2015/06/11 のログ
蒼穹 > うん、あんまり深くは聞かないでよ、ちょっと昔は色々嫌な思い出があるんだ。
(憂鬱そうだった。)
あっはは、そっか。キミの世界は、あの言葉を使ってて。自身の伝統が残ってるって、そう思ったら嬉しいのかな。
(何にしても、あれ以上喋れないので、この場においては、少なくとも己にとっては、良い事だった。)

へぇ、雰囲気なんてわかるんだ。凄いや。
神?えっとね…私は神じゃなくて、これでも"邪"神ってヤツなんだ。
…細かい拘りだけどね。でも、そんな雰囲気を感じ取ってくれたっていうのは、嬉しいかな。
(彼が撒かれた話の種は何処へ向かうやら。予想の斜め下に一直線だろうか。なので、ちょいと脱線気味に己のこだわりを述べたならば、感想を一つ。)

カエラム > 「そうだね。長く使っていた言葉だから、やっぱりあいちゃくがあるんだ。」

「そうなのか……わたしはそっちの方が好きだな。
 わたしも、神にはいやな思い出があるからね。」

あまり話を暗くしたくはないので、込み入った事情は伏せておく。

「食ってねてはいばりちらすだけの神がみよりも、
 君のように話ができる"じゃ"神の方が、ずっといいってことさ。
 ひにくなものだね。」

あれらを聖として彼女を邪と呼ぶのなら、自分は断然"邪"を選ぶ。
もっとも、それは彼女のしてきたことをまだ知らないから言えることなのかもしれない。

蒼穹 > その愛着が、伝統を継いでいくんだよね。日本で言うなら、和服だってそうだし、本来なら時の奔流に流されて消えているはずの物。けれど、そんな風に、維持するから…残っていくんだよね。

へー、そうなんだ。奇遇だね。私も、嫌な思い出があるしね。
そうそう、キミの知ってる神っていうのがどんなのかは知らないけど、連中は正義と力の名のもとに威張るだけ…ってね。
ロクでもない連中だよね。
…ま、正義を名乗る奴なんてその程度ってことだよ。
(どうしてか、話が合う。だから、機嫌よさそうに、あれやこれやと話を綴り続けて。)

…おっと、もうこんな時間。
失礼するよ、漢字ドリルの勉強、邪魔して悪かったね。
それじゃ、またね、カエラム。
(ふと、時計に目を遣れば、何処か慌てたように駆け足で。それでも、きっちりと気さくに手を振りながら、その場を後にした。)

ご案内:「図書館」から蒼穹さんが去りました。
カエラム > 「気にしないでくれ、わたしもいい気分てんかんになった。
 ソラ、また会おう。」

手を振り返して邪神を見送った死神は、漢字ドリルの続きを行うのだった。

カエラム > そして時間が経つこと2・3時間……

「……六冊目終わりっ!」

基本的な漢字は、あらかた覚えられた。
これで人並の日常生活は送れるはずだ。……駅の切符売り場以外は。

カエラム > 「すっかり遅くなってしまったな、もうそろそろ帰ることにしよう。」

席から立ち上がって背伸びをすると、制覇したドリルを持って図書館を後にした。

ご案内:「図書館」からカエラムさんが去りました。
ご案内:「図書館」に夕霧さんが現れました。
夕霧 > 「………」
数十分前程から適当なイスに腰掛け、図書館の本ではなく、自分で持ちこんだ本をぺらぺらと退屈そうに眺めている。
カフェにでも行って読もうかと思っていたが、今となっては不幸中の幸いであった。

そう、もはや「読んでいない」

彼女の手に持たれているのは所謂ライトノベルで、適当に目についたのを買ったという代物だ。
表紙買いでも、前情報を聞いてからなどでも無い、ただ目についたものを掴んでレジに持っていき会計を済ませたという非常に効率の悪い方法である。

日の当たる席に座り、物憂げな表情でたたずむ彼女。
これだけならば絵になったかも知れないが、残念ながらそのハズレのライトノベルを手にもつ彼女は贔屓目に見ても物憂げというか完全に退屈といった面持ちで、頬杖をつき、片手でかろうじて本を支え、微妙に指をずらしてページを適当に進めているに過ぎなかった。

夕霧 > そりゃあこんな買い方をすればそうもなる。
何故そうしたかと言うとこれまた手癖と言うに他ならなかった。

本が読みたい、と思ったから本を買った。
それがたまたまライトノベルで。
非常にハズレであった。
それだけである。
少しは精査もするようなものだが。
彼女は稀にというか割とというか、頻繁にそういった億劫を起こし、九割方、失敗する。

改めればいいだろう、と言われるが前述の通り「手癖」であるのでつまるところ「癖」なのだ。

「……はあ」
が、当然後悔はする。
金も時間も無駄にしているのだから当然だ。
「これ、本当にあきませんなあ」
遂にギブアップ宣言と共に、本を閉じ鞄へと放り込んだ。
そしてまた、自室に「全く面白くないライトノベル」という一生使わないアイテムがドロップされる事となるだろう。

夕霧 > これならまだ適当に図鑑でも持ってきて読んでいる方がマシであろうし、委員会棟に戻り書類の整理の続きでもする方が何十倍と健全であった。

不幸中の幸いはカフェに行ってやれ適当におしゃれなスイーツなど頼み、楽しみに本を開く、という事にならなくて済んだという一点のみである。

図書館で売っている飲みなれたインスタントコーヒーが何時もより苦いと感じますなあ、そう心で呟く。
気のせいでは、あるまい。

夕霧 > 遂に本を読むという事を放棄した彼女は適当に図書館内を見回す。

受付で何やらしている司書、慌ただしく資料を開く学生たち。
中には何人かで授業の復習だろうか、そういったものをしている生徒たちも見られる。
「ああ、そういえばそろそろ試験もありますなあ」
ぼやく。

夕霧 > 彼女は成績は非常に優秀ではあるので、基本的に予習復習などはしない。
そこそこが取れればよい、という風に思ってすらいる。

というか、予習復習を面倒くさがる。
授業中などは真面目で積極的であるし、勤務中などは非常に勤勉と言うレベルの働きをする。
が、私生活は基本的にずぼらだ。
休みの日など家から出ない事は日常茶飯事であるし、例え起きたとて何もしないまま、日付が変わってコンビニに食料を買いに行くだけ、といった日が続いたりもする。
オンとオフの切り替えが激しすぎるのである。

それはさっきの買い物に繋がる。
つまるところ彼女はオフの時に精査をするのを「面倒くさがったのだ」。

ご案内:「図書館」に四ノ宮 雪路さんが現れました。
四ノ宮 雪路 > 「さあて、さて。果たしてお目当ての本があるのかどうか」
(図書館に似合わぬ軽快な口ぶりで、白衣の男が踏み込んだ。教師にも思える年齢であったが、少なくとも教鞭を取っている姿を見たことはないだろう)
(それもそのはず。男はこの学園のれっきとした生徒であるからだ。試験という素振りもなく、気軽な態度で図書館を見回す彼は、むしろ浮いているようにも見えた)

夕霧 > 「……次はこうならんようにしませんと」
そしてこれも当然ながらお決まりの一言であって。
その後に反省してした事は残念ながら皆無であった。

遂には睡魔にすら襲われそうになり、慌てて頬杖を止め、心持いつもより苦いインスタントコーヒーを口につける。

そもそも当初の目的であった買ってきた本を図書館で読む、というのは破綻しているのでさっさと帰ればいいものを、何やら負けた気になってしまうので何となく本が読み終わるぐらいの時間を潰してやる、という非常に色々よく分からない思考を発揮してこの場に留まっているのであった。

夕霧 > そしてまた、図書館観察に戻る。
そこでふと、一人新しく図書館へ入ってきた白衣の人物が目に入る。
非常に軽そうな雰囲気を纏い、本を物色している姿を何となく、見ている。
と言うのも今この図書館内で最も動きが大きいのが彼であった、と言うだけの理由だ。

四ノ宮 雪路 > (彼女は知っているだろうか。落第街のその外れ、第八区画にある居酒屋を。彼はその店の主人でもあり学生だ。営業時間中は扉が外され中が見える故に、巡回の途中で彼の姿を見たことがあるかもしれない)
「いや、でもどうしたものかな。正直この中から探すのは面倒だ」
(ぶつぶつぶつぶつと。男はただ図書館で言葉途切れず呟いて、どうのこうのと書架を見つめ。そちらの姿に気づくと)
「ああ、君君。ちょっと聞きたいことがあるのだけど」
(柔和な笑みを浮かべて声をかける。単に目についた、というだけではない。どうにも図書館というものに詳しそうだという判断か)

夕霧 > 見ていた人物と目があい、そしてこちらへと歩いてくる。
聞きたい事、と言うのは十中八九、この図書館の事であろうし、司書に聞け、と言うのが本来のオフの彼女の行動である。
が。
不幸中の幸いなのか、幸い中の不幸だったのか。
彼女は当たり前であるが暇を持て余していた。
「何か御用です?」
独特のイントネーションで彼に向き合い、そう、返した。

四ノ宮 雪路 > 「実はちょっと本を探していてね。富田出版著者は大山光弘。タイトルは先手必勝自営業。どこにあるかしらないかな」
(よく回る舌。そこまで知っているというのなら、自分で探したほうが早そうなものだがわざわざ彼女に話をかける。およそ四歩の距離で立ち止まると、肩をすくめ首をすくめ)
「どうだろうね」

夕霧 > 断定しよう。
全く聞いたことが無い。
ふ、と目を軽く閉じる。
ただまあ、それでは何なので。
「そちら、その出版社の書籍集まってるようですし、そちら見てはどうですか?」
かろうじて出版社だけは知っている。
と言うのもレポート提出と言うモノはどうあがいてもオフでやるしかなく、オンとオフの境目であるという曖昧な判断基準の結果、真面目にこなすことにしているからである。
課題も、同様である。

四ノ宮 雪路 > 「おお、そうかい?」
(相手の言葉には大仰に目を開けて驚くように。どれどれそれはどこにあるのかな、などと、あいも変わらず止まらぬ舌で、男は書架へと入り込んでいく。程なくすれば、目当ての――著者と思しき頭にタオルを巻き黒いシャツを着た、強面の男が表紙で腕を組んでいる――本を片手に戻ってきた)
「いやあ、ありがとうありがとう。助かったよ。どこにあるか見当もつかなくてね。同じ出版社の、格闘技の項目に紛れ込んでいたみたいだ」
(朗らかに笑い頭を掻く。穏やかな口調。しかし立て板に水の如き発言の滑らかさ。しゃべり続けているというのに不思議とやかましくはない)

夕霧 > 「それは災難でしたなぁ」
軽く微笑みながら返す。
表紙を見てそれは参考にしない方がいいのでは、と思うがオフである。
口にする事は無い。
無論オンでも口にはしないが。
しても遠く遠く遠い遠回し表現だろう。

しかし彼と話していても五月蠅いとは思わない。
少しだけ、考えるがそれ以上は考えない。
ひとまず流されていてもいいだろう、そう考える。
これすらも彼の思うがままなのかもしれないが。

四ノ宮 雪路 > 「確かに、こんな表紙で先手必勝なんてついてれば勘違いもしてしまうかもしれないけどね」
(まさに見せつけるようにして掲げると、苦笑を漏らして本を懐に戻す。きっかり四歩。先ほどと同じ距離から、椅子の背に軽く持たれるように体を休め)
「これでも中身は悪くないんだ。毎回こんな表紙なんだけど、むしろ、こんな表紙だからこそ手に取るような読者層に向けて、ひどく乱暴に言葉を噛み砕いてね。面白いよ」
(本を借りるにも時間に余裕はある。幸い彼女はコーヒーを啜るのみで、多忙そうな様子もない。ならばこそ、と話を続けていた)
「君はこんなところで待合せかなにかかい?」

夕霧 > 「まあ、砕く分、わかりやすくなると言う奴ですねぇ。……いいえ、特に用事はありませんよ」
そう言って残りわずかとなったコーヒーを啜る。

事実である。
悲しいながら、事実であった。
ニュアンスを真面目に言うのならば用事が無くなったと言うべきであるが。
それを言う気は無い。

四ノ宮 雪路 > 「なるほど。実は"仕込み"が届くのがもうしばらく後でね。時間を潰したいんだけど、よければ少し会話に付き合ってくれないかな」
(椅子の背を揺らす。僕は人と話すのが好きでさ、などと、それこそ少年のようなはにかみを浮かべる)

夕霧 > 少し逡巡する。
このまま会話を続けていいものか、と。
会話がスっと違和感も無く突き抜けていく感覚。
かろうじて違和感、と覚えれるが。

が、先ほども言った通り。
彼女はそれ以上に暇なのであった。

「少しでよろしければお相手致しますぇ?」

四ノ宮 雪路 > 「ははは、ありがとう」
(了解を得ると、改めて椅子に腰掛けた。とはいえ何を話したものかな、などと呟き首を捻って虚空を眺ながら)
「そうだ。君、せんべいは好きかな。特にしょうゆせんべいなんだけど」
(話題。他愛もない話題だ。少なくとも、彼に今、相手を害そうとする意志はない。元より目の前の相手と切った張ったを繰り広げるような人間でもなかった)

夕霧 > 「好きか、嫌いかと言われると好きでしょうなぁ」
特に考えはない。
昔から食べ親しんだものだ。
食べ飽きて嫌いになる、ことはあれどそうなるほどに迫られて食べたことは無い。
つまり普通に食べ、普通に美味しい食べ物として認識している。
「最もよく見かける味でもありますし、逆に嫌いな方を探す方が難しいとうちは思いますなぁ」

四ノ宮 雪路 > 「おお……! 君は実に素晴らしい人だね……! 実は僕、落第街でせんべい屋を営んでいてね。あ、もちろん許可は取ってるよ? あそこが仕入れにちょうどよくてね。隠れた名店をきどりたかったのもあるんだけど」
(目を輝かせるように話すと、何かの魔術か虚空に手を突っ込むが)
「お近づきの印に手焼きのせんべいのひとつでも贈ろうかと思ったけど、流石に焼きたては匂いが強いかな」
(書架を見やって思い直す。生徒もまばらになってきているようだが、彼なりの配慮だろうか)

夕霧 > 「ああ。あの」
巡回で目にしたことはある。
勿論認可も降りているので気にしたことは無かった。
確かにちら、と姿は見た事がある気がする。
当然遠巻きであるし、その時は気にも留めて居なかった訳なので仕方ないと言えば仕方ないが。
「流石にうちも今ここで御煎餅を頂くのは御遠慮したいと思いますー」

四ノ宮 雪路 > 「おや、ご存知だったとは。僕の店も少しは有名になったのかな?」
(さも驚いたように目を丸くした。一部の常連、そして違反学生らを除けば彼の店に顔を出す手合は限られている)
「或いは、公安か風紀の人かな。巡回にうちの店の近くを通ることも少なくないし」
(こちらは名目上善良なせんべい屋。もとい……それが売れないために、兼業居酒屋である。恐れることなく言葉を続け)
「いや、実に残念だ。暇な時に店に来てくれたらぜひサービスするよ」
(心底残念そうに肩を落とす。彼の物事の基準の多くはせんべいに傾きつつあるような気さえする)

夕霧 > 「いずれ機会がありましたら、そうさせてもらいます」
さっきも言ったように好きですからね、とつづけた後ににこりと、彼にも負けないような柔和な笑顔。

自分でも気づかない内に。
オフが。
オンになっている。
どういう事か、とは考えない。

四ノ宮 雪路 > (チリ、と。男の首筋に焼けるような感覚が走った。『対話』を原点とする男の感覚が、彼女の意識の変容を敏感に察知する。しかし、黙殺。いや、喋殺か。いずれトラブルが起きたとしても対処できる程度にはしゃべり続けているし、何より今の自分に積極的に彼女と敵対するような理由はない)
「それは嬉しいな。立地のせいだろうけれど、せんべい屋は閑古鳥でね。副業の居酒屋のほうが繁盛して悲しい限りなんだよ」
(本心だ。しかし彼は率直そのままに会話しながらも、その会話を俯瞰しているように感じてもいた)

夕霧 > 「あの立地でしたら、確かに居酒屋の方が繁盛はしそうですなあ」
ころころと口元に手を当てて笑う。
とはいえ単にオンになっただけであり、つまるところ彼女の普段の人辺りが表に出てきただけではある。
気づかない内に表になっているだけ彼女も何かを敏感に察知した、と言うのは的を射ているが的を射ているだけ、と言うのが正しい。
「事実居酒屋の方が実入りはよろしいんとちゃいます?」

四ノ宮 雪路 > 「そこだ、そこなんだよ」
(彼女の言葉には、大げさに額を抑えて――いや、大げさでもなんでもなく、真実悲しむように)
「せんべいを焼くために居酒屋をやっているのは間違いない。けど、最近居酒屋のお客も増えてきてね。良いことなんだけど、忙しくて居酒屋を開けている間にせんべいを焼く頻度が少なくなってきているんだ! これは本末転倒と言える結果だよね」
(そもそも、居酒屋の営業中にせんべいを焼くことがおかしいのだが。焼きたてのみを提供するという彼の信条は、売れもしないせんべいを焼き自分で食べる一人作業に陥っていた)

夕霧 > 「まあ、そういう事になりはりますなあ」
当然ながら彼女は実入りさえよければよい、と考えるので居酒屋が儲かるならオールオーケーという思考であるので若干の生返事となる。
そこに煎餅への拘りが入ると言うのなら話は別であろうが。
「せんべいを使った料理など出してはりますの?」
とりあえずせんべいを使い居酒屋でという折衝案的なものを提案する。

四ノ宮 雪路 > 「せんべいを焼く時間も、せんべいを食べる時間もないのは問題だよ!」
(卒倒するようによろめいた。本人にとっては深刻な問題。あまりにも難しい命題だ。相手にこちらの悲しいが伝わらないのは当然のことだが、彼は心中ため息をついた)
「やはり、そうなるよねえ」
(彼女の出した対案にも、やはり肩を落としてみせた)
「いや、僕はしょうゆせんべいにこだわりがあってね。形を変えるのはいささか抵抗があるんだ。せめてしょうゆせんべいさえ売れてくれれば、まだ気持ちも晴れるのだけど」
(この世の終わりといった表情で静かに告げる。自分の自慢の一品が売れてくれば、手広くやってみようという気も起きなくはない)

夕霧 > 「しょうゆせんべいを、ですかぁ」
都合上、商売に関しては多少敏感ではあるものの、売れていないものを売る、というのはとても難しいものなのだ。
何かの縁、というのもある、少しだけ真面目に考えるものの、状況などを全く把握していない以上、これ以上の有益な意見は言えそうも無かった。
「ま、それなら最初は身を切るしかないと思いますねぇ」
一つ提案をする。
「試供品として、配る。居酒屋の常連さんに配って反応は見てはります?」
大前提として美味しくなければいけないが、ここまで自負するのだから美味しいのだろう、という前提で話をする。

四ノ宮 雪路 > 「ああ、そこなんだ! 今は一度の来客に、せんべい一枚をサービスしているのだけれど、『なるほど、酒のつまみにいいかもしれねえな』なんてことを言いつつ追加はなし!下手をすればサービス一枚、酒一杯で粘られることもあってね……」
(悲しみだ。身振り手振りを交えて、客の役など少しばかり熱演して見せて。体全体で悲しみを表現すると首を振った)
「いや、ごめんごめん。少し熱が入っちゃったな。どうにもせんべいのことになると周りが見えなくなるというかなんというか」
(顔を上げると、また柔和な顔に戻っていた。照れくさそうに頭を掻くと、小さく笑い声を上げた)

夕霧 > 呆気にとられるが、状況に同情し始めている。
「それは……辛いでしょうなあ」
とはいえ、これ以上は門外漢であるので彼女からどう、とは流石に言えないのであった。
「いえいえ、それだけ、真剣だっていうのはわかりましたし」
こちらも合わせてころころと笑った。

四ノ宮 雪路 > 「いや、本当は楽しい話なんかがしたかったのだけど、なかなかどうしてうまくいかないものだね」
(ありがとう、と。こちらに対して真摯に助言をくれた彼女に感謝の意を込める)
「君はなにか、景気のいい話とかはないのかな」
(返す刀で彼女に話題を振ってみる。元より話好きの彼は、彼女の話も聞いてみたいとも思ったか)

夕霧 > 「景気のいい話、ですか」
そこで言葉を切る。
頃合いだろう。
「生憎、うちにはそういう景気のいい話、は今の所ありませんなあ」
これもまた事実。
そう言って立ち上がった。
「それに時間もいい頃合いですし、機会があればまた是非」
にこりと笑う。
あの全くハズレだったライトノベル一冊を読む程度の時間は過ぎた、だろう、とも考えつつ。

四ノ宮 雪路 > 「ああ! もうそんな時間か! 確かに僕も今から歩いて迎えば仕込みも届く時間になるかな」
(彼女の言葉に手を打ちながら立ち上がる。後腐れはなく、笑みを浮かべて恭しく頭を下げて)
「それでは、また手焼きせんべい"熱焼"でお会いしましょう……なんてね」
(片目を閉じてウインクすると、こちらから先に背を向けた。白衣のポケットに手を入れて、鼻歌を歌いつつその場を後にする)

夕霧 > 手に持ったコーヒーの紙コップをゴミ箱に捨てる。
「それではお達者で」
柔和な笑顔を崩さないまま、彼を見送る。

ご案内:「図書館」から四ノ宮 雪路さんが去りました。
ご案内:「図書館」から夕霧さんが去りました。
ご案内:「図書館」に谷蜂 檻葉さんが現れました。
谷蜂 檻葉 > (……やっぱり、授業じゃダメだ)

授業を終えてすぐ、手元の『魔術書解読』の為に必要な物を集めに図書館へ足を向けた。

谷蜂 檻葉 > 魔術と一括りに言っても、その"種別"は恐ろしいほど多岐にわたる。
言語から生まれ異界を通して生まれた『人為らざる』生きる術、殺す術。

そうなると授業で取り扱われるものも当然限られる。
その辺り、日ノ本の国で扱われる国語が日本語で先ず第二言語として米国の言葉を学ぶのと一緒だ。

オーソドックスで、取り扱いの効くものを学ぶ。
その方が”次”につながるから。

谷蜂 檻葉 > (ええと、まず妖精そのものに関する本は……っと)

その中で、"妖精魔術"は使いやすいようで使いにくい。

強いて言うのなら『魔術』として分類するのも微妙な魔術だ。
妖精交渉術、とか。妖精使役術と言うのが正しい。

生まれついての魔法使いである妖精に交渉し、『代理』で魔法を、魔術を使ってもらう術なのだから。

(教本が西洋なら、"そっち"の子達について学ぶべきよね……?)

当然、本人の”魔術”としての腕そのものは上がらない。
才能のあるアイドルをプロデュースするプロデューサー。

それが妖精魔術における『魔導師』なのだから。

谷蜂 檻葉 > 他の魔術よりも才覚、元の実力によって取り扱い方が違う。

妖精との"付き合いが上手い"者であれば、妖精魔術は魔術ですら無い。
話せば伝わるのだから、手足と変わらない。

力が強き者であれば、”群れの主”になればいい。
上下関係を徹底させ、従わせることさえ出来れば良い。


(……まずは、普通の……自然霊からかな。)

どちらでもないのであれば、コミュニケーション力の勝負だ。
妖精の機嫌を取って、いかに『お願い』を通せるかが妖精魔術の肝である。


気に入ってもらえれば、言葉で。
気に入られなければ、力で。

シンプルで扱いやすく、しかし"地力"がなければ如何様にもしがたい。

谷蜂 檻葉 > 「ん、よし……これかな。」

手に取ったのは、とある西洋書。
四元素を教授することを目的とした魔術書である。


【シルフ に ついて勉強を始めた……。】

谷蜂 檻葉 > 【適当な開いた席に座って、辞書を片手に西洋書を読み始めた……。】
谷蜂 檻葉 > 【静かな図書館に、クゥ と小さな音が通る。】

【頬を少し朱に染めて立ち上がると、本をその場において財布だけ持って一度退席した……】

ご案内:「図書館」から谷蜂 檻葉さんが去りました。
ご案内:「図書館」に谷蜂 檻葉さんが現れました。
谷蜂 檻葉 > 【戻ってくると、また同じ位置に戻り自習を始める……。】
ご案内:「図書館」に和泉 兼次さんが現れました。
和泉 兼次 > かつん、かつん、と図書館に入ってくる男子生徒。
くぁ、と一つ欠伸をかまし、迷う事なく書架の間に入っていこうとする。

…あれ。谷蜂さんかな。

一瞬、視線を向ける。
また課題かな、と思い邪魔してはいけないとなるべく静かに……。

谷蜂 檻葉 > 和泉の方へ一度視線を向けたが、その時には既に彼の姿は書架の間に居り、
人が居るのだとだけ心に留めて、また視線を洋書に戻した。

(……魔力を使わない原始的な方法なら、食べ物や綺麗な花で気を引く……うーん)

和泉 兼次 > えーっと、と小さく呟きながら本を探す。
以前に教えてもらった2冊は、と書架の間で背表紙に指を滑らせる。

さすがに蔵書量が多いため、すぐには見つからなさそうだ。
…しかし、選ぶというか探すというか、この時間はなかなか楽しい。

と、手が止まる。
『フェアリー・タルト』 これか。

谷蜂 檻葉 > 妖精達は言葉を重視しない。
心と力、それに少々の対価。

意志は勝手に透かして見つめてくる。

「――――風よ」

『Fairy Ring』を手に持って小さく呟く。

芳しい華の香りを纏った旋風が、書架の間を走り抜けて和泉が手に取った本をそのまま掻っ攫おうと強く鋭く逆巻いた。

和泉 兼次 > 「…?」
急に室内に吹いた風。
しかも少し不自然な―――。

「と、う、わっ!?」
大して強い力を込めていなかったせいで、本を軽く持っていかれる。
兼次自身は驚きと咄嗟の反動でこけてしりもちをついた。

…割と派手な音が静かな館内に響く。

谷蜂 檻葉 > 「ちょっ―――!?」

自身でも思わぬ勢いに立ち上がり―――不可視のソレが何処に入ったのかは当然定かではないのだが。

しかし図書館の付近の蔵書に一切の乱れがない事を確認してホッとした所で

「ご、ごめんなさい大丈夫ですかっ!?」

派手な音のした方向へ走っていった。


「す、すいません簡単な魔法をちょっと試すつもりで―――って、和泉君!?」

和泉 兼次 > 書架の間でいててて…と腰を辺りをさすっている姿。
「…魔法?」
あれ、という表情で駆けてきた少女の顔を見上げた。

「谷蜂さん?」
ちょっと驚いた表情になり、あっ、と
手放してしまった本の行方を目で追う。破れたりしてはいないだろうか。

谷蜂 檻葉 > 「わ、……っと!あぶなっ」

和泉を確認したのと同時に、空中に見えない手によって掴まれていた本が檻葉の手元にフワリと落ちてくるのを、多少慌てながらキャッチする。

「―――もうっ!」

舐められているのだ、と。すぐに気づいて憤慨する檻葉の周囲から、くすくすと此処にいない第三者の笑い声が聞こえて、一拍遅れて微風の後に静かになる。


「……はぁ。ともかく、本当にごめんね和泉君。怪我とか無いよね?」

和泉 兼次 > 「…?」
やってきた本の様子と、微かに聞こえる笑い声に周囲を見回す。
…誰もいない。
まさか怪談ってわけじゃないだろうけど。

「あ、うん。大丈夫。」
よっと、軽い様子で立ち上がって見せる。
ぱんぱん、とズボンについた埃を払い落としながら、いつもの笑顔を見せた。

谷蜂 檻葉 > 「また今度お菓子でも割り勘しましょうか……。はいこれ、和泉君のだよね?多分。」

今日は私シフトじゃないから、借りるなら今カウンターの人にね。と飛ばされていた『フェアリー・タルト』を返す。

「早速オススメ読んでくれるって、なんだか嬉しいな。」

そういって、微笑んだ。

和泉 兼次 > 「あぁ、ありがとう。」
本に傷は無いかな、と裏表を返して確認する。
…大丈夫そうだ。

「この間は返しただけで借りてなかったからね。」
折角だから、とちょっと照れくさそうに言う。
さて、ともう一度書架に目を向ける。まだ探すつもりのようだ。

谷蜂 檻葉 > 「ん、それじゃ。」

互いに、まだやることがあると理解すると檻葉も机に目を向け自習に戻った。

和泉 兼次 > さて。もう一つの本を探そう。
西方、西方、と口の中で呟きながら書架の間を歩き回っている。

途中、見つけた面白そうな本は一度ぱらぱらとめくったり、あらすじを確認してみたり。

…目当ての本を見つけたときにはもう2冊ほど増えていた。
これから週末だし、いいか。
そう思いながら、4冊の本を手に持って書架の間から出てくる。

谷蜂 檻葉 > 【静かに、西洋書を読み進めている……】
和泉 兼次 > カウンターへ行き、貸し出し手続きを行う。
と言っても簡単なものだ。

学生証を出して、ピッピと。

…さすがに重いな。
そう思って学生用の鞄から、広めのトートを取り出して本を入れる。
買い物用のバッグが役に立った体である。

手続きが終わると、読書を続ける少女の元へとやってきた。

谷蜂 檻葉 > (手応えは十分、後は”的確な命令”を妖精に伝える事……)

うーん、と唸りながら西洋書とにらめっこを続けている。

「力だけじゃなぁ……」

ぽつりと呟いた。

和泉 兼次 > とさ、とバッグを机の上に置いて向かい側に座る。
随分お悩みのようだ。

「また課題かい?」

穏やかに微笑みかけた。

谷蜂 檻葉 > 「う?」

眉間に少しシワを寄せたまま顔を上げる。

「あ、ぁー……えっと。魔術をね、ちょびっと……。」

色々と檻葉なりの事情と問題と課題があっての事だったが、それらすべてを話すことでもないと、適当に言葉を濁してそう返した。

和泉 兼次 > 「魔術かぁ……。」
とちょっと苦笑い。
学園で学んでいる人がいる、という事は知っているがそれは力になれそうもない。

「…さっきの風もそうなのかな?」
別に責めているわけでもないが、
なんとなしに好奇心から聞いてみる。

谷蜂 檻葉 > 「……言い訳のつもりじゃないけど、”私”じゃないからね。」

和泉はただの好奇心だったが、檻葉はその態度をからかいの類だと認識して、むすーっとした顔になる。

「―――お伽話に出てくるような妖精を扱う魔術よ。さっきのは【シルフ】ね。風の妖精でも、精霊でもいいけれど、いわゆる風の自然霊が……その……制御を離れちゃって。」

ため息混じりにそう答える。

和泉 兼次 > 「え、あぁ。うん。」
勿論、と答えた。
何か怒らせるような事言ったかな、という感じだ。

「あぁ…『妖精大全』にも載っていたね。」
しれっと言ってなるほど、という顔になる。
「妖精は悪戯好き、だっけ。確か。」
何かを思い出すような表情でそう言う。

谷蜂 檻葉 > 「そ。 子供っぽい……まぁ、無邪気で好奇心旺盛なのが多いわ。」

ある意味究極の中立。
その場その場で飴がある方に転がるのが妖精だ。

二人の妖精魔術を使う魔導師が互いに決闘をした時、
互いに飛ばしていた魔術はどちらも同じ一匹の妖精だった……なんて笑い話もある程度には。

「っていうか……和泉君、『妖精大全』知ってるの?」

尋ねる、というよりは訝しむように。

「もしかして、和泉君が借りてる? 少し前から見当たらないのよ。」

彼女にとってこの図書館で偶然、かなりの偶然で手に取った本だ。
―――自分で置き忘れていった事は、それこそ忘れているのだが。

和泉 兼次 > 「なるほどねー。」
さっきのはつまり悪戯だったわけだ、と納得する。
ちょっと周囲に目を向けた。
…どこにでもいる、という事なのだろう。

「え、あ。うん。」
借りてる?って聞かれて鞄から一冊の小冊子を取り出す。

「切欠は谷蜂さんが置き忘れて行ってた事なんだけど。
ファンタジー読むのにちょっと調べてみたりすると面白くて。」
ごめんね、と一言添えて差し出した。

谷蜂 檻葉 > 見回す和泉の髪をふわりと開いた窓からそよいだ風が靡かせたのは返答なのか、それとも考え過ぎなのだろうか。

「あ、いや。借りてるならいいの。返却された後に借り直すから。」

……こういうのも巡り合わせなのだろうか。

和泉 兼次 > 微かに髪が揺れると、ん、という声を漏らし、
じっ、と少し上の空間を見つめた。

「そうか…じゃあ、もうちょっと借りとくよ。
『コレ』と一緒に返そうかなって思ってるから。」
視線を戻し、ありがとう、と笑いかけた。

…そうだ。と思い出す。
「忘れてた。」
鞄から、今度は小さな皮袋のようなものを取り出した。
「谷蜂さん、こういうの使わない?」
中には妖精か、蝶を金属で模したような物が入っている。
小さく、ペンダントやストラップには使えそうだ。

谷蜂 檻葉 > 「あ、返すときに覚えてたらメール頂戴?」

折角アドレス交換したしね。と、ふと思い出してそう告げる。

「え……?わー!かわいいー!」

「―――って、なにこれ?」

取り出された何かに興味を惹かれ、そのままじっと近くで見つめるが、一見しては実用的なものというよりファッションアイテムに見える。

和泉 兼次 > 「はいはい。」
一つ頷いて了承する。
…できるだけ早い目に返してあげよう、と内心で思った。

「いやちょっと色々……でもないけど、あって。」
異邦人街でね、と。
「…小さな…ドワーフか、ホビットみたいな人の楽団があって、その人達にもらったんだ。」

谷蜂 檻葉 > 「ふぅん……?」

異邦人街かぁ。 とすこしばかり思いを馳せる。
……実のところ異邦人は見慣れないままで、この1年でも相応に深い交流を持ったことはない。そんな彼らからの贈り物……の贈り物に少なからずワクワクして見つめている。

「―――も、貰えるなら欲しい……カナ。」

ワクワクして、見つめている。

和泉 兼次 > 「なかなか面白い場所だったよ。」
商店街を見て回ったのだけど、と呟くように。
少しは買い物もしたらしい。

「…俺には似合わないし、よかったら。」
と皮袋と一緒に差し出した。
触れれば、あまり馴染みのない金属でできている…くらいはわかるかもしれない。

谷蜂 檻葉 > 「わぁ……!」

革袋は鞄に、そして妖精のようなソレを手にとって、外からの光に翳そうとして―――

「って、もうこんな時間かぁ。 ……私はこれで帰ろっかな。 素敵なおみやげも出来たし♪」


随分と暗くなってきた事に気付き、鞄を肩にかける。

和泉 兼次 > 喜んでもらえたようで何よりだ。
嬉しそうな様子を優しげに見つめる。

「……あ、じゃあ途中まで送るよ。」
目的のものも借りれたし、と笑う。
出口とか駅とか。

谷蜂 檻葉 > 最近良いこと続きで頬が緩む。

「えへへ……ありがと。 ちょっと寄り道するから出口まででいいかな」



和泉と並んで出口へと向かっていった―――。

ご案内:「図書館」から谷蜂 檻葉さんが去りました。
ご案内:「図書館」から和泉 兼次さんが去りました。
ご案内:「図書館」に日乃杜 梢さんが現れました。
日乃杜 梢 > 西日が差し込み、茜色に染まる窓際の席に腰掛け、ペンを走らせる少女。
彼女の目の前には、広げられたままの幾つかの本と、自分で記した文字が踊るノートがある。
時折、本をめくっては目当ての頁を開け、そこに書かれているものに目を通している。理解を進めているのか、何度か頷く場面もあった。

それを何度か繰り返したあと、筆を止めて一息。

「ふう…少し、根を詰め過ぎたでしょうか」

呟く言葉にも、僅かな疲れがにじみ出て。

ご案内:「図書館」に東雲七生さんが現れました。
日乃杜 梢 > 座ったまま背を伸ばし、ついでに腕も伸ばして凝りを解す。
あまりの気持ちよさに、んぅ、と小さく声が漏れ出たのは見逃してもらいたいところだ。

目元を指で摘まんでぐにぐにと揉んでから、改めてノートに視線を移す。
今日の放課後の殆どを費やして書き連ねたこれは、

「今の私の指針表、ですよね」

この学園に来てからの、自分の足取り。
何を置いても達成せねばならないこと。
そのためにすべきこと。それらをまとめた自分用の設計図だ。

東雲七生 > ──ちわーっす。
はぁー、参った参った。今日も居残り補習かよっ。

(図書館の扉を開けて、軽い挨拶などしながら赤髪の少年が入ってくる。
 デイパックをたすき掛けではなく片方の肩だけに掛けていた。)

っと、もう人が居───あ、日乃杜じゃん。

日乃杜 梢 > こめかみに、握り直した赤ペンの背を強めに押し付ける。
この刺激が、脳にいい感じでひらめきを与えてくれる。多分。きっと。

「私の目的…は、もちろん。これ、ですよね」

《門の排除、もしくは封印》。ノートの下のほうに書かれたそれを、きゅ、と赤の丸で囲った。

と、そこで人の気配を感じた。
振り返れば、見知った顔だ。

「あ、東雲さん。こんにちは…今日もお疲れ様です」

言外に、今日も大変ですね、と意味を込める。
神社で出会ったあの日から何度か、主にこの場で顔を合わせていた。
そのたびに、大変そうだなあ、と感想を抱いたものだ。

東雲七生 > よっす、お疲れっ!

(見知った顔に軽く手を振って、
 他の利用者の視線に気づくと気恥ずかしそうに身を竦める。
 さほど大きくは無い背がさらに小さくなったように見えるだろう)

なーにしてんだよ、日乃杜は。
毎日毎日、こんなとこまで来てさ。

日乃杜 梢 > 「それは私も東雲さんに言いたいですね。…今日は何の補習だったんです?」

身を縮こまらせながら近づいてくる知り合いに、自分は十分に潜めた声で問いかける。
初対面で感じた、元気が有り余っている少年、という印象は、数度顔を合わせた後でもとくに変化はしていなかった。
この、静けさを求められる図書館で居心地悪そうにしている様子も見慣れたものだ。

東雲七生 > 今日?今日はあれだよ、近代史……

(科目を口にした直後に嫌そうに顔を歪めた。
 座学にサボり癖は無いが、サボらないから得意、というわけではない。
 むしろサボらない科目の方がよっぽど苦手だ。)

正直、生まれる前のこととかどーでも良いんだけどなー、俺は。

日乃杜 梢 > 「その前は数学、でした? ほぼ毎日お疲れ様です…」

場所が場所なら、ジュースでも差し出そうかとも思うが、図書館は飲食禁止。
別の機会があればそのときにしよう、と心で頷く梢である。

「あはは…個人的には見習いたいですね。東雲さんのその意見は」

生まれる前のことを些末とするその考え方には、反発のようなものと、それとは真逆の、憧れを同時に覚えた。
自分の家。日乃杜の血筋を僅かに思い、しかし、一瞬で頭の隅に追いやる。
話を切り替えようと考えた直後、自分への問いをスルーしていたことに気づいた。

「えーっと、私が毎日何をしてるか、でしたっけ? んー…自習、のようなものですよね、ええ」

東雲七生 > 俺だって好きでやってるわけじゃねーっての……。

(日乃杜の言うとおり、ほぼ毎日補習を受けていた。
 それでも1日に1、2科目程度ではあったが。
 やる気はある。やる気はあるのだが、悲しいかな、成果はやる気に必ず比例するとは限らない。)

自習ぅー!?
かーっ、俺なんて毎日の授業ぷーらーす、補習でいっぱいいっぱいだってのに!
そのうえで日乃杜は自習!?……言っちゃ悪いけど、そんなんじゃお前いつか尻と椅子がくっ付くぜ?

(驚きの声を上げた後、一気に捲し立てる様にしゃべるしゃべる。
 補習の間私語厳禁を言い渡された反動もあったのだろう。一息ついたところで周囲の視線に更に二回り縮こまった。)

日乃杜 梢 > あ、と気づいたときには遅い。立て板に水、というか詰まっていた水道管から水が勢いよく飛び出していく様を、目の前の少年から連想した。
彼がひとしきりしゃべって落ち着いたところで、自分も周囲の視線に向けてぺこぺこと頭を下げる。
すみません本当に悪気があるわけではないんです。

こほん、と咳払いをしてから、ジト目で東雲を見やる梢。

「…私に言わせたら、ちょっと元気有り余りすぎだと思います、東雲さんは。
 学生は学業が本分、って聞きますし。もう少し努力しないと」

いかにも優等生らしい咎め方である。
どんなことでもやる気になればやる、とそう思っていそうな節があった。

東雲七生 > ………。

(耳を髪とほぼ同色にして半泣きの様な顔で日乃杜を見る。
 反省してます、と顔全体で言ってるかのような表情だ。)

い、いちおー努力はしてんだけどさー……まあ、何というか。
俺の本分は体動かすことっつーか、まあ、そんな感じなんで……。