線から遮る。
魅入られると面倒な手合いだ。
「低級悪魔の成り損ないといったところか、魔術書に集まった悪い淀んだ気が形を成したようだな……まともに相手をしてもいいが、それをすると書架に傷がついてしまうな」
■正親町三条楓 > 「――仕方が無いですね~」
盟約、盟約。
なら自分の出番だ。
まったく戦闘に役に立たないし、用途も限定される。
――だが、用途が合うならば己の異能でもやりようはある。
「――書の獣よ、古の盟約を言うが良い」
■谷蜂 檻葉 > (メイヤク……盟約?)
室長補佐代理の笑みに優るとも劣らない不気味さを持つ気配に、こっそりと視線を向けては竦み上がる。
(ヤバイヤバイヤバイってヤバイ!!)
何がどうなっているのか理解が追い付いていないが自分の失敗がこれを引き起こした事だけは判る。しかし体がまともに動かない。体は強張り足は震えっぱなしだ。
【ひたすらに怯えている】
■『室長補佐代理』 > 「ほう、式典委員長の手腕が見れるか。運がいいな図書委員。あれを見れるなんて、滅多にないぞ」
震える谷蜂を背後に庇いながら、式典委員長を一瞥して頷く。
閑職の昼行燈と揶揄される彼女だが、一度でもあの力を目の当たりにすれば、そんなことは間違っても言えなくなる。
誰もが知るのだ――能在る鷹は、爪を隠すのだと。
古代魔術書「我が盟約……眠りの契約……違えシ、モノに、我が牙ヲ……ワガ眠りを妨げる事、罷りナらン……血に依って、購うベシ……血を、血を寄越せ」
インクはよく見れば、滲んだ血が混じっている。
血を吸い上げている本物の魔術書のようだが、眠りを与える事で黙らせていたらしい。
その眠りを妨げたのだから、血を寄越せとまた言っているのだ。
■正親町三条楓 > 「――では我が血を捧げる故に我に従うがいい。
その身、その魂、その頁を全て我に捧げるべし」
さて、交渉開始だ。
彼女の能力、それを行使するにはどうしても「約束」が必要になる。
血を捧げる、とは言ったが、どれほどとは言わない。
それは書の獣にとって都合が良いはず。
なにせ、いくら捧げても足りないと言っていつまでも要求できるのだから。
そう、彼女以外には――
■『室長補佐代理』 > まさしく、獣は頷いた。
その無表情な相貌に、昏い笑みが幻視される。
低級、低俗といえど魔種に類するもの。
ならば、その盟約は確かに受ける。
そして――恐らく女の予想通り。
古代魔術書「是非も無い……その、『盟約』を『確かに聞いた』」
魔であるが故、低俗であるが故、悪魔の成り損ないであるが故。
高潔からほど遠い。
それこそが正に。
古代魔術書「さぁ、その血を捧げよ……一滴残らず全て」
隙と――なる。
一部始終を、震える谷蜂を庇いながら、男は伺う。
無論、愉悦の笑みを隠さずに。
■正親町三条楓 > 「――あは、全部、なんて、誰が言いましたかぁ?」
懐からペーパーナイフを取り出し、ぴっと指先を切る。
滲んだ血を書の獣に向かい一滴与え――
「さぁ、血を捧げましたよぉ。『約束を守っていただきましょうか』」
彼女の異能が発動する。
契約遵守<ミスラ・ジャッジ>。
あらゆる契約、それがたとえ口約束であろうと守らせる彼女の異能。
それは呪いの形となり、書の獣へと襲い掛かる。
■谷蜂 檻葉 > 震えるままに檻葉は目にする。
呪いが獣へと襲いかかり、悶えのたうつ魔術書の核を締め付け呑み込み、一冊の――――
――――ただの本に戻す瞬間を。
「………終わった………んですか?」
ぽつりと、再び静けさを取り戻した暗い図書館の中で呟くように尋ねる。
■『室長補佐代理』 > まさしくその呪いが、形となって書の獣に襲い掛かる。
その呪いは可視化された漆黒の鎖となり、元の本へと収束していく。
声なき咆哮を再びあげて、風圧だけの空疎な断末魔が響く。
その牙をまさに血の滴の先、式典委員長に届かせようとするが……その前に、その魔術書が呪いで縛り上げられ、核を飲み込まれ――一冊の本へと戻った。
「そのようだな」
尋ねる谷蜂の肩を叩いて離れ、式典委員長に頭を下げる。
「助かった。相変わらずの見事な手腕だな」
■正親町三条楓 > 「まったくも~、私は戦闘とかできないんですよ~?」
ぷんぷんとしながら、絆創膏を取り出し指先に巻く。
実際、ロクに戦闘に使えるモノではない。
能力を知った途端に相手は警戒するし、罠にも嵌めれない。
使い勝手が悪い事この上ない。
――威力は、見ての通りだが
「さて~……あ、お邪魔でしたか~?」
室長補佐代理の後ろで震える少女を見ながら言う。
■『室長補佐代理』 > そう、まさに威力は折り紙つき。
だからこそ、確約の場に彼女は常に呼ばれ、裁定者として君臨している。
伊達に委員長のポストに座っているわけではない。
「邪推をする程度の余裕はあるようで何よりだ」
そう、苦笑と共に返答して、床に落ちた本を手に取る。
「さて図書委員。早速だがこれを借りたいんだが……構わないか?」
■谷蜂 檻葉 > 「お――――」
ほわほわとした同世代の笑みに硬直が解け、
緩やかに状況の終了を理解し、
何があったのかを丁寧に思い返し
「―――お邪魔どころじゃないわよ!!!死ぬかと思ったじゃないこの馬鹿ーーーッッ!!!!」
勢い任せに叫び、そのまま腰砕けにへたりこんでめそめそとベソをかく。
「好きにしてくだざい"室長補佐代理さ"ん"……」
「本の番号は指輪で覚えだのでやっておきまず……」
ぐしゅぐしゅと涙声でそう返す。
■正親町三条楓 > 「あ、あらぁ……」
わたわたと焦る。
こういう対応が一番困る。
甘い物を食べれば落ち着くかと思いポケットを探るが、あいにく何も持ってない。
「え、えっとぉ、ごめんなさいねぇ?」
私が悪いのだろうか。
あんまり悪い気はしないし、むしろ助けたと思うのだが。
■『室長補佐代理』 > やれやれといった様子で左肩だけを竦めて、ポンと谷蜂の肩を叩く。
「まぁ、少し過激なショーではあったからな。式典委員長殿は普段が普段なだけに、たまに『猛る』と恐ろしい」
にやにやと笑って、式典委員長を一瞥して嘯く。
「とりあえず、俺の用はこれで済んだ。欲しい本は手に入ったからな。ありがとう、図書委員」
そういって、手を差し出す。
「立てるか?」
■谷蜂 檻葉 > 「はい”……ずいばぜん……」
よろよろと手を引いてもらって立ち上がる。
ぐすっ、と最後に鼻をすすって顔―――は怖すぎて向けられないので室長補佐代理の顎あたりを睨みつける。
「もう、二度とこんなのはゴメンですよ私……」
「……それと、怒鳴ってごめんなさい。 えっと、私は谷蜂檻葉です。図書委員の。」
そう言って、楓に軽く会釈する。
■正親町三条楓 > 「あ、はい、良かったです~」
ほっとして、気付く。
そういえば、自己紹介をしていなかった。
「あ、私は式典委員長の正親町三条楓です~。長いからぁ、楓で結構ですよぉ」
にっこりと笑い、挨拶
■『室長補佐代理』 > 「悪いが、名前も顔も覚えた以上、また何かあれば頼らせて貰うぜ。谷蜂檻葉」
背をわずかに屈めて谷蜂の顔を覗き込み、意味深に嘯く。
「ところで、式典委員長。俺に用があるんじゃないのか? 俺の用は済んだことだし、話があるなら聞くのも吝かではないが……」
言いながら、谷蜂の顔を一瞥する。
「食堂あたりで、食事でもしながらのほうが都合がいいか?」
自分にだけ用があるのなら、場所を変えるか? と聞いているのである。
逆に言えば、ここで話せる程度のことならここでいいのだ。
■谷蜂 檻葉 > (言わなきゃ良かった!!!)
まさに不注意、まさに迂闊。 自分の間抜けさを此処まで呪う日は……多分数日内にでもあるだろう。 覗き込まれる瞳から首をぐいっと傾けて頑なに視線を合わせないように無駄な努力を重ねる。
(こっ、これ以上付き合わされるのは御免よ……!!)
こそこそと二人から距離を取ろうとする……。
■正親町三条楓 > 「あ、それじゃあ、私のオススメのスイーツショップにしましょうか~。
谷蜂さんに、お詫びもしたいですし~」
いい考えとばかりにパンっと手を叩く。
この女、絶対に自分が食べたいだけである。
用自体はたいした事ないが、甘い物を食べる機会を逃す手はない。
さっき苺タルトを食べたとか、カロリーとかは考えない事にする。
■谷蜂 檻葉 > (名指しと貧乏性とリスク管理の間で足を止める……。)
■『室長補佐代理』 > 「ふむ。俺は構わないが……谷蜂。お前はどうする?」
図書委員の仕事などもあるだろうと思われるので、そのことを懸念する。
「まぁついてくるなら奢ってやるが」
■谷蜂 檻葉 > 「えっ
【ぐぅ きゅるる】
……っと、この時間はもう人殆ど来ませんし……施錠は時間式のオートロックですので……その……オネガイシマス……」
位置関係的に紛うことなき腹の音に顔を真っ赤にして頷いた。
外は、夕日ももう殆どの影を落としていた。
■正親町三条楓 > 「は~い、それじゃ行きましょうね~♪」
心底楽しそうな女はとてとてと出口に向かい。
二人を行きつけの甘味屋へと案内する。
ご案内:「図書館」から正親町三条楓さんが去りました。
■谷蜂 檻葉 > 「それじゃ、直ぐ手続きしてきます……!」
駆け足で、カウンターの方へ向かう。
■『室長補佐代理』 > 「決まりだな」
にやりと微笑んで、またポンと肩を叩く。
「まぁ、仕事労いくらいはしてやる。いくぞ」
ご案内:「図書館」から『室長補佐代理』さんが去りました。
■谷蜂 檻葉 > 「……よし、指輪戻した。カウンターに貸出終了の札出した。……あ、ちょっとまってくださいよぉー!!」
ご案内:「図書館」から谷蜂 檻葉さんが去りました。
ご案内:「図書館」に美澄 蘭さんが現れました。
■美澄 蘭 > 昼と夕暮れの間くらいの頃合い。
華奢な少女が図書館に入ってくると、返却カウンターの方に向かう。
「これ、返しに来ました」
返却手続きが滞り無く終わると、少女は自習用の机に向かった。
本に興味は無いわけではないのだが…まずは、課題を片付けなくてはいけない。
■美澄 蘭 > 蘭は、高校に進学する代わりにこの学園への入学を選んだ。
なので、本人は
『学園を卒業した後、本土の普通の大学に行く選択肢も残しておこう。
そのために、大学受験に必要な勉強の、基礎くらいはこの学園でも勉強しないと』
と考えていたのだ。
そのため、1年次はそういった教養教育の科目中心に時間割を組んだのだが…「数学基礎」という科目が落とし穴だった。
「1年で数学の基礎を掴む」という名目で…具体的には、週1回の講義を年間通じて受講することで、数ⅠA・ⅡBの基礎を一通り学習するという講義なのだが…
進度が尋常ではない。
授業中に演習の時間はほとんどなく、ひたすら説明。
授業理解度の確認のための問題演習も、宿題に加えられている。
応用はほとんど取り扱わないとはいえ、1回の授業で扱う範囲が広ければ、復習のための宿題も結構な量になっていた。
(宿題6割以上提出して、年2回のテストで総合4割取れば単位はくれるらしいけど…)
範囲が広過ぎる。これ、宿題で点数を稼いでおかないとまずいんじゃないだろうか。