「常世の国」


九十年の春二月の庚子の朔に、天皇、田道間守に命せて、常世国に遣して、非時の香菓を求めしむ。今橘と謂ふは是なり。
九十九年の秋七月の戊午の朔に、天皇、纏向宮に崩りましぬ。時に年百四十歳。冬十二月の癸卯の朔壬子に、菅原伏見陵に葬りまつる。
明年の春三月の辛未の朔壬午に、田道間守、常世国より至れり。則ち齎る物は、非時の香菓、八竿八縵なり。田道間守、是に泣ち悲歎きて曰さく、
命を天朝に受りて、遠くより絶域に往り、万里に浪を踏み、遥かに弱水を度る。是の常世国は、神仙の秘区、俗の臻らむ所に非ず――
  ――『日本書紀』巻第六 垂仁天皇紀

 「常世学園」は日本近海、太平洋に浮かぶ巨大な島、「常世島」に建設された大規模な学園都市である。
 現在、「常世島」は「常世財団」が所有しており、日本の領海内に存在するが、どこの国にも所属はしていない。事実上独立した国家のようなものであるといえる。後述するように、異能者、魔術師、異邦人などの存在が集合する特異点である故の独立である。国家からの政治的な利用を回避するための措置である。
 「常世島」は《大変容》以前は日本国政府の統治下にあったが、奇妙な程に注目されることはなく、知る者もほとんどいない島であったといわれている。祭祀遺跡などが残されており常世神社も存在することから、かつて人間が居住していた痕跡は見られるものの、既に「常世島」は「常世学園」と化したため学園地区などの発掘は困難である。古来より異界と通じる「門」がごく僅かながら開閉を繰り返していたとも言われており、記紀における「常世国」とは「常世島」ではないかとする学説も存在する。

 「常世学園」の創立は国連の委嘱のもと「常世財団」によって行われ、21世紀の初頭の《大変容》のために現れた異能、魔術、異世界と、現代の地球の文化を融和させ、統合するモデル都市として、全世界にその門戸が開かれた。都市自体が一つの「学園」であり、異能に覚醒した人間や、魔術を学ぼうとする者、この世界のことを知ろうとする異邦人、それらが差別なく学び暮らす場所であると標榜されている。
 また、異能や魔術を使えなくても、その入学は歓迎されている。学園都市が、未来のモデル都市として作られたのだから当然だといえよう。
 異能や魔術、異世界についての研究を行う都市としても世界の最先端を歩んでいる。そのため、異能や魔術を制御する方法や、異世界/この世界についての知識を講義する役割を担うのが教師となる。
 異能や魔術、その他学問、異世界やこの世界に精通したものが教師として勤務することになる。給与は「常世財団」より支払われる。
 「常世学園」は異能や魔術、この世界について学び、それらを習得するための「学生」と、彼らを指導する「教師」が主な住民となる。
 この二者によって運営され、自給自足し、独立して存在する都市が「常世学園」である。
 しかしながら、公認はされていないものの、正規の手続きを踏まずに「常世島」に住み込む者なども存在しており、完全な管理が成り立っているわけではない。入学するための年齢制限などは存在しない。学園内で使われる通貨単位は「円」である。かつての日本領土時代の名残である。
 校章は「橘の花」である。『古事記』や『日本書紀』の田道間守の逸話に基づいている。橘は田道間守が常世国から持ち帰った不老不死の果実であるという。
 常世学園の特徴は、一つの都市であるがゆえに、生徒や教師によって運営されるということになる。人数の比率から考えれば、生徒が主体となって運営する都市と言っていいだろう。

 常世学園は未来の「地球」社会のモデルケースであるため、そこで行われた研究成果や実験データは世界に公表することとなっており、大体の事はそのデータによって各国は知ることができる。しかし、より直接データを得たいと望む国は多い。常世学園は国家の影響を受けない立場にあるため、各国の諜報機関は諜報員を「生徒」や「教師」として送り込み、最新の異能・魔術研究や異能者、異邦人などの情報収集を行っている。

 

学園案内

 常世学園は日本近海、太平洋上に浮かぶ「常世島」に建てられた学園である。日本本土から見て南方に位置するものの、基本的に本土と同じく四季が存在している。気候も本土のそれとほぼ同じである。ただし、夏の気温は本土よりも高めである。
 いわゆる「亜熱帯」と呼ばれる地域に接していながら本土に近い気候を有している理由としては、《大変容》後の環境変化により常世島周辺の一部の気団・海流に変化が生じたためと推測されている。魔術的・霊的な要因が存在するという説もある。
 「常世島」は、元々は巨大な五角形状(星型とも)の無人島であり、古代のものと思われる遺跡、さらには誰が作ったかもわからぬ海底遺跡などが存在している。
 有史以前に何者かが文明を営んでいた可能性が示唆されているが、いまだ解明はされていない。平地は少なかったものの、「常世学園」の創立が決定した後、山を削り、舗装されて巨大な学園都市として生まれ変わった。

 基本的な景観としては、現代日本とそう変わるところはない。しかし、区域によっては大きくその姿は異なる。島内には線路が舗設されており、島内を廻る際や学園地区に通学する際などは便利である。電車・路面電車の駅は多い。
 学園都市の各設備は電力によって賄われている。そのため、潮力発電や風力発電の設備などが都市にみられる。しかしそれだけでは到底賄いきれるものではないため、どこから電力を供給しているのか不審に思う学生もいるという。利用されるエネルギーとしては電力の他、魔力なども存在する。
 以下、島内案内を記す。(地図はクリックすると拡大されます。)

※なお、この島内の地図や下記の説明はあくまで便宜上のもので、大体このような感じであると示すものです。
絶対にこの通りでなくてはならないというわけではありません。島そのものが変わってしまうような、他の利用者に迷惑をかける用なものでなければ好きなように考えてくださってかまいません。小島が一つ二つ増えていても問題はないと思います。色々設定ができるように、おおざっぱに書いております。

学園地区/学生街
  • 学園地区
    常世学園の学園たる所以の場所であり、学園都市運営の中枢。「常世学園」の巨大な校舎群が立ち並んでいる。
    学術的な講義、座学などはここで行われる。外観としては現代的な日本の大学に近い。要所要所に未来的な設備も置かれている。
    校舎はそれぞれオフィスビルのように学園地区に立っており、連絡通路などもあるため移動はたやすい。
    学園運営の中枢であるため、学園の運営に関わる委員会の本部などの多くがここに置かれている。官庁街に近い趣もみられる。
    生徒会の本部もこの学園地区に置かれている。他にも職員室や、学園都市が誇る巨大な図書館群もここにある。
    学園地区の象徴は校章でもある「橘(時じくの香の木の実)の花」が時計版に掘りこまれた巨大な時計塔であり、登れば学園都市全体を一望できる。
    学園内無線ネットワークの中枢となる強力な無線通信塔も学園地区内に存在する。
  • 学生街
    学生達や教師達の過ごす一つの大きな町であり、学園地区と一体になっている。
    学生達などが運営する商店などが立ち並んでいる。カフェ、飲食店、雑貨屋、八百屋、生活に必要なものはここで手に入る。
    授業の合間などに利用する学生は多く、学園都市の中でもっとも活気のある地区と言える。
    基本的に健全な地区である。居住するためのマンションなどもあるが、学園の中枢にあるため家賃は高い。
    治安も良いが、島内の住人が増えた故に、色々な事件が起こることもあり、学園側は頭を抱えているとされる。
学生・教職員居住区
  • 学生・教職員居住区
    その名の通り学生や教職員が主に居住する地区。この島の住人の住居が立ち並ぶ住宅街。
    当然、住む人間は差別されてはいない。この世界のものであれ、別世界のものであれ、この居住区に住むことができる。
    住居の形は様々であり、資金さえあれば自分で住居を設けることができる。基本的には学園側から用意された住居を借りることになる。
    家賃などがほぼ無料な学生寮もここに存在しており、男子寮と女子寮のほか、多様な性別に対応するために作られた寮も存在する。
    外観としてはこの世界の文化に合わせたものになるため、それに慣れない異邦人たちは、自分たちの文化を再現する「異邦人街」に居住することもある。
    海に面した地区には浜辺が広がっており、夏には海水浴場などとしても使用される。
  • 常世神社
    学生・教職員居住区に建てられた神社。この常世島が学園都市になる遥か以前、神代の時代の創建であると伝える。
    大国主神(日本書紀では大己貴神)との国造りの最中に常世国に去った少名毘古那神が降り立った場所とされる。
    祭神は「常世坐少名御神(とこよにいますすくなみかみ)」である。海に面して建てられた流造の社殿である。
    境内には小さな鎮守の森があり、境内はそれなりに広く、学生たちの憩いの場にもなっている。
    毎月15日は月次祭が斎行される。また、正月や例祭の日には屋台なども出て賑わう。神職や巫女も学園側が募集している。
異邦人街
  • 異邦人街
    島の南東部に作られた異邦人たちの街。異邦人に対しての学園からの差別待遇などは特になく、普通に学生居住区に住むこともできる。
    現在、この世界と異世界の融和を図るための街となっており、学生居住区などとはかなり趣を異にする。
    それぞれ異邦人がやって来た異世界の再現が行われる街であり、それぞれの文化がひしめき合う区域である。
    基本的に学園側からの関与はなく、異邦人たちの自治に任せられている。また、この世界の住人であっても異邦人街への居住は可能である。
    異世界から来た異邦人たちの心を慰めるための場所でもあり、それぞれの信仰に合わせて様々な礼拝所や神殿なども建てられている。
    一般には上記のように異邦人によって自発的に作られた、異邦人の心を慰めるための区域と言われているが、実際には紆余曲折あった上で異邦人街が生まれた。
    《大変容》直後の「地球」と異世界の確執の名残とも取れなくはないが、現在では異世界と「地球」の民の交流の場として肯定的に捉えられるのが主流。
    わざわざ「異邦人街」というような名称を残していることへの批判も存在しないわけではない。
歓楽区
  • 歓楽区
    その名の通り歓楽街が広がる区域である。この街のプレイスポットであるといえよう。
    所謂若者の街とでもいうような繁華な場所で、特に授業後の夕方から夜はかなりの賑わいを見せる。そして学園都市の不夜城とも呼ばれる。
    酒場やカジノなど、やや不健全な店が立ち並んでおり、時折風紀委員による手入れなどがある。
    そのため治安は学生街に比べると悪い。非公認の部活なども多い場所である。
落第街/スラム
  • 落第街/スラム
    学園都市の中でも特に治安の悪い地区であり、普通の学生が訪れるような場所ではない。
    学園側としては歓楽街の一部とされ、落第街やスラムなどは存在していないと公称しているが、現実には存在し続けている。
    その名が示す通り、落第生や不良学生、違反学生などが集まる街である。非公認の部活などが殆んどの地区である。
    不健全な店、風俗店などの娼館めいたものや、薬物などが横行している場所であり、治安は悪い。
    しかし、この街にも住んでいる人間はおり、また学園の母体である「常世財団」もこの学園の汚点であるこの場所への手出しは特に行っていない。
    特にそのような場所は存在していないというのが学園側の主張であり、そのため生徒会や風紀委員会も落第街に手が出しづらくなっている。
    時たま、風紀委員などの手入れが入るものの、根本的な解決には至っていない。
    常世島は一つの社会であるといえるため、「常世財団」の関与があろうとなかろうと、このような場所を完全に無くすことは難しいとも言われている。
研究区
  • 研究区
    学園都市の中でももっとも学術的と言える区域にして、学園都市が一種の研究のための都市である所以の場所。
    学園都市で行われる研究には様々なものがあるが、学園の設立の経緯上、最も大きいのは異能、魔術、異世界などについての研究である。
    研究区にはそれらを研究する施設が所狭しと立ち並んでいる。この異能や魔術が横行する世界のための研究ということが標榜されている。
    異能、魔術、異世界……これまでは学問の領域とされていなかった分野も、今では立派に学問の一つとなっている。
    しかし、研究のためといって研究そのものを機密にする機関なども存在し、謎の多い地区でもある。
    人体実験や、異能開発のための違法な研究などが噂され、「常世財団」もそれに関わっているなどというゴシップもまた存在する。
    そのような噂に関して、「常世財団」などは沈黙を保ったままである。
    研究員は教員のほかに、外部からの出張の職員など、また学生もこの区域で研究を行うことができる。
    「異能学会」「魔術学会」「異世界学会」の本拠もここに置かれている。
産業区/農業区
  • 産業区/農業区
    学園都市の生産や食糧をつかさどる重要な区域である。
    学園区域などとは別の離島に設けられた区域で、この学園の物資を製造する工場、産業地帯があり、食糧となるものを育てる農業地帯が広がる。
    農業に関しては機械化されたもの、魔術を利用したものが中心であるものの、中には昔ながらの方法で農業を行う者たちもいる。
    学園都市は独立した一国家のようなものであるため、自給自足が心がけられている。この区域はその表れである。
    しかし、創立当初に比べて住民の数が増えたため、学園都市内だけでは賄うことはできず、外部からの輸入も今では行われている。
    常世島を完全環境都市(アーコロジー)とする計画が創立当初存在したが、実現が困難であるため廃案となった。
実習区
  • 実習区
    主に実践的な授業、実習の際に使われる区域である。
    当然ながら、学園都市の内部では戦闘用の異能や魔術の使用は、委員会などの職務の遂行、特別な場合や一部の区域を除いて禁止されている。
    普通の社会で武器を街中で使ってはならないのと同じように、他人に危険を及ぼすような行為は罰せられる対象である。
    (とはいえ、異能・魔術犯罪が存在しているのも事実である。)
    しかし、この学園では異能や魔術の制御、習得を学ばせることも大きな目的である。そのためには、実践が伴わなければならない。
    そこで使われるのがこの実習区である。この実習区においては、戦闘用の異能や魔術の使用が許される。
    この区域一帯は特殊な魔術や異能の防壁が張られており、よほどのことがない限りそれは破られることがなく、他区域にも影響を出さないようになっている。
    異能や魔術の実践には欠かせない場所であり、生徒・教師による模擬戦闘訓練なども行われている。
    基本的に何もない広い更地といった景観だが、一部訓練のための施設なども設けられている。
    魔術や異能の力を用いれば、ある特定のフィールドや状況下での訓練なども再現できる。
未開拓地区/遺跡群
  • 未開拓地区/遺跡群
    この学園都市の中でも最も特殊な区域である。その名の通り、未開拓な地域であり、遺跡などが点在している。
    「常世学園」が出来る以前の「常世島」の状態が残されており、古めかしい古代遺跡がいくつも存在しており、荒野のような光景が広がる。
    未だ開拓されていない理由こそが、この地区が最も特殊な区域である所以である。
    「常世財団」が「常世学園」を作ろうとした際に、異次元の「門」が開き、この区域一帯は非常に時空が不安定な状態へと変化した。
    普通ならば、大規模な異世界の転移などはほとんど起こらないが、この区域においてはそれが頻繁に起こってしまっていた。
    異世界のものが次々と転移し、異世界の怪異や、異世界の遺跡、異世界のダンジョンなどがこの区域に現れ、非常に混沌とした場所と化した。
    異界との接点が特に強い場所であり、ここでは異世界の魔物なども出現し、危険な地区であるといえる。
    しかしそれゆえに、ここでの異能や魔術の使用は全面的に許可されており、遺跡やダンジョンの探索なども行われている。
    この場所がある故か、異界の魔物たちはこの区域から出ることはあまりない。そのため、訓練のために訪れる学生も存在する。
    この区域へ生徒が入ることは禁止されていないが、入る場合は自己責任ということになっている。
    開拓計画も存在するが、あまり現実的な話にはなっていない。
    ここに住むような変わり者の生徒たちもおり、アウトローな文化が形成されている。
    未開拓地の半分以上は未開拓の荒野が広がっているが、この荒野を一般に「転移荒野」と呼ぶ。
  • 青垣山
    未開拓地区に存在する小高い連山である。大和の山々を思慕した倭建命の望郷の歌からその名前は取られている。
    古くから常世島に存在する山で、その名の如く遠くから見れば青い垣根のように見える。
    様々な祭祀遺跡が残されており、かつては祭祀の場であったことがうかがわれる。
    山の内部にピラミッドがある、古代兵器が埋められているなど、奇妙な噂の絶えない山である。
海底遺跡群
  • 海底遺跡群
    学園都市の北東部に存在する海底にある遺跡のことを指す。
    何者が立てたのかなど全くの不明の海底遺跡であり、超古代のものと推測されている。
    一種のダンジョンになっており、未だ詳しい調査はなされていない。奇妙な不定形の生物や、魚人をみたなどの報告されている。
    奇妙な形の神像などが有名である。古代文明の一部ではないかと目されている。
常世島全体
  • 交通機関
    常世島全域に渡り常世環状線が敷設されており、鉄道委員会による高速列車が運行している。この列車に乗れば島内の大体の区域には行くことが可能。
    その他バスや路面電車、タクシーなどの交通機関が常世島には公営私営ともに数多く存在する。
    地下鉄道も存在するが敷設されたのは学園地区と居住区のみで、常世島全土を覆うには至っていない。しかし、廃棄された地下鉄の噂も存在している。

    特に自動車等を所有せずとも島内の移動は可能であり一般生活への支障もないが、道路も通常の都市同様存在している。
    島内の自動車等の多くは部活や委員会の業務用である。無論、自家用車や趣味のための自動車も存在する。
    車の販売などは商業系部活ないし自動車部などが行っており、島外からの輸入車、島内で生産された車共に入手が可能。
    価格については店舗によって様々であり、一般学生でも購入が可能な車種も存在する。自動車・バイク等のレンタルショップもあり、修学年限が常世学園には一応定められているため、自動車を購入するよりレンタカーを選択する学生も少なくない。
    上記の通り自動車を所持していなくても生活可能であるため、一般学生の場合は趣味としての側面が強い。

    島の外周部(転移荒野は除く)には常世島環状道路(一般道・高速道路共に存在する)が巡っており、ドライブ等に使われることが多い。速度制限も存在する。速度違反を行えば風紀委員会の交通部に追われることもあるだろう。
    転移荒野に整備された道路はほぼ存在しないが、学園が直接管理する場所ではないことから速度制限が存在せず、速度を求める者や一部の自動車部などが自動車やバイク等を走らせることもある。
    常世島内では異能者・異邦人などへの配慮のため、自動車等の改造についての規制は緩め。ただし、危険な改造が発覚すれば、当然ながら風紀委員会に取り締まられる可能性はある。
    旧世紀のガソリン車をはじめとし、電気自動車、異能や魔術での運転を可能にした車、動力を魔導機関に置き換えた車、異界の技術で駆動する車など常世学園ならではの自動車が常世島内を走っている。

    自動車やバイク等の運転には運転免許証が必要だが、常世学園という特異な実験都市・学園の事情もあり、免許の取得可能な年齢は16歳(異邦人などの場合は「地球」でいう16歳に相当する年齢)からとなっている。
    常世島内で効力を発揮する運転免許証の発行は公安委員会が行い、免許証発行のための試験の管轄も公安委員会に属するが、実際の業務は風紀委員の交通部に委任されている。
    発行される免許証は原則として常世島内でのみ効力を発揮するものであるが、所定の審査や申請を経ることで国際免許証としての効力を付与することが可能。
    これにより、常世島外の国家で効力を発揮する運転免許証とすることもできる。ただし、利用先の国家での申請等は必要。利用可能年齢も利用先の国家の制度に準拠するため、常世島で16歳で免許を取得したとしても常世島の外の国家でそれが必ずしも利用できるわけではない。

    「委員会や部活の業務上必要である」「出身世界において16歳未満でも自動車の運転が可能であった」「心身・異能・魔術の制御に必要である」等、何かしら特別な事由がある場合は、申請および運転に必要な能力・知識を有していること(試験が行われる)を条件とし、16歳未満でも免許の取得が可能である。
    常世島の外同様、無免許での運転を行う者たちもいる。

    ※運転免許の設定についてはPCの行動を抑制する目的ではなく、自動車の運転等も可能であるという積極的な意味合いをもたせています。
    特別な事由があれば免許証発行は16歳未満でも行える設定になります。また、乗り物の全てに免許証が必要というわけではありません。
    あまりこの点は厳しく規約として定めるというような意図はありませんので、学生であっても自動車などの運転は可能であるという程度で捉えていただければ大丈夫です。

  • 常世島情報通信網(通称:常世ネットワーク)
    常世島ではかつてニコラ・テスラが夢見た「世界システム」の如き超高速の無線通信が実現されており、島内全域に渡って携帯端末やパソコンによる無線通信(インターネット)が利用可能。
    科学・魔術技術を最大限に利用した「地球」でもっとも進歩した情報通信網である。常世ネットワーク、システム・テスラなどとも呼ばれる。
    その中枢は学園地区に屹立する通信塔である。なお、有線通信も消えたわけではなく、無線通信とともに進化を遂げている。
    主に生活委員会が管理運営を担当するが、一部の生徒が独自にネットワークを構成している例も見受けられる。
    ネットワーク上に構成された擬似空間に利用者の意識をダイブさせる技術も確立されている。ネットワーク上にはいわゆる電脳空間(サイバースペース/マトリクス)が存在しており、擬似的に再現された世界を楽しむことも可能。
    精神をネットワーク上に没入させる技術としては電極パッドを頭部に装着する方法が一般的だが、自らの脳の一部を電脳化するという事例も増えてきている。

常世財団本部離島
  • 常世財団本部
    学園の母体である常世財団の本部だが、学園の中枢にそれは置かれず、常世島本島から離れた離島にぽつんと建てられている。
    外観としてはレトロな洋風の屋敷であるが、その地下には様々研究施設があるなどと噂されている。
    常世財団は学園の運営や、そこで起こる事件そのものにはほとんど口を出すことがなく、黙々と異能や魔術、異世界について研究を続けているといわれる。
    原則として学生・教職員が常世財団本部への訪問は許可されておらず、いかなる理由か離島への渡航は不可能である。
    常世財団本部を訪れることができるのは「生徒会長」のみであるという。