2015/06/12 のログ
日乃杜 梢 > 「ぅ…」

流石にその悲壮感漂う表情を見てしまうと、言い過ぎたという思いが脳裏を過ぎる。
肩を落とし、ごめんなさい、と謝罪を告げて。

「そうですよね、頑張ってますよね東雲さん。
 ちゃんと図書館来て勉強してますものね…」

あとは記憶力とかの問題なんだろうか、と考える。
なまじ自分は普通に出来ているだけに、「なぜできないのかわからない」という、よくある思考迷路にはまりかけた。
それをすんでのところで押しとどめたのは、

「…そういえば、聞いてもいいですか?
 東雲さんは、どうしてこの学園にきたんでしょうか」

先程まで作っていた、自分の設計図。ルーツ。
ここに来た目的。それは、目の前の相手にもあるはずだった。

東雲七生 > 体育とか実技ならなー……
ああ、でも現国と生物ならそこそこ良い線言ってると思うんだよ。

(机に突っ伏しながら自己弁護を始める。
 記憶力も悪いわけでは無い、と自分では思ってるが。多少、かなり、だいぶそそっかしい性格も災いしているのだろう。)

え?俺が?……この学校に?
えーと、確か中学の時に事故ったんだわ交通事故。その時まあ、俺の異能がねちょっと暴走しかけたらしくて。

(そう語る視線は焦点が定まっていないように見える。
 自分の記憶に違和感を覚えているような、そんな風に見えるだろう。)

日乃杜 梢 > ここで何度か顔を合わせたとはいえ、今まで自習に付き合ってきたわけではない。
しかしこれからは彼の勉強も気にしてみようか、と持ち前の過剰な責任感を発揮しようとするのもつかの間のこと。

「ぁ…すみません、言い辛いことを聞いて……? 東雲さん?」

事故、と聞いて表情を曇らせる。
その割には今は元気いっぱいだな、とか。
彼は異能持ちだったのか、とか。
耳新しいことが幾つか聞こえてきたが、それよりも―その、色が抜けた、と言い表せそうな顔色を見た瞬間。

ぞくり、と、言いようのない悪寒を覚えた。
今、自分は不用意に、目の前の彼が持つ何かに踏み込もうとしていないか―?

東雲七生 > ───あっ。 いやいや、ごめんごめん。事故の所為かだいぶ記憶がおぼろげでさー。

(我に返って、少し照れたように、取り繕う様に笑みを浮かべる。
 そういえば異能のことは特に話してなかったな、と思いつつも、ひとまず過去“だと思っているモノ”の話を続ける。)

そんでまあ、中学の残りの期間入院してて、卒業したら異能の制御の勉強って事でこっち来たワケ。
まあ、あれ以来事故らしい事故も起こしてないし、暴走もしてないから普通にしてりゃ大丈夫だと思うんだけどさ、俺は。

日乃杜 梢 > 「まっ―」

て、と、全てを言い切る前に、彼の表情に色が戻ったことに気づいた。
ほう、と安堵の息を零した後、周囲の視線に気づく。
あれだ、つまり先程の声が図書館の許容範囲を超えたらしい。
今度は自分が肩を縮こまらせる番だった。

「そう、だったんですか。それは…うん、納得しました」

眉根を浅く詰めた表情のまま、深く頷く。
つまりは、事故と、それで生じた休学期間があるわけだ、目の前の彼には。
それがどれほどの長さかは話からは伺えないが、学業の捗らなさもその辺りに原因がありそうだ、と推測を得る。

「それだったら、異能の訓練を優先すべきですよね、確かに…まだわからないことも多くて、暴走事故も少なくはないって、授業で聞きましたし」

納得しつつも、告げる言葉を選ぶ。
脳裏には、先ほど彼が浮かべた、色の無い表情が、強く印象に残っていた。
異能のことなどを深く聞いた結果、再びあれを見ることにはならないか―その懸念が、梢の口を少し重くさせる。

東雲七生 > ぅん?どうした、日乃杜?

(不思議そうな顔で少女の顔を覗き込む。
 その顔は普段通りの感情に富んだ少年の顔だ。)

まあ、入院してたっても中3の夏休みだしさ。まあ、受験とか特に受けずに高校来れたのはラッキーだったかなー
でも俺さ、あんま異能の勉強とかしたくないんだよね。最低限「異能が使える条件」さえ分かってれば、それに注意してれば良いだろ?
俺の、日常的にそうぽんぽん使えるもんでもないしさ。

(だから彼は、いや、それ以上の理由も秘めて。
 「異能を用いた実践形式の実技」の授業は大抵軒並みサボっているのだ)

日乃杜 梢 > 「い、いえ、何でもないです、何でも」

僅かに下げていた顔を覗きこまれれば、背を逸らして遠ざける。
何もない、というには少し、焦りを帯びた言葉だった。
あまり慣れてはいない、かなりの至近距離、しかも他人とくれば、少女が慌てるのも道理である。

「それでも半年くらい、ですか? リハビリとかも苦労したんじゃ…想像ですけど」

異能の実技とは縁がない梢が、その彼の不可解なサボり状況を知ることは、やはり今はない。
そういうものか、と納得したところで、鐘の音が響いた。

「あ…そろそろ、私は出ないとですね。ずいぶん話混んじゃいましたけど…勉強、大丈夫です?」

本を閉じ、片づけを始めながら、申し訳なさそうに伺う。

東雲七生 > そうか?
んなら、良いけどさっ。

(少女が何でも無い、と言えば何でもないのだろう。
 それ以上深追いする事も無くあっさり顔を離し、カバンの中から教科書を取り出す)

あー、うん。幸い事故は大したこと無かったんだけど、異能の暴走が大事になっちゃって。
ほとぼりが冷めるまで病院入ってたってだけでさ。

(そこまで話して鐘の音に顔を上げる。)

おお、そうだっけ。そんじゃーまたな!
俺の方は……まあ、最悪神薙とっ捕まえて教えて貰うから良いよ。

(へらり、さほど緊迫感の無い顔でそう言った。)

日乃杜 梢 > 「ふふ、運よく来るといいですけどね、神薙さん。それじゃあ―また、明日」

共通の知人の名を聞けば、気分が少し緩んだ。
ノートをかばんに詰め込み、使っていた本を閉じて重ね、抱え持つ。
そして別れの挨拶を口にして、梢はその場を後にする。

「…東雲さん、か。何事もなければいいんですけど、ね」

去り際、誰にも聞こえないように、口の中で呟いた。

ご案内:「図書館」から日乃杜 梢さんが去りました。
東雲七生 > どうだろうなー、来たところでちゃんと教えてくれるかどうかも怪しいけどな。
おう、明日明日ー。

(ひらひらっと手を振りながら同級生を見送り。
 ノートと筆記用具を机に出した後はぺらぺらと教科書のページを捲って見開きで軽く癖を付ける。
 あとはノートを開きシャーペンを持って)

よしっ。

………くー……。

(寝た。
 すごい勢いで 寝た。)

ご案内:「図書館」に神薙 結弦さんが現れました。
東雲七生 > (文字を見ると眠くなる。
 流石に漫画のセリフやモノローグは平気だが、教科書などは格別に眠くなる。
 東雲七生は典型的な“そういうタイプ”の学生だった。)

……すやー……ふごふご……。

神薙 結弦 > 「……?ん。」

今日は鍛錬を行っていたためか
図書委員の仕事に遅くなってしまい。
やってくると奥で眠っている人物をみつけて

「…東雲殿…?」

東雲七生 > んん……うぁ、年表が……年表が襲ってくる……

(見つかっても起きる気配はない。
 机の上に広げられ、今は東雲の枕になっている教科書やノートを見れば状況は大体分かるだろうか。)

神薙 結弦 > 「……はぁ。こら。此処は休憩所ではないぞ」

周囲にじゃまをしない程度に声を上げると
ペチリ、平手で頭を叩こうとするでしょうか。
勿論、怪力等は使わずに通常の女性の力である。

東雲七生 > ……ぎゃんっ。

(頭を叩かれれば小さな悲鳴と共に顔を上げる。
 完全に何が起きたのか分かっていなかったが、神薙の姿を認めると。)

うゎ、噂をしたらホントに来た……。

(何故かちょっと渋い顔をした)

神薙 結弦 > 「噂をすれば影。
 何を噂していたか知らんが
 勉学をするならば、きちんとしなさい」

よくわからん。と一つ告げると、隣の席へと移動する。
どうやら勉強を見ようとしているのか。
それとも単なる冷やかしか

東雲七生 > ちょーどいいや。
さっきまで日乃杜が居たんだけどさー、丁度良いタイミングで出ちゃったから神薙に勉強見て貰おうと思って。
とりあえず昨日の補習の復習で数学。……お前数学得意?

(隣に座った図書委員を机に突っ伏した体勢のまま尋ねる。
 もしも苦手だと言われればそのまま二度寝に入るし、教えて貰えるのならば真面目に勉強をしよう、と思ってはいる。現状、7:3で前者が勝っているのだが。)

神薙 結弦 > 「一応。全ての教科は予習復習を心掛けているが。
 とは言っても、人に教えたことはないぞ?
 それでも良いのならば私は構わないが」

元々隔離された山の中で暮らしていた身。
暇があれば鍛錬、もしくは身の回りにあった学術書を持っているのみ
そのため、教える事は今回が初めてで。

「…しかし、ずいぶんと眠そうだが‥それで勉強できるのか?」

東雲七生 > まじかよ。見た目通り優等生かよ。
……じゃあ制服ちゃんと着ろよな。

(ぶつぶつと不平を零しつつ、のろのろと身を起こした。
 ふわぁ、と生あくびを噛み殺して改めてノートと教科書を見る。)

んじゃ真面目に聞くからさ。
神薙の復習も兼ねて、ここから教えてくんねえ?

(そう言って該当の設問を指さして、見せる)

神薙 結弦 > 「優等生、というか。
 それいがいに娯楽を知らんもんでな。」

不平をこぼす様を見て、少しだけ意地悪に口元をゆがめる。
その後、軽く覗きこむ様に見やって

「…ふむ。なるほど。
 ここは、少し面倒だが前のページの公式を使って…」

そういうと、ノートの端に軽く公式を書いて見せる
思っているより、柔らかい声とわかりやすい説明が聞こえるでしょう

東雲七生 > へぇー、意外。
なんかもっと遊んでる感じかと思った。あー、あれか。鍛錬ばっかしてた感じか。

(そもそも勉強は娯楽じゃねえだろ、というツッコミを飲み込む。
 これから勉強を教えてくれる相手に余計な事を言うものでは無いだろう。)

ほ、ほうほう。前のページの。
……つーかさ、公式って何か覚え辛くね?どーやって覚えてんのこんなの。

(説明は分かり易い。分かり易いのだが……
 いかんせん、基礎から殆ど出来ていなかった)

神薙 結弦 > 「まぁ元々実家は山の山頂だからな。
 それこそ、今の様に甘味を食す様な事もしたこと無かったし。
 こうして友人を作る事も談笑する事も無かったのでな。」

まぁ勉強は面白い娯楽だったぞ
と付け加えると。ゆるりと瞳を向けて首をかしげる。
覚えづらい。そういえば小さな頃は同じ様な事を考えていた気がする。

「んー…。そうだな。
 私は形で覚えた。なんとなく。こんな形だったから。
 イメージと関連付けると、やりやすいかな。」

東雲七生 > 山の山頂ー……。
何つーか、すっげーとこから来てんなあ神薙って。
そんでもってすっげー生活してたんだなあ……すっげーのな。

(自分にはちょっと想像できないな、と東雲は思う。
 勉強の疑問をぶつけたら、思いの外真っ当な返答が来て少し驚く。)

形?イメージ?……えーと、数学の公式を。
やっべぇ……何言ってんだか分かんねえわ……。

神薙 結弦 > 「ん?まぁ私は生まれが生まれなものでな。
 ただ毎朝山頂から見える朝焼けや、沈む夕日。
 それらは良いものだった。」

自分の家を別に避難する気もない。
ただ、やっぱり山頂に住むのはどうか、と
少しだけ思ったこともあった。

「んー…。そうだなぁ…。
 まず。こうやって適当な公式を書くだろう?」

そういうと失礼する。と小さく断る。
身体をもう少し近くまで寄せてサラリと公式を書いていく。
それからイメージについて、ゆっくりと説明を始めた

東雲七生 > あー、日の出とか日の入りとかは良いな。すげー良い、それ。
俺もさ、最近日の出前に起きて走ったりしてんだけど、気持ち良いよな日の出見るのって。

(分かるわかると繰り返し頷いて同調する。
 もっぱら海から見えるそれだが、山から見るのはまた違うんだろうかなどと考えつつ)

ん、公式を書く。

(身を寄せられれば少し表情が強張る。
 何度か会話をして多少は慣れてきているものの、やはり異性がそばに寄れば緊張してしまうものだ。)

神薙 結弦 > 「あぁ、本当に。
 とてもきれいで、とても強くて。
 悩み等、無いが。それでもすぅっと流れていきそうな位、キレイなんだ。
 ここにも山があるようだし。
 たまには見に行きたいものだ」

解ってもらえると、嬉しそうに瞳を細める。
ちらりと一度こわばる姿を見ては若干上目づかいで見上げて

「ん。すまん。近寄りすぎたか…?
 駄目なら離れるが」

東雲七生 > へ、へー……そんなすげえもんなら、俺も見に行きてーわ。
でも遠そうだよな、神薙の実家って。

(まず海を越えて日本の本土に戻らなければならないだろうな、と。
 それを行うには現状、土日だけでは期間が足りなかった。
 でも山登りならハイキング程度に出来たはずだ、と思い出す。しかしあの辺りは未開拓地区、それなりに危険も伴うはずだ、と。)

ああ、いや。大丈夫大丈夫。
この方が俺もやり易いしな、悪ぃ、変な気を遣わせてよ。続けてくれ。

神薙 結弦 > 「そうだなぁ…。私の実家は遠いな。
 …なら今度此処の山の山頂でともに朝日でも見ようか。」

何処とは言わないが。それでも非常に遠く
自分でさえ戻るのにそれなりに体力を使う距離だ。
だとすれば未開拓のあの場所。
自分の腕に多少自信はあれど、誘ってから気が付く。大丈夫だろうか、と。

「…そうか?なら、いいのだが。
 あまり無理はするなよ東雲殿。勉強は少しのイメージで苦手になりやすいもの故な」

東雲七生 > おう、早起きは得意だし山登りもそこそこ得意だし。良いぜ。
いっぺん行ってみたかったしなー、えーと、あの山。何山っつったっけか。

(山の名前をど忘れしていた。
 まあ学生とは言え能力者が2人なら何とでもなるだろう、と楽観視している。)

へ、へーきへーき。
勉強には差支えないって、こんなもん。精々数学のテストで神薙の顔が脳裏を掠める程度だろ、ハハハ……。

神薙 結弦 > 「あぁ。それならば良かった。
 ん?あぁ、青垣山、だったか。
 入ったことは無いのだが…。まぁなんとかなる…か?」

此方もやや楽観ししてはいるが、それでも少し心配である。
自分がどうにかなる分にはどうでもいいが。
せっかくできた友人を危険にはさらしたくはない。

「む!私の顔がかすめる程酷い事はするつもりはないぞ!
 まったく。そういう事を言うならば、もっと近寄るぞ?良いのか。」

東雲七生 > そーだそーだ、青垣山だ。確かそんな名前だった。
何とでもなるだろ、これでも運動神経にゃあ自信あるし。いざとなったら逃げきりゃ良いんだ。

(何故だか自信満々で答える。
 精々出くわしても野犬か蛇か、ちょっと大きなクリーチャー程度だろう。
 それくらいなら、まだ何とかなる様に一般野外戦闘の授業は受けている。)

何でそーなる!?
余計悪くなるだろ、良くねえよ。今の位置で充分だろ!

(何を言い出すかなこいつは、と赤らんだ顔で神薙を睨む。)

神薙 結弦 > 「…むぅ。…東雲殿がそういうのならば良いが。
 なれば、その時は私が東雲殿を護衛しよう!
 その時、この命も体も好きに使ってくれて構わないぞ!」

それなら安心だ、とトンっと胸を張って叩く。
友人を危険にさらすならば、と考えた様だが…。

「ぬ?いや。なんとなく。
 ほら、悪戯、というやつだ。面白そうだったろう?
 それで。ほら。公式イメージの続きだぞ!」

東雲七生 > はいはい、まあ神薙が護衛してくれるんなら心強えよ。
ただ妙な言い回しをすんな、妙な言い回しを。俺だってそれなりに戦える。

(何を言い出すかな、と火照りかけた自分の頬を軽く叩いた。
 もうちょっと他に言い方は無いのか、と呆れつつもそんな女性らしくない言い回しをするこの少女と話すのは気が楽なのもまた事実だった。
 無論、口調の上でだけである。顔は直視出来ない。他も大体無理だ。)

そんな悪戯どこで拾って来たんだよ。誰が面白いんだ誰が。
……ったく、へいへい。で、公式をどうするって──?

神薙 結弦 > 「ん?いや。何。全身全霊を持って護衛する
 というだけの話なのだが…?
 まぁその間は東雲殿に私を預ける形になるから。
 どう使ってもらっても構わんが。」

何も考えずに言っている為。
無防備だろと意識もなしに話す。
勿論身だしなみ等には気を遣うが、思ったより自分を女だとはそう深く思っていないのかもしれない。

「ん?んー。そうだな!この間同じ部屋(クラス)の殿方が言っていた。
 こうされると喜ぶ悪戯、だとな!
 …ふぅ。ではな。此処をこういう形にとらえたり…」

東雲七生 > 使うとか、預けるとか、そういうこと年頃の女の子が言うんじゃありませんっ!!

(反射的に叫んでいた。もちろん声は潜めていたが。
 言葉遣いがどうあれ、女子は女子だ、油断ならない、と気を引き締める。
 どうにも世間知らずなのか自分を省みない性質なのか判断付きかねるが、そこらの同級生より女らしい体型なのは自覚して貰いたいところだ。
 悪戯の出元が分かって頭を抱えそうになる。誰だそんな事迂闊に言った馬鹿は、特製のモーニングスターで頭の形変えてやろうか、と本気で思う。)

ああ、まあ、時と場合に寄るな。ああ。
……はぁ。で、形……形、だよな。俺には数字にしか見えねえけど。
形にとらえる。簡単に言ってくれるぜ……。

神薙 結弦 > 「え?なぜだ…っ?わ、私は可笑しな事でも言ったのか?」

何故そうも言われるのか全くわかっていない。
不思議な事もあったもんだ、と目を大きく開いては驚いている
パチクリ、貴方が何を考えているか解らないが…。

「んー…そうだなぁ。とらえづらいなら関連付け…か。
 それと公式を何かで関連付ける。
 数字だけを覚えるのは面倒だからな。
 …何か強く思いつきそうな事はないか?」

東雲七生 > い、いや、おかしくは、ない。
おかしくは無いはず……なんだ、いや、おかしいだろどう考えても。
使う、なんて物みてえな言い方をすんな、お前は俺のダチで、同級の神薙だからなっ。

(ちょっとだけ譲歩しようとして、やっぱり無理だった。
 もしかしたらそんなつもりは無かったのかもしれない。いや、ないのだろう。
 だが、どうしても引っ掛かったのだ。使う、という言葉が。)

俺の気にし過ぎかもしれねえから、一応謝っとくけどな。

関連付け……関連付け………
いや、さっぱりだ。皆目見当も付かないし、何も思いつかねえ。
数字は数字だ、それ以上でも以下でもなく。

神薙 結弦 > 「・………むぅ…。
 もちろん、それはそうだな?
 私にとって東雲殿は大事な友人で、同い年で。
 優しい殿方だぞ。
 ……ふむ。そう、聞こえるか。それはすまない。
 今まで、こうしてキチンと私の言葉を正してくれる者も少なかったのでな。すまない」

失言だった、と今言った言葉を考えてみて。
人前で使うべき言葉ではないと納得すればペコリ、頭を下げる。
これからは気を付けると言葉を少しだけ続けて。

「んー…そうか。難しいな。
 私は甘味で想像して覚えたのだが…。
 なぁ、何か好きなもの、ないか?」

東雲七生 > 別にそう何度も謝らなくていーよ。
分かってくれたんなら、それで。

(居心地悪そうに頬杖をついて顔を背ける。
 我ながら何だかこっ恥ずかしい事を言ったような、言わなかったような……
 そしてそれを真に受けて正面切って謝ってくるこいつも恥ずかしい奴だな、と思う。が、決して嫌いじゃあない。
 少し顔に昇った血が引いたところで視線を手元に戻した。)


好きなもの?体動かすこと……は流石に使えねえな。
んー、甘味、甘味……カツサンド?

神薙 結弦 > 「悪いと思うのならば、誤らねば。
 むずむずして、気持ち悪くなってしまう故な。」

元来生真面目で頑固な節がある為か
それを自覚して少しだけ困った様に眉を下げる。
そのまま、ノートに目線を戻してはその言葉の最中に公式を書いていき

「その、かつさんど…とやらを公式を見ると思い出す。
 もしくはかつさんど、を見ると思い出せるように訓練する、とかだろうか。
 まぁ、何度も描いて覚える方が早い場合もあるがな」

東雲七生 > なら一度で良いっての。
一度でも謝ってくれりゃあ、悪いと思ったのは伝わるよ。

(クソマジメめ、と内心からかいつつもその顔を横目で盗み見る。
 どっか世間離れしてるし、妙な事は真に受けるが悪い奴では無い、解ってる。)

あー、さては神薙、カツサンド知らねえな?
まあそれは置いといても、カツサンド見たら数式を思い出すって、なんか、嫌だなそれ……。

(まだお前の顔の方がマシっぽいぞ、と呟く)

神薙 結弦 > 「ん?あぁ。『かつさんど』なるものは初めて聞いたぞ。
 不思議な名前の…砂…か?」

サンド違いだが。どうやらそれが好きだ、ということは理解したようだ。
少し首をかしげてカツサンドについて悩んでいたが。
自身の顔の方がマシ、と言われると。ぽんっと手をたたいて
顔を近づけようとしている

東雲七生 > 砂じゃねえ、挟む方のサンド……って、神薙お前まさか、サンドイッチも知らないんじゃねえだろな?

(嘘だろ、こいつ、嘘だろ。信じられないといった様子で思わず顔を見つめる。
 なんか変な奴だとは思っていたが、これほどとは。)

……で、なんで顔を寄せて来るんだよ!
マシっぽい、って言っただけでお前の顔が良いとは言ってねえっ!

(慌てて顔を俯け、視線を下に逃がす)

神薙 結弦 > 「…あぁ、其方の方か。……ん?あぁ、知らないぞ?
 実家では和食しか知らなんだ。此方に出てきて初めて知ったのだが…。」

何処までも隔離、というか世間離れした生活をしていた為か。
サンドウィッチまで知らなかった。
素直にそれを認めるも顔はじっと貴方の顔を見つめ。
心なしか、少し意地悪である

「うむ!マシだというならついでだ。公式を覚えるいい機会だとおもうのだが。
 こーら。なぜ逃げる。そんなに変な顔でもしているのか」

東雲七生 > そうか、それはちょっと……可哀想だな。
今度食いに行くか、確か商店街とかで売ってんだ。学食にもあった気がする。

(山育ちって怖い、そんな事を思いながら視線に戸惑う。
 目を逸らしたはいいものの、何故か相手はこちらを見続けている。
 異性に見つめられるというのは、どうにも落ち着かない。)

何のついでだっ!?
べ、別に変じゃねえけど……変じゃねえから逃げてると言うか何と言うか……。

(ああ、もう、恥ずかしい──)

神薙 結弦 > 「ほぉ!甘味以外にそのように美味なるものがあるのか…!」

言うやいなや、ぱぁっと嬉しそうな顔になる。
どうやら食事自体が好きなようだ。へにゃり、緩んだ顔は年相応に幼い。

「うむ!よくわからんが、関連付けられそうだな!
 どうだ?今私の顔と公式、近づいたのではないか?」

何故、そう思ったか。妙に自信満々で問いかけてきた

東雲七生 > あるんだよ。まあ今この話続けるとしんどくなるから、後でな。

(年相応な顔もするんじゃないか、と新たな発見に気が緩む。
 東雲も食事は嫌いじゃないので、下校時に誘ってどこか買い食いでもしてみるかと画策してみる。)

ああ、もういいや。それで。
で、他はどうすんだ?まさか公式ごとに神薙の表情を変えるのか?

(ちょっと投げやりに訊いてみる。
 いくらなんでもそりゃ無茶だ、と自分でも思いつつ。)

神薙 結弦 > 「うむ。
 今この話をしていると腹が減りそうだ。

 んー…。それは難しい。
 …あ。部位でも変えてみるか?
 でもそれもそれか。うーむ…良い関連付け、だと思ったのだがなぁ」

何気ない会話からどうしようか。と考える。
しかし今度のテストの範囲はこの公式で何とかまかなえそうだったような記憶がして


「取り敢えず、これである程度基礎ができれば大丈夫なはずだ。
 任されよ、みっちり教え込んでやろう」 

東雲七生 > だろ?だからこの続きは後で、帰る時にでもな。

(やれやれ、危ない所だった。
 カツサンドの話題を続けていれば集中できなくなるに決まっていた。)

部位? ああ、顔以外でって事……手とか、か?
流石に手じゃ特徴薄過ぎんだろ。まあ、それはそれとして。

(もっと目立ちそうな場所はない事も無いが、
 流石に男子の口からそれを言うのは憚られた。てか恥ずかしい。)

お、おう。ホントに基礎は大丈夫なのか?
若干心配だけど、覚えられそうっちゃ覚えられそうな気も……

神薙 結弦 > 「うむ。そうだな。
 …大丈夫だ!私が基礎をみっちりこってり教えるのでな。
 何、これから時間もたっぷりあることだ。
 東雲殿が、もうだめというまでたっぷりと教えむつもりだから、がんばってくれよ?」

ニッと笑うと一度顔と体を離す。
そうすると。参考書をとってくる、といって
棚の奥へと消えていくでしょう。

ご案内:「図書館」から神薙 結弦さんが去りました。
東雲七生 > へいへい、よろしく頼みますよ。
そもそもこちとら劣等生ですからねー、拒否権ねーし。
覚悟くらいとうに出来てんよ。

(神薙が離れれば、ほぅ、と息を吐いて
 今教わった流れでとりあえず教科書と向かい合ってみたりしつつたっぷりと勉強を教わったらしい。)

ご案内:「図書館」から東雲七生さんが去りました。
ご案内:「図書館」に四十万 静歌さんが現れました。
四十万 静歌 > テストが終わった。
そう、終わってしまった。
結果は……普通?
かえって来るまでは分からないけど、
手ごたえとしては。
真っ白に燃え尽きた私は――

(糖分補充したい……)

そう考えて、べったべたの恋愛物を読みに来たのである。

四十万 静歌 > ひょい、ひょいと数冊抜き出す。
特に考えない。
あ、恋愛物だと思ったのを抜き取っただけである。
そして、そのまま適当に近くにあった席に移動して読み始める。
うん。まだ明日以降もテストは残っている。

現実逃避だ。

四十万 静歌 > ぱら、ぱらと、ページをめくる音だけが響く。
甘い、甘ったるい。
いや、うん、選んだの自分だけど。

「いつか私だけの王子様があらわれるのかな。」

なんだかそんな事をつぶやいて、
ニヤッとしてしまう自分。
ちょろい。

四十万 静歌 > いや、うん、そんな事ないって自分でも分かってるけど、
分かってるけど――
憧れなのである。

「はぁ……」

思わずため息。

「こんな恋愛してみたいなぁ……」

まずありえないと分かっていても、
いや、だからこそ。

四十万 静歌 > 「ふふ――♪」

登場人物の主人公に感情移入して読む。
やっぱり、
物語の醍醐味はここにあると思う。
私はだけど。
そうしてゆったり読書の時間を楽しむ――時間を忘れて

四十万 静歌 > 「うん。面白かった。」

じゃあ、次の本と、次々本を読んでいく。
しかし、全部恋愛系だが、
時代背景に統一感はない。
乱読家の傾向があるのである。

ご案内:「図書館」にメアさんが現れました。
メア > (図書室の扉を開き、静かに魔道書ある棚に向かう。
魔術のことを調べるのならここの本を調べるのが一番だ。)

...んぅ..(だが、何故か魔導書は他の本に比べて重く
大きい物が多い。例に漏れずこの本も小さな体には少し
持ち運びにくそうだ)

四十万 静歌 > 「……ふぅ。」

ぱたんと読んでいた本をとじて、んーっと伸びをすると、
ふと、小さな声を耳にして、
ん?と、声の聞こえた方へいく。
普通なら気にも止めないのだけど。
なんとなく気になっただけである。
持ち運びにくそうにもっている姿を見かけ、

「大丈夫ですか?」

そう、声をかけるだろうか。

メア > ぇ..(声をかけられ、黒髪の生徒の方を向く)

..ちょっと、重い...(静歌から見てもメアが持つ本は
少し大きく見えるだろう。重量も大きさに違わず
他の本よりも重い、体力のない非力な少女には少々辛そうだ)

四十万 静歌 > 「ええっと……」

うん。私も力がないけど……
これくらいならもてるかなと1つ頷いて。

「それじゃあ、運ぶの手伝いましょうか?」

首をかしげながら提案する。

メア > ぇ、えと...(初対面の相手の申し出に少し悩み)

お願い、します...(だがその本は自分には重かった。
このまま床に落としてしまうよりはこの人に頼もうと本を差し出そうと)

四十万 静歌 > 「よっ……と。」

受け取って変わりにもつ。
重い。
けどもてない程度ではない。
さすがに何冊もとなると一度に運ぶのは難しいだろうが。

「じゃ、先導お願いしますね。」

任せて、というようにウィンクする。

メア > うん...(そう言っていつも使う机の方へ向かう。
その本だけが目的だったのか他の本は取ろうとはしない)

ここ、に..お願い...

四十万 静歌 > 「はい。じゃあ。」

大人しくついていき、いわれた場所におく。

「これでいいでしょうか。
 勉強熱心、なんですね。」

本をみて、そう呟く。
図書館にきて魔術書をよんでいるのだ。
勉強熱心といわずしてなんといおう。
少なくとも、
自分がやった記憶は……昔にこの図書館で、
そういった系統よんだのいつだっけ?
レベルである辺りお察しである

メア > あり、がと...(ペコリと頭を下げる)

勉強..じゃ、なくて...必要、だから...
(図書館に来てわざわざ勉強するのも自分にしては珍しい、
だがこれも必要な事だと思っているから頑張らなくては)

私は、メア...よろしく...

四十万 静歌 > 「必要だから、ですか。
 でも、必要でも出来ない人も一杯いますし、
 熱心ではあると思いますよ。
 あ、私は2年の四十万 静歌(しじま しずか)です。
 よろしくお願いしますね。
 メアさん。」

にっこり笑って頭を下げる。

「それじゃ、戻す時も手伝いますね?」

メア > ぁ...それは、いい...(戻すのも手伝うと聞いて首を横に振る。
この本を読んで理解するのにどれだけ時間が
かかるかもわからないのにそれに付き合わせるわけにもいかない)

静歌..ありがと...(そう言って椅子に座り、
無駄とも言えそうなサイズの本を開く。
本の内容を見てみればどうやらテレポートについて調べているらしい。)

四十万 静歌 > 「そうですか?
 まぁ、近くで読んでますので、
 もし終わった時に私がいたら声かけてくださいね。
 どういたしまして。」

そういって、此方は此方で本を読むのである。
テレポートについて調べているのが分かれば、
便利そうだもんねぇと、
なんとなくそんな事を思った。
なお、一回自分でやろうとしてみたが、
ものの見事に発動し(適正が)なかった。

メア > ん..分かった...(そう言って本に見入る、
読んだ内容を頭で整理し最適な術式を組み立てていく。
だがやはり難しいのか、四苦八苦している。
だが表情には出ないせいで黙々と読んでいるようにしか見えない)

四十万 静歌 > おお、頑張っているなぁ……
と思いつつほほえましく見守る。
本もきっちりよみつつ様子をみて、
黙々よんでる様子に安心。
節穴ではある、が、何気なく。

「魔術、は使えないけど、
 何か手伝って欲しいことがあればいってくださいね。」

本を読みながらぽつり、とそう告げる。
なお、小さい子だから難しい字もあるんじゃないかな的なのりだ

メア > ん..うん、その時は..お願い...(手伝ってもらうとすれば
本を運んでもらう事だろう。)

でも、だいじょぶ...(本を読みすすめる、
自分で完璧に理解しなくてはテレポートは使用者が危険に晒される魔術だ。
そして読み始めて一時間ほど経ち、メアが本を閉じた。)

四十万 静歌 > 「うん。」

にっこり笑ってこちらはこちらで本を読む。
一時間ほどして本を閉じると、
何かはらはらした表情で本を読んでいるだろう。
そっとのぞいて見れば、
本の最後、男が本当に女が死んだと思って、
毒をあおって死んで、
蘇った女がそれをみてナイフで自死したシーンである事が分かるだろう

メア > ...?(表情に気付いてそっと近づき本の中を覗く)

...可哀想、だね...(それだけ、小さく漏らした)

四十万 静歌 > 「あっ……」

その声に反応して、栞を挟んで閉じて。

「読み終わったんですね。
 ええ。可愛そうなお話、です。
 悲恋よりもハッピーエンドの方がすきなんですけど……
 こういう悲恋は悲恋で想いの大きさに気づかせてくれます。」

それじゃ、お手伝いしますね、とでもいわんがばかりに、
瞳に浮かんだ涙をぬぐって微笑む

メア > ...そう、だね...お願い...(そう言って自分の席の方へ
何も言わずに向かう。ハッピーエンド..その言葉にある種の憧れを抱きながら)

ハッピー...(小さく呟いた)

四十万 静歌 > 「はい。」

席に向かうと、本を手に取り代わりに持つだろう。

「ええ、ハッピーですよ。
 幸せな終わり方。
 まぁ、幸せなんて、
 どう考えるか次第なんですけどね。
 ……メアさんは、どんな時に幸せを感じますか?」

手にとってはこぴながら、そんなことを

メア > 幸せ...?(少し悩み...)

甘い物、食べた..時...幸せ...(小さく微笑んだ)

静歌..は..?

四十万 静歌 > 「そうですねー。」

同じく少し考えて。

「毎日幸せですけど、
 私も甘い物食べたときが一番幸せかもしれません、
 口に広がる甘みが
 全てを癒してくれるような感じがして。
 逆に辛いの食べると……
 不幸せですね。
 最近だと――
 カフェテラス「橘」のジャンボパフェはその点、
 凄く美味しかったです。」

うん。と。1つ頷いて

「じゃ、私達のハッピーエンドはきっと、
 甘いものが楽しく食べれる世界なのかもしれませんね。」

なーんていいながら、
元あった場所に本をしまう。

「新しい魔術はばっちりつかえそうですか?」

メア > ジャンボ、パフェ...(存在は知っているが、
自分では確実に食べきることが出来ないので頼んだことはなかった)

うん、それは...ハッピー...(こくんと頷く、
甘いものがたくさんの世界、確かにそれは幸せな世界だ。)

原理は、分かった...から、実践...してまる..

四十万 静歌 > 「誰かと一緒の時は是非頼んでみるのもいいと思います。
 私でよければお付き合いしますしね。」

そういってウィンク。

「後は実践だけなら、
 実践の方もうまく行くようお祈りしてますよ。
 これからも、
 もし見かけて手伝って欲しい事あったらいってください。
 力になれることがあれば手伝いますから。」

なお、ちょっとお姉さんぶっているのだが、
いわぬが花だろう。

メア > ん..そうする...(クスリと笑い、見上げる)

それじゃ、またね...静歌..(ペコリと頭を下げ、図書室の出口へ向かった)

四十万 静歌 > 「ええ。また。」

こちらも頭を下げて見送る。
口数は少ないけど可愛くて良い子だなーと思って見送って、
再び読書に戻るのである――
まだ一冊とちょっと残ってる。

ご案内:「図書館」からメアさんが去りました。
四十万 静歌 > 「さて、と。」

と、残りを読みきって最後の本を手に取る。
最後に手に取った本もまた恋愛話。
平凡な娘が数奇な運命にさらされて、
異国の王と結婚する話である。

ご案内:「図書館」に卯杖 露さんが現れました。
四十万 静歌 > 「私には絶対無理だけどいいなぁ……」

はぁ、と一息ついて本を閉じる。
これで全部読み終わった。

卯杖 露 > 「ええっと――」

明日の授業範囲の参考書を手にとり、空きの机を探している。

四十万 静歌 > うーん、と伸びをして立ち上がり、
読み終わった本を持って立ち上がった所で――

「ん……?」

露と目が合った。

卯杖 露 > 席を占める生徒を一覧していると、ふと視界に、見覚えのあるマント姿を認める。
――目が合った。

「シズせんぱ、い?」
つっかえた。図書館だから声を抑えたのもあるが、単純に言葉を発するのが下手なのだ。

四十万 静歌 > 「露さん?」

見覚えあるなと思ったらやっぱり見覚えがある顔だった。

「お勉強?
 私は単に本読んでただけですけど。」

ゆっくりと近づいて声をかける。
無理にいっぱいしゃべろうとしないでも大丈夫、
というように微笑みながら

卯杖 露 > 語りかける声には気遣いの響きを感じて、小さく言い直す。

「シズ先輩、こんにちは。ええ、あしたの予習をしようと思って」

シズ先輩は、問題を起こしたような話は聞かない、きっと模範的な女学生だ。
最近何だか授業に集中できず、でも真面目の体裁を保ちたいからゆっくり先にやっておくのだ――なんて、要領の悪い事は口にできない。
努めて優雅を装って、参考書を掲げて示した。

四十万 静歌 > 「明日の予習……」

うーん、とちょっと考えて。

「私も読書終わりましたし、
 多少手伝いましょうか?
 まぁ、あんまり頭がいい訳じゃないから、
 あんまり難しい事は難しいですけど。」

などと首を傾げて言う。
まぁ、うん。
後輩の勉強なのだから、
そこまで難しいのでも何とかなるだろう、
と思っているのだ。
成績は良くも無いけど悪くもないのだから。

卯杖 露 > ぱっと顔が明るくなる。もっとも傍から見れば、元々真っ白な顔に微かに赤みがさした程度だったかもしれないが。

「いいんですか?じゃあおねがいしてもいいです、か?」

少し大きくなりかけた声を気にして、周囲の生徒を窺い尻すぼみになる。
いけないいけない、と声を抑えて微笑むと、先刻まで静歌がかけていた空き席へ向かう。

四十万 静歌 > 「もちろん、大丈夫ですよ。」

不思議と周囲の生徒は気にしていないようだった。
さも何もなかったか、
当然の光景であるとでもいいたげに。

「さて、じゃあ、何からはじめます?」

首を傾げて問いかける。
なお、戻す本に関しては一旦後回しである。

卯杖 露 > 「じゃあ、これを」

手にした本には"異能の類型と分析"とあった。
類型化を元に、どんな現象を起こしていたらどんな能力と推測できるかといった内容に続く、どちらかといえば異能を持たない人間に向けた本のようだ。
内容は一年次に属する基礎的なものだが、11歳が読むには苦戦を強いられそうな記述もある。

四十万 静歌 > 「ああ、これなら――」

履修し、単位はきっちり取っている。
問題なく教えれるレベルで。

「比較的大丈夫な部類ですよ。
 ちょっと分かりにくい所もありますけど、
 実はコツがあります。」

だから、大丈夫とガッツポーズ。

卯杖 露 > 思わず、真似するようにガッツポーズを返した。
これで明日も眠…じゃなくて、余裕を持って授業に臨むことができるかもしれない。

授業範囲に対応した頁を捲りながら、ところどころつっかえた行を指さし、上目遣いで首を傾げる。

四十万 静歌 > 「それはね――」

と、懇切丁寧におしえる。
特別教えるのが上手というわけではないが、
下手でもない。
びっくりするくらい普通だが、
だからこそ分かりやすいかもしれない。

「結局の所、
 戦闘系・日常系・その他辺りに分けて、
 そこからの派生になるんだけど、
 大体どういう能力か想像してみれば、
 大体ここら辺って分かりやすいんです。
 その能力で直接、危害を及ぼせるか及ぼせないか。
 及ぼせないなら日常的に生活して有用か否か。
 ですね。
 ここで注意すべきなのは
 能力で結果的に危害を加えたり、
 結果的にないし日常的にも活用できなくはない類は、
 大体その他分類ですね……」

なお、実際の所はもっと細かいし、
違う考え方もあるのかもしれないが、
私にとってはそーゆー考え方が分かりやすかった

卯杖 露 > 引っ掛かりを覚えない人間には何故引っかかるかが教えられない、とよく言われる。
それが理解へ転じる時の記憶があるか無いかに由来するならば、最近理解しきった人間に教えを乞うのは正解と言えたろう。
しかも、その説明はとても平均的で、普通の人間が躓くところをとらえたものだった。少なくとも、大外れは確実に回避できる。

「なるほど、でしたらこの飛行は直接危害を与えないけど、使えると移動に便利だから――」

実際、当然独学よりは分かりやすく、ともすれば授業で聞くよりもずっと分かりやすいように思えた。
やっぱり先輩なだけはある、と尊敬を深める後輩である。

四十万 静歌 > 「ええ、ですから、ね?」

ちゃんと分類されてるでしょう?と答える。

「まぁ、
 で、ここで問題なのが、
 どのようにも利用できそうな能力ですが、
 大体、
 どれくらいの力なのか注釈入ってる事が多いので、
 そこをきちんと読み取れば大丈夫ですよ。
 後は一つ一つ想像しながら読み解いていけば……
 覚えやすくて7割はいけると思います。」

例えば同じ水を生み出す能力でも、
飲料水を作り出す能力と、
洪水を生み出す能力では分類が変わってくる事があるのである。

卯杖 露 > 「なるほど、どっちか分からなくなっちゃったら、注釈や規模から考えるんですね」

めくった頁は、章の変わり目の空白。
正規授業と変わらない程度の時間で、範囲がさらりと終わった。
独学の倍近い速度だった。しかも、眠くなってはいない。

巻末の練習問題を解いてみると75点。及第点以上といえた。

四十万 静歌 > 「ね?ここから100点にするには、
 きっちり覚えていくしかないですが……
 7割くらいとれるようになれば、
 基本は抑えれてますから、
 授業も楽になると思いますよ。」

後は頑張り次第です。
と親指を立ててサムズアップ。
ちなみに、頑張れなかったのが自分な訳だが。

卯杖 露 > 「本当、随分楽になりそうです。ありがとうございました、シズ先輩!」

微笑みぺこりとお辞儀をして、はた、とずっと持っていた本が気になった。

「そういえば、シズ先輩はどんな本を読んでいたんです、か?」

四十万 静歌 > 「え!?
 え、えーっと、それはそのー、
 恋愛系?」

本の事に触れられると、途端にあわてたように左右をみて、
恥ずかしそうにそういった。
確かに本をみてみるとこってこての恋愛系の本ばっかりだ。

卯杖 露 > 「れんあ、い――」

卯杖露は恋を知らない。かつて会った男の子が脳裏をよぎることは幾度もあったが、それはきっと恋ではないと思った。

恋愛を描いた本を読んだこともなくて、だから気恥ずかしく思う気持ちは未経験で。
幾つも年上の先輩が顔を赤らめた姿を見上げて、"わかるなあ"と評することはできなかった。

「それが恋愛小説、というものなんですね。――シズ先輩、どうしたんですか?」
ただ、"なんだか先輩かわいい"と思って、自然と微笑みがこぼれた。

四十万 静歌 > 「いえ、その……
 恋愛した事ないから、
 そういうのに憧れててって何言ってるんだろう私!」

真っ赤になって自爆を始めた。
気恥ずかしさでもう一杯一杯だ。

「えっと、その……
 うん、手助けになれたようでよかった。
 そろそろ本を元の場所に戻して帰るね。
 それじゃ、露さん、また。
 何かあってもなくても遠慮なくいつでもどうぞ」

そういってもってきた本を持って片付けに。
特に何もなければそのまま真っ赤になったまま小走りに出て行くことだろう。

卯杖 露 > 「あっ、はい、ありがとうございましたシズ先輩っ。お礼は、またしに行きますから!」

逃げるように出て行く背中に声をかけて、
憧れて、という言葉を反芻した。
やっぱり、いいものなのかな、恋愛って。

「……恋愛小説。ひとつ、借りて行ってみようかな」

ご案内:「図書館」から四十万 静歌さんが去りました。
ご案内:「図書館」から卯杖 露さんが去りました。
ご案内:「禁書庫」に瑞穂之ノ伊さんが現れました。
瑞穂之ノ伊 > 魔術というものに興味を持ってから何日とこの禁書庫への入室申請をしてようやく一部書物の閲覧が許可された。
元々、俺は魔術の成績がいいわけではないしそもそもが魔術について興味をもったのは数日前であった訳だが、
この数日間で魔術の基礎的な知識を頭に入れて学園から受けるよう言われた適性検査の結果の許可であった。

「魔導書ね……奥の方には封印の施してあるのもあるんだっけか……」

ここに入る前に受けた説明を之ノ伊は脳内で思い出す。

瑞穂之ノ伊 > 之ノ伊が閲覧許可を得たのは魔術の基礎について書かれたものと魔導書についての基礎知識について書かれた解説書に、写本の写本で原本とは言語も翻訳内容すら異なる可能性がある日本語版と呼ばれる最低位の魔導書の閲覧のみである。
禁書庫で人の出入りが制限されるなれば埃まみれな場所かとおもったがそうでもないようで之ノ伊は一安心した。

「あんまり汚ぇ場所は好きじゃねぇからな……」

瑞穂之ノ伊 > 「その気になれば答えてくれるチカラ、か。コゼット先生も面白いこと言うよ」

この数日間、教科書や授業で得られる魔術についての知識は入れてきたが確かにこのチカラの利便性については考えるところがあった。
何よりも自身の不確かな異能に比べれば数段に信頼がおけるとさえ思えた。

「幸いなのは魔術の才能ってか、魔力もそこそこにあるみたいなことか……」

瑞穂之ノ伊 > 閲覧許可が出ている本を集めるとそれなりの数があることが分かる。
内容としてはそれほどでもないし、一級品の魔導書と比べればカスみたいなものばかりであるが教科書しか知りはしない之ノ伊にとっては魔力を帯びた書物というだけで緊張するには十分だった。

「こりゃあ、確かにシロートが遊び半分で触れていいような本じゃないよな……」

魔導書から感じるのは狂気とも言えるような魔力だ。それが最低位と呼ばれる手元の本ですら僅かに恐怖を抱くのだから魔導書片手に風紀やら公安やら委員会に所属してる奴らは狂気の向こう側に居るのかもしれないな、と想像した。

ご案内:「禁書庫」にクオンさんが現れました。
瑞穂之ノ伊 > 之ノ伊がこの数日の勉強やインターネット上などで調べあげた結果と今目の前にある本からの事でハッキリとした事が一つある。

「魔導書持ちはどいつもこいつもキチ●イなんじゃねぇか?」

クオン >  ずずん、と禁書庫が鳴動する。禁書庫の奥にフロアで、
『オォォォ――ン』
 謎の声を聞いた。それは美しい旋律でありながらも、空気を揺るがせ、そして瑞穂の持つ魔導書が僅かに反応を返すような、そんな奇妙な音。

瑞穂之ノ伊 > 地響きにも似た音が聞こえて、続く咆哮のような声に思わず眉を顰める。

「チッ!先客がいるのかよ……にしたって図書館では静かにするのがマナーだろうが……」

不快感を露わにしてやや恐怖を抱きつつもそんな悪態をつく。

クオン >  禁書庫は、何かの危険があった際、動きやすいようにと設けられた広大なスペースが設けられている場所がある。
 そこに。
「…………む」
 ――翼竜が、居た。
 明らかに窮屈そうな格好で。広大なスペースでなお押し込められている。

瑞穂之ノ伊 > 僅かに視認できる禁書庫の奥、底に見えるものが本物なのかは分からない。が、いまさらこの学園に来て驚くこともない。それとなんか、どっかで見たことがあるような気がするがあんな……竜に知り合いは居なかったような気がした。

「……おいおい、逃げた方がいいんじゃねぇか?」

自分に問いかける。
禁書庫への入室時間は決まってるし次に入れるとしてもまた翌日になるのだから出来れば厄介事はゴメンだと顔を引き攣らせる。相手の正体を把握していないがゆえに焦る。

クオン >  古竜の瞳が、そちらを見た。畏怖でもって讃えられた古い竜。語られる者。
 口の端からは赤い燐光が漏れている。
 彼は目を細め……。
「ああ……すまない。先客が居たのかね」
 空気を震わせ、重くするような。巌を思わせる声が響く。
しかしそれはどこか、その声の調子に似つかわず穏やかな色を感じるはずだ。
「どうやら校内の転移術式が異常を示したようでね。私がそれを診ていたのだが……誰かのいたずらでその異常が暴走してしまったのだ」
 ややおどけたような口調。目を閉じながら、極力相手を怯えさせぬよう、古竜は努めて言葉を紡いだ。

瑞穂之ノ伊 > 「なんだ、意思の疎通が取れるのか……」

と目を逸らして小声で呟いてから何処かで聞き覚えがあるようなないようなと思うが、今は意思の疎通が先かと考える。

「俺にはよく分からないが別に先客って訳じゃあなかったんだな。校内の魔術を弄くるとか違反学生(イリーガル)でも入ってきてそうな案件だな」

竜の穏やかな口調から害意がないのはわかるしそう言う気性でもないのだろうと察して砕けた口調で話しかける。

クオン >  意思の疎通が取れるのか、という言葉に対しては少し笑うように。
「ああ。君とは初めましてか。私の名はクオン。ここで魔術の教鞭を執らせてもらっている」
 ゆっくりと顔だけを上げる。なんとか窮屈そうな姿勢から身体を少し動して、多少は話しやすい格好に戻ると。
「見立てでは、転移術式の増改築を繰り返した影響故、違反学生のせいではないと思っているよ」
 などと学園の安全について語る。
 誰かの悪戯は、おそらく些細なものだ。ただ少し困らせたかっただけ。それがこのような結果になったとは、当の生徒も思いもよらなかっただろう。
「ところで、君は? ここはあまり生徒も立ち寄らぬ場所のはずだが」
 その脇に抱えられた魔導書の数々を見つめる。ここに来る以上、それは当然のことでもあったが。

瑞穂之ノ伊 > げ、と思わず声が出たのは勉強と教師と言う存在があまり好ましくないからだ。
「竜で教師……青空先生って話は聞いたことがあるよ」
最も確か何度か自分のクラスでも授業を受ける事があったらしいが当時魔術に興味のなかった之ノ伊としてはサボる授業筆頭候補でしかなかった。
「まあ常に色んな異世界から色んな魔術が流入してきてるんだからバグが生じてもおかしくはないって事なのか?その辺の理屈は数を知らない俺としてはよくわかんねぇな」
と苦笑して頭を振ってからクオンの方へ向き直る。
「一応、許可は貰って入ってるぜ。之ノ伊、瑞穂之ノ伊(みずほ ののい)だ。魔術師でもなければ正義の味方でもないただの生徒だよ、先生」

と笑みを浮かべて答えた。

クオン > 「ここも古い学校だからね。最初の術式から、メンテナンス担当が何度か変わっていたようだ」
 苦笑しながらも、ひとまず妙なところに飛ばされることはあるが危険はない、と再度告げた。その術式も、現在は彼が調整中である。
「なるほど。なに、別に許可がないから説教しよう、というつもりでもない。ただ、尋ねただけでね。魔術の勉強かね?」
 自分の名を聞いた時の態度から、おそらく魔術の勉強をまだあまりしていない――或いは、あまり成績の良くない生徒だという当て推量だ。根拠はない。

瑞穂之ノ伊 > 「なるほどな。俺はまだまだここに来て日が浅いからそういうのはよく分かってないんだよな……そう云うのをメンテする先生も大変だな」
苦笑する竜というのも中々面白く思える。昔はそれこそこんな風に良き隣人ではなく空想の産物だとか言われていたのだと授業で聞くとやや信じられなくはある之ノ伊だった。
「そうそう、ちょいと一週間ほど前に魔術に興味をもって基礎から猛勉強って訳よ」
歯を見せてガハハと言うような笑顔で質問に答える。
「結構、頑張ったんだぜこれでも」
勉学に頑張るのは学生の本分なのだがさも誇るべき偉業をなしたかのように胸を張って之ノ伊は言う。

クオン > 「なに。このナリでは他の先生のように、ペンを握ることもできなければ、キーボードを叩くこともできないのでね。
私は他の先生のようにプリントを作るだとか、そういった雑務が無い。
つまりこの学園で一番暇な教師なのさ」
 これは事実には違いないだろうが、完全にジョークであった。
低く、厳かな声とは裏腹に軽薄な言葉は確かにチグハグだ。
 相手が胸を張る様には素直に目を丸くして、
「ほう。それは素晴らしいことだ。何事も最初の一歩を踏み出せるかが肝心要。踏み出せたというのなら幸いだ」
 そう言うと、声を上げて彼も笑う。喉奥からは炎が僅かに吐き出されるが、これが本に燃え移る様子はない。
「私の担当ではないが、もしわからぬことがあったら学園棟の外れの空き地まで来るといい。
場所が分からなければ、近くの生徒に場所を問えば教えてくれるだろう。
授業時間以外は概ねは暇をしているのでね。
担当外問わず、学びに来る者を受け入れるのがいわば私の仕事だ」

瑞穂之ノ伊 > 「ってことは、先生の授業からはプリントの課題が出ねぇってことか!」
思わず前のめりになりサムズアップするがそれが教師の前だと思いだして慌てたように戻ってそっぽを向いて軽く口笛を吹く。

「とは言え、軽く魔導書っていうキチ●イ法典を見て思うがあまり足を突っ込むべき畑じゃねぇなぁって少し思っちまったよ」
肩を竦めて笑みともなんとも言えないような表情を浮かべた。
それから悪戯小僧みたいな笑みを浮かべる。
「ま、気になることがあったらこっそり先生に聞きに行って楽を……いや、ちゃんと理解させてもらおうと思うよ、ホント」

クオン > 「プリント課題は確かに出ないな」
 相手の態度にはやはり困ったように苦笑を漏らし、
「魔導書の多くは、いわばその者の人生に等しいものさ。こと、ここにあるようなものはね。
だからこそ、呑まれることもあるし、理解することも難しい」
 言ってから、彼は小さく鳴いた。歌うような、小さな響き。
 その声が空気を震わせると、瑞穂の近くの書架から、一冊の魔導書がせり出した。
「私のオススメはそれだ。伝記風でね。魔導を正しく広めようとしたものの奮闘記のようなものだ。
彼の見つけた"魔導の発見"も併記されている。
著者のような魔術師もいるし、その本ならば魔術の基礎を補填しやすい」
 軽く解説を加えてから、
「なに、楽をすることは悪いことではないさ。そこに善悪はない。是非歓迎しよう」
 と、背筋を伸ばした。

瑞穂之ノ伊 > 「ぷっはっ!センセ、話のわかるいい先生だね!」
くくく、と口に手を当てて腹を抱えた。
なるほど、いい先生だ。これなら前にあったっていう授業もサボらなきゃ良かったかもななんて考える。
「ふぅん、伝記ねぇ。伝記って言うとどうしても昔の偉人の飛行機の発明した兄弟だの天下を取ろうとした将軍の話だとか思い浮かべちまうな。魔術関係でも伝記なんてあるもんなんだなぁ」
そう言って出てきた本を手に取り、書名を確認する。
「これは後日読ませて貰うよ。先生のおすすめなら面白そうだ」
しかし、と言葉を少し濁してから。
「魔導書の多くが人生のようなものだって言うなら、その著者の人生が如何に狂ってたものなのかってちょっと怖くなるもんだな……」

「だってよ、気が狂うほどのコトに遭遇しちまったってことなんだろうからさ」

禁書庫の奥を一瞬だけ眺めてそう無感情に之ノ伊は呟いた。

クオン > 「飛行機を発明した兄弟も、四元素を発見し世に広めた魔術師も。例えるならば立場は同じだったということだ。だからこそ、その生涯を伝えようとした伝記もある」
 同じ発明・発見には違いない、と彼は言い。
彼の呟くような言葉には、口の端から燐光を漏らした。
「君の感覚は正しい。この奥にあるのは、正気でいられなかったものたちが記した物だ。
悪魔と取引したもの、迫害され続けてきたもの、真理に触れてしまったもの。
過去に隠匿されてきたかの魔術たちは、相応の暗い物語を持つだろう。
だからこそ、正しく彼らを知るべきなのだよ。
それが、どのように恐ろしいのか。それを知ることで、彼らの物語がいかなる意味を持つのかも理解できるだろう」
 老いた竜の言葉は、どこか遠くを見据えたような言葉だった。それが瑞穂に理解できるかは分からない。
 遠く、過去か未来かに響くような声が瑞穂の耳に届くだろう。

瑞穂之ノ伊 > 「ふぅーん……」
クオンの言葉を聞いてその瞳の色がやや変化する。
「なるほど…なるほどねぇ。確かに、確かにそうだ。正しく理解するのが大切なのかもな」
何か僅かに含みがあるように聞こえたかもしれないが、そこに浮かぶ感情はよく分からないだろう。
「ま、俺には縁はないだろう外道法典なんざよ、どうでもいいけどな」
俺は成績よくねぇからな、と戯けるように続けた。

「と、先生と話してたら入室時間もそろそろ限界だ。出来れば学園側に先生から『瑞穂之ノ伊』には積極的に許可を、とか言っておいてくれよ?」
と冗談を言いつつ今日手にした本のタイトルを手帳にメモしていく。その中には先程の伝記も含まれる。

瑞穂之ノ伊 > 書き終えると之ノ伊はクオンに軽く会釈して禁書庫を後にする。
ご案内:「禁書庫」から瑞穂之ノ伊さんが去りました。
クオン > 「ふ」
 どのような意図か、小さく息を漏らしながら、
「ああ。君が大いに学ぶというのなら、協力しよう。
君が私のところに学びに来たなら、その理解度に応じて具申してみよう」
 冗談を事実に変えながら、クオンは続けた。
「ああ、それではな。私も……まあ、適当にここから抜け出すとしよう」
 翼を折りたたみながら、瑞穂を見送り。その背を見つめながら、帰還のための呪文を紡いだ――。

ご案内:「禁書庫」からクオンさんが去りました。
ご案内:「禁書庫」に『ベルノワールの預言書』さんが現れました。
『ベルノワールの預言書』 > 暗い禁書庫の中。
一人の男がゆらりと立ち上がる。
その手には怪しげな魔導書。
男は歓喜の声を上げる。

「ようこそ、歓喜の夜へ!
万願成就への道は開かれる!」

『ベルノワールの預言書』 > さあ、復讐の時間だ。
時計の針を進めよう。
かつて自分を封印した図書委員会。
そして常世学園。
有象無象を飲み込み尽くし、
書に刻まれた未来を目指し、
預言は誰にも止められない。

「全ての未来は、預言のままに」

男は嬉しそうに呟いた。

『ベルノワールの預言書』 > とはいえ、本体はまだ封印されている。
この封印を破る方法はただひとつ。
多くの精気を集めなくては。
人間たちの力を。

――制約は未だ多い。忌々しい図書委員め。

「愚かな事だ、預言は必ず成就するというのに」

『ベルノワールの預言書』 > 歌うように言いながら、男は禁書庫から掻き消える。
魔導書は解き放たれた。
常世島に災厄をもたらすべく。
破滅の未来を成就させる為に。

――図書委員会禁書庫管理『焚書官』たちが気付くのは、いま少し後の事である。

ご案内:「禁書庫」から『ベルノワールの預言書』さんが去りました。
ご案内:「図書館」に聖夜さんが現れました。
聖夜 > 「ふむ、実に興味深いわね……」

大図書館群のとある分館の一つ
その読書スペースの一角に聖夜の姿はあった
彼女の前にある木造りのテーブルには何冊かの本が積み重ねっている
それぞれの本の厚さは薄い

ご案内:「図書館」に橘 臨助さんが現れました。
橘 臨助 > 「……」
図書館に入り、入り口でスマホのダイス機能でサイを振る。…読みたい本などない。ただ本を読みたいのだ。だからこのように無作為に選んだとして何の問題もないが…
「……っ」
すこし顔を顰めた。手に取ったのは『論理哲学論考』と言う本。見るからに難しそうだが、だからと言って手放して選びなおすのは逃げるようなのでーー取り敢えず挑むことにした。

橘 臨助 > かといって、こんな本だけでは滅入ってしまう。
ーー息抜きの本もついでに取り出そう、そうだな…魔術書でいいか。
と、魔術書のコーナーを漁りだした

聖夜 > 「本は物語と同時に歴史を語ると言うけれど……
かつてこの世界にこれらがあったのか、それとも単なる空想なのか」

小さく呟きながら手にした本のページを捲る
そこに描かれているのは異形と人との戦いの物語
英雄的な空想物語

「…まぁ、後者でしょうね」

橘 臨助 > 「……先客がいたか、無人かと思ったが」
自分以外の人を察し、さりとて別に何かするわけでもない。以前本を探す。
魔法の才能がからっきしの自分だが新しい発見があればなにかしらの道は開けるかもしれない。

聖夜 > ふと少年の姿が目にとまった
魔術書コーナーへ向かった所を見ると
学習のために図書館へと訪れたのだろうか?

「…あら?」

少年と目があった、しかし目があったのは一瞬だけ
少年はすぐに書架へと向き直ってしまった

橘 臨助 > 「……ルーン魔術…なんとか論理学やら言語学、記号学にこじつけようとしてみるが…」
やはり試みない事にはなにもわからず愚直に努力するしかないと、新しい道の開拓を一旦中止する。
「……イメージで感覚をつかむってなら、聖典やサガの類でもいいよな…」
そして今度は、少女がおそらく漁っていたであろうコーナーに向かう

聖夜 > 「その辺りの本はあまり勉強に役に立たないと思うわよ…?」

臨助の隣から急に声がした、視線をやればそこには黒髪の少女の姿
先程まで読書スペースのテーブルで読書に耽っていた少女だが
まるで一瞬で移動して来た様な不思議な感覚
にこやかに微笑む少女は先程まで読んでいた本を右手で掲げ見せる
その表紙は極めて漫画イラスト的あるいはアニメ的な絵柄で
もし臨助が本に対しある程度の知識を持つならば
ラノベと言うジャンルに分類される本とわかるだろう

橘 臨助 > 「…そうか、ならそれを念頭に置いて読むか。」
突然現れたってより突然声をかけられた事にすこしだけ驚く。
「あんた、詳しいのか。」
手に持ってる本がラノベだとは知ってるが読んだ事のある作品でも無いので言及しない。

聖夜 > 「そう?詳しいと言うほどではないわね……
この類の本はこの島に来て初めて手にしたのだもの?」

マイペースに言葉を紡ぐ聖夜の表情は
臨助に驚きを与えた事を楽しんでいる様に見える
聖夜が臨助に声をかけたのは気まぐれ
単調な時間流れる図書館内で変化を求めての事

橘 臨助 > 「ふうん……で、なんでこれが役に立たないと?」
マイペースな奴だ。第一印象はそんなものだ。
会話に乗ったのは他にやる事もなかったから。本を読めばいいだろう、というだろうが…そもそも話すも読むも彼にとっては今どちらも等価値でどっちでもよかった。なんでもよく、取り敢えず何かを収集しているのだ。

聖夜 > 「なんて言うのかしら、そうね……
現実(リアル)の方がこの作家の想像の先を行ってしまったと言う事かしら?」

相手がどんな感想を持とうが
こちらに興味をもったのであれば聖夜には十分な成果であった
会話が繋がればそこから何かが生まれる
だから聖夜は臨助の質問に答える

「貴方もたまに聞くでしょう?この島で起こっている争いの事
それってまさにこの本の通りの事じゃない?」

聖夜が手にしている本の内容は
特殊な力を持った少年少女が吸血鬼をはじめと怪物達と戦いを繰り広げる物
剣が煌めき、炎が炸裂し、怪物が咆哮を上げる
それらはこの島の裏舞台で起こっている出来事にも似ていて

橘 臨助 > 「……そういう事か。もちろん知ってるが…ならこれを手に取るのは間違いじゃ無いな。つまりこれは基礎に入るってことだ」
パタンと本を閉じ、また別の本を探す。
「劣等生には丁度いい。どのみち手探りだ。」

聖夜 > 「基礎か、そう言う考え方もあるわね
確かに空想物語でも捉えた方によっては得る物もある、…?」

聖夜は臨助の答えを面白いと感じた
吸血鬼である聖夜にとって本の内容は想像以上の何者でもないが
この少年にとってはこの本は想像を膨らませ
さらなるイメージへと至るためのツールになりうるのだと
しかし続く『劣等生』と言う言葉には首を傾げてしまう

「劣等生?そんな風には見えないけれど?
そうね、でも上を目指すために読むのならこの上段付近を読むといいかもね、ふふっ」

聖夜の紅玉の瞳が一瞬だけ煌めく
自身を劣等生と語る臨助だが、その魔力に可能性を見たから
属性が無いと言う事はどの様にでも染まりうると言う事だから
それは闇へと大きく偏る聖夜には持ちえない物

だからその可能性を面白いと感じるた聖夜は書架の上段部を指差す
そこは高さゆえにあまり人が手を伸ばさぬ所
人が手を触れぬゆえに『力』の溜まりやすい場所

「さて、私はそろそろお茶の時間だからそろそろ失礼するわ
ごきげんよう……」

臨助からトンっと一歩離れると、小さく笑みを浮かべ
黒髪を翻すように反転しその場を後にした……

橘 臨助 > 「…まだまだ未熟って意味だが…そりゃ、どうも。そっちにも手を出してみるよ。」
とは言え先ずは足場を固めてからだと言うように本はキープしつつ。
「…で、なんだったんだアイツ」
マイペースで変な奴だったが、まあ
「…悪い奴じゃなかったんだろ、多分」
ひとりごち、そして勧められた上の本棚に少し背伸びして手を伸ばした。

ご案内:「図書館」から橘 臨助さんが去りました。
ご案内:「図書館」から聖夜さんが去りました。