2015/06/06 のログ
学園七不思議―【異次元通り】 > 「…っ、ありがてぇ…!!俺にとっちゃ捨ててぇ過去だ…話すぐらいは何でもねぇ」

(玲刃の言葉に深く頷き、強引に玲刃の手を取ればぐっ、と力強く握りしめる)
(それほどまでに彼の言葉が嬉しかったのだろうか)
(袋小路に迷い込んだ少年にとって玲刃の言葉はまさに一筋の蜘蛛の糸だったのかもしれない)

「詳しいことは此処から出てから話す。まずはこんな気味わりぃとこさっさと脱出しねぇとな…」

(気を入れるかのように肩を回し、少年は語り始める)
(此処が「異次元通り」と呼ばれる不可思議な空間であるということ)

「昔…研究施設でデータだけは見たことあったんだ。
 いろんな異能を研究してる奴らでよ、その中に…異次元通り、って名前もあった。
 要するに、此処は誰かの異能が作り出した空間ってことらしい」

(詳しいことは覚えてねぇけど、と少年は付け加える)

「確か…迷い込んだ奴の心象風景を読み取って、空間を形成してるって話だ。
 迷い込んだ瞬間の記憶を読み取ってるから、同じ光景だけが延々と繰り返される。
 だからよ…違う場所をしっかりと思い描ければそのうちその場所に出るって話らしいんだ」

(脱出方法は単純明快。心で念じればそこへ通ずるということらしい)
(しかしながら、施設以外の地理に疎かった少年には思い浮かべる場所がなかった)
(それ故にここから脱出出来ずにいた、ということらしい)

「…なぁ、アンタなら……思い浮かべられるだろ!?行きたい場所、戻りたい場所によぉ!」

白崎玲刃 > ああ、こちらこそありがとう。俺も丁度、情報が集まらな無くて困っていた所でな。
【手を握られながら、苦笑いでお礼を言った】

異次元通りか…異能が作りだした空間な…興味深いな。
いや、しかしだ、とりあえずは脱出を目指すか。
【少年の異次元通りへの説明に興味を示すも、まずは、脱出するべきかと考えた。】

とはいえ、だ。何処かへ出るにしろ、研究施設から逃げ出したなら、風紀委員や公安委員に見つからない場所が良いだろう?とくに、公安委員はやばいからな。
【どういう場所に出るべきか考えながら話、最後に、実感の籠った声と苦い笑みで、公安はやばいからなと付け加えた。】

とりあえずだ、この空間から抜け出した後、一人ででも生きてける手段はあるか?
【真剣な顔で、この空間から出た後どうするのかを少年に問う。その返答によって、思い浮かべる場所を決めるつもりのようだ。】

学園七不思議―【異次元通り】 > 「…何とか、ならぁ。この島に来るまでだってそれなりに泥を啜って生きてきたんだ。
 身寄りがねぇからって野垂れる程やわじゃねぇつもりだ」

(玲刃の問いに苦い顔をしながらも答える)
(二級学生であるということからも、彼の潜って来た修羅場はあるていどは察することが出来るだろう)
(少年は知らずとも、玲刃の境遇とそれなりに似通った部分はあるようだった)

「…それによ、こっから出たあと誰かの世話になりゃぁ…それは…そいつを巻き込むことになっちまうだろ?
 俺だって札付きで追われる身だ。知らねぇ誰かを【こっち側】に引き込みたかねぇからな」

(口の端を持ち上げ、苦々しいながらも笑みを浮かべてみせる)
(地を這って生きて来た者の、精一杯の強がり)
(陽の当たる場所を生きる者には分からぬ男のプライド。玲刃には分かるのだろうか―)

「…っつーわけでよ、頼むぜ兄ちゃん。アンタに遅れずついていくからさ。
 出口、作ってくれよな」

(柄でも無かった、とでも言いたげに頬をかいて玲刃の背を軽くたたく)
(あとは玲刃が歩き出せば―きっと思い描いた場所にたどり着くことだろう)

白崎玲刃 > ああ、わかった。
【少年の苦い顔を見て察する。この少年も修羅場を生きて来たのだと。普通の側の人間を異常側に引き込みたくないという自分の気持ちに似た気持ちを察し、真剣な表情で強く頷く。】

まあ、俺も、そっち側ではあるんだがな。
【少年の言葉に、今の自分の現状を思い出しながら、小さい声で苦笑いと共に呟く。】

ああ、わかった。任せとけ。まあ、あそこなら、ほとんど巡回も来ないだろうし丁度良いだろうさ。
【カッコつけた様な笑顔で、そう良いながら頷くと。あの公安委員との戦闘の後、音音と共に転移した場所。未開拓区の転移荒野にある、あの場所を強く思い浮かべ、玲刃は歩きだした。】

学園七不思議―【異次元通り】 > 「…何だ。だったら意外と此処に迷い込む奴らってのは似た者同士なのかもしんねぇな」

(玲刃の言葉にため息交じりの苦笑)
(似たような境遇の少年二人が、この異次元から脱出すべく一歩を踏み出して―)



(景色の変わらない通りを進めば、唐突に視界が大きく歪む)
(此処に迷い込んだ時と同じ現象。歪んだ視界の先にあったのは―)

「っは、はは!出られた、出られたよオイ!!兄ちゃん!!すげぇや!!
 ははははは!!これで、これで俺は自由だ!!!」

(様々な漂着物が転移してくるこの未踏の地にて、少年は歓喜の声を上げる)
(一般に危険だと言われる区域であろうと構うものか)
(今自分を縛るものは何一つない。それだけで此処はこの世の楽園と相違ない)

「―いやホント、助かったよ兄ちゃん。アンタが居なきゃどうなってたことか…
 …っと、名前。まだ聞いて無かったよな。俺は【須藤雄一】ってんだ。アンタは?」

白崎玲刃 > ……!…無事脱出、脱出だな。
【転移荒野を思い浮かべながら歩き出し。玲刃は歩き出し、来た時と同じように視界が歪むのを確認し、その後、音音と共に居た、あの場所に辿り着くと、玲刃も喜んだ様な表情を見せた。帰ってくる事が出来たのだ。】

これから、お前は自由だ。ああ、本当に…良かったな!
【自由を手にし喜ぶ少年に強く頷き答える。本当によかったなと、これから先は自由の混沌だ、強く生きろよという思いを込めて強く強く頷いた】

ああ、こっちこそ。助かった。お前がくれた、異次元通りの情報が無ければ出られなかったかもしれない。
須藤雄一か。俺の名前は、白崎玲刃だ。まあ、今は指名手配されてるから何処かで聞く事もあるかもな、ははは
【玲刃は、雄一にお礼を返すと。名前を告げ、冗談めかして笑いながら、指名手配されてると語った。そして、収納の魔術を発動すると、中から、長剣と大剣と投げナイフと電気を帯びた魔剣を取り出して言った。】

何も持たずに行くのはきついだろう?どれでも良い、むしろ、全部でも良いから持っていけ?
【と、自由と手にした少年に対し、せめて自由の中で強く生きていく為の手段を与えようと、取り出した武器を地面に置いて見せて、笑いかけながら言った。】

学園七不思議―【異次元通り】 > 「…悪ぃな。さっきは強がり言ったけどよ、やっぱステゴロってのは不安なんだわ
 ってなわけで…コレ、借りてくぜ」

(取り出された武器の中から投げナイフを選び取り、懐へとしまい込んだ)
(「借りてく」と言うあたりが彼なりのプライドなのだろう)

「これ、そのウチ返すからよ。次に…そうだな、来週辺りにまた落第街に来てくれよ
 そん時に…研究所のことも話しときたいしな?」

(まだ見ぬ自由の荒野を一歩、二歩歩いて振り返る)
(餞別に受け取った投げナイフを胸に、少年は歩き出すだろう)
(この先に待ち受ける自由の荒波を抜け、再び玲刃と会合すると約束を交わし)

「…ホント、助かったよ。んじゃ、またな玲刃!アンタとはいろいろうまくやっていけそうだ!!」

(最後にそう言い残し、少年は駆けていく)
(その身を縛っていた鎖は既に無い。何にも囚われることの無い足踏みは、きっと軽やかに映ることだろう―)

白崎玲刃 > ああ、気にせず借りるといいさ。期限は、無期限だ。
【彼のプライドを察し。玲刃はそう答えた。】

別に返さなくても良いぞ。その返わり、期待しているぞ?落第街だな。ああ、わかった。研究所か…それに関しての依頼もあれば、来週受けるぞ?
【玲刃は情報を期待しているとにやりと笑って答えた。】

ああ、そうだな。俺も、雄一とは上手くやっていけそうで、安心したよ。じゃあ、またな・
【駆けてゆく少年に声を掛け手を振ると、その後ろ姿に、一声呟いた。】
がんばれ。強く、生きろよ…。

学園七不思議―【異次元通り】 > (そう言って別れたきり、雄一が二度と玲刃の前に姿を現すことは無かった)

(約束の日、落第街を訪れた玲刃を待っていたのは、あの日貸し与えた投げナイフがゴミ捨て場に打ち捨てられている光景であった)
(夜露に濡れ、投げナイフの切っ先から滴る水滴はともすれば涙のようでもあり)
(赤黒く塗られた壁に反射するそれは血の滴のようでもあった)

(どちらにせよ、あの日以降雄一がどのような経緯を辿り、今どこで何をしているのかを知る術は玲刃にはない)
(再び研究所に捕えられたのか)
(それとも落第街で頻発する下らない諍いに巻き込まれたか)

(その真実もまた、落第街に立ち込める暗雲の中へと飲み込まれてしまったのだった)

ご案内:「落第街大通り」から学園七不思議―【異次元通り】さんが去りました。
白崎玲刃 > 【雄一に手を振ったあと、玲刃もまた何処かへと歩いてゆく。】

【後日、約束の日に落第街で、ごみ捨て場に打ち捨てられた、投げナイフを見て、驚愕し。駄目だったのか…と。少し悲しそうな表情で俯き、そして、投げナイフを拾い、収納の魔術で仕舞う事無く、自分のポケットへと入れ。自分の拠点へと持ち帰り。その後、供養のつもりなのか何なのか、しっかりと保管されているらしい。】
【ともかく、この事件により、玲刃は、学園の闇への怒りをより一層強めるのであった。】
【玲刃は探すであろう、かつて須藤雄一が捕まっていたという研究所を、きっと、いつか必ず探し出すであろう。】

ご案内:「落第街大通り」から白崎玲刃さんが去りました。
ご案内:「落第街大通り」に川添 孝一さんが現れました。
川添 孝一 > (俺は逃げていた)
(自室の部屋の前に張っていた男たちから)

(今、思えば―――――これが俺の一番長い日の始まりだったと思う)

川添 孝一 > (逃げた、逃げ続けた)
(しかし追いかけてくる黒服にサングラスの男たち)
(逃げ続けたが、あえなく袋小路に追い詰められてしまう)

「待て、川添孝一」
……なんなんだよ、お前らは。
「常世財団の者だ、こう言えばわかるな?」
なんのことかサッパリわかんねぇよ、なんで追いかけてくる。
「お前が常世財団本部に潜入したことはわかっている」
………はぁ、そりゃ大層な理由だ…

(知らないフリにも限度があるように思えた)

川添 孝一 > 「お前が本部で盗み見たデータの履歴が残っていた」
「その中に『追放された神』の情報があった」
「その直後に海底遺跡に行くために硬式潜水服と潜水艇を借りるとは」
「浅はかとしか言いようがないな、川添孝一」

川添 孝一 > (舌打ちをする、海底遺跡に行く生徒なんて日に五人以上いるだろうに)
(全員を調べたのか? 暇なことだ―――心の中で毒づく)
ああ、ああ、それで? もしそれが本当だったらどうするってんだ?

「決まっているだろう川添孝一……お前は放校処分だ」

ご案内:「落第街大通り」に否支中 活路さんが現れました。
ご案内:「落第街大通り」に鈴鳴トバリさんが現れました。
川添 孝一 > !! お、おい待てよ! 俺が本当にやったとは限らねーだろ!!
疑わしきは罰せずじゃねぇのか!?

(食い下がる川添を黒服の男が鼻で笑う)
「もともとお前は不良だ、評判も良くないし違反薬物にも手を染めている」
「適当な理由をつけて島から追い出すだけだ」

鈴鳴トバリ > ……まァ、アイツの失敗は成功みてェなモンだ
しかしま、アレばっかに任せるにゃァ情報の収集量にも限度があるわなァ……

(ごとり、ごとり)
(窮地と化した袋小路に、重々しいブーツの音が響いてくる)
(恐らくは――偶然に迷い込んできた一般人か)

否支中 活路 > 『袋小路を形作る建物の、外に張り出した階段の上に男が立っている。
包帯に覆われた目だけが緑色に光って、財団の黒服たちを見下ろしている』

川添 孝一 > (鈴鳴トバリに向けて黒服の男たちが一斉に振り返る)
(その中の一人が追い払うように手を振った)
「なんだ、君は。早く帰りなさい」

………!!(川添孝一が否支中活路に気付く)
あ、あんたは一体………!
(その緑色の輝きは、深夜にあってもしっかりと見て取れた)

鈴鳴トバリ > ……あァ?

(そうして、たまたま偶然にその渦中と遭遇する)
(大勢の黒服、それに追い詰められているように見えるのは学園の生徒か)
(……――階段に見える包帯の男には気付いていたが、今は眼前の方に興味が向いた)

(……――暫し、思案する。逡巡の後、少年はふわりと笑みを浮かべて)

……いやあ、すみません。道に迷っちゃって。
ところで、何かあったんですか?

(まるで少し怯えるように、訊ねる)

否支中 活路 > 『鈴鳴をちらと見やり』

(迷い込んだんか、えらいタイミングの悪いやっちゃな……いや、タイミングええと言うべきか?)

『川添の声には答えない。
代わりに鈴鳴の登場に気を取られた黒服らの背後へ、其の場所から金色の金属片を放り捨てるように投げる』

川添 孝一 > (黒服の男がため息をつく)
「この男は常世財団本部に忍び込み秘匿情報を閲覧した罪を問われている」
「深入りするんじゃあない、早く行け」
(鈴鳴トバリに向けて使う言葉が強くなる)

(黒服たちが金属音に一斉に振り返る)
「なんだ……?」

鈴鳴トバリ > えぇっ、常世財団本部に

(わざとらしく大げさに、驚いたように口元に手をやる)
(その所作の裏で、ひそり、左手をポケットに差し入れた)

へぇ、それは……――凄いですねェ

(――ぎらり、瞳が炯々と光ったのに果たして気付くか)
(或いは、金属音に振り向いたのは、少年にとっては気取られぬ幸いだったか)


(……――あァ?)
(階段上の男を一瞥。そして注意深く金属片を見遣った)

否支中 活路 > 「――ॐ(オーン)!」

『黒服が振り返るかいなかで、男がトリムールティの聖音を口にした。
同時にバチリと金属片が弾ける。

一拍の空白。

次の一瞬で、金属片が約3メートル四方に向けて雷霆を発した』

川添 孝一 > 「………!!」
(散り散りに跳ぶ黒服たち、しかし黒服の一人が雷霆に倒れた)
「面倒だ、まとめて消してしまえ!!」
(黒服たちが大型の拳銃を取り出す)
「全員殺せ!!」
(黒服たちは衝撃を軽減する能力で反動をまるで感じない連射を鈴鳴トバリ、否支中活路、川添孝一に放った)

うおおお!?(慌てて壁を蹴って跳んで銃撃を回避する)
この野郎!!(右腕を伸縮させて黒服の一体を殴り飛ばした)

鈴鳴トバリ > ……――はッ!!
(爆ぜる雷鳴に対して、少年が真っ先に返した反応は笑顔だった)
(それも満面気色、そうでなくてはならないといった風に極上の笑顔である)
(肉の灼ける匂い、絶叫が交響するなか、果たして彼が3メートルギリギりの距離に立っていたのは幸運であった)
(元々金属片を注視していたこともあり、バックステップひとつで回避することに成功した)
(そして次に捉えるのは、黒服たちが取り出した拳銃)

あッは、なんだなんだッ!
好い子ぶってても結局それかァッ、おもしれェ集団だなァ常世財団ってェのはよォ!!

(――化けの皮がはがれた。口汚く挑発しながら、注視するのは銃口それのみ)
(銃弾を見切れるほど身体能力は優れていない。だが軌道を予測し、反撃経路を導くことなら――)
(銃撃される前、間髪入れず、左手をポッケから引き抜く)


えェ、モブはすっこんでろッてンだよォ!!!


(――ちかり。掌の中で何かが煌めいた)
(次の瞬間、黒く鋭くとがった弾丸のようなものが手前の黒服の足に向けて撃ち出されるだろう)
(それと同時、姿勢を低くして射撃を回避しながら、あろうことか黒服たちの集団に向かって疾駆する!)

否支中 活路 > 『完全に巻き込んだ形になる鈴鳴に、しかし特に斟酌する様子はない。
いやむしろ、鈴鳴の笑いへと包帯の下でニヤリと笑ってみせた。
そして』

派手にやっとるようやな、“ルナティックトロウル”

『向かってきた銃弾が眼前で異様な軌道を描いて活路を避けて行く中、川添へと声を降らせる。
銃弾が前に来るたび、チカッチカッと学生服の端ではためく紙が輝く。
矢避けの呪符だ。』

川添 孝一 > (黒服の一人の足に黒い何かが突き刺さる)
「あぐあ!!」
(苦悶の表情と共に黒服が倒れこんだ)
「緑眼の男に銃弾は通じない! 川添ともう一人を殺してからナイフでやれ!!」
「わかった!!」
(その会話の最中に鈴鳴トバリが突っ込んでくる)
「な、こいつ、銃が怖くないのか!?」

あ、あいつは……“ゲートクラッシャー”否支中活路か!!
(鈴鳴トバリに怯んだ隙を見て人差し指を黒服に向ける)
くたばれ、常世財団の犬ども!!
(川添は骨の銃弾を連射していく)
(黒服の一人が人差し指の骨弾を浴びて倒れた)

鈴鳴トバリ > はッ、ははははははッ!!

(狂笑。銃声が響き暴れる中を突ッ込んでいく)
(ぐつぐつ、まるで全身の血が歓喜に沸き踊るようだ)
(――滑り込むように。足に攻撃を受けて倒れ込もうとする黒服の下に潜り込もうとする)
(それが成功すれば、覆い被さる黒服をまるで肉の盾のようにして立ち回るだろう)

オイオイオイオイ面白い戯言ぬかしてくれるじゃねェかッ!!
えェ、ぼくから言わせりゃァそんなクソしょうもねェ玩具のどこがどう怖いのか教えてほしいねぇッ!!

本当に怖いってェのはなァ、得体の知れねェ脅威のことを言うんだぜェッ!!

(左手を、覆い被さるように盾にした黒服の胸に押し当てる)
(次の瞬間、黒服の身体を突き破り、背中から黒い杭のようなものが飛び出すだろう)
(撒き散らす血液は煙幕の代わり。そして、恐怖をあおり立てる精神攻撃だ)
(もし黒服を盾に出来ていなければ、左手から突如伸びて現れた杭が適当な相手を串刺しにかかるだろうか)

否支中 活路 > 『鈴鳴の大暴れぶりに任せつつ、手すりを越えて階段を飛び降りる。
着地時には足元に魔法陣。
衝撃を吸収したそれはそのまま活路の右足にくっついて』

オ  ラ  ア  ッ

『近くの黒服に対して足裏に張り付いた魔法陣を突きつけるように蹴り入れる。
いわゆるヤクザキック』

川添 孝一 > (盾にされた黒服が悲鳴を上げる)
「やめ、バカ、撃つな!!」
(黒服たちに伝播する一瞬の躊躇)
「こ、このガキがぁ!! 常世財団に逆らって無事で済むと思ってんのかぁ!!!」
「こんなことしても無駄だ!! もうお前らは終わりなんだぞ!!」
(口々に吼える黒服たち、だが)
「ヒッ」
(撒き散らされた血液が全員の士気を下げる)
(血は死を、敵の笑い声は恐怖を喚起する)

(否支中活路の蹴りで大きく吹き飛ぶ黒服)
(壁に頭をぶつけて気絶し、すぐに動きを止める)

知ってるぜ……てめぇら、財団が作り出したクローン私兵だろ…
一年しかねーっていう寿命をこんなところで使い果たすとは残念だったな!!
チンケな調整量産型異能(モデュレイテッド・アーツ)を抱えたままブッ潰れろ!!
(両の腕を伸ばし、連続で伸縮する拳を放っていく)

(そして)
(黒服たちが全員倒れ伏した頃、肩で息をしていた川添孝一が喋りだした)
……助かったよ、否支中活路。それにあんたも。
しかし……こいつらを潰したところで俺の放校処分は確定だろうな。
……真実を深追いしすぎた末路か。

否支中 活路 > 『終わったあと、伸縮する指揮棒のようなものでカリカリと地面にのたくった文字を書きながら』

話は聞こえてたけど、えらい急いだもんやな。
オレも話聞こおもて来たんやけど、ここまで展開早い思わんかったで。

鈴鳴トバリ > (――恐怖に満たされた群衆ほど、引っ掻き回しやすいものはない)
(痛み、叫び、苦悶、そして絶えず笑い続けるこの少年自身)
(視覚的に恐ろしさを引き立てる鋭くとがった杭、真っ赤に飛び散る鮮血)
(すべてが、計算された少年の武器である)

ははッ、ひゃはははははははははははははははははははははははッッ!!

(……尤も、半分は完全に自分が楽しんでいるだけのように見受けられるが)


(――すべてが落ち着けば、盾にしていた黒服からの返り血を拭いもせず)
(ゆらりと頭を上げると、川添、そして否支中をふたりをぎらり睨み付けた)

あァ? だれがいつ手前を助けたよ。
ぼくはな、ぼくが面白けりゃァそれでいいんだ。
……ンッンー、ツマんねェが手札のひとつにゃ悪くないねェ

(抜け目なく、黒服たちの遺体から大型銃をくすねようとしながら)

川添 孝一 > ……しょうがねーだろ、否支中活路。
俺は真実を知りたいんだ……そのためならどんな手でも打つ。
だが……その結果がこれか。(星空を見上げる)
なんともやりきれねぇバッドエンドに到達したもんだ……

(鈴鳴トバリを見てため息をつく)
ああ、そうかい。(助けたわけじゃない、との言葉に肩を竦めて)
でかい銃だな……デザートイーグルっていうレトロな銃の近代版みたいな感じか。
こんなもん持ってる辺り、俺が抵抗したり知りすぎていたら消すつもりで来たんだろうな…

否支中 活路 > 『鈴鳴が銃を回収しているのに対して咎める様子はない。
ただ、しばらく書いていたものが書き終わると』

あージブンちょっと離れてや。

『言いながら地面トンと叩く。
書かれた模様からじわじわと妙な速度で火が伸びて黒服へとゆっくり向かう。
それを眺めたまま』

まあそうやな、確かに学園運営の方には目ぇつけられたみたいやし、このまま普通に登校を続けるっちゅうわけにはいかんかもしれんな。
それでどうするつもりや?島から出るんか?

鈴鳴トバリ > (一方、トバリは冷静に両者の力を測ろうとしていた)
(まずは川添――指先から何かを飛ばし、そして伸縮する拳を放っていた)
(指から射出したものが何かは分からないが、恐らくは身体変化系統の異能力者だろう)
(包帯の男は――目の当たりにした力が、あまりに統一性がない)
(恐らくこちらは魔術師の類。金属片から雷撃を放った点を見ると、何らかのデバイスを介した魔術が主だろうか?)
(……推察は止まらないが、思い込みは身を滅ぼす。トバリは存外に落ち着いていた)

……あんなブレずに連射できるシロモノじゃねェな。
大方異能絡みか。まァ良いさ、貰えるモンは貰っとく主義でねェ

(銃をごそりと乱雑にポケットに突っ込む。グリップは丸見えだが、落第街では問題あるまい)

……それにしても手前ェ、なかなかトんだマネをしたモンだなァ。
常世財団に真正面からケンカを売るとは、カシコいとは言えないねェ。
少なくとも、全部失う覚悟も無しにそのザマじゃァ、ここで終わっちまった方がラッキーなのかもしれねェーが

(そして次なる興味は川添へ向く。煽るような口調だが、案外的は射ているだろうか)
(と、そこで出現した炎を見遣るや、一歩二歩身を引いて)
(「あァ、やっぱりな」と小さく呟いた)

ゴミ処理もお手の物かい。
ベンリなモンだなァ、魔術ってェのはよ

川添 孝一 > お、おう。(離れろと言われれば素直に離れて)
そうだな……島を、離れることになると思う…
……卒業まで、いたかったけど。仕方ねぇ。
あちこちでワルさして回ってた罰が当たったのかもな……
……ま、ヤンキーの更正物語なんてつまんねーし。
(諦めの混じった表情、火の行方を見守る)

………お前の言うとおりかもな。(鈴鳴トバリの言葉に視線を下げて)
賢い生き方ができてりゃこんなことにはならなかった。
そもそも……真実なんていう、残酷なものを追い回した結果だ。
受け入れるっきゃねぇよなぁ……(髪をかきあげて)

否支中 活路 > 『鈴鳴の感想にそちらを見る。
川添への言葉を聞くに、ただの狂犬でもあるまい。
値踏みするような視線をいまだに淡く輝く緑の目で真っ直ぐ受け止めて』

別に変わったこたあらへんよ、ブレードランナー。
こんなもんは、まじめに学園通ぅとったら大抵のもんは身につけられるわ。

『肩をすくめると川添へ視線を戻す』

それにしてもなんや、芋引くの早いやんけ。
気づいてへんのかどうかは知らんから言っとくと、財団自体に目ぇつけられてるゆうんやったら島出るのも一苦労やで。
アテはあるんか。

鈴鳴トバリ > あッは!
(川添の落ち込んだような様を見遣れば、特徴的な笑い声を響かせて)

あァー、……オモシロいッつったが、訂正だ、テーセー。
ツマンネーよ、ツマンネぇ。
結局は良いコチャンに毛が生えた程度だってコトか。
ぼくは真実なんてモンにゃキョーミねェが、楽しいコトが好きだ。
そのためだったらこの島の全部を敵に回すのだって、嗤いながら引き受けて遣る。

質があまりに違うってェ嘲笑うなァ構わねぇが、「覚悟」ってのは「それ」だ
それもできねェアマちゃんは、早々にすっこんでるのが吉だぜ

(まるで励ますかのような、発破をかけるかのような言い回しだが本質は違う)
(彼は言葉通り、面白いものが好きなのだ)
(この少年が常世財団本部に喧嘩を売るということ。それが「面白そうなこと」だからだ)
(其の後のことはまるで考えていない。少年が消されようがどうなろうが知ったことではない)
(だからこそ、ある意味タチが悪いのかもしれないが)


……あァ? ブレードランナー? ぼくの事かァ?

(ここでようやく顔の返り血を拭いながら、否支中をいぶかしげに見遣った)

川添 孝一 > ……アテなんかねぇ。家族もいねぇから誰に迷惑がかかることもない。
このまま常世財団本部に潜入したことをしらばっくれ続ければ、放校処分で済むだろ。
命をとられるこたぁねぇ。
クローン私兵の存在も、俺が知った秘匿情報も明るみにされたくねーだろうしな。
あいつらが賢けりゃ下手な手を打つことはない…と思うしかないな。

……ンだとコラ………舐めた口利いてんじゃ…
(鈴鳴トバリを睨みつけようとして、両手を広げる)
いや……覚悟がなかったんだ、俺は。
お前の言うことは正しいよ。(背を向けて歩いていく)

俺は、負け犬だ。
真実の重みを背負うこともできない。
誰かを助けることだってきっと無理だ。
このまま何も成せずに島を出るのも……運命だ。

(川添は去っていく、ポケットに手を突っ込んだまま)
(その背中は誰が見ても小さく、頼りがいのない男の背に見えるだろう)

(かくして川添孝一にとって一番長い日に太陽が昇る)
(二人の男に背を向けて去っていくだけの川添は、自分の運命をまだ知らない)

否支中 活路 > 気に入らんかったか?
物質生成型の異能やな。接触状態のやつはえらいエゲツないやんけ。
はん、それならさしずめツェペシュかよ。

『鈴鳴に疑問に応え、川添のぼやきを視線だけで聞く。
瞳は細められている。
川添の語る今後の予想について、思う所はあるが今はまだ口を出す事はない。
この所よく話題に上る一人についてはこれで状況を確認できた。
あるいは、更なる一歩を進むのならば……』

この辺か歓楽街にようおるわ。
流れが変わって手が必要やったら来ぃ。
道を開くんやったらな。

鈴鳴トバリ > ……あァ?
(川添の怒りの矛先がトバリに向くや、待ってましたとばかり笑顔を面に張り付ける)
(が、すぐに相手が戦意を失ったとみると、はぁあと大袈裟に溜息を吐いた)

……どうやらマジにツマラねェらしいなァ
しかしま、そのしょーもねェ覚悟でもクソの役には立ったか……

(得たものは、恐らく情報としては非常にレアだ)
(常世財団がキナ臭いのは重々承知だが、不穏分子を躊躇なく削除しようとする程度には真っ黒であることははっきりした)
(加えてクローン私兵、量産型の異能……どれも知っておいて損は無いだろう)
(幸い目撃者は居ないように見える。遺体もよく燃えている。証拠は隠滅されるだろう)
(……まァ、それでぼく自身が財団に追われるのもオモシロいけどなァ)
(ずるり、唇を舐めた)

かははッ……生憎映画にゃあキョーミなくてねェ。
それとも串刺し公ってかァ、悪くねェじゃねェか。

(否支中の言葉にからからと笑って見せるが、その裏では思考が鋭く動いていた)
(物質生成型の異能――ビンゴだ。だが、その本質までは見抜かれていないらしい)
(彼はこう見えて注意深い男だ。異能の全てを見抜かれたというだけで抹殺対象に成り得る)
(とはいえ魔術師とは相性が悪い。手を出さないのが賢いやり方か)


……ま、ま、暇つぶしにゃァ悪くなかったさ。
ただ、ヒトが焼けるニオイってェなァどうも好かねェ。
ぼくはここでオイトマさせてもらうぜ。名前だって要らねェだろ

(……「否支中活路」「ルナティックトロウル」)
(ぼくのほうは、しっかり覚えさせてもらったがなァ)

(そうしてトバリは踵を返すだろう)

ご案内:「落第街大通り」から川添 孝一さんが去りました。
ご案内:「落第街大通り」から鈴鳴トバリさんが去りました。
否支中 活路 > 『活路の妖精眼はそれほど強度の強いものではない。
見えたものを、光学以外でも視認できるという程度だ。
実際に異能の使用を見た上で認識しているだけで、強化なしではそれ以上の解析能力などない。
チェックはしている、というだけの宣言だ。今回の介入には動機があったが、活路は元来好戦的というわけではない。
お互い一定の距離を保つ。この街では基本的なルールでもあるだろう』

……にしても

『二人が去った後、燃え続ける炎を見ながら零す』

(ほんまにえらい動きが激しなってきてるなぁ。
こっちも騒がしいけど、公安と風紀(あっち)も騒がしいし、かなわんな)

否支中 活路 > 『少なくともこの場はなかったことにする。
川添の意向と同じだ。あとは彼は宣言通りしらばっくれ続けるつもりのようだが』

(……まあそれが上手くいくんかやがな)

『ぐるりと回りを見回す』

その辺どないですのん。ひばっさん

否支中 活路 > 『活路の視線の先に黒髪を揺らして女が立っている。30には届いていないだろう。白衣に緋袴、首から黒いインナーが覗いている』

「私の担当は門だ。知らんな」

『公安委員会直轄第九特別教室。担任。光岡緋蜂』

否支中 活路 > 外からは関係ないたぁ思われてへんのちゃいますのん?
それに、こんだけガタガタ騒いどったら調子づくもんもおるんはわかっとんでしょ

『その辺に転がっていた一斗缶に腰掛け、大げさに嘆息してみせる。
そこには警戒の雰囲気はない。
緋蜂の方は距離をとって立ったまま動こうとしない』

「公安と風紀の問題にお前が関わる理由はないはずだ。」

川添の件にもてか?
俺が介入すると第九も動かなあかんわな。面倒が増える。

「風紀委員の能見さゆりを研究区に運んでいたそうだな」

…………覗き見しすぎちゃうのん。

「覗いてはいない。私がそれを認識したのはお前がそれを行う18分前だからな」

否支中 活路 > どんな理屈やねん……

『呆れて大きく首を振り、唐突にそれが止まる』

能見がなんで公安の機密のこと知ってんや。
俺を監視対象にしてんのひばっさんやろが。
さっきも言うたけど、あんまりにもガタガタすぎるで……正直意味がわからんしな

『数秒の間、返事がないのを確かめて、活路が頭をかく』

俺としては公安委員会はちゃんとしてもらっときたいっちゅうかやな。
風紀との落とし所どうすんのかは気になってんや。
まぁ、五代の人とは一回会うたけどなぁ…………

否支中 活路 > 「五代君か。そうだな……いや、彼も動けないだろうな今回は」

せやろな。そんでアンタもそういうわけやでな?
だから顔見せにきたんやろ。

「……そうだ。“お前が下手に動くと我々はお前を完全な違反学生として処分しなければならない”。
お前の“破門(ゲートクラッシャー)”を常世財団は一刻も早く解析したがっているぞ」

“もし俺が完全な違反学生やったら”ね

『活路の返答に、緋蜂がゆっくりと頷く。
そして踵を返すと、何も言わずに一歩、二歩と歩いた所で唐突に其の姿が消える。
活路はそれを二度見たあと、肩を落として息を吐いた』

否支中 活路 > あれで二年前は九割死んでた人なんやからかなわんなぁ

『十分に時間を開けてから、つぶやいて床に眼を落とす。
手にした伸縮性の棒で、無意味にカリカリと図を書いてみる。
燃える瞳に放射する光のマーク』

(まぁ別にテメェのケツふかなあかんって話やないけどや……)

『騒ぎの一端となっている連絡局が権限を拡大しすぎた直接の切欠はロストサイン制圧戦にある。
勿論、そういった学内組織の動きに活路は何ら関わっていない。
そういう意味では活路はただの一般学生だ。ヤクザものと揉め事を起こしてしまっただけの一般人だ。
しかし』

(まあ端っこの端っこ燃やしたんはテメェでもあるわけやしな)

『しゃしゃっと地面のマークをかき消すと、制服の内側から帽子を取り出しかぶる。
他に誰もいないその場所で、活路の気配が少しだけ希薄になった。隠形の魔術がかかっているのだ。
そうしてから壁に沿うように袋小路を戻っていく』

ご案内:「落第街大通り」から否支中 活路さんが去りました。
ご案内:「落第街大通り」に渡辺慧さんが現れました。
渡辺慧 > 白いパーカーを着た少年が。
フードをすっぽりと頭に被り。両手をポケットにツッコミ乍ら悠々と朝の大通りを歩く。

毎度のごとく、その顔は楽しげだ。

渡辺慧 > 辺りはまだ、時間が時間だろうか。人通りもまばらで、少年の他には数えるほどしか見当たらない。

深呼吸するように、大きく息を吐き、猫のように笑うと。


「いやぁ、毎度ながら、実によどんだ空気だ! 素敵だね!」


………………そんな喧嘩を売るような発言を、周りを気にした風もなく言い切った。

幸運乍ら――いや、残念ながら、というべきか――彼を胡乱げに見る人物はあれど、突っかかって来るような人物はいないようだった。

渡辺慧 > もちろん、彼にとって、この場所は嫌いではない。むしろ好ましいと考えている。
本質的には、こういう場所があっているのだろう、とさえも考えている。だからこそ、たまにふらりと来ては、ふらりとぶらつき。
その楽しげな顔をいつものようにゆがませるのだ。

渡辺慧 > (に、しても……)

最近は、どうにも。騒がしいようだ。自分はまるで関わっていない――本当にそうだろうか――が。……少しばかり、楽しそうだ、と。

もちろん、血なまぐさいこと、というより。痛いことは勘弁願う。楽しくない、よろしくない。……いや、どうだろうか。それも、楽しさに変わるときも来るのだろうか。


頭を振り、馬鹿な思考を追い出す。


……大した喧噪もない。これ以上ぶらつくような気分でもない。

ため息をついて、足早に自宅へと帰還する。

去り際に吐いた、小さな声。

――……………あ…………き………――

それは、誰に届くわけでもなく、風に流されていった。

ご案内:「落第街大通り」から渡辺慧さんが去りました。
ご案内:「落第街大通り」に狼谷 涼介さんが現れました。
狼谷 涼介 > 落第街には似つかわしくない、眼鏡を掛けた真面目そうな、だが少し気だるげな雰囲気を纏ったぼんやりとした表情の青年がふらふらと姿を現す

特に理由があったわけではない。足の向くまま、気の向くままにこの場所へと迷い込んだようであった

ご案内:「落第街大通り」に薄野ツヅラさんが現れました。
薄野ツヅラ > (やっぱり昼間っから出歩くもんじゃないわァ──……)

(落第街の大通りを息を切らして駆け抜ける人影がひとつ)
(落第街では随分と見慣れた赤ジャージにヘッドフォン)
(そう早くない足で、必死に走る)
(ちらり、後ろを見遣れば)

ご案内:「落第街大通り」にどこかの風紀委員さんが現れました。
どこかの風紀委員 > 「こぁらまてぇぃ!!」

ダッシュしておってくる警棒を持った、風紀委員の腕章をもった男。
それに追従した女性と一人と。なにか連絡を取っている優男が一人。せわしなく走っていた。

「まてまてぇ!! この銭形からは逃げられんぞぉ!!」

狼谷 涼介 > 数人の駆ける音と騒がしい声に気が付き、ふと顔を上げる
そこには、一人の少女と何人かの風紀委員
追われていたのは、いつか時計塔で出会ったあの少女であった

「あれ……あの人は、えーっと薄野さん、だっけ。こんな所で何してるんだろう、演劇か何かかな?」

こちらの方へ走り寄ってくる様を、やはりどこか抜けたような事を呟きながらもぼんやりと眺め続ける

薄野ツヅラ > 完ッ全に漫画の読みすぎじゃないかしらぁ──……?

(忌々しげに大声で叫ぶ)
(風紀委員に追われる少女は、ここ数日自らの趣味のせいで幾度となく此処数日逃げ惑うことになっていた)
(目前に居たのは数日前時計塔で話した少年)

(───もう、なんでこんなところに居る訳ェ…!?)

(ぶつかるには、そう時間がかからないだろう)

どこかの風紀委員 > 「想像はイマジネーションは、異能の力の源ぉ! こうしてイメージすることが、能力の拡大になぁる!!」

(うるっさいなぁ、この人。せっかくの×本が台無し、最悪。早く終わんないかなぁ……)

(電話に出て、でて……ねぇお願いだよぉ、誤解なんだよぉ)

なんだこの三人組……と、心の読める人は思うことだろう。
だが、つゆ知らない人は、風紀委員が誰かをおっているっていうことしかわかるまい。
足ははやい。なかなか三人とも身体能力は高そうだった

狼谷 涼介 > 「うわっと!?」

ぶつかりそうになるスレスレの所で体を横に反らし、そのまま薄野と並走を始める

「あのっ、こんな、ところで、何をっ、してるんですかっ!」

一瞬後ろから追いかけてくる三人組に視線を移すも、すぐ正面へと向き直り
必死に走る薄野に向かってそのまま声を掛ける

薄野ツヅラ > はァ!? 見てわかんない訳ェ!?

あと五月蝿いのよ風紀委員ッ!能力の拡大なんて巷で話題の違法薬物で一発でしょォ!?
──ッ、風紀委員って切れ者ばっかりじゃ無かったのぉ!?

(運動神経がお世辞にもあるとは言えない少女が、全力で走りながらツッコんでいた)
(少女は少年に舌を打つ)
(ゼエゼエと息を切らしながら走り続ける)

狼谷 涼介 > 「これって、演劇か何かの練習じゃ、ないんですかっ! 後っ、風紀委員って!」

今まで走り続けていたであろう少女よりも後から走りだしたにも関わらず、若干息を切らしはじめる青年
そんな彼もまた、運動神経があるとは言えない者の一人であった

「よくわかんないけどっ、ここから逃げられればっ、いいんですよねっ!?」

それなら、と薄野に向かって自らの腕を伸ばす
まるで、その腕を掴め!とでも言いたげな表情で

どこかの風紀委員 > 「それをしたら違反じゃろぉが!! そのようなこと、この銭形の目が黒いうちは、させん、させんぞおおおおお!! ロク、モン! 遊んでないでやるぞっ」

すごくめんどくさそうに。脳内で読んでいた×本を女性とは閉じた。テレパスではない。ただの妄想本を、だが。

「うわぁん、出てくれないでてくれないよーーーーーっ」

優男は悲鳴をあげながら、電話の切るボタンを押し……

「「「連結開放!! 六”門”銭!!!!!」」」

ごつい警棒をもった男が銭を投げた。5円玉……それを逃げる少女の上に”正確に投げる”。すると拡大化しそれを”少女を縛る縄”とする。
門と呼ばれた少女は、その錠を風でコントロール。決して逃がさないように追尾させ。
ロクと呼ばれた優男は、それを分身させて六つにしてどれが本物かわからないようかく乱した。

そうこれぞ、六門銭。幾多の違法学生を捕まえた、彼らの捕縛術である

薄野ツヅラ > 演劇だったら最ッ高だったけどお生憎様ぁ

(心から厭そうに笑った)
(風紀委員が後ろから迫るのを見れば自分の体力のなさを呪いつつ必死で突っ込む)

善良な!一般市民に一方的に攻撃してくるとは流石のボクも吃驚なんだゾ───…☆
まだ何もしてないしぃ!

(間延びした語尾にも疲弊の色がちらりと覗く)
(どうにでもなれ、と狼谷の手を握る)

狼谷 涼介 > 風紀委員の騒がしいやり取りに振り返り、目を丸くする
自分たちを、正しく言えば横にいる少女を追尾してくる、巨大な5円玉
青年は少女の腕をしっかりと掴み、引き寄せる

あわや、という所まで接近する六つの5円玉
しかし、そこは既に青年の"領域"の中


5円玉はその"動き"を止め──



──そして、"巻き戻る"


少女を捕まえんと飛来した5円玉は、その5円玉の元々の持ち主、風紀委員の手元へ戻ろうと動き始める

どこかの風紀委員 > 「ふぁ!?」「……え、まじ?」「……えぇぇぇぇぇぇ!!!!!!?」

しゅるるっと戻ってきたそれと。対抗できない操作。
なによりその異常性に三人の思考は追いつかず。
しかし、モンとロクの二人は……そっと銭形から離れた。
すれば、六銭の本体は、警棒をもった男にだけいき……きゅってしまった。

「ぬぁにいいいいいい!!? っておい、なんでお前らよけてるんだ!?」

薄野ツヅラ > (やっぱり便利だとは思ってたけど本格的に便利ねェ……)

(目の前の不思議な光景をぼうっと見遣る)
(能力についての詳細は聞いていなかったがそれなりに強力なのは明らかだ)
(少女はばっと狼谷の手を引いて路地に逃げ込む)

───……お礼だけは云っておくわぁ

(小さくはにかんだように笑顔を浮かべた)

ご案内:「落第街大通り」にメアさんが現れました。
狼谷 涼介 > 「どう、いたし、ましてっ」

額に汗を滲ませながらも笑顔で答え
そのまま薄野に手を引かれ、路地へと逃げこんでいく
その表情には若干の疲労の色が浮かんでいる

メア > (黒服の少女がゆっくりと通りを歩いている、妙な商店や怪しい学生
話を聞いても分からないかまず相手にもされない。どうするかと思案しながら通りを進む)

薄野ツヅラ > (追われていないかと路地からちらと顔を出す)
(其処には幾度となく見掛けた、影使いの少女)

────……一難去ってまた一難って訳ェ

(先刻の逃走劇に次いで、自身を追っていた少女の姿をちらと見遣れば)
(横の少年にも聞こえただろう、深く重い溜息を吐いた)

メア > ぁ……(走り去っていく赤いジャージの少女とメガネをかけた青年を見て)

待って…(その後ろを追いかける。自分に聞きたい事を彼女なら
知っていると思いながら)

狼谷 涼介 > 俯き、肩で息をしながらも、持っていたハンカチで汗を拭い始める

隣の少女から漏れる溜息に気づいてはいたが、異能を使用した疲労からか顔を上げられないでいる

薄野ツヅラ > (後を追われていることには気付かない)
(ぜえぜえと息を切らして手元の携帯端末に手を伸ばす)

あ゛ー、なんでこんなところに居た訳ぇ?

(少年にふ、と声を掛ける)
(随分と走ってきたのか、ずるずると路地にもたれてしゃがみ込んだ)

どこかの風紀委員 > 「いやだって、一緒に縛られるとかサイテー」

「……男趣味はぼくにはないので」

「なんかちがくない!? ねぇ。ちがくない!?」

とかいいつつ、三人組はおいていかれるのであった

ご案内:「落第街大通り」からどこかの風紀委員さんが去りました。
メア > はぁ、はぁ……(青年と少女を追いかけ路地の中へ、体力の少ない
メアからすれば少し走っただけでもかなりの疲労となっている)

ん……待っ、て……(息を整えながら二人に、赤いジャージの少女に
話しかける。何かから逃げているのはなんとなく察してはいた)

薄野ツヅラ > あっは──……まだなにもしてないと思うんだけどぉ…

(立ち上がることすらままならない赤ジャージは悪態をつく)
(攻撃の意志はない、と伝えるように両手を頭の上にあげる)
(三度目の邂逅。二度あることは三度ある)
(二回とも少女から逃げ出した赤ジャージは、諦めたように嗤った)

狼谷 涼介 > 「特に何も考えずに歩いていたら、ここにいて……。
そんな君こそ、なんでこんなところに……っていうか、なんで追われて……?」

そこまで言いかけて、少女の物と思われる声に気が付き、顔を上げる

メア > はぁ……(息が整い、二人の方を見て。)

聞きたい、事……ある…(ふぅ、と落ち着いて追いかけてきた
理由を話す。敵対の雰囲気や敵意は感じられないだろう)

薄野ツヅラ > なんでって何もしてないって云ってるんだゾ☆

(自慢の舌もうまく回らない)
(少女にしぶしぶ、と云った様子で声を掛けた)

……はァ?聞きたいことぉ?

(ボクにはないけどぉ、と口を開けば皮肉を一つ)
(厭そうに、じいと見つめる)

メア > 私、には…ある……(彼女はは自分には会いたくはないだろう。
そんな事は分かっている、だが自分には情報が足りない…その点彼女は確実に
何か知っている)

革命、薬……知って、る…?(少女を見つめ、尋ねる)

薄野ツヅラ > ────はァ?

(革命薬。そんなものは聞いたこともないし持ってもいない)
(ただし、巷で話題の違法薬物の事を指しているとしたら)

知っているとも云えるし知らないとも云えるわぁ……?

(曖昧に。言葉を濁す。明言しない)
(少女が何を知っていて、少女が何を求めていて)
(一瞬能力に頼ろうかとも思った)
(それでも──少女の口から、先に言葉を引き出そうと)

メア > 知ってる、のね…(知っていると聞いてポケットから中身の入った
針の先を切った注射器を取り出す)

能力、暴走……(注射器を見せて中身の効果を口にする)

これに、ついて……教え、て……

薄野ツヅラ > (誰も云い切ってはいないのだけどぉ……)

(ぼうと少女を眺める)
(その動作の一つ一つを脳に焼き付けるように)
(少女の口から能力暴走の文字が出れば───…)

なんで知りたいのか、教えて呉れたら教えるかもしれないゾ☆

(赤ジャージは狡猾だった)
(にい、と小さく口もとに三日月を浮かべて)
(また───断言しない)

メア > かも、なら…ダメ……(この少女の事は少なからず知っている。人を
殺める事を何とも思わない上に狡猾で常に最善手を選択する。かも等と言って後
で教えるつもりが無いと言う可能性もあり得る)

次は、貴方…が、答える……番…(物心がついて数年間、こんな輩は
見飽きるほど見てきた。その経験で出来るだけ先に少女からも情報を
引き出そうとする)

薄野ツヅラ > あっは、其れなら交渉決裂ねぇ……

(嗤った)
(少なくとも少女は自分を信用していないしもちろん自分もこれっぽっちも信用していない)
(そんな状況での提案の拒否)

残念だけどぉ。やすやすと云う訳にはいかないのよねェ……
先ずボクに君に教えるメリットが何一つ存在していないし、何より面白くない

(だから此の話はなかったことに☆)

(強力な異能を持つ少女を前にしても、赤ジャージは不遜な態度を崩さない)
(死ななければ安い、とでも云うように)

メア > それは…困る……(指を鉄砲のように構え、少女に向ける)

メリット、は…生きて、帰れる……(無表情のままそれだけ告げる
自分が彼女との交渉で提示できるメリットなどないが、自分とて
やっと見つけた手掛かりを前にそう簡単には下がれない。こんな
方法取るつもりもないし殺すつもりもなかいが仕方ない。仕方ない。
そう自分に言い聞かせながら少女に指先を向ける)

薄野ツヅラ > (困ってるのはこっちなのよねェ……)

(はあ、と深く溜息を一つ)
(少女の異能は影を操る。何度も何度も見ていた光景はとても御伽噺じみていた)
(いまさら何があろうが驚くことはない)

丸腰の相手に異能使っちゃう訳ぇ……?
生きて帰れるって殺害宣言のつもりぃ?
そんなのやってることボクより性質悪いって云われてもおかしくないんだゾ───……☆

(少女は嗤う)
(利益のない取引はしない主義だ。尚且つ教えて面白いこともあるとは思えない)
(徐にポシェットから棒付きキャンディを取り出して口に放る)
(ガリ、とわざとらしく飴を噛んだ)

狼谷 涼介 > 二人の少女のやり取りをただただ眺めている
話の内容についていけない、理解が追いつかない
薬?能力?暴走? 一体何の事なのだろうか

少なくとも、今の青年に理解できる事は、隣にいる少女……薄野ツヅラはその事について何か知っているということ

そして、目の前にいる少女が薄野ツヅラに、最近知り合ったばかりの"友達"に、敵意を向けている。ただそれだけであった

ならば、青年の取るべき行動は一つ

青年はキッと目の前の少女を見据え、少女の動きに備えた

メア > (飴を噛んだ少女に…パン、と言う音と共にメアの指先から出た黒い何かが頬を掠める)

次は…ない……(相手は昨日人を殺めている、それに昨日が初めて
でもないだろう。弾丸の正体はただの小さな呪いだが相手に悟られ
なければ銃弾と思うかもしれない。ちらりと青年の方を見て)

この人、は…人を、殺した……邪魔、しないで…(青年の目を見て
こちらに敵意が有るのは分かる、円具頑張れない為には青年には
大人しくしてもらっていなければ上手くいかない…そう考え、昨日
路地裏で見た事を呟いた)

……話す…?それとも…(少女の額に、指先を向ける。メアと何度
か話をした人物から見ればメアが誰かを殺すなどは有りえない事だ
が、ろくに話した事の無い少女の目からはどう写るだろうか)

薄野ツヅラ > ───……あッは

(楽しそうに、少女は楽しそうに笑う)
(楽しそう、と云うよりも其れは何処か恍惚とした表情で)
(赤ジャージは少女に笑顔を向ける)
(少年に、そっと一歩近づいて)

さァて、果たして其れは本当に見たものかしらぁ?
屹度悪い能力者に悪い夢でも魅せられたんじゃないのぉ?
────其れからその記憶は本物って保証は何処に在るのかしらァ

(嘲笑うように少女は言葉を吐き捨てる)
(其れは其れは玩具を前にした子供のような、"面白い"ものを見つけたような───)

狼谷 涼介 > ──人を殺した? この人が?

日常からかけ離れた、非日常な光景
目の前には友達に指先を向け、銃弾のような"何か"を放った少女

──人を殺そうとしているのはどっちなんだ

心の中でそう毒を吐きながらも、青年は自身の"異能"を行使する
神経伝達、筋肉、全身の時を加速させていく
いつでも駆け出せるように、何が起ころうとも対応できるように

ご案内:「落第街大通り」に矛海 遼さんが現れました。
ご案内:「落第街大通り」から矛海 遼さんが去りました。
ご案内:「落第街大通り」に矛海 遼さんが現れました。
メア > さいこ、先生……聞いて、みる…?(あの場に居たもうう一人の存在
を口にする)

貴方、は…人を……殺した…(構えは維持し、少女を見据える)

矛海 遼 > 風紀委員の気配が無くなってから数刻、ひんやりとした空気と共に

「これは随分と………穏やかじゃない状態だな?」

季節を無視したかのようなロングコートを着た青年が足音を立ててゆっくりと姿を影からあらわす

メア > ん……(足音のする方をちらりと見て)

矛海…先生……(炉ロングコートの男に意識を割き、前方の二人から目線を外す)

薄野ツヅラ > さてどうでしょう☆

(まるで道化師のように笑ってみせる)
(現状、"何も知らない人間が見たとしたら"一方的に危害を加えているのは少女に見えるだろう)
(その現状を、薄野廿楽は利用する)

君にボクが何をしたって云う訳ぇ?
ただ路地裏にいただけで急に撃たれそうになって───…

(にやり、笑う)

"ねェ、助けてよ───……狼谷くん"

矛海 遼 > 「んん…………」

姿を現しつつ、周辺を見渡して呟くように言葉を発する

「狼谷に薄野そして……メアか。これはこれは………随分と白黒な組み合わせだな?」

メア > はい……(それだけ答え、二人の方に向き直る。少女の道化の
ような笑みを見て警戒を強める)

狼谷 涼介 > 「横からで悪いけれど……君の言葉は信じられない」

目の前の少女に向け、そう言い放つ

隣には一方的に危害を加えられ、自身に助けを求める少女
正面には一方的に危害を加え、他人を殺人者扱いする危険人物
少なくとも、青年の瞳にはそのようにしか映らなかった


青年は少女の腕を掴み、その場から駆け出そうとして──…

聞こえてきた第三者の声に気が付き、そちらへと顔を向ける

「矛海……先生……?」

メア > …だろう、ね……(信じられないと言われ仕方ないと感じる。事情を
知らない人物からすればどう言い訳しようと自分の方が悪者だと)

しかた、ない…(言い訳も否定もない、ただ仕方ないとだけ答える)

薄野ツヅラ > (ちらと現れた人影を見遣る)
(赤ジャージは何を云うでもなく、ただ小さく)

────あっは

(嗤う)

矛海 遼 > 「あぁ、この前振りだな。狼谷。ちゃんと朝寝坊はしないで授業に出ているか?」

この雰囲気に、冷たく、そして暗くなっている路地裏を茶化すかのように冗句を溢す。

その【虚無】を感じるいつもの表情(カオ)以上に、寒気を感じるだろうか

矛海 遼 > 「どうも、君は【歩く】のが下手なようだな?薄野」

相変わらず気に入らない表情【ツラ】である

狼谷 涼介 > ぞくり、と背筋に走る嫌な寒気を感じて体を強張らせる

「はい、授業になら毎日出席していますよ。勿論、寝坊なんてしていません」

矛海が醸し出す雰囲気に気圧されながら、一歩、後ろへと後ずさる

薄野ツヅラ > (少女の選択は口を開かない)
(相手の挑発に乗ったら負けだなんて、ずっと前から知っていた)
(ただ、少年のブレザーの裾をきゅっと握った)

矛海 遼 > 「そいつは良かった。そして――――」

ゆったりと、見通すかのように眼鏡の下の瞳はそちらを捕え

「―――ひとーつ質問しよう。虚構に埋まるか、目の前から物事を見るか、ちくわを食べるか、どちらがいいと思う?」

ちらりと、問いかけるように横目でメアを見るか

メア > …物事を、見る……(ちくわは聞かなかったことにした。質問の真意
までは分からないが、作り上げられた事実よりは目の前に見える物を信じる。それ
がメアの選択である)

狼谷 涼介 > メアが質問に答える、正面の二人から一瞬でも気がそれる
その瞬間を、青年は見逃さなかった

薄野の手を引き、青年は駆け出す
自身の"時"を加速させながら、どこまでも早く、速く

対応できなければ、一瞬の内に二人の姿は見えなくなるだろう

矛海 遼 > 意識したのかしていないのか、その場から去って行く少年に言葉を溢す

「――――――こんなにも壊れ物の多い中、君はどの答えを見つけるかな?」

メアの頭を優しく撫でながら、逃げて行った先をぼんやりと見つめる

その表情【カオ】は誰も見る事は無いが、【歪んだ笑顔】を持っていたかもしれない

メア > っ……(逃げ去った二人を見て手を下ろす。収穫なし、これが今日の成果かもしれない、と息を零しながら)
ご案内:「落第街大通り」から薄野ツヅラさんが去りました。
ご案内:「落第街大通り」から狼谷 涼介さんが去りました。
メア > …先生、は…散歩……?(頭を投げる青年を見上げ、尋ねてみる)
矛海 遼 > 「そうだな」

去って行く少年少女を見送ると、黒き少女の頭の上から手を離す

「散歩のついでの野次馬、とでも言っておこうか。どうも休日は暇な物だ」

メア > そう……(運が悪かった、そう考える事に空いた)

暇、なら…仕方…ない……

矛海 遼 > 「どうやら、あちらの方が上手、だったみたいだな?」

食うか?と言いつつ懐から丸いチョコクッキーを取り出して、一つ差し出しながら

「実に人らしい生き(こわれ)方だ。」

無表情の内側を察することはできない。だが差し出す手は何処か暖かく、優しく見えただろうか

メア > …うん……(クッキーを受け取る、確かにどう考えてもこちらが下だ。
最初から動けなくしておけばよかった…と自分の行動を見返し反省点を探し)

……おいしい(チョコクッキーを齧った。もう特に矛海に対する警戒も無い様に見える)

矛海 遼 > 「後は、あの少年に任せるとしよう。さて―――」

少しロングコートに付いた埃を払うと、片手を差し出す

「風紀委員がああも無節操に動いている以上は此処に留まって損することはあれど、得する事は無いだろう。一つ、食事にでもどうかな?」

メア > 風紀……(確かに、もうここに留まる理由もない…目を付けられる前に動いた方が良いだろう)

…うん……(差し出された手を握り、着いていくだろう)

矛海 遼 > 「では、行くとしよう」

手を取ると、歩幅を合わせるようにこの場を後にするだろう。

何処か、冷たさよりも暖かさを感じるような空気をこの場を満たしていたかもしれない

ご案内:「落第街大通り」から矛海 遼さんが去りました。
ご案内:「落第街大通り」からメアさんが去りました。
ご案内:「落第街大通り」にチェリスさんが現れました。
チェリス > やや空気の重い通りを一見無防備に歩く一人の女性。

「居心地よさそうなとこね」

冗談交じりに一言呟く。元々怪しい事ばかりして生きている彼女にとっては満更冗談でもないのだが。夕暮れに栄えてそうな場所を探索しているようだ。

チェリス > 「あたしのいたとこよりは大分マシだけど、どこにもこういう場所はあるのねぇ。酒場とかはあるのかしら?」

小路を横目でチラリと見るが足を踏み入れることはなく、まずは人通りのある道を把握すべく歩を進める

ご案内:「落第街大通り」からチェリスさんが去りました。
ご案内:「落第街大通り」に井戸木さいこさんが現れました。
井戸木さいこ > 「人を探――」

 落第街へと足を運ぶ。
 来島宗仁の行方を探して聞きこみを続けていたが――

"よう、こんな所で何してんたセンコー。ケヒヒ。"

 ガラの悪い学生数人に、因縁を付けられた。

井戸木さいこ > 「……人を探しています。」

 煽らず、弱みを見せず、毅然とした態度で構わず聞く。

 "おいィ?お前らは今の言葉聞こえたか?" 
  そう、ガラの悪い学生の一人が茶化す様に尋ね返す。

 "見ていない" "何か言ったの?" "俺の記憶には何もないな"
 下卑た笑いと共に答えが変える。ギャハ、と、ガラの悪い学生数人は笑った。

 一応、答えはしてくれた、が。

井戸木さいこ > 「ならいいです。では――」

 そう言ってさっさと去ろう、そう思った所で、肩を掴まれた。
 "オウ、センセ。それよりも俺たちゃ金に困ってんの。ちぃとばかしこれ買ってくんね?"

 そう言って出されたのは、ひと目で薬とわかるそれ。

"たまたま手に入れたんだがよォ、俺たちゃこんなもんより金と女が欲しいンだよ――
 ――ケヒ、だから有り金全部とセンコーの身体で売ってやるよ。なぁお前ら?"

 下卑た笑いが響く。

 ……困った事になった。思わず、顔を顰めた。

井戸木さいこ >  さて、どうしようか――思案の素振りで時間を稼ぐ。
 状況に変化は、あるかどうか。常に良い変化が起こる、とは限らないが。

ご案内:「落第街大通り」に士尺 流雲齋さんが現れました。
井戸木さいこ >  数度の問答が続く。
 しびれを切らした不良の一人が、今にも殴りかかろうとするような目でこちらを見た。

"あァ? ナマ言ってんじゃねーぞ、すっぞこらぁ!"

士尺 流雲齋 > 【杖をついた老人の影。その表情は陰になっており、伺うことはできない。だが、ふたつの眼が炯炯と劫色に燃えている。】
(ふむ、たまには足を延ばして……来てみたはいいが、どうするかの。護身の類を持ち合わせておらぬとも思えんが)

井戸木さいこ >  しびれを切らした不良が殴り掛かる。

「――ッ!」

 身のこなしには少々の自信があった。
 乱暴に奮われる拳を紙一重で避けて、相手の腕を掴んで"肩を外す"。
 サバイバル生活や、クローン兵器として仕込まれた戦闘技術により身に付けた"狩り"――
 ――動物だけを指さぬ"狩りの技術"を行使し、咄嗟にカウンターを返す。

 そこからは、乱戦だ。
 数人の不良の暴撃をどうにかやりすごしながら、地道にやっていくしかない。

 乱闘が続いているのが、見えるだろう。少女も善戦しているが……。

士尺 流雲齋 > ふむ、この時間帯なら大丈夫じゃろうか…
【一息吐くと、至って普通に、乱闘の真っただ中へ入り込む。拳や蹴りが飛んでくるが、微動だにしない。そう、そよ風の中にいるように、気にも止めずに、そっと呼びかけた。】

もし……井戸木先生や、こんなところで何をしていなさる。
心得があれど、女子一人で歩けるほど、この町は甘くないんじゃが。

【ナイフが飛んでくるが、ハエでも飛んできたかのように、素手で払い落とす。】

井戸木さいこ > "ちっ、何だてめーぇッ! 俺はパンチングマシンで100とか出せんだぞ、オイ!"

 と言いつつ拳や蹴りは飛ばすが、流雲齋の前には通じず。
 一向に拉致があかないと、ついにはナイフを取り出して投げる。が、それは叩き折られた。

"な、なんだコイツ……!"

 さいこ自身は飛び退いて乱戦から離脱した。

「え、ええ。人探しでどうしても。
 ――保険医の来島宗仁先生、どこかで見ませんでした?」

士尺 流雲齋 > やれやれ、おなごひとりに寄ってたかってとは、男の風上にも置けんやつらじゃのう。ほうれ、じじいが相手してやるぞ、一撃でも入れたら金子をやろう。
【そう言って、よっこいしょと腰を下ろして不良たちを挑発し、自身は座禅を組んで目を閉じた。不良たちが老人めがけて金属バットや拳銃を取り出すが、一向に動じる気配はない。
そのまま、井戸木先生に語り掛ける。】
ふうむ、来島先生かの。……保健室には居らんかったのかの?

井戸木さいこ > 「はい、此処の所無断欠勤しているみたいでして。
 診療所にも定期健診の患者さんがいらっしゃるんですけれど、それもどうにもほったらかしみたいでして――」

 "ちっ、やってられねー。引き上げるぞお前ら!"

 ……不良と言えど引き際は見極められるタイプなのだろう。
 苛立たしげに、数名のガラの悪い不良は立ち去った。

「ありがとうございます、士尺先生。」

士尺 流雲齋 > 【からからと、笑いながら立ち上がって埃を払う。】
いやいや、礼には及ばぬよ。
正直、彼らが数に頼る典型的な連中でよかったわい。魔術、はたまた異能なんぞ出されたらどうしようかと、内心思うとったところじゃ。それにしても、ふうむ。
【来島宗仁、保健室で談笑したその人物を思い浮かべる。理由もなく怪我人や病人を投げる人物ではなさそうだった。】
それは、確かにおかしいのう。儂も少し、見回ってみようかのう。何か手がかりを見つけたら、知らせればいいんじゃな?

井戸木さいこ > 「魔術や異能なら――いえ。ともあれとても助かりました。
 ……ええ、お願いします。一人ではちょっと、骨が折れますから。」

 ぺこり、と、頭を下げた。

「無事だと、良いんですけれど……」

士尺 流雲齋 > ここのところずっと、物騒じゃからのう。なんといったかの、名前は忘れたが妙な薬剤も出回っているようじゃしの、ことは急がねばならぬかもしれぬ。
追跡の術が使えればよかったんじゃが、まあ無理な相談じゃな。
あとは風紀委でも頼むか、か……
【では、お互い気を付けての、と背を向け、暗がりに向かって歩き出す。いつもの流雲齋を知るならば、その後ろ姿がいつもより数倍大きく見えるだろう。】

ご案内:「落第街大通り」から士尺 流雲齋さんが去りました。
井戸木さいこ > 「暴走剤とか、変革剤とか、でしたか
 ……ええ、士尺先生もお気をつけて。」

(士尺先生、あんなに大きかったでしたっけ……?)

 そう思いながら、見送るだろう。

井戸木さいこ > 「……わたしも行かないとね。」

 此れ以上長居する理由もない。そう思い、その場を後にした。

ご案内:「落第街大通り」から井戸木さいこさんが去りました。
ご案内:「落第街大通り」に朝倉千蔭さんが現れました。
朝倉千蔭 > 「……困った。迷っちゃったかな」

赤い瞳で周囲をきょろきょろと見回すたびに、黒髪がふわりと揺れる。
遅々とした足取りで、夜闇に包まれた落第街の大通りを歩いていた。

朝倉千蔭 > 「寒い……」

気温そのものが、というよりは、この場所を取り巻く空気が、という方が正しい。
手に持った紅茶のペットボトルも、既に温度を失いかけていた。
ここは危険だ。考えるまでもなく、直観的に理解することができる。

当て所なく歩きながら、自分が普段生活している場所へ戻る道を探す。

ご案内:「落第街大通り」に桐竹 琴乃さんが現れました。
ご案内:「落第街大通り」にウィリーさんが現れました。
桐竹 琴乃 > 黒いジャケット、黒い髪で夜に紛れるように。
特にアテも無く落第街の大通りを歩く。
先にいる人物と対照的、という程に堂々と。
「……ん」
そこでふと目の前を恐る恐る、まるで不審者からすれば「襲ってください」と言わんばかり、と思えるぐらいの心もとなさで歩く人物。

朝倉千蔭 > 「あっ」

こちらも正面から歩いてきた人物に気がついたのか、ふと視線を向けた。
誰も居らず一人彷徨っていた事を考えれば、この場の希望と言ってもいい。

「あのっ。……えっと、迷っちゃったんですけど。道、教えてくれませんか……?」

勇気を出して、歩いてきた人物に声を掛けてみる事にした。

ウィリー > 人が道の端に黒くうごめいている印象。
大通りだと言うのに、歓楽街や学生通りとの異質を強く意識させる。

仄暗い中を行く。ひとまず人の声がする方へ。

桐竹 琴乃 > 「……道?どこまでの?」
ポケットに手を突っ込んだままで答えにとりあえず返す。
「とは言え、まあこういうトコは逆に堂々としている方がいいよ」
難しいだろうけどね、とは付け加える。
「襲ってくれ、って言わんばかりな様子に見えちゃってる」
迷える子羊。
そういう事だ。

朝倉千蔭 > にわかに人の集まってくる気配がする。

「……ん……」

もう一人、青年の姿を視界に捉えた。
口元が僅かに、微笑んだようにも見えた。

ウィリー > 「こんな時間に女の子…が二人…?」
遠目に見えたそれは非常に奇妙と言うか、空気にそぐわない。
ぶっちゃけ浮いている。

路地裏から抜け道を探して迷子になっている自分に言えた義理ではないが、
さすがに無用心すぎる気がする。

「お二人さん」

朝倉千蔭 > 「えっと……とりあえず、○○の店までの方向が分かれば、そこからは自力で帰れると思います」

名前を出したのは、マジックアイテムを専門として売っている店。
……当然この街の店である以上、怪しげである事は否定し辛い。

「は、はい。……そうですね」

外からはそんなに弱々しい様子に見えていただろうか、と。
そう思いつつ、彼女に言われたようにできる限り表情を引き締めた。

朝倉千蔭 > 「はい、……こんばんは」

先ほどもう一人の少女から忠告を貰ったので、努めて堂々と。
話しかけてきた青年の方へ視線を向けて、小さく一礼をした。

桐竹 琴乃 > 声を掛けられそちらを見る。
「んん?ああウィリーじゃんカフェテラス以来?」
夜のせいか、カフェテラスの時と、受ける印象が違う、ようにも見えない事は無い。
「……そこならわからないでもないけど、目的地は?」
一応、聞いておこう、そんな感じだ。

ウィリー > 「こんばんは」にっかり笑って挨拶を返す。
知り合いの顔がそこにあったのは意外だったが、
それでもまた微笑んだ。

「よ、琴乃ちゃん。ついでに俺も案内してよ、琴乃ちゃんちまで」

朝倉千蔭 > 「ええと……歓楽街の、△△という駅ですね」

隣にある街の駅からここまで、ふらふらと迷いこんでしまった。
ある程度元の道に戻る事ができれば、後は帰れる算段は立てられる。
……恐らく。

「……お邪魔、でしたでしょうか?」

この様子を見るに、彼と彼女は知り合いなのだろう。
口元に手を当てて、そう問うた。

桐竹 琴乃 > 「私の家って……女子寮だけどもね」
ジト目で返す。
「来てもいいけどその後は保証できないヨ?」
命もそうだが尊厳も保証は出来ないよ、と言わんばかりに。

「お邪魔……って私は構わないけどそれじゃキミ困るでしょ」
迷ってるんだから、と。

ウィリー > 「じょーだん、冗談だよ」明るく笑って。

「お邪魔なんてとんでもない、旅の道連れが増えたと思ってくれ
 何せ俺も歓楽街までの道がわからなくてさ、参った参った」
若干緊張が解けたていで言う彼は、少し疲れた様子だった。

朝倉千蔭 > 「まあ……正直に言うと、困りますね」
「って、えっと……琴乃さんも女子寮に住んでいらっしゃるんですか?」

先ほど青年がそう呼んでいたな、などと思い返しつつ。

「……おや、迷子仲間だったんですね」
「この辺りは暗いですし、妙に分かりづらい道が多くて……困りますね」

ふう、とため息を吐いた。
ともあれ話せる人間を見つけることができたおかげで、幾分表情は明るくなった。

桐竹 琴乃 > 「そ、女子寮。も、って事はええと……」
そういえば名前を聞いていなかった。
「……私は迷ってないからね?って言うかウィリーも迷ってたの……」
ジト目が更にキツくなる。
冗談の部類ではあるが。

ウィリー > 「そうとも、さっき路地裏からようやく出てきたんだぜ。
 いやー琴乃ちゃんはさすが頼りになる」
 苦笑しつつ宥めすかす。冗談半分、本気半分。

「本当このあたりはやんなるわ、土地勘がない場所を歩くのはこたえるぜ」

朝倉千蔭 > 「ええ、私も。女子寮に住んでいるんです」
「……あ、自己紹介が遅れましたね。朝倉千蔭(あさくら ちかげ)といいます」

ぺこり、名乗ると共に小さく礼をした。

「そうですね、……何となく、その、寒いですし」
「こういう場所に迷い込まないように、気をつけて歩かないといけませんね」

「……あの、えっと。……そろそろ歩き始めても……?」

もう一度周囲を見渡しつつ、そう提案した。
三人が顔を合わせた時よりも、さらに辺りが暗くなっているような感覚。
あまりひと所に居続けるのはまずいと、そう判断した。

桐竹 琴乃 > 「わざとらしー」
軽口を叩き、改めて朝倉さんの方へと向き直る。
「朝倉さんね、改めて。桐竹琴乃(キリタケコトノ)。名前でも名字でもお好きな方で」
言われ、ああ、という感じに頷く。
「それもそうか、とりあえずこっち」
そういい、迷いなく先頭を歩きはじめる。

ウィリー > 「いやいや、本当頼りにしてるって。
 えっと千蔭ちゃん、か。俺はウィリー・トムスン」
それじゃあいくか、と。

千蔭に先を促して、ほんの少し後ろからついていく。
路地裏よりはマシだが、やはりいい気分のする場所ではない。

朝倉千蔭 > 「桐竹さんと、ウィリーさんですね。改めて、よろしくお願いします」
「はい、道案内よろしくお願いします」

二人の後ろをとことことついていく。
……目的地までどれくらいの時間がかかるか分からない。
手持無沙汰なのと、心を落ち着けるために、質問をする。

「……えっと、二人は、その……どれくらい、戦ったりできるんですか?」
「ほら、今私たちが誰かに攻撃された時、その、大丈夫なのかなって」

ウィリー > 「実にタイムリーで物騒な話だな。
 俺は人並みだよ、人並み。今なんかあってもどうにかなるかな?くらいの」

本人としては異能持ちや魔術師、機械相手なら
なんとでもなるというニュアンスなのだが、非常に曖昧に
聞こえるのは間違いない。

桐竹 琴乃 > 「そこらの暴漢には負けないだろうけど。それぐらい」
その癖この辺りをうろついているワケであるが。
「実際試した事は、あんまりないんだよね。ほらよく言うじゃない」
ええと、と唸り。
「ああ、そうそう。死ななきゃ安い」
全く頼りにならなかった。

朝倉千蔭 > 「二人とも、戦えるんですか……。それは、その……安心、しました」
「し、死ななきゃ安い……まあでも、そうなのかもしれませんね」
「いや、だからといって今から死ぬような目に遭うのは御免ですけど」

今日無事に家に帰りつくことは出来そうという事で、ひとまず胸を撫で下ろす。
誰かと真正面から戦う事になるなんていうのは避けたいものだ。……少なくとも今は。

「……でも、あんな街に居る人は、だいたい皆戦うのに自信があるんでしょうね」
「そうじゃなかったら、平気であんな怖い場所をうろつくなんて……」

周囲をきょろきょろと見渡しつつ、そんな事をぼやく。
ああ、そういえばこんな場所を通った記憶があるような、ないような。

ウィリー > さっさと進む琴乃を追いながら、千蔭の話に耳を傾ける。

「力しかなかった奴、生き方が下手な奴、後ろ暗いところがある奴。
 あそこは色んな奴がいるんだよ。強い奴も弱い奴も、
 分相応に振舞って生きてる」

「全員が全員戦えるわけじゃなし。要は生き抜く強さを
 持ってるのが街をこしらえたってだけの話さ」

桐竹 琴乃 > 「いやー……私は全く自信は無いけどね」
振り向かず、続ける。
「私は単にこの辺を歩いてるのは趣味、というか気分でだし」
辺りを軽く見回す。
「言う程、あそこの空気は嫌いじゃないしね」
道は少しずつ、落第街から離れ、各々が見覚えがある、ような道に近づいていく。

朝倉千蔭 > 「……戦う強さじゃなくて、生き抜く強さ……ですか」
「それは、教科書にも載っていませんし、先生も教えてくれませんね」

生きるために努力をすること。死という終わりに抗うこと。
その想いが形を為したのがこの街だというのであれば――。

ふと、二人の後ろで彼女が微笑んだ。
それは先ほどまで浮かべていた物とはまた毛色の違う微笑だった。

「嫌いじゃない、ですか。私は……」

桐竹の言葉に、もう一度口元に手を当てて考え直す。

「……私も、もしかしたら嫌いではなかったかもしれません」
「もちろん怖かったですが、今の話を聞くと――あっ」

声と同時に指差したのは、出会った時に言っていた目印の○○魔術店。
ここまでくれば後は、一人でも大丈夫だろうと。

「あのっ、桐竹さん、ウィリーさん、ここまでありがとうございました」
「ここまでくれば私はもう大丈夫なので……えと、ここでお別れさせて頂きます」
「本当に助かりました。では、またいつか……」

あるいは、先ほどの会話から二人に気を利かせたのか、それとも電車の時間が近いのか。
手短に礼をし、頭を下げると、彼女は自身の知る道を歩いて行った。

ご案内:「落第街大通り」から朝倉千蔭さんが去りました。