2015/10/10 のログ
千代田 > 「ええ。二人で……いいえ、三人で行けば、きっと」

千代田と石蒜、そしてサヤ。厳密には三人である。
出会いの場所に向かえば何かがわかると信じて、行動するほかない。
絵を描き始めた石蒜の様子をしばし見守った後。

「でしたら尚の事、千代田がしっかりしなくてはいけませんわね」

石蒜に対しては、普段からともすれば聖母のような印象も受ける態度をとっている畝傍。
それ故に、叱らねばならないときも優しげな口調になり、厳しさがやや薄くなっている。
ならば千代田は、畝傍がいまひとつ発揮できない厳しさをはっきりと示す立場となるべきであろうか。
そう考えていた時、風呂に入らない石蒜の姿が目に入り。

「駄目ですわよ、石蒜さん。淑女たる者、身だしなみはしっかりしなくてはいけませんわ。何なら千代田も一緒に入ってさしあげてよくってよ?」

千代田はやや目を細めつつ、石蒜へそう告げる。

石蒜 > 「うん、きっと何かあるよ。久しぶりに行ってみたいし。駄目だったら神様にお願いしてこようよ。」恐らく収穫があるだろうと楽天的な考えから、口調も明るく、軽い。

そして、意志を固めた千代田の声に、振り向く。
「うー……。」炎を出しながら細目で見られると少し怖い。それに断ったら本当に引っ張りこまれそうだ。
「もー、わかったよ、入るよ、一人でできるし!」面倒くさそうに立ち上がり、サヤが畳んでおいた寝間着と下着、バスタオルを抱えて、洗面所へと向かった。

『おー、これは頼りになりますね。ありがとうございます。』刀から、感心したサヤの声。

千代田 > 「礼には及びませんわ」

洗面所へ向かう石蒜の姿を見送った後、刀から聞こえてきた言葉に対して、微笑みながらそう告げる。
この程度のことであれば感謝されるほどでもないと考えてはいたが、
実際に感謝されればどこか嬉しく感じられるものだ。
椅子を立ち、両手を頭の上に乗せてベッドに横たわると、足を組んで天井を見つめてみる。

「さて……千代田はこれから、どうしましょうか」

今の千代田には、これから眠るまでの間に何をしようかという明確な考えがなかった。
あるいは、このままぼうっとしているのも良いかもしれない。

石蒜 > 『いえいえ、いつも苦労してるんですよ。』少し疲れた声。
風呂場から、蓋をあける音とと、石蒜が飛び込んだドボンという音が聞こえて来る

『石蒜、カラスの行水でほとんど体洗わないで出てくるでしょうから、それをもう一度洗うとかいかがですか。躾というのは上下関係を最初に教えるのが重要らしいですよ。』刀に表情はないが、きっと今のサヤは人の悪い笑みを浮かべていることだろう。

サヤの言葉通り、数分も経っているというのに、風呂の蓋を閉めて風呂場のドアを開ける音が聞こえてきた。
『ほら。』

千代田 > サヤの言葉と風呂の戸を開ける音を受け、再び起き上がった千代田は、
ごく短い入浴の後に風呂を出てきた石蒜の姿を見据え。

「あら、もう上がってしまいましたの?髪も身体も、ちゃんと洗いまして?シャワーの音は聞こえて来ませんでしたけれど」

念のため、しっかり髪や体を洗ったのか石蒜に問うてみる。
この後どう対応するかは、石蒜の様子や返答次第で決めるつもりだ。

石蒜 > バスタオルで髪をふきながら、寝間着と下着を持って全裸で出てきた石蒜は、突然の質問にうろたえる。
「あ、えと、あ、洗った、あの、急いで洗って…シャワー、使わなかっただけ。」
もちろん嘘である、石蒜からシャンプーや石鹸の匂いはしないことだろう。

千代田 > 「そう……ですの」

一応そのように返答するが、言葉だけではその真偽はつかめない。
石蒜の裸体にも動じずにゆっくりと石蒜との距離を詰めた後、鼻をひくつかせてみる千代田であったが、
その身体からは、普段使っているシャンプーや石鹸の香りがせず。

「……嘘、ですわね。匂いがしませんわ」

石蒜の嘘に気付いた千代田の目は、再び鋭くなった。

石蒜 > 「あわわわわ……。」距離を詰められ、蛇に睨まれた蛙のように硬直する。

嘘、と断じられるといたずらが見つかった犬のように、身を縮こませた。
「あ、洗うの面倒だったから、それで…明日、外出る予定ないし……あ、明日の朝入るから、きっと」しどろもどろになりながら言い訳と弁解。

千代田 > 「そんなことを言って、本当は明日になっても入らないつもりなのではなくて?」

石蒜が身を縮こめれば、目つきこそ若干和らげたものの、
声の調子は変えることなく、千代田は石蒜に問いかけを続ける。

「……どうしても自分で洗いたくないのでしたら、千代田が洗いますから。ね?」

ヘッドギアの操作に慣れていない千代田は、ボディスーツの背面に備わったファスナーを自らの手でゆっくりと降ろしてゆく。
そうして間近で見せつけるようにスーツを脱いでゆきながら、どこか艶めかしさもある声で、囁くように石蒜へと問うてみた。

石蒜 > 「それは……。」答えに窮して目をそらす。実際そのつもりだったからだ。あるいはサヤが入ってくれることを期待していた。

「うぅ……。」艶を秘めた囁きと、姿を現す裸体、それも畝傍の体に、後ずさりしようとして、閉じたドアに阻まれる。

「あう……。」逃げ場はないことに観念したか、がくがくと頷く。ばっちり上下関係が植え付けられたようだ。これからは石蒜が千代田に逆らうことはないだろう。

千代田 > 「……うふふ」

今や豊満なバストも露わな裸体となった千代田は、
やや嗜虐的にも見える微笑みを浮かべつつ、自らの左手を差し出す。
あわよくば石蒜の手を取り、そのまま風呂の中へ連れ込まんとする構えだ。

「さ、一緒に入りましょ?」

その左目から溢れる炎のように冷たい微笑みを保ちながら、改めて問う。

石蒜 > 「うん……。」見慣れた体だが、別人のようだ、畝傍なら抱きしめていただろうが、千代田相手にはそうはいかない。
完全に主導権を握られた石蒜は、手を引かれながら、また風呂場へと連行されていく。

『効果覿面ですね、楽しそうだなぁ。』そんな二人の様子を見て、サヤはどこか他人事のように呟いた。石蒜の躾担当が出来て、これからはずっと自分の負担も軽くなることだろう。

ご案内:「女子寮内・サヤと畝傍の自室」から千代田さんが去りました。
ご案内:「女子寮内・サヤと畝傍の自室」から石蒜さんが去りました。
ご案内:「学園第九家庭科/調理室」にリビドーさんが現れました。
リビドー >  学園第九家庭科/調理室。

 申請の上、講義・部活・課外活動・イベント・その他の活動などで使用される一室である。
 いかにもと言った作業台はもちろん、流しやコンロ・調理器具なども完備されており、オーブンなども備え付けられている一室。
 当然、冷蔵庫冷凍庫も存在する。

 ……ある程度片付けながら作業がなされているものの、調理の痕跡などは大分残っている。
 大方の調理工程を終え、後は大物が焼き上がるのを待っている。

「ふう……後は来るのを待つだけか、な。」

 後は待ち人を待つばかり。
 ほっぺに生クリームが付いている事に気付く様子もなく、椅子に座り身体を休める。

ご案内:「学園第九家庭科/調理室」に四十万 静歌さんが現れました。
四十万 静歌 > そうして、休めているとほどなく、
扉をノックして開く音が聞こえるだろう。

「すみません、お邪魔します」

頭を下げて調理室へと入室してくるのは待ち人である。

「時間通りだとは思うのですが、
 お待たせしたでしょうか?」

なんて、ててて、と近づいて可愛らしく小首をかしげ――

徐にほっぺたを指でぬぐって、
拭えたならば拭った指についた生クリームをなめようとするだろうか。

リビドー > 「む、時間通りだよ。
 粗方は作り終えて、後は――」

 ほっぺたをなぞる指の感触。
 びくんと目を丸くして、驚いたような表情で生クリームを舐めとる静歌を眺めた。

 ……唐突な仕草に言葉が出ないのか、その表情でちょっとだけ固まってしまったり。

四十万 静歌 > 「ならよかった。
 それにしても、
 ――甘い、とってもいいクリームですね。」

なんて、少し艶やかに微笑んで、
固まる様子に、更に首をかしげ――

「どうかしました?」

何か問題でもありましたか?とでもいうかのように、
そっとハンカチを差し出すだろう

リビドー >  
「流石に安物を使う訳にも行くまい。」

 艶やかに微笑まれれば、平静を取り戻して苦笑を見せる。
 確かに、四十万静歌の顔を見て。

「……いや、何でもないよ。
 さしあたり和菓子と洋菓子を幾つか作ってみたが、手引書があれど中々に大変なものだ。
 調理の仕方を忘れている、と言うのもあるかもしれないかな。」

 冷蔵庫には小物の菓子―プリンやらクッキーやらあんみつやら、食べやすそうな小さな甘味とお茶が用意されています。
 それらを幾つか取り出して、予め食事用として椅子と共に用意したテーブルの上に並べます。

四十万 静歌 > 「態々、ありがとうございます。」

安物を使う訳にも行くまいという気遣いに、
頭を下げて、にっこり微笑み――

「それにしても、一杯つくりましたね。
 なんていうかどれから食べようか迷ってしまいます、
 久しぶりみたいなのに、こんなに色々作れるなんて、
 リビドー先生はすごいですね。」

なんて、椅子に座って上目遣いにじっとみて――

「――食べてしまっていいんですか?」

と人さし指の先を唇にあてて小首をかしげた

リビドー > 「構わないよ。と……
 ああ、なら生菓子から食べてしまうと良い。
 言葉通りに手の込んだものを色々と作ってしまって、作りすぎてしまったのは否めない。
 ……ま、凄くはないよ。マニュアル通りにやってみただけだ。よほど適正が無い場合を除けば誰でも出来る。」


 笑みに笑みで返し、上目遣いに可愛らしく小首を傾げる仕草を視界に認める。
 それこそ可愛い仕草ではあるが、狙ってやっている――風には思えない。

(故に、もあるんだが。)

 内心で苦笑じみた言葉を零しつつ、静歌へはそう促すか。

「一応、ケーキも焼いている。
 食べきれなければそっちも持ち帰ると良い。好い気分転換になったとも。」

四十万 静歌 > 「それじゃあ、折角ですからあんみつからいただきますね」

と、いって、うきうきした様子で手元にお茶とあんみつを。

「なんというか、至れり尽くせりで申し訳ないというか、
 本当にしてもらって感謝してもしきれない感じですね。」

そういいながら、一口食べて

「~~♪冷やしたての冷たさと、
 あんみつ独特の触感と、この蜜とあんの甘さが、
 最高ですっ……!」

思わず頬に手をあてて、
表情がゆるみ――

「リビドー先生もどうぞ。」

と、一口分差し出すだろう

リビドー > 「だから、したくてした事だよ。」

 ゆったり、お茶を用意して啜る。
 美味しそうに食べている彼女を見る限り、調理は概ね成功と言った所だろうか。

「ん、ああ……それじゃあ、お言葉に甘えて。」

 差し出されたあんみつを口に運ぶ。
 一応の味見はしたものの、改めて食べる完成品は更に一段美味しいものであった。

「……ふむ、良かった。
 冷やした上でちゃんと美味しく出来ている。」

四十万 静歌 > 「それでも、お礼の気持ち大切ですよ?」

だから、本当にありがとうございます、
なんて、頭を下げて、

「さすがはリビドー先生って感じですよね。
 こんなに上手に美味しくお菓子を作れるんですもの。
 私もこれくらい上手に作れたらなーと思うんですけど……」

及ばないなぁ、なんて、しみじみ思ったりしつつ――

「そういえば、リビドー先生のお勧めとかあります?」

なんて、スプーンをくわえたまま首をかしげた

リビドー > 「質の良いマニュアル通りに作れば、
 最高は作れずともある程度の質のものは保証される。
 美味しく出来たなら、参考にしたマニュアルが良かったかもしれないね。」

 手本が好かったのだから、当然の事だ。
 さっくりとそう言い切り、再度お茶に口を付けて啜る。

「ん……どれもお勧めだよ。
 でもそうだな、プリンなんかはよく冷えているから食べごろかもしれない。
 カラメルソースも作ってあるはずだから、それと併せて食べてみておくれ。」

四十万 静歌 > 「マニュアル……ですか。」

うーん、と、考えて。

「そういえば、色々試していた時期もありますけど、
 自分でこの味かなっていう形に修正していったのが、
 逆に悪かったのかもしれませんね。」

なんて、ちょっとがっくりしつつ。
プリンを手に取り、カラメルソースをかけて
一口食べると、ぱぁぁぁと満面の笑顔になるだろう。

「プリン!って感じがたまりません……!
 なんていうか、このままお店が出来そうですよね」

リビドー > 「かもしれないね。
 何でもなさそうに見える要素が実は味の肝要だったりする事もある。手探りは中々難しいものだ。」

 うん、頷く。
 ……食べる度に好いリアクションをしてくれるのが心地好いのか、何時もよりも表情は柔らかい。

「流石に店物は難しいよ。
 専門の者には到底変わらん。精々食堂のおまけとして、既成品と取って変わる事が出来るかもしれない程度だよ。」

四十万 静歌 > 「ですね。問題は、レシピ通りつくっても、
 私が作ると何か違うんですよね。」

その違うが何かが分からないんですけど、
なんて困惑する。

実の所その正体は単純な事である。

――自分の味ではない、という違和感に他ならない。

「それにしても、リビドー先生でも、
 お店は出来ないんですね……
 うーん……やっぱりプロの人はすごいんですねぇ。」

なんて、神妙に頷いて――

「やっぱり、リビドー先生にも専門の人は凄い、
 みたいに思わせてくれた味ってあるんですか?」

リビドー > 「何か、か。
 それは食べても見てもいないボクには少々分からないが……」

 単純とはいえ、正体に辿り着くには少々情報が足りない。
 故に、思案気味にうなりながら言葉を漏らす、だろう。

「そりゃまぁ、専門で作るとすればプロだぜ。
 素人なんかよりも何倍もその道に向き合い、歴史と技術を学び、それでいて尚至高を求めて作って来た訳だ。
 凄く無い訳が無いだろう。経験値の壁は厚いものだ。ボクが出来るとすれば、精々BARや居酒屋の店主が良い所だよ。
 それでも、味に関しては到底敵わないさ。……ふむ、そりゃあるとも。
 どれか一つ、などとは言わん程には多くある。……寧ろ逆に聞きたいね。
 専門家のものを食べて凄いと思わなかった事がどれほどあるかい。」

四十万 静歌 > 「まぁ、今度手料理ご馳走しますね。
 たいしたものを作る予定はありませんけど。」

なんて、クスッと笑って答えるだろう。

「それにしても、そう、ですよね。
 至高を求める以上、美味しくなって当然、ですよね。」

何かを確かめるように頷きながら、
逆に聞かれると、
じっと、真っ直ぐ目を見てちょっと困ったように、
でも真剣にいうだろう。

「そう、ですね。凄いと思わなかった事……
 の方が多いかもしれませんね。
 あ、いえ、本当に凄いなって思う事は、
 両手で数えきれないほどありましたけど――」

それ以上に、美味しい、けどそこまで凄くはないだとか、
“不味い”とまで思った事も、何度かあったりする。

リビドー > 「ははっ。それは実に実に楽しみだ。
 これは死んでも死に切れん。下手な不死の呪いよりも強いぜ。」

 冗句めかして、弾んだ調子で言葉を投げ掛ける。
 そうするのも、期待を誤魔化す為だろう。

 ……続く言葉には、涼しげなを見せる。
 特に強く感情を見せるような素振りは無い。

「ま、そうだろうな。
 ああは言ってみせたが、実際は全てが全て美味しく出来る訳でもあるまい。」

 掌を翻すように、前言を撤回するような言葉をあっさりと言ってのける。

「その要因として気質やら適正やら環境など、あるいはそもそも専門ではない在るが、まぁ。そうだな。
 嗜好――自分が美味しいと思うこの味が、自分の味が他者には美味しくなく感じる事もあるのかもしれないな。
 "専門家"ならば、レシピ通りを出来ない訳がない。向き合っていない筈もない。
 早い話が、自分のもっとも好むそれが、受け入れられない味ならどうしようもないって事も有り得る。
 ……これを味覚センスの話としてみた場合、異邦人と現地の人々のセンスの話に出来るが、そうだな。」

 言い切れば視線を逸らす。
 視線をそらしてオーブンに眼をやれば、焼き上がりを察して。

「と、ケーキが出来たみたいだ。
 話は一度置いておいて、出来たてを頂くとしないかい。」

四十万 静歌 > 「生きがいほどに強い生への執着はない、ですか?」

なんていいながら、
あ、これも美味しいなんて、食べ進め――

「あ、いただきましょうか。ケーキ。
 まぁ、確かに色々な要因があって、
 好みというのは一番の要因な事が多いですね。
 でも――」

うん、多分、私が不味いと感じたものはきっと――

「――過信しておざなりになった味だけは、
 あまり、食べたくない、
 ええ。
 それは思いますね。
 あ、生意気な事いってすみません。」

なんて、話をきりあげ、
焼き上がったケーキに興味深々にそわそわしながら待って、
到着したケーキをゆったり食べながら、談笑するだろうか。

ご案内:「学園第九家庭科/調理室」からリビドーさんが去りました。
ご案内:「学園第九家庭科/調理室」から四十万 静歌さんが去りました。
ご案内:「風紀委員会 収監施設」に洲崎さんが現れました。
洲崎 > 何をするでもなく男は硬いベッドに寝転がる
両手の指を絡め手遊びを一日中飽きる様子もなく続ける
手を見つめる様に見えるその瞳にはかつての生気はなく
まるで老人のような生気のない男は今日も手遊びを続ける

洲崎 > 動物を象ったり何かの印を結んだり
当初は見張りの者達も警戒したが今ではいつもと変わらない光景と見向きもしない
もとより魔術を行使できないようになっているのだからそもそも警戒する必要もないのだから

「..........」

上げっぱなしで疲れたのかパタリと腕を下ろす
まるで眠っているように静かに天井を見つめながら口を小さく開き...閉じる

洲崎 > 収容してすぐの頃はブツブツと独り言が多く隣の牢獄の者達からも苦情が絶えなかった
いくら注意しようと変わらず懲罰房に閉じ込めても変わらなかったのが一週間前
ある日パタリと静かになってからはずっとこれ
狂っておかしくなった...最終的にはそう結論付けられた

洲崎 > かつて仮面の男としての彼はそこには居らず、かと言って教員洲崎の影もない
ただそこに有るだけの抜け殻....それがただ牢獄の中に転がっている

ご案内:「風紀委員会 収監施設」から洲崎さんが去りました。
ご案内:「異邦人街の外れ・深雪の家」に深雪さんが現れました。
ご案内:「異邦人街の外れ・深雪の家」に東雲七生さんが現れました。
東雲七生 > 「──はあ。」

着信のあった端末を一瞥してからポケットへと仕舞い、七生は溜息を吐いた。
これでアドレス帳の半分から“現在使用されていないアドレス”を通知されたことになる。
最初のうちこそ凹んだりしたものだが、その回数も10を超えた辺りで何だか馬鹿馬鹿しさが勝ってきてしまっていた。
ソファに体を沈める様に座り込んで、特に何があるわけでも無い天井を眺める。

「……またダメかぁ。
 この分じゃこのアドレス帳全滅なんじゃないのかな。」

落胆すら薄れて無味乾燥な呟きが口から零れる。

深雪 > そんな貴方を、少女は何も言わず、見守っていた。
貴方の過去を知っているわけでもなく、貴方の“友達”の顔を知っているわけでもない。
「……………。」
けれど少なくとも、1つ、また1つと連絡先を試していくうちに、貴方の表情が曇っていくのは、見て取れた。
すっと立ち上がり、ため息を吐けばキッチンへ向かう。
いつも通りにフルーツジュースを2人分用意して、戻って来た。

「…で、何か収穫はあったのかしら?」

答えは分かっているが、そう聞きつつグラスを貴方の前に置く。

東雲七生 > 「なーんにも。」

軽い呻き声を上げながら、苦々しく答える。
分かってるくせに、と不満を溢しそうになるもほとんど八つ当たりに近いのは自覚していたのでそれっきり口を閉ざした。

「ジュース、ありがと。」

あまり渋面のままで居るのも嫌だろうから、と少し無理に笑みを浮かべたりしてみつつ。
ソファの上で崩していた体を少しだけ建て直した。

深雪 > 「そのスマホ、壊れてるんじゃなくて?」
苦笑を浮かべつつ、隣に腰を下ろす。
最近めっきり気温も下がってきたが、少女の服装は夏服のままだ。
…貴方はこの少女が厚着をしているところを、見たことが無いかもしれない。

「…私の番号には、ちゃんと連絡できるの?」

貴方を心配したのか、それとも純粋に疑問に思ったのか。

東雲七生 > 「まさかあ。」

そんなことは無い、と思いたい。
だが、本土との連絡が何らかの力によって遮断されている可能性も無きにしも非ず、とも言える。
そろそろ部屋着でも長袖にしようかと思う時期だと言うのに薄着の深雪を見て。

「ちゃんと出来るよ。
 とはいえ、最近深雪にはメールしてなかったっけ。」

とはいえ何をメールしろと言うのか。
電話も電話で、直接話す方が早いだろうに。