2015/06/05 のログ
ご案内:「落第街大通り」に立花 響さんが現れました。
■立花 響 > 「~♪」
草笛の音を唄いながら、気が向くままに夜の散歩をしているといつの間にか落第街大通りに迷い込む黒髪の少女が一人。
目についた露店の内容を見るだけ見て次の露店、と露店主からすれば良い迷惑だろう
■立花 響 > 「…はて、ここはどこなのやら」
今いる場所がどこか分からない事に気付き周囲を見渡す。
暗い雰囲気…まぁ夜だからそんなものだろう
怪しい施設…そもそもこの島の性質自体が怪しいから割りとどうでもいい
「適当に歩いていれば、知ってるところに出ますよね…~♪」
楽観視している少女はそのまま見知らぬ土地の奥へ、奥へ歩いて行く
■立花 響 > 暫く歩いてそろそろ帰ろう、と後ろを振り返る。
真っ暗だ。
じゃあ左側はどうだろう…真っ暗だ
それじゃあ右側は…そもそも施設の壁だ
真っ直ぐ進めば…まだどこかにつくかもしれない。
真っ暗な道を帰るよりはそのまま真っ直ぐ進んで探検気分を味わった方がお得…だとは思わないけど、
運が良ければどこか人気のないスポットとか見つかったりするかな、と軽い気持ちで歩を進める
■立花 響 > 「……ここ、どこ…」
ゴールが見えない道を延々と歩くこと程疲れる物はない。
響は休憩する為に通りにある施設の壁にもたれかかり、思わずため息をつく。
本日3回目。自分の中ではそう記憶してある
「もう良い時間だよね。ご飯とか軽くだけど、食べてきて良かったー…」
壁にもたれかかりながら夜空を見上げる。
そういえば空を見上げるなんて中々しなかったなぁ、と一人で心の中で呟いている
ご案内:「落第街大通り」に空閑 栞さんが現れました。
ご案内:「落第街大通り」にロウゲートさんが現れました。
■立花 響 > 夜空、梟とキリギリス。といえばどういう歌だろう。
ふとそういう考えが過る。思いつくのは子供の…まだ、普通の子供だった頃に聞いた歌。
目を閉じ、記憶を探るように歌い始める
「キーラきーらーヒーカー……」
ダメだこれは。このまま歌詞を歌ってはいけない。人気がないとはいえ、このまま歌うのは私が発狂してしまう
■空閑 栞 > 暇そうに空を歩く影が1つ。
ビルの5階程度の高さを歩いているそれは、なんとなく下を見やると見知った人物を見つける。
「あ、響さん……」
そう呟くと、響の下へ歩いて降りてゆく。
歌声は聞こえなかったようだ。
■ロウゲート > (時を全く同じくして、少女に近付く男が一人、ハットを被り、地肌は包帯に包まれている)
「お嬢さん、ヒマそうだね……ルーレットがあるんだ、掛け金は単位でいい、どうだい?」
「倫理規定外だけど、酒も入ってるよ、ウチは本物志向だからね」
(何かのキャッチのように声をかける、平坦で抑揚のない声
喧騒のない通りとはいえ、地面の下もそうとは限らない
地面の下からはるばる客を探しにやってきた男が、親指で後ろの、どこへ続くともわからない階段を指差し
近付いてくる)
■立花 響 > ふと感じた人の気配に従ってその方向に向くと響の目には栞が映る
「あ、と栞さん。お、お元気ですか?」
やや顔を赤くしてどこかぎこちない口調で挨拶をする。
聞いてました?と聞くのは容易いが、人はどこで興味を持つか分からない。
触らぬ神に祟り無し。響は何も突かない事にした
■空閑 栞 > 「よっと……ええ、元気ですよ? 響さんは顔を赤くしてどうかなさったんです?」
地面に降り立つと、何故か顔が赤い栞を見て疑問符を浮かべる。
その後、ちらとローブとハットという風変わりな装いをした男を見るが、すぐ響に視線を戻した。
■立花 響 > 「ヒマではなくて、こう。ちょっとした迷子です…それにしてもこの辺りにルーレットなんて出来る場所あるんですね」
響の中でロウゲートを見ての第一印象は絵に描いた妖しい人。
暇ではないのは真実なのだが、ルーレットに対しては興味を抱いている
「あはは、残念ですけどお酒は成年になってからですのでお酒は遠慮しますよ」
まだ制服を手に入れてないとはいえ、お酒を勧めて来るのか…流石常世島!と一人で勝手に盛り上がっている
といっても流石に全く見知らない人についていくのは怖いので質問を1つ投げる
「失礼ですけども…お名前をお聞きしてもいいです?あ、私は立花響って言います」
そう言うと礼儀正しくロウゲートに対して礼をする
■立花 響 > 「あ、あぁ、いえ、別に何も気にしないでください。何も聞いてないならいいんです」
慌てて両手の平を横に振っている。
ただ、響は1つ失言をしてしまった。何も聞いていないならいいんです、と言ってしまったのだ
こうなれば無理やり話題を変えるしかない。と作戦を展開しようとする
「そういう栞さんはどうしてこちらへ?何か用事で?」
響は心の中でガッツポーズをしている。
これなら何も怪しまれない。無難の中の無難な話題転向作戦を栞に対して展開する
■ロウゲート > 「ええ、ええ、そうなんです…円でも大丈夫ですよ、ドルでもフランでも…」
ニコ…と目元だけで見せる商業的アルカイックスマイルを向け、決まった言葉のようにそう告げる
しかしやはり一人だと思って声をかけたのか、もう一人現れると、少しトーンが低くなり
「そうですか…ええ…体、壊しますしね…お嬢さんのようなカワイイ人にはお勧めするべきじゃないかもですね」
こちらを全く意に介さない様子の空閑をチラ、と覗き見て
「ええ、私はロウゲートと言います、留学生なんで、今アルバイトで生計を立ててまして
ちょっとノルマが厳しい所なんですよね…何人か連れてこないと、給料も保証されないものでして…」
参った参った、と言う様に肩を竦める
「失礼、お友達と話中ですね、マズいタイミングで声をかけたかもしれないです、すいません」
そう言うと、続きをどうぞ、と言う様に空閑を手で仰ぎ、道を譲るような体制
■空閑 栞 > 道を譲るような体勢を取ったロウゲートに軽く会釈する。
慌てた様子を見ると嗜虐心をくすぐられたのか、意地悪をしたい……という欲求がふつふつと湧いてくる。
「ええ、なんにも聞いてませんよ?」
実際に何も聞いていなかったのだが、訳知り顔でにやりと笑ってカマをかけた。
この慌てようならばすぐにボロを出すだろう、とタカをくくっているようだ。
「ああ、私はなんとなくの散歩ですよ? 公園と同じです。まぁ、ここなら騒がれないだろうって打算もあるんですけど」
そう言うと辺りを軽く見回し、いたずらっぽく微笑んだ。
■立花 響 > 「なるほどなるほど…円ならば私でも出来そう、ですね」
響は自分の懐を探って自分の財布があるか確認している。
探っていた腕の動きが急に止まり、財布があることだけを確認すると懐から腕が戻ってくる
「カワイイって言っても何も出ませんよ…あ、楽器の音ぐらいは出るかもしれませんね」
なんて冗談混じりにお世辞を流しつつロウゲートの事情を聞くと何か考えこんだ後栞に対して口を開く
「ね、栞さん。一緒にルーレットに行きません?この人困ってるみたいですし、ね?」
あまり今の状態で話すと栞に対してボロを出しそう、と判断し、ロウゲートの提案に乗っかって更に話題を逸そうと試みる
■空閑 栞 > 話題を逸らされると、もっと可愛い反応が見れそうだったのに……と内心舌打ちをする。
ルーレットの誘いを受け、響と同じく懐に手を伸ばす。
財布の存在を確認するとすぐに懐から手を出し、指を顎に触れさせる。
「んー、私は構いませんけど……今はそれほどお金は持ってませんよ?」
苦笑気味にそう応えた。
ルーレットの経験はゲームの中でしかないが、面白そうだと判断したのか、乗り気には見える。
■立花 響 > お金を持ってないと聞くと栞に近付き耳打ちをする
「大丈夫ですよ…お金なら私が持っていますので…」
そう言うと栞から離れてロウゲートの方を向いて意気揚々と口を開く
「という訳ですロウゲートさん!ルーレット!しましょう!」
特にルーレットのルールを知っている訳ではないが、こういう経験は進んでするべき、と判断してやる気になっているようだ
■空閑 栞 > 耳打ちされるとやや申し訳なさそうな顔をして、ありがとう、と小さく呟いた。
「そういうわけですから……私も同行していいですか?」
警戒しつつもロウゲートに微笑みかけた。
■ロウゲート > 「オヤ…お二人で?いや…意外だな、でもこんなカワイイお嬢さんお二人に来てもらえるなら…
僕も多少お給金が増えそうですね…ホントにありがたいです」
にこやかなアルカイックスマイルを続けながら、二人のやりとりを眺めて
日本の礼式に則ったような、ペコリとした瀟洒なお辞儀をしてみせる
「ハイ、あくまで部活動の範囲外とはいえ、学生のギグですから、大してお金はイラナイと思います
あ、では、こちらに、来ていただけますか?」
クイ…と後ろ手に親指を向けると、振り向き、そして先導するように
石造りの建物の、その階段の奥へと、下りていく
地下2階まで続くフロアには上で退廃的に流される音楽は届かない
狭い廊下では床に座り込んだグルーピー等が猥雑にたむろしているが
それらに目を合わさなければ比較的安全に目的地へ付けるだろう
■立花 響 > 「困ってる人は見過ごせませんからね。ちょっと遊ぶだけでロウゲートさんの懐が潤うなら…なんていうんでしょ。win-winの関係って奴ですよ」
良い事をしたつもりになっているのか、にこやかな顔な顔をしたままロウゲートについていく
周囲の様子はルーレットが気になっていて全く目に入っていないようだ
■空閑 栞 > 元より許容を超えたなら踏み倒す気だったのか、大してお金が要らないと聞いて安堵する。
そして石造りの建物に入っていくと、いつもとは違う空気を感じ取った。
落第街に来ることすら珍しい栞からすれば当然なのだが。
「あらあら、なんて危険そうで楽しそうな雰囲気。ルーレットが楽しみ」
地下ならいざという時は逃げにくいか?などと考えつつ、周囲を無視してロウゲートについて行く。
■ロウゲート > 階段を下りる度、遠ざかるネオンサインと、間接照明の薄暗い明かりがチラシを移す
『発禁雑誌、新聞、扱っています!』
『校則違反の嗜好品、取り揃えております!』
等と言った猥雑なうたい文句の書かれたポスターだ
それから何段か下り、突き当たりに位置する
掠れてよく見えない店名のフォントが書かれた両開きの戸を潜ると
そこは青紫色の壁で囲われた退廃的な部屋で
プロジェクターが壁一面に馬が一斉に走り出す様子を映し出していた
ちらほらと4~5人見かける客は富裕層のお忍びと言った所、程度の身なりだ。
「チェックしてください、二人で、ええ、円だそうです、それから…」
入ってすぐ、店の人間らしき男と2~3呟いてはコク、と頷いて、バーカウンター越しに銀のトレイを受け取ると
ここでようやく二人に振り向いた
「えっと…もうすぐルーレットの方は一巡しますんで、ジュースでも飲んで、少し待っててもらえませんか?」
ここまで二人が付いて来ているのなら、銀のトレイに乗った2つのカクテル瓶に注がれた
冷えた葡萄ジュースと見られる飲み物が差し出されるだろう
■立花 響 > 相変わらずルーレットを楽しみにしているのかポスターにも目もくれず、ロウゲートについていく。
両開きの戸を潜ると馬が走りだす様子を映しだされていて思わず、おぉ、と感声を上げる。
本土にはこういうのはあったのかもしれないが、響にとっては初めての賭博場。胸を高鳴らさずにいられなかった。
「一巡、とかあるんですね…逃げたりしないので大丈夫ですよ。ゆっくり待っています」
にこり、とロウゲートに向かって微笑み、差し出された葡萄ジュースを受け取ってゆっくり味わうように飲んでいく
■空閑 栞 > 薄暗い中、ちらとポスターを見る。
――――――これが落第街か。ぽつりとそんな感想を漏らす。
警戒しつつも両開きの戸を潜り、一度辺りを見回した。
お忍びの富裕層に見える身なりの数人を目にし、実はお金がそれなりに必要だったのではないか? と安堵した自分を恨めしく思った。
「ええ、ありがとうございます。ここでゆっくりと待っていますね」
そう言って差し出された飲み物を受け取るが、一口も口にしない。
響の方に視線を向けた後、警戒しつつも作った笑顔でロウゲートを、そしてバーカウンターの辺りを見ていた。
■立花 響 > 「ふぅ…」
ゆっくり馬が走っている映像を見て思わずため息。本日4回目…だろうか。でも嫌なため息ではない
「…あれ?栞さん飲まないんですか?結構美味しいですけども」
栞の方をふと見ると全く減っていない葡萄ジュースを見て、思わず質問を投げかける。
質問を投げかけた後は再び一口、と葡萄ジュースを飲んでいく
■空閑 栞 > 「喉が乾いてなくて……響さんは喉が乾いてたりしたんですか? すぐに口をつけてましたけど」
なんでこの子は警戒の1つもしないんだろう……と少しの呆れを覚えつつ、苦笑気味にそう返した。
■立花 響 > 「貰えるものは貰う。出された物は食べる、みたいな感じでしょうか。特に喉が乾いてたりはしてないですよ…多分」
葡萄ジュースの味が気に入ったのか笑みを浮かべている
「…そういえば、栞さん。1つ聞きそびれてた事があるんですけど、その。ここってどの辺りなんです?」
ふと、先程道端で出会った時に聞こうと思っていた事を今聞こうとする。
その質問を投げかける響は特に怯えてたりはせず、特に今いる場所に危機感を感じていないようだ
■ロウゲート > プロジェクターが延々と馬の走る様子を写す
今は栗毛色の牝馬が先頭を切ってゴールした所だ
男はそんな二人の様子を眺め見ていた
包帯で顔は隠れ、表情はうかがい知る事はできないが
目元は笑っている
店内に響く退廃的なジャズの音が、有線の接触が悪いのか、時折、ザザ……と途切れては戻る
そしてふと、一瞬の停電
「では……そろそろだと思います……ええ、ルーレット、です…」
パッ……と明かりが点くと、もはや室内には誰もいない、客は消えている、店の人間も、居ない
漂うのは微かな葡萄の香り
「はい、では…簡単なルーレットです、お客様に賭けてもらいます、貴方達が…ここから出られるか…
オッズは記された通り、です、赤か白か…事前説明の通りでお願いします」
ニコ、とどこかに説明するような口調を述べると、ふと取り出したトランプを胸元でパラパラとショットガンシャッフルを始めた
ここまでで葡萄のジュースを飲んだものは、強烈な酩酊感に襲われるだろう
そして、無事だった者も、葡萄の香りを吸い続ければ、徐々に同じ様な感覚に襲われるかもしれない
■空閑 栞 > 「……貧乏人根性?」
とてつもなく失礼な言葉が口からついて出た。
「ああ、この辺りは先生も寄り付かないような危険な地区だそうですよ? 私も滅多に来ないので詳しくは知りませんけど」
そう言ってロウゲートの方を向きなおす。
■立花 響 > 「え、と…?さっきいた人は?それに、馬が走っていた映像とか…えーと?」
葡萄ジュースを飲んだ事によりふらり、と前にバランスを崩しそうになるがどうにか踏みとどまる
「ルーレット…赤か白?でも、確かルーレットって円盤みたいなものがあったようなー…」
ボーっと頬が紅潮している顔で辺りにルーレットらしき円盤を探している。
「ねー、栞さん?ルーレットってこういうものなのです?」
響は先程よりも柔らかい口調で栞に問いかける
■空閑 栞 > 「……は?」
賭け金の内容を聞き、唖然とした表情になる。
そしてすぐに周囲を確認するが、辺りにはロウゲートと響、そして自分しか居ない。
葡萄の香りを嗅いでいると、微かな酩酊感を感じて危機感を覚える。
すぐに臭気を含む空気を圧縮、そして固定し、安全に吸える空気を確保する。
「……まさかこんなことになるなんてね、これはあなたの能力? これはお酒だと思うんだけど、乙女に飲ませてお持ち帰りなんて趣味悪いよ?」
持っているカクテル瓶を指さしつつ、敵意のこもった視線をロウゲートに向けた。
■空閑 栞 > 「響さん、大丈夫ですか? どうやら私たちは少し危険な状況みたいで……」
響に近寄り、肩を支える。
顔が赤くなっているのを見て、やはり先ほどの飲み物はお酒だったのだろう。と納得する。
そして、無警戒に飲んだ響に対して再度呆れの感情を抱いた。
■立花 響 > 「大丈夫、大丈夫…危険?遊ぶのに危険なんて冗談でしょー」
周囲の状況を全く把握出来ておらず、栞の状況報告も真に受けていないようだ
肩で支えられると焦点の合ってない響の目が栞の声がする方向を見ている。
「…あれ?栞さんが二人に見える…栞さんってもしかして、忍者さんだったんです?」
不思議そうに栞の方を見て思いついた事をそのまま発言している
■ロウゲート > 「異能持ちのフッカーか…これだから二人組は嫌なんだよな…」
やれやれ………というようなポーズで両手をヒラヒラと横に振る
「でも、これも大事なギグの余興だし、やらなきゃ日当出ないからさ…」
死んだ魚のような、鉛色に濁った瞳が見開かれる
トランプのようにシャッフルしていたルーンのカードを空中に貼り付けるように展開し
無事だった空閑に相対するように位置取っては
「この街は趣味の悪さが講じてここまで大きくなったんでね……
次からは、そういうものだと我慢してゲートを潜る事だ…キティちゃん」
パチン…と指を弾くと、宙に固定されたルーンカードから、葡萄の果実のようなものが生まれようとしている
空閑に向ける視線は、間違いなく敵意と取ってもいいだろう
■ロウゲート > 「響さん、今から目当てのショウが始まりますので、僕の方に来てもらえますか?」
猫をなでるような声、空閑と睨み合いながらも、青紫色の空間によく通る声音で囁いた
ニコ、と笑いかける、酔って正常な判断が付きにくくなっていると見て
未だにフラフラとしている響に、こちらへ来るように手招きをした
■立花 響 > 「ロウゲートさーん?ルーレット、ルーレットじゃないですよねー、これ…トランプみたいなものです?」
視界がはっきりしてないからか、ロウゲートの声が聞こえるとロウゲートの方を見ていると
何かのカードのようなものが天井に貼り付いている物を見てそう言葉を漏らす
「まー、ほどほどに。程々に遊びましょー」
二人の間の息さえも詰まるような、そんな空気も気にせずに響は柔らかい喋り方をやめようとはしない
■空閑 栞 > 「ああもう……完全に酔ってる……」
呆れ顔でため息をついた。
ロウゲートに視線を移す。
「なんて悪趣味で面倒な。もっと可愛くて面白そうな子でも選んだらどう? ま、そんな子が落第街に来るかは知らないけど」
あんまり派手に使いたくないんだけどな――――
胸中でそんなことを呟きつつ、ルーンカードに手を向ける。
「何するかは知らないけど、無事に帰るためだから何しても許してよ?」
そう言うと、カードに向けた手を握る。
直後、カードの辺りの空気が一瞬で圧縮される。
何事もなければカードは圧に負け、丸まった紙屑となるだろう。
■立花 響 > 「ショウですかー…面白そうですねー。またお馬さん走ったりするんです?」
ふらふら、とロウゲートの声に誘われるように辿るように、ロウゲートの方に歩き始める。
流石に酔っ払っているからかその歩はゆっくり、1歩進むのに5秒程のペースでロウゲートの方に歩んでいく
■空閑 栞 > ――――――あ、やばっ
能力を使うのに集中しているからか、響が歩き出したことに対する反応が一瞬遅れる。
「響さんこっち! 止まって!」
怒気を孕んだ声で歩みを停止するように呼びかけた。
■ロウゲート > 「謙遜してはいけませんね、あなたも結構上玉ですよ?」
ニコリ…と、この場においては不穏当とも取れる笑顔を空閑に差し向ける
本当に困ったものだ、サービス残業をする気はないし、給料以上の仕事をする程奉仕根性もない
「おっと……?」
ふと、ひょいと前にステップする、さっきまで自分が居た場所の
その周囲を取り巻いていたカード達がクシャクシャな紙屑となり
半ばまで実を点けていた漆黒の果実が中間でへし折れ、落ちる
「危ない女だ…俺も食らったらハンバーガーにされてしまうかもしれないな…」
ヒョイ、と掴み取った、4つほど実をつけた漆黒の葡萄、それを手に、地面を蹴った
「けど…こういう勝負ってのは、勝ったモン勝ちなんだよ…ハハ…」
タン…と倒れたテーブルを蹴り、響の元へ、走る
その際、摘み取った一粒の葡萄を、空閑の顔へと向けて投げた
これを交わさなければ、眼前で炸裂し、高濃度のアルコールの霧となるだろう
■ロウゲート > 「鬼ごっこですよ、走るのは空閑サンです、さあ、こっちへ来て、一緒に逃げましょう?」
地面を滑るように駆け、響の元へ向かいながら、手を伸ばす
妨害がなければ、あるいは響がここでこの手を跳ね除けなければ
その手首を掴み、抱き寄せようとするだろう
■立花 響 > 「………やっ!?」
栞の怒鳴り声は響の耳に嫌という程に響き渡る。
そんな間の抜けた声を発して栞の方を振り向いたと思えばその場で尻もちをつく。
立ち上がろうにも怒鳴り声だけで腰が抜けてしまったようだ
「ご、ごめんなさい…ごめんなさい、ごめんなさい…ごめんなさい…」
尻もちをついた後はただ俯いてうわ言のように同じ言葉を繰り返す。
ロウゲートが近寄った事にも気付いておらず、抱き寄せようと思えば響を抱き寄せれるだろう
■空閑 栞 > 「そんなまさか、私なんかを引っ掛けるのは悪趣味なあなたくらいだよ」
苛立ちを隠すことすらせず、吐き捨てるようにそう言った。
「―――――ッ!」
眼前に迫る漆黒の葡萄、そして響に駆け寄るロウゲート。
葡萄を無視すれは恐らくは酩酊、そしてロウゲートを無視すれば響を人質にされるだろう。
咄嗟に葡萄を含む周囲の空気を固定して葡萄を静止、そして響の前に存在する空気を固定して見えない壁を作り出した。
もしも相手が空気の壁をものともしない存在ならば時間稼ぎにすらならないのだが。
■ロウゲート > 「色々と緩い女だ……」
何の感慨も伴わない言葉をかけながら、響の手首を掴むと
勢いよく持ち上げ、そして懐まで抱き寄せようと…
できない、その手が何か硬いものに阻まれる感覚
「これは…なるほど…かなり大胆に能力を使ったみたいだな…ハハ…」
しゃがみこむ、コツコツと叩いて見ると、どうやらそれは空気の壁のようだ
攻撃力や無効化などの魔術を持たない自分には、なるほど、どうしようもない
ならば、どうするか
「で、どうします?ずっとこの壁を、作り続けますか?
響さんが…酸欠になるまで?」
空気というのは流動的なものだ、閉所でそれを固定するとなると
次第に酸素も薄くなり、圧が高まって高山病などを引き起こす
特に閉じ込められた響に至っては、呼吸ができるかも怪しい
「実は壁に空気穴を開けていた?それも良いですね…それで、貴方はどうです?
ノーリスクで打てます?これだけのモノが…フフ、そろそろ苦しくなってきたんじゃないですか?」
こちらの選択肢は、何もしない、だ、あくまで彼女らがここから逃げるのが勝利条件
ならば、空気の壁に肘でも置いて、その様子を見守ろう
彼女がこの能力を解いたならば、その瞬間、正面からの打ち合いになるかもしれないが…
悟られないように、ごく…と生唾を飲んだ、さて、どうなるか…
■空閑 栞 > 「舐められたら困るなぁ……酸欠になる前にローアングルさんだっけ?まあいいや、あなたを倒してここから出ていくに決まってるでしょ?」
その声は先程までと違い、少し掠れていた。
内心ではそろそろカタを付けないと、と焦りつつも、しっかりとした足取りでロウゲートの方に歩み寄る。
「それと1つ教えてあげる」
ゆっくりとロウゲートに向かって手を翳した。
「"私はまだまだ空気を圧縮できるよ"」
にやりと笑顔を浮かべて掠れた声でそう言うと、翳した手をゆっくりと、ほんの少しずつ……しかし確実に――――完全には閉じないが――――閉じていく。
周囲の空気に圧迫されるような感覚を感じるだろう。
■立花 響 > 「ごめんなさい…ごめんなさい…ごめ、ごほっ、ごほっ…!」
うわ言を繰り返しすぎたのか、それとも周囲の環境の変化に依るものなのか響は急にむせて、紅潮していた顔も徐々に顔色を悪くしていっている。
しかし未だに俯いたままなので、あいも変わらず現状把握しきれていない。
そもそも把握しようともしていないが
■ロウゲート > 「それは頼もしい言葉で、そして素晴らしい案だ…不可能という事に目を瞑ればな…」
自身、魔術を中途半端な所で潰され、次の手をあぐねていた
歩み寄る空閑の顔を涼しい表情で見下ろしながらも
その距離を冷静に見ていた、あのひしゃげる能力を直接やられたら
多分痛いでは済まないだろう、なら防御する手立ては…
無い。
「そうか……」
ス…と、瞑れてしまったルーンカードの代わり、鉄鎖に巻かれた魔術書を持つと
パラパラとページが捲れ、半ばほどで固定される
「俺もちょうど隠し球を使おうと思っていたんだ…」
ページが開くと同時、背後に門が現れた
赤黒色に染まった小さな門だ、僅かに開き、そこから人ではない者の手が除いている
「気が合うな…抜けよ、どっちが早いか試してみようぜ、という奴だな?」
ガリ…と親指の皮膚を噛み千切る、真空状態に近付くにつれ、体内の水分が上へ上がってきている感覚
恐らく次でどちらかが倒れる…ニッ…と愉快そうに唇を吊り上げる
本にポタリ……と血を垂らした瞬間、背後のゲートが開かれた
この世の者とは思えない半透明の巨大な手が空閑を掴もうと伸びる
後はどちらが、早いかだ
■空閑 栞 > 本が開かれ、赤黒く染まった小さな門の中に現れた異形の手を見て瞠目する。
アルコール以外にも攻撃する手段があったのか、と相手の戦力を見誤った自分の愚かさを後悔した。
ゆっくりと手を閉じている途中に開かれたゲートを見て焦燥感に襲われ、少し握る速度を早めた。
「落ちろ……ッ!」
絞り出すようにそう言い放ち、手を握り閉める寸前まで閉じる。
かなり強烈な圧がロウゲートに襲い掛かる。これで気絶をしなければ、これ以上はなすすべもなく巨大な異形の手に掴まれるだろう。
■ロウゲート > ぐしゃ……と、果実の破裂するような音が響く
瞬間何があったのか、ゲートから放たれる黒い瘴気にまみれ
全貌を見る事の出来る人間は居なかっただろう
だが、この瞬間間違いなく、魔術と異能がぶつかり合い、そして
『ギギ……パタン……』
と金属の軋む様な音を立て、冥界へと通じるゲートは閉じられ
それに応じるように、空閑の目の前、鼻先数ミリの地点で半透明の腕は消失していく
後は、何事も無かったかのように、廃墟となった一室が残るだけで
そこには二人の少女以外、何も残らなかっただろう
文字通り、何もかもだ
■空閑 栞 > 「やっ、た……?」
掠れた声でそう呟く。潰さない程度に力を込めたつもりだったが、響いた嫌な音から最悪の光景を想像し、吐き気を催す。
その吐き気をなんとか堪えつつ、使っていた全ての固定を解除して響の方を見た。
「だい、うぶで、か?」
大丈夫ですか?と言いたかったのだが、声が掠れてはっきりと発声ができない。
おそらくあのまま耐えられたならこちらがジリ貧で気絶していただろうと思い、身震いをする。
破裂したような音を忘れるためか、髪が乱れるほど頭を大きく横に振って響に近寄り、肩を叩いた。
■立花 響 > 栞に肩を叩かれると正気に戻ったかのように顔を上げる
「え、と…栞さん?え?その声、どうしたんですか?」
ふらふら、と立ち上がり、栞の顔をジッと見ている。
「そういえば私…そう、ルーレットをしに来て…ロウゲートさん、ロウゲートさんはどちらに?」
響は周囲を見渡すと先程の富豪層の客もロウゲートもいない事に気付く。
自分の中で何かが抜けている。意識が薄れゆくような自覚があっただけに両手で頭を抱えて必死に何か思い出そうとしている
ご案内:「落第街大通り」からロウゲートさんが去りました。
■空閑 栞 > 「こ、は、いろい、あっ、んですよ」
掠れた声でそう言う。
辺りを見回すも、何もない。そう、血の跡すら。
もし潰していたのなら血だまりができてるはずだ。そう考え、少し平静を取り戻す。
「夢で、みて、んじゃない、すか? かえり、しょ?」
ああ、やはり能力を使いすぎると不便だ。これくらいなら寝たら治るだろうが、今の状況ならば不便この上ない。
そんなことを考えつつ、響に笑顔を向けた。
■立花 響 > 色々あった、と言われるとうーん、と唸り夢を見ていたと言われれば首を傾げる。
「夢、ですか。それにしてはリアルな…こう、葡萄の飲み物の感触が…」
栞の笑顔を見て一先ず疲れているのかな、と自分の中で勝手に解決しようとした。
「そう、ですね…お互い、疲れてるみたいですし、帰りましょうか…地面を歩いて、です?」
お互いの不安を包み隠そうとする為に手を繋ごうと、左手を差し出す。
ふと栞の異能を思い出し、念のため確認を取ろうとしている
■空閑 栞 > 「そう、ユメ、す。」
割とあっさり信じてくれるんだな、と思いつつ、差し出された左手を掴んで手を繫ぐ。
「つかれ、るので……すみ、せん」
苦笑をしつつ歩き始める。廃墟を出た後は、恐らく歓楽区に向かうのだろう。
手から伝わる温もりに安心を感じながら、落第街を歩いていた。
■立花 響 > 「私も、栞さんも疲れてるんですね…ふぁわぁわ…さ、ゆっくり帰りましょうね…~~♪」
今手から感じている温もりは決して夢ではない、と自覚する。
夢から覚めたにしてはまだ、眠いような…そんな事を考えながら、フルートの音を唄いながら二人は歓楽区の景色に溶け込んで行った…
ご案内:「落第街大通り」から立花 響さんが去りました。
ご案内:「落第街大通り」から空閑 栞さんが去りました。
ご案内:「落第街大通り」に佐伯貴子さんが現れました。
■佐伯貴子 > (意を決してこの場所に訪れる)
……またか…
(人はいる。そのほとんどが違反学生や二級学生なのだろう)
(この制服と装備を見て遠巻きに視線を送ってくる)
これは…襲われたりしたら厄介だな。いつもの職質するのも無理そうだ
(あたりを見回しながらゆっくり歩く)
■佐伯貴子 > (いつも通っている場所で捜査に進展が望めない以上危険を犯すしかないのだが)
能見先輩の言うとおり、事務に徹していればよかったかな…
(心なしか、この制服を中心にできていたエアポケットの大きさが小さくなっているような気がする)
(溶け込めたならそれでいいのだがそんなはずはないだろう)
ま…逃げる手段ならなんとかなるだろう
(怪しい人物はいないか、重要参考人はいないか。顔も知らぬ相手を探して歩く)
ご案内:「落第街大通り」に四ノ宮 雪路さんが現れました。
■四ノ宮 雪路 > (大通り、焼きたてのせんべいを齧りながら長身痩躯の男が歩いていた。無防備に、背を丸めながら。落第街の外れで居酒屋を営む店主、名を四ノ宮雪路という)
「このところの騒ぎには参ったものだよ。みんな平穏無事にといかないものかな?」
(大仰に肩をすくめたところで、ふと立ち止まる。風紀委員だ。その存在に気づくと、)
「あー……」
(声を漏らした。果たしてどのように振る舞うのが正解か。ここは落第街なのだから、もう少し堂々とこそこそするべきだろうか。逡巡と同時、その思考がぶつくさと声に漏れ出ていた)
■佐伯貴子 > (声をかけやすそうな人物を発見した。よかった)
おいそこの白衣のお前
(四ノ宮の方へまっすぐ歩いて行く。念の為にライフルの重さを確かめながら)
風紀委員だ。学生証を見せてもらおうか
(いつも彼女が発するセリフは同じである)
■四ノ宮 雪路 > (まいったなー、声かけられちゃったらどうしようかな。いや、でも暇はしてるし話し相手でも、などとひどく楽観的な思考で頬を掻く。声をかけられていることに気づくのは、数瞬遅れてであった)
「え? ああ、僕のことかな。はいはい、なんでしょう」
(向き直ると柔和な笑みを浮かべた。人懐こいような笑みと見えるか、それとも媚びた裏の有りそうな笑みと見えるか。それは分からない)
「学生証ですか。構いませんよ」
(白衣のポケットから学生証を取り出した。お約束の如く違法学生証だ。この前は引っかからなかったし、多分今回も大丈夫だろう。そんな楽観の考えであった)
「どうぞ。今回は何の見回りです?」
(などと、世間話を振ってみる。彼の言葉は力。喋れば喋るほど場と、自身を支配する力だ。不穏な空気を感じたら、とにかく喋って力を重ねておくに越したことはない)
■佐伯貴子 > (相手の表情から心の奥底までは見破れない。表面にはだまされない)
随分協力的だな…助かるが
(学生証を受け取ると、小型認証機にかける。本物や偽造が見破れなかったらピッっという音、偽造であればブザーが鳴る)
見回りの理由は色々あるのだが…とりあえずこの辺りで違法薬物を売っている人間を知らないか?
(心なしか周囲がざわついている。見てはいないが視線は集まっているだろう)
■四ノ宮 雪路 > 「僕だって学園の生徒の一人ですからね。君も僕も同じ生徒だ。好き好んでギスギスしたいわけじゃない」
(両手を上げて降参のポーズ。元より彼は戦いが好きなタチではないし、話すことが嫌いなわけでもない。ましてや、違法学生と一般学生にいちいち差をつけるのも苦手な性分であった)
『ピッ』
(セーフ。今回も彼の学生証は仕事をしてくれたようだ。高い金を払っただけはあったと胸を撫でおろす)
「違法薬物。……ああ、例の、ええと、なんでしたっけ。異能を強化させ、ともすれば服用者を暴走状態に陥らせる、でしたっけ」
(心当たりの一つはないでもない。居酒屋『熱焼』は、時折大きな違反行為を行なった学生を匿ったりもする。蛇の道は蛇、といった具合だった)
■佐伯貴子 > 確かに。学生同士仲良くやれればそれが一番なのだが、そうもいかなくてな
(苦笑する。認証機の判定は正常。疑う理由もない)
ああ。そういった類のもあれば、普通の麻薬のようなものもあるらしい。
ぜひ知っていることを話してくれないか。
■四ノ宮 雪路 > 「まったくもってその通り。僕はこうして人と話すのも好きなタチで、やれ落第、やれ二級、やれ一般なんて、いちいちぶつかり合っても仕方がない。違法行為に手を染めているならいざしらず、顔を突き合わせた相手とケンケンやりあいたくはないんです」
(舌の回りは絶好調。その間に一考する。この街で生きていくにはうまく折り合いをつけることが大事だ。通報に得など一切ない。密告先がバレたら営業に関わるかもしれない。ならば、大事な判断基準はひとつだけ)
「ふむ。なるほど。とても重要なことをお尋ねしたいのですが」
■佐伯貴子 > そうは言うがな、風紀委員の権限で二級学生を正規に昇格させることもできるのだぞ。
そういうシステムは知られていないらしいからここの連中にも伝えておいてほしい。
風紀委員の佐伯貴子はそうやって二級学生の味方をしている、とな。
(相手の心の中がわかるはずもなく、人当たりの良さそうな顔立ちをまっすぐに見据える)
なんだ…あまり重要事項だと私の権限では話せないかもしれないぞ?
(小首を傾げる。周囲は普通に話している風紀委員を見てざわついているようだが)
■四ノ宮 雪路 > 「ここでぽんと正規生徒になっても、ここでのしがらみから抜け出せるとも限らない。それに、案外居心地がよいのかもしれませんよ。白河の清きに魚の住みかねて、なんて」
(会話が好きなのは性分である。苦笑めいてこちらも返しつつ、相手の頼まれごとは了承する。そこは別段、肩入れしても問題のない部分だ)
(小首を傾げた風紀委員に対して、出し抜けに)
「せんべい、お好きですか?」
(てんで話にならない、冗談のような問いを投げかけた)
■佐伯貴子 > なるほどな…しかし私の目から見てそのしがらみというのは大抵風紀に引っかかりそうだが…
(腕組みをしながら考えこむ。誰もがここから抜け出したいわけではないのかと)
せんべい、煎餅か…
(きょとんとして考えこむ)
嫌いではない。むしろお茶があれば好きの部類に入るだろう。ジャパニーズティーだぞ。
(真顔でそう返す)
■四ノ宮 雪路 > 「正規生徒にだっていじめ問題もあるでしょう。見えないところのトラブルは、風紀だけで収めるのは難しい。誰も彼も安心が欲しいのかも」
(真面目に聞き入ってくれる相手は楽だ。それに、別に騙しているわけでもない。思っていることは本当だし、会話を楽しんでもいる。念のための用心を重ねているだけに過ぎない)
(相手の返答に満足気に頷くと)
「なるほど。実は僕もそのしがらみに囚われている一人でして。すんなり教えるとあとで怖い方々に殴られてしまうかもしれません。ここはひとつ、取引と行きましょう」
(するりと白衣から、一枚の紙切れを取り出した。地図だ。落第街の外れにある、小さな区画)
「ここに、居酒屋『熱焼』という店があります。ここ、実は手焼きせんべい屋でもあります。今度せんべいを食べに来てください」
(彼にとっては重要なことだ。とても重要な)
■佐伯貴子 > それを言われると納得してしまうが…二級学生はいじめだけじゃ済まないという噂も聞かないのではないのでな。
単に助けを求められれば手を貸したい。それだけだ。
(相手の言動からするにこの辺りには詳しそうだ。声をかけて正解だったといえる)
取引か…あまり得意ではない部類の話だが…
(紙切れを受け取る。すぐに場所の当たりをつけることができた)
居酒屋でせんべい屋か。なかなか面白い組み合わせだな。ここにはそういう魅力もあるのか…なるほど。
(一人納得している)
当然行かせてもらおう。ただ、私も放課後いつも暇しているわけではないから、近々、としか約束できないが。
(地図を自分のポケットに仕舞う)
■四ノ宮 雪路 > 「難しいものですよ。色々と」
(男はただ笑顔を崩さない。周囲の視線に動じることなく、日和見主義であるはずの男がすらすらと話を進めていく)
「せんべいがとんと売れなくてね。仕方がないから居酒屋を開いているわけで」
(そこは心底悲しそうに肩を落として。しかし約束をとりつければ、笑顔に戻り)
「よし! すばらしい! そうじゃなくっちゃね。できれば常連になってくれると嬉しいんだけど」
(と、軽く佐伯に紙を握らせた。"子"だけではなく、"親"のひとつの情報まで。ごくあっさりと、この僅かなやりとりだけで身近な人間を売り払った)
「名前を聞いてもいいかな? 店に来る客を、風紀委員さん、と呼ぶのも味気ない」
■佐伯貴子 > だから委員会がある。…いや、委員会があるから難しいのかな…
(苦笑する。平和と安心のための組織が内部で争うなど笑いの種だ)
今の時代手焼きせんべいなど若者には受けないだろうから仕方ないな…
(相手に同情する)
常連になるにはせんべいの味かそこで聞ける情報が重要になるぞ。
(相手の事情などわかるわけもなくそう返す)
風紀員の佐伯貴子、だ。四ノ宮雪路…だったな?
(自己紹介し、先ほど見た学生証の名前を口にする)
■四ノ宮 雪路 > 「ここは大きくなりすぎた。子供も居れば大人も居る。常識の違う異邦人まで。だからこそここは素晴らしいともいえるし、だからこそここはおかしいとも言える」
(敬語もいつの間にかとれて、どちらかというと楽しげに漏らす。そう、だからこそこうして交わす会話は千金に値する、そう思った)
「そこは食べてからのお楽しみ。ここに一枚あるけどね、残念ながら人に出すせんべいは焼きたてのものに限ると決めてるんだ」
(こだわりである。決して譲れぬこだわりが男にはあった。それにしても異常な取引であるが、それは彼にしかわからぬことだろう)
「佐伯貴子くん。覚えたよ、手焼きせんべい屋『熱焼』をご贔屓に」
(両手を広げた歓迎だ。笑顔を浮かべながら、わずかにせんべいの香りを漂わせながら。)
■佐伯貴子 > 大恐慌と黄金時代と暗黒時代がいっぺんに来ているような場所だからな…
(あたりを見渡すと、いくつかの興味の視線があるだけで、人通りは戻ってきているようだ。溶け込めたのだろうか)
焼きたてのせんべいなど食べたことがない。パック詰めのコンビニ菓子だと思っていたからな。楽しみだ。
(そこは純粋に興味を惹かれる)
うまかったら宣伝しないわけでもない…なんだったら今から訪ねてもいいが?
(せんべいの香りになんだかお腹が減ってきた)
■四ノ宮 雪路 > 「食べたことがない! それは人生の半分ぐらいを損しているよ! 今すぐにでも……といいたいところだけど」
(生憎と、店はその"風紀"や"公安"から逃げてきた生徒で溢れかえっていた。平時ならばいざしらず、匿っているタイミングは都合が悪い)
「こうして外に出てきたのも、実は仕入れのためでね。色々と材料が切れてしまったので店を開けていないんだ」
(彼の得意とする転移魔術があればわざわざ買い出しに行く必要はない。単なる方便であったが、まあ店にとってはちょうどいい言い訳だ)
■佐伯貴子 > せんべいに人生の半分の価値が有るのかどうか…この舌で確かめさせてもらおう…
(ちろりと赤い舌を出す)
それは残念だ…ちょうど空腹感を覚えていたところだったのに。
(心底残念そうに言う。相手の話術に嵌ってしまっているようだ)
ならば仕方ない。今日のところは場所を変えるしかないかな…
(あたりを見回す)
■四ノ宮 雪路 > 「そうしてくれ。せんべいは良い物だよ。生を楽しむには、そういう心の余裕が大事だからね」
(満足気に指を回すと小気味良く踵を鳴らした)
「いや、実に間が悪い。ははは。ごめんね」
(結局のところ男はしゃべり通した。既に男に敵意は無いが、仮にここから戦闘があったらミサイルだって怖くないほどの力を発揮できるはずだ。喋る前に殴られたら死んでしまうのだが)
「ふむ。それじゃあ今日のところはここでお暇しようかな。風紀委員と白衣のせんべい屋。目立つ組み合わせだしね。あ、それと」
(少し顔を近づけて。耳元でこっそりと)
「渡した情報の場所にすぐに行ってはいけないよ。少し危ない場所だから、人員を揃えてしっかり確保したほうがいい」
(と、囁いた)
「そういうわけで!」
(ぱちん、と両手を合わせてにっこりと笑い)
「ひとまず別れのあいさつを。せんべい、食べにくるのを楽しみにしているよ」
■佐伯貴子 > 心の余裕か…ないって言われがちだから気をつけねば。
(神妙な顔をする。もちろん相手のことはよくわからないし戦闘するつもりも毛頭ない)
…危ないのか…
(はあぁー、と溜息を付く。荒事は苦手中の苦手なのだ)
…やはり私はこことは相容れない気がするよ。
では、さようなら四ノ宮。今日はせんべい以外の何かで腹を満たすとするよ。
(軽く会釈をすると踵を返して歩き出す。しかし彼女を中心にまたエアポケットが生まれてくるのであった)
■四ノ宮 雪路 > 「大事だよ、心の余裕というのは。余裕が無いときは視野も狭くなっていることが多いから」
(言いながら、彼もまた歩き出した)
「ああ。すまないね。今度うちに来る時お腹が減ってたら何かサービスしよう」
(ひらりと手を振って路地裏へと消えていく。白衣の男は上機嫌なままその場から退場していった)
ご案内:「落第街大通り」から佐伯貴子さんが去りました。
ご案内:「落第街大通り」から四ノ宮 雪路さんが去りました。
ご案内:「落第街大通り」に学園七不思議―【異次元通り】さんが現れました。
■学園七不思議―【異次元通り】 > (訪れる人の少ない落第街)
(此処で何が起ころうと明るみに出ることは稀である)
(人が傷つけられようと、人を傷つけようと、心を踏みにじろうと)
(それは学園の「闇」として)
(よくあることとして葬り去られる定め)
(なればこそ、この街に実態の明らかでない異次元が存在しようと、気にするほどのことでもないのかもしれない)
(今日もまた、学園に蠢く異次元が獲物を待ち構える―)
(その存在を異次元に招き入れ)
(学園の「闇」として葬らんがために)
ご案内:「落第街大通り」に白崎玲刃さんが現れました。
■白崎玲刃 > 着いたか…ここも、久しぶりだな
【ぼろ布で顔を隠した男が、落第街を歩いてくる。その男は、玲刃である。玲刃は、開拓村に戻った後、眠っている音音を起こさない様に、仕留めた肉の血抜きと保管処理をし、それを終えた。玲刃は、公安が無視できない様な情報を情報を仕入れる為に単身で、顔を隠し落第街へと歩いてきたのであった。】
■学園七不思議―【異次元通り】 > (足を踏み入れる者が何者であろうとも、落第街はそのすべてに平等に世の闇を、不条理を叩きつける)
(この異次元通りもまた、とおりすがる者に降り注ぐ不条理の一つとしてそこにあった)
(彼が今までどのような生を送って来たのか)
(何を思って、何のために此の通りへと足を踏み入れたのかは関係ない)
(ただそこにいた、というだけで彼は次の犠牲者に選ばれたのだ)
(玲刃の目的も、感傷もお構いなしに異次元通りは忍び寄る)
(彼が一歩を踏み出せば、そこは唐突に異次元へと変わる)
(ぐにゃりと視界が歪む感覚を覚えるだろう)
■白崎玲刃 > !?…なんだ、これは。
【玲刃は聞き込みを行う為、落第街を歩いていると、突然、ぐりゃりと視界が歪み向感覚を覚え、驚き警戒する。】
っ!…敵か!?
【敵襲と思い、玲刃は咄嗟に、探知の魔術を使い周囲の気配を探ろうとする。】
■学園七不思議―【異次元通り】 > (その反応は玲刃が辿って来た人生を考えれば当然の行為)
(唐突な感覚の異常は敵意を向けて放たれたのなら、開戦の狼煙にも等しいもの)
(しかし、この異次元通りに於いてはそうではない)
(異次元通りは迷い込んだ者に対して何かを行うことはない)
(ただ、そこにあるだけ―)
(玲刃が気配を探ろうと感覚を研ぎ澄ませても、人の気配はない)
(というよりも、人の気配が完全に消えているのだ)
(この落第街に満ちるジトリとした、へばり付くような視線も、くぐもった薄汚い笑い声も)
(時折何処からから響く狂人の叫びも聞こえてきはしない)
(先ほどまで辺りにあふれていた「人の気配」というものが綺麗サッパリ消え去っているのだ)
(何も周囲に気配がないということが、これ程無いまでに玲刃の警戒心を刺激する―)
■白崎玲刃 > ………!?…どういう事だ?どうなってるんだ、誰も居ないだと?【探知の魔術を使い、「誰も居ない」という事を確認した玲刃は驚愕した。ここは、例え落第街だとしても大通りだ、誰も居ないなどという事は通常ありえない事なのである、つまり…】
結界の中という事か…?でも、やはり、おかしいな…結界だとしても術者の気配があるはずだ、例え外部から閉じ込める系統の結界だとしても、敵意くらい感じるはずだな。本当に、何なんだここは…
【この空間の異常性を玲刃は改めて認識し、警戒を更に強める。】
■学園七不思議―【異次元通り】 > (人の気配はない。ただ、生温い風だけが玲刃の頬を撫でて通り過ぎていくだけ)
(歩を進めても前に進むことはなく、同じ景色が延々と流れ続ける異常な世界)
(仮に、世界に一人だけになってしまったとしたらこんな気分になるのだろうかと)
(そんな想いを去来させる程の静寂がそこにはあった)
(そして―警戒を続けていた玲刃なら気づくだろうか)
(自分の足音に重なるようにぺたり、ぺたりという足音が背後から響いていることに)
(貴方は振り向いてもその正体を確かめようとするだろうか?)
(それとも先手必勝と背後の気配に向けて攻撃を行うか)
(もしくは不気味な気配から逃げるため歩を早めるか―)
■白崎玲刃 > ……寂しいものだな。
【呟きながら。玲刃は自分一人だけしか存在しない空間という中において、玲刃はこの学園に入学する以前の、なんでも屋として積極的に活動していた頃の自分を思い出す。あの頃は、誰とも深く関わる事は無く、一人であった。静寂の中で、玲刃は寂しがるなど自分もずいぶん、変わったものだなと。】
…!?
【そして、玲刃は、背後の気配に気づくき、警戒を強める。声は出さない、あえて気配遮断(鋭い相手であればすぐにばれるであろう。)を行いながら】
(これは使えるか…?)
【収納の魔術で収納用の小規模の異空間を開きそこから武器を気に抜こうと、収納の魔術を発動しようとする。】
■学園七不思議―【異次元通り】 > (玲刃が己の気配を遮断すれば、ぺたり、と背後から一つ余った足音が通りに響く)
「な、なんだ…消えた…?!く、そッ!逃がさねぇぞ…俺だけ置いて脱出しようなんざ…!!」
(足音の主はそんな言葉を発しながらこちらへと走り寄ってくる)
(気配を遮断したからといって、存在がその場から掻き消えたわけではない)
(けれども、視界の向こうに捉えていた人の気配が消えてしまったことに焦ったのだろう)
(様子をうかがう玲刃にはボロボロの学生服を纏った少年の姿が見えてくるだろう)
「逃がさねぇ…折角自由の身になったんだ…!!こんなわけのわかんねぇとこに閉じ込められて終わりだなんて、あってたまるか…!!」
(呪詛にも似た言葉を吐きながら少年は走り寄ってくる)
(未だ玲刃の存在に気づく様子はないようだが―?)
■白崎玲刃 > (ふむ…何故、今になって人が?そして、俺個人へ向けての敵意が無い。脱出と言ってたが、同じように閉じ込められた相手だとでもいうのか?)
【慌てる少年を見て、そう思考すると、収納の魔術の発動をやめ。少年の背後へと移動し、少年の肩に手を置こうとする。勿論、気配遮断は使ったままだ。】
■学園七不思議―【異次元通り】 > 「―ッ!?!?!?」
(音もなく背後から肩に触れられ、少年は声にならない叫びをあげた)
(ぎぎぎ、と音がしそうなほどにぎこちない動きで振り返り―)
「…へ、へへ。何だよ。居たんじゃねぇかよ。待て、待て待て。
俺は敵じゃぁねぇ。あんたも…その、此処に迷い込んだクチだろ?」
(媚び諂うような笑顔を浮かべ少年はぺらぺらと語る)
(己も異次元通りに足を踏み入れてしまった被害者であること)
(自分は研究施設から逃げ出してきた二級学生であること)
「お、俺は…研究施設に閉じ込められてたからよ。この辺の地理に疎いんだ。
ただ逃げ出して…走ってたらいつの間にかこんなところに迷い込んじまって…」
(そう語る少年は何時しかうつむいて拳を握りしめている)
(手にした筈の自由がすり抜けて行きそうなこの現状に歯噛みしているようだ)
「な、なぁアンタ!アンタは…この辺には詳しいのか!?だったら少しは希望ってモンがある!頼む、協力してくれよ!!」
(縋り付くような視線が玲刃に向けられる)
(この少年を信用していいものだろうか?)
(信用し、脱出のため手を取り合っても良いだろう)
(将又、何かの罠だと思うのであれば彼を見捨てても良い)
■白崎玲刃 > ふむ、なるほどな。研究施設に閉じ込められていた…か。良いぞ。協力しよう。ああ、だが、一つだけ、条件をつけよう。俺は、なんでも屋だ。故に、脱出するのに協力するという依頼を受けるという形で協力を受けよう。なあに、報酬は単純だ、研究施設に閉じ込められていたって言ったな?研究施設での出来事や情報について洗いざらい話してくれるのならば、協力しても良いだろう。どうだ?簡単な条件だろう?
【媚び諂うような顔に若干、顔をしかめるも。驚いた時の反応や、俯いている様子から、敵ではないと推測する。たとえ、敵で、罠だとしても、襲い掛かって来た時にどうにかすればいいだけだ。玲刃はそう判断し、少年に真剣な表情で協力すると言った後に、思い出したように、にやり悪戯めいて笑いながら報酬をくれるならばと付け加えた。研究施設についての情報が得られれば何か、この学園の闇について知る事に繋がるかも知れない。そしてそれは、もし公安が学園の闇と繋がっているのならば、公安にとっても不都合な情報の可能性もある、などと玲刃は考えていた。】