常世学園には様々な組織が存在する。ここではそれら組織ついて概略する。
 学内で生まれた組織、学外で成立した組織などがひしめき合うのがこの常世学園である。基本的に学内の運営に強く関わるのは学内組織である。
 しかし、元々外部で生まれた組織などが学園内に影響力を持つということもありうる。例えば、研究組織であるとか、犯罪組織のようなものである。
 魔術協会などもこれにあたる。特に、魔術に関しては元来様々な系統が存在するため、魔術を教える教員が何かしらの魔術関係の組織に入っているというのも珍しい話ではない。
 異能に関しても同様である。世界の変容後、異能の研究を行っていたのは常世財団だけではない。その規模は様々だが、異能研究組織は存在する。大国などにも独自の異能研究機関は存在する。
 これらの組織の関係者が常世学園で生徒や教師をやっていても何も不思議ではない。組織の支部が常世島に設けられることもあるだろう。研究機関として常世学園と合同で研究を行う組織も多い。

 

学内組織

 常世学園の学内組織とは、つまるところ「部活」と「委員会」のことである。この二つが学園を運営する基盤となる。
 「部活」とは一般にいう部活動のようなものもあれば、生徒の運営するいわゆる企業、商店やサービス業などの商業活動も常世学園では「部活」の一種である。そのため、常世学園における「部活」という語の意味は、非常に幅の広いものであるが、店名などには必ずしも~部とつける必要はない。
 「委員会」とは常世学園を統治する組織群の事を言う。基本的な名称などは普通の学校制度でいう委員会に重なる部分も多いが、その権限は強く、国家における各省庁などに相当する。学園都市の運営になくてはならない存在である。
 学園都市が都市として機能するための重要な機関であるため、「部活」や「委員会」に所属し活動する生徒に対しては、その活動に応じて単位が認定されることになっている。これによって、単位の心配をせずに活動を行うことができるのである。なお、部活については、単位の認定は活動内容によるので、必ずしも単位として認定されるとは限らない。
 部活や委員会などによる収入は様々であるため、ある程度の貧富の差も生まれることになる。また、部活や委員会の枠外である学生同士の集まりや結社なども学内組織に含まれる。
 以下、「部活」や「委員会」について概略する。

 

部活

 常世学園における部活とは、普通の学校における部活動の意味もあり、さらに学生における都市運営、商業活動までも含む大きなものである。部活の一つ一つが大小の企業、商店であるといえる。勿論、経済活動を伴わない部活も多く存在する。
 商業活動の場合、部活の施設などは店舗などの形態を取ることになる。部活設立には5名以上の人員が必要だが、それ未満の場合でも協議の上認可されることもあるという。大規模な部活になればそれだけ学園都市にとって重要な存在となり、学園側から支援金などが与えられる。
 当然ながら、校則に違反したり公序良俗に反するような部活は設立を否決される。しかしながら、落第街などでは学園側の認可を得ずに、校則に違反するような部活が多く存在する。これらの部活は違反部活などと呼ばれる。風紀委員の摘発の対象であるが、その数は多く一掃には至っていない。
 人数を集めて、校則に則った部活であればその認可は容易い。活動のための施設なども、小規模なものならば学園側から提供される。
 顧問などは設立に必要とはされないが、設置することは可能である。教師が顧問として部活を立ち上げることも可能である。

委員会

 常世学園における委員会は、国家における各省庁に相当する。政府機関のようなものであるといえ、「委員会」という名称は学園都市運営の基本が学生によって行われている証左であるともいえる。生徒会を中心にしてそれらは運営され、学園都市の正常な運営のために日々活動している。そのため、特別な権限を有していることが多い。
 例えば風紀委員会などは国家で言う警察機構に相当する。学園都市の運営が生徒中心に行われていることの証左であり、一つの国家的存在である所以となっている。特別な権限を有する代わりに責任も生ずる。その権限を乱用することは許されない。生徒とはいえ、学園都市は一つの社会であり、今後の未来の都市のモデルなのであり、それを運営する生徒にはそれなりの責任や義務が課せられる。
 学園草創期には生徒会の上に「理事会」が置かれ、常世財団の人間や国連の人間がその任について学園都市を運営しようとしていたが、学園都市の住民に学園都市の運営は任せるべきであるという意見が挙がり、常世財団が同様の意向を示したため、理事会は消滅した。
 しかし、常世財団は今でも学園内に存在している。生徒会などに影響力を有しているといわれる。生徒会長の任命権は常世財団にある。なお、各委員会の下部組織や、下部組織として部活が作られることもある。
 以下、常世学園における委員会を記述する。

  • 「生徒会」
    常世学園の組織機構の中の頂点にあるのがこの生徒会である。国家で言う行政府、立法府、司法府に相当する。
    常世財団を除けば、「生徒会」よりも上に存在する組織は存在しない。
    生徒会長、副会長、幹部、そして多数の執行委員によって成る委員会である。
    学園都市運営の頂点にあり、強い権限を持つが、常世学園は自由と平等を標榜しているためよほどの非常時事態でなければ強権が発動されることはほとんどない。
    基本的には無闇に学園を運営する生徒や教師たちの活動に関与しない方針とされている。
    生徒会役員の選出方法であるが、生徒会長と副会長に関しては常世財団の指名によって行われる。
    生徒会室は学園区域の校舎棟の最上階に設けられている。
  • 「風紀委員会」
    風紀委員とはその名の通り、学園の風紀を正すための委員会である。国家で言う警察機構に相当する。
    警備に始まり、校則に違反する学生の逮捕や拘束、違反部活の取り締まりなどを行う権限を有する。不正を働く教師も風紀委員会の取り締まりの対象となる。
    違反学生の懲役や再教育も風紀委員会の役割である。学園区域に本庁があり、常世島の色々な場所に分署などが存在する。それぞれの地下には違反学生などを拘留するための留置所等がある。
    「交通部」「警邏部」「刑事部」などの部署が存在する(機能としては現実の警察のそれに相当する)。
    風紀委員は刑事部などを一部の例外を除いて風紀委員会の制服の着用が義務付けられている(無論非番等の場合は制服の着用義務はない)。異能や魔術関係の犯罪も増えているため、風紀委員会の戦力の増強も必要との声も近年高い。
  • 「生活委員会」
    学園都市における生活全般を司る委員会。必要に応じて学園都市内のインフラなどを管理・整備することを基本的な業務とする。
    交通(一部業務は鉄道委員会と連携して行われる)、医療・病院・保健関係、情報ネットワーク関係のインフラ整備も生活委員会の担当である。
    異邦人関係の問題についても基本的に生活委員会が担当する。
  • 「鉄道委員会」
    常世島内を走る鉄道の運営を行う委員会。駅員として停車駅の管理・運営を行い、電車(路面電車・地下鉄等を含む)の運転士や車掌業務を行う。業務内容の兼ね合いから生活委員会との関係が深い。
    島内には私鉄も運行しているが、これも鉄道委員会の許可を得てのことである。
  • 「図書委員会」
    学園都市に存在する図書館において図書館の運営、図書管理などを主に行う委員会。魔導書や禁書の管理も行うため、その業務には危険を伴うこともある。
    常世博物館の運営も基本的に図書委員会が行う。常世博物館の地下収蔵庫にも取扱に危険を要する呪具やアーティファクトが収蔵されているため、それらの管理業務には危険が伴う。
  • 「公安委員会」
    司法権も一部有している委員会。常世学園の体制を揺るがすような事件やそれにまつわる人物や組織を調査し、監視、解散させる権限を持つ。
    現実における公安警察や公安調査庁などが合わさったような組織である。常世学園の公安を司る。そのため、情報も開示されていないことが多い。
    風紀委員とはまた別の独立した警察機構といえる。
    常世島内で効力を発揮する運転免許証の発行も公安委員会が行う。運転免許発行のための試験の管轄は公安委員会に属するが、実際の業務は風紀委員の交通部に委任されている。
    原則として常世島内でのみ効力を発揮する運転免許証であるが、所定の審査や申請を経ることで国際免許証としての効力を付与することが可能。これにより、常世島外の国家での運転免許証とすることが可能(ただし、利用先の国家での申請等は必要)。
    免許証などについての詳細は「こちら」を参照。
  • 「式典委員会」
    常世学園で行われる公的な各種式典、催しやイベントなどを生徒の意見などを参考にしつつ実行に移す委員会。
委員会関係組織
  • 「祭祀局」
    常世島内の「霊的守護」「霊的調和」を司る機関。
    神性や精霊の類、天神地祇(日本における天つ神国つ神や中国における神祇の意味ではなく、全ての霊的な存在をここでは指す)への「祭祀」を行い、常世島内の霊的な調和を守護することを職務としている。退魔的な職務も存在するが、あくまで主たる目的は島内の霊的な調和を保つことである。
    学内の宗教団体についての管理を行うのは「公安委員会」などの管轄であり、「祭祀局」が担当するわけではない。特定の宗教の布教や弾圧を行うことも勿論ない。常世学園内では宗教の自由は「強く」保障されている。
    学園草創期においては生活委員会の一部局であったが、その職務の特殊性・専門性のために独立した。

    「地球」における伝統的な宗教を始め、新旧・異世界のものを問わず様々な「宗教」「信仰」の祭司・宗教者――神職や巫女、陰陽師、僧侶、道士、神父・牧師、祓魔師(エクソシスト)の他、霊能者や異世界における神官など――が局員として集められている(破壊的・校則に違反するようなものは除く)。あらゆる宗教で信仰される「神性」への対応が求められる故である。
    執行の必要に迫られる祭祀の種類は多種多様であるため、霊的・宗教的・魔術的な祭祀・儀式だけではなく、それらと科学を習合されたアプローチも行われる。科学的な方法に対して、局内では反対意見を持つものが存在しないわけではない。
    専門的な祭祀・儀式を求められる事件・事象に対して「風紀委員会」や「公安委員会」、「生活委員会」などより諮問があった場合は助言を行う。あるいは直接解決に協力することも多い。ただし、「風紀委員会」や「公安委員会」にも霊的な事象への対処を行う部局は存在するため、それで事足りる場合は祭祀局の出動は行われないこともある。基本的には他の委員会との足並みは揃っているが、霊的な解決を快く思わないものも一部存在するともいう。

    常世島内には特定の土地の領有を主張し、祟りや霊障などを発生させる神性・精霊(妖怪なども含む)が稀に現れる。「祭祀局」の局員たちは神性に対応した「祭祀」「祭儀」を行い、神性と交渉することとなり、現れた神性に対して宗教施設群に新たな社や祠を設け、そちらへの鎮座を要請するという例が多い。島内の歪んだ龍脈や地脈の修復も行う。
    島内に害意のみを齎すものは「怪異」として判断され、討伐・除霊・調伏が行われることもある。場合によっては局員との「契約」や「使役」の対象となることもあるだろう。なお、祭祀局の使役・契約対象となった神性や精霊、悪魔に類するものも安全性が証明された場合は入学も可能である。
    なお、あくまで「祭祀」は学園内に「神」「精霊」などとして現れるものを対象とし、「生徒」「教師」「職員」として振る舞う神性などについては対象外である。たとえ「神」であったとしても、常世学園に「生徒」や「教師」として登録した以上は他の存在と平等に扱われるためである。

    「祭祀局」は転移荒野などに現れた「神性」とファーストコンタクトのために出動することもあり、祭祀や交渉の結果、その神性に入学の意志が認められる場合は生活委員会にその旨を伝えるということも行う。ただし常に祭祀局が出動するわけではない。
    常世島内に発生する霊的な事象は多種多様であるため、必要な場合は局外の宗教者や祭祀系部活への協力要請を行うこともある。

研究機関

常世島には主に「異能」や「魔術」、「異世界」について研究を行う機関が多く存在する。常世島が一種の研究都市であると言われる所以である。
ここでは学園内に本拠を置く研究機関を挙げる。

  • 「異能学会」
    異能学に関する研究連絡・議論、知識の交換、提携の場となることを通して異能学の進歩普及に貢献するための事業を行い、学術文化の発展と異能についての正しい理解の啓蒙に資することで、《大変容》以降の混沌たる世界の調和に寄与することを目的とする。異能の実態やその種類、歴史、制御法などについて様々なアプローチに基づいて研究する学会である。異能学関連では世界最大規模。
    異能を研究することで、異能を持つ者と持たぬ者が平等に暮らしていく社会システムの範を世界に示すということが学会の理念である。常世学園が未来の社会のテストケースであることから、常世学園と異能学会の関わりは深い。学生の異能についての研究調査報告もここで行われるが、生徒本人が公開を許可した場合や特別の場合を除き、プライバシーなどは厳守される。
    学生や教職員の入会や研究発表は当然可能で、異能の有無も問わない。その発足は《大変容》以後であり、常世財団の支援によるものである。学会誌は『異能学』。常世学園の生徒・教師であるならば誰でも受け取りが可能。
  • 「魔術学会」
    魔術学に関する研究連絡・議論、知識の交換、提携の場となることを通して魔術学の進歩普及に貢献するための事業を行い、学術文化の発展と魔術についての正しい理解の啓蒙に資することで、《大変容》以降の混沌たる世界の調和に寄与することを目的とする。魔術の実態やその種類、歴史、制御法、社会における役割などについて様々なアプローチに基づいて研究する学会である。魔術学関連では世界最大規模。
    魔術を「学術的」に研究する機関であるため、魔術協会・魔術結社の類とは異なるが、多くの魔術結社が参加している。《大変容》以降、魔術の存在は公然の事実となり、世界的に大きな混乱を齎すこととなり、これに危機感を抱いた魔術協会が常世財団の支援を受けて設立した。
    魔術を人類の発展のための技術体系と位置づけ、魔術についての正しい知識や使用法、危険性などを世界に公表していく役割も担っているが、そのためにこれまで多くの魔術結社が秘匿していた術理や魔導書の存在を暴くこととなったため、一部の魔術結社や魔術師からは批判の声も存在している。
    魔術協会がその設立に関与したものの、魔術学会は魔術協会の傘下にあるわけではない。結成当初は魔術協会の影響を強く受けた学会であったが、現在は常世島の魔術の学術機関として独立している。そのため、魔術協会とその性格を一にするものではない。現在ではアカデミックな組織としての性格が強く現れており、必ずしも魔術協会と魔術学会の意見が一致するとは限らない。
    当然ながら研究機関であるため、入会の条件に魔術使用の有無は問わない。学生の入会も可能。学会誌は『魔術学』。常世学園の生徒・教師であるならば誰でも受け取りが可能。

 

学外組織

異能・魔術関係組織
  • 「世界魔術協会」
    一般に「魔術協会」と呼称される。《大変容》によって世の表舞台に魔術の存在を暴露されてしまった大小の「魔術結社」の類が洋の東西や教義の違いを超えて結成した協会。
    魔術の伝統を守り、魔術の命脈を保ち、魔術の正しい使い方を伝道することが目的であるとする。
    上記のように公称してはいるものの、人類全体に魔術の恩恵をもたらそうとしているというわけではなく、魔術が無闇に一般の人間に広まらないように統制することが真の目的でもあるという。
    このため、常世学園や魔術学会の魔術を広く一般に広め啓蒙するというような態度には批判的である。魔術は高度な技術体系であると称し、一般に広く流布させるには危険があるという慎重な立場を取る。
    秘術とされてきた術式や魔導書の存在を明らかにされたために、常世学園や魔術学会に敵意を持っている魔術師も一部にはいるという。なお、魔術協会内にも常世学園や魔術学会に親和的な者もいないわけではない。
    異能についても、魔術協会上層部には懐疑的な見方をする者が少なくなく、伝統的な旧来の魔術や魔術世界を重視する集団だと言えるだろう。
    常世学園の動向を探るために、生徒や教師として入学する魔術協会会員も一部存在する。

    魔術学会への態度としては、学会の学術大会に代表団を派遣するなど、相互の関係が必ずしも悪いというわけではないが、魔術学会は広く魔術を学術的に研究し、その結果を一般に正しく広め還元することを目的とするのに対し、魔術協会も表向きは同様な目的を掲げているものの、真の目的は魔術が無闇に一般の人間に広まることを統制することであり、魔術学会がアカデミックな機関としての性格を強くしていくごとに彼我の間に摩擦が生まれていった。
    上述したとおり、魔術学会に対し魔術結社などから批判が行われており、魔術協会内でも魔術学会との立場の違いから批判的な言説を行う魔術結社・魔術師は少なくない。《大変容》以前は魔術はごく一部の人間のみが知る隠匿された術であったが、《大変容》によってそれが表の世界に露見してしまったこともあり、現代魔術世界の代表的立場となった魔術協会に対して、その歴史への批判が外部より行われることもある。
    また、伝統的な魔術師の家系などへの資金的な援助なども行っている。《大変容》に伴う災害による混乱や、魔術世界への批判の煽りを受ける形で経済的に困窮し、没落の憂き目に遭う魔術師家も少なくはなかったためである。また、常世学園の登場により、伝統的な魔術師家を含め魔術を学ぶものの多くが常世学園に入学することが多くなり、その経営状況を悪化させた一部の伝統的な魔術学校などへの支援も行う。

    本部はアメリカ合衆国マサチューセッツ州の都市、アーカムに置かれている。
    世界各地に中小規模の支部が置かれており、日本国の京都支部(神職・巫女・仏僧・陰陽師・修験者などが多く所属する。魔術協会の中では常世学園と比較的有効的な関係にあり、祭祀局との関わりも深く、神職や陰陽師の子弟を常世学園に入学させることも少なくない)、イギリスのロンドン支部(ロンドンを見舞った《大変容》災異である「闇の紀元」や「時代の再反復」の影響により、対「怪異」の術式を持つ魔術師・祓魔師・聖職者などが多く所属し、戦闘的な性格が強め。特に吸血型怪異への対処能力が高い)、アメリカ合衆国マサチューセッツ州のセイラム支部(暗い魔女裁判の歴史から転じ、現在は魔女の街としての性格があり、セイラム支部の構成員の多くは魔女である。魔女裁判時にセイラム外へと脱出していた魔女たちの末裔も多いという)が有名。
    常世学園には常世島支部が設けられており、学園の魔術関係の施策に意見を投じる。
    世界魔術協会は魔術結社集団の中では最大規模ではあるが、それ以外の協会が存在していないわけではない

  • 「国際異能発現者連絡会議」
    《大変容》後に結成された異能者の組織の中で最も巨大なものがこの「国際異能発現者連絡会議」である。
    異能者の地位向上や人権問題の解決を標榜する。
    各国に支部があり、異能に発現した者たちの保護なども行い、孤児院なども運営している。
    異能者の権利や人権を強く主張するあまり、魔術師や異邦人を軽視する傾向が見られ、常世学園や異能学会に対して批判的な立場を取る。
    異能者のみを集めた学園都市を構想しているものの、実現には遠いという。
    本部はドイツ連邦共和国の首都ベルリンに置かれている。常世学園には常世島支部が設けられており、学園の異能関係の施策に意見を投じる。
    なお異能者の国際的な集団は「国際異能発現者連絡会議」以外にも多く存在する。
  • 国際異能者協会インターナショナル・アソシエーション
    異能主義者によって作られた政治結社。「国際異能発現者連絡会議」から分派した「異能主義者同盟」を前身としている。「国際協会」とも呼称され、単純に「インターナショナル」と呼ばれることもあり、この呼称が最もよく使用される。
    異能者の権利や人権を強く主張するのは「国際異能発現者会議」と同様であるが、その行動はより直接行動的・武力闘争的であり、暴力・武力や異能の行使をも是認している点に特徴がある。
    「異能者」が一部の国家や地域で差別され、迫害されているという事実を強調し、「異能者」は異能を持たない者たちによって虐げられていると主張する。しかし、実際には「異能者」は《大変容》を契機として出現した人類の革新を体現する存在「超人」であると唱え、旧来の人類を超えた優位存在であると解釈しており、「異能者」たちの自覚や団結を促してもいる。

    その主張の中でも特に異彩を放つのが、「人類全てが異能者になるべき」とするものである。「異能」の獲得は人類の進歩・革新であり、いずれ人類の全てが「異能」を持つようになると予言めいた主張を展開している。そのため、人工的な異能発現に対しては賛意を示しており、協会内では異能発現のための薬品の開発や実験が繰り返されているともいわれる。
    人類全てが「異能者」となれば必然的に異能者への差別は消え、「異能」という言葉すらも消えてなくなるという理想を標榜している。
    虐げられている「異能者」たちに「革新的存在」「超人」であるという自覚を持たせ、「異能者」が団結して差別に立ち向かい、世界を牽引していく存在となることを目指す結社といえる。
    「異能者たちよ、気づくが良い。我々には「力」があるではないか。旧来の人類が持ち得なかった超常の力を我らは持っている。ならば、行動しよう。戦おう。我々は「超人」であり「新なる人」である。世界を革新させる存在であることを、搾取者たちに思い知らさなければならない」

    「異能者宣言」(「超人宣言」などとも呼ばれる)という協会綱領を作成しており、諸国家・常世島にて出版し頒布を行っている。
    「異能者宣言」の中の、「万国の異能者よ、団結せよ!」、「異能者に祖国なし」(国家・人種という括りではなく、「異能者」という点を紐帯とする集団であること示す)などの言葉が特に有名であり、「国際異能者協会」のスローガンになっている。
    異能者への差別的な行いには武力・暴力を以て抵抗・対抗し、そのような所業を行った組織・国家・個人への攻撃をも行う組織である。
    直接行動・武力闘争を是認し、強制的な異能発現を推奨するという立場は国際的にはとても認めることができないものである。少なくとも、建前上は異能の有無で人間の価値が計られることはなく、異能の有無に関わらず人類は平等であるとされているためである。
    このため、諸国家からはテロ組織として認識されている。秘密結社・地下組織としての側面が強く、組織の全体構造については不明な点が多い。
    本格的な活動が開始されたのはさほど昔のことではなく、常世学園創立後に発足したと目されている。
    常世島にも支部が存在しており、世界で最も「異能者」が集まると言える常世島での活動は活発である。「異能者」による蜂起・世界革命すらも唱えることがあるため、公安委員会の監視対象となっている。
    構成員のほぼ全てが「異能者」であり、かつ「異能者」であるがゆえに差別や迫害を受けた者たちであるとされる。
    「異能者」至上主義とも言える主張を繰り返していることから、異能を持たない者の「異能者」への悪感情を刺激しており、多くの「異能者」は「国際異能者協会」の行動に対して批判的である。

    なお、19世紀から20世紀に存在した国政政治結社「インターナショナル」との関係は一切ない。