大変容についての詳しい説明はこちら。なお必ずしもリンク先を読まなければならないわけではない。

 21世紀初頭の世界の《大変容》に伴う変化は、「異能」や「魔術」の顕在化だけではなかった。
 世界の変容とともに時空が歪み、異世界の「門」が開いたのである。様々な異世界へとつながる「門」が現れ、そこから次々と異世界の存在がこの世界へと現れたのである。かつてこの地球に存在した神話・伝説上の存在が「地球」に復活を遂げ、さらに「地球」の存在する宇宙とは異なる宇宙・世界よりの異邦人が現れるようになった。
 異世界とはまさに異なる世界であり、いわゆる剣と魔法の世界もあれば、高度に科学が発達した世界、人間とは異なる種族が繁栄した世界など様々である。いわゆる並行世界といったものから転移してくる人間も存在する(なお、便宜上常世学園が存在する地球、つまり当サイトの舞台となる地球は「地球」とかぎかっこをつけて表記し、他と区別する)。
 そのような異なる世界からこの「地球」にやってきた存在を「異邦人」と呼ぶ。異界の「門」が開いた理由は今も詳しくはわかっていない。
 様々な世界から異邦人たちが訪れるが、「門」は非常に不安定であり、異邦人たちを送り出した後はすぐに消えてしまうことが多い。また、異邦人たちも突如「門」の解放に巻き込まれ、この世界に転移してくる者が殆んどであり、その多くは元の世界に帰る手段を持たなかった。そのため、地球の人間や異邦人双方に混乱が起きた。21世紀初頭の戦乱は混乱した地球人と異邦人の争いであったとも言える。
 異世界からの転移は《大変容》直後などの一部例外を除き、「一つの世界から一人ないし数十人という規模の転移」であり、都市、世界まるごと地球に転移するということはなかったものの、頻繁に「門」が開き異邦人が訪れるため、常に混乱が巻き起こった。

 そして常世学園の創立後、常世学園はこの事態を収拾するための拠点とされた。転移した異邦人の集まる都市とされたのである。体の良い厄介払いでもあり、同時に異邦人たちにこの世界について学ばせ、世界との融和を計ることが目的であった。帰る手段を失った異邦人が、元の世界へと帰る方法を見つけるための研究も異邦人主導で行われている。
 異邦人もこの世界に残ることを決意する者、故郷への帰還を望む者などさまざまである。しかし、どの道その心理的な不安は多い。そのため、常世学園には「異邦人街」という、異邦人たちのそれぞれの世界の文化を再現した街が作られている。

 現在は21世紀初頭の混乱も落ち着き、異邦人の存在も自明のものとなった。「地球」の多くの人間は彼らの存在を認めているものの、一部には異邦人への差別意識も根強く残っている。常世学園では生徒や教師は皆平等であり、制度上にも区別はない。ただ、地球の人間や異邦人ともに、完全に壁が全て取り払われたともいえるわけではなく、これからの課題となっている。