2015/06/12 のログ
まりも > 「んー、やっぱダメだったか!
 どれどれ、お姉さんに任せなさいっ!
 ………んしょっと。」*ぷしゅん*

格闘の形跡が伺える、ややぬめるプルタブに、器用に爪を掛けて起こす。
この手の物は、コツさえ知っていれば無力な者にも、
簡単に開けられるように設計されていると言われている。
しかし、それはあくまでも"知識のある者"のおごり、なのかもしれない。

「はいっ! あらためて、どうぞ。」

開いた缶を、内容物が零れないようそっと差し出す。
流石にスチール缶2個を連続で開けるのは、か細い指には負担だったようで、
指先がじんじんと熱を持ち、少しだけ痛む。

スピナ > 「おおー……まりも、つよい。
 わたし、びくともしなかったのに……」

プシュッ、という音にわくわく缶を感じる。
そして内容物の匂いを感じて、表情が和らぐ。

「あ、ありがとう……」

受け取って、今度こそ、口をつけて飲む……

…………。

「きゅ!?!?!?」

身体が跳ねた、思わず尻もちついた
その衝撃で、中身がちょっと漏れて少女に降りかかった。

炭酸なんて飲むのは初めてなのだ。

まりも > 「ねっ、しゅわっとするでしょ?」

ある程度、リアクションについては予想していたようだ。

尤も、炭酸に驚くのではなく、
この飲み物を勧めると何故か、十中八九の者は吹きだすからである。

それもそのはず、恐らく一般的な炭酸飲料の5倍以上は甘い、
まさに甘味に特化した飲み物だから当然だ。

慌てずにポケットからハンカチを取り出すと、
汚れた部分をふき取ろうとする。

スピナ > 「しゅわわ、しゅわわわわわ、わわわ……わわ……」

プルプル震えている。
初めての炭酸はそれはそれはすごい衝撃的なものだったらしい。
味を感じる余裕もなかった。

……しばらく震えが止まらなかったが、だんだん収まってきて

また飲む。

「~~~~!!」

以後繰り返し。

まりも > (あやや、初めてはやっぱり刺激が強すぎたかな。
 ……今度会う時は、りんごじゅーすでも用意してあげよっと。)

初めて炭酸ジュースを飲んだ時、まりもも似たような感じだったのを思い出し、少し微笑ましい。
スピナの姿を見ていると、まるで、第二の妹ができた様な……そんな、気分を感じた。

「……月がだいぶ高くなってきたなぁ。
 そろそろ、私は帰ろうかな、明日も学校だし。

 ―スピナちゃん、私、そろそろ帰るね。
 今日はありがとっ! 色んなお話、聞かせてもらって。」

ゆっくりと立ち上がり、スカートや足についた砂を払う。

スピナ > 「しゅわわ……あ、そろそろ、いっちゃう?
 ……また、おはなし、しようね、しゅわわわ」

ふるえながら言う。だいぶ癖になったみたい。
味よりも、炭酸の感覚に。

「わたしは、これ、のんだら、もどるね。」

まりも > 「ふふっ……うんっ、またね!
 私はこの近くに住んでるから、何か困ったことがあったら呼んでね。
 お姉さん、すぐ駆けつけちゃうから!」

得意げに、無い力こぶを張ってグッとガッツポーズを取る。

……本当に、妹ができたみたいだ。また、絶対に会いに来よう。
そんな事を考えつつ、去り際に何度も振り返りながら、夜の帳の中に姿を消した。

スピナ > 手を降って見送った。
まりもの印象もまた、とても良いものになった。

さてその後の少女。
ぷるぷる震えつつおしるこコーラを飲み、また震え……
それを繰り返してるうちに、中身がなくなったようで

「あ、なくなっちゃった……」

そしてこの空の容器をどうするか、悩んでいた。

スピナ > 「……。」

そういえば私は尻もちをついていたのだった。
……がんばったら立ち上がれた。これもまた成長か。

空き缶は持って帰ることにした。

新しいお友達、新しい体験。
それらを思い出しながら、満足そうに、海へと戻る。

スピナ > 海へ入ると、棘のついた『殻』が少女を纏う。

少女は殻に包まれ、海へと流れていった――

ご案内:「浜辺」からスピナさんが去りました。
まりも > 《帰路》

この学園に来てから、同僚や先輩、先生との付き合いばかりで、やや口調が固まっていた。
なのに、あの子とは不思議と、かつてのように自然に話せたのが、少し不思議だった。

見た目が幼いから?
毒気のなさそうな子だったから?

結局、駅に着くまで、理由は分からずじまい。
いや、理由なんて些細なことなのかもしれない。
これから、あの不思議な子と、良い関係を築けるかどうか。
少なくとも、おしるこコーラは好感触だったように見えたし、ワンチャンある、と思いたい。

駅に着き、ふと見上げると、電光掲示板は電源が落ちており、
ホームに下りるエスカレーターも止まっている。

―終電は行ってしまったようだ、二駅くらいなら……歩いて帰ろう。

《帰路は長い。》

ご案内:「浜辺」からまりもさんが去りました。
ご案内:「浜辺」に安土 治弥さんが現れました。
安土 治弥 > 夜半。人気のない浜辺に腰を降ろす。
この季節、潮風は気分が良いとは言えない。

「梅雨が明ければ夜でも花火やら何やら、賑わうんだろうな」

ついでに心無い海水浴客によってゴミとかも増えたりするだろう。
景観の良さを堪能できるのも今だけか。溜息。

安土 治弥 > 耳につけたイヤホン。シャカシャカと音を立てる曲を真面目に聴いてると言うこともない。
寝るまでの暇潰しの散歩は別に楽しい訳でもなくて。
自室のベッドで寝苦しさに魘されるよりは少しはマシかという程度だった。

だからと言って砂浜で寝る訳にもいかないし、いつ戻ったものかと至極どうでも良い思考に頭の容量を費やす。

成る程、暇潰しにしても無為な時間に思える。

安土 治弥 > 暇潰しのお供として自販機でコーラを買った。
水分を摂取することさえ自分の身体には無為なことな気がするが、130円をケチる気にもならない。

今は喉が渇いている。

きょうび珍しい赤いパッケージのコーラを何度かに分けて、飲み干す。

「…甘い。珈琲にでもしとけば良かった」

安土 治弥 > 最後の方は少しうんざりしつつ。飲み干したコーラの缶を灰皿代わりに煙草を吹かす。
グチグチと文句を頭に浮かべながらも何だかんだと夜の散歩を堪能している気がする。

大した音量でもない適当なバンドの適当な曲。それに混ざって聞こえる波の音に耳を浸しながら、時々吹く風を涼しいと思うのだった。

安土 治弥 > 腕時計を見て、2時を回ったことを知る。
そろそろ眠い。
煙草の吸殻を缶の中に押し込むと尻についた砂を払って立ち上がる。

時間の無駄だった。
普通の人間ならそう思ったりするかも知れない。
あるいは眠い目を擦って明日の授業を受けることに憂鬱さを覚えるのか。

自分には無縁の話だ。
どの道、明日には無駄な時間を過ごしたことさえ覚えていない。
意地を張って、明日の朝まで起きていたとしてもどの道、目覚めれば何も変わりはしない。



さっさと戻って寝るとしよう。
今日は特にメモを書くようなこともなかった。
ウェルカムニューデイズだ。

くそったれ。

ご案内:「浜辺」から安土 治弥さんが去りました。
ご案内:「浜辺」に相楽 満さんが現れました。
相楽 満 > 「はー……初めて来たけど、いい場所じゃん」

浜辺を歩いてくる。
夜中の海は全てを飲み込むように暗く、深い。
思わず吸い込まれてしまいそうだ。

「……ここまっすぐ行ったら、誰にも見つからずに消えられそー」

苦笑しながら独り言。
そんなつもりはほとんど無いのだが。

相楽 満 > 「……ほんとに、消えられそうだな」

遠くを眺める。
先刻養護教諭に言われた言葉が胸に突き刺さっている。
生きているとは、息をしてそこに居るだけではない、と。

けれど、この血を残すことは、それでも罪深いことだと思う。
このまま病状が進行して、異能が命を支えられないとしたら、この寿命が尽きるまであと数年と無い。
それをおそらく、誰も望むまい。
この身を望む者は誰も居るまい。

相楽 満 > 自殺なんて考えたこともなかった。
生きられるかもしれない未来があることが、楽しくて仕方が無かった。

だが、今はそれが重圧になりつつある。
生きられるかもしれないという未来に縛られ、今を生きることを、近い未来に幸せをつかむことを頭が否定する。

麻美子が言っていた。
こんな病の身だからこそ、支えてくれる伴侶が必要だと。
だがこんな先の短い命のため、誰かにその大切な青春を無駄にしてほしくないとも思う。

「……どーしちまったんだろうな、俺。
 ここ来るまでは、こんなこと考えもしなかったのに」

自由とは、自由であるように呪われていることである。
かのサルトルの言葉だが、今の自分にピッタリだと思う。
未来がつかめる小さな可能性が見えてしまったせいで、それ以外のものが見えなくなってしまった。

相楽 満 > 「……奇跡って、あんのかねー……」

誰に問うわけでもなく、虚空に投げかける。
あるのだろう、奇跡の技は。
この身の病を解き放ち、未来をつかむ術があるのだろう。
けれど、そんな都合よく見つかるはずも無く。

ただただ、検査の結果が悪くなっていくのを眺め、進まない病への勉強を続け、最悪のときを考えてトレーニングとストレッチを続ける。
これで本当にいいのだろうか……

相楽 満 > 「………………」

もし、異能を全開にして海の方へ跳び。
もし、その瞬間に異能を完全にオフにすれば。

誰にも見つからず、消えることが出来るのだろうか。

「……アッホくせ」

一瞬でも考えてしまった己を恥じ、頭を振る。
希望があるのに、それを捨てる理由がない。

相楽 満 > 誰も居ない浜辺で、ただ無為に時間を過ごす。
思えば車椅子生活のときは、誰かが必ず傍にいた。
窮屈なときもあったが、多くの人々に支えられて幸せだった。

歩けるようになってから、それも減った。
健常者と変わらぬ動きが出来るようになったが故に、孤独の良さと悪さの両方を知ることになった。
なんとも皮肉な話だ。

「……寂しいな……」

屋上でも、そんなことを思った折にあの少女が来たのを思い出す。
やはり恵まれていたのだろう、自分は。

相楽 満 > 「……んぁ、やべ、寝てた」

むくっと体を起こす。
知らぬ間に眠っていたらしい。
周囲に誰も居ないのを確認し、歩き去る。
どこへ行こうか、考えながら。

ご案内:「浜辺」から相楽 満さんが去りました。
ご案内:「浜辺」にテリメーラさんが現れました。
テリメーラ > (いま今現在は)誰もいない、昼下がりの浜辺。
一人たたずむ竜の少女。
彼女は燃えていた。
一つ、狩りの失敗によって。
一つ、最近のブッソーの対策として。
なにより、そんなごっこ遊びの気分だったのだ。

「そう!僕に必要なのは、必殺技だーっ!!」
海に向かって控えめにほえる。
あんな気弱で大人しい癖に、意外と冒険の主人公にあこがれてるのだ。

テリメーラ > 腕を組んで海に向かい仁王立ち。
あんまりにもサマになっていないが、その尻尾はぴこぴこと縦揺れ、興奮気味。

と、言っても何かアイデアがあるわけでもなく、首を傾げて座り、考え込む。

テリメーラ > 何も浮かばず。
別に運動神経が良い訳でもなく、ドラゴン必殺ブレス、といっても出るのはほぼ人畜無害の雲だけだ。
自分で企画、採用しておきながら必殺技ごっこは早くも詰みの段階に入りかけている。

おもむろに雲を出して自分の大きさくらいの人型に。
「テリ分身!!!」
雲の人型はバレリーナの様に片足でくるくると回り、挨拶してみせる。
「コレも飽きちゃったしなぁ…」
つまらなそうにソレを眺める。
自分で操っている上、60年近くも同じネタを使っていれば当たり前の話だが。
人型の頭を使むとぐしぐしと潰してクッションの形に変える。

テリメーラ > せめてお母さんみたいに雷とか雪も降らせればなぁ。
どちらも、まだ早い、と教えてもらえなかった。
彼女にできるのはまだ雨を降らすことくらい…

「ん!」
そう言えば雨を全力で降らせたことはない。
もしかして、小さな範囲で思い切り雨を降らせば相手もびっくりするんじゃなかろうか。
早速やってみることにしよう。

テリメーラ > 左手からもくもくと雲を出して2、3m先に浮かべる。
初めての試みに楽しみ半分怖さ半分。
期待に高鳴る胸を一旦深呼吸で落ち着けると、ぐっと気合いを入れ直す。
「いっけー!!!」

テリメーラ > バケツをひっくり返したような…というかもはや雨粒が地面に向けて撃たれる弾丸のように砂浜に突き刺さる。
たまたま落ちていたアルミ缶はあっという間にべこべこになってしまった。

「えっ…」
所詮はものすごい雨が降るだけでしょー、と思っていた。
が、正直今は、自分が、やったことに対して口ポカーン、そしてわれなからドン引きである。

テリメーラ > (これはさすがに当たったら怪我しちゃいそう…)
人をけがさせない必殺技を考える予定はないが

ご案内:「浜辺」にテリメーラさんが現れました。
テリメーラ > 完全にびびりあがってしまった…。
大人しく、誰かに付き添ってもらって携帯をかってもらおう。
そう心に決めると、浜辺を後にした。

ご案内:「浜辺」からテリメーラさんが去りました。
ご案内:「浜辺」に蒼穹さんが現れました。
蒼穹 > (時、夕飯時。所、浜辺。して、己は晩御飯のクリームパンでも食べながら、悠々と浜辺から、海を見渡す。成程、心が落ち着くと言うのも、満更嘘ではなさそうだ。)
―――海。
(海は、全ての源にして、母だという。それでは、海を産んだのは誰だろうか。また、全てを収束させるのは何者だろうか。こういうことを考えると神だ何だという話が自然に浮き上がってくるわけであり。)
…ああああー…。
(邪神たる己としては、少々憂鬱である。余計な事を考えたか。頬張ったクリームパンがしょっぱかったのは、ここが海である故か、それとも、要らぬ一考がそれを不味くしたのか。どっちにしたってまぁ、もういいか。)

蒼穹 > …んんで?
(何でこんな所に来たのだろうか。普段暇なら禁書庫でも荒らしに行っているところだったのだが。やっぱり、形だけでも人の身を得たというのであれば、海を眺めたくもなるのだろうか。それにしても…。)
足りなくない?
(流石にクリームパンだけでは。)

蒼穹 > ま、ちょっと早いよね。
夏のシーズンには、さぁ。
(薄ら明るく照らされる海を見遣りながら、悩まし気にぽつり。暑いと言えば暑いのだけれど、如何せん海に入るような季節ではあるまいか。)
…海の家とかあったらいいんだけどね。
(それもまた、シーズンが違うわけで。海の家なんかがあったら空腹を紛らわす様なものもあったろうが。その辺を彷徨しつつ、無い物ねだりをしてみたり。)

蒼穹 > …まっさか海王神様とかいないよねぇ、この学園。
変な神がいるって噂は聞いてるけど、どんなもんなんだろ、実際。
(もっとも、自身も多分その内の一人ではあろうけれど、何て考えるとまた憂鬱になるわけで。けれども、この学園って一体何処まで繋がってるのやら。)
…まぁ、気にするだけ無駄かな。
あー、嫌になってきた。ちょっとだけ暴れよっか。
(片目閉じ、指先を海に向けて。「あの辺でいいか。」なんて囁けば、慣れた手つきで魔力を収束させて、放ってみる。ちょっとした反逆。五芒星を描いた魔方陣と、真っ黒な矢。海の水面ギリギリを、まるで水切り石の如き様相で滑走すれば、間もなく、見えなくなった。少しだけ爽快で、気が晴れた、様な気がした。)

ご案内:「浜辺」に谷蜂 檻葉さんが現れました。
ご案内:「浜辺」に風間蒼介さんが現れました。
ご案内:「浜辺」から風間蒼介さんが去りました。
谷蜂 檻葉 > (あれ、こんな時間にも……まぁ散歩する人ぐらいいるか……)

『水の妖精魔術を練習しよう』そう思い立ってやってきた檻葉だったが、以前の暴走のこともあって、人の少ない場所を探しに来ていた。

水が大量にあって、人が少なくて、出来れば広い。
―――そういう訳で、彼女が浜辺に足を運ぶ事を悩むことはなく。


「ま、離れてれば別にだいじょ……う……」

パラリ、と魔導書を開いて蒼穹が遠目に見える程度に離れた場所で魔法の練習をしようと海を見据え、海面ギリギリを飛行していった黒いナニカに言葉を失った。

蒼穹 > ―――はっ。え、あ。
(気付く、何者かの気配。遠くに、誰かいる。そして…私の魔法、見ていた?いや、多分見えなかっただろうと自己完結させる。でも辺りはまだ薄ら暗いレベルだからひょっとして…。)
…やっほ。こんばんは。良い夜…だね。
(取り敢えず、まるで無関係という風を吹かしながら。多分、初対面であろう彼女に、てくてくと寄って行きながら、手を振って、気さくに笑みながら夜の挨拶を遣ってみる。馴れ馴れしいかもしれないし、何か不自然かもしれないが、これが、己の在り方だった。)

谷蜂 檻葉 > (魔術……だよね? それとも、異能?)

呆然と海の彼方までかっ飛んでいった蒼穹の魔術にぼうっとしていたが、その本人が気さくに挨拶してきたのに気付くと頭を下げた。

「ど、どうもこんばんは……ちょっと風は強いですけど今の季節だと確かに丁度いいです。」

見た目、自分よりは年下か童顔だとしても自分と同年代に見える相手だったが
今更この学園の「危険基準値チェック」に顔面偏差値は意味を成さないのは理解している。

それでも、傍から見てもいかつい男よりは態度は軟化したが。

「散歩、です?」

蒼穹 > ん、どうも!ねー、ちょっと暑いけど、潮風が気持ちいいな♪
…っとと、魔術の練習中…だったりしたかな?
(ようやっと、近づいたのであれば、彼女が片手に持っているだろう魔術書の存在に気付く。何だか御邪魔してしまっただろうか。先の真っ黒な矢といい、話しかけたことと言い。)

そーそー、散歩。ついでにご飯ってとこ。
(うんうんと、頷きながら。)
…で、キミは…見ての通り、練習中ってとこかな…?

谷蜂 檻葉 > 「……あぁ、判るんですね。」

(異能者よりも、異邦人っぽいかな……)

先ほどのアレが何なのか。 興味も警戒心もトントンに残った檻葉は余りツッコむつもりはなかったが、相手側からこちらの手札に興味を持った事に少しだけ警戒レベルを上げた。


『魔術が使える』のと『剥き身の刃物を持つ』というのは、彼女にとって同義だったから。


「ええ、まだまだ駆け出し魔術師って事になりますけど。」

にこやかに答えて、改めて集中を始める。

「――水を集めて。」

海に手をかざし言葉を投げると、大玉ころがしのボール大の量の海水が檻葉の前に集まっていく……。

蒼穹 > うーん、まぁ、見たまんま魔術書だし生徒っぽいしね。
(何だか、その場のノリで近づいてしまったが、相手がだれか確認することはしなかったために今更の言動だった。もっとも、別に遠目で確認する必要もなかったのだが。相手とは違って、警戒などその心には全くなく。)

…駆け出し?ふーん。
(海水が、魔力によって集まっていく。それを見遣れば。)
へー、凄いね。
こんなにできるのに、まだ駆け出しで練習中なんだ。
(人間の生徒にしては、十分な魔力ではないだろうか。無論基準など知らないが。少なくとも「大きい」と言って差支えない水の塊ではあった。)

谷蜂 檻葉 > 「……っ 飛ばして。」

次いで紡がれた言葉に一泊おいて、透明な巨人に蹴りだされるように轟々と大質量のものが飛ぶ。 ”圧”が周囲を波打たせ、20数メートル飛んだ辺りで着水して水柱を作った。

「―――ふぅ。」
サラサラと遠くに小雨のごとく飛沫が消えた辺りで一息ついて集中を散らす。


蒼穹に視線を向けると、謙遜するように苦笑する。

「ええ、"地力"なしに使える魔術ですからね。実践的に使うなら、これを水の少ない場所で、もっと早く正確にしないと。」

蒼穹 > わぁお…。これは凄い。
(もう少し、近くで撃たれていたのであれば、水しぶきくらい被っただろうか。成程、水の弾ではあったが、不発の砲弾の様な後味に見えた。)

そうなんだ、地力…?…ふーん、もしかして、代理で誰かに御願いしてる感じの魔法なのかな。…どんな魔法所使ってるかは分かんなかったけどさ。…で、練習中ってことかな。
(大方、精霊魔法だの召喚魔法だのの類と言ったところだろうか。ちら、と彼女に一瞥を遣れば、かの水の弾が沈んだ場所を遠く見据えて。)

谷蜂 檻葉 > 「ええ、まぁ……。」

(……考えすぎ、かな。)

「駆け出し妖精魔術師の、谷蜂檻葉です。」

ここの所出会う人間が「一般人」か「危険人物」の二択ばかりだったせいか、変な気負い方をしたが、その「中間」だと判断して名前を告げた。 

「……あなたは?」

蒼穹 > あー、妖精魔術ってヤツか。…全然知らないなぁ、そっち方面は、さ。
あ、どうも…それじゃ、オリハ、で良いかな?
(手をぽむり。名乗られたのなら、自身もと、そう思った矢先だったし、丁度いい。)
私、蒼穹《ソラ》っていうんだ。一年、幽霊風紀委員。…そんなとこかな。よろしく。
(自身を指差しながら、軽い自己紹介を。)

谷蜂 檻葉 > 「元々マイナーとは聞いてましたけど、ね。」

同じ事をするのに、それよりも効率が良い方法が山のようにあるのだから。
色々と縁があってこの魔術を使っているが、学園で同じようなことをしている人間はあまり、聞いたことがない。

「ええ、苗字の響きはあまり好きじゃないので。 ……風紀委員、ですか。よろしく、ソラさん。」

ここに来て、その肩書か。
そう思わないでもなかったが、表情に出すこと無く自己紹介を終える。

仄暗くなって、直視とはいかずとも視線を向けるのも問題ないほどに明度の落ちた太陽に視線をやって尋ねる。

「私はまだ暫くここで練習してますけど……ソラさんは?」

蒼穹 > そんなものだって思うよ。精々治療魔法くらいがコモンな魔法じゃないかなー。私は使えないけど。
(実際、自身が使う魔術を使うものも、まぁ滅多といないわけで。)
あっはは、幽霊風紀委員だよ。幽霊。
肩書だけだし、気にすることは無いから、うん、よろしくー。
(表情には出ないけれど、多分風紀委員といって嬉しがってる人はまれなものだろうし。気さくに、一笑を馳せて。)
んー、どーしよっかな。
じゃ、私はそれを見てようか、それとも、ちょっとだけ練習してようか。
…どうしよっか。
(むむ、と一考。そこに特に、宛は無い要だった。)

谷蜂 檻葉 > 「そんなものですかね。」

本人も、魔術畑の人間ではないので曖昧に相槌を打つだけに留まった。

その後も、笑みを見せて見学だけしようかそれとも自分もやろうか、と悩むソラを少し見ていたが、あまり気にしすぎても本来の目的を見失うと思い、集中を始めた。


「―――集めて、回して。」


言葉に合わせて、再び海水が宙を舞う。

蒼穹 > やれやれ、んじゃまぁ、その辺で見てよっかな。
(どうにも、話には乗り気ではないようで。そういえば、何だかんだ邪魔してしまっただろうか。)

…。
(また浮かび上がる水。しかし、見ているだけと言うのも中々、暇である。どうしたものだろう。だが邪魔するのは良くないし…と考えると。)

谷蜂 檻葉 > 「そのまま、回し続けて―――」

集中したまま、言葉を重ねる。

今度はくるくると宙を無秩序に舞っていた海水は空中に透明な洗濯機を据えたように回り始める。
その速度はだんだんと加速していき、小さな竜巻のようにも見える。

蒼穹 > (ぼーっと見遣りながら、風の術式でも使ったのか。なんて考えを馳せれば立ち上がり。)
ほんっとに集中しきっちゃってるっぽいねぇ…。
どれ…あんまり居続けると御邪魔かな?
(どうにも、やっぱり見ているだけではあれだし。だからといって、邪魔するわけにもいかず。)

谷蜂 檻葉 > 「散らし……っ上に飛ばして!」

イメージのままに告げた言葉にミスが有ることに気付くと、直ぐに”上書き”させる。

ぐわん、と水竜巻が歪み、ろくろ上の粘土が破裂する前兆のようにぐねぐねと変形したが、楯にグッと縮んでから打ち上げ花火のように上に飛び上がって破裂した。


―――ゲリラ豪雨のような水量が一帯に落ちてくる。

蒼穹 > んー…。
(さーっと、何食わぬ顔で結界を張って上から来る結構な量の雨水を防ぎながら。)
どうにも、御邪魔した様だね。
それじゃ、私はこの辺で失礼しようか。
(気付くか気づかないかはいざ知らず、後ろ手振りながら、その場を後にした。)

ご案内:「浜辺」から蒼穹さんが去りました。
谷蜂 檻葉 > 「ひゃっ…!!」

本を服の下に隠すようにして、雨を防ごうとする。
―――が、一陣の風が檻葉の周囲を奔り雨を周囲に散らす。

暫く何故体が濡れないのか、思ったより高く打ち上げていたかと縮こまっていたが何時までたっても海水がこない。

顔を上げてみれば周囲は既に湿っており、何故か自分の周囲には海水が落下しなかったことに遅れて気づく。


同時に、ソラにも被害が及んだことに気付いた。


「……あ! ソラさん大丈……夫?」


しかし、その頃には既にソラはその場を去っており遠くに、後ろ手を振るのが見えた。

谷蜂 檻葉 > (……魔術師、魔法使い……ね。)

異能とはまた違う、超常の力。
自分がそのスタートラインに立ったことの自覚はまだまだ薄いが。

「……さて、練習練習。」


目標は高く遠く。
再び海に向かって集中し、海水を空中に引き上げてはこね回し始めた―――

谷蜂 檻葉 > 【波打ち際で、ノートサイズの魔導書を片手に妖精魔術の練習をしている……。】
ご案内:「浜辺」にエトランジェさんが現れました。
エトランジェ > 「すごいですねぇ」
うねうねとうねる海水を見上げながらつぶやく
手には紙袋を持っており,なにかもごもごと食べているようだ

谷蜂 檻葉 > 「―――――!」


エトランジェからは、少女が指揮をするように小さく手を動かすたびに水柱が踊るようにも見えなくもない。

実際は逐次指示を継ぎ足して動かしているのだが、距離が有るためにただ波のさざめきだけが聞こえる。


「――――」

暫く見ていると、水柱は大きく揺れてから縦に周囲の海水を吸い上げながらぐんぐんと伸び上がり、棒倒しのように水平線へ向けて倒れた。


高く、飛沫が上がる。

エトランジェ > その様子を浜の境,流木のような物に座り眺める,
さらさらと飛沫が届くが気にした風もなくその身にうける.

「何かの魔術ですかねー.それともPK?」

その姿は観賞をする客のようでもある

谷蜂 檻葉 > 暫く、水柱が立ったり沈んだり。
水球が飛び上がったり跳ねまわったり。

ガラス細工の演舞のようにも見える時間が続く。


少女は周囲を注視する事もなく、一心に魔術を振るう。


――――やがて、水平線に夕日が消える直前。

肩で息をし始めた少女が振り返り、エトランジェに気付いたようだ。


何をするかと思えば ペコリ と。 それこそ、指揮者の〆のように一礼した。

エトランジェ > その姿にたちあがりぱちぱちと拍手を送る.

距離的に聞こえはしないだろうが動作から言いたいことは伝わるだろう

谷蜂 檻葉 > 拍手を送るエトランジェに、顔を上げた少女はきょとんとした風で見ていたが
やがて何かに気付いて頭を掻きながら寄ってきた。


「……あ、えと。こんばんは……お散歩、でしたか?」


息を整えてからまっすぐにこちらを見つめて挨拶をする。
――どうも、エトランジェがここで何かをするつもりで待ちぼうけていたのではないかと思っていたらしい。

エトランジェ > 「はい.帰り道にふらっと」

どこかの帰り道であろう少女は紙袋を抱えて応える.
ゴシックドレスという姿からも遊びや演習に来た類いではないことがわかるだろう.

「あなたは魔術?……の練習かしら」

さくさくと砂を踏みしめ近づきながら聞き返す

谷蜂 檻葉 > 「あはは……ちょっとお恥ずかしい、ですね。」

(随分と綺麗な子だなぁ……こう、お嬢様って感じ。)


制服姿ではなく、そして普通の私服でもないドレス衣装にやや目を奪われるが
それ以上に可憐な容姿はまさに"浮世離れ"な雰囲気を感じさせる。

そんな子に芸……のつもりはないが、そういうものを見せていたと思うともう少し綺麗なものを格好付けに見せたかったな。と思う。


「はい、練習中です。 初日で結構いい手応えですけど、まだまだ練習しようかと。」

エトランジェ > 「あら……あれで初日……まだまだですか?大変綺麗でしたのに」

小首をかしげ心底意外そうに驚く.

「でも練習は良いことですね」

むん,と脇を締め気合を入れるようなポーズ.
その姿には似合いはしないだろう.

夕日に照らされて赤く輝いていた髪色が本来の色を取り戻す.

谷蜂 檻葉 > 「ふふっ……そう言ってもらえると嬉しいですね。」

そういって、ぺこりとまた小さく礼をするのに合わせ、エトランジェの周りをふわりと不自然な風が踊る。 それが誰か、わからないが貴方の気をひこうとした何かじゃないかと思う……かも知れない。


「ええ、何事も練習ですとも。」

うんうん、と腕を組んで頷く。

―――と、そこでエトランジェの髪色が夕日の反射を失い、闇に包まれた白になって小さく首を傾げる。

「……何処かであったこと、あります?」

エトランジェ > 髪が舞い上がるのを手で押さえる.赤いイヤリングが隙間から見えるかもしれない.
それにきっとその 何か には気付かないだろう.

「まだ夜風は冷えますね……」

そこで問われた質問に同じ方向に首をかしぎ応える

「いえ?初対面だと思いますよ」

谷蜂 檻葉 > 「あはは……そ、そですね……」

風のない場所でフワリと踊るエトランジェの髪に気付くとなんとも言えない疲れたような笑顔を見せて、手元の古びたノートのような本を撫でる。

―――また軽く風が吹いて静かになる。


「んー……いやでも見覚えが…… あ。」


そうだ、噂好きの友人に似顔絵を見せてもらったのだ。
『学園にやってきた、マジもんの吸血鬼』とかなんとか言って。確か名前は……

ぽん、と手を打ってから回答する。

「……エトラージェさん。」
惜しい。

エトランジェ > 「あれ?……名乗りましたっけ?」

正確な発音で言えばエトラージェはかなりネイティブに近い.
呼ばれたと思って返事をする.

「それとも本当にどこかで?それなら大変失礼を……」

すまなそうに謝る.

記憶力は並程度にはあると思っていたのだけれど……

谷蜂 檻葉 > 「あ、いえ。 こちらが一方的に知ってただけみたいです。」

申し訳無さそうにするエトランジェにわたわたと手を振って誤解をとく。

「”本物”の吸血鬼だー…って、一時期話題になったのを覚えてただけで……。」

だから、失礼じゃないです。ね?
―――そういってから何かに気付いたように、一歩引く。


「……本当に吸血鬼、なんですか?」

エトランジェ > 「あれ?私ってそんなに有名人なんですか?」

メガネのガラスでも水面でも携帯のカメラでも何かでも,
少し注視すればその姿が全く,完全と言っていいほどに映り込んでいないことに気づけるかもしれない.

ただ,確認せずとも

「あ,はい」

本人が何の気なしにそう答えた.

谷蜂 檻葉 > 「まぁ学園預かり、ですからねぇ。」

そこそこ話題になってましたよ、と。 当の自分も話題にした人間だったが。

今の世に異邦人というのはそこそこ居るが、"地球産"の生まれながらにしての異能者というのは表に見ないのでミーハーな、『旧世界的発想』の人間の中では話題になっていた。


「はわぁー……。」

―――何の気なしに頷くエトランジェがあまりにも無害そうで、「ああ、これが吸血鬼なのだ」と。それ以上の反応を見いだせずに硬直した。



「…………。」

しばし、見つめ合う。

エトランジェ > 「……!」

あわてて目をそらす
魅了(チャーム)の効果がわずかだが発現する

はからずも吸血鬼である証明となってしまうか

【魅了Lv→ ちょっと意思を強く持つだけで抵抗できる】
[1d50→48=48]
谷蜂 檻葉 > 「――――」

数瞬の視線の交錯の中で、意識外で『魅了』を受けた檻葉は………


【吸血鬼への警戒心  +10】
[1d50+10→46+(+10)=56]
谷蜂 檻葉 > 「っ!!」

何かに引きこまれた様な感覚を受けるが、エトランジェが視線を切った瞬間にそれが解ける。
彼女が魔性のものだと理解していなければそのまま術に捉えられていたかもしれない……。


「い、今何かしました?」

視線を相手から切ったからこの「何か」が事故だと理解はしたが、不思議な感覚――意識そのものを掴まれるような感覚にびっくりして尋ねる。

エトランジェ > おそるおそる視線を向けつつ

「すいません.そういう体質なんです.魅了と言いますか……
 ……目はしっかり見つめないでくださいね.軽く視線を外すだけで大丈夫なので」

少し慌てたように身振り手振りする.
慌てふためく姿は先ほどまでのイメージとは少し離れているかもしれない

谷蜂 檻葉 > 「それは、また―――」 難儀な体質ですねぇ。なんて軽口を言おうとして、言葉に詰まる。


―――そういう自分は、自らの"意思"で同じ事をしていたと言うのに――――


「……ハ、あははっ。大丈夫です気にしてないですから。」

一瞬、どこか深刻そうな表情を見せたがすぐにそれを払って笑みを返す。
……今はこれでいい。嘘でも、笑みを見せておこう。

「んー、そういえばエトラージェさんこの辺にはよく来るんですか?」

少しだけ強引に、話題を変える。

エトランジェ > 「?……そうですか.それならよかったです」

何か気落ちしている雰囲気を感じ取るが詳細はわからない.

「今日はたまたまですよ.海に来る機会なんて全然なくて……
 私,カナヅチなんです」

てへっと,場を和ませようとしたのか茶化してみせる.

谷蜂 檻葉 > 「あら、そうなんです……。……なるほど……?」

比較的嫌いな場所で、散歩コースにはちょうどいいのではないだろうかと思っていたがなんとなく理解する。

というか吸血鬼は流水は渡れない、と聞いたことがあるけれどソレなんだろうか。 海もカウントするのか。 というか、諸説の一つを弱点としているのだろうか。

色々な思惑を旨にエトランジェを改めて(視線をガッチリ合わせないように)眺める。


「となるとここで会えたのは結構ラッキー、ですね私。珍しい人に会えました。ふふ」

エトランジェ > 「あら?私は幸運の黒猫さんかしら」

そう言ってクスクスと笑う.

「たまには来てみるのも良い物じゃないかと思って」

視線を切って暗い海を眺める.
故郷でも思っているのか.その視線は遠くを見ている

谷蜂 檻葉 > 「うーん、個人的には厄祓いのほうが嬉しいかも……」

論点は其処ではないのだけれど。 苦笑して肩を竦めた。


「そう………。」

視線を向けた先の海は青く青く、
何処までも何もかもを呑み込みそうな深い蒼に染まっていた。



「―――へぷしっ……うー…… あ、そろそろ私は帰りますけどエトラージェさんはもう少しお散歩ですか?」


釣られるようにして遠い異国に思いを馳せていたが、
今度は正しく風がふき小さな砂煙に鼻先をくすぐられてくしゃみをする。