2015/09/13 のログ
嶋野陽子 > そこにステラが陽子の中に戻って来る。
(随分と早かったじゃない。どうしたの?)と聞くと、
[奴ら、この島にもいるのよ!]と、戻って来た理由を
端的に伝えるステラ。
(奴らとは、ハイジャックを仕組んだ組織の事?)
という陽子の問いに、
[そうよ。異能者の《最終的解決》、つまり根絶を目
指すこの世界のナチス、こと《レコンキスタ》よ。奴
らはあの飛行機を《世界異能センター》に突っ込ませ
る計画だったのよ。奴等のコンピュータを全部ハッキ
ングして、全ての情報をFBIとスコットランドヤード、
そしてインターポールに送りつけたわ。
あと奴等は巨額の資金をここ常世島の誰かに極秘送金
しようとしていたから、そのお金を途中で盗んでやっ
たわ。犠牲者の遺族と、生き延びた乗客乗員にそのお
金が分配されるはずよ。
最後に全てのデータにロックをかけたから、奴等の
連絡網も組織もズタズタ、これから強制捜査に入ら
れても抵抗すら出来ないでしょうね]と報告する
ステラ。

嶋野陽子 > ここで生活委員会の事務局から、
忌引きの件については許可するが、島が封鎖状態の為、
特に日本への便は全て無期限停止となっていると説明
があった。
「自前の交通手段があれば、島を出ることは認められる
のですか?」と陽子が尋ねると、空港の出国ゲートは開
いており、そこから監視下で転移する事は可能との答を
得る陽子。
(聞いたわね、ステラ。これから寮に戻って仕度した
らば、日時が決まり次第ロンドンでの葬儀に出るわよ)
とステラに伝えると、引続き保健課に向かい、業務の
忌引きの手続きを行う陽子。

嶋野陽子 > 保健課から、一週間の忌引き休暇と、
常世島外への特別外出許可を発行さらた陽子は、一旦
寮に戻ることにする。

ご案内:「生活委員会本部」から嶋野陽子さんが去りました。
ご案内:「風紀委員会本部」に迦具土正道さんが現れました。
迦具土正道 > 【固めた拳は机の上で岩の如く握りしめられている】
【一度振り抜けば逆に岩すら破砕するそれは引き絞られる弓のような音を立てた】
【奥歯が擦り合う音と共に、喉奥から絞り出されるような声】
【燃費の悪い車が出すエンジン音のような重低音が本部に響く】

何を悠長なことを言っておられるのか。
問題は今や机上や現場に留まらず波及をし続けている。
それが分からぬ貴方ではありますまいッ。

【怒声だ】
【だが悪罵ではない。捻じ込むような声色だった】

迦具土正道 > 我ら風紀委員の権威、或いは意義にすら懸かる問題だ。
正常なる正義の執行者としての立場が成り立たなくなれば、
誰が此の島の秩序を守るというのでしょうか。

先の風紀委員会の本部への襲撃。
或いは市街地での無差別な戦闘、禁止区域での暴、施設の破壊。
枚挙し切れぬ程の悪辣を並べ立てて尚、静観を決め込んで何が正義か。
軽々に異能を振り回し、自由を履き違え、儘に行使に及ぶ。
今やその暴は旧来の正義の在り方では守護に足らぬまでになっている。

この島が、そしてこの島に住む物が蓄えた知慧という名のついた財産までをも、
先の図書施設襲撃の折には無碍に傷が付けられようとしていた。
喪われてしまえば取り返しのつかぬものがあるということは、
誰よりも我らが自覚を持って臨まねばならない物ではないのか。

【固められた拳が音を鳴らす】
【噛み締められた歯の奥から隠し切れない怒りが呼気として漏れる】

迦具土正道 > 【耳には、サイズを間違えたかのように小さな受話器が当てられている】
【通話をする相手は玉虫色の言葉を返してきたのか、か細い音がノイズのように流れた】
【怒りは収まらないどころか、熱を帯び始める】

果ては市街地での問題についても、場に偶に居合わせた者が対処する始末。
それが偶然我々風紀の者であり、また公安の狗であったことを幸運と呼び、
問題を先送りして状況に甘んじるが我らの抱える正義の在り方だろうかっ!!

【吐き出された息は裂帛の勢いを持って空気を鳴らす】
【声が空気の振動であることを再度理解せざるをえないような破裂音に似た声が響く】

否ッ!
我らが掲げる正義は誰もが振り回せるような物ではない。
与えられた権能に見合う働きをして初めて赦される権利であろうッ。
理と利を持つ狂人ならざる者の手より自発的に刃を奪う程の威こそが、
我らの本質ではないだろうかッ!
我らは法の番人であり、正義の行使者だ。
故に秩序を守るためには強固であり、存在を主張し、威に依って静を成す、
そういう存在であるべきではないのかッ!

【心胆を寒からしめん程の迫力を持ってして、声が張られる】

迦具土正道 > 其れが理屈や道理に沿わぬ狂人だというのであれば、
其の手の暴を同じ暴にて制圧することすら躊躇わず行える者が、
風紀の腕章に腕を通す最低限の資質であると、私は思います。

一考を。
そして懸命な判断を願います。
自由であることを履き違えた、只の悪童には、相応の不自由を。
我ら風紀の名の下に。

【受話器を置く】
【触れれば指先が斬れそうな怒りを肩に載せたまま熱い息を吐いた】
【未だ、風紀の上層は静観を決め込んでいる】
【数々の悪が組織を造り、群れ、害悪の限りを尽くす現状においても、まだ不動を決め込んでいる】
【焦れる。そして怒りが込み上げる】
【秩序が乱されようとしている。本来それを一番赦すべきではない我々に、《怒り》がない】

【拿捕。拿捕。そして勾留だ】
【公正の余地ありと判断し、悪を保留する。其の在り方に溜飲が下がらない】
【悪とは一義的な物ではなく、波及し、引き連れる物だ】
【それが組織立っているなら尚更。拐かす者が居たなら尚更の二乗だ】
【一度割れた窓を放置する施設に秩序は訪れない】
【何故。そのような《甘い》判断を本部が繰り返すのか、理解が届かない】

迦具土正道 > 【異能という例外の存在が、自由の理由で在ると仮託し、その行使する権利が正当な物と誤謬する】
【赦された特別性の発露において疑問を挟まず、赦されたこと其れ自体を理由として《自由》に振る舞う】

其れでは……我ら風紀の存在が、機能しなくなる。
其のような事が、在ってはならない。
己を此の島で裁くモノもまた、風紀で非ねばならないのだから。
我らは法の、最後の番人で在るが故。

【渋面を隠そうともしないまま立ち上がり、机を後にする】
【肩で風を切るかの如く体躯すら窮屈そうに、感情が内面で暴れる】
【其れも己の中の正義を行使することには邪魔になると判断し、身体から熱を奪うために外へと繰り出した】

迦具土正道 > 【――……】

【委員会施設の外】
【喫煙も可能な休憩所にて荒ぶった気を落ち着かせる】
【幸いにして周囲には人影も無く、怒りが冷えるまでは充分な間もあった】

【身体が鈍っているのも感じる】
【現場から、否、一線より遠ざかってから僅かしか時間が経過していないはずだが】
【此程までに儘ならぬ物とは思って居なかった】

【中空に向けて拳を振る】
【その速度に陰りはない。当然だ。悪を前にして其れを制圧せしめぬ拳など只の愛撫だ】
【二度三度と架空の的に向けて拳を振り、身体を捌く】
【シャドーのような高揚感が生まれ、捻じ込むような突きが放たれ】
【パチンと破裂音が聞こえて、視界の端に円状の何かが転がっていった】

【シャツのボタンのようだった】
【見下ろせば膨れた胸筋に耐えかねたのかそこには糸だけが残る無残な姿があった】
【心だけではなく、恐らく身体も窮屈に耐え兼ねているのだろう】

迦具土正道 > 矢張り、有り様について一考せねばならんのは私も同じか。

【落ちたボタンを拾い上げて背広の内側に入れる】
【胸元の開きかねないシャツは見た目も体裁も悪い】
【ロッカーに替えのシャツはある、時間は取るが着替えて損は無いだろう】
【だが、何時まで其うして背広の中に己を閉じ込めて置かねばならぬのだろうか】
【その先の見えぬ懊悩にこそ本質の苦悩が見え隠れしていた】

気ばかりが逸るな。

【噛み潰した虫の味が舌先に思ったよりも痛かったような顔をして酸い言葉を口にした】
【何にせよ、警備課の人間として図書室、及び市街地の巡回は厚く行う事としよう】
【指示を待つ身として椅子を尻で磨くには余りに現場が逼迫している】

ご案内:「風紀委員会本部」から迦具土正道さんが去りました。
ご案内:「委員会街中央公園」にリビドーさんが現れました。
リビドー >  
「全く……」

 先日の出来事。
 異邦人街商店街における騒動に巻き込まれ(実際は飛び込む形だが)、
 現場に駆け付けた少年や風紀委員と共に暴徒と無力化し、その首魁の拿捕(をしようとしたものの、逃げられたらしい)に立ち会った。
 
 其処までは良い。
 問題はその後だ。

 騒動の後始末として自身が変質させた地面をようやっと元に戻したかと思えば、
 その風紀委員が立ち去っていた。修繕作業を始めたボクより一足先に、帰路についていた。

 ……要するに、暴徒を放っておいて帰ってしまった。

「……気落ちしている生徒の支援をするのも教師の務め、か。」

 ので、後ほど駆け付けた風紀委員の方々に事情を説明した上で暴徒を引き渡した上で聴取を受けるために彼らへと同行した訳だ。

リビドー >  
 左腕に巻かれている包帯はその際に受けた矢創を手当したものだ。
 あの時こそ引きぬいた上で痛みを無視して交戦を行っていたが、
 見て貰ってみれば大げさな手当を必要とする程には深い傷となっていたらしい。

「少々動かしにくいな。全く。」

 そして解放され、今に至る。
 公園のベンチでヨーグルト味の水を飲んでいる。休憩中だ。

リビドー >  
「ん……」

 ヨーグルト味の水――要するにペットボトル飲料を飲み終えればゴミ箱に捨てに行き、またベンチへと戻ってくる。

 背もたれに身体を預ければ、空を仰いだ。

「……。」

 あの破壊神を自称する少女の態度は少々引っかかる。
 あんな奴の戯れ言など気にするな、と云う訳にも行かないのだろう。
 とは言え出来る事はあまりない。今度出会った時に、精々ジュースでも奢ってやることにする程度だ。

「神様、か。ふん……」

ご案内:「委員会街中央公園」に谷蜂 檻葉さんが現れました。
谷蜂 檻葉 > 一日の大半を図書館で過ごしたこの日、大変満足の行く戦果(読破数)を引っ提げて、委員の仲間との雑談から安請け合いした、館内の備品申請書類―――足台の行方が一つほど不明になっているから、と。――を委員会本部にまで届けに足を運んだそのまた帰り。


「こんにちは。」


少しばかり休憩に、と立ち寄った公園で校内での顔見知りに出会って挨拶をする。
面と向かって会話したことはなかったが……

「リビドー先生――でしたっけ。
 
 先生って、どこかの委員会顧問でしたか?」


年若いように見える男の包帯に目をやりながら、不思議そうにそう尋ねた。

リビドー >  近寄る少女に気が付けば視線を向ける。
 表情を柔らかいものにしてから、挨拶を返そうと口を開く。
 そうするまでの彼の表情は、少しばかり苦いものであったかもしれない。

「ああ。こんにちは。リビドー先生だよ。
 キミは――谷蜂さん、だったかな。」

 記憶を少しだけ辿り、彼女の名を思い出す。
 顧問かどうかと問われれれば、小さく首を振った。

「……いや、今のところは何処の顧問でもないよ。
 少々事件に巻き込まれ……いや、立ち会ってね。参考人として聴取と手当を受けていた所だよ。
 谷蜂さんは、何かの帰りかい? キミの所属は確か……」

 さて、何だったか。思案を始めた。

谷蜂 檻葉 > 「あら、覚えてくださったんですね。 ええ、図書委員の檻葉です。

 ちょっと、備品の申請書類を出しにこちらまで。
 連絡さえすればささっと出来るんですけど、足を運べる程暇ならこちらのほうが早いですから。」

思い返すようにゆっくりと言葉を綴る姿にクスクスと笑みを見せながら、ペコリと会釈を返す。

「はぁ、事件……ですか。」

口元に、難しげな表情で手を当てながら呟くように繰り返す。

「時折噂話みたいに『危険人物』のコト、聞きますけど……
 その、今回の犯人……みたいなのはもう捕まったんですか?」

学校の校内掲示に出るほどでもない事の中でも、
些事ではなく大事だからこそ―――『揉み消して』いるのかは解らないが
風紀や公安の人間だけが知っている事があるようで、混乱を招くような情報が出ることは少ない。


ただ、それでも口があればその数だけ噂が流れこうして”一般人”にまで届いていた。


「関係者だ。」と
そう発言したリビドーに、不安げな表情で尋ねる。

リビドー >  
「成る程、そう言えば谷蜂さんは図書委員だったね。
 ……ふむ。確かに顔を突き合わせて書類を出してしまえば、何だかんだで先に処理してくれる所もあるのかな。
 電話や郵送だと、どうしてもタスクになりがちといえば、なりがちだ。」

 "確かに"と、納得の後に共感を、緩めた表情を笑みに近づけた。
 が、次の話題に移ればそれは鳴りを潜める。

「ん、ああ……怖がらせてしまう事になってしまって申し訳ないが、
 どうにもまだ捕まりそうにない――と云うのも後に聞けば犯人は"意思を持った現象"に近い存在らしくてね。
 単純に捕まえ、能力や異能を縛って放り込んでもお化けみたいに消えてしまうらしい。
 広まってもいないみたいだが口止めはされていないから、聞かれた以上話す事にするよ。」

 "現象だ"と口にする。彼女へ警戒を促す意味合いも兼ねて、『危険人物』を濁さずに口にするだろう。

「あまり不安を煽りたくもないが、どうにもそうにも言っていられない。
 "現象"……と言うかまぁお化けみたいな奴らではあるが、やることはテロリストのそれだ。
 生徒の不安を煽る事になろうが、警戒を促さずにはいられないが、そうだな。
 
 『解決できない事件ではない』 ……風紀委員も居れば公安委員も居る。そして先生だって居る。
 暫しの間怖がらせてしまうことになるが、必ずやってくれるだろうし、やってみせるとも。
 此処の生徒は、優秀だからな。」 

 少しでも不安を和らげようと、やってくれる。やってみせる。
 断言を以って、谷蜂へ語りかけた。

谷蜂 檻葉 > 「"意思を持った現象"……。」

リビドーが、真剣な表情で事がそう楽に運ぶことではなく、
今後しばらく、『脅威』が島内を徘徊することになるだろうと警告をする間。

少しズレた思索の中、『禁書のようだな』と。 過去に相対した怪異に思いを馳せる。

アレもまた、書き手によって紙片に編み込まれた意思であり、そして紙片から抜け出て、現象/事件を引き起こす存在だった。

そう考えると、どこも『大変』だし。
なるほどこの島の何処であろうと、『安全地帯』というのは無いのかもしれない。


―――この世界の何処にも、だろうか。


「……そうですよね。 ええ、今までだってこの島の歴史に何度も事件はあって……
 それら全て、解決したから此処があるんですものね。

 ふふっ、それを言えば私だって生徒ですし……あ、『頑張らないと』って事ですか?

 皆の力を合わせればなんだって出来る!って、なんだか一昔前の青春ドラマみたいですよね。」


そのまま、不安を抱えることの無いよう言葉を尽くすリビドーの姿に、
しっかりと頷いて、わざと少し茶化すように笑みを返した。

リビドー >  
「そうだな。この島では何度も事件は起っている。そしてその度に様々な形で解決してみせた訳だ。」

 谷蜂の言葉を繰り返し、頷いてみせる。
 この島に限った事ではない。21世紀の初頭からは、何処も同じ様なものだったのだ。
 ――常世学園が設立されてからは、此処に集約されつつあるようにも思えるが。

「ふふ、そうだな。だが谷蜂も……おっと、谷蜂さん無理はしてはいけないよ。
 決してキミが無力だと言う訳ではないが、ね。――そうとも、皆の力お合わせれば何だって出来る。
 キミの言う通り青春ドラマの様な文句だが、それが社会ってモノかもしれないぜ。
 外敵から身を守る為に集団を形成し、それをより強くする為に社会が出来た。
 人類が火を使う前から行われいた事だ。理想じみた謳い文句だが、団結にはちゃんと有史以来裏打ちされた実績と理論が――」

 そこまで言って我に返り、言葉を止める。
 ……ついつい語りすぎてしまった。そんな具合にバツの悪そうな表情だ。

「と、悪い。講義でもないのについつい喋りすぎてしまったかな……」

 ようやっと、谷蜂が茶化すような笑みを浮かべていた事に気付いた。
 今は別の表情をしているかもしれないが、思い返したと言ったそぶりだ。

 ……とりあえず苦笑してごまかす事にしよう。

谷蜂 檻葉 > 楽しげに、言葉を合わせて弁舌を振るうリビドー。
やがて聞き手に回っている間にもくるくる回る舌に本人が気づいて、
少し照れるような、罰の悪そうな顔を見せる彼に、より笑みを深める。


「いえいえ、なんだか”本調子”って感じで良かったです。
 その、なんだか声をかけるまで……不機嫌?な表情をしてましたから。

 ―――講義でもお話、楽しみにしてますね♪」


ならば、お前は不機嫌な表情を浮かべていた人間にわざわざ声をかけたのか。
ということであるが、実のところその通り。

お節介焼きと言われる所以でもあったが。

リビドー >   
「ははっ、おかげ様だぜ。
 確かにちょっと気分が滅入っていて、キミのおかげで調子も戻ったよ。
 ――そうだな。少なくとも休講にした一コマ分ぐらいは取り返してみせるとも。」

 深まった笑顔で楽しみにしていると告げられれば、応えようと確かな笑みを返して見せた。
 とは言え、不機嫌な所を察されていた上で声を掛けられたのだ。多少なりとも気遣われていた事は分かる。

(世話を焼いて貰ってしまったな。)

 内心では苦笑してしまうような感情が浮かぶ。
 息を吸う様に自身の気を解してくれたなと思えば、少々照れくさい。
 僅かな申し訳なさこそあるものの――抱いた好感の方が大きそうだ。

谷蜂 檻葉 > 「ふふふ、なら『甲斐があった』、ですかね?

 それじゃあリビドー先生、また学校で。」


よしっ。と、腰元に手を当てて頷くと
一礼をしてからヒラヒラと手を振って公園を後にする。

何も「面白い事」ではなかっただろうに。
楽しげな様子で、その背が遠ざかっていく―――。

ご案内:「委員会街中央公園」から谷蜂 檻葉さんが去りました。
リビドー > 「……全く。」

 別段楽しい話ではなかっただろうに。
 楽しげな素振りを見せて立ち去る彼女を見れば、一つ言葉が漏れた。

「ま、元気付けられた分は頑張らないとな。
 彼女の『甲斐』を無駄にしてなるものか……っと。」
 
 ベンチから腰を上げて大きく背伸び。
 そのまま、委員会街を立ち去っただろうか。

ご案内:「委員会街中央公園」からリビドーさんが去りました。
ご案内:「委員会街・裏通り」にさんが現れました。
> 「ん…もう、この街は造りが複雑過ぎます。列車を降りた駅はあってるはずなのに…」

むぅ、という表情でガイドブックを睨みつけている少女
さわさわと爽やかな風が長い黒髪を撫でる、でもそんなことはどうでもいい

「知らない街を歩いてみようとは言いますが、
 知らない上に複雑怪奇な街だとは思っていませんでしたね、最悪です」

むっすりとした顔のまま、ガイドブックをポケットに捩じ込んで歩き始める

> 大体大通りを歩いているはずなのにこの人気の少なさはなんだろうか(※裏通りです)
学生街とまで言うのだから学生たちでもっと賑やかなところではないのか(※委員会街です)
大通りのくせに街頭も少ない(※裏通りです)

夕方をすぎて少し薄暗くなってきている、はっきりいって不気味である。それともこの学園都市ではそれが普通なのだろうか

「はぁ…困りましたね」

しばらく歩いて、再びポケットからガイドブックを取り出して眺める
学生街の駅で降りたのだから此処が学生街で合っているはずだ

> 転居先のアパート(格安だった)にはもう引っ越しの荷物も届いているはずである
そうだ、アパートの管理人さんに連絡をとってみよう

……と思ったが電話番号を失念している
パンフレットもないようなボロアパートのようなので仕方ない
自分に言い聞かせる

居住区に向かう前にちょっと学生街を歩いてみようと思っただけなのに、迷g……

否、自分は子供ではない
18歳なのだから立派な大人と言えるだろう
アダルトビデオだって見ていい年齢なのだ

ここは正確に言って迷い大人と言うべきだろう
うん、と力強く納得する

…納得したところで状況は変わらないわけだが

ご案内:「委員会街・裏通り」に流布堂 乱子さんが現れました。
> 「…というか交番くらいあって然りでしょう。駐在所もないのですか、このド田舎の島は……」

いよいよ苛立ちもピークになってきたようで、少し早足で歩き回る
薄暗くなってきて気づいたがビル郡を挟んだ反対側の道はとても明るい

なるほど、あっちがガイドブックにもあった歓楽街というところらしい(※大通りです)
とはいえ今は遊んでいる暇はない
引っ越しのアレコレが終わって落ち着いたらそのうちに顔を出してみようじゃないか

流布堂 乱子 > 紅い制服を着た少女がブーツを鳴らして歩く。
その制服に見合うような、肩で風切る様ではなく、
両手を体の前に揃えて道の前をまっすぐ見据えて歩みを進めている。

早足で歩きまわる少女が大通りを眺めているのを見れば、
およそ迷子だろうとはすぐに察しがついた。

彼我の距離は優に10m。
知り合いでもなければ声をかけるにもはばかられる間合いである。
間違ってもこれから歓楽街に繰り出す時にしたい行為ではない。

ため息をついて、まっすぐに薙を見つめながら距離を詰めていく。

> こちらへの視線を感じ、そちらに顔を向ける…と、
成程、常世学園とはこういう場所だったなと納得のできる姿の女性がこちらに歩いてくるのが見えた

制服らしき服装も自分とは違う
何より、尻尾が存在するのがわかりやすい
作り物ということもなさそうだ、此処は、そういう場所なのだ

「こんばんわ。
 何かご用でしょうか。私、急いでいるのですが」

こちらを見ている以上、何かあるのだろうとそう言葉を投げかける

流布堂 乱子 > かつん。
一足踏み込み、此方が武器を取り出して振るえばちょうどよい。
視線を切って地を眺めてその辺りで足を止め、
自らよりもわずかに高いその瞳、その視点を、乱子の焦げ茶の瞳がもう一度見つめた。

「……新入生に申し上げるのも心苦しいのですが、
急いでもこの委員会街の窓口はおおよそ閉まっていますので、日を検めるのがよろしいかと思います。
新人ではありますけれど、これでも風紀委員の端くれとして終業時間は守ってこの場に出てきておりますから」

歩きながら話しても良いような内容を、
あるいは偶然か、少女はその委員会街への途上に立ちはだかるようにして立っている。

> 「よく私が新入生だとおわかr …いえわかりますね、そうですね…」
以前からいる人間ならガイドブック片手にウロウロなどしない

「……委員会街?おかしいですね、此処は学生街のはずでは…」
言いながらパラパラとガイドブックを捲る
とはいえ学生街の駅で降りたと 思い込んでいた だけなので、
そもそもガイドブックと一致する立地は先程から見当たった試しがない

顔を上げて向き直り、深呼吸をする
落ち着け

「どうやら貴女の言うとおりのようですね。なるほど、ここは委員会街、そして…」

じ、とその腕の腕章へと視線を写した

「風紀委員の方でしたか。
 ここが委員会街というなら、風紀委員の本部も近くにあるのでしょうね。
 申し遅れました、私は薙…転入生ですが、風紀委員に入りたいと考えています。その時には、宜しく」

ぺこり、と…というほどではないが浅く、頭を下げた

流布堂 乱子 > 「ええ。その制服姿で、と言いたいところですけれども、
以前の学校の制服で通う方もそれなりに居らっしゃいますから」
コクリと頷きながら、何が原因だったかについては明言を避けた。

「校舎も三棟ほどよく似たものが並んでいますので、講義を受けるときはぜひ他の方とご一緒に移動されたほうがよろしいかと。」
ガイドブックを持ち、両手が塞がったのを見て一歩だけ前に出る。
「学生街、というと……
寮に向かうのでしたら、そこの大通りを行けばおよそ迷わないと思いますけれど。
学生の殆どが向かう先に付いて行けば、公営にせよ私営にせよ、
立ち並ぶ辺りに着くはずです」
そう言ってから、彼女の視線をたどる。
紅い制服と腕章、どちらも揃って風紀委員の証とされるものだ。
つい最近までは偽物が身に着けていたわけだが。

「薙さん、ですね。
2日……いえ、まだ所属したばかりの流布堂、乱子と申します。
風紀委員会は人手不足ですから、所属を申請すればじきに本部でお会いできると思います。
此方こそ、よろしくお願い致します。」
会釈を受けた少女が、深々と頭を垂れた。

「……まあ、学生なら、という前提はつきますけれど」
この街についたばかりの彼女にはわからないかも知れなかったけれど、ついつい補足が口をついてでてしまっていた。

> 「…あちらが大通りでしたか。ご丁寧にどうも…。助かります」
此処が委員会街だとするなら、ガイドブックの地図に合致するエリアがあった
ありがたい、現在地さえ確定できれば、後は大丈夫だ
そう、大丈夫
自分は方向音痴なんかじゃない、断じて

「なるほど、貴女も風紀委員としてはルーキーということですね。
 では明朝にでも早速申請をしにいこうかと思います」
本部の位置はガイドブックにもしっかりと記されている
さすがに迷うことなくいけるだろう

「ちゃんと学生、ですよ。見ての通り、はい」
制服をアピールするように、くるん、とまわって見せる

流布堂 乱子 > じわりと不安が染みだした。
どうして地図を見ながらこの人は何度も頷いているのだろう。
どうしてその後に首を振っているのだろう。

例え学生通り駅を乗り過ごしてしまったとしても、こちらの細い通りまではその後のどの駅からでも距離は有る。
それ故、また何がしかの妨害目的で持って委員会街へ向かっているのでは、と思っていたのだけれど。
そうでないとしたら。
しばし沈黙した後に、つかつかと歩いて近づくと、つま先立ちでガイドブックを覗き込んだ。
「よろしかったら、どちらに向かうのか教えていただいてもいいでしょうか。」
万に一つとはいえ、たどり着かない可能性がちらりと頭に浮かんだ。
とはいえはっきりとそう言う訳にも行かない。旧友もこういう人だった。
はっきり言うと拗ねる。何度言っても先導しようとする。
上手く聞き入れてもらえるようにオブラートに包む理由、そう、理由としては――

「……新人同士で友好を深める機会もあるかと思いますので。
いえ、貴方のほうが私より後輩に当たるのは間違いないのですけれども」
ほんの少しだけ、それまでの平坦な口調から語気が強まった。
とくに"後輩"のあたり。

くるん、と回る薙を間近で見れば。なるほど昨日今日に着たものとは思えない似合い様で。
「この学園ですと、教員の方でも趣味で制服を着ている場合はありますよ」
問われた言葉に一応は答えを返したものの、その姿から思い出した本題をついでに付け足した。
「……と、そうでした。
風紀委員会だけは制服が規則で定まっていますので、
そちらの服に愛着があるということでしたら、"刑事課"と希望することをお勧めいたします。」

> 「! 会ったばかりの貴女にそこまで頼むわけには…」
と、口をつぐんだ
人の親切を無碍にしてはいけない
遠慮というのは時に謙遜よりも禍根を残す、と誰かが言っていた気がする

「ええと…居住区の方にアパートを借りまして、
 そちらに向かう前に学生街のほうを眺めてみようと思ったのですが…」
迷ってご覧の有様、というわけである
ともあれ、目的は居住区のほうらしい

「…?そ、そうですか、そうですね…」
なんだか後輩、と力強く言われた気がする
上下関係が強い組織なのだろうか、身の引き締まる思いである

「先生なのに制服を…?
 まぁ、可愛い制服ですからわからなくもないですが……。
 それで、刑事課、ですか…。私は、この刀で悪をぶった斬れればそれで良いです」
こくん、と頷いて

流布堂 乱子 > 「そうです。後輩です。
今は会ったばかりかもしれませんけれど、これから長い付き合いに成るかもしれませんから。
折角、先にいる者にはあとから来たものを迎え入れる権利があるのですから、
それを行使しない理由もありません」
いずれ後々、その権利は様々な事柄を押し付けるための権利へと変貌を遂げるのだけれども、
乱子はその件については決して述べまいと固く誓った。
先輩。今頑張って後輩を増やしています。

「なるほど……その辺りでしたら案内できます」
地図を覗き込んで、指し示された地点を見ればこくりと乱子は頷いた。
どのみち行こうとしていた店は深夜まで閉まらない。
連絡を入れておけば事足りる。

「私は寮に住んでいますので、風呂洗濯炊事と考慮せずに済むのですけれど……

じ、っとアパート名を見ながら記憶の隅を手繰る。
「……防災の手引で火災危険区域に指定されていたような気がします、その辺り。
木造で相当古い建物だと思いますので、ランドリーや銭湯の場所も確認しながら行きましょう」
携帯端末を取り出して地図を読み込ませる。
行くと決めたらとことんの姿勢であった。

「……ああ、やっぱりそれ(刀)、お使いに成るのですね。
きっとその機会には恵まれますよ」
牙を剥くようにして、乱子は笑った。
絶対にこの娘を仕事に巻き込もう。
悪をぶった切るまでに色いろあることを叩きこもう。

> 「先達に敬意を払うのは当然のことです。ご心配なく」
成程、組織である以上そういう側面はあるものだ
郷に入れば郷に従えである

「本当ですか?もう時間も遅いですけれど、構わないのですか?」
ほんの少し気にしてしまうけれど、風紀委員ともなればこんな時間だからこそ見回りなぞもするものかもしれない

「安さだけで決めた物件でしたもので、ふむ…家賃が安いのはそういう理由でしたか」
ふむふむ、と言葉を噛みしめるように頷いている
そしてどうやら周辺のお役立ち施設を案内しながら道案内をしてくれるらしい
さすが正義を守る風紀委員だ、面倒見が良い

「この街には治安の悪いエリアがあると聞いています。
 そこでは日常のように犯罪行為が行われているとか、許しせませんね」

あまり表情を変えなかった少女がようやくその顔に僅かな笑みを見せる
目の前で笑う先輩の胸中なぞは知る良しもない